(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131096
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】モータ、送風装置および空気調和機
(51)【国際特許分類】
H02K 21/24 20060101AFI20240920BHJP
H02K 5/04 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H02K21/24 M
H02K5/04
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041149
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】土山 幸平
(72)【発明者】
【氏名】高山 佳典
(72)【発明者】
【氏名】石丸 純
【テーマコード(参考)】
5H605
5H621
【Fターム(参考)】
5H605AA20
5H605BB05
5H605BB10
5H605BB20
5H605GG18
5H621BB02
5H621GA04
5H621JK07
5H621JK10
(57)【要約】
【課題】スパークが外部へ漏れ出るのを抑制できるモータを提案する。
【解決手段】
モータ(M1)は、円板状の回転子(40,50)と、回転子(40,50)の軸方向にエアギャップを介して回転子(40,50)と対向する固定子鉄心(61)を有する固定子(60)とを備える。回転子(40,50)または固定子(60)の一方に、固定子鉄心(61)よりも径方向外側に位置するように設けられ、回転子(40,50)または固定子(60)の他方に向かって突出する環状の凸部(64a,64b)を有する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の回転子(40,50,140,150,240,250)と、
上記回転子(40,50,140,150,240,250)の軸方向にエアギャップ(G1,G2)を介して上記回転子(40,50,140,150,240,250)と対向する固定子鉄心(61)を有する固定子(60,160,260)と
を備え、
上記回転子(40,50,140,150,240,250)または上記固定子(60,160,260)の一方に、上記固定子鉄心(61)よりも径方向外側に位置するように設けられ、上記回転子(40,50,140,150,240,250)または上記固定子(60,160,260)の他方に向かって突出する環状の凸部(64a,64b,142a,152a,242a,252a)を有する、モータ(M1,M11,M21)。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ(M1,M11,M21)において、
上記環状の凸部(64a,64b,142a,152a,242a,252a)は、上記回転子(40,50,140,150,240,250)の外周よりも径方向内側に位置するように設けられている、モータ(M1,M11,M21)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のモータ(M1,M11,M21)において、
上記環状の凸部(64a,64b,142a,152a,242a,252a)における上記回転子(40,50,140,150,240,250)の軸方向の高さは、上記エアギャップ(G1,G2)における上記回転子(40,50,140,150,240,250)の軸方向の高さよりも高い、モータ(M1,M11,M21)。
【請求項4】
請求項1または2に記載のモータ(M1,M11,M21)において、
上記回転子(40,50,140,150,240,250)または上記固定子(60,160,260)の他方に設けられ、上記環状の凸部(64a,64b,142a,152a,242a,252a)と共にラビリンスを形成する環状の凹部(42a,52a,164a,164b,264a,264b)を有する、モータ(M1,M11,M21)。
【請求項5】
請求項4に記載のモータ(M21)において、
上記回転子(240,250)または上記固定子(60,160,260)の他方に、上記環状の凹部(242a,252a)よりも径方向外側に位置するように設けられ、上記回転子(240,250)または上記固定子(60,160,260)の一方に向かって突出する第2の環状の凸部(264c,264d)を有する、モータ(M21)。
【請求項6】
請求項1または2に記載のモータ(M1,M11,M21)において、
上記モータ(M1,M11,M21)により駆動されるファン(20,30)と
を備える、送風装置(18)。
【請求項7】
請求項6に記載の送風装置(18)を備える、空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータ、送風装置および空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータとしては、平らな円板状の回転子と、この回転子の軸方向において回転子と所定間隔をあけて対向する固定子とを備えたものがあり、回転子の固定子側はボンド磁石からなる一方、回転子の固定子とは反対側はヨークからなっている(例えば、特開2022-56376号公報(特許文献1)参照)。
【0003】
上記ボンド磁石の固定子側の表面は平坦に形成されている。一方、ヨークの固定子側の表面(ボンド磁石との接合面)には凹部が設けられている。この凹部にボンド磁石の一部が嵌まるように、ボンド磁石が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、上記固定子のコイルに流す電流の上限値はインバータ制御により決められているので、コイルが異常発熱することはない。
【0006】
しかしながら、仮に、異常が例えばインバータ制御で生じれば、その上限値を超える電流がコイルに流れる可能性がある。上記上限値を超える電流がコイルに流れた場合、コイルが断線して、コイルの断線箇所からスパークが発生すると、スパークが回転子と固定子との間の空間(いわゆるエアギャップ)を介してモータの外部に出る恐れがある。
【0007】
本開示の課題は、スパークが外部へ漏れ出るのを抑制できるモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1態様に係るモータは、
円板状の回転子と、
上記回転子の軸方向にエアギャップを介して上記回転子と対向する固定子鉄心を有する固定子と
を備え、
上記回転子または上記固定子の一方に、上記固定子鉄心よりも径方向外側に位置するように設けられ、上記回転子または上記固定子の他方に向かって突出する環状の凸部を有する。
【0009】
上記構成によれば、上記固定子鉄心よりも径方向外側に環状の凸部を配置することにより、固定子鉄心近傍で生じたスパークが回転子と固定子との間を介して外部に出ようとしても、そのスパークの進行は環状の凸部で阻害される。したがって、上記スパークの漏出を抑制することができる。
【0010】
本開示の第2態様に係るモータでは、
上記第1態様に記載のモータにおいて、
上記環状の凸部は、上記回転子の外周よりも径方向内側に位置するように設けられている。
【0011】
上記構成によれば、上記回転子の外周よりも径方向内側に環状の凸部を配置することにより、径方向の大型化を抑制することができる。
【0012】
本開示の第3態様に係るモータでは、
上記第1態様または上記第2態様に記載のモータにおいて、
上記環状の凸部における上記回転子の軸方向の高さは、上記エアギャップにおける上記回転子の軸方向の高さよりも高い。
【0013】
上記構成によれば、上記回転子の軸方向において、エアギャップよりも、環状の凸部を高くすることにより、スパークの漏出の可能性を下げることができる。
【0014】
本開示の第4態様に係るモータでは、
上記第1態様から上記第3態様までのいずれか一つに記載のモータにおいて、
上記回転子または上記固定子の他方に設けられ、上記環状の凸部と共にラビリンスを形成する環状の凹部を有する。
【0015】
上記構成によれば、上記ラビリンスを環状の凸部と環状の凹部とで形成することにより、スパークの漏出の可能性をさらに下げることができる。
【0016】
本開示の第5態様に係るモータでは、
上記第4態様に記載のモータにおいて、
上記回転子または上記固定子の他方に、上記環状の凹部よりも径方向外側に位置するように設けられ、上記回転子または上記固定子の一方に向かって突出する第2の環状の凸部を有する。
【0017】
上記構成によれば、上記環状の凹部よりも径方向外側に第2の環状の凸部を配置することにより、ラビリンスを抜けたスパークが外部に向かっても、そのスパークの外部への進行は第2の環状の凸部で困難となる。したがって、上記スパークの外部への漏出を抑制する効果を上げることができる。
【0018】
本開示の第6態様に係る送風装置は、
上記第1態様から上記第5態様までのいずれか一つに記載のモータと、
上記モータにより駆動されるファンと
を備える。
【0019】
上記構成によれば、上記モータを備えることにより、モータからスパークが漏れる可能性を下げることができる。
【0020】
本開示の第7態様に係る空気調和機は、
上記第6態様に記載の送風装置を備える。
【0021】
上記構成によれば、上記送風装置を備えることにより、送風装置からスパークが漏れ出る可能性を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示の第1実施形態の空気調和機の冷媒回路図である。
【
図2】上記第1実施形態の送風装置の外観斜視図である。
【
図3】上記第1実施形態の送風装置の側面図である。
【
図4】上記第1実施形態の送風装置の分解斜視図である。
【
図5】上記第1実施形態のモータの分解斜視図である。
【
図6】上記第1実施形態のモータの第1回転子の下面図である。
【
図7】上記第1実施形態のモータの第2回転子の上面図である。
【
図8】上記第1実施形態のモータの固定子の上面図である。
【
図9】上記第1実施形態のモータの固定子の下面図である。
【
図10】上記第1実施形態のモータの断面の斜視図である。
【
図12】本開示の第2実施形態のモータの断面の斜視図である。
【
図14】本開示の第3実施形態のモータの断面の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態を説明する。なお、図面において、同一の参照番号は、同一部分または相当部分を表わすものである。また、長さ、幅、厚さ、深さ等の図面上の寸法は、図面の明瞭化と簡略化のために実際の尺度から適宜変更されており、実際の相対寸法を表してはいない。
【0024】
〔第1実施形態〕
図1は、本開示の第1実施形態の送風装置18を備えた空気調和機が備える冷媒回路RCを示す。この第1実施形態の空気調和機は、送風装置18を搭載する室内機1と、この室内機1に冷媒回路RCを介して接続された室外機2とを備えている。室内機1は遠心型の送風装置18を搭載する一方、室外機2はプロペラ型の送風装置20を搭載する。
【0025】
冷媒回路RCは、圧縮機11と、四路切換弁12と、室外熱交換器13と、電動膨張弁14と、室内熱交換器15と、アキュムレータ16と、閉鎖弁V1,V2とを有する。この圧縮機11の駆動に伴い、冷媒(例えば、R410A、R32などのHFC冷媒)が冷媒回路RCを循環する。
【0026】
上記空気調和機は、冷房運転時および除湿運転時、四路切換弁12を実線の切換え位置に切り換えて、圧縮機11を起動する一方、暖房運転時、四路切換弁12を点線の切換え位置に切り換えて、圧縮機11を起動する。なお、
図1中の実線矢印の方向は、冷房運転時および除湿運転時に冷媒が流れる方向を示す。また、
図1中の点線矢印の方向は、暖房運転時に冷媒が流れる方向を示す。
【0027】
図2は、本開示の第1実施形態の送風装置18の外観斜視図である。また、
図3は、送風装置18の側面図である。
【0028】
第1実施形態の送風装置18は、
図2,
図3に示すように、第1送風ファン20と、第2送風ファン30と、第1,第2送風ファン20,30を駆動するアキシャルギャップ型のモータM1とを備えている。第1,第2送風ファン20,30は、ファンの一例である。より具体的にいえば、第1,第2送風ファン20,30は、遠心ファンの一例である。この第1実施形態では、第1,第2送風ファン20,30としてシロッコファンを用いている。
【0029】
第1,第2送風ファン20,30は、円板状の端板21,31と、この端板21,31においてモータM1とは反対側の表面に周方向間隔をあけて配列されている複数の羽根22,32と、この複数の羽根22,32に対して端板21,31とは反対側に設けられた環状部材23,33とを有する。
【0030】
図4は、送風装置18の分解斜視図である。また、
図5は、モータM1の分解斜視図である。
【0031】
モータM1は、
図4,
図5に示すように、円板状の第1回転子40と、第2回転子50と、軸方向において第1,第2回転子40,50によって挟まれた固定子60とを備えている。
【0032】
第1回転子40は、固定子60の軸方向の一方側に配置される。この第1回転子40は、第1送風ファン20の端板21に所定の間隔をあけて対向する。別の言い方をすると、第1送風ファン20の端板21は、モータM1の第1回転子40に対して非接触の状態で配置される。
【0033】
第2回転子50は、固定子60の軸方向の他方側に配置される。
この第2回転子50は、第2送風ファン30の端板31に所定の間隔をあけて対向する。別の言い方をすると、第2送風ファン30の端板31は、モータM1の第2回転子50に対して非接触の状態で配置される。
【0034】
固定子60は、モータM1の回転軸となるシャフト63を有する。このシャフト63の第1送風ファン20側の部分には、第1回転子40が連結される。また、シャフト63の第2送風ファン30側の部分には、第2回転子50が連結される。
【0035】
図6は、モータM1の第1回転子40を固定子60側から見た図である。また、
図7は、モータM1の第2回転子50を固定子60側から見た図である。
【0036】
第1回転子40は、
図6に示すように、中央部に設けられた環状のボス部41と、このボス部41の外周面に設けられた円板状の磁石部材42とを有する。
【0037】
第1ボス部41は、磁石部材42と一体化している。この第1ボス部41の内周面には、シャフト63の第1送風ファン20側の端部が固定される。
【0038】
円板状の磁石部材42は、極異方配向のプラスチックマグネットでる。この磁石部材42では、周方向にS極とN極が交互に配置されている。
【0039】
また、磁石部材42の固定子60側の表面には、磁石部材42の外周縁に沿って延在する環状の第1凹部42aが形成されている。この第1凹部42aは、幅が全周にわたって一定となるように形成されている。なお、第1凹部42aは凹部の一例である。
【0040】
第2回転子50も、
図7に示すように、第1回転子40と同様に構成されて、ボス部51および磁石部材52を備える。このボス部51の内周面には、シャフト63の第2送風ファン30側の端部が固定される。また、磁石部材52の固定子60側の表面には、環状の第2凹部52aが形成されている。なお、第2凹部52aは凹部の一例である。
【0041】
図8は、モータM1の固定子60を第1回転子40側から見た図である。また、
図9は、モータM1の固定子60を第2回転子50側から見た図である。
【0042】
固定子60は、
図8,
図9に示すように、周方向に間隔をあけて配置された固定子鉄心61と、固定子鉄心61に巻き付けられたコイル62と、シャフト63と、固定子鉄心61およびコイル62を取り囲むように樹脂モールドで形成されたモールド部64と、インシュレータ65とを備えている。
【0043】
モールド部64の外周側の部分は、環状の第1凸部64aを第1回転子40側に有する一方、環状の第2凸部64bを第2回転子50側に有する。第1,第2凸部64a,64bは、モールド部64の外周縁に沿って延在する。また、第1,第2凸部64a,64bは、幅が全周にわたって一定となるように形成される。このとき、第1,第2凸部64a,64bの幅は、第1,第2凹部42a,52aの幅より狭く設定される。なお、第1,第2凸部64a,64bは凸部の一例である。
【0044】
インシュレータ65は、固定子鉄心61とコイル62との間を絶縁する。このインシュレータ6は、軸方向の両側からコイル62を覆う。これにより、コイル62は、固定子60の第1,第2回転子40,50側の表面から露出しない。
【0045】
図10は、モータM1を軸方向に平行な面で切ったときの斜視図である。また、
図11は、
図10の断面の一部を拡大した図である。
【0046】
固定子60は、シャフト63を回転可能に支持する第1,第2軸受66,67と、この第1,第2軸受66,67を収容する軸受ハウジング69とを備えている。
【0047】
固定子鉄心61は、第1回転子40の軸方向にエアギャップG1を介して第1回転子40と対向すると共に、第2回転子50の軸方向にエアギャップG2を介して第2回転子50と対向する。エアギャップG1,G2は、例えば0.5mm~1.6mmである。
【0048】
モールド部64の第1,第2凸部64a,64bは、固定子鉄心61よりも径方向外側に位置するように、かつ、第1,第2回転子40,50の外周よりも径方向内側に位置するように設けられている。
【0049】
より詳しく説明すると、第1,第2凸部64a,64bは、第1,第2回転子40,50の軸方向の高さがエアギャップG1,G2よりも高い。第1,第2凸部64a,64bは、第1,第2回転子40,50における磁石部材42,52の第1,第2凹部42a,52aに挿入されている。これにより、第1,第2凹部42a,52aが第1,第2凸部64a,64bと共にラビリンスを形成する。第1,第2凹部42a,52aへの第1,第2凸部64a,64bの挿入は、第1,第2凸部64a,64bが第1,第2凹部42a,52aに接触しないように行われる。別の言い方をすると、第1,第2回転子40,50が固定子60に組み付けられている状態では、第1,第2凹部42a,52aは、第1,第2回転子40,50の軸方向および径方向において、第1,第2凸部64a,64bとの間に所定の隙間を有する。
【0050】
また、モールド部64は、第1,第2回転子40,50よりも外径が大きく設定されている。より詳しく説明すると、モールド部64において、第1,第2回転子40,50の外径よりも大きい部分は、第1凸部64aと第2凸部64bとの間の部分よりも薄くなっている。
【0051】
軸受ハウジング69は、第1,第2軸受66,67の外周部が固定される内周面と、モールド部64の外周側の部分が固定される外周面とを有する。
【0052】
上記構成のモータM1では、環状の第1,第2凸部64a,64bは、固定子鉄心61よりも径方向外側に配置される。これにより、仮に、コイル62の断線に起因して、固定子鉄心61近傍でスパークが生じて、第1,第2回転子40,50と固定子60との間を介して外部へ向かったとしても、そのスパークの進行は第1,第2凸部64a,64bで阻害される。したがって、上記スパークの漏出を抑制することができることができる。
【0053】
また、第1,第2凸部64a,64bは第1,第2回転子40,50の外周よりも径方向内側に位置するので、径方向の大型化を抑制することができる。
【0054】
また、第1,第2回転子40,50の軸方向において、エアギャップG1,G2よりも、環状の第1,第2凸部64a,64bを高くしているので、スパークの漏出の可能性を下げることができる。
【0055】
また、第1,第2凹部42a,52aが第1,第2凸部64a,64bと共にラビリンスを形成するので、スパークの漏出の可能性をさらに下げることができる。
【0056】
また、送風装置18はモータM1を備えるので、モータM1からスパークが漏れ出る可能性は低い。
【0057】
また、本実施形態の空気調和機は、送風装置18を備えるので、送風装置18からスパークが漏れ出る可能性を下げることができる。
【0058】
上記第1実施形態では、送風ファン20,30にシロッコファンを用いた送風装置18について説明したが、他の送風ファンを用いた送風装置に本開示を適用してもよい。
【0059】
上記第1実施形態では、送付装置18は、第1,第2送風ファン20,30を備えていたが、第1送風ファン20のみを備えるようにしてもよい。このようにする場合、モータM1は、第1回転子40のみを有するようにしてもよい。
【0060】
上記第1実施形態では、モールド部64の第1凸部64aは、固定子鉄心61よりも径方向外側に位置するように、かつ、第1回転子40の外周よりも径方向内側に位置するように設けられていたが、第1回転子40の外周よりも径方向外側に位置するように設けられるようにしてもよい。このようにする場合、第1回転子40の固定子60側の表面に、環状の第1凹部42aを設けないようにしてもよい。
【0061】
上記第1実施形態では、モールド部64の第2凸部64bは、固定子鉄心61よりも径方向外側に位置するように、かつ、第1,第2回転子40,50の外周よりも径方向内側に位置するように設けられていたが、第2回転子50の外周よりも径方向内側に位置するように設けられるようにしてもよい。このようにする場合、磁石部材52の固定子60側の表面に、環状の第2凹部52aを設けないようにしてもよい。
上記第1実施形態では、送風装置18は、冷媒回路RCを備える空気調和機に用いていたが、例えば、冷媒回路を備えない空気調和機に用いてもよい。上記冷媒回路を備えない空気調和機としては、例えば特開2020-186822号公報に記載されている全熱交換器を備える空気調和システム、例えば特開2019-25431号公報に記載された空気清浄機などがある。
上記第1実施形態では、第1,第2送風ファン20,30の端板21,31は、モータM1の第1回転子40に対して接触しないように配置されていたが、モータM1の第1回転子40に対して接触するように配置されてもよい。
【0062】
〔第2実施形態〕
図12は、モータM11を軸方向に平行な面で切ったときの斜視図である。また、
図13は、
図12の断面の一部を拡大した図である。
【0063】
上記第2実施形態のモータM11では、
図12,
図13に示すように、第1,第2回転子140,150の磁石部材142,152の形状と、固定子160のモールド部164の形状とだけが、上記第1実施形態のモータM1とは異なっている。
【0064】
より詳しく説明すると、磁石部材142,152の固定子60側の表面には、磁石部材142,152の外周縁に沿って延在する環状の第1,第2凸部142a,152aが形成されている。この第1,第2凸部142a,152aは、上記第1実施形態の第1,第2凸部64a,64bと同様に構成されている。なお、第1,第2凸部142a,152aは凸部の一例である。
【0065】
モールド部164は、磁石部材142の外径と同じまたは略同じ外径を有している。このモールド部164の第1回転子140側の表面には、上記第1実施形態の第1凹部42aと同様に環状の第1凹部164aが設けられている。一方、モールド部164の第2回転子150側の表面には、上記第1実施形態の第2凹部52aと同様に環状の第2凹部164bが設けられている。なお、第1,第2凹部164a,164bは凹部の一例である。
【0066】
簡単に言うと、上記第1実施形態のモータM1の凹凸の関係を逆にすれば、本実施形態に近い構成が得られる。
【0067】
上記構成のモータM11は、第1,第2凹部164a,164bと、第1,第2凸部142a,152aとを備えるので、上記第1実施形態ときと同様の作用効果を奏する。
【0068】
〔第3実施形態〕
図14は、モータM21を軸方向に平行な面で切ったときの斜視図である。また、
図15は、
図14の断面の一部を拡大した図である。
【0069】
上記第3実施形態のモータM21は、
図14,
図15に示すように、第1,第2回転子240,250の第1,第2凸部242a,252aがモールド部264の第1,第2凹部264a,264bに挿入されている点は、上記第2実施形態のモータM11とは同じである。一方、モータM21は、モールド部264に環状の第3,第4凸部264c,264dが設けられている点が、上記第2実施形態のモータM11とは異なる。なお、第3,第4凸部264c,264dは第2の環状の凸部の一例である。
【0070】
より詳しく説明すると、第3,第4凸部264c,264dは、第1,第2凹部264a,264bよりも径方向外側に位置するように設けられ、第1,第2回転子240,250に向かって突出する。この第3,第4凸部264c,264dは、第1,第2回転子240,250の軸方向の高さがエアギャップG1,G2よりも高い。
【0071】
また、第3,第4凸部264c,264dは、第1,第2回転子240,250の環状の切欠き242b,252b内に挿入されている。この切欠き242b,252bは、第1,第2凸部242a,252aよりも径方向外側に位置するように設けられている。
【0072】
第1,第2凸部242a,252aは、上記第2実施形態の第1,第2凸部142a,152aと同様に第1,第2回転子240,250に設けられている。
【0073】
第1,第2凹部264a,264bは、上記第2実施形態の第1,第2凹部164a,164bと同様にモールド部264に設けられている。
【0074】
上記構成のモータM21は、第1,第2凹部264a,264bと、第1,第2凸部242a,252aとを備えるので、上記第1実施形態ときと同様の作用効果を奏する。
【0075】
また、仮に、第1,第2凸部242a,252aと第1,第2凹部264a,264bとで形成されるラビリンスを、コイル62からのスパークが抜けて外部に向かったとしても、
そのスパークの進行を第3,第4凸部264c,264dが邪魔することができる。したがって、上記第2実施形態のモータM11よりも、スパークの外部への漏出を抑制する効果を上げることができる。
【0076】
本開示の具体的な実施の形態について説明したが、本開示は上記第1~第3実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記第3実施形態において、モールド部264の凹凸の構成を、第1,第2回転子240,250に設けると共に、第1,第2回転子240,250の凹凸の構成を、モールド部264に設けたものを、本開示の一実施形態としてもよい。
【符号の説明】
【0077】
18,20 送風装置
20,30 送風ファン
21,31 円板状の端板
22,32 羽根
23,33 環状部材
40,140,240 第1回転子
41,51 ボス部
42,52,142,152,242,252 円板状の磁石部材
42a,164a,264a 環状の第1凹部
50,150,250 第2回転子
52a,164b,264b 環状の第2凹部
60,160,260 固定子
61 固定子鉄心
62 コイル
63 シャフト
64,164,264 モールド部
65 インシュレータ
242b,252b 切欠き
66 第1軸受
67 第2軸受
M1,M11,M21 モータ