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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131075
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ワーク着脱システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20240920BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20240920BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20240920BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20240920BHJP
   B23Q 3/06 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B25J13/08 A
B25J5/00 E
B25J13/00 Z
B23Q17/00 B
B23Q3/06 304K
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041115
(22)【出願日】2023-03-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000154990
【氏名又は名称】株式会社牧野フライス製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】谷川 直純
【テーマコード(参考)】
3C016
3C029
3C707
【Fターム(参考)】
3C016CA01
3C029EE06
3C029EE20
3C707AS05
3C707BS10
3C707CS08
3C707DS01
3C707JS02
3C707MT02
(57)【要約】
【課題】ロボットを用いたワークの着脱を効率的に行うことができるワーク着脱システムを提供する。
【解決手段】加工のためにワークWを着脱するワーク着脱システム10であって、ワーク取付台16と、可動部材78を作動してワークWをワーク取付台16に対して付外しするクランパ74と、クランパ74の近傍に固定された固定部材84と、を有するステーション14、15と、ワークWを把持可能なロボットハンド42と、カメラ46とを有するロボット30と、ロボット30を載置し、撮影位置へ移動するために移動可能な無人搬送車32と、カメラ46で撮影した画像に基づいて、ワーク取付台16に対するワークWの着脱状態を判断するロボット制御装置31及び上位制御システム48と、を備え、カメラ46は可動部材78及び固定部材84を同時に撮影することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工のためにワークを着脱するワーク着脱システムであって、
前記ワークを取付けるためのワーク取付台と、可動部材を作動することによって前記ワークを前記ワーク取付台に対して取り付ける、又は、取り外すためのクランパと、前記クランパの近傍に固定された固定部材とを有するワーク取付装置と、
前記ワークを把持可能に構成されたハンドと、撮影位置において前記可動部材及び前記固定部材を撮影可能に構成されたカメラとを有するロボットと、
前記ロボットを載置し、前記ロボットを前記撮影位置へ移動するために、任意の方向に移動可能な移動体と、
前記クランパ、前記ロボット及び前記カメラを作動するための制御装置であって、前記カメラで撮影した画像に基づいて、前記ワーク取付台に対する前記ワークの着脱状態を判断する制御装置と、を備え、
前記カメラは、前記可動部材及び前記固定部材を同時に撮影することを特徴としたワーク着脱システム。
【請求項2】
前記可動部材に形成され、前記可動部材が作動することによって位置が変化する第1の撮影部と、
前記固定部材に形成された第2の撮影部と、を備え、
前記第1の撮影部と前記第2の撮影部とは同じ方向で前記カメラと対向し、前記カメラは、前記第1の撮影部及び前記第2の撮影部を同時に撮影することを特徴とする請求項1に記載のワーク着脱システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記カメラで撮影した画像における前記第1の撮影部と前記第2の撮影部との位置関係から、前記クランパが前記ワークを前記ワーク取付台に取り付けるクランプ状態、又は、前記ワークを前記ワーク取付台から取り外すアンクランプ状態にあることを判断し、
前記可動部材が前記クランプ状態又は前記アンクランプ状態の基準位置から閾値以上ずれていると判断した場合は、清掃手段を作動して、前記クランパ及び前記ワークの周辺を清掃するように構成されている請求項2に記載のワーク着脱システム。
【請求項4】
前記ワーク取付台は、油空圧供給装置を用いて前記クランパに供給された圧力を表示するための圧力計を備え、
前記制御装置は、前記カメラによって撮影された前記圧力計の画像から前記クランパの圧力値を検出し、該圧力値が閾値以下の場合は、前記ワークを前記ワーク取付台から取り外すように構成されている請求項3に記載のワーク着脱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク着脱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロボットを用いて工作機械にワークを着脱する加工システムが開示されている。これによって、ワークの取り付けおよび取り外しを短時間に行うことができる。この加工システムでは、保持部材及びロボットアームの駆動モータの回転角からワークの位置を検出し、位置がずれている場合はこれを補正するように構成されている。このため、ワークの位置制御をするためには、ロボットを位置固定して配置する必要がある。
【0003】
しかしながら、ロボットを位置固定して配置しようとすると、製造エリアに工作機械が複数設置されている場合には、工作機械1台ごとにロボット1台が必要になる。このように配置されたロボットは、工作機械が加工している間は停止状態になる。さらに、工作機械に隣接してロボットを配置することになるため、ロボットが配置されている側からは、ワークを取り付けるためのパレット等の搬入及び搬出をすることができず、ロボットを設置していない側に別途搬出入口を設ける必要が生じる。また、ワークの着脱時に、パレットと油空圧供給装置が接続解除される場合に、油空圧の圧力確認を容易にすることができないため、圧力降下が発生していたとしても直ぐに発見することができない。このため、ロボットを用いたワークの着脱を効率的に行う上で改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6626165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情を鑑み、ロボットを用いたワークの着脱を効率的に行うことができるワーク着脱システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様によれば、加工のためにワークを着脱するワーク着脱システムであって、ワークを取付けるためのワーク取付台と、可動部材を作動することによってワークをワーク取付台に対して取り付ける、又は、取り外すためのクランパと、クランパの近傍に固定された固定部材とを有するワーク取付装置と、ワークを把持可能に構成されたハンドと、撮影位置において可動部材及び固定部材を撮影可能に構成されたカメラとを有するロボットと、ロボットを載置し、ロボットを撮影位置へ移動するために、任意の方向に移動可能な移動体と、クランパ、ロボット及びカメラを作動するための制御装置であって、カメラで撮影した画像に基づいて、ワーク取付台に対するワークの着脱状態を判断する制御装置と、を備え、カメラは、可動部材及び固定部材を同時に撮影することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一の態様によれば、可動部材に形成され、可動部材が作動することによって向きが変化する第1の撮影部と、固定部材に形成された第2の撮影部と、を備えてもよく、第1の撮影部と第2の撮影部とは同じ方向でカメラと対向し、カメラは、第1の撮影部及び第2の撮影部を同時に撮影してもよい。
【0008】
さらに、本発明の一の態様によれば、制御装置は、カメラで撮影した画像における第1の撮影部と第2の撮影部との位置関係から、クランパがワークをワーク取付台に取り付けるクランプ状態、又は、ワークをワーク取付台から取り外すアンクランプ状態にあることを判断し、可動部材がクランプ状態又はアンクランプ状態の基準位置から閾値以上ずれていると判断した場合は、清掃手段を作動して、クランパ及びワークの周辺を清掃するように構成されてもよい。
【0009】
また、本発明の一の態様によれば、ワーク取付台は、油空圧供給装置を用いてクランパに供給された圧力を表示するための圧力計を備えてもよく、制御装置は、カメラによって撮影された圧力計の画像からクランパの圧力値を検出し、圧力値が閾値以下の場合は、ワークをワーク取付台から取り外すように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一の態様に係るワーク着脱システムによると、ロボットは、ワークを把持可能に構成されたハンドを有し、任意の方向に移動可能な移動体によって移動することができる。このため、制御装置は、ロボットを載置した移動体を作動させることによってロボットをワーク取付装置まで移動させ、ロボットのハンドを作動させることによってワークをワーク取付台に配置することができる。これによって、ワーク取付装置ごとにロボットを配置するのではなく、ワークの着脱を必要とするワーク取付装置へ適宜ロボットを移動すればよく、ロボットを用いたワークの着脱を効率的に行うことができる。さらに、ロボットは、撮影位置において可動部材及び固定部材を撮影可能に構成されたカメラを有し、移動体によって撮影位置まで移動することができる。このため、制御装置は、ロボットを載置した移動体を作動させることによってロボットを撮影位置へ移動させ、カメラを作動させることによって可動部材及び固定部材を同時に撮影することができる。制御装置は、カメラで撮影した画像に基づいて、ワーク取付台に対するワークの着脱状態を判断することができる。このため、例えば、ワーク取付台にワークが適切に取り付けられていると判断した場合には加工を継続することができる。また、ワーク取付台にワークが適切に取り付けられていないと判断した場合には、制御装置は、例えば、クランパ及びロボットを作動してワークを一旦取り外した上で再度取り付ける工程や、取り付けを改善するために加工を中断するといった工程を含めることができる。これによって、ワーク取付装置の不具合の確認やその解消のための工程を含めることができ、ロボットを用いたワークの着脱を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係るワーク着脱システムを上方側から見た斜視図を示す。
図2図2は、本実施形態に係るワーク着脱システムの平面図を示す。
図3図3は、本実施形態に係るワーク着脱システムを有する製造エリアのフロアレイアウトの一例を示す。
図4図4は、本実施形態に係る置き台を上方側から見た斜視図を示す。
図5a】本実施形態に係るワークセッティングステーションの正面図であって、ドアの閉鎖状態を示す。
図5b】本実施形態に係るワークセッティングステーションの正面図であって、ドアの開放状態を示す。
図6a】本実施形態に係るワーク取付台の一例の斜視図であって、ワークのクランプ状態を示す。
図6b】本実施形態に係るワーク取付台の一例の斜視図であって、ワークのアンクランプ状態を示す。
図7a】本実施形態に係る可動部材及び固定部材に形成された第1の撮影部及び第2の撮影部の一例の拡大図であって、ワークのクランプ状態を示す。
図7b】本実施形態に係る可動部材及び固定部材に形成された第1の撮影部及び第2の撮影部の一例の拡大図であって、ワークのアンクランプ状態を示す。
図8図8は、本実施形態に係るワーク取付装置の回路図の一例を示す。
図9a】本実施形態に係る圧力計の斜視図であって、閾値以上の圧力を有する場合を示す。
図9b】本実施形態に係る圧力計の斜視図であって、圧力が閾値以下の場合を示す。
図10図10は、本実施形態に係るワーク着脱システムによるワーク着脱のフローチャートを示す。
図11図11は、変形例に係るワーク取付台の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係るワーク着脱システム10を説明する。同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。理解を容易にするために、図の縮尺を変更して説明する場合がある。
【0013】
図1には、工場等の製造エリアMA(図3参照)に配置されたワーク着脱システム10の斜視図を示す。また、図2には、ワーク着脱システム10の平面図を示す。ワーク着脱システム10は、ワークWを取り付けて工作機械12、13へ供給するワーク取付装置としてのワークセッティングステーション14、15(以下、ステーション14と称する)を備える。ステーション14、15は、単独で構成されて、例えば、マシニングセンタ等の工作機械12、13と接続されてもよく、又は、工作機械12、13と一体で構成されてもよい。ステーション14、15の内部には、工作機械12、13によって加工されるワークWを取り付けるためのワーク取付台16(図6a参照)が配置されている。
【0014】
図1に示すように、ステーション14は、ワークWをステーション14内部に移動、すなわち搬入し、内部から移動、すなわち搬出するための搬出入口18及び搬出入口18を開閉するためのスライド可能に形成されたドア20を有する。ドア20には、開閉する際に把持するためのドアハンドル20aが取り付けられている。ドア20の近傍には、未加工のワークWを積載するための材料置き台22と、加工後のワークWを積載するためのワーク置き台24とが配置されている。材料置き台22には、ワークWを一時的に載置するための仮置台23が形成されている。また、材料置き台22及びワーク置き台24は、それぞれ4本の脚部22a、24aを有し、材料置き台22及びワーク置き台24に配置されたワークWの高さ位置が後述するハンドとしてのロボットハンド42の高さ位置とほぼ同一になるように構成されている。これによって、ロボットハンド42の移動距離が増加することを抑制し、効率的に作動させることができる。また、ステーション14の外側には、これに隣接して、ワーク取付台16に油空圧を供給するための油空圧供給装置26が配置されている。
【0015】
ワーク着脱システム10は、また、ワークWを搬出入するためのロボット30を備える。ロボット30は、材料置き台22上の未加工のワークWをステーション14内のワーク取付台16へと搬入し、加工済みのワークWをワーク取付台16からワーク置き台24上へと搬出する。ロボット30は、移動体としての無人搬送車32の上面にその台座部34に取り付けられており、製造エリアMA内を移動可能に構成されている。さらに、ロボット30は、台座部34に対して垂直となる軸線回り、ここでは鉛直方向に沿った軸線回りに回動可能に構成された外形円柱状の支柱36と、一方の端部が支柱36に対して回動可能に取り付けられ、複数の関節部38を介して連結された複数のアーム40aが互いに関節部38回りに回動可能に構成されているアーム部40とを備える。
【0016】
ロボット30のアーム部40の他方の端部には、ワークWを把持するためのハンドとしてのロボットハンド42が脱着可能に連結されている。ロボットハンド42は、ワークWを把持するときに向きを調整することができるように、アーム40aの軸線回りに回動可能に構成されている。また、台座部34には、ロボットハンドホルダ44が取り付けられており、ロボットハンド42を使用しないときには、このロボットハンドホルダ44に収容する。
【0017】
ワーク着脱システム10は、また、アーム部40の他方の端部側、すなわちロボットハンド42の側に配置されたカメラ46を備える。カメラ46は、ワークWを把持するロボットハンド42の側を撮影するように配置されており、ロボットハンド42と共にアーム40aの軸線回りに回動可能に構成されている。カメラ46は、所定の解像度が得られるものであればステレオカメラ、3次元カメラ等種類を問わない。また、台座部34の内部には、ロボット30の挙動及びカメラ46を制御するための制御装置としてのロボット制御装置31を備える。
【0018】
図2に示すように、ワーク着脱システム10は、製造エリアMA内に、ステーション14、15、ロボット30及び無人搬送車32を制御するための制御装置としての上位制御システム48を備える。上位制御システム48は、ステーション14、15、ロボット30及び無人搬送車32と無線及び/又は有線で通信可能に接続されている。無人搬送車32は、上位制御システム48によって作動され、製造エリアMAの床面FS上を人が運転操作をしなくても指示された目的地まで自動走行することができるように構成されている。無人搬送車32の下方側には、図示しないメカナムホイールが回転可能に取り付けられている。ホイールは、通常のタイヤとホイールの組み合わせによって形成することができるが、好ましくは、メカナムホイールによって形成される。メカナムホイールはホイールの回転差を用いて旋回を行うことができる。また、ホイールの回転差を制御することによって、通常のホイールのようにホイールの回転方向への直線移動だけでなく、全方向への平行移動や直進旋回を行うことができる。これによって、無人搬送車32は、直行、横行、斜行、曲行、旋回、蛇行及びクランク等の複数の挙動の動作モードで移動することができる。
【0019】
上位制御システム48は、工作機械12、13及びステーション14、15とも電気的に接続されており、ステーション14内のワークWの取り付けの有無及びワークWを加工するための工作機械12の稼働の有無を検知することができる。このため、上位制御システム48は、ロボット30を作動させて、一方の工作機械12側のステーション14に未加工のワークWを搬入すると、工作機械12がワークWを加工している間に、無人搬送車32を作動させてワークWの加工が行われていない他方の工作機械13側へ移動させる(図2中T1)。上位制御システム48は、ロボット30及び無人搬送車32を他方の工作機械13側へ移動させると、ロボット30を作動させて未加工のワークWを他方のステーション15内へ搬入する。さらに、上位制御システム48は、例えば、一方の工作機械12がワークWの加工を完了したことを検知すると、ロボット30及び無人搬送車32を一方の工作機械12側へ移動させる(図2中T2)、又は、一方の工作機械12がワークWの加工を完了していない場合には、ロボット30及び無人搬送車32をワークWが取り付けられていない別の工作機械(図3参照)側へ移動させる(図2中T3)。このように、上位制御システム48は、ロボット30による作業を必要とする工作機械12、13へ適宜無人搬送車32を移動させる。
【0020】
図3には、ワーク着脱システム10を有する製造エリアのフロアレイアウトの一例を示す。上位制御システム48は、製造エリアMA内の無人搬送車32及びロボット30を作動させる。このため、上位制御システム48は、無人搬送車32を作動させ、製造エリアMA内の材料ストッカ54へと移動させると共に、ロボット30を作動して、材料ストッカ54から未加工のワークWを取り出し、必要とする個数だけ無人搬送車32の上面に載置させることができる。さらに、上位制御システム48は、必要な個数のワークWが無人搬送車32に載置されると、無人搬送車32をステーション14及び材料置き台22の側へと移動させ、ロボット30を作動させることによって運んできたワークWを材料置き台22上に配置することができる。これによって、未加工のワークWが無くなっていた材料置き台22上に新たなワークWを自動で供給することができる。
【0021】
また、上位制御システム48は、ロボット30を作動させてワーク置き台24上にある加工済みのワークWを無人搬送車32の上面に載置させることができる。さらに、上位制御システム48は、ワークWを載置すると、無人搬送車32を作動させて製造エリアMA内のワークストッカ56へと移動させ、ロボット30を作動させて運んできた加工済みのワークWをワークストッカ56に収納することができる。これによって、ワーク置き台24上に積載された加工済みのワークWをワークストッカ56内に自動的に収納することができる。
【0022】
さらに、上位制御システム48は、例えば、ロボット30に装着されたロボットハンド42がワークWの大きさに適合していないと判断した場合やワークWの形状からロボットハンド42に替えて他のツールを装着すべきであると判断した場合は、無人搬送車32を作動させて製造エリアMA内のハンドロッカ58又はツールロッカ60へと移動させることができる。ハンドロッカ58又はツールロッカ60へ移動したロボット30は、装着しているロボットハンド42に替えて別のロボットハンド42又はツールを装着することができる。これによって、ロボット30にワークWの大きさ及び形状に応じたロボットハンド42又はツールを自動的に装着させることができる。
【0023】
図4には、材料置き台22及びワーク置き台24を上方側から見た斜視図を示す。材料置き台22は、ワークWを一時的に載置するための仮置台23を有する。また、材料置き台22及びワーク置き台24上には、ロボット30のカメラ46によって撮影した画像を用いて位置合わせをする際にその基準にするための置き台位置マーク50及び置き台情報マーク52が形成されている。置き台位置マーク50は、材料置き台22及びワーク置き台24とは異なる色に着色されたプレート、又は、これらに螺入された異なる色のボルトとされている。なお、置き台位置マーク50及び置き台情報マーク52は、貼付け可能なシール、テープ等とされてもよい。置き台位置マーク50には、向きを確認することができる文字、記号、マーク(図4では「M」の文字)が表示される。なお、置き台位置マークとしてQRコード(登録商標)を用いてもよい。また、ここでは、置き台情報マーク52には、QRコード(登録商標)が使用され、対応部品番号や積載されるワークWの状態、ワークWの空き場所を示すワーク空き番号が記録されている。これによって、ロボット30及び無人搬送車32は、材料置き台22及びワーク置き台24をカメラ46で撮影し、これらに対して位置合わせをすることができると共に、ワークWの対応部品番号を確認することができる。
【0024】
図5a及び図5bに、閉鎖状態及び開放状態におけるステーション14のドア20の斜視図をそれぞれ示す。無人搬送車32は、ステーション14のドア20に対向する位置、すなわち、ドア20の正面に移動すると、ロボット30のカメラ46によってステーション14を撮影する。ロボット制御装置31は、撮影したステーション14の画像から無人搬送車32に取り付けられたロボット30が適切な位置に配置されているかどうかを判定するように構成されている。また、ロボット制御装置31は、撮影したステーション14の画像からドア20の開放状態及び閉鎖状態を判定するように構成されている。
【0025】
ドア20の横には、ステーション14の上下方向に沿って複数、ここでは、4つの操作ボタンが配置されている。具体的には、上方側には、ドア20をロック又はアンロックするためのロック操作ボタン66a、及び、ワーク取付台16に配置したワークWをクランプ又はアンクランプするためのワーククランプボタン66bが配置されている。さらに、その下方側には、ワークWのワーク取付台16への取り付け及びクランプの完了したことを工作機械12(図3参照)へ伝達するためのワークセット完了ボタン66c、及び、ワーク取付台16に油空圧を供給するための油空圧供給装置26を接続又は接続解除するための供給装置ボタン66dが配置されている。また、ドア20の横において4つの操作ボタン66a、66b、66c、66dの下方側には、清掃手段としてのエアノズル68が配置されている。エアノズル68は、エアブロー及びバキュームによって機械周辺のごみや埃を吹き飛ばし、かつ、吸い込んだりすることができる。ロボットハンド42又は人が引き出せるように伸縮自在のホース(図示省略)を有する。このため、ロボットハンド42を作動してエアノズル68を挟持してステーション14の内部までこれを引き出し、エア噴射することによって、ステーション14の内部及びワーク取付台16にクランプされたワークWの周囲を清掃することができる。
【0026】
ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してドア20をスライドさせて開放した後、材料置き台22上に積載された未加工のワークWをロボットハンド42によって把持し、ステーション14内部のワーク取付台16へ移動、すなわち搬入することができる。また、ロボット制御装置31は、移動したワークWがワーク取付台16に取り付けられると、ロボットハンド42を作動してドアハンドル20aを挟持し、ドア20をスライドさせて閉鎖することができる。
【0027】
また、ロボット制御装置31は、ドア20の閉鎖後、ロボットハンド42を作動してロック操作ボタン66aを押してドア20をロックし、ロボットハンド42を作動してワークセット完了ボタン66cを押すことによって、ワークWのセットが完了したことを工作機械12に伝達することができる。
【0028】
図6a及び図6bに、クランパ74によってワークWをクランプした状態(以下、クランプ状態と称する)及びアンクランプした状態(以下、アンクランプ状態と称する)のワーク取付台16の斜視図をそれぞれ示す。ワーク取付台16は、プレート台座70と、プレート台座70上に配置され、プレート台座70に対して垂直に、ここでは鉛直方向に延在するアングルプレート72とによって構成されている。アングルプレート72のワークWを取り付ける側には、ワークWの四隅をクランプしてこれを固定するための複数、ここでは4つのクランパ74が配置されている。また、アングルプレート72には、クランプする前にワークWを安定して載置するためのワーク載置部76を有する。
【0029】
クランパ74は、油空圧供給装置26から供給された油圧又は空気圧によって作動可能に構成された可動部材78を有する。可動部材78は、アングルプレート72に対して直交する方向、ここでは、水平方向に延在する円柱状の軸部材80と、軸部材80の端部に連結された直方体状の爪部材82とを有する。軸部材80は、その軸方向に沿ってスライド可能に構成されている。このため、ワークWの厚みに応じて、アングルプレート72の外側へ引き出したり、その内側へ引き戻したりすることができる。また、軸部材80は、その軸方向に沿った軸線回りに回動可能に構成されている。爪部材82は、一方の端部が軸部材80と連結されており、軸部材80の回動に合わせて回動可能に構成されている。軸部材80の回動によって、爪部材82がワークWの側へ向けて90度回動し、爪部材82の他方の端部がワーク載置部76に載置されたワークWに係合するように構成されている。また、アングルプレート72は、可動部材78との相対位置関係を確認するためにクランパ74の近傍に固定して形成された固定部材84を有する。
【0030】
アングルプレート72は、また、その側部においてクランパ74に油空圧を供給するための油空圧供給装置26を接続するためのノズル連結部90を有する。ロボット制御装置31がロボットハンド42を作動して供給装置ボタン66dを押すことによって、ノズル連結部90と油空圧供給装置26とが接続又は接続解除するように構成されている。
【0031】
図7a及び図7bには、可動部材78の爪部材82に形成された第1の撮影部としての位置マーク86及び固定部材84に形成された第2の撮影部としての情報マーク88の拡大図を示す。爪部材82には、ロボット30のカメラ46によって撮影した画像を用いてクランパ74のクランプ状態(図7a)及びアンクランプ状態(図7b)を確認する際の基準位置とするための円形状の位置マーク86が形成されている。また、固定部材84にも、クランパ74のアンクランプ状態及びクランプ状態を確認する際の基準位置とするための矩形状の情報マーク88が形成されている。位置マーク86及び情報マーク88の表示面は、ロボット30のカメラ46によって同時に撮影ができるように表示面が同じ方向、ここではアングルプレート72からドア20の方向へ向けて表示されている。位置マーク86は、爪部材82及び固定部材84とは異なる色に着色されたプレート、又は、これらに螺入された異なる色のボルトとされている。なお、位置マーク86及び情報マーク88は、貼付け可能なシール、テープ等とされてもよい。位置マーク86には、回動可能に構成された爪部材82の向きを確認することができる文字、記号、マーク(図7a及び図7bでは「M」の文字)が表示される。なお、位置マークとしてQRコード(登録商標)を用いてもよい。また、情報マーク88には、QRコード(登録商標)が使用され、対応部品番号が記録されている。これによって、ロボット30は、可動部材78及び固定部材84をカメラ46で撮影し、クランパ74のアンクランプ状態及びクランプ状態を確認できると共に、ワーク取付台16の対応部品番号を確認することができる。なお、以下の説明では、位置マーク86は正面から見た場合に円形状に形成され、情報マーク88は正面から見た場合に矩形状に形成されているとして説明するが、これに限らず、位置マーク及び情報マークは、円形又は矩形以外の多角形状等他の形状とされてもよい。
【0032】
ロボット30は、クランパ74のアンクランプ状態及びクランプ状態の確認、すなわち状態の判断を、予めロボット制御装置31に記録した基準画像をカメラ46で撮影した画像と比較することによって行うように構成されている。具体的には、撮影した画像における位置マーク86と情報マーク88との相対位置関係を基準画像における相対位置関係と比較する。また、基準画像との比較は、可動部材78及び固定部材84の画像に基づいて行われる。比較のための基準位置、すなわち基準点としては、位置マーク86の第1の中心点86bと情報マーク88の各辺とを用いている。なお、位置マークが円形状でない場合は、第1の中心点86bに替えて別の基準点が設けられてもよい。また、例えば、情報マークの最上位又は最下位の頂点といったように別のロジックで識別された点が用いられてもよい。これらの基準点の相対位置関係としては、クランプ状態では、図7aに示すように、基準画像における位置マーク86の第1の中心点86bと情報マーク88の一辺との水平横方向の間隔XC及び上下方向の間隔YC並びに位置マーク86の第1の中心点86bと情報マーク88の第2の端点88aとの水平前後方向の間隔ZCを用いる。アンクランプ状態では、図7bに示すように、位置マーク86の第1の中心点86bと情報マーク88の一辺との水平横方向の間隔XU及び上下方向の間隔YU並びに位置マーク86の第1の中心点86bと情報マーク88の第2の端点88aとの水平前後方向の間隔ZUを用いる。
【0033】
図8には、油空圧供給装置26の回路図を示す。油空圧供給装置26は、油空圧を設定するための油空圧ユニットHPと、油空圧が設定圧力に到達すると開閉が切り替わるように構成された圧力スイッチPSと、を備える。また、油空圧ユニットHPとの間にはソレノイドバルブSN及び減圧弁RVが取り付けられており、油空圧供給装置26内の油空圧に応じて開閉するように構成されている。
【0034】
油空圧供給装置26は、工作機械12側に配置されたカプラCPを介してアングルプレート72のノズル連結部90と接続されている。これによって、油空圧供給装置26からの油空圧をアングルプレート72のクランパ74に供給することができる。また、ノズル連結部90は、また、工作機械12に配置された油空圧ユニットHPともソレノイドバルブSN及び圧力スイッチPSを介して接続されている。このため、工作機械12側の油空圧ユニットHPからも油空圧をクランパ74に供給することができる。さらに、クランパ74とノズル連結部90との間には、クランパ74への圧力を補助的に供給するためのアキュムレータACが配置されている。
【0035】
図6a及び図6bに示すように、クランパ74の圧力をモニタするための圧力計92は、アングルプレート72の上面側に配置されている。図9a及び図9bに示すように、ここでは目安針94を有するアナログ式の圧力計92が用いられている。図9aに示すように、クランパ74に所定の圧力が供給されている場合には、目安針94は基準目盛SSよりも正面視で右側、図では約12時の方向を指している。また、図9bに示すように、クランパ74に圧力が十分に供給されておらず、所定の圧力以下の場合には、目安針94は基準目盛SSよりも正面視で左側、図では約8時の方向を指している。ロボット制御装置31は、カメラ46を作動して圧力計92を撮影し、目安針94と基準目盛SSとの位置関係からクランパ74に所定の圧力が供給されているか否かを判断するように構成されている。なお、ここでは、圧力計92はアナログ式であるとして説明したが、これに限らず、例えば、圧力計はデジタル式であってもよく、カメラによって撮影したデジタル表示の圧力値の画像から所定の圧力が供給されているか否かを判断するように構成されてもよい。
【0036】
図10に示すフローチャートを用いたワークWの着脱手順の説明を通じて、本実施形態に係るワーク着脱システム10の作用効果を説明する。
【0037】
(ロボット30及び無人搬送車32の位置決め)
図10に示すように、ステップS001において、上位制御システム48は、無人搬送車32をステーション14の前の基準位置まで移動させる。ステップS002において、カメラ46でステーション14を撮影し、ロボット制御装置31に予め保存されている無人搬送車32が基準位置で停止した場合の基準画像データと比較して、基準位置からのずれが生じている場合には、ずれた距離を確認する(図10中A)。ここで、無人搬送車32の基準位置からずれた距離が閾値以上の場合(図10中A1)は、ステップS003へ移行し、ずれた距離が小さくするように無人搬送車32を移動させ、カメラ46でステーション14を撮影し、基準画像データと比較する。この結果、無人搬送車32の基準位置からずれた距離が閾値未満になった場合(図10中A2)には、ステップS004へ移行し、さらにずれが小さくなるようにロボットハンド42の位置を修正した上でステップS005へ移行する。
【0038】
つぎに、ステップS005において、カメラ46でワーク置き台24の置き台位置マーク50及び置き台情報マーク52を撮影し、ロボット制御装置31に予め保存されている無人搬送車32がワーク置き台24に対して基準位置にある場合の基準画像データと比較して、基準位置からのずれがある場合には、ずれた距離を確認する(図10中B)。また、ワーク置き台24に積載する部品番号をロボット制御装置31に記録する。さらに、ロボット制御装置31は、カメラ46で撮影したワーク置き台24の画像に基づき、ワーク置き台24上にワークWが積載されているか否かを確認する。ワークWのワーク置き台24上にワークWが積載されている場合には、積載する部品のワーク空き番号をロボット制御装置31に記録する。ここで、ワーク置き台24に対してずれた距離が閾値以上、又は、例えば、ワーク置き台24が設置されていない等の理由により比較できない場合(図10中B1)には、ステップS006へ移行し、ロボット制御装置31は、上位制御システム48へアラームを出力する。アラーム出力のあった上位制御システム48は、無人搬送車32を他のステーション15へ移動させる。また、ワーク置き台24に対してずれた距離が閾値未満の場合(図10中B2)には、ステップS007において、ロボット制御装置31は、さらにずれが小さくなるようにロボットハンド42の位置を修正した上で位置決めを完了し、ステップS008へ移行する。
【0039】
(ステーション14のドア20の開放)
ステップS008において、カメラ46でステーション14のドア20を撮影し、ロボット制御装置31に予め保存されているドア20の開放時及び閉鎖時における基準画像データと比較し、ドア20の状態を確認する(図10中C)。ここで、ドア20の閉鎖時におけるドア20の基準画像とずれがある場合において、ずれた距離が閾値未満の場合には、ドア20が閉鎖されていると判断してステップS009へ移行する(図10中C1)。ステップS009において、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してロック操作ボタン66aを押す。これによってドアロックを解除し、ステップS010へ移行する。また、ステップS008において、ドア20の状態が、ドア20の開放時及び閉鎖時におけるドア20の基準画像からずれた距離がいずれも閾値以上である場合、すなわち、開放時と閉鎖時の中間位置にある場合(図10中C2)にも、ステップS010へ移行する。
【0040】
ステップS010において、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してドア20を開放する。具体的には、ロボットハンド42は、ドア20に取り付けられたドアハンドル20aの少し左側(ドア20を閉鎖する側)の位置からドアハンドル20aに接触しながら右側(ドア20を開放する側)へ移動し、ドア20をスライドすることによってこれを開放する。ドア20を開放すると、ステップS011へ移行し、カメラ46によってドア20を撮影し、ドア20の開放時の基準画像データと比較して、ドア20が開放されているか否かを確認する(図10中D)。ここで、ドア20の開放時における基準位置に対してドア20のずれた距離が閾値以上である場合には、ステップS012へ移行し、ロボット制御装置31は、上位制御システム48へアラームを出力する。アラーム出力のあった上位制御システム48は、無人搬送車32を他のステーション15へ移動させる(図10中D1)。
【0041】
ステップS008において、ドア20の開放時における基準位置に対してドア20のずれた距離が閾値未満の場合(図10中C3)、又は、ステップS011において、ドア20が開放されていることを確認した場合(図10中D2)には、ステップS013へ移行する。
【0042】
(加工済みのワークWの取り外し)
ステップS013において、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動して供給装置ボタン66dを押す。これによってステーション15内のアングルプレート72のノズル連結部90と油空圧供給装置26とを接続させる。また、ロボット制御装置31は、カメラ46を作動してアングルプレート72における固定部材84の情報マーク88を撮影し、ロボット制御装置31に予め保存されている固定部材84の基準画像データと比較して、基準位置からずれた距離を確認する。ずれた距離が所定の閾値よりも大きい場合には、上位制御システム48は、ロボットハンド42を作動し、ロボットハンド42の位置を修正する。さらに、カメラ46によって、固定部材84に表示されている対応部品番号を撮影し、ロボット制御装置31に記録する。これを予めロボット制御装置31に記録したワーク置き台24の対応部品番号と一致するか否かを確認する(図10中E)。ここで、固定部材84に表示されている対応部品番号とワーク置き台24の対応部品番号とが一致しない場合(図10中E1)は、ステップS014へ移行し、ロボット制御装置31は、上位制御システム48へアラームを出力する。アラーム出力のあった上位制御システム48は、無人搬送車32を他のステーション15へ移動させる。
【0043】
一方、固定部材84に表示されている対応部品番号とワーク置き台24の対応部品番号とが一致する場合(図10中E2)は、ステップS015へ移行する。ステップS015において、アングルプレート72に加工済みのワークWが固定されている場合には、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してワーククランプボタン66bを押す。これによって、クランパ74の可動部材78が回動して爪部材82のワークWへの係合が解除されるため、クランパ74がアンクランプ状態となる。
【0044】
さらに、ステップS016へ移行し、正常にアンクランプ状態になったか否かを確認するために、ロボット制御装置31は、カメラ46を作動してアングルプレート72の固定部材84の情報マーク88と爪部材82の位置マーク86とを同時に撮影する。ここでは、鉛直方向上方側及び水平方向前方側の2方向からの撮影による、情報マーク88及び位置マーク86の平面図と正面図といった2方向の画像を取得する。なお、カメラ46として、3Dカメラやステレオカメラを使用する場合は、例えば、1回の撮影で取得された画像を正面方向からの画像と奥行き方向からの画像といった2方向の画像に分解して使用されてもよい。撮影するとステップS017へ移行し、ロボット制御装置31に予め保存されているアンクランプ状態の基準画像における位置マーク86と情報マーク88との相対位置関係と撮影した画像における位置マーク86と情報マーク88との相対位置関係とを比較する(図10中F)。具体的には、アンクランプ状態の基準画像における位置マーク86の第1の中心点86bと情報マーク88の一辺との水平横方向の間隔XU及び上下方向の間隔YU並びに位置マーク86の第1の中心点86bと情報マーク88の第2の端点88aとの水平前後方向の間隔ZU(いずれも図7b参照)と撮影した画像における間隔とを比較し、基準となる間隔との差異、すなわち間隔差を確認する。ここで、水平横方向の間隔XU、上下方向の間隔YU及び水平前後方向の間隔ZUとの間隔差の少なくとも1つが閾値以上の場合(図10中F1)は、ステップS018へ移行し、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してワーククランプボタン66bを押す。これによって、クランパ74の可動部材78が回動して爪部材82がワークWに係合するため、クランパ74がクランプ状態となる。さらに、ステップS019へ移行し、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してワーククランプボタン66bを押す。これによって、クランパ74の可動部材78が回動して爪部材82のワークWへの係合が解除されるため、クランパ74が再度アンクランプ状態となる。
【0045】
再度アンクランプ状態になると、ステップS020へ移行し、ロボット制御装置31は、再度カメラ46を作動して鉛直方向上方側及び水平方向前方側からアングルプレート72の固定部材84の情報マーク88と爪部材82の位置マーク86とを同時に撮影する。つぎに、ステップS021へ移行し、基準画像における位置マーク86の第1の中心点86bと情報マーク88の一辺との水平横方向の間隔XU及び上下方向の間隔YU並びに位置マーク86の第1の中心点86bと情報マーク88の第2の端点88aとの水平前後方向の間隔ZUと撮影した画像とを比較し、間隔差を確認する(図10中G)。ここで、水平横方向の間隔XU、上下方向の間隔YU及び水平前後方向の間隔ZUとの間隔差の少なくとも1つが閾値以上の場合(図10中G1)は、ステップS022へ移行し、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してワーククランプボタン66bを押す。これによってクランパ74の可動部材78が回動してワークWをクランプする。さらに、ロボット制御装置31は、上位制御システム48へアラームを出力する。アラーム出力のあった上位制御システム48は、無人搬送車32を他のステーション15へ移動させる。
【0046】
一方、水平横方向の間隔XU、上下方向の間隔YU及び水平前後方向の間隔ZUとの間隔差の全てが閾値未満の場合(図10中F2及びG2)は、ステップS023へ移行し、ロボット制御装置31は、ワークWは適切にアンクランプされたものと判断してステップS024へ移行する。ステップS024において、ロボット30はロボットハンド42を作動してアンクランプされたワークWを把持し、無人搬送車32によってワーク置き台24へと移動し、これにワークWを収納する。
【0047】
(未加工のワークWの取り付け)
ロボット30は、加工済みのワークWを取り外して片づけると、次の加工のために未加工のワークWの取り付けを開始する。ステップS025へ移行し、ロボット制御装置31はカメラ46を作動して材料置き台22の置き台位置マーク50及び置き台情報マーク52を撮影し、ロボット制御装置31に予め保存されている無人搬送車32が材料置き台22に対して基準位置にある場合の基準画像データと比較して、基準位置からのずれがある場合には、ずれた距離を確認する。ずれた距離が閾値以上ある場合には、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動し、その位置を修正する。さらに、ロボット制御装置31に対応部品番号を記録すると共に、これらの対応部品番号が固定部材84に表示されている対応部品番号と一致するか否かを確認する(図10中H)。ここで、固定部材84に表示されている対応部品番号と材料置き台22の対応部品番号とが一致しない場合(図10中H1)には、ステップS026へ移行し、ロボット制御装置31は、上位制御システム48へアラームを出力する。アラーム出力のあった上位制御システム48は、無人搬送車32を他のステーション15へ移動させる。
【0048】
(未加工のワークWのクランプ)
固定部材84に表示されている対応部品番号と材料置き台22の対応部品番号とが一致する場合は、ステップS027へ移行し、ロボット制御装置31はロボットハンド42を作動させて、材料置き台22上の未加工のワークWを把持し、アングルプレート72のワーク載置部76にワークWを載置する。つぎに、ステップS028へ移行し、ロボット制御装置31はロボットハンド42を作動してワーククランプボタン66bを押す。これによって、クランパ74の可動部材78が回動して爪部材82がワークWに係合するため、クランパ74がクランプ状態となる。
【0049】
さらに、ステップS029へ移行し、正常にクランプ状態になったか否かを確認するために、ロボット制御装置31はカメラ46を作動してアングルプレート72の固定部材84の情報マーク88と爪部材82の位置マーク86とを同時に撮影する。ここでの撮影は、撮影した画像がこれらの平面図になる鉛直方向上方側からの撮影と撮影した画像がこれらの正面図になる水平方向前方側からの撮影の2方向からの撮影を行う。撮影すると、ロボット制御装置31は、上位制御システム48に予め保存されているクランプ状態の基準画像における位置マーク86と情報マーク88との相対位置関係と撮影した画像における位置マーク86と情報マーク88との相対位置関係とを比較する(図10中J1)。具体的には、クランプ状態の基準画像における位置マーク86の第1の中心点86bと情報マーク88の一辺との水平横方向の間隔XC及び上下方向の間隔YC並びに位置マーク86の第1の中心点86bと情報マーク88の第2の端点88aとの水平前後方向の間隔ZC(いずれも図7a参照)と撮影した画像とを比較し、基準となる間隔との差異、すなわち間隔差を確認する。
【0050】
ここで、水平横方向の間隔XC、上下方向の間隔YC及び水平前後方向の間隔ZCとの間隔差の少なくとも1つが閾値以上の場合には、ステップS030へ移行し、ロボット制御装置31は、間隔差が閾値以上のクランパ74の位置を記録する。つぎに、ステップS031へ移行し、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してワーククランプボタン66bを押す。これによって、クランパ74の可動部材78が回動して爪部材82のワークWへの係合が解除されるため、クランパ74がアンクランプ状態となる。さらに、ステップS032へ移行し、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してワークWを把持し、材料置き台22上の仮置台23へ一旦移動させる。つぎに、ステップS033へ移行して、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してエアノズル68をステーション14の格納位置から引き出し、クランパ74及びワークWの取り付け位置及びこれらの周辺を清掃する。これによって、クランパ74がごみ等を挟み込むことによって適切にクランプ状態にならない場合は、これを解消することができる。さらに、ステップS034へ移行し、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動して仮置台23上のワークWを把持し、ワーク載置部76に載置する。続いて、ステップS035へ移行し、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してワーククランプボタン66bを押す。これによってクランパ74の可動部材78が回動して爪部材82がワークWに係合するため、クランパ74がクランプ状態となる。
【0051】
ワークWがクランパ74によってクランプされると、ステップS036へ移行し、正常にクランプ状態になったか否かを確認するために、カメラ46によってアングルプレート72の固定部材84の情報マーク88と爪部材82の位置マーク86とを同時に撮影する。ここでの撮影は、撮影した画像がこれらの平面図になる鉛直方向上方側からの撮影と撮影した画像がこれらの正面図になる水平方向前方側からの撮影の2方向からの撮影を行う。撮影すると、ロボット制御装置31に予め保存されているクランプ状態の基準画像における位置マーク86と情報マーク88との相対位置関係と撮影した画像における位置マーク86と情報マーク88との相対位置関係とを比較する(図10中K)。具体的には、クランプ状態の基準画像における位置マーク86の第1の中心点86bと情報マーク88の一辺との水平横方向の間隔XC及び上下方向の間隔YC並びに位置マーク86の第1の中心点86bと情報マーク88の第2の端点88aとの水平前後方向の間隔ZC(いずれも図7a参照)と撮影した画像とを比較し、間隔差を確認する。
【0052】
ここで、水平横方向の間隔XC、上下方向の間隔YC及び水平前後方向の間隔ZCとの間隔差の少なくとも1つが閾値以上の場合には、ステップS037へ移行し、ロボットハンド42を作動してワーククランプボタン66bを押す。これによって、クランパ74の可動部材78が回動して爪部材82のワークWへの係合が解除されるため、クランパ74がアンクランプ状態となる。さらに、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してアンクランプ状態のワークWを挟持し、ワークWを材料置き台22の仮置台23上へ戻す。ワークWを仮置台23上へ載置すると、ロボット制御装置31は、上位制御システム48へアラームを出力する。アラーム出力のあった上位制御システム48は、無人搬送車32を他のステーション15へ移動させる(図10中K1)。
【0053】
水平横方向の間隔XC、上下方向の間隔YC及び水平前後方向の間隔ZCとの間隔差の全てが閾値未満の場合(図10中J2/K2)には、ステップS038へ移行し、ロボット制御装置31は、カメラ46を作動して圧力計92を撮影し、撮影した画像に基づき、クランパ74に閾値以上の圧力が供給されているか否かを判断する(図10中L)。圧力が閾値未満の場合は、ステップS039へ移行し、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してワーククランプボタン66bを押す。これによって、クランパ74の可動部材78が回動して爪部材82のワークWへの係合が解除されるため、クランパ74がアンクランプ状態となる。さらに、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してワークWを挟持し、材料置き台22上の仮置台23へ移動させる。ワークWを仮置台23上に載置すると、ロボット制御装置31は、上位制御システム48へアラームを出力する。アラーム出力のあった上位制御システム48は、無人搬送車32を他のステーション15へ移動させる(図10中L1)。
【0054】
ステップS038において、ロボット制御装置31が、クランパ74に閾値以上の圧力が供給されていると判断した場合は、ステップS040へ移行し、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動して供給装置ボタン66dを押すことによってアングルプレート72のノズル連結部90と油空圧供給装置26との接続を解除する。油空圧供給装置26が接続解除されると、ロボット制御装置31は、カメラ46を作動して圧力計92を撮影し、撮影した画像に基づき、油空圧供給装置26が接続解除された後もクランパ74に閾値以上の圧力が供給されているか否かを判断する(図10中M)。
【0055】
圧力が閾値未満の場合は、ステップS041へ移行し、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動して供給装置ボタン66dを押してアングルプレート72のノズル連結部90と油空圧供給装置26とを再度接続する。また、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してワーククランプボタン66bを押す。これによってクランパ74の可動部材78が回動して爪部材82のワークWへの係合が解除されるため、クランパ74がアンクランプ状態となる。さらに、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してアンクランプ状態のワークWを挟持し、材料置き台22上の仮置台23へ移動する。ロボット制御装置31は、ワークWを仮置台23上へ載置すると、上位制御システム48へアラームを出力する。アラーム出力のあった上位制御システム48は、無人搬送車32を他のステーション15へ移動させる(図10中M1)。
【0056】
圧力が閾値以上の場合は、ステップS042へ移行し、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してドア20を閉鎖する。具体的には、ロボットハンド42は、ドアハンドル20aの少し右側(ドア20を開放する側)の位置からドアハンドル20aに接触しながら左側(ドア20を閉鎖する側)へ移動し、ドア20をスライドすることによってドア20を閉鎖する。ロボット制御装置31は、ドア20を閉鎖すると、ロボットハンド42を作動してロック操作ボタン66aを押してドア20をロックする。さらに、ロボットハンド42を作動してワークセット完了ボタン66cを押すことによって、ワークWのセットが完了したことを工作機械12に伝達することができる。
【0057】
本実施形態に係るワーク着脱システム10によると、ロボット30は、ワークWを把持可能に構成されたロボットハンド42を有し、任意の方向に移動可能な無人搬送車32によって移動することができる。このため、上位制御システム48は、ロボット30を載置した無人搬送車32を作動させることによってロボット30をステーション14、15まで移動させ、ロボット制御装置31は、ロボット30のロボットハンド42を作動させることによってワークWをワーク取付台16に配置することができる。これによって、ステーション14、15ごとにロボット30を配置するのではなく、ワークWの着脱を必要とするステーション14、15へ適宜ロボット30を移動すればよく、ロボット30を用いたワークWの着脱を効率的に行うことができる。
【0058】
さらに、本実施形態に係るワーク着脱システム10によると、ロボット30は、撮影するための基準位置において可動部材78及び固定部材84を撮影可能に構成されたカメラ46を有し、無人搬送車32によって撮影位置まで移動することができる。上位制御システム48は、ロボット30を載置した無人搬送車32を作動させることによってロボット30を撮影位置へ移動させ、ロボット制御装置31は、カメラ46を作動させることによって可動部材78及び固定部材84を同時に撮影することができる。このため、ロボット制御装置31は、撮影された可動部材78及び固定部材84の画像に基づいて、ワーク取付台16に対するワークWの着脱状態を判断することができ、ワーク取付台16にワークWが適切に取り付けられていると判断した場合には加工を継続することができる。また、ロボット制御装置31がワーク取付台16にワークWが適切に取り付けられていないと判断した場合には、上位制御システム48は、例えば、クランパ74及びロボット30を作動してワークWを一旦アンクランプした上で再度クランプする工程や、クランプを改善するために加工を中断するといった工程を含めることができる。これによって、ステーション14、15の不具合の確認やその解消のための工程を含めることができ、ロボット30を用いたワークWの着脱を効率的に行うことができる。
【0059】
また、本実施形態に係るワーク着脱システム10によると、可動部材78にはこれが作動することによって向きが変化する位置マーク86が形成されている。また、固定部材84には、情報マーク88が形成されている。位置マーク86及び情報マーク88の表示面は、いずれもアングルプレート72からドア20の方向へ向けて表示されており、カメラ46によって同時に撮影することができる。このため、カメラ46によって撮影した画像の基準位置を明確にすることができる。さらに、基準画像との比較は、ここでは、鉛直方向上方側及び水平方向前方側から撮影された可動部材78及び固定部材84の画像に基づいて行われる。これによって、可動部材78と固定部材84との相対位置関係の判断、すなわちクランプ状態又はアンクランプ状態を確実に判断することができ、ロボット30を用いたワークWの着脱を効率的に行うことができる。
【0060】
さらに、本実施形態に係るワーク着脱システム10によると、適切にクランプ状態になっていない、すなわち適切にワークWがクランプされていないと判断したロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してワークWを把持し、材料置き台22上の仮置台23へ一旦移動させる。ワークWを移動させると、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してエアノズル68をステーション14の格納位置から引き出し、クランパ74及びワークWの取り付け位置及びこれらの周辺を清掃するように構成されている。このため、クランパ74がごみ等を挟み込むことによって適切にクランプ状態にならない場合は、これを解消することができる。これによって、ワークWを安定して、かつ、確実にクランプすることができ、ロボット30を用いたワークWの着脱を効率的に行うことができる。
【0061】
また、本実施形態に係るワーク着脱システム10によると、ワーク取付台16は、油空圧供給装置26を用いてクランパ74に供給された圧力を表示するための圧力計92を備える。ロボット制御装置31は、ワークWがクランプされ、油空圧供給装置26が接続解除されると、カメラ46を作動して圧力計92を撮影し、撮影した画像に基づき、油空圧供給装置26が接続解除された後もクランパ74に閾値以上の圧力が供給されているか否かを判断することができる。ここで、圧力が閾値未満の場合は、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動して供給装置ボタン66dを押すことによって、アングルプレート72のノズル連結部90と油空圧供給装置26とを再度接続するように構成されている。また、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してワーククランプボタン66bを押すことによって、クランパ74の可動部材78が回動して爪部材82のワークWへの係合を解除し、クランパ74をアンクランプ状態にできるように構成されている。さらに、ロボット制御装置31は、ロボットハンド42を作動してアンクランプ状態のワークWを挟持し、材料置き台22の仮置台23上へ移動するように構成されている。これによって、ステーション14、15の不具合を発見した場合にはその解消を優先すべくワークWの加工を中断することができ、ロボット30を用いたワークWの着脱を効率的に行うことができる。
【0062】
以上により、本実施形態に係るワーク着脱システム10によれば、ロボット30を用いたワークWの着脱を効率的に行うことができる。
【0063】
(変形例)
以下、本実施形態に係るワーク着脱システム10の変形例について説明する。本実施形態と同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0064】
変形例に係るワーク着脱システム10によれば、ワーク取付台16のプレート台座70上には、水平方向に沿って延在するパレット102が配置されている。4つのクランパ74は、パレット102の上方側に配置されており、パレット102の上面に配置されるワークWをクランプするように構成されている。また、圧力計92は、ノズル連結部90の上方側に配置されている。
【0065】
ロボット30は、クランパ74のアンクランプ状態及びクランプ状態の確認、すなわち判断を、予めロボット制御装置31に記録した基準画像をカメラ46で撮影した画像と比較することによって行うように構成されている。具体的には、撮影した画像における位置マーク86と情報マーク88との相対位置関係を基準画像における相対位置関係と比較する。基準画像における相対位置関係としては、クランプ状態では、上方側から撮影した基準画像における位置マーク86の第1の中心点86bと情報マーク88の一辺との水平横方向の間隔XC及び水平前後方向の間隔YC、並びに、正面側から撮影した基準画像における位置マーク86の第1の中心点86bと情報マーク88の第2の端点88aとの上下方向の間隔ZCを用いる。また、アンクランプ状態では、上方側から撮影した基準画像における位置マーク86の第1の中心点86bと情報マーク88の一辺との水平横方向の間隔XU及び水平前後方向の間隔YU、並びに、正面側から撮影した基準画像における位置マーク86の第1の中心点86bと情報マーク88の第2の端点88aとの上下方向の間隔ZUを用いる。
【0066】
変形例に係るワーク着脱システム10によると、ロボット制御装置31は、カメラ46で撮影した画像に基づいて、ワーク取付台16に対するワークWの着脱状態を判断することができ、ワーク取付台16にワークWが適切に取り付けられていると判断した場合には加工を継続することができる。また、ロボット制御装置31がワーク取付台16にワークWが適切に取り付けられていないと判断した場合には、上位制御システム48は、例えば、クランパ74及びロボット30を作動してワークWを一旦アンクランプした上で再度クランプした場合であってもワークWが適切に取り付けられていないと判断した場合は加工を中断することができる。これによって、ステーション14、15の不具合を発見した場合にはこれを解消するための工程を含めることができ、ロボット30を用いたワークWの着脱を効率的に行うことができる。
【0067】
なお、ここでは、ドア20の横に配置された4つの操作ボタン66a、66b、66c、66dをロボットハンド42が押すものとして説明したが、これに限らず、例えば、上位制御システムからの通信によって自動化されてもよい。
【0068】
また、ここでは、油空圧供給装置26は、ワーク取付台16の側方から接続されるものとして説明したが、これに限らず、例えば、ワーク取付台の上方側と接続するような上部オンライン形油圧供給装置等とされてもよい。
【0069】
さらに、ここでは、クランパ74は、軸部材80を回動させて爪部材82をワークWに係合させるものとして説明したが、これに限らず、例えば、リンククランプや直動クランプのような他の種類のクランパが用いられてもよい。
【0070】
また、ここでは、ワーク取付台16は、ステーション14、15の内部に配置されているとして説明したが、これに限らず、例えば、ワーク取付台単体で使用されてもよい。
【0071】
以上、ワーク着脱システム10の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。当業者であれば、上記の実施形態の様々な変形が可能であることを理解できると考えられる。
【符号の説明】
【0072】
10 ワーク着脱システム
14 ステーション(ワーク取付装置)
15 ステーション(ワーク取付装置)
16 ワーク取付台
30 ロボット
31 ロボット制御装置(制御装置)
32 無人搬送車(移動体)
42 ロボットハンド(ハンド)
46 カメラ
48 上位制御システム(制御装置)
68 エアノズル(清掃手段)
74 クランパ
78 可動部材
84 固定部材
86 位置マーク(第1の撮影部)
88 情報マーク(第2の撮影部)
92 圧力計
100 ワーク取付台
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8
図9a
図9b
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工のためにワークを着脱するワーク着脱システムであって、
前記ワークを取付けるためのワーク取付台と、可動部材を作動することによって前記ワークを前記ワーク取付台に対して取り付ける、又は、取り外すためのクランパと、前記クランパの近傍に固定された固定部材とを有するワーク取付装置と、
前記可動部材に形成され、前記可動部材が作動することによって位置が変化する第1の撮影部であって、前記クランパのクランプ状態及びアンクランプ状態を確認する際の基準位置とするための位置マークである第1の撮影部と、
前記固定部材に形成された第2の撮影部であって、前記クランパのクランプ状態及びアンクランプ状態を確認する際の基準位置とするための情報マークである第2の撮影部と、
前記ワークを把持可能に構成されたハンドと、撮影位置において前記可動部材及び前記固定部材を撮影可能に構成されたカメラとを有するロボットと、
前記ロボットを載置し、前記ロボットを前記撮影位置へ移動するために、任意の方向に移動可能な移動体と、
前記クランパ、前記ロボット及び前記カメラを作動するための制御装置であって、前記カメラで撮影した画像に基づいて、前記ワーク取付台に対する前記ワークの着脱状態を判断する制御装置と、を備え、
前記カメラは、前記第1の撮影部及び前記第2の撮影部を同時に撮影することを特徴としたワーク着脱システム。
【請求項2】
前記第1の撮影部と前記第2の撮影部とは同じ方向で前記カメラと対向し、前記カメラは、前記第1の撮影部及び前記第2の撮影部を同時に撮影することを特徴とする請求項1に記載のワーク着脱システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記カメラで撮影した画像における前記第1の撮影部と前記第2の撮影部との位置関係から、前記クランパが前記ワークを前記ワーク取付台に取り付けるクランプ状態、又は、前記ワークを前記ワーク取付台から取り外すアンクランプ状態にあることを判断し、
前記可動部材が前記クランプ状態又は前記アンクランプ状態の基準位置から閾値以上ずれていると判断した場合は、清掃手段を作動して、前記クランパ及び前記ワークの周辺を清掃するように構成されている請求項2に記載のワーク着脱システム。
【請求項4】
前記ワーク取付台は、油空圧供給装置を用いて前記クランパに供給された圧力を表示するための圧力計を備え、
前記制御装置は、前記カメラによって撮影された前記圧力計の画像から前記クランパの圧力値を検出し、該圧力値が閾値以下の場合は、前記ワークを前記ワーク取付台から取り外すように構成されている請求項3に記載のワーク着脱システム。