(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131080
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】吹付材の管理装置およびコンクリート吹付方法
(51)【国際特許分類】
E21D 11/10 20060101AFI20240920BHJP
E02D 17/20 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E21D11/10 D
E02D17/20 104B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041124
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】508182589
【氏名又は名称】エフティーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 真吾
(72)【発明者】
【氏名】大橋 康人
(72)【発明者】
【氏名】飯田 和士
【テーマコード(参考)】
2D044
2D155
【Fターム(参考)】
2D044DC05
2D155BA05
2D155CA01
2D155DB03
2D155DB05
2D155KC02
2D155LA13
(57)【要約】
【課題】吹付材の供給管理を効率的に調整できるとともに、コンクリートの初期強度を十分に発現できる吹付材の管理装置を提供する。
【解決手段】コンクリート吹付工法に用いる吹付材の管理装置1であって、コンクリートの供給量と急結剤の供給量とを調整可能な一つの操作盤30と、操作盤30での操作に応じてコンクリートの供給量と急結剤の供給量とを所望の量に制御する制御手段と、液体センサ43で計測された液体急結剤の供給量および粉体センサ44で計測された粉体助剤の供給量の少なくとも一方が、閾値を下回ったときに警報を発する警報手段70と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート吹付工法に用いる吹付材の管理装置であって、
コンクリートの供給量と急結剤の供給量とを調整可能な一つの操作盤と、
前記操作盤での操作に応じて前記コンクリートの供給量と前記急結剤の供給量とを所望の量に制御する制御手段と、を備えている
ことを特徴とする吹付材の管理装置。
【請求項2】
前記操作盤は、供給される前記コンクリートの温度を表示する表示部を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の吹付材の管理装置。
【請求項3】
前記急結剤は、液体急結剤と粉体助剤とを混合して構成されており、
前記液体急結剤の供給量を計測する液体センサと、前記粉体助剤の供給量を計測する粉体センサとを、さらに備え、
前記液体センサおよび前記粉体センサは、前記操作盤に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の吹付材の管理装置。
【請求項4】
前記液体センサで計測された前記液体急結剤の供給量および前記粉体センサで計測された前記粉体助剤の供給量の少なくとも一方が、閾値を下回ったときに警報を発する警報手段を、さらに備えた
ことを特徴とする請求項3に記載の吹付材の管理装置。
【請求項5】
前記警報手段は、前記吹付材を吹き付ける吹付面を照射する照明装置である
ことを特徴とする請求項4に記載の吹付材の管理装置。
【請求項6】
コンクリートの供給量を表示する手段、急結剤の供給量を表示する手段、前記コンクリートの供給量を調整する操作手段および前記急結剤の供給量を調整する操作手段を一つの操作盤に設け、
吹付装置のオペレータが前記操作手段を操作することで各供給量を所望の量に制御する
ことを特徴とするコンクリート吹付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吹付材の管理装置およびコンクリート吹付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートを含む吹付材を、圧縮空気を用いて圧送し、施工面に直接吹き付けるコンクリート吹付工法が知られている。コンクリート吹付工法は、型枠を用いず施工できること、複雑な構造の施工面であっても容易に施工できること、施工面に密着したコンクリート打設ができること、狭い場所でも打設が可能である等の長所を備えている。よって、コンクリート吹付工法は、トンネルの掘削面のライニングや、法面の保護工等に多く採用されている。
コンクリート吹付工法では、コンクリートおよび急結剤のそれぞれについて供給量や温度等を管理して調整している。具体的には、各部材の供給配管に設けられた流量計や圧力計の数値に応じて、バルブを開閉して、供給量を調整している(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63-210363号公報
【特許文献2】実開平6-40097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のコンクリート吹付工法で用いられる吹付装置では、コンクリートおよび急結剤の供給装置の調整機能が、それぞれの供給配管ごとに設けられているため、一括管理ができない。特に、山岳トンネルの吹付ロボットでは、コンクリートポンプと急結剤添加装置とが個別に搭載されており、それぞれの機械ごとに調整制御を行うことが基本となっている。そのため、コンクリート吹付を行う吹付オペレータの他に、調整制御を行う作業員が必要であった。
一方、近年では液体と粉体を混合する急結剤が主流になりつつあるが、混合タイプの急結剤は、液体と粉体との双方が適切な量で添加されて初めてコンクリートの初期強度が発現される。コンクリート吹付中に液体と粉体の片方が閉塞する場合があるが、吹付コンクリートの性状を見ても、閉塞による見た目の変化が乏しいため、閉塞の検知が困難である。そのため、コンクリートの初期強度が十分に発現されない虞があった。
このような観点から、本発明は、吹付材の供給管理を効率的に調整できるとともに、コンクリートの初期強度を十分に発現できる吹付材の管理装置およびコンクリート吹付方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するための第一の本発明は、コンクリート吹付工法に用いる吹付材の管理装置であって、コンクリートの供給量と急結剤の供給量とを調整可能な一つの操作盤と、前記操作盤での操作に応じて前記コンクリートの供給量と前記急結剤の供給量とを所望の量に制御する制御手段と、を備えていることを特徴とする。
本発明の吹付材の管理装置によれば、一つの操作盤に対する操作でコンクリートの供給量と急結剤の供給量とを調整し、制御手段で前記供給量を所望の量に制御するので、吹付材の供給管理を効率的に調整できる。これにより、吹付オペレータが供給量の調整もできるので、調整要員を削減でき、省人化を達成できる。また、吹付材の供給量が適切に管理されるので、コンクリートの初期強度を十分に発現できる。
【0006】
本発明の吹付材の管理装置においては、前記操作盤は、供給される前記コンクリートの温度を表示する表示部を備えているものが好ましい。このような構成によれば、コンクリートの供給量と急結剤の供給量の管理調整を、コンクリートの温度に応じてより一層好適に行うことができる。
前記急結剤が、液体急結剤と粉体助剤とを混合して構成される場合には、前記液体急結剤の供給量を計測する液体センサと、前記粉体助剤の供給量を計測する粉体センサとを、さらに備え、前記液体センサおよび前記粉体センサは、前記操作盤に接続されているものが好ましい。このような構成によれば、検知が困難な急結剤の閉塞異常をいち早く検知することができるので、安定した吹付コンクリートの品質を確保することができる。
本発明の吹付材の管理装置においては、前記液体センサで計測された前記液体急結剤の供給量および前記粉体センサで計測された前記粉体助剤の供給量の少なくとも一方が、閾値を下回ったときに警報を発する警報手段を、さらに備えたものが好ましい。このような構成によれば、吹付オペレータが、供給量の異常をいち早く認識することができる。
本発明の吹付材の管理装置においては、前記警報手段は、前記吹付材を吹き付ける吹付面を照射する照明装置であるものが好ましい。このような構成によれば、吹付面を見ながら作業する吹付オペレータが、供給量の異常を確実且つ早急に認識することができる。
【0007】
前記課題を解決するための第二の本発明は、コンクリートの供給量を表示する手段、急結剤の供給量を表示する手段、前記コンクリートの供給量を調整する操作手段および前記急結剤の供給量を調整する操作手段を一つの操作盤に設け、吹付装置のオペレータが前記操作手段を操作することで各供給量を所望の量に制御することを特徴とするコンクリート吹付方法である。
本発明のコンクリート吹付方法によれば、コンクリートの供給量と急結剤の供給量とを同時に監視して調整操作を行い、供給量を所望の量に制御できるので、吹付材の供給管理を効率的に調整できる。また、オペレータが一人で供給量の監視と調整を行うことができるので、調整要員を削減でき、省人化を達成できる。さらに、コンクリートの供給量と急結剤の供給量が適切に管理されるので、コンクリートの初期強度を十分に発現できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吹付材の管理装置およびコンクリート吹付方法によれば、吹付材の供給管理を効率的に調整できるとともに、コンクリートの初期強度を十分に発現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る吹付材の管理装置を示した概略構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る吹付材の管理装置の操作盤を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る吹付材の管理装置およびコンクリート吹付方法について、添付した図面を参照しながら説明する。本実施形態では、例えば山岳トンネルの掘削面にコンクリートと急結剤を含む吹付材を吹き付けるコンクリート吹付装置に、吹付材の管理装置を設置した場合を例に挙げて説明する。
図1は本発明の実施形態に係る吹付材の管理装置を示した概略構成図、
図2は本発明の実施形態に係る吹付材の管理装置の操作盤を示した正面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る吹付材の管理装置1は、コンクリート吹付装置2に設置されている。コンクリート吹付装置2は、コンクリート供給部3と急結剤供給部4と吹付部5とを備えている。コンクリート供給部3は、アジテータ車6等から供給されたコンクリートを受けて貯留し、吹付部5に向けてポンプにて圧送する。コンクリート供給部3と吹付部5とは、コンクリートホース等の供給配管7を介して接続されている。
急結剤は、液体急結剤と粉体助剤(粉体急結剤)とを混合して構成されている。急結剤供給部4は、液体急結剤を貯留する液体タンク11と粉体助剤(粉体急結剤)を貯留する粉体タンク12とを備えている。液体タンク11は、液体供給管13を介して吹付部5に接続されている。粉体タンク12は、粉体供給管14を介して吹付部5に接続されている。液体タンク11内の液体急結剤および粉体タンク12内の粉体助剤は、図示しないローターからのエアーによって吹付部5に圧送される。
吹付部5は、吹付ノズル15と三又管16とを備えている。吹付ノズル15は、急結剤が合流したコンクリートを掘削面に向けて吹き付ける部分である。吹付ノズル15は、例えばロボットアーム(図示せず)の先端に設けられ、掘削面の所望の位置に向けてコンクリートを吹き付ける。三又管16は、コンクリートと液体急結剤と粉体助剤とを合流させてスラリー化させる部位である。三又管16の上流側にはコンクリートの供給配管7、液体供給管13および粉体供給管14が接続され、三又管16の下流側には吹付ノズル15が接続されている。
【0012】
吹付材の管理装置1は、コンクリート吹付工法に用いるものであって、操作盤30と制御手段(図示せず)と警報手段70とを備えている。
図2に示すように、操作盤30は、コンクリートの供給量と急結剤の供給量とを調整するためのものであり、吹付コンクリートに必要な各種調整機能を一か所に集約して形成されている。操作盤30は、矩形のプレートに、例えば温度表示部31と液体供給量表示部32と粉体供給量表示部33とコンクリート吐出量表示部34とコンクリート供給つまみ35と回転数表示部36と回転数調整つまみ37と液体調整つまみ38とが形成されている。
【0013】
温度表示部31は、吹付部5に供給されるコンクリートの温度(℃)を表示する部分である。温度表示部31に表示される温度は、コンクリート供給部3のホッパー上部に設けられた温度センサ41にて計測されている。温度センサ41は、非接触センサであり、操作盤30と電気的に接続されている。温度センサ41による計測値が温度表示部31に表示される。コンクリートの温度は、20℃以上に管理するのが好ましい。
液体供給量表示部32は、吹付部5に供給される液体急結剤の供給量を表示する部分である。液体供給量表示部32に表示される供給量は、液体供給管13に設置された液体センサ43にて計測されている。液体センサ43は、操作盤30と電気的に接続されており、液体センサ43による計測値が液体供給量表示部32に表示される。
粉体供給量表示部33は、吹付部5に供給される粉体助剤の供給量を表示する部分である。粉体供給量表示部33に表示される供給量は、粉体供給管14に設置された粉体センサ44にて計測されている。粉体センサ44は、操作盤30と電気的に接続されており、粉体センサ44による計測値が粉体供給量表示部33に表示される。
【0014】
コンクリート吐出量表示部34は、コンクリート供給部3からのコンクリートの吐出量(m3/h)を表示する部分である。コンクリート吐出量表示部34に表示される吐出量は、コンクリート供給部3に設置されたセンサ(図示せず)にて計測されている。図示しないセンサは、操作盤30と電気的に接続されており、センサによる計測値がコンクリート吐出量表示部31に表示される。
コンクリート供給つまみ35は、コンクリート供給部3からのコンクリートの吐出量を調整する回転式のつまみであって、オペレータがコンクリート供給つまみ35を左右に回転させることで、コンクリートの吐出量が増減する。コンクリート供給つまみ35の操作は、コンクリート吐出量表示部34で表示された吐出量をオペレータが視認して、その数値に応じてオペレータが行う。
【0015】
回転数表示部36は、粉体助剤を圧送するためのローターの回転数を表示する部分である。ローターの回転数を大きくすると粉体助剤の供給量が多くなり、ローターの回転数を小さくすると粉体助剤の供給量が少なくなる。回転数表示部36での回転数が大きい状態で、粉体供給量表示部33での供給量が減った場合に、粉体供給管14が閉塞したと判定できる。
回転数調整つまみ37は、ローターの回転数を調整する回転式のつまみであって、オペレータが回転数調整つまみ37を左右に回転させることで、ローターの回転数が増減する。回転数調整つまみ37の操作は、回転数表示部36での回転数および粉体供給量表示部33での供給量をオペレータが視認して、その数値に応じてオペレータが行う。
液体調整つまみ38は、液体急結剤の供給量を調整する回転式のつまみであって、オペレータが液体調整つまみ38を左右に回転させることで、液体急結剤の供給量が増減する。液体調整つまみ38の操作は、液体供給量表示部32での供給量をオペレータが視認して、その数値に応じてオペレータが行う。
オペレータが行う回転数調整つまみ37および液体調整つまみ38の操作は、液体急結剤と粉体助剤とが好適な割合で供給されるように行う。また、回転数調整つまみ37の操作は、コンクリートの温度に合わせて操作する。
【0016】
制御手段(図示せず)は、操作盤30での操作に応じてコンクリートの供給量と急結剤の供給量(液体急結剤の供給量および粉体助剤の供給量)とを所望の量に制御するものである。制御装置は、タブレット端末や操作盤30に内蔵されたマイクロコンピュータに入力されたプログラムにて構成されており、コンクリート供給つまみ35、回転数調整つまみ37および液体調整つまみ38の動作に応じて、コンクリート供給部3や急結剤供給部4を作動させる。
また、制御手段は、コンクリート供給部3や急結剤供給部4の作動状況、液体急結剤の供給量、粉体助剤の供給量およびコンクリートの吐出量より、配管の閉塞を検知し、警報手段70を作動させるとともに、コンクリート供給部3や急結剤供給部4を異常停止させることもできる。例えば、制御手段は、液体センサ43で計測された液体急結剤の供給量および粉体センサ44で計測された粉体助剤の供給量の少なくとも一方が、閾値を下回ったときに、液体供給管13または粉体供給管14が閉塞したと検知し、警報手段70に警報を発する信号を送信する。具体的には、制御手段は、液体センサ43で計測された液体急結剤の供給量が閾値を下回ったときに、液体供給管13が閉塞したと検知し、粉体センサ44で計測された粉体助剤の供給量が閾値を下回ったときに、粉体供給管14が閉塞したと検知する。供給管内で閉塞が発生すると、液体急結剤または粉体助剤の供給が滞り、供給量が低下するため、供給量が閾値を下回ったときに、供給管が閉塞したと判定することができる。
さらに、制御装置は、液体供給管13または粉体供給管14の内部圧力を監視し、内部圧力が閾値を超えて上昇した際に配管が閉塞したと検知する。液体供給管13の内圧が閾値を上回った場合は、圧送手段を停止させ、粉体供給管14の内圧が閾値を上回った場合は、安全弁が開放される。安全弁が開放されると、安全弁から粉体が噴出するため、内圧の異常を容易に把握できる。
さらに、制御装置は、液体供給管13または粉体供給管14の内部圧力を監視し、内部圧力が上昇した際に配管が閉塞したと検知する。液体供給管13の内圧が上昇した場合は、圧送手段を停止させ、粉体供給管14の内圧が上昇した場合は、安全弁が開放される。
【0017】
警報手段70は、制御手段が配管の閉塞を検知した際に、オペレータに警報を発して認知させるものである。警報手段70は、吹付材を吹き付ける吹付面(掘削面)を照射する照明装置71であって、例えばLEDライトを備えている。警報手段70は、制御手段に電気的に接続されており、制御手段からの警報信号を受信して作動する。警報手段70は、閉塞した配管の場所に応じて異なった警報を発する。具体的には、液体供給管13が閉塞した際には赤色のランプが点滅し、粉体供給管14が閉塞した際には赤色のランプが点灯する。両方の供給管13,14が同時に閉塞した際には、異なる色のランプを点灯させてもよい。
【0018】
本実施形態に係るコンクリート吹付方法は、前記吹付材の管理装置1が設置されたコンクリート吹付装置2にてコンクリートの吹付を行う方法である。コンクリート吹付方法は、コンクリート吐出量表示部34(コンクリートの供給量を表示する手段)と、液体供給量表示部32および粉体供給量表示部33(急結剤の供給量を表示する手段)とコンクリート供給つまみ35(コンクリートの供給量を調整する操作手段)と、回転数表示部36および回転数調整つまみ37(急結剤の供給量を調整する操作手段)とを操作盤30に設け、コンクリート吹付装置2のオペレータが操作手段を操作する。
オペレータは、コンクリート吐出量表示部34と、液体供給量表示部32および粉体供給量表示部33に表示された数値に基づいて、コンクリート供給つまみ35、回転数調整つまみ37および液体調整つまみ38の操作を適宜行う。
【0019】
本実施形態の吹付材の管理装置1およびコンクリート吹付方法によれば、一つの操作盤30でコンクリートの供給量と急結剤の供給量とを調整し、制御手段で供給量を所望の量に制御するので、吹付材の供給管理を効率的に調整できる。これにより、オペレータが一人で供給量の調整を行うことができるので、調整要員を削減でき、省人化を達成できる。また、吹付材の供給量が適切に管理されるので、コンクリートの初期強度を十分に発現できる。さらに、他人を介さずに、オペレータが一人で調整作業を行うので、オペレータの意思を迅速に調整作業に反映することができる。
【0020】
本実施形態では、操作盤30は、コンクリートの温度を表示する温度表示部31を備えているので、コンクリートの供給量と急結剤の供給量の管理調整を、コンクリートの温度に応じてより一層好適に行うことができる。
また、急結剤は、液体急結剤と粉体助剤とを混合して構成されており、液体急結剤の供給量は液体センサ43で計測され、粉体助剤の供給量は粉体センサ44で計測されるので、検知が困難な急結剤の閉塞異常を、液体急結剤と粉体助剤で区別して、いち早く検知することができる。これにより、安定した吹付コンクリートの品質を確保することができる。また、配管が完全閉塞する前に異常を検知できるので、配管の破損を防止できるとともに、保守や修理の手間を低減できる。
液体急結剤の供給量および粉体助剤の供給量の少なくとも一方が閾値を下回ったときに、警報手段70が警報を発するので、オペレータは、供給量の異常をいち早く認識することができる。そして、警報手段70は、オペレータの視線の先である掘削面(吹付面)を照射する照明装置71であるので、掘削面を見ながら作業するオペレータが、供給量の異常を確実且つ早急に認識することができる。
【0021】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、前記実施形態では、警報手段70は、掘削面(吹付面)を照射する照明装置71であるが、警報手段は前記構成に限定されるものではない。警報手段は、例えば警報音を発するものや、オペレータが保持する端末に振動を発するものであってもよい。
前記実施形態では、吹付部5は、吹付ノズル15と三又管16とを備えているが、このような構成に限定されるものではない。三又管に代えてスラリー化ノズルを設け、スラリー化ノズルに液体供給管13および粉体供給管14を接続し、液体急結剤と粉体助剤とを先に合流させた後にコンクリートに合流させてもよい。
また、急結剤が異なる形態として、粉体急結剤のみを使用する吹付方法、ならびに液体急結剤のみを使用する吹付方法にも当該発明は適用が可能である。この場合、粉体・液体調整装置の内、必要なもののみを選定して使用することとなる。
【符号の説明】
【0022】
1 吹付材の管理装置
3 操作盤
31 温度表示部(表示部)
43 液体センサ
44 粉体センサ
70 警報手段
71 照明装置