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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131066
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】インモールドラベル容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/00 20060101AFI20240920BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240920BHJP
   B65D 1/26 20060101ALI20240920BHJP
   B65D 1/28 20060101ALI20240920BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20240920BHJP
   B65D 25/36 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65D1/00 120
B65D65/40 D
B65D1/26 110
B65D1/28
B65D25/20 Q
B65D25/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041098
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】相澤 恒
(72)【発明者】
【氏名】丸尾 亮介
(72)【発明者】
【氏名】金野 誠
【テーマコード(参考)】
3E033
3E062
3E086
【Fターム(参考)】
3E033AA08
3E033BA10
3E033BA13
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BB08
3E033DA08
3E033EA09
3E033FA02
3E033GA02
3E062AA10
3E062AB02
3E062AC02
3E062DA02
3E062DA07
3E062JA04
3E062JA08
3E062JB04
3E062JC10
3E062JD08
3E086AC15
3E086AD06
3E086BA04
3E086BA13
3E086BA14
3E086BA15
3E086BA24
3E086BB02
3E086BB05
3E086BB41
3E086CA11
3E086DA08
(57)【要約】
【課題】使用する樹脂量を低減するとともに、落下強度を高めることが可能な、インモールドラベル容器を提供する。
【解決手段】インモールドラベル容器10Aは、胴部11を有する樹脂製容器10と、樹脂製容器10の外側に設けられ、胴部11の少なくとも一部を覆うラベル部材40とを備えている。ラベル部材40の厚みT2は、樹脂製容器10の厚みT1の4%以上50%以下である。ラベル部材40は、紙基材層51を有している。紙基材層51を構成する紙の繊維は、樹脂製容器10の中心軸線CL1に沿って延びている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部を有する樹脂製容器と、
前記樹脂製容器の外側に設けられ、前記胴部の少なくとも一部を覆うラベル部材とを備え、
前記ラベル部材の厚みは、前記樹脂製容器の厚みの4%以上50%以下であり、
前記ラベル部材は、紙基材層を有し、
前記紙基材層を構成する紙の繊維は、前記樹脂製容器の中心軸線に沿って延びている、インモールドラベル容器。
【請求項2】
前記ラベル部材は、前記紙基材層の表面を覆う表面コート層と、前記紙基材層の裏面を覆う裏面コート層とを更に有する、請求項1に記載のインモールドラベル容器。
【請求項3】
前記ラベル部材は、前記紙基材層に積層された接着層を更に有し、前記接着層は、イージーピール性を有する、請求項1に記載のインモールドラベル容器。
【請求項4】
前記ラベル部材は、前記紙基材層に積層された接着層を更に有し、前記接着層は、所定のパターンを有する、請求項1に記載のインモールドラベル容器。
【請求項5】
前記ラベル部材に、前記ラベル部材を前記樹脂製容器から剥離除去するための摘み部が設けられている、請求項1に記載のインモールドラベル容器。
【請求項6】
前記樹脂製容器は、カップ状である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインモールドラベル容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インモールドラベル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化石燃料資源の枯渇への危惧、又は海洋プラスチック若しくはマイクロプラスチック等の社会問題の観点から、プラスチックの代替材料の一つとして、紙に注目が集まっている。例えば、食品等の内容物を収容する容器として、紙を使用した容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、インサート射出成形により合成樹脂製のカップ容器をインモールドラベルで外装したラベル付きカップ容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5605652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のインモールドラベル容器では、ラベル部材に合成紙を使うことが一般的である。この場合、インモールドラベル容器に使用する樹脂量が多くなり得る。このため、昨今のプラスチック問題を鑑み、使用する樹脂量を低減できる容器が求められている。また、このようなインモールドラベル容器では、使用する樹脂量を低減した場合であっても、落下強度を高めることが求められている。
【0005】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、使用する樹脂量を低減するとともに、落下強度を高めることが可能な、インモールドラベル容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、胴部を有する樹脂製容器と、前記樹脂製容器の外側に設けられ、前記胴部の少なくとも一部を覆うラベル部材とを備え、前記ラベル部材の厚みは、前記樹脂製容器の厚みの4%以上50%以下であり、前記ラベル部材は、紙基材層を有し、前記紙基材層を構成する紙の繊維は、前記樹脂製容器の中心軸線に沿って延びている、インモールドラベル容器である。
【0007】
本開示の第2の態様は、上述した第1の態様によるインモールドラベル容器において、前記ラベル部材は、前記紙基材層の表面を覆う表面コート層と、前記紙基材層の裏面を覆う裏面コート層とを更に有していても良い。
【0008】
本開示の第3の態様は、上述した第1の態様又は上述した第2の態様によるインモールドラベル容器において、前記ラベル部材は、前記紙基材層に積層された接着層を更に有していても良く、前記接着層は、イージーピール性を有していても良い。
【0009】
本開示の第4の態様は、上述した第1の態様又は上述した第2の態様によるインモールドラベル容器において、前記ラベル部材は、前記紙基材層に積層された接着層を更に有していても良く、前記接着層は、所定のパターンを有していても良い。
【0010】
本開示の第5の態様は、上述した第1の態様から上述した第4の態様のそれぞれによるインモールドラベル容器において、前記ラベル部材に、前記ラベル部材を前記樹脂製容器から剥離除去するための摘み部が設けられていても良い。
【0011】
本開示の第6の態様は、上述した第1の態様から上述した第5の態様のそれぞれによるインモールドラベル容器において、前記樹脂製容器は、カップ状であっても良い。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、インモールドラベル容器に使用する樹脂量を低減するとともに、落下強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施の形態によるインモールドラベル容器を示す斜視図である。
図2図2は、一実施の形態によるインモールドラベル容器を示す垂直断面図である。
図3図3は、一実施の形態によるインモールドラベル容器のラベル部材を示す展開図である。
図4A図4Aは、一実施の形態によるインモールドラベル容器のラベル部材の層構成を示す断面図である。
図4B図4Bは、一実施の形態によるインモールドラベル容器のラベル部材の層構成を示す断面図である。
図4C図4Cは、一実施の形態によるインモールドラベル容器のラベル部材の層構成を示す断面図である。
図4D図4Dは、一実施の形態によるインモールドラベル容器のラベル部材の層構成を示す断面図である。
図4E図4Eは、一実施の形態によるインモールドラベル容器のラベル部材の層構成を示す断面図である。
図4F図4Fは、一実施の形態によるインモールドラベル容器のラベル部材の層構成を示す断面図である。
図4G図4Gは、一実施の形態によるインモールドラベル容器のラベル部材の層構成を示す断面図である。
図5図5は、一実施の形態によるインモールドラベル容器の製造方法を示す図である。
図6図6は、一実施の形態によるインモールドラベル容器の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本実施の形態について説明する。図1乃至図6は本実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示した図である。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施できる。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されることなく、適宜選択して使用できる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含めて解釈することとする。なお、本明細書中、「上」及び「下」とは、それぞれインモールドラベル容器10Aを正立させた状態(図1)における上方及び下方のことをいう。
【0015】
インモールドラベル容器
図1及び図2に示すように、インモールドラベル容器10Aは、胴部11を有する樹脂製容器10と、樹脂製容器10の外側に設けられたラベル部材40とを備えている。本実施の形態では、樹脂製容器10は、カップ状である。後述するように、本実施の形態によるインモールドラベル容器10Aは、ラベル部材40の内面に射出樹脂を射出することにより作製される容器である。インモールドラベル容器10Aの内部に収容される内容物は特に限定されるものではなく、飲料やデザート等であっても良い。
【0016】
(樹脂製容器)
次に、樹脂製容器について詳細に説明する。図1及び図2に示すように、樹脂製容器10は、胴部11と、胴部11の下方に設けられた底部20とを有している。また、樹脂製容器10は、胴部11の上方に設けられたフランジ部15を更に有していても良い。このような樹脂製容器10には、開口部12が形成されており、開口部12からインモールドラベル容器10Aに内容物が充填されるとともに、インモールドラベル容器10Aに充填された内容物が開口部12から取り出されるようになっている。
【0017】
樹脂製容器10の胴部11は、上方(フランジ部15側)から下方(底部20側)に向けて徐々に縮径する円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部11が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。
【0018】
底部20は、平面視略円形状を有している。この底部20の直径は、例えば30mm以上80mm以下であっても良い。また、底部20の周縁には、底部20から下方へ突出する脚部21が設けられていても良い。
【0019】
フランジ部15は、平面視略円環形状を有している。このフランジ部15の幅(径方向距離)は、例えば2mm以上15mm以下であっても良い。図2に示すように、このフランジ部15は、胴部11の上端から側方に向けて水平に突出しており、フランジ部15の上面は平坦面になっている。また、フランジ部15の内部に上述した開口部12が形成されている。そして、開口部12から樹脂製容器10に内容物が充填され、フランジ部15に図示しない蓋材をシールすることにより、内容物入りインモールドラベル容器が作製される。
【0020】
樹脂製容器10の材料としては熱可塑性樹脂、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ABS樹脂等を使用できる。樹脂製容器10は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良いが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、無色透明であることが好ましい。なお、リサイクルの観点からは、樹脂製容器10の材料として、無色透明なポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。また、樹脂製容器10は、バイオマス由来成分を含むポリエチレンテレフタレート、又はリサイクルポリエチレンテレフタレートを含んでいても良い。さらに、樹脂製容器10は、紙パウダー、パルプ又は米等を由来とする樹脂以外の材料を含んでいても良い。これにより、インモールドラベル容器10Aの環境負荷を低減できる。
【0021】
このような樹脂製容器10は、例えば満注容量が50ml以上1000ml以下の容器であっても良い。また、樹脂製容器10の高さH(脚部21の底面からフランジ部15の上面までの上下方向距離、図2参照)は、50mm以上200mm以下であっても良い。さらに、樹脂製容器10の厚みT1(胴部11における厚み、図2参照)は、0.2mm以上2mm以下であっても良い。
【0022】
(ラベル部材)
次に、図1乃至図3により、ラベル部材40について説明する。ここで、図3は、ラベル部材40を示す展開図である。このラベル部材40は、胴部11を補強することにより、樹脂製容器10を備えるインモールドラベル容器10Aの剛性を高める役割を果たす。
【0023】
図1及び図2に示すように、ラベル部材40は、樹脂製容器10の胴部11の少なくとも一部を覆っている。ラベル部材40が胴部11を覆っていることにより、インモールドラベル容器10Aの剛性を高めることができ、消費者がインモールドラベル容器10Aを把持した際に、胴部11が潰されないようになっている。また、ラベル部材40が胴部11を覆っていることにより、消費者がインモールドラベル容器10Aを持った際に、インモールドラベル容器10A内の内容物の熱が消費者の手に伝わりにくくなっている。本実施の形態では、ラベル部材40は、胴部11の一部分及び底部20を覆っている。なお、ラベル部材40が、胴部11の全域を覆っていても良い。ラベル部材40が胴部11の全域を覆っていることにより、インモールドラベル容器10Aの剛性をより効果的に高めることができる。また、ラベル部材40は、脚部21の少なくとも一部を覆っていても良い。
【0024】
図示された例では、ラベル部材40の上縁41及び下縁42は、それぞれ樹脂製容器10に覆われている。このように、ラベル部材40の上縁41及び下縁42が樹脂製容器10に覆われていることにより、ラベル部材40の上縁41及び下縁42からラベル部材40内に水分が浸透することを抑制できる。このため、ラベル部材40が、ラベル部材40の内部に浸透した水分によって湿潤すること、あるいは、膨潤することを抑制できる。また、本実施の形態では、後述するようにラベル部材40が紙基材層51を有しているため、ラベル部材40の内部に浸透した水分によって、紙基材層51において、層内剥離が生じることを抑制できる。また、ラベル部材40の下縁42が樹脂製容器10に覆われていることにより、インモールドラベル容器10Aを搬送する際に、図示しない搬送コンベアにラベル部材40が引っ掛かってしまうこともない。このため、インモールドラベル容器10Aの搬送性が低下することもない。
【0025】
また、ラベル部材40に、ラベル部材40を樹脂製容器10から剥離除去するための摘み部44(図1及び図3参照)が設けられている。これにより、樹脂製容器10をリサイクルする際に、ラベル部材40と樹脂製容器10とを容易に分離でき、樹脂製容器10のリサイクル性を向上できる。また、ラベル部材40及び樹脂製容器10を廃棄する場合であっても、ラベル部材40と樹脂製容器10とを分別して廃棄できる。
【0026】
摘み部44は、ラベル部材40の一対の側縁43のうち、一方の側縁43から突出している。この摘み部44は、ラベル部材40の他の部分とは接着されていない。このため、摘み部44を挟持しながら引っ張ることにより、樹脂製容器10からラベル部材40を容易に分離除去することができる。図示された例においては、摘み部44の外縁は、円弧形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、摘み部44の外縁が、四角形状等の他の形状を有していても良い。
【0027】
図3に示すように、ラベル部材40は、ラベル部材40を展開させた状態において扇形状を有している。
【0028】
ラベル部材40の周方向の長さは、後述する射出成形型60のキャビティ型61に両側縁43同士を突き合わせて装着した際に、突き合わされた両側縁43同士の間に、幅が0.5mm以上2.0mm以下程度の隙間が生じる程度の長さであることが好ましい。このようなラベル部材40を形成することにより、ラベル部材40をキャビティ型61に無理なく挿入でき、樹脂製容器10を射出成形する際に、ラベル部材40に重なり部や、めくれ、しわ等の不良が発生することを抑制できる。
【0029】
本実施の形態では、ラベル部材40の厚みT2(胴部11に対応する位置おける厚み、図2参照)は、樹脂製容器10の厚みT1の4%以上50%以下である。ラベル部材40の厚みT2が樹脂製容器10の厚みT1の4%以上であることにより、インモールドラベル容器10Aにおけるラベル部材40の割合を高くでき、インモールドラベル容器10Aの環境負荷を低減できる。また、ラベル部材40の厚みT2が樹脂製容器10の厚みT1の50%以下であることにより、インモールドラベル容器10Aにおける樹脂の割合が低くなりすぎることを抑制できる。このため、インモールドラベル容器10Aの落下強度が低下することを抑制できる。
【0030】
ラベル部材40の厚みT2は、0.01mm以上1mm以下であっても良く、0.05mm以上0.7mm以下であっても良い。
【0031】
このようなラベル部材40は、紙基材層51(図4A乃至図4G参照)を有している。すなわち、ラベル部材40は、紙基材層51を有する積層体50(図4A乃至図4G参照)から構成されている。
【0032】
次に、積層体50の層構成について説明する。図4A乃至図4Gは、ラベル部材40を構成する積層体50の層構成の一例を示している。
【0033】
図4Aに示すように、積層体50(ラベル部材40)は、紙基材層51の表面51aを覆う表面コート層52と、紙基材層51の裏面51bを覆う裏面コート層53とを更に有していても良い。また、積層体50(ラベル部材40)は、紙基材層51に積層された接着層54を更に有していても良い。
【0034】
具体的には、図4Aに示すように、積層体50は、表面コート層52と、紙基材層51と、裏面コート層53と、接着層54とをこの順に備えていても良い。図4Aに示す例においては、表面コート層52が、ラベル部材40の外面を構成し、接着層54が、ラベル部材40の内面(樹脂製容器10側の面)を構成する。
【0035】
また、図4Bに示すように、積層体50は、紙基材層51と、接着層54とをこの順に備えていても良い。図4Bに示す例においては、紙基材層51が、ラベル部材40の外面を構成し、接着層54が、ラベル部材40の内面を構成する。
【0036】
また、図4Cに示すように、積層体50は、印刷層55と、紙基材層51と、接着層54とをこの順に備えていても良い。図4Cに示す例においては、印刷層55が、ラベル部材40の外面を構成し、接着層54が、ラベル部材40の内面を構成する。
【0037】
また、図4Dに示すように、積層体50は、保護層56と、印刷層55と、紙基材層51と、接着層54とをこの順に備えていても良い。図4Dに示す例においては、保護層56が、ラベル部材40の外面を構成し、接着層54が、ラベル部材40の内面を構成する。
【0038】
また、図4Eに示すように、積層体50は、印刷層55と、紙基材層51と、バリア層57と、接着層54とをこの順に備えていても良い。図4Eに示す例においては、印刷層55が、ラベル部材40の外面を構成し、接着層54が、ラベル部材40の内面を構成する。
【0039】
また、図4Fに示すように、積層体50は、紙基材層51と、接着層54とをこの順に備えていても良い。図4Fに示す例においては、紙基材層51が、ラベル部材40の外面を構成し、接着層54が、ラベル部材40の内面を構成する。この場合、接着層54は、イージーピール性を有していても良い。これにより、インモールドラベル容器10Aを廃棄する際に、ラベル部材40の紙基材層51と、樹脂製容器10とを容易に分離できる。このため、樹脂製容器10のリサイクル性を向上できる。本明細書中、「イージーピール性を有する」とは、ラベル部材40と樹脂製容器10との間の接着強度が、5N/15mm以上30N/15mm以下となることを意味する。本実施の形態では、ラベル部材40と樹脂製容器10との間の接着強度は、5N/15mm以上30N/15mm以下であっても良く、好ましくは10N/15mm以上25N/15mm以下であっても良い。ラベル部材40と樹脂製容器10との間の接着強度は、JIS Z 0238:1998に準拠して測定することとする。このとき、接着強度は、15mm巾の短冊状にカットしたサンプルについて、引張試験機(株式会社オリエンテック社製、テンシロン万能材料試験機:RTC1310A)を用いて、剥離速度50mm/minで、90°剥離試験を行うことにより測定する。
【0040】
図示された例においては、接着層54は、イージーピール性を有するフィルムによって構成されている。具体的には、図4Fに示すように、接着層54は、第1樹脂フィルム54aと、剥離層54bと、第2樹脂フィルム54cとをこの順に有している。そして、ラベル部材40の紙基材層51と、樹脂製容器10とを分離する際には、紙基材層51及び第1樹脂フィルム54aが、第2樹脂フィルム54c及び樹脂製容器10から分離する。後述するように、接着層54は、ポリエチレン又はポリプロピレンを含み得る。すなわち、第1樹脂フィルム54a及び第2樹脂フィルム54cが、ポリエチレン又はポリプロピレンを含み得る。このため、例えば、接着層54がポリプロピレンを含み、かつ、樹脂製容器10の材料としてポリプロピレンを使用した場合、ラベル部材40と樹脂製容器10との間の接着強度は、約15N/15mmであっても良い。また、例えば、接着層54がポリプロピレンを含み、かつ、樹脂製容器10の材料としてポリプロピレンを使用した場合、ラベル部材40と樹脂製容器10との間の接着強度は、約20N/15mmであっても良い。
【0041】
また、図4Gに示すように、積層体50は、紙基材層51と、接着層54とをこの順に備えていても良い。図4Gに示す例においては、紙基材層51が、ラベル部材40の外面を構成し、接着層54が、ラベル部材40の内面を構成する。この場合、接着層54は、所定のパターンを有していても良い。これにより、ラベル部材40と樹脂製容器10との間において、接着強度が強い領域(接着層54が設けられた領域)と、接着強度が弱い領域(接着層54が設けられていない領域)とが形成される。この場合においても、インモールドラベル容器10Aを廃棄する際に、ラベル部材40の紙基材層51と、樹脂製容器10とを容易に分離できる。このため、樹脂製容器10のリサイクル性を向上できる。
【0042】
<紙基材層>
紙基材層51は、例えば、接着層54等を支持するとともに積層体50全体の強度を高めるための層である。紙基材層51を構成する紙としては、例えば、一般的な薄紙でも良く、厚紙紙であっても良い。薄紙は、例えば、アート紙、コート紙、マット紙、上質紙又は中質紙等であっても良い。厚紙は、例えば、コートボール紙、カード紙又はアイボリー紙等であっても良い。また、紙基材層51を構成する紙としては、例えば、バガス等のパルプ以外の原料を使用した紙であっても良く、古紙等の再生材料を使用した紙であっても良い。本実施の形態では、紙基材層51を構成する紙は、プラスチックと無機物が混生された所謂合成紙ではない。このため、インモールドラベル容器10Aに使用する樹脂量を低減できる。この結果、インモールドラベル容器10Aの環境負荷を低減できる。例えば、使用する紙は、坪量が30g/m以上800g/m以下のものを用いることができ、好ましくは50g/m以上200g/m以下の範囲のものを用いることができる。
【0043】
また、紙基材層51を構成する紙の繊維45(図3参照)は、樹脂製容器10の中心軸線CL1に沿って延びている。この場合、図3に示すように、紙基材層51を構成する紙の繊維45は、ラベル部材40を展開させた状態において、上縁41の中央部と下縁42の中央部とを結ぶ中心線CL2に平行になるように延びていても良い。このように、紙基材層51を構成する紙の繊維が樹脂製容器10の中心軸線CL1に沿って延びていることにより、インモールドラベル容器10Aが落下した際に、ラベル部材40が上下方向に沿って変形することを効果的に抑制できる。このため、インモールドラベル容器10Aの落下強度を高めることができる。
【0044】
<表面コート層及び裏面コート層>
表面コート層52及び裏面コート層53といったコート層は、紙基材層51に対する接着剤又は水分等の染み込みを防止するための層である。また、積層体50(ラベル部材40)がコート層を有していることにより、ラベル部材40がカールすることを抑制できる。このため、樹脂製容器10を射出成形する際の生産効率を向上できる。
【0045】
このようなコート層は、クレーコートとも呼ばれ、クレーを含む塗工液を塗布し、クレーの粒子が敷き詰められた層である。クレーとしては、特に限定されないが、カオリン、タルク、ベントナイト、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、緑泥石、木節粘土、ガイロメ粘土、ハロイサイト又はマイカ等が用いられる。このうちカオリン又はタルクを用いることが好ましく、カオリンは隠蔽性・吸水性に優れ、タルクは硬度が低く、耐熱性に優れるため、耐熱性の向上又は成型時の寸法安定性の向上が期待できる。コート層は、クレーの他に、顔料として、炭酸カルシウム、二酸化チタン、非晶質シリカ、発泡性硫酸バリウム又はサチンホワイト等を含んでいることが好ましい。顔料として炭酸カルシウムや二酸化チタンを用いることにより、コート層の面の平滑度を上げることができ、かつ、隠蔽性を高めることが可能となる。さらに、炭酸カルシウムは安価であるため、好適に用いられる。また、コート層を塗工するための塗工液は、溶媒に上記クレーと、バインダーと、必要に応じて他の顔料又は添加剤とを含む塗工液である。溶媒としては、通常、水又はアルコール等が用いられる。バインダーとしては、通常、ラテックス系のバインダー(例えば、スチレンブタジエンラテックス、若しくはアクリル系ラテックス酢酸ビニル系ラテックス)、又は水溶性のバインダー(例えば、デンプン(変性デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシエチルエーテル化デンプン、リン酸エステル化デンプン)、ポリビニルアルコール、若しくはカゼイン等)等が用いられる。添加剤としては、顔料分散剤、消泡剤、発泡防止剤、粘度調整剤、潤滑剤、耐水化剤、保水剤、色材又は印刷適性改良剤等が用いられる。
【0046】
本実施の形態において、上記の表面コート層52及び裏面コート層53を作製する場合、例えば、従来公知の塗工方法が用いられても良い。コート層の塗工方法は、特に限定されず、エアナイフコート、ブレードコート、ショートドウェルコート又はキャストコート等の塗工方法が用いられる。
【0047】
本実施の形態において、表面コート層52及び裏面コート層53の塗工量又は厚さは、特に限定されない。乾燥後の表面コート層52及び裏面コート層53の坪量は、5g/m以上40g/m以下であっても良く、好ましくは10g/m以上40g/m以下である。
【0048】
<接着層>
接着層54は、積層体50と樹脂製容器10とを接着させるための層である。接着層54を構成する材料としては、熱によって溶融し、融着する材料が用いられる。接着層54には、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、その他の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル、飽和ポリエステル又はポリビニルアルコール等のその他の樹脂の1種以上からなる樹脂が用いられても良い。なお、接着層54がポリエチレンを含む場合、ポリエチレンは、バイオマス由来成分を含んでいても良い。
【0049】
本実施の形態において、上記の接着層54を作製する場合、例えば、まず、上記の樹脂の1種以上を主成分とする樹脂組成物に対して、所望の添加剤が任意に添加され得る。このようにして、所望の樹脂組成物が調製される。次に、上記で調製した樹脂組成物を使用し、例えば、インフレーション法、その他の成形法を用いて、接着層54としてのフィルム又はシートが成形される。
【0050】
なお、接着層54の材料として、例えば、アンチブロッキング剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機又は有機充填剤等を任意に添加した材料が用いられても良い。
【0051】
また、上述したように、接着層54は、イージーピール性を有するフィルムによって構成され得る(図4F参照)。この場合、第1樹脂フィルム54a及び第2樹脂フィルム54cを構成する材料は、樹脂製容器10の材質に合わせて、適宜選定できる。第1樹脂フィルム54a及び第2樹脂フィルム54cを構成する材料としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、又はポリプロピレン等を使用できる。また、剥離層54bを構成する材料は、第1樹脂フィルム54a及び第2樹脂フィルム54cの材質に合わせて、適宜選定できる。剥離層54bを構成する材料としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、又はポリプロピレン等を使用できる。
【0052】
本実施の形態において、接着層54の厚みは、15μm以上100μm以下であっても良く、25μm以上75μm以下であることが好ましい。
【0053】
<印刷層>
印刷層55は、絵柄等の印刷が施された層であり、積層体50の意匠性を向上させるための層である。印刷層55としては、通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整して得たインキ組成物を使用できる。このようなインキビヒクルとしては、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル又はメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他等の1種又は2種以上を併用できる。印刷方法は、グラビア印刷のほか、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他の印刷方式であっても良い。
【0054】
ラベル部材40を構成する積層体50が印刷層55を有していることにより、樹脂製容器10を射出成形した後の印刷工程を省略できる。これにより、インモールドラベル容器10Aの製造時間を短縮できる。また、射出成形後の印刷工程を省略できるため、印刷不良を抑制するために樹脂製容器10の厚みを厚くしなくても良い。このため、樹脂製容器10の薄肉化を図ることができ、樹脂製容器10に使用する樹脂量を低減できる。
【0055】
<保護層>
保護層56は、印刷層55を保護するための層である。保護層は、印刷による塗工によって形成されても良く、樹脂フィルムを貼り合わせて形成されても良く、樹脂材料をラミネートして形成されても良い。例えば、グラビア印刷による塗工では、硝化綿樹脂、ビニル系共重合物、ポリアミド樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ロジン系樹脂、ダイマー酸系樹脂、マレイン酸系樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、又は石油樹脂等が用いられても良い。これらは単独で、又は2種以上を混合して用いられても良い。
【0056】
印刷による塗工によって保護層56を作製する場合、例えば、印刷層55を作製する印刷機を用いて、印刷層55の作製後に連続して保護層56を塗工しても良い。又は、印刷層55を塗工した後に、別の印刷機を用いて、保護層56を塗工しても良い。
【0057】
本実施の形態において、保護層56の厚みは、1μm以上100μm以下であることが好ましく、1μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0058】
<バリア層>
バリア層57は、酸素ガス及び水蒸気等の透過を抑制するための層である。バリア層57としては、例えば、酸素ガス、水蒸気等に対するガスバリア性素材、太陽光等に対する遮光性素材、あるいは、内容物に対する保香性等を有する材料を使用できる。具体的には、バリア層57としては、例えば、アルミニウム箔、スズ、鉛、銅、鉄、ニッケル、又はこれらの合金等あるいは、アルミニウム等の金属蒸着薄層を使用できる。バリア層57としてアルミニウム箔を使用する場合、バリア層57の厚みは、5μm以上20μm以下程度とすることができる。バリア層57としてアルミニウム泊を使用することにより、積層体50を容易に作製できる。
【0059】
また、バリア層57としてアルミニウム等の金属蒸着層を使用する場合、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法等の物理気相成長法(PhysicalVapor Deposition法、PVD法)等を利用して、図示しない中間層(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)上に、アルミニウム等の金属の蒸着薄膜を形成できる。
【0060】
バリア層57として、アルミニウムの金属蒸着層を使用する場合、バリア層57の厚みは、通常、50Å以上3000Å以下程度であることが好ましく、特に、100Å以上2000Å以下程度であることが好ましい。また、上記のアルミニウムの蒸着薄膜を支持する中間層(図示せず)の表面は、予め、蒸着膜の密着性を高めるために、例えば、蒸着プライマー等をコーティングでき、その他、所要の前処理を任意に施すことが可能である。
【0061】
また、バリア層57は、従来公知の方法により形成できる透明蒸着層及びガスバリア層であっても良い。バリア層57が、透明蒸着層及びガスバリア層であることにより、積層体50を透明にすることもできる。この場合、バリア層57の透明蒸着層は、無機酸化物の蒸着層からなる透明蒸着層であっても良い。
【0062】
透明蒸着層としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の酸化物の蒸着層を使用できる。特に、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素の蒸着層を備えることが好ましい。
【0063】
無機酸化物の表記は、例えば、SiO、AlO等のようにMO(ただし、式中、Mは、無機元素を表し、Xの値は、無機元素によってそれぞれ範囲が異なる。)で表される。Xの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0~2、アルミニウム(Al)は、0~1.5、マグネシウム(Mg)は、0~1、カルシウム(Ca)は、0~1、カリウム(K)は、0~0.5、スズ(Sn)は、0~2、ナトリウム(Na)は、0~0.5、ホウ素(B)は、0~1.5、チタン(Ti)は、0~2、鉛(Pb)は、0~2、ジルコニウム(Zr)は0~2、イットリウム(Y)は、0~1.5の範囲の値をとることができる。上記において、X=0の場合、完全な無機単体(純物質)であり、透明ではなく、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。包装用材料には、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)が好適に使用され、ケイ素(Si)は、1.0~2.0、アルミニウム(Al)は、0.5~1.5の範囲の値のものを使用できる。
【0064】
透明蒸着層の厚みとしては、使用する無機酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50Å以上2000Å以下、好ましくは、100Å以上1000Å以下の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。例えば、酸化アルミニウムあるいは酸化ケイ素の蒸着層の場合には、厚みは、50Å以上500Å以下、更に、好ましくは、100Å以上300Å以下が望ましい。
【0065】
透明蒸着層は、中間層(図示せず)上に以下の形成方法を用いて形成できる。蒸着層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、及びイオンプレ-ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、及び光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。具体的には、ローラー式蒸着層形成装置を用いて、成形ローラー上において蒸着層を形成できる。
【0066】
<その他の層>
なお、図示はしないが、積層体50は、例えば、積層体50全体の強度を高めるための中間層等の他の層を備えていても良い。
【0067】
インモールドラベル容器の製造方法
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、インモールドラベル容器10Aの製造方法について、図5及び図6を用いて説明する。
【0068】
まず、ラベル部材40を準備する。この際、まず、積層体50を準備する。次に、積層体50を、レーザー等により打ち抜くことによって、展開された状態のラベル部材40が作製される(図3参照)。
【0069】
また、ラベル部材40を作製することと並行して、射出成形型60(図5及び図6参照)を準備する。
【0070】
次に、図5に示すように、射出成形型60のキャビティ型61の内面にラベル部材40を装着する。この際、ラベル部材40を筒状にするとともに、ラベル部材40の下縁42とキャビティ型61の内面との間に隙間gが形成されるように、キャビティ型61の内面にラベル部材40を装着する。この場合、まず、ラベル部材40の両側縁43が向かい合わせになるように、ラベル部材40を筒状にする。次に、筒状にしたラベル部材40をキャビティ型61の内面に装着する。このキャビティ型61には、図示しない吸引孔が形成されており、吸引孔から空気を吸引することによって、ラベル部材40がキャビティ型61に装着される。このとき、ラベル部材40の下縁42とキャビティ型61の内面との間に隙間gが形成される。このように、隙間gが形成されることにより、ラベル部材40をキャビティ型61に無理なく挿入することができ、後述するように射出成形を施した場合に、ラベル部材40にしわ等の不良が発生することを抑制できる。
【0071】
次いで、図6に示すように、キャビティ型61内にコア62を装着することにより、キャビティ型61に対してコア62を型締めする。
【0072】
次に、キャビティ型61の底部の中心部に設けられたゲート61aから射出樹脂を射出する。この場合、キャビティ型61とコア62との間の空間に、ラベル部材40をキャビティ型61に対して押し付けるよう射出樹脂を射出する。この際、ゲート61aから射出された射出樹脂は、ラベル部材40とコア62との間に進入し、樹脂製容器10が得られる。また、射出樹脂から得られた樹脂製容器10が、ラベル部材40に密着する。このようにして、インモールドラベル容器10Aが得られる。そして、得られたインモールドラベル容器10Aは、射出成形型60から取り出される。
【0073】
その後、インモールドラベル容器10Aに内容物を充填し、図示しない蓋材によってインモールドラベル容器10Aを密閉する。このようにして、内容物入りインモールドラベル容器が得られる。
【0074】
以上のように本実施の形態によれば、インモールドラベル容器10Aが、胴部11を有する樹脂製容器10と、樹脂製容器10の外側に設けられ、胴部11の少なくとも一部を覆うラベル部材40とを備えている。また、ラベル部材40の厚みT2が、樹脂製容器10の厚みT1の4%以上50%以下である。そして、ラベル部材40が、紙基材層51を有している。このため、ラベル部材40の厚みT2が樹脂製容器10の厚みT1の4%以上であることにより、インモールドラベル容器10Aにおけるラベル部材40(紙基材層51)の割合を高くでき、インモールドラベル容器10Aに使用する樹脂量を低減できる。このため、インモールドラベル容器10Aの環境負荷を低減できる。また、ラベル部材40の厚みT2が樹脂製容器10の厚みT1の50%以下であることにより、インモールドラベル容器10Aにおける樹脂の割合が低くなりすぎることを抑制できる。このため、インモールドラベル容器10Aの落下強度が低下することを抑制できる。
【0075】
また、ラベル部材40が紙基材層51を有していることにより、紙基材層51の紙がインモールドラベル容器10Aの剛性を補完できる。このため、樹脂製容器10に使用する樹脂量を低減した場合であっても、インモールドラベル容器10Aの剛性が低下することを抑制できる。また、紙基材層51を構成する紙の繊維が、樹脂製容器10の中心軸線CL1に沿って延びている。これにより、インモールドラベル容器10Aが落下した際に、ラベル部材40が上下方向に沿って変形することを効果的に抑制できる。このため、インモールドラベル容器10Aの落下強度を高めることができる。この結果、インモールドラベル容器10Aに使用する樹脂量を低減することにより、インモールドラベル容器10Aの環境負荷を低減しつつ、インモールドラベル容器10Aの落下強度を高めることができる。なお、インモールドラベル容器10Aの落下強度を高めることができることについては、後述する実施例によって説明する。
【0076】
また、ラベル部材40が紙基材層51を有していることにより、インモールドラベル容器10Aの断熱性を向上できる。このため、インモールドラベル容器10Aの保冷性又は保温性が高められる。また、内容液の温度がインモールドラベル容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、消費者がインモールドラベル容器10Aを把持した際、冷たすぎたり熱すぎたりすることによりインモールドラベル容器10Aを持ちにくくなることが抑制される。
【0077】
また、本実施の形態によれば、ラベル部材40が、紙基材層51の表面51aを覆う表面コート層52と、紙基材層51の裏面51bを覆う裏面コート層53とを更に有している。これにより、紙基材層51に対する接着剤又は水分等の染み込みを防止できる。このため、例えば、接着層54の固形分が裏面コート層53上に残り、ラベル部材40と樹脂製容器10との接着性を向上できる。また、紙基材層51に対する接着剤の染み込みを防止できるため、インモールドラベル容器10Aにおける残留溶剤を低減できる。また、ラベル部材40が表面コート層52と裏面コート層53とを有していることにより、ラベル部材40がカールすることを抑制できる。このため、樹脂製容器10を射出成形する際の生産効率を向上できる。
【0078】
また、本実施の形態によれば、ラベル部材40が、紙基材層51に積層された接着層54を更に有している。また、接着層54が、イージーピール性を有している。これにより、インモールドラベル容器10Aを廃棄する際に、ラベル部材40の紙基材層51と、樹脂製容器10とを容易に分離できる。このため、樹脂製容器10のリサイクル性を向上できる。
【0079】
また、本実施の形態によれば、ラベル部材40が、紙基材層51に積層された接着層54を更に有している。また、接着層54が、所定のパターンを有している。これにより、ラベル部材40と樹脂製容器10との間において、接着強度が強い領域(接着層54が設けられた領域)と、接着強度が弱い領域(接着層54が設けられていない領域)とが形成される。この場合においても、インモールドラベル容器10Aを廃棄する際に、ラベル部材40の紙基材層51と、樹脂製容器10とを容易に分離できる。このため、樹脂製容器10のリサイクル性を向上できる。
【0080】
さらに、本実施の形態によれば、ラベル部材40に、ラベル部材40を樹脂製容器10から剥離除去するための摘み部44が設けられている。これにより、樹脂製容器10をリサイクルする際に、ラベル部材40と樹脂製容器10とを容易に分離でき、樹脂製容器10のリサイクル性を向上できる。また、ラベル部材40や樹脂製容器10を廃棄する場合であっても、ラベル部材40と樹脂製容器10とを分別して廃棄できる。
【実施例0081】
次に、上記実施の形態における具体的実施例について述べる。
【0082】
(実施例1)
まず、図1及び図2に示すインモールドラベル容器10Aを作製した。このとき、樹脂製容器10の材料として、ポリプロピレン(PP)を用いた。樹脂製容器10の厚みT1は、1.5mmであった。
【0083】
また、ラベル部材40は、図4Aに示す積層体50から作製した。紙基材層51の紙として、坪量が70g/mであるコート紙を使用した。ラベル部材40の厚みT2は、0.065mmであった。
【0084】
(落下試験)
次に、落下試験を行った。この際、まず、インモールドラベル容器10Aの樹脂製容器10内に水をフランジから下方へ10mmの位置まで充填した。その後、インモールドラベル容器10Aを蓋材により密閉した。
【0085】
次いで、密封されたインモールドラベル容器10Aを、低温に設定した恒温槽で24時間以上保管したのち、インモールドラベル容器10Aを正立させた状態で、コンクリートの地面上に落下させた。このとき、地面から80cmの高さから、インモールドラベル容器10Aを落下させた。また、落下は、恒温槽からインモールドラベル容器10Aを取り出してから5分以内に実施した。そして、樹脂製容器10が損傷を受けるまで、地面からの高さを10cmずつ高くして、繰り返しインモールドラベル容器10Aを地面上に落下させた。
【0086】
(実施例2)
紙基材層51の紙として、坪量が80g/mであるコート紙を使用したこと、ラベル部材40の厚みT2が0.080mmであったこと、以外は実施例1と同様にして、落下試験を行った。
【0087】
(実施例3)
紙基材層51の紙として、坪量が80g/mであるコート紙を使用したこと、ラベル部材40の厚みT2が0.360mmであったこと、以外は実施例1と同様にして、落下試験を行った。
【0088】
(実施例4)
紙基材層51の紙として、坪量が80g/mであるコート紙を使用したこと、ラベル部材40の厚みT2が0.700mmであったこと、以外は実施例1と同様にして、落下試験を行った。
【0089】
(実施例5)
紙基材層51の紙として、坪量が800g/mであるコートボール紙を使用したこと、ラベル部材40の厚みT2が0.750mmであったこと、以外は実施例1と同様にして、落下試験を行った。
【0090】
(比較例1)
紙基材層51の紙として、坪量が80g/mであるコート紙を使用したこと、ラベル部材40の厚みT2が0.050mmであったこと、以外は実施例1と同様にして、落下試験を行った。
【0091】
(比較例2)
紙基材層51の紙として、坪量が850g/mであるコートボール紙を使用したこと、ラベル部材40の厚みT2が0.800mmであったこと、以外は実施例1と同様にして、落下試験を行った。
【0092】
(比較例3)
ポリプロピレン(PP)製のラベル部材を使用したこと、以外は実施例1と同様にして、落下試験を行った。
【0093】
以上の結果を表1及び表2に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
この結果、比較例1乃至比較例3によるインモールドラベル容器では、地面から90cmの高さからインモールドラベル容器を落下させた時に、樹脂製容器が破壊され、インモールドラベル容器において、破壊に起因する水漏れが発生していた。
【0097】
これに対して、実施例1乃至実施例5によるインモールドラベル容器10Aでは、地面から90cmの高さからの落下では、インモールドラベル容器10Aからの水漏れは確認できなかった。とりわけ、実施例1及び実施例2によるインモールドラベル容器10Aでは、地面から120cmの高さからインモールドラベル容器10Aを落下させた場合であっても、樹脂製容器10が破壊されなかった。また、実施例3によるインモールドラベル容器10Aでは、地面から110cmの高さからインモールドラベル容器10Aを落下させた場合であっても、樹脂製容器10が破壊されなかった。このように、本実施の形態によるインモールドラベル容器10Aでは、落下強度を向上できることがわかった。
【0098】
本開示は上記実施の形態及び各変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態及び各変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態及び各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0099】
10 樹脂製容器
10A インモールドラベル容器
11 胴部
40 ラベル部材
44 摘み部
45 繊維
51 紙基材層
51a 表面
51b 裏面
52 表面コート層
53 裏面コート層
54 接着層
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
図6