(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131074
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ダクトユニット、固定ピン及び接続ピン
(51)【国際特許分類】
F24F 13/02 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
F24F13/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041114
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 郁斗
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 勇輝
【テーマコード(参考)】
3L080
【Fターム(参考)】
3L080AB02
3L080AB04
3L080AD03
(57)【要約】
【課題】現場での作業が行いやすいダクトユニット、固定ピン及び接続ピンを提供する。
【解決手段】ダクトユニット100は、ダクト10と、ニップル20(接続部材)と、固定ピン30(第1ピン)と、接続ピン40(第2ピン)と、を備えている。ダクト10は、内部に通風空間11を有する筒状の部材である。ダクト10は、断熱性能を有する軟質な板材の表面にアルミシートを被覆した段ボールダクトである。ニップル20は、2つのダクト10同士を接続し、2つのダクト10のうち一方のダクト10Aの通風空間11Aと他方のダクト10Bの通風空間11Bとに跨って配置され、側面に貫通孔を有する筒状の部材である。固定ピン30は、ニップル20の貫通孔に挿し込まれ、2つのダクト10の間に配置される部材である。接続ピン40は、2つのダクト10のうち一方のダクト10Aに一部が挿し込まれ、他方のダクト10Bに他の一部が挿し込まれる部材である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に通風空間を有する筒状の2つのダクトと、
前記2つのダクト同士を接続し、前記2つのダクトのうち一方のダクトの通風空間と他方のダクトの通風空間とに跨って配置され、側面に貫通孔を有する筒状の接続部材と、
前記貫通孔に挿し込まれ、前記2つのダクトの間に配置される固定ピンと、
前記2つのダクトのうち一方のダクトに一部が挿し込まれ、他方のダクトに他の一部が挿し込まれる接続ピンと、
を備えるダクトユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のダクトユニットにおいて、
前記固定ピンは、
固定ピン板状部材と、
前記固定ピン板状部材の一方の面に配置され、前記貫通孔に挿し込み可能な先端が尖った挿入部材と、
前記固定ピン板状部材の他方の面に配置される柱状の突起部材と、を備えることを特徴とするダクトユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のダクトユニットにおいて、
前記挿入部材は、蛇腹状の凹凸が形成されていることを特徴とするダクトユニット。
【請求項4】
請求項2に記載のダクトユニットにおいて、
前記挿入部材は、後端の幅方向の長さが前記貫通孔の直径よりも長いことを特徴とするダクトユニット。
【請求項5】
請求項1に記載のダクトユニットにおいて、
前記接続ピンは、
接続ピン板状部材と、
前記接続ピン板状部材の一方の面に配置され、前記一方のダクトに挿し込み可能な先端が尖った第1挿入部材と、
前記接続ピン板状部材の一方の面であって前記第1挿入部材とは別の場所に配置され、前記他方のダクトに挿し込み可能な先端が尖った第2挿入部材と、を備えることを特徴とするダクトユニット。
【請求項6】
請求項5に記載のダクトユニットにおいて、
前記接続ピンは、前記第1挿入部材と前記第2挿入部材との間に配置され、かつ、前記2つのダクトの間に配置される第3挿入部材を備えることを特徴とするダクトユニット。
【請求項7】
請求項6に記載のダクトユニットにおいて、
前記第3挿入部材は、前記2つのダクトの間に配置可能な板状の部材であることを特徴とするダクトユニット。
【請求項8】
請求項6に記載のダクトユニットにおいて、
前記第3挿入部材の挿入方向の長さは、前記第1挿入部材及び前記第2挿入部材の挿入方向の長さよりも長いことを特徴とするダクトユニット。
【請求項9】
請求項5に記載のダクトユニットにおいて、
前記第1挿入部材及び前記第2挿入部材の挿入方向の長さは、前記ダクトの板材の厚みの長さよりも短いことを特徴とするダクトユニット。
【請求項10】
請求項5に記載のダクトユニットにおいて、
前記接続ピン板状部材の幅方向の長さは、前記2つのダクトの連結部分に巻き付けられる巻付部材の幅方向の長さよりも短いことを特徴とするダクトユニット。
【請求項11】
請求項1に記載のダクトユニットにおいて、
前記固定ピンと前記接続ピンとは、前記ダクトを一の面側からみた場合、重ならない位置に配置されていることを特徴とするダクトユニット。
【請求項12】
請求項1に記載のダクトユニットにおいて、
前記固定ピンの突起部材の長手方向の長さと、前記接続ピンの第3挿入部材の挿入方向の長さとを合計した合計長さは、前記ダクトの板材の厚みの長さよりも長いことを特徴とするダクトユニット。
【請求項13】
請求項1に記載のダクトユニットにおいて、
前記固定ピンと前記接続ピンとは、前記ダクトを一の面側からみた場合、少なくとも一部が重なる位置に配置されていることを特徴とするダクトユニット。
【請求項14】
請求項1に記載のダクトユニットにおいて、
前記固定ピンの突起部材の長手方向の長さと、前記接続ピンの第3挿入部材の挿入方向の長さとを合計した合計長さは、前記ダクトの板材の厚みの長さよりも短いことを特徴とするダクトユニット。
【請求項15】
請求項1に記載のダクトユニットにおいて、
前記ダクトは、断熱性能を有する軟質な板材の表面にアルミシートを被覆した段ボールダクトであることを特徴とするダクトユニット。
【請求項16】
内部に通風空間を有する筒状の2つのダクト同士を接続し、前記2つのダクトのうち一方のダクトの通風空間と他方のダクトの通風空間とに跨って配置され、側面に貫通孔を有する筒状の接続部材に用いられる固定ピンであって、
前記貫通孔に挿し込まれ、前記2つのダクトの間に配置される固定ピン。
【請求項17】
内部に通風空間を有する筒状の2つのダクトを接続するために用いられる接続ピンであって、
前記接続ピンは、
接続ピン板状部材と、
前記接続ピン板状部材の一方の面に配置され、前記2つのダクトのうち一方のダクトに挿し込み可能な先端が尖った第1挿入部材と、
前記接続ピン板状部材の一方の面であって前記第1挿入部材とは別の場所に配置され、前記2つのダクトのうち他方のダクトに挿し込み可能な先端が尖った第2挿入部材と、を備える接続ピン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクトユニット、固定ピン及び接続ピンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の技術では、ダクトの接続を行う際に「ニップル側の孔」と「ダクト側の孔」との位置を合わせたうえで、外からピンを挿して固定している。
また、特許文献2の技術では、ニップルがダクト内に入りすぎないようにしている。具体的には、ニップルを搬入しやすいように4つの板材に分けており、その板材の一つ一つに細かい細工が施されており、合体の際に板材の一部を折り曲げることで羽根ができ、ニップルの挿し込み過ぎを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5002503号公報
【特許文献2】特開2021-092365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の接続方法は、ダクトとニップルの孔の位置のズレや、孔位置の公差により孔を合わせにくくなってしまうという課題がある。また、一般的にダクトは現場で切断することで長さの調整を行うが、特許文献1の接続方法ではダクトの長さを調整すると、ダクト端部の孔が無くなってしまう。
一方、特許文献2の方法では、金属板同士を篏合させニップル形状にした際に入りすぎ防止の突起が出るように金属板に細かい加工が施されており、コストが高くなってしまう。
そして、従来の技術は、いずれの技術であっても、現場での作業が行いにくいという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、現場での作業が行いやすいダクトユニット、固定ピン及び接続ピンの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため以下の解決手段を採用する。なお、以下の解決手段及び括弧書中の文言はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。また、本発明は、以下の解決手段に示す各発明特定事項を少なくとも1つ含む発明とすることができる。さらに、以下の解決手段に示す各発明特定事項には、発明特定事項を限定する要素を追加して下位概念化することができ、発明特定事項を限定する要素を削除して上位概念化することもできる。
【0007】
解決手段1:本解決手段のダクトユニットは、内部に通風空間を有する筒状の2つのダクトと、前記2つのダクト同士を接続し、前記2つのダクトのうち一方のダクトの通風空間と他方のダクトの通風空間とに跨って配置され、側面に貫通孔を有する筒状の接続部材と、前記貫通孔に挿し込まれ、前記2つのダクトの間に配置される固定ピンと、前記2つのダクトのうち一方のダクトに一部が挿し込まれ、他方のダクトに他の一部が挿し込まれる接続ピンと、を備えるダクトユニットである。
【0008】
本解決手段によれば、接続部材の貫通孔に挿し込まれた固定ピンが、2つのダクトの間に配置されるため、接続部材の位置合わせ作業を不要とすることができ、結果として、現場での作業が行いやすいダクトユニットを提供することができる。
また、本解決手段によれば、接続ピンの一部が一方のダクトに挿し込まれ、接続ピンの他の一部が他方のダクトに挿し込まれるため、接続ピンを挿す位置が厳密でなくても、ダクト同士を繋ぎとめることができ、結果として、現場での作業が行いやすいダクトユニットを提供することができる。
【0009】
解決手段2:本解決手段のダクトユニットは、上述したいずれかの解決手段において、前記固定ピンは、固定ピン板状部材と、前記固定ピン板状部材の一方の面に配置され、前記貫通孔に挿し込み可能な先端が尖った挿入部材と、前記固定ピン板状部材の他方の面に配置される柱状の突起部材と、を備えることを特徴とするダクトユニットである。
【0010】
本解決手段によれば、固定ピンは、固定ピン板状部材と、挿入部材と、突起部材と、によって構成されているため、少ない部品点数(簡易的な構成の固定ピン)で接続部材の位置決めを行うことができ、ダクトユニットや固定ピンの製造コストを抑えることができる。
【0011】
解決手段3:本解決手段のダクトユニットは、上述したいずれかの解決手段において、前記挿入部材は、蛇腹状の凹凸が形成されていることを特徴とするダクトユニットである。
【0012】
本解決手段によれば、挿入部材は、蛇腹状の凹凸が形成されているため、蛇腹状の凹凸によって挿入部材をしっかりと接続部材に固定することができる。
【0013】
解決手段4:本解決手段のダクトユニットは、上述したいずれかの解決手段において、前記挿入部材は、後端の幅方向の長さが前記貫通孔の直径よりも長いことを特徴とするダクトユニットである。
【0014】
本解決手段によれば、挿入部材は、後端の幅方向の長さが貫通孔の直径よりも長いため、挿入部材を貫通孔に挿入した際には、挿入部材が貫通孔から抜けにくくなっている。
【0015】
解決手段5:本解決手段のダクトユニットは、上述したいずれかの解決手段において、前記接続ピンは、接続ピン板状部材と、前記接続ピン板状部材の一方の面に配置され、前記一方のダクトに挿し込み可能な先端が尖った第1挿入部材と、前記接続ピン板状部材の一方の面であって前記第1挿入部材とは別の場所に配置され、前記他方のダクトに挿し込み可能な先端が尖った第2挿入部材と、を備えることを特徴とするダクトユニットである。
【0016】
本解決手段によれば、接続ピンは、接続ピン板状部材と、第1挿入部材と、第2挿入部材と、によって構成されているため、少ない部品点数(簡易的な構成の接続ピン)で接続ピンの位置決めを行うことができ、ダクトユニットや接続ピンの製造コストを抑えることができる。
【0017】
解決手段6:本解決手段のダクトユニットは、上述したいずれかの解決手段において、前記接続ピンは、前記第1挿入部材と前記第2挿入部材との間に配置され、かつ、前記2つのダクトの間に配置される第3挿入部材を備えることを特徴とするダクトユニットである。
【0018】
本解決手段によれば、接続ピンは、第3挿入部材を備えているため、接続ピンを設置する際に位置決めを行いやすくすることができる。
【0019】
解決手段7:本解決手段のダクトユニットは、上述したいずれかの解決手段において、前記第3挿入部材は、前記2つのダクトの間に配置可能な板状の部材であることを特徴とするダクトユニットである。
【0020】
本解決手段によれば、第3挿入部材は、板状の部材であるため、2つのダクトの間に配置しやすくなっている。
【0021】
解決手段8:本解決手段のダクトユニットは、上述したいずれかの解決手段において、前記第3挿入部材の挿入方向の長さは、前記第1挿入部材及び前記第2挿入部材の挿入方向の長さよりも長いことを特徴とするダクトユニットである。
【0022】
本解決手段によれば、第3挿入部材の挿入方向の長さは、第1挿入部材及び第2挿入部材の挿入方向の長さよりも長いため、第3挿入部材が、第1挿入部材及び第2挿入部材がよりも先にダクトに接触し、接続ピンを挿入しやすくすることができる。
【0023】
解決手段9:本解決手段のダクトユニットは、上述したいずれかの解決手段において、前記第1挿入部材及び前記第2挿入部材の挿入方向の長さは、前記ダクトの板材の厚みの長さよりも短いことを特徴とするダクトユニットである。
【0024】
本解決手段によれば、第1挿入部材及び第2挿入部材の挿入方向の長さは、ダクトの板材の厚みの長さよりも短いため、ダクトの板材に第1挿入部材及び第2挿入部材を挿入しても第1挿入部材及び第2挿入部材がダクトの板材を突き抜けないようにすることができる。
【0025】
解決手段10:本解決手段のダクトユニットは、上述したいずれかの解決手段において、前記接続ピン板状部材の幅方向の長さは、前記2つのダクトの連結部分に巻き付けられる巻付部材の幅方向の長さよりも短いことを特徴とするダクトユニットである。
【0026】
本解決手段によれば、接続ピン板状部材の幅方向の長さは、2つのダクトの連結部分に巻き付けられる巻付部材の幅方向の長さよりも短いため、巻付部材で接続ピンを覆った際には、巻付部材から接続ピン板状部材がはみ出さないようにすることができる。
【0027】
解決手段11:本解決手段のダクトユニットは、上述したいずれかの解決手段において、前記固定ピンと前記接続ピンとは、前記ダクトを一の面側からみた場合、重ならない位置に配置されていることを特徴とするダクトユニットである。
【0028】
本解決手段によれば、固定ピンと接続ピンとは、ダクトを一の面側からみた場合、重ならない位置に配置されているため、固定ピンや接続ピンの大きさを大きくすることができ、固定ピンや接続ピンをしっかりと機能させることができる。
【0029】
解決手段12:本解決手段のダクトユニットは、上述したいずれかの解決手段において、前記固定ピンの突起部材の長手方向の長さと、前記接続ピンの第3挿入部材の挿入方向の長さとを合計した合計長さは、前記ダクトの板材の厚みの長さよりも長いことを特徴とするダクトユニットである。
【0030】
本解決手段によれば、固定ピンの突起部材の長手方向の長さと、接続ピンの第3挿入部材の挿入方向の長さとを合計した合計長さは、ダクトの板材の厚みの長さよりも長いため、ダクトの板材の厚みの範囲内で、固定ピンの突起部材の長手方向の長さと、接続ピンの第3挿入部材の挿入方向の長さとを最大限長く確保することができる。
【0031】
解決手段13:本解決手段のダクトユニットは、上述したいずれかの解決手段において、前記固定ピンと前記接続ピンとは、前記ダクトを一の面側からみた場合、少なくとも一部が重なる位置に配置されていることを特徴とするダクトユニットである。
【0032】
本解決手段によれば、固定ピンと接続ピンとは、ダクトを一の面側からみた場合、少なくとも一部が重なる位置に配置されているため、固定ピンと接続ピンとを近い位置(同じような位置)に配置することにより、固定ピン及び接続ピンをダクトや接続部材の邪魔にならないようにすることができる。
【0033】
解決手段14:本解決手段のダクトユニットは、上述したいずれかの解決手段において、前記固定ピンの突起部材の長手方向の長さと、前記接続ピンの第3挿入部材の挿入方向の長さとを合計した合計長さは、前記ダクトの板材の厚みの長さよりも短いことを特徴とするダクトユニットである。
【0034】
本解決手段によれば、固定ピンの突起部材の長手方向の長さと、接続ピンの第3挿入部材の挿入方向の長さとを合計した合計長さは、ダクトの板材の厚みの長さよりも短いため、固定ピンと接続ピンとが干渉することなく(ぶつかることなく)、ダクト同士の隙間に収納することができる。
【0035】
解決手段15:本解決手段のダクトユニットは、上述したいずれかの解決手段において、前記ダクトは、断熱性能を有する軟質な板材の表面にアルミシートを被覆した段ボールダクトであることを特徴とするダクトユニットである。
【0036】
本解決手段によれば、ダクトは、断熱性能を有する軟質な板材の表面にアルミシートを被覆した段ボールダクトであるため、製造コストを抑えながら、より一層、現場での作業が行いやすいダクトユニットを提供することができる。
【0037】
解決手段16:本解決手段の固定ピンは、内部に通風空間を有する筒状の2つのダクト同士を接続し、前記2つのダクトのうち一方のダクトの通風空間と他方のダクトの通風空間とに跨って配置され、側面に貫通孔を有する筒状の接続部材に用いられる固定ピンであって、前記貫通孔に挿し込まれ、前記2つのダクトの間に配置される固定ピンである。
【0038】
本解決手段によれば、接続部材の貫通孔に挿し込まれた固定ピンが、2つのダクトの間に配置されるため、接続部材の位置合わせ作業を不要とすることができ、結果として、現場での作業が行いやすい固定ピンを提供することができる。
【0039】
解決手段17:本解決手段の接続ピンは、内部に通風空間を有する筒状の2つのダクトを接続するために用いられる接続ピンであって、前記接続ピンは、接続ピン板状部材と、前記接続ピン板状部材の一方の面に配置され、前記2つのダクトのうち一方のダクトに挿し込み可能な先端が尖った第1挿入部材と、前記接続ピン板状部材の一方の面であって前記第1挿入部材とは別の場所に配置され、前記2つのダクトのうち他方のダクトに挿し込み可能な先端が尖った第2挿入部材と、を備える接続ピンである。
【0040】
本解決手段によれば、接続ピンの一部が一方のダクトに挿し込まれ、接続ピンの他の一部が他方のダクトに挿し込まれるため、接続ピンを挿す位置が厳密でなくても、ダクト同士を繋ぎとめることができ、結果として、現場での作業が行いやすい接続ピンを提供することができる。
また、本解決手段によれば、接続ピンは、接続ピン板状部材と、第1挿入部材と、第2挿入部材と、によって構成されているため、少ない部品点数(簡易的な構成の接続ピン)で接続ピンの位置決めを行うことができ、接続ピンの製造コストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、現場での作業が行いやすいダクトユニット、固定ピン及び接続ピンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】実施形態のダクトユニット10を示す平面図である。
【
図2】固定ピン30及びニップル20を示す図である。
【
図3】ダクト10とニップル20とを接続する接続例を示す図である。
【
図5】第1例のダクトユニット100の正面図である。
【
図6】第2例のダクトユニット100-2の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態のダクトユニット100を示す図である。
ダクトユニット100は、ダクト10と、ニップル20(接続部材)と、固定ピン30(第1ピン、ピンA)と、接続ピン40(第2ピン、ピンB)と、を備えている。
ダクト10は、内部に通風空間11を有する筒状の部材である。ダクト10は、図中において左右に2つ配置されている。ダクト10は、断熱性能を有する軟質な板材12の表面にアルミシートを被覆した段ボールダクトである。すなわち、ダクト10は、一般的に使用されている鋼板製ダクトのように硬質な素材が用いられたダクトではなく、断熱性能を有する軟質な素材が用いられたダクトである。
【0044】
ニップル20は、2つのダクト10同士を接続し、2つのダクト10のうち一方のダクト10Aの通風空間11Aと他方のダクト10Bの通風空間11Bとに跨って配置され、側面に貫通孔21(
図2参照)を有する筒状の部材である。
【0045】
固定ピン30は、貫通孔21(
図2参照)に挿し込まれ、2つのダクト10の間(隙間)に配置される部材である。固定ピン30は、ダクト10(ニップル20)の上下に2つ配置されている。
【0046】
接続ピン40は、2つのダクト10のうち一方のダクト10Aに一部が挿し込まれ、他方のダクト10Bに他の一部が挿し込まれる部材である。接続ピン40は、ダクト10(ニップル20)の上下に2つ配置されている。
【0047】
図2は、固定ピン30及びニップル20を示す図である。
図2(A)は固定ピン30を示しており、
図2(B)はニップル20を示しており、
図2(C)はニップル20に固定ピン30を取り付けた状態を示している。
固定ピン30は、ニップル20がダクト10の内部に入りすぎることを防止する役割を果たしている。固定ピン30は、内部に通風空間11を有する筒状の2つのダクト10同士を接続し、2つのダクト10のうち一方のダクト10Aの通風空間11A(
図1参照)と他方のダクト10Bの通風空間11B(
図1参照)とに跨って配置され、側面に貫通孔21を有する筒状のニップル20に用いられる部材である。
【0048】
図2(A)に示すように、固定ピン30は、固定ピン板状部材31と、挿入部材32と、突起部材33と、を備えている。
固定ピン板状部材31は、固定ピン30の土台となる部材である。また、固定ピン板状部材31は、貫通孔21の直径X2よりも直径が長い円盤状の部材である。
挿入部材32は、固定ピン板状部材31の一方の面(下面)に配置され、ニップル20の貫通孔21(
図2(B)参照)に挿し込み可能な先端が尖った部材である。また、挿入部材32の側面(外周)には、蛇腹状の凹凸が形成されており、貫通孔21に挿入部材32を挿し込むと、挿入部材32が貫通孔21から抜けにくいようになっている。
突起部材33は、固定ピン板状部材31の他方の面(上面)に配置される柱状の部材である。
【0049】
固定ピン30の各部材の寸法は、以下のような値であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
挿入部材32は、後端(最上部)の幅方向の長さX1が貫通孔21の直径X2よりも所定の長さだけ(例えば0.1~1.0mm程度)長くなっている。突起部材33の長さX3は、ダクト10の板材12の厚みの長さZ1(
図1参照;例えば、20~25mm)の半分程度の長さ(例えば、5~15mm)である。突起部材33の直径X4は、0.1~2mm、好ましくは0.1~1mmである。
【0050】
図2(B)に示すように、ニップル20は、上下左右に4つの板状の部材(4つの面)を有し、前後が開口している筒状の部材である。また、ニップル20は、左右の側面に、円形状の貫通孔21を有する。貫通孔21は、ニップル20の左側面の中央部分に上下に2つ配置され、ニップル20の右側面の中央部分に上下に2つ配置されている。
【0051】
そして、
図2(A)に示す固定ピン30を4つ用意し、
図2(B)に示す4つの貫通孔21に固定ピン30を1つずつ挿入すると、
図2(C)に示す状態となる。すなわち、ニップル20の4つの貫通孔21には、合計4つの固定ピン30が挿入された状態となる。なお、4つの固定ピン30は、現場で挿入することができる。
【0052】
このように、貫通孔21及び固定ピン30は、ニップル20の対向する2つの面に配置されている。貫通孔21及び固定ピン30を対向する2つの面に配置することにより、対向する2つの面で安定して固定ピン30の機能(ストッパーの役割)を発揮させることができる。
また、貫通孔21及び固定ピン30は、ニップル20の通風方向の中心に配置されている。貫通孔21及び固定ピン30を通風方向の中心に配置することにより、ダクト10に対してニップル20を半分程度挿入することができる。
さらに、貫通孔21及び固定ピン30は、ニップル20の1つの面に複数(2個)配置されている。貫通孔21及び固定ピン30をニップル20の1つの面に複数配置することにより、固定ピン30の機能を強化することができる。
【0053】
図3は、ダクト10とニップル20とを接続する接続例を示す図である。
まず、
図3(A)に示すように、固定ピン30を取り付けたニップル20を他方のダクト10Bの方向に移動させる。
ついで、
図3(B)に示すように、ニップル20を他方のダクト10Bに挿入する。この場合、固定ピン30(突起部材33)が他方のダクト10Bの側面に接触するため、ニップル20が他方のダクト10Bに入りすぎないようになる。
【0054】
さらに、
図3(C)に示すように、一方のダクト10Aをニップル20に取り付ける。
そして、
図3(D)に示すように、一方のダクト10Aをニップル20の固定ピン30まで押し込む。この場合、固定ピン30(突起部材33)が一方のダクト10Aの側面に接触するため、ニップル20が他方のダクト10Bに押し込まれないようになる。
【0055】
このように、ダクト10にニップル20を挿入する場合、固定ピン30がストッパーの役割を果たすため、ニップル20が他方のダクト10Bの内部に入りすぎたり、一方のダクト10Aを挿入する際に、ニップル20が他方のダクト10Bの内部に押されてしまったりすることがなくなる。
【0056】
図4は、接続ピン40を示す図である。
図4(A)は接続ピン40を示しており、
図4(B)は接続ピン40を矢印Bの方向から見た図を示しており、
図4(C)は接続ピン40を矢印Cの方向から見た図を示しており、
図4(D)は接続ピン40をダクト10に挿し込む様子を示している。
接続ピン40は、ダクト10同士を繋ぐ役割を果たしている。接続ピン40は、内部に通風空間11を有する筒状の2つのダクト10を接続するために用いられる部材である。
【0057】
図4(A)~(C)に示すように、接続ピン40は、接続ピン板状部材41と、第1挿入部材42と、第2挿入部材43と、第3挿入部材44と、を備えている。
接続ピン板状部材41は、接続ピン40の土台となる方形状の部材である。
第1挿入部材42は、接続ピン板状部材41の一方の面(下面)に配置され、2つのダクト10のうち一方のダクト10Aに挿し込み可能な先端が尖った部材である。
第2挿入部材43は、接続ピン板状部材41の一方の面(下面)であって第1挿入部材42とは別の場所に配置され、2つのダクト10のうち他方のダクト10Bに挿し込み可能な先端が尖った部材である。
【0058】
第1挿入部材42及び第2挿入部材43は、接続ピン板状部材41の左側と右側とにそれぞれ2本ずつ設けられている(接続ピン板状部材41の四隅に合計4本)。ただし、
図4(A)では、2本の第1挿入部材42のうち後方の第1挿入部材42は、接続ピン板状部材41に隠れて見えない位置に配置されている。
【0059】
第3挿入部材44は、第1挿入部材42と第2挿入部材43との間に配置され、かつ、2つのダクト10の間に配置される部材である。また、第3挿入部材44は、2つのダクト10の間に配置可能な板状の部材である。
【0060】
接続ピン40の各部材の寸法は、以下のような値であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
接続ピン板状部材41の幅Y1は、40mm以下である。第1挿入部材42及び第2挿入部材43の挿入方向の長さY2は、15mm(例えば10~15mm程度)である。第3挿入部材44の厚みY3は、0.1~2mm、好ましくは0.1~1mmである。第3挿入部材44の長さY4は、15mmよりも大きく20mm以下である。
【0061】
第3挿入部材44の挿入方向の長さY4は、第1挿入部材42及び第2挿入部材43の挿入方向の長さY2よりも長い。第1挿入部材42及び第2挿入部材43の挿入方向の長さY2は、ダクト10の板材12の厚みの長さZ1(
図1参照)よりも短い。接続ピン板状部材41の幅方向の長さY1は、2つのダクト10の連結部分Z3に巻き付けられる巻付部材50の幅方向の長さZ2(
図5参照)よりも短い。
【0062】
図4(D)に示すように、接続ピン40は、2つのダクト10の間に挿し込まれる。この場合、第3挿入部材44があることで、第1挿入部材42と第2挿入部材43とが、一方のダクト10Aと他方のダクト10Bとを必ず跨ぐようになっている。また、ダクト10は素材が鋼管ではないため、作業員が接続ピン40を手で押し込むだけで、接続ピン40がダクト10に簡単に刺さるようになっている。また、第1挿入部材42と第2挿入部材43とは、ダクト10の板材12を貫通しないので熱橋にならない。
【0063】
図5は、第1例のダクトユニット100の正面図である。なお、
図1では板材12の断面方向からみた図を示していたが、
図5では接続ピン40が刺さっている様子を横からみた図を示している。第1例のダクトユニット100では、固定ピン30及び接続ピン40に関して、上述した各種寸法を採用している。
第1例のダクトユニット100では、固定ピン30と接続ピン40とは、ダクト10を一の面側(正面側、接続ピン40が配置される面側)からみた場合、重ならない位置に配置されている。
【0064】
この場合、固定ピン30の突起部材33の長手方向の長さ(
図2(A)のX3)と、接続ピン40の第3挿入部材44の挿入方向の長さ(
図4(A)のY4)とを合計した合計長さ(X3+Y4)は、ダクト10の板材12の厚みの長さ(
図1のZ1)よりも長くすることができる。
【0065】
固定ピン30及び接続ピン40で2つのダクト10を固定した後は、2つのダクト10の連結部分Z3(接続ピン40を覆う部分)を巻付部材50(アルミシート等)で覆うことができる。また、2つのダクト10の隙間には、コーキング材やシール材等を充填することができる。さらに、ダクト10同士の隙間は、ダクト10の内側からのガス抜けを低減するために、なるべく小さい方が好ましい。このため、固定ピン30の突起部材33や、接続ピン40の第3挿入部材44は、強度が保たれる範囲内でなるべく薄くすることが好ましい。なお、これらの点は(本段落に記載した事項)、第2例のダクトユニット100-2についても同様である。
【0066】
図6は、第2例のダクトユニット100-2の正面図である。
第2例のダクトユニット100では、固定ピン30と接続ピン40とは、ダクト10を一の面側(正面側、接続ピン40が配置される面側)からみた場合、少なくとも一部が重なる位置に配置されている。
【0067】
この場合、固定ピン30の突起部材33の長手方向の長さ(
図2(A)のX3)と、接続ピン40の第3挿入部材44の挿入方向の長さ(
図4(A)のY4)とを合計した合計長さ(X3+Y4)は、ダクト10の板材12の厚みの長さ(
図1のZ1)よりも短くすることができる。
【0068】
第2例のダクトユニット100-2では、固定ピン30の突起部材33と、接続ピン40の第3挿入部材44とがぶつかる可能性があるため、その場合には、固定ピン30の突起部材33の長さや、接続ピン40の第3挿入部材44の長さの少なくとも一方を、上述した寸法よりも短くすることにより対応することができる。
一方、上述した各種寸法をそのまま採用する場合は、第3挿入部材44に、固定ピン30の突起部材33を回避するための切り欠き(例えばU字状の溝等)を設けることも可能である。なお、第2例のダクトユニット100-2の場合、ニップル20の貫通孔21は、ニップル20の対向する面の中央に1つずつ(合計2個)形成し、固定ピン30も2個とすることができる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)本実施形態によれば、ニップル20の貫通孔21に挿し込まれた固定ピン30が、2つのダクト10の間に配置されるため、ニップル20の位置合わせ作業を不要とすることができ、結果として、現場での作業が行いやすいダクトユニット100を提供することができる。
また、本実施形態によれば、接続ピン40の一部が一方のダクト10Aに挿し込まれ、接続ピン40の他の一部が他方のダクト10Bに挿し込まれるため、接続ピン40を挿す位置が厳密でなくても、ダクト10同士を繋ぎとめることができ、結果として、現場での作業が行いやすいダクトユニットを提供することができる。
【0070】
(2)本実施形態によれば、固定ピン30は、固定ピン板状部材31と、挿入部材32と、突起部材33と、によって構成されているため、少ない部品点数(簡易的な構成の固定ピン30)でニップル20の位置決めを行うことができ、ダクトユニット100や固定ピン30の製造コストを抑えることができる。
【0071】
(3)本実施形態によれば、挿入部材32は、蛇腹状の凹凸が形成されているため、蛇腹状の凹凸によって挿入部材32をしっかりとニップル20に固定することができる。
(4)本実施形態によれば、挿入部材32は、後端の幅方向の長さX1が貫通孔21の直径X2よりも長いため、挿入部材32を貫通孔21に挿入した際には、挿入部材32が貫通孔21から抜けにくくなっている。
【0072】
(5)本実施形態によれば、接続ピン40は、接続ピン板状部材41と、第1挿入部材42と、第2挿入部材43と、によって構成されているため、少ない部品点数(簡易的な構成の接続ピン40)で接続ピンの位置決めを行うことができ、ダクトユニット100や接続ピン40の製造コストを抑えることができる。
(6)本実施形態によれば、接続ピン40は、第3挿入部材44を備えているため、接続ピン40を設置する際に位置決めを行いやすくすることができる。
【0073】
(7)本実施形態によれば、第3挿入部材44は、板状の部材であるため、2つのダクト10の間に配置しやすくなっている。
(8)本実施形態によれば、第3挿入部材44の挿入方向の長さY4は、第1挿入部材42及び第2挿入部材43の挿入方向の長さY2よりも長いため、第3挿入部材44が、第1挿入部材42及び第2挿入部材43がよりも先にダクト10に接触し、接続ピン40を挿入しやすくすることができる。
【0074】
(9)本実施形態によれば、第1挿入部材42及び第2挿入部材43の挿入方向の長さY2は、ダクト10の板材12の厚みの長さZ1よりも短いため、ダクト10の板材12に第1挿入部材42及び第2挿入部材43を挿入しても第1挿入部材42及び第2挿入部材43がダクト10の板材12を突き抜けないようにすることができる。
【0075】
(10)本実施形態によれば、接続ピン板状部材41の幅方向の長さY1は、2つのダクト10の連結部分Z3に巻き付けられる巻付部材50の幅方向の長さZ2よりも短いため、巻付部材50で接続ピン40を覆った際には、巻付部材50から接続ピン板状部材41がはみ出さないようにすることができる。
【0076】
(11)第1例のダクトユニット100によれば、固定ピン30と接続ピン40とは、ダクト10を一の面側からみた場合、重ならない位置に配置されているため、固定ピン30や接続ピン40の大きさを大きくすることができ、固定ピン30や接続ピン40をしっかりと機能させることができる。
【0077】
(12)第1例のダクトユニット100によれば、固定ピン30の突起部材33の長手方向の長さX3と、接続ピン40の第3挿入部材44の挿入方向の長さY4とを合計した合計長さ(X3+Y4)は、ダクト10の板材12の厚みの長さZ1よりも長いため、ダクト10の板材12の厚みの範囲内で、固定ピン30の突起部材33の長手方向の長さと、接続ピン40の第3挿入部材44の挿入方向の長さとを最大限長く確保することができる。
【0078】
(13)第2例のダクトユニット100-2によれば、固定ピン30と接続ピン40とは、ダクト10を一の面側からみた場合、少なくとも一部が重なる位置に配置されているため、固定ピン30と接続ピン40とを近い位置(同じような位置)に配置することにより、固定ピン30及び接続ピン40をダクト10やニップル20の邪魔にならないようにすることができる。
【0079】
(14)第2例のダクトユニット100-2によれば、固定ピン30の突起部材33の長手方向の長さX3と、接続ピン40の第3挿入部材44の挿入方向の長さY4とを合計した合計長さ(X3+Y4)は、ダクト10の板材12の厚みの長さZ1よりも短いため、固定ピン30と接続ピン40とが干渉することなく(ぶつかることなく)、ダクト10同士の隙間に収納することができる。
【0080】
(15)本実施形態によれば、ダクト10は、断熱性能を有する軟質な板材12の表面にアルミシートを被覆した段ボールダクトであるため、製造コストを抑えながら、より一層、現場での作業が行いやすいダクトユニット100を提供することができる。
【0081】
(16)本実施形態によれば、ニップル20の貫通孔21に挿し込まれた固定ピン30が、2つのダクト10の間に配置されるため、ニップル20の位置合わせ作業を不要とすることができ、結果として、現場での作業が行いやすい固定ピン30を提供することができる。
【0082】
(17)本実施形態によれば、接続ピン40の一部が一方のダクト10Aに挿し込まれ、接続ピン40の他の一部が他方のダクト10Bに挿し込まれるため、接続ピン40を挿す位置が厳密でなくても、ダクト10同士を繋ぎとめることができ、結果として、現場での作業が行いやすい接続ピン40を提供することができる。
また、本実施形態によれば、接続ピン40は、接続ピン板状部材41と、第1挿入部材42と、第2挿入部材43と、によって構成されているため、少ない部品点数(簡易的な構成の接続ピン40)で接続ピン40の位置決めを行うことができ、接続ピン40の製造コストを抑えることができる。
【0083】
(18)本実施形態によれば、ニップル20の入りすぎの防止策として複雑な加工が不要であるため、安価なコストで対策が可能となる。ダクト10には、接続ピン40や固定ピン30用の孔が無くても、ダクト10同士を固定可能であり、ニップル20の位置合わせ作業を不要とする。また、ニップル20の挿し込み加減を調整しなくてよくなるため、施工速度の向上につながる。
【0084】
(19)本実施形態によれば、ダクト10には、接続ピン40や固定ピン30用の孔がないため、現場でダクトの長さを調整することもできる。なお、ダクト10に予めピン用の孔が開けられている場合、ダクト10側の孔には補強材が入っているので孔の開けなおしは不可能であるが、本実施形態ではダクト10に予めピン用の孔が開けられていないため、孔の開け直しや再発注は不要である。また、ニップル20に特殊な加工を施すとコストが上がってしまうが、本実施形態では、貫通孔21を開けているだけなので、コストを抑えることができる。
【0085】
(20)入りすぎ防止のためにニップル20の外周部へ羽根を付けることも考えられるが、そうすると重量が増えることに加えて車両等での運搬時に空間を多く使ってしまう。これに対して、本実施形態では、ニップル20に貫通孔21を開けているだけなので、重量も減少させることができ、運搬時の空間も少なくすることができる。また、本実施形態によれば、接続ピン40や固定ピン30を挿し込むだけの簡易的な構成を採用しているため、長い直線ダクト(例えば、数十mm、数百mm、数千mm以上のダクト)を支えることも可能である。
【0086】
(21)本実施形態によれば、ダクト10とニップル20との接続の際に、いずれかの部材の公差により各部材や孔の位置がずれたとしても、決まった場所でなくても刺すことができるピンを採用しているため、ダクト10とニップル20の位置を正確に合わせるという作業がなくなる。これにより、現場でダクト10の長さを加工できるようになり、ダクト10とニップル20との位置を正確に合わせる必要もないため、施工速度向上(作業時間短縮)につながる。
【0087】
〔変形形態〕
本発明は、上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。
(1)ダクト10は、段ボールダクトの例で説明したが、鋼板製ダクト(金属製のダクト)であってもよい。
(2)挿入部材32は、螺旋状の凹凸が形成されていてもよく、凹凸を形成しなくてもよい。
(3)第1挿入部材42は一方のダクト10Aに挿し込み、第2挿入部材43は他方のダクト10Bに挿し込む例で説明したが、これとは逆に、第1挿入部材42は他方ダクト10Bに挿し込み、第2挿入部材43は一方のダクト10Aに挿し込んでもよい。
【0088】
(4)第3挿入部材44は、板状の部材の例で説明したが、棒状の部材であってもよい。このようにすれば、接続ピン40を回転させて任意の位置で使用することができる。
(5)接続部材は、ニップル20の例で説明したが、ダクト同士を連結するためのその他の機械部品であってもよい。
(6)貫通孔21及び固定ピン30の数は、3個以下であってもよく、5個以上であってもよい。
【0089】
(7)上述した実施形態や図面で示した各部材の寸法や形状はあくまで例示である。例えば、接続ピン40や固定ピン30の寸法や形状は、使用するダクト10の形状やダクト10同士の隙間を考慮して決定することができる。
(8)ダクトユニット100として実施してもよく、固定ピン30単独で実施してもよく、接続ピン40単独で実施してもよく、固定ピン30及び接続ピン40のセットで実施してもよい。
【0090】
図7は、各種部材の変形例を示す図である。
図7(A)は、変形例の接続ピン40Aを示しており、
図7(B)は接続ピン40Aを矢印Bの方向から見た図を示しており、
図7(C)は変形例の第1挿入部材42A及び第2挿入部材43Aを示している。
上述した実施形態の接続ピン40は、ダクト10の側面に配置するピンであるが、変形例の接続ピン40Aは、ダクト10の角部に配置するピンである。
図7(A)(B)に示すように、変形例の接続ピン40Aは、接続ピン板状部材41Aと、第1挿入部材42Aと、第2挿入部材43Aと、第3挿入部材44Aと、を備えている。
【0091】
接続ピン板状部材41Aは、接続ピン40Aの土台となるL字状の部材である。
第1挿入部材42Aは、接続ピン板状部材41Aの一方の面(内側の下側の二面)に配置され、2つのダクト10のうち一方のダクト10Aに挿し込み可能な先端が尖った部材である。
第2挿入部材43Aは、接続ピン板状部材41Aの一方の面であって第1挿入部材42Aとは別の場所(内側の上側の二面)に配置され、2つのダクト10のうち他方のダクト10Bに挿し込み可能な先端が尖った部材である。
なお、第2挿入部材43Aを一方のダクト10Aに挿し込み、第1挿入部材42Aを他方のダクト10Bに挿し込んでもよい。
【0092】
第1挿入部材42A及び第2挿入部材43Aは、接続ピン板状部材41Aの上方と下方とにそれぞれ2本ずつ設けられている(接続ピン板状部材41Aの内側の四面の中央部に1本ずつで合計4本設けられている)。なお、第1挿入部材42A及び第2挿入部材43Aは、接続ピン板状部材41Aの四面の中央部に配置してもよく、角部に配置してもよく、各面に配置する本数も2本以上であってもよい。
また、第1挿入部材42A及び第2挿入部材43Aは、接続ピン板状部材41Aに対して、所定の角度(例えば45度程度の角度)で突出している(
図7(B)参照)。このため、第1挿入部材42A及び第2挿入部材43Aは、ダクト10の板材12に対して斜めに挿し込まれる。
【0093】
第3挿入部材44Aは、第1挿入部材42Aと第2挿入部材43Aとの間に配置され、かつ、2つのダクト10の間(2つのダクト10の角と角の間)に配置される部材である。また、第3挿入部材44Aは、2つのダクト10の間に配置可能なL字状の板状の部材である。
【0094】
接続ピン40Aの各部材の寸法は、上述した実施形態の接続ピン40に即した寸法とすることができるが、これらに限定されるものではなく、L字状の接続ピン40Aに適した寸法とすることができる。
【0095】
接続ピン40Aは、2つのダクト10の間に挿し込まれる。この場合、第3挿入部材44Aがあることで、第1挿入部材42Aと第2挿入部材43Aとが、一方のダクト10Aと他方のダクト10Bとを必ず跨ぐようになっている。また、接続ピン40Aは、L字状となっているため、ダクト10の角にしっかりと固定することができる。また、第3挿入部材44AもL字状となっているため、ダクト10同士の隙間にしっかりと挿入することができる。
【0096】
図7(C)に示すように、変形例の第1挿入部材42A及び第2挿入部材43Aは、先端部から所定量だけ上方の位置に、挿入方向の後方側に向かって突出した先端が尖った突出部60を備えている。突出部60は、釣り針の先端にある「かえし」のような部材である。変形例の第1挿入部材42A及び第2挿入部材43Aは、突出部60を備えているため、第1挿入部材42A及び第2挿入部材43Aをダクト10に挿入した際には、第1挿入部材42A及び第2挿入部材43Aがダクト10から抜けにくくなる。なお、突出部60は、第1挿入部材42A及び第2挿入部材43Aの少なくとも一方に備えられていればよく、1つの挿入部材に複数備えられていてもよい。また、突出部60は、上述した実施形態に適用してもよく、
図7(A)(B)の変形形態に適用してもよい。
【符号の説明】
【0097】
10、10A、10B ダクト
11、11A、11B 通風空間
12 板材
20 ニップル
30 固定ピン
31 固定ピン板状部材
32 挿入部材
33 突起部材
40、40A 接続ピン
41、41A 接続ピン板状部材
42、42A 第1挿入部材
43、43A 第2挿入部材
44、44A 第3挿入部材
50 巻付部材
60 突出部
100、100-2 ダクトユニット