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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131104
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】パネルの固定構造及び施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/82 20060101AFI20240920BHJP
   E04B 2/72 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E04B2/82 501E
E04B2/82 511F
E04B2/72 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041159
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】平岡 華子
(72)【発明者】
【氏名】山村 浩一
(57)【要約】
【課題】水平方向に荷重が加わっても撓みが生じ難く、がたつきが抑制されるパネルの固定構造及び施工方法を提供する。
【解決手段】天井6と、床7と、天井6と床7との間の壁8と、で区画される空間に固定パネル20を固定する構造であって、固定パネル20は、パネル本体21と、パネル本体21の四周を囲む枠体22と、を有し、枠体22は、天井6に固定される上枠部23と、床7に固定される下枠部24と、壁8に対向して上下方向に延びる第1の縦枠部25と、を有し、第1の縦枠部25は、第1の嵌合部(外側凸部255)を有し、壁8の第1の縦枠部25に対向する対向面に、第1の嵌合部と嵌合する第2の嵌合部(振れ止め部材60)が設けられる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井と、床と、前記天井と前記床との間の壁と、で区画される空間にパネルを固定する構造であって、
前記パネルは、パネル本体と、当該パネル本体の四周を囲む枠体と、を有し、
前記枠体は、前記天井に固定される上枠部と、前記床に設置される下枠部と、前記壁に対向して上下方向に延びる縦枠部と、を有し、
前記縦枠部は、第1の嵌合部を有し、
前記壁の前記縦枠部に対向する対向面に、前記第1の嵌合部と嵌合する第2の嵌合部が設けられる、パネルの固定構造。
【請求項2】
前記第2の嵌合部は、一対の突条と、一対の前記突条の間に形成されて前記第1の嵌合部が嵌合する溝部と、を含む、請求項1に記載のパネルの固定構造。
【請求項3】
前記溝部は、一対の前記突条のそれぞれが有する内側板部の間に形成され、当該内側板部のそれぞれは、前記溝部の開口に向かうにつれて開くようにテーパ状に傾斜している、請求項2に記載のパネルの固定構造。
【請求項4】
前記第1の嵌合部は、第1の係合部を有し、
前記第2の嵌合部は、前記第1の係合部と見込み方向で係合する第2の係合部を有する、請求項1または2に記載のパネルの固定構造。
【請求項5】
前記第1の嵌合部及び前記第2の嵌合部の少なくとも一方は、上下方向に分散して配置されている、請求項1または2に記載のパネルの固定構造。
【請求項6】
天井と、床と、前記天井と前記床との間の壁と、で区画される空間に、パネルを固定する施工方法であって、
前記パネルは、パネル本体と、当該パネル本体の四周を囲む枠体と、を有し、
前記枠体は、前記天井に固定される上枠部と、前記床に固定される下枠部と、前記壁に対向して上下方向に延びる縦枠部と、を有し、
前記縦枠部は、第1の係合部を有する第1の嵌合部を有し、
前記壁の前記縦枠部に対向する対向面に、第2の係合部を有する第2の嵌合部を設け、
前記パネルを、前記壁の方向にスライドさせることにより、前記第1の嵌合部を前記第2の嵌合部に嵌合させて、前記第1の係合部と前記第2の係合部とを見込み方向で互いに係合させ、
次いで、前記上枠部を前記天井に固定するとともに、前記下枠部を前記床に設置する、パネルの施工方法。
【請求項7】
前記床に、前記パネルの幅方向に延びるレール状の床取付け部材を敷設し、
前記パネルを、前記下枠部を介して前記床取付け部材にスライド可能に設置する、請求項6に記載のパネルの施工方法。
【請求項8】
前記床取付け部材に、前記下枠部を仮設置するとともに、その状態で前記パネルを見込み方向の一方側に傾倒させ、次いで、前記天井に固定した天井取付け部材に、前記上枠部が近付くように前記パネルを立て、次いで当該上枠部を前記天井取付け部材に固定する、請求項7に記載のパネルの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パネルの固定構造及び施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住居等の建物内において、部屋を仕切る間仕切りパネル等のパネルを設置する場合がある。特許文献1には、パネルの一方の側部を壁に突き合わせた状態で配置され、上部フレーム及び下部フレームが天井及び床にそれぞれ取付け部材を介して固定される透光壁パネルが開示されている。このパネルの壁に対向する側部を構成する側部フレームは壁に固定されておらず、その側部フレームと壁との間には隙間遮蔽部材が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-123508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示される透光壁パネルにあっては、側部が壁に固定されていないため、例えば上下方向の中央付近で見込み方向に荷重が加わると、撓みが生じてがたつきやすいという課題がある。そこで本開示は、壁に近接して配置されて天井及び床に固定されるパネルにおいて、見込み方向に荷重が加わっても撓みが生じ難く、がたつきが抑制されるパネルの固定構造及び施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、天井と、床と、前記天井と前記床との間の壁と、で区画される空間にパネルを固定する構造であって、前記パネルは、パネル本体と、当該パネル本体の四周を囲む枠体と、を有し、前記枠体は、前記天井に固定される上枠部と、前記床に固定される下枠部と、前記壁に対向して上下方向に延びる縦枠部と、を有し、前記縦枠部は、第1の嵌合部を有し、前記壁の前記縦枠部に対向する対向面に、前記第1の嵌合部と嵌合する第2の嵌合部が設けられる、パネルの固定構造に関する。
【0006】
本開示は、天井と、床と、前記天井と前記床との間の壁と、で区画される空間に、パネルを固定する施工方法であって、前記パネルは、パネル本体と、当該パネル本体の四周を囲む枠体と、を有し、前記枠体は、前記天井に固定される上枠部と、前記床に固定される下枠部と、前記壁に対向して上下方向に延びる縦枠部と、を有し、前記縦枠部は、第1の係合部を有する第1の嵌合部を有し、前記壁の前記縦枠部に対向する対向面に、第2の係合部を有する第2の嵌合部を設け、前記パネルを、前記壁の方向にスライドさせることにより、前記第1の嵌合部を前記第2の嵌合部に嵌合させて、前記第1の係合部と前記第2の係合部とを見込み方向で互いに係合させ、次いで、前記上枠部を前記天井に固定するとともに、前記下枠部を前記床に設置する、パネルの施工方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る固定パネルを有する間仕切りを示す斜視図である。
図2】上記間仕切りを示す正面図である。
図3図2のIII-III断面図である。
図4図2のIV-IV断面図である。
図5】固定パネルを施工する手順を(A)、(B)の順に示す縦断面図である。
図6図2のVI-VI断面図である。
図7】実施形態に係る固定パネルの第1の縦枠部を示す一部斜視図である。
図8】実施形態に係る振れ止め部材が壁に配置される状態を示す図であって、(A)複数の振れ止め部材を有する場合、(B)振れ止め部材が壁の全長にわたる場合、をそれぞれ示している。
図9】実施形態に係る施工方法を示す正面図である。
図10図6に対応する図であって、実施形態に係る施工方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら実施形態に係るパネルの固定構造及び施工方法について説明する。図1及び図2は、本開示の実施形態に係るパネルとしての固定パネル20を備えた間仕切り1を示している。間仕切り1は、住居等の建物内において、天井6と、床7と、天井6と床7との間の壁8で区画される空間に設置される。天井6は、まぐさ9により支持される。壁8は、壁柱8Aと、図示しない壁パネル等の壁体と、を含む。間仕切り1は、可動の戸パネル10と、固定パネル20と、を有する。これらパネル10、20は、いずれも矩形パネルであって、透明なガラス板をパネル本体とするパネルである。すなわち間仕切り1は、ガラス間仕切り(ガラスパーティション)である。なお、パネル本体は、透明な樹脂パネルであってもよい。
【0009】
戸パネル10は、ガラス製のパネル本体11と、パネル本体11の四周を囲む枠体12と、を有する。戸パネル10は引き戸であって、枠体12が、天井6に配置された図示しないレールに、矢印Aで示す幅方向にスライド可能に支持される。戸パネル10は、固定パネル20側にスライドして開いた状態となり、固定パネル20から離れる方向にスライドすると、図1及び図2に示す閉じた状態となる。戸パネル10が閉じた状態では、戸パネル10の固定パネル20側の一部(端部)が、固定パネル20に重なる。
【0010】
固定パネル20は、ガラス製のパネル本体21と、パネル本体21の四周を囲む枠体22と、を有する。枠体22は、パネル本体21の上縁に装着される上枠部23と、パネル本体21の下縁に装着される下枠部24と、パネル本体21の一方の側縁に装着される第1の縦枠部25と、パネル本体21の他方の側縁に装着される第2の縦枠部26と、を有する。第1の縦枠部25は、本開示の縦枠部の一例である。上枠部23及び下枠部24は、固定パネル20の幅方向に延びる。第1の縦枠部25及び第2の縦枠部26は、上下方向に延びる。上枠部23、下枠部24、第1の縦枠部25及び第2の縦枠部26は、例えばアルミニウム等の金属や樹脂等からなる。
【0011】
固定パネル20は、第1の縦枠部25が壁柱8Aに近接して対向し、かつ、その幅方向が壁8と直交する状態で、天井6と、床7と、天井6と床7との間の壁8で区画される空間に設置される。したがって第2の縦枠部26は、壁8とは反対側に配置される。
【0012】
図3図2のIII-III断面図であって、床7に対する下枠部24の固定構造を示す。図3の矢印Mは、固定パネル20の見込み方向である。なお、図4図5図6においても、見込み方向を同様に矢印Mで示している。図3に示すように、下枠部24は、床7に固定される床取付け部材40を介して床7に固定される。
【0013】
床取付け部材40は、断面凸形状を有するレール状の筒形型材であって、固定パネル20の幅方向に沿って延びている。床取付け部材40は、ベース部41と、ベース部41の上に突出する凸部42と、を有する。ベース部41は床7の上に置かれる底板部411を有し、この底板部411をねじ43で床7に締結することにより、床取付け部材40は床7に固定される。ねじ43による床取付け部材40の固定箇所は、床取付け部材40の延在方向に間隔をおいて複数配置されている。凸部42には、上方からねじ43を通す図示しない孔が適宜設けられる。床取付け部材40は、例えばアルミニウム等の金属で構成される。
【0014】
下枠部24は、パネル本体21の下縁を覆う状態でパネル本体21に装着される。下枠部24は、方形筒形の長尺な型材である下枠本体241と、下枠本体241の下面に嵌合される下溝型材246と、を含む。下枠本体241は、下方にへこむ溝状の上側凹部242aを有する上板部242と、開口部243aを有する底板部243と、上板部242と底板部243とをつなぐ一対の側板部244と、一対の側板部244の間にわたる内部の中板部245と、を含む。中板部245は、上方にへこむ凹部245aを有する。上板部242の上側凹部242aにグレイジングチャンネル271を介してパネル本体21の下縁を嵌め込んで、下枠部24がパネル本体21の下縁に装着される。下溝型材246は、上方にへこむ溝246aを有し、さらにその溝246aの開口縁の両側のそれぞれに、突条246bを有する。下溝型材246は、下溝型材246の開口部243aから下枠本体241の内部に挿入され、その上部が中板部245の凹部245aに嵌め込まれるとともに、突条246bのそれぞれが開口部243aの縁の内側に係止する。このように下溝型材246が下枠本体241に一体的に装着されて、下枠部24が構成される。
【0015】
下溝型材246の溝246aが、床取付け部材40の凸部42に嵌め込まれて、下枠部24が床取付け部材40に設置される。これにより、下枠部24は、見込み方向両側への移動が規制された状態で、床取付け部材40の延びる方向(図3で紙面表裏方向)に沿って摺動する状態でスライド可能である。
【0016】
図4図2のIV-IV断面図であって、天井6に対する上枠部23の固定構造を示す。図4に示すように、上枠部23は、天井6に固定される天井取付け部材30を介して天井6に固定される。
【0017】
天井取付け部材30は、固定パネル20の幅方向に沿って延びる長尺な部材である。天井取付け部材30は、下方から貫通される図示しないねじにより、天井6に固定される。天井取付け部材30の一側面には第1のカバー部材31が配置され、天井取付け部材30の他側面には第2のカバー部材32が配置される。第1のカバー部材31及び第2のカバー部材32は、パネル本体21の幅方向に延びる長尺な板材である。第1のカバー部材31は、両面粘着テープ36によって天井取付け部材30に取り付けられる。第1のカバー部材31は、その下端部に、後述する上枠部23の凸片部231bが係合する係合溝部312を有する。第2のカバー部材32は、後述する上枠部23の上側延出部235に弾性的に係合する弾性係合部322を有する。天井取付け部材30は、LVL(単板積層材)等が用いられ、各カバー部材31、32は、例えばアルミニウム等の金属、樹脂等で構成される。なお、第1のカバー部材31は、天井取付け部材30に取り付け可能であれば、両面粘着テープ36以外の取付け方法で天井取付け部材30に取り付けられてもよい。
【0018】
上枠部23は、パネル本体21の上縁を覆う状態でパネル本体21に装着される。上枠部23は、断面略L字状(図4では逆L字状に見える)の長尺な筒形型材であって、上枠本体部231と、上枠本体部231の幅方向一方側(図4で右側)から上方に延びる上側延出部235と、を含む。上枠本体部231は、その下面に上方にへこむ溝状の凹部231aを有する。この凹部231aにグレイジングチャンネル271を介してパネル本体21の上縁を嵌め込んで、上枠部23がパネル本体21の上縁に装着される。上枠本体部231は、その上面の幅方向一端側及び他端側のそれぞれに、上方に突出する凸片部231b、231cを有する。上側延出部235は、その上端部に、第2のカバー部材32の弾性係合部322が係合する係合溝部236を有する。上枠部23は、上枠本体部231と上側延出部235とにより、略直角に形成される内角部233を上側延出部235の内面側に有する。
【0019】
上枠部23は、次のようにして天井取付け部材30に固定される。まず、図5(A)に示すように、第2のカバー部材32で覆われていない天井取付け部材30に上枠部23の内面側が対向するように、固定パネル20を、床取付け部材40に対して見込み方向Mにおける図中右側に配置し、上述した下枠部24を床取付け部材40に仮設置する。このとき、固定パネル20は図5の右側にやや傾倒している。次いで、固定パネル20の上端側を天井取付け部材30側に動かして立てていき、図5(B)に示すように上枠部23の上側延出部235を天井取付け部材30に当接させる。次いで、図4に示すように上側延出部235をねじ35で天井取付け部材30に締結する。次いで、凸片部231bに第1のカバー部材31の係合溝部312を係合させるとともに両面粘着テープ36を天井取付け部材30に貼り付けて第1のカバー部材31を天井取付け部材30に取り付ける。また。第2のカバー部材32の弾性係合部322を上側延出部235の係合溝部236に係合するとともに、第2のカバー部材32の下端部内面を、上枠部23の凸片部231bに当接させて、第2のカバー部材32を上枠部23に装着する。
【0020】
図6図2のVI-VI断面図であって、壁8に対する第1の縦枠部25の取合い構造を示す。図7は、パネル本体21に装着された第1の縦枠部25を示す一部斜視図である。
【0021】
図6に示すように、第1の縦枠部25は壁8に近接し対向する状態に配置される。壁8の、第1の縦枠部25に対向する対向面には、本開示の第2の嵌合部として振れ止め部材60が設けられている。
【0022】
第1の縦枠部25は、パネル本体21の側縁を覆う状態でパネル本体21に装着される。図6及び図7に示すように、第1の縦枠部25は、長尺な型材であって、内側にへこむ左右一対の外側凹部254と、これら外側凹部254の間の、外側に突出する外側凸部255と、を有する。外側凹部254、外側凸部255は、第1の縦枠部25の長手方向である上下方向に、全長にわたり延びている。外側凹部254は、見込み方向で互いに対向する側板部253、255bと、これら側板部253、255bの内側の端部をつなぐ内板部251aと、により形成される。外側凸部255は、見込み方向で互いに対向する一対の側板部255b、255bと、これら側板部255bの外側の端部をつなぐ外板部255aと、により形成される。一対の側板部255b、255bの間にグレイジングチャンネル271を介してパネル本体21の側縁を嵌め込んで、第1の縦枠部25がパネル本体21の側縁に装着される。外側凹部254及び外側凸部255のそれぞれは、本開示の第1の嵌合部を構成し、さらに外側凸部255は、本開示の第1の係合部をも構成する。
【0023】
振れ止め部材60は、上下方向に延びる型材である。図6に示すように、振れ止め部材60は、壁8に当接して配置される基板部63と、基板部63の幅方向両側から固定パネル20側、すなわち見付け方向内側に突出する一対の突条61と、これら突条61の間の溝部62と、を有する。突条61は内部が空洞となっており、突条61の内側の、互いに対向する内側板部61aのそれぞれは、見付け方向内側であって溝部62の開口に向かうにつれてしだいに開くようにテーパ状に傾斜している。振れ止め部材60は、各突条61を内側から貫通するねじ65により、壁8に締結して固定される。一対の突条61のそれぞれには、第1の縦枠部25の一対の外側凹部254のそれぞれが嵌合可能である。また、溝部62には、第1の縦枠部25の外側凸部255が嵌合可能である。一対の突条61は、本開示の第2の係合部を構成する。
【0024】
振れ止め部材60は、図8(A)に示すように、複数が上下方向に分散して配置された態様でもよく、図8(B)に示すように、固定パネル20に対応する上下方向領域の全長にわたる長さを有する態様であってもよい。複数の振れ止め部材60を分散して間欠的に配置した場合には、第1の縦枠部25を比較的嵌合させやすい利点がある。なお、複数の振れ止め部材60を分散して配置する場合、振れ止め部材60の長さや配置する位置等は限定されない。
【0025】
図6に示すように、固定パネル20は、壁8に近接した第1の縦枠部25の、外側凸部255が振れ止め部材60の溝部62内に入り込んで嵌合し、かつ、一対の外側凹部254内に振れ止め部材60の一対の突条61のそれぞれが入り込んで嵌合した状態で、天井6及び床7に固定される。このように全体として第1の縦枠部25が振れ止め部材60に嵌合すると、第1の縦枠部25における外側凸部255の一対の側板部255bが、振れ止め部材60の一対の突条61の各内側板部61aに、見込み方向で当接して係合するか、もしくは僅かに離間して近接した状態となる。
【0026】
第2の縦枠部26は、上述した第1の縦枠部25と同一構成を有する。したがって、第2の縦枠部26の説明は省略する。なお、第2の縦枠部26には、一対の外側凹部254を一括して覆うカバー部材を有してよい。
【0027】
以上の構成を有する固定パネル20は、以下の施工方法で施工することができる。
【0028】
壁8からやや離れた位置において、上述したように、上枠部23の内角部233が、第1のカバー部材31で覆われていない状態の天井取付け部材30に対向するようにした状態から、下枠部24を床取付け部材40にスライド可能に仮設置して、固定パネル20をほぼ立てた状態とする。次いで、図9及び図10に示すように、固定パネル20を矢印B方向に床取付け部材40上をスライドさせ、図6に示したように、第1の縦枠部25を振れ止め部材60に嵌合させる。このとき、振れ止め部材60における溝部62の両側の内側板部61aが、固定パネル20側に開いており、より具体的には、固定パネル20側にテーパ状に傾斜しているため、第1の縦枠部25の外側凸部255を溝部62に挿入しやすく、施工が円滑に行える。この後、上述したように、上枠部23を天井取付け部材30に固定する。
【0029】
以上のようにして壁8に沿う状態で天井6及び床7に固定された固定パネル20においては、第1の縦枠部25の、外側凸部255が振れ止め部材60の溝部62に嵌合し、かつ、一対の外側凹部254内に振れ止め部材60の一対の突条61のそれぞれが嵌合する。ここで、例えばパネル本体21の上下方向の中央付近を見込み方向の一方向に押すなどして、固定パネル20に水平方向の荷重を加えても、第1の縦枠部25の外側凸部255が振れ止め部材60の一方の突条61に当接して係合する。詳しくは、第1の縦枠部25の外側凸部255の側板部255bが、振れ止め部材60の突条61の内側板部61aに当接して係合する。あるいは、第1の縦枠部25の側板部253の内面が突条61に当接して係合する場合もある。これにより、固定パネル20は撓み難く、がたつきが抑制される。
【0030】
上述した施工方法によれば、固定パネル20を、床取付け部材40上を壁8の方向にスライドさせることにより、第1の縦枠部25を振れ止め部材60に円滑に嵌合させることができる。このため、施工性の向上が図られる。
【0031】
以上の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0032】
(1)実施形態のパネルの固定構造は、天井6と、床7と、天井6と床7との間の壁8と、で区画される空間に固定パネル20を固定する構造であって、固定パネル20は、パネル本体21と、当該パネル本体21の四周を囲む枠体22と、を有し、枠体22は、天井6に固定される上枠部23と、床7に設置される下枠部24と、壁8に対向して上下方向に延びる第1の縦枠部25と、を有し、第1の縦枠部25は、第1の嵌合部(外側凸部255)を有し、壁8の第1の縦枠部25に対向する対向面に、第2の嵌合部(振れ止め部材60)が設けられる。
【0033】
これにより、固定パネル20に対して見込み方向に荷重が加わっても、振れ止め部材60により見込み方向への動きが規制されるので、固定パネル20は撓みが生じ難く、がたつきが抑制される。
【0034】
(2)実施形態のパネルの固定構造においては、第2の嵌合部である振れ止め部材60は、一対の突条61と、一対の突条61の間に形成されて第2の嵌合部である外側凸部255が嵌合する溝部62と、を含む構造が好ましい。
【0035】
これにより、固定パネル20に対して見込み方向に荷重が加わっても、振れ止め部材60の突条61により見込み方向への動きが規制されるので、固定パネル20は撓みが生じ難く、がたつきが抑制される。
【0036】
(3)実施形態のパネルの固定構造においては、振れ止め部材60の溝部62は、一対の突条61のそれぞれが有する内側板部61aの間に形成され、当該内側板部61aのそれぞれは、溝部62の開口に向かうにつれて開くようにテーパ状に傾斜していることが好ましい。
【0037】
これにより、固定パネル20の第1の縦枠部25の外側凸部255を溝部62に挿入しやすく、施工を円滑に行うことができる。
【0038】
(4)実施形態のパネルの固定構造においては、第1の嵌合部は、第1の係合部(外側凸部255)を有し、第2の嵌合部(振れ止め部材60)は、第1の係合部と見込み方向で係合する第2の係合部(突条61)を有することが好ましい。
【0039】
これにより、固定パネル20に対して見込み方向に荷重が加わっても、振れ止め部材60により見込み方向への動きが確実に規制され、固定パネル20の撓みが効果的に抑制されることにより見込み方向のがたつきが確実に抑制される。
【0040】
(5)実施形態のパネルの固定構造においては、振れ止め部材60は、上下方向に分散して配置されていることが好ましい。
【0041】
(6)実施形態のパネルの施工方法は、天井6と、床7と、天井6と床7との間の壁8と、で区画される空間に、固定パネル20を固定する施工方法であって、固定パネル20は、パネル本体21と、当該パネル本体21の四周を囲む枠体22と、を有し、枠体22は、天井6に固定される上枠部23と、床7に固定される下枠部24と、壁8に対向して上下方向に延びる第1の縦枠部25と、を有し、第1の縦枠部25は、第1の係合部(外側凸部255)を有する第1の嵌合部(外側凸部255)を有し、壁8の第1の縦枠部25に対向する対向面に、第2の係合部(突条61)を有する第2の嵌合部(振れ止め部材60)を設け、固定パネル20を、壁8の方向にスライドさせることにより、第1の嵌合部を2の嵌合部に嵌合させて、第1の係合部と第2の係合部とを見込み方向で互いに係合させ、次いで、上枠部23を天井6に固定するとともに、下枠部24を床7に設置する。
【0042】
これにより、見込み方向に荷重が加わっても見込み方向への動きが規制され、撓みが生じ難くがたつきが抑制されるパネルの施工方法が提供される。固定パネル20を壁8の方向にスライドさせることにより第1の縦枠部25を振れ止め部材60に円滑に嵌合させることができるため、施工性の向上が図られる。
【0043】
(7)実施形態のパネルの施工方法においては、床7に、固定パネル20の幅方向に延びるレール状の床取付け部材40を敷設し、固定パネル20を、下枠部24を介して床取付け部材40にスライド可能に設置する。
【0044】
これにより、固定パネル20を、床取付け部材40上を壁8の方向にスライドさせることにより、第1の縦枠部25を振れ止め部材60に円滑に嵌合させることができ、施工性の向上が図られる。
【0045】
(8)実施形態のパネルの施工方法においては、床取付け部材40に下枠部24を仮設置するとともに、その状態で固定パネル20を見込み方向の一方側に傾倒させ、次いで、天井6に固定した天井取付け部材30に、上枠部23が近付くように固定パネル20を立て、次いで当該上枠部23を天井取付け部材30に固定することを含む。
【0046】
これにより、固定パネル20を所定の施工箇所に配置して枠体22の上枠部23を天井6に固定する作業を容易、かつ円滑に行うことができる。
【0047】
本開示のパネルの固定構造及び施工方法は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
【0048】
例えば、上記実施形態では、第1の縦枠部25に、振れ止め部材60に嵌合する第1の嵌合部(外側凹部254,外側凸部255)を全長にわたって設けているが、その第1の嵌合部を、振れ止め部材60に嵌合可能な範囲で、複数にわけて上下方向に分散して配置してもよい。すなわち、固定パネル20側の第1の嵌合部及び壁8側の2の嵌合部の少なくとも一方は、上下方向に分散して配置されてよい。
上記実施形態では、固定パネル20の下枠部24は床取付け部材40にスライド可能に設けられているが、下枠部24は、ねじ等の止め具によって床取付け部材40または床7に固定されてもよい。
【0049】
振れ止め部材60は、第1の縦枠部25に嵌合可能であれば、その形状は特に限定されず、これと同様に、第1の縦枠部25も振れ止め部材60と嵌合可能であれば、その形状は特に限定されない。
【0050】
上記実施形態の固定パネル20は、パネル本体21がガラスの透光性パネルであるが、パネル本体21や枠体22の材質は制限されず、例えば樹脂や木製であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
6…天井、7…床、8…壁、20…固定パネル(パネル)、21…パネル本体、22…枠体、23…上枠部、24…下枠部、25…第1の縦枠部(縦枠部)、255…外側凸部(第1の嵌合部、第1の係合部)、30…天井取付け部材、40…床取付け部材、60…振れ止め部材(第2の嵌合部)、61…突条(第2の係合部)、61a…内側板部、62…溝部。
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