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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131079
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】自律作業システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240920BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G05D1/02 P
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041121
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】松下 克己
(72)【発明者】
【氏名】野村 篤司
【テーマコード(参考)】
3F522
5H301
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB25
3F522BB35
3F522CC01
5H301AA02
5H301AA10
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG17
5H301KK02
5H301KK08
5H301KK09
5H301KK18
5H301KK19
5H301QQ04
(57)【要約】
【課題】自律作業機の作業効率を向上させる。
【解決手段】自律作業システムは、複数の自律作業機と、第1充電ステーションと、管理コンピュータとを備える。複数の自律作業機のそれぞれは、作業位置に他の自律作業機がいる場合には、第1待機位置において待機する。第1充電ステーションは、第1待機位置に配置される。第1充電ステーションは、第1待機位置において待機している自律作業機のバッテリを、ワイヤレス電力伝送により充電する。管理コンピュータは、複数の物品のそれぞれの重量と、複数の物品のそれぞれの保管場所と作業位置との間の距離とを取得する。管理コンピュータは、複数の自律作業機のそれぞれのバッテリの充電残量を取得する。管理コンピュータは、複数の物品のそれぞれの重量と距離と、複数の自律作業機のそれぞれのバッテリの充電残量とに基づいて、複数の物品から、複数の自律作業機のそれぞれに割り当てる物品を決定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを含み、複数の物品を、前記複数の物品のそれぞれの保管場所と、所定の作業を行うための作業位置との間でそれぞれ搬送し、前記作業位置に他の自律作業機がいる場合には、第1待機位置において待機する複数の自律作業機と、
前記第1待機位置に配置され、前記第1待機位置において待機している前記自律作業機の前記バッテリを、ワイヤレス電力伝送により充電する第1充電ステーションと、
管理コンピュータと、
を備え、
前記管理コンピュータは、
前記複数の物品のそれぞれの重量と、前記複数の物品のそれぞれの前記保管場所と前記作業位置との間の距離とを取得し、
前記複数の自律作業機のそれぞれの前記バッテリの充電残量を取得し、
前記複数の物品のそれぞれの前記重量と前記距離と、前記複数の自律作業機のそれぞれの前記バッテリの充電残量とに基づいて、前記複数の物品から、前記複数の自律作業機のそれぞれに割り当てる物品を決定する、
自律作業システム。
【請求項2】
前記管理コンピュータは、
前記複数の物品のそれぞれの前記距離と前記重量とに基づいて、前記複数の物品のそれぞれの搬送に必要な電力量を示す必要電力ランクを決定し、
前記複数の物品のそれぞれの前記必要電力ランクと、記複数の自律作業機のそれぞれの前記バッテリの充電残量とに基づいて、前記複数の物品から、前記複数の自律作業機のそれぞれに割り当てる物品を決定する、
請求項1に記載の自律作業システム。
【請求項3】
前記管理コンピュータは、
前記複数の物品のそれぞれの前記距離の大きさに応じた距離ランクを取得し、
前記複数の物品のそれぞれの前記重量の大きさに応じた重量ランクを取得し、
前記距離ランクと前記重量ランクとに基づいて、前記必要電力ランクを決定する、
請求項2に記載の自律作業システム。
【請求項4】
前記作業位置に配置され、前記所定の作業中に、前記作業位置において待機している前記自律作業機の前記バッテリを、ワイヤレス電力伝送により充電する作業充電ステーションをさらに備える、
請求項1に記載の自律作業システム。
【請求項5】
前記複数の自律作業機は、前記第1待機位置に他の自律作業機がいる場合には、第2待機位置において待機し、
前記第2待機位置に配置され、前記第2待機位置において待機している前記自律作業機の前記バッテリを、ワイヤレス電力伝送により充電する第2充電ステーションをさらに備える、
請求項1に記載の自律作業システム。
【請求項6】
前記複数の自律作業機は、第1自律作業機と第2自律作業機と第3自律作業機とを含み、
前記第2自律作業機は、前記作業位置に前記第1自律作業機がいる場合には、前記第1待機位置において待機し、
前記第1充電ステーションは、前記第1待機位置において待機している前記第2自律作業機の前記バッテリを充電し、
前記第3自律作業機は、前記第1待機位置に前記第2自律作業機がいる場合には、前記第2待機位置において待機し、
前記第2充電ステーションは、前記第2待機位置において待機している前記第3自律作業機の前記バッテリを充電する、
請求項5に記載の自律作業システム。
【請求項7】
前記第2自律作業機は、前記作業位置が空いた場合には、前記第1待機位置から前記作業位置に移動し、
前記第3自律作業機は、前記第1待機位置が空いた場合には、前記第2待機位置から前記第1待機位置に移動し、
前記第1充電ステーションは、前記第1待機位置において待機している前記第3自律作業機の前記バッテリを充電する、
請求項6に記載の自律作業システム。
【請求項8】
前記複数の自律作業機のそれぞれは、前記保管場所から、割り当てられた前記物品を前記作業位置に搬送し、前記物品のピッキングが完了するまで前記作業位置において待機する、
請求項1から7のいずれかに記載の自律作業システム。
【請求項9】
前記複数の自律作業機のそれぞれは、割り当てられた前記物品を、前記作業位置において受け取り、前記物品を前記作業位置から前記保管場所に搬送する、
請求項1から7のいずれかに記載の自律作業システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律作業システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自律作業機を作業経路に従って自律走行させ、所定の作業位置において作業を行わせる自律作業システムが知られている。例えば、特許文献1では、自律移動ロボットを所定の作業エリア内で自律走行させる自律移動システムが開示されている。例えば、自律搬送ロボットは、所定の保管場所から所定の作業位置まで、物品を搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-112212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した自律作業機は、搬送途中でバッテリの残容量が少なくなった場合には、作業エリア内に配置された充電ステーションまで移動する。充電ステーションは、自律作業機のバッテリを充電する。充電ステーションは、作業位置及び保管場所から離れた場所にある。そのため、自律作業機が充電ステーションまで移動するために時間がかかる。また、充電ステーションは、接点方式であるため、自律作業機の位置合わせにも時間がかかる。さらに、自律作業機が充電ステーションにおいて充電している間は、自律作業機は作業を行うことができない。そのため、作業効率が低下する。本発明の目的は、自律作業機の作業効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る自律作業システムは、複数の自律作業機と、第1充電ステーションと、管理コンピュータとを備える。複数の自律作業機のそれぞれは、バッテリを含む。複数の自律作業機のそれぞれは、複数の物品のそれぞれの保管場所と、所定の作業を行うための作業位置との間で物品を搬送する。複数の自律作業機のそれぞれは、作業位置に他の自律作業機がいる場合には、第1待機位置において待機する。第1充電ステーションは、第1待機位置に配置される。第1充電ステーションは、第1待機位置において待機している自律作業機のバッテリを、ワイヤレス電力伝送により充電する。
【0006】
管理コンピュータは、複数の物品のそれぞれの重量と、複数の物品のそれぞれの保管場所と作業位置との間の距離とを取得する。管理コンピュータは、複数の自律作業機のそれぞれのバッテリの充電残量を取得する。管理コンピュータは、複数の物品のそれぞれの重量と距離と、複数の自律作業機のそれぞれのバッテリの充電残量とに基づいて、複数の物品から、複数の自律作業機のそれぞれに割り当てる物品を決定する。
【0007】
本態様に係る自律作業システムでは、自律作業機は、第1待機位置において待機している間に、第1充電ステーションによって充電される。そのため、自律作業機が充電ステーションまで移動するための時間が省略される。また、第1充電ステーションは、ワイヤレス電力伝送により、自律作業機を充電する。そのため、自律作業機の位置合わせのための時間が短縮される。さらに、自律作業機は、第1待機位置での待ち時間の間に充電される。そのため、作業効率が向上する。
【0008】
また、本態様に係る自律作業システムでは、複数の物品のそれぞれの保管場所と作業位置との間の距離、及び、重量と、複数の自律作業機のそれぞれのバッテリの充電残量とに基づいて、複数の自律作業機のそれぞれに割り当てられる物品が決定される。そのため、物品の搬送中にバッテリの充電残量がなくなってしまうことが抑えられる。或いは、自律作業機が、バッテリの充電のために物品の搬送を中断してしまうことが抑えられる。それにより、作業効率がさらに向上する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自律作業機の作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る自律作業システムと作業エリアとを示す平面図である。
図2】自律作業機と充電ステーションとの構成を示すブロック図である。
図3】自律作業システムと作業エリアとを示す平面図である。
図4】自律作業機に割り当てられる保管棚を決定するために管理コンピュータによって実行される処理を示すフローチャートである。
図5】第1管理データの一例を示す図である。
図6】第2管理データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態にかかる自律作業システムについて説明する。図1は、本実施形態に係る自律作業システム100と、自律作業システム100が配置される作業エリア200とを示す平面図である。作業エリア200は、例えば倉庫内のエリアである。ただし、作業エリア200は、屋外であってもよい。
【0012】
作業エリア200は、保管場所201と作業場所202とを含む。保管場所201には、複数の保管棚4が配置されている。複数の保管棚4のそれぞれには、物品5が格納されている。複数の保管棚4は、それぞれ独立して搬送可能である。なお、図面においては、複数の保管棚4の1つのみに符号“4”を付しており、他の保管棚4の符号は省略されている。
【0013】
作業場所202には、収集棚6が配置されている。作業場所202には作業者W1が居ており、作業者W1は、作業位置P0に搬送された保管棚4から、物品5を取り出して収集棚6に入れるピッキング作業を行う。
【0014】
自律作業システム100は、複数の自律作業機1A-1Gと、管理コンピュータ2と、複数の充電ステーションS0-S2とを含む。複数の自律作業機1A-1Gのそれぞれは、指定された物品5が入った保管棚4を、ピッキング作業を行うための作業位置P0に搬送する。それにより、複数の自律作業機1A-1Gのそれぞれは、指定された物品5を作業位置P0に搬送する。作業位置P0は、作業場所202に隣接している。例えば、自律作業機1A-1Gは、保管棚4を下方から持ち上げ、作業位置P0に移動し、保管棚4を作業位置P0に降ろす。複数の自律作業機1A-1Gは、第1~第7自律作業機1A-1Gを含む。
【0015】
管理コンピュータ2には、入力装置7が接続されている。入力装置7は、例えばタッチスクリーンを含む。或いは、入力装置7は、ハードウェアキーを含んでもよい。入力装置7は、作業者W1によって操作可能である。入力装置7は、入力装置7への入力を示す入力信号を管理コンピュータ2に送信する。
【0016】
管理コンピュータ2は、複数の自律作業機1A-1Gと無線通信を行う。管理コンピュータ2は、複数の自律作業機1A-1Gを移動させる指令信号を送信する。例えば、管理コンピュータ2は、複数の自律作業機1A-1Gのそれぞれに、指定された物品5が入った保管棚4を、作業位置P0に搬送するように指令信号を送信する。自律作業機1A-1Gは、指定された物品5が入った保管棚4の位置に移動する。自律作業機1A-1Gは、指定された物品5が入った保管棚4を持ち上げ、作業場所202へ移動する。自律作業機1A-1Gは、ピッキング作業が完了するまで、作業位置P0において待機する。
【0017】
自律作業機1A-1Gは、作業位置P0に他の自律作業機がいる場合には、第1待機位置P1において待機する。第1待機位置P1は、作業位置P0に隣接している。自律作業機1A-1Gは、第1待機位置P1に他の自律作業機がいる場合には、第2待機位置P2において待機する。第2待機位置P2は、第1待機位置P1に隣接している。以下同様に、作業位置P0と、複数の待機位置P1-P4とのうち、1つ前の位置に他の自律作業機がいる場合には、自律作業機1A-1Gは、次の待機位置において待機する。
【0018】
複数の充電ステーションS0-S2は、作業位置P0と、複数の待機位置P1,P2とに、それぞれ配置されている。複数の充電ステーションS0-S2は、作業位置P0と、複数の待機位置P1,P2とのそれぞれにおいて待機している自律作業機を、ワイヤレス電力伝送により充電する。複数の充電ステーションS0-S2は、待機している自律作業機の側方に配置される。或いは、複数の充電ステーションS0-S2は、待機している自律作業機の下方、或いは上方に配置されてもよい。
【0019】
詳細には、複数の充電ステーションS0-S2は、作業充電ステーションS0と、第1充電ステーションS1と、第2充電ステーションS2とを含む。作業充電ステーションS0は、作業位置P0に配置される。作業充電ステーションS0は、作業位置P0において待機している自律作業機を充電する。第1充電ステーションS1は、第1待機位置P1に配置される。第1充電ステーションS1は、第1待機位置P1において待機している自律作業機を充電する。第2充電ステーションS2は、第2待機位置P2に配置される。第2充電ステーションS2は、第2待機位置P2において待機している自律作業機を充電する。
【0020】
図2は、第1自律作業機1Aと作業充電ステーションS0との構成を示すブロック図である。図2に示すように、第1自律作業機1Aは、走行モータ11と、作業モータ12と、バッテリ13とを含む。走行モータ11と作業モータ12とは、電動モータである。走行モータ11は、第1自律作業機1Aを走行させる。
【0021】
作業モータ12は、第1自律作業機1Aの作業用のアクチュエータ14を駆動する。それにより、第1自律作業機1Aが所定の作業を行う。アクチュエータ14は例えば保管棚4を持ち上げるリフターであってもよい。或いは、アクチュエータ14は、ロボットアームであってもよい。バッテリ13は、走行モータ11と作業モータ12とに電力を供給する。第1自律作業機1Aは、バッテリ13に蓄えられた電力により、自律的に保管場所201から作業場所202まで走行し、指定された保管棚4を作業位置P0に搬送する。
【0022】
第1自律作業機1Aは、ワイヤレス電力伝送の受電ユニット21を含む。作業充電ステーションS0は、ワイヤレス電力伝送の送電ユニット31を含む。送電ユニット31は、送電コイル32と送電制御回路33とを含む。送電コイル32は、電力供給用のコイルである。送電制御回路33は、商用電源40から供給される電力を、送電コイル32において磁界を発生させるための所定周波数の電力に変換して送電コイル32に供給する。
【0023】
受電ユニット21は、受電コイル22と受電制御回路23とを含む。受電コイル22は、電力取出用のコイルである。受電コイル22は、送電コイル32と磁気結合し、電磁誘導方式によって、送電コイル32から電力を受け取る。なお、電磁誘導方式は、送電コイル32と受電コイル22との少なくとも一方に共振回路を構成する手段を含んでもよい。受電制御回路23は、受電コイル22で生じた電力を、バッテリ13を充電するための電力に変換して、バッテリ13に供給する。それにより、バッテリ13が充電される。
【0024】
第1自律作業機1Aは、作業機コントローラ24を含む。作業機コントローラ24は、第1自律作業機1Aの動作を制御する。作業機コントローラ24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーと、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等のメモリを含む。作業機コントローラ24は、第1自律作業機1Aによる作業を行うためのデータ及びプログラムを記憶している。例えば、作業機コントローラ24は、複数の保管棚4のそれぞれの位置と、作業位置P0と、待機位置P1-P4とを記憶している。
【0025】
第1自律作業機1Aは、位置センサ25を含む。位置センサ25は、第1自律作業機1Aの位置を検出する。位置センサ25は、例えば、IMU(Inertial Measurement Unit)を含む。或いは、位置センサ25は、GPS(Global Positioning System)などの受信機を含んでもよい。作業機コントローラ24は、第1自律作業機1Aの位置と、複数の保管棚4のそれぞれの位置と、作業位置P0と、待機位置P1-P4とに基づいて、第1自律作業機1Aを、保管棚4、作業位置P0、或いは待機位置P1-P4へ移動させる。
【0026】
第1自律作業機1Aは、通信モジュール26を含む。通信モジュール26は、管理コンピュータ2と無線通信を行う。第1自律作業機1Aは、物体センサ27を含む。物体センサ27は、第1自律作業機1Aの近くにおける物体の有無を検出する。物体センサ27は、例えば光電センサであってもよく、或いは電波或いはレーザ光を用いたセンサであってもよい。第1自律作業機1Aは、物体センサ27によって、作業位置P0、或いは待機位置P1-P4に他の自律作業機があることを検出する。
【0027】
他の自律作業機1B-1Gの構成は、第1自律作業機1Aと同様である。第1充電ステーションS1と第2充電ステーションS2との構成は、作業充電ステーションS0の構成と同様である。
【0028】
図1に示すように、例えば、第1自律作業機1Aは、保管棚4Aを搬送しており、作業位置P0において待機している。作業者W1は、第1自律作業機1Aが搬送してきた保管棚4Aに対してピッキング作業を行う。その間、作業充電ステーションS0は、第1自律作業機1Aを充電する。
【0029】
第2自律作業機1Bは、保管棚4Bを搬送している。第2自律作業機1Bは、第1自律作業機1Aが作業位置P0において待機している場合には、第1待機位置P1において待機する。その間、第1充電ステーションS1は、第2自律作業機1Bを充電する。
【0030】
第3自律作業機1Cは、保管棚4Cを搬送している。第3自律作業機1Cは、第2自律作業機1Bが第1待機位置P1において待機している場合には、第2待機位置P2において待機する。その間、第2充電ステーションS2は、第3自律作業機1Cを充電する。他の自律作業機1D,1Eも同様に、それぞれ保管棚4D,4Eを搬送しており、次の待機位置P3,P4において、それぞれ待機する。なお、次の待機位置P3,P4にも充電ステーションが配置されてもよい。自律作業機1F,1Gは、保管場所201において、それぞれ指定された保管棚4F,4Gの位置に向かって移動中である。
【0031】
作業位置P0において保管棚4Aに対するピッキング作業が終了すると、図3に示すように、第1自律作業機1Aは、次の保管棚4A’を搬送するために作業位置P0から次の保管棚4A’の位置に移動する。例えば、作業者W1は、ピッキング作業が終了したことを入力装置7に入力する。管理コンピュータ2は、入力装置7からの入力信号によってピッキング作業が終了したことを検出すると、次の保管棚4A’を搬送するように、第1自律作業機1Aに指令信号を送信する。或いは、管理コンピュータ2は、ピッキング作業が終了したことを、作業者W1による入力によらず、センサ等によって自動的に検出してもよい。
【0032】
作業位置P0が空くと、第2自律作業機1Bは、第1待機位置P1から作業位置P0へ移動し、作業位置P0において待機する。作業者W1は、第2自律作業機1Bが搬送してきた保管棚4Bに対してピッキング作業を行う。その間、作業充電ステーションS0は、第2自律作業機1Bを充電する。
【0033】
第1待機位置P1が空くと、第3自律作業機1Cは、第2待機位置P2から第1待機位置P1へ移動し、第1待機位置P1において待機する。その間、第1充電ステーションS1は、第3自律作業機1Cを充電する。以下同様に、1つ前の待機位置が空くと、次の待機位置で待機していた自律作業機が1つ前の待機位置に移動して待機する。上記の作業が繰り返されることで、各自律作業機1A-1Gは、待機中に充電ステーションS0-S2によって充電される。
【0034】
次に、各自律作業機1A-1Gに割り当てられる保管棚の決定方法について説明する。管理コンピュータ2は、保管棚の重量と、保管場所と作業位置P0との間の距離と、自律作業機1A-1Gのそれぞれのバッテリの充電残量とに基づいて、自律作業機1A-1Gのそれぞれに割り当てる保管棚を決定する。図4は、各自律作業機1A-1Gに割り当てられる保管棚を決定するために管理コンピュータ2によって実行される処理を示すフローチャートである。
【0035】
図4に示すように、ステップS101では、管理コンピュータ2は、自律作業機のバッテリの充電残量を取得する。管理コンピュータ2は、作業位置P0においてピッキング作業が終了した自律作業機のバッテリの充電残量を取得する。例えば、図1に示すように、第1自律作業機1Aが作業位置P0においてピッキング作業が終了したときに、管理コンピュータ2は、第1自律作業機1Aのバッテリ13の充電残量を取得する。
【0036】
ステップS102では、管理コンピュータ2は、保管棚の重量ランクと距離ランクとを取得する。管理コンピュータ2は、各保管棚のIDと重量ランクと距離ランクとを示す第1管理データを記憶している。図5は、第1管理データの一例を示す図である。保管棚の重量ランクは、保管棚の重量の大きさに応じて定められる。例えば、図5に示すように、保管棚の重量は、大、中、小の複数の段階に分けられている。大、中、小の各段階には、重量が大きい順に、3,2,1のランクが割り当てられている。なお、保管棚に保管される物品が変更された場合には、管理コンピュータ2は、第1管理データの当該保管棚の重量ランクを更新する。
【0037】
保管棚の距離ランクは、保管棚の保管位置と作業位置P0との間の距離の大きさに応じて定められる。例えば、図5に示すように、保管棚の距離は、遠、中、近の複数の段階に分けられている。遠、中、近の各段階には、距離が大きい順に、3,2,1のランクが割り当てられている。なお、保管棚の保管位置が変更された場合には、管理コンピュータ2は、第1管理データの当該保管棚の距離ランクを更新する。
【0038】
ステップS103では、管理コンピュータ2は、必要電力ランクを決定する。必要電力ランクは、各保管棚の搬送に必要な自律作業機の電力量を示す。必要電力ランクは、各保管棚の搬送に必要な自律作業機の電力量に応じて定められる。保管棚の搬送に必要な自律作業機の電力量は、保管棚を搬送する距離と、保管棚の重量とに応じて増大する。管理コンピュータ2は、各保管棚の距離ランクと重量ランクとに基づいて、必要電力ランクを決定する。図5に示すように、例えば、管理コンピュータ2は、各保管棚の距離ランクと重量ランクとの合計を、必要電力ランクとして決定する。
【0039】
ステップS104では、管理コンピュータ2は、保管棚の割り当てを決定する。管理コンピュータ2は、ピッキング作業を終了した自律作業機に割り当てる次の保管棚を、必要電力ランクとバッテリの充電残量とに基づいて決定する。管理コンピュータ2は、バッテリの充電残量と、必要電力ランクとの関係を規定する第2管理データを記憶している。
【0040】
図6は、第2管理データの一例を示す図である。図6に示すように、充電残量は、複数のレベルに区分される。充電残量が多いほど、レベル数は大きくなる。図6の例では、レベル8が最も充電残量が多く、レベル1が最も充電残量が少ない。第2管理データは、充電残量の各レベルと必要電力ランクとの関係を規定している。充電残量のレベルは高いほど、保管棚の必要電力ランクが高い。管理コンピュータ2は、第2管理データを参照して、ピッキング作業を終了した自律作業機の充電残量に対応する必要電力ランクを決定する。管理コンピュータ2は、決定された必要電力ランクに対応する保管棚を、ピッキング作業を終了した自律作業機の次の保管棚として割り当てる。
【0041】
例えば、図1に示すように、第1自律作業機1Aが作業位置P0においてピッキング作業が終了したときに、第1自律作業機1Aの充電残量がレベル3である場合、管理コンピュータ2は、図6に示す第2管理データを参照して、必要電力ランクが3であると決定する。管理コンピュータ2は、第1管理データを参照して、必要電力ランクが3である棚9を、第1自律作業機1Aに割り当てる次の保管棚として決定する。
【0042】
第1自律作業機1Aの充電残量がレベル4である場合、管理コンピュータ2は、図6に示す第2管理データを参照して、必要電力ランクが4であると決定する。管理コンピュータ2は、第1管理データを参照して、必要電力ランクが4である棚2,棚4,棚6,棚7,棚10のなかから、第1自律作業機1Aに割り当てる次の保管棚を決定する。
【0043】
例えば、管理コンピュータ2は、棚2,棚4,棚6,棚7,棚10のなかから任意に、第1自律作業機1Aに割り当てる次の保管棚を決定する。或いは、管理コンピュータ2は、棚2,棚4,棚6,棚7,棚10のなかから最も作業位置P0に近いもの、或いは、最も作業位置P0から遠いものを、第1自律作業機1Aに割り当てる次の保管棚として決定してもよい。
【0044】
第1自律作業機1Aの充電レベルが最も少ないレベル1である場合には、管理コンピュータ2は、第1自律作業機1Aに次の保管棚を割り当てずに、所定の待機場所にて待機させる。例えば、管理コンピュータ2は、第1自律作業機1Aを待機位置P1-P4にて待機させることで、第1自律作業機1Aを充電させてもよい。管理コンピュータ2は、第1自律作業機1Aを待機位置P1-P4とは異なる待機場所にて待機させてもよい。
【0045】
ステップS105では、管理コンピュータ2は、ピッキング作業を終了した自律作業機に、ステップS104で決定した保管棚を次の保管棚として搬送するように指令信号を出力する。例えば、図3に示すように、管理コンピュータ2は、自律作業機1Aに、棚9の棚IDを有する保管棚4A’を、次の保管棚として搬送するように指令信号を出力する。それにより、自律作業機1Aは、保管棚4A’の保管場所に移動して、保管棚4A’を搬送する。
【0046】
以上説明した本実施形態に係る自律作業システム100では、自律作業機1A-1Gは、作業位置P0、或いは待機位置P1,P2において待機している間に、充電ステーションS0-S2によって充電される。そのため、自律作業機1A-1Gが充電のために作業場所202から離れた充電ステーションまで移動する時間が省略される。また、充電ステーションS0-S1は、ワイヤレス電力伝送により、自律作業機1A-1Gを充電する。そのため、自律作業機1A-1Gの位置合わせのための時間が短縮される。さらに、自律作業機1A-1Gは、作業位置P0、或いは待機位置P1,P2での待ち時間の間に充電される。すなわち、自律作業機1A-1Gは、作業位置P0における作業待ちの複数の自律作業機1A-1Gの渋滞の列に並んで待っている間の時間を利用して充電される。そのため、作業効率が向上する。
【0047】
また、充電ステーションS0-S2は、作業位置P0、或いは待機位置P1,P2に配置される。そのため、作業エリア200において別途の充電ステーションを配置するための充電エリアが省スペース化される。そのため、保管場所201のスペースを拡大することができる。
【0048】
また、複数の保管棚のそれぞれの保管場所と作業位置P0との間の距離、及び、重量と、複数の自律作業機1A-1Gのそれぞれのバッテリの充電残量とに基づいて、複数の自律作業機1A-1Gのそれぞれに割り当てられる保管棚が決定される。そのため、保管棚の搬送中にバッテリの充電残量がなくなってしまうことが抑えられる。或いは、自律作業機1A-1Gが、バッテリの充電のために保管棚の搬送を中断してしまうことが抑えられる。それにより、作業効率がさらに向上する。
【0049】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0050】
自律作業システム100の構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。自律作業機の数は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。待機位置の数は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。充電ステーションの数は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。ピッキング作業は、作業者W1に限らず、ロボットアームなどのピッキングマシンによって行われてもよい。
【0051】
作業位置P0において行われる作業は、ピッキング作業に限らず、他の作業であってもよい。例えば、作業位置P0において行われる作業は、自律作業機が物品を受け取る作業であってもよい。その場合、複数の自律作業機のそれぞれは、作業位置P0において物品を受け取り、物品を作業位置P0から、保管場所201の所定の保管棚4に搬送してもよい。
【0052】
上記の実施形態では、複数の自律作業機のそれぞれが、作業位置P0、或いは待機位置P1-P4に他の自律作業機がいるか否かを検出している。しかし、管理コンピュータ2が、作業位置P0、或いは待機位置P1-P4に他の自律作業機がいるか否かを判定してもよい。例えば、管理コンピュータ2は、複数の自律作業機のそれぞれから各自律作業機1A-1Fの位置を示す位置データを受信し、位置データに基づいて、作業位置P0、或いは待機位置P1-P4に他の自律作業機がいるか否かを判定してもよい。複数の自律作業機のそれぞれは、管理コンピュータ2からの指令信号により、作業位置P0、或いは待機位置P1-P4に待機してもよい。
【0053】
重量ランクの数、及び、距離ランクの数は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。重量及び距離の具体的な数値に基づいて、必要電力ランクが決定されてもよい。必要電力ランクは、重量ランクと距離ランクとの合計に限らず、他の計算方法によって決定されてもよい。割り当てられる保管棚は、必要電力ランクに限らず、保管棚の搬送に必要な電力量の具体的な数値に基づいて、決定されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、自律作業機の作業効率が向上する。
【符号の説明】
【0055】
1A:第1自律作業機
1B:第2自律作業機
1C:第3自律作業機
13:バッテリ
P0:作業位置
P1:第1待機位置
P2:第2待機位置
S1:第1充電ステーション
S2:第2充電ステーション
図1
図2
図3
図4
図5
図6