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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131111
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】磁気ディスク装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 20/10 20060101AFI20240920BHJP
   G11B 5/09 20060101ALI20240920BHJP
   G11B 5/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G11B20/10 301Z
G11B5/09 311Z
G11B5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041176
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 鈴
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 達也
(72)【発明者】
【氏名】仁田 達雄
【テーマコード(参考)】
5D044
【Fターム(参考)】
5D044BC01
5D044CC04
5D044DE03
5D044DE37
5D044DE38
5D044DE48
5D044DE58
5D044DE68
5D044DE96
5D044EF02
(57)【要約】
【課題】 磁気ヘッドの寿命低下を抑制可能な磁気ディスク装置を提供する。
【解決手段】少なくとも1枚の磁気ディスクと、第1磁気ヘッドと、第2磁気ヘッドと、カウンタと未ライト検出部とメモリとを有するコントローラと、を備え、前記コントローラは、第1ブロックにデータをライトするコマンドを受けた際、第1磁気ヘッドのライト回数が第1閾値を超えているか否かを判断し、前記第1磁気ヘッドのライト回数が前記第1閾値を超えている場合、前記第2磁気ヘッドのライト回数が第2閾値を超えているか否かを判断し、前記第2磁気ヘッドのライト回数が前記第2閾値を超えていない場合、第2記録面に未ライトの第2ブロックが存在するか否かを判断し、前記第2ブロックが存在する場合、前記第1ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスと前記第2ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスとを入れ替える、磁気ディスク装置。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1記録面及び第2記録面を有し、前記第1記録面及び前記第2記録面にはそれぞれ論理ブロックアドレスが割り当てられている複数のブロックが含まれる、少なくとも1枚の磁気ディスクと、
前記第1記録面にデータをライトする第1磁気ヘッドと、
前記第2記録面にデータをライトする第2磁気ヘッドと、
前記第1磁気ヘッド及び前記第2磁気ヘッドの各々のライト回数を検出するカウンタと、前記複数のブロックから未ライトのブロックを検出する未ライト検出部と、前記第1磁気ヘッド及び前記第2磁気ヘッドの各々のライト回数に対する第1閾値と前記第1閾値以下である第2閾値とを記憶しているメモリと、を有するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記複数のブロックのうちの前記第1記録面の第1ブロックにデータをライトするコマンドを受けた際、
前記第1ブロックにデータをライトする第1磁気ヘッドのライト回数が前記第1閾値を超えているか否かを判断し、
前記第1磁気ヘッドのライト回数が前記第1閾値を超えていない場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、
前記第1磁気ヘッドのライト回数が前記第1閾値を超えている場合、前記第2磁気ヘッドのライト回数が前記第2閾値を超えているか否かを判断し、
前記第2磁気ヘッドのライト回数が前記第2閾値を超えている場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、
前記第2磁気ヘッドのライト回数が前記第2閾値を超えていない場合、前記第2記録面に未ライトの第2ブロックが存在するか否かを判断し、
前記第2ブロックが存在しない場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、
前記第2ブロックが存在する場合、前記第1ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスと前記第2ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスとを入れ替え、前記第2磁気ヘッドで前記第2ブロックにデータをライトするように制御する、
磁気ディスク装置。
【請求項2】
前記第1記録面及び前記第2記録面は、前記1枚の磁気ディスクの表裏面に設けられている、
請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項3】
前記磁気ディスクは複数枚であり、
前記第1記録面及び前記第2記録面は、異なる磁気ディスクの面に設けられている、
請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記複数のブロックの各々に未ライトがあるか否かを示すフラグを、論理ブロックアドレスに関連付けて前記メモリに記憶し、
前記フラグに基づいて前記第2ブロックが存在するか否かを判断する、
請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項5】
第1記録面及び第2記録面を有し、前記第1記録面及び前記第2記録面にはそれぞれ論理ブロックアドレスが割り当てられている複数のブロックが含まれる、少なくとも1枚の磁気ディスクと、
前記第1記録面にデータをライトする第1磁気ヘッドと、
前記第2記録面にデータをライトする第2磁気ヘッドと、
前記第1磁気ヘッド及び前記第2磁気ヘッドの各々のライト回数を検出するカウンタと、ライトされているデータが周期的な繰り返しパターンで構成されているか否かを検出するパターン検出部と、前記第1磁気ヘッド及び前記第2磁気ヘッドの各々のライト回数に対する第1閾値と前記第1閾値以下である第2閾値とを記憶しているメモリと、を有するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記複数のブロックのうちの前記第1記録面の第1ブロックにデータをライトするコマンドを受けた際、
前記第1ブロックにデータをライトする第1磁気ヘッドのライト回数が前記第1閾値を超えているか否かを判断し、
前記第1磁気ヘッドのライト回数が前記第1閾値を超えていない場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、
前記第1磁気ヘッドのライト回数が前記第1閾値を超えている場合、第2磁気ヘッドのライト回数が前記第2閾値を超えているか否かを判断し、
前記第2磁気ヘッドのライト回数が前記第2閾値を超えている場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、
前記第2磁気ヘッドのライト回数が前記第2閾値を超えていない場合、前記第1ブロックにライトされている第1データが周期的な繰り返しパターンで構成されているか否かを判断し、
前記第1データが周期的な繰り返しパターンで構成されていない場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、
前記第1データが周期的な繰り返しパターンで構成されている場合、第2記録面に周期的な繰り返しパターンで構成されている第3データがライトされている第3ブロックが存在するか否かを判断し、
前記第3ブロックが存在しない場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、
前記第3ブロックが存在する場合、前記第1データと前記第3データとが同一か否かを判断し、
前記第1データと前記第3データとが同一でない場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、
前記第1データと前記第3データとが同一である場合、前記第1ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスと前記第3ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスとを入れ替え、前記第2磁気ヘッドで前記第3ブロックにデータをライトするように制御する、
磁気ディスク装置。
【請求項6】
前記第1記録面及び前記第2記録面は、前記1枚の磁気ディスクの表裏面に設けられている、
請求項5に記載の磁気ディスク装置。
【請求項7】
前記磁気ディスクは複数枚であり、
前記第1記録面及び前記第2記録面は、異なる磁気ディスクの面に設けられている、
請求項5に記載の磁気ディスク装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記複数のブロックの各々にライトされているデータが周期的な繰り返しパターンで構成されているか否かを示すフラグを、論理ブロックアドレスに関連付けて前記メモリに記憶し、
前記フラグに基づいて前記第3ブロックが存在するか否かを判断する、
請求項5に記載の磁気ディスク装置。
【請求項9】
前記周期的な繰り返しパターンで構成されたデータは、0のみで構成されたデータ、又は1のみで構成されたデータである、
請求項5に記載の磁気ディスク装置。
【請求項10】
第1記録面及び第2記録面を有し、前記第1記録面及び前記第2記録面にはそれぞれ論理ブロックアドレスが割り当てられている複数のブロックが含まれる、少なくとも1枚の磁気ディスクと、
前記第1記録面にデータをライトする第1磁気ヘッドと、
前記第2記録面にデータをライトする第2磁気ヘッドと、
前記第1磁気ヘッド及び前記第2磁気ヘッドの各々のライト回数を検出するカウンタと、前記複数のブロックから未ライトのブロックを検出する未ライト検出部と、前記複数のブロックの各々にライトされているデータが周期的な繰り返しパターンで構成されているか否かを検出するパターン検出部と、前記第1磁気ヘッド及び前記第2磁気ヘッドの各々のライト回数に対する第1閾値と前記第1閾値以下である第2閾値とを記憶しているメモリと、を有しているコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記複数のブロックのうちの第1記録面の第1ブロックにデータをライトするコマンドを受けた際、
前記第1ブロックにデータをライトする第1磁気ヘッドのライト回数が前記第1閾値を超えているか否かを判断し、
前記第1磁気ヘッドのライト回数が前記第1閾値を超えていない場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、
前記第1磁気ヘッドのライト回数が前記第1閾値を超えている場合、前記第2磁気ヘッドのライト回数が前記第2閾値を超えているか否かを判断し、
前記第2磁気ヘッドのライト回数が前記第2閾値を超えている場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、
前記第2磁気ヘッドのライト回数が前記第2閾値を超えていない場合、前記第2記録面に未ライトの第2ブロックが存在するか否かを判断し、
前記第2ブロックが存在する場合、前記第1ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスと前記第2ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスとを入れ替え、前記第2磁気ヘッドで前記第2ブロックにデータをライトし、
前記第2ブロックが存在しない場合、前記第1ブロックにライトされている第1データが周期的な繰り返しパターンで構成されているか否かを判断し、
前記第1データが周期的な繰り返しパターンで構成されていない場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、
前記第1データが周期的な繰り返しパターンで構成されている場合、第2記録面に周期的な繰り返しパターンで構成されている第3データがライトされている第3ブロックが存在するか否かを判断し、
前記第3ブロックが存在しない場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、
前記第3ブロックが存在する場合、前記第1データと前記第3データとが同一か否かを判断し、
前記第1データと前記第3データとが同一でない場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、
前記第1データと前記第3データとが同一である場合、前記第1ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスと前記第3ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスとを入れ替え、前記第2磁気ヘッドで前記第3ブロックにデータをライトするように制御する、
磁気ディスク装置。
【請求項11】
前記第1記録面及び前記第2記録面は、前記1枚の磁気ディスクの表裏面に設けられている、
請求項10に記載の磁気ディスク装置。
【請求項12】
前記磁気ディスクは複数枚であり、
前記第1記録面及び前記第2記録面は、異なる磁気ディスクの面に設けられている、
請求項10に記載の磁気ディスク装置。
【請求項13】
前記第1磁気ヘッド及び前記第2磁気ヘッドは、対応する記録面にエネルギーを出力してデータをライトする、
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の磁気ディスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置は、複数の磁気ディスクと、磁気ディスクにデータをライトする複数の磁気ヘッドと、を備えている。磁気ディスク装置には、高記録密度化を実現するために、高周波アシスト磁気記録型式(MAMR:Microwave Assisted Magnetic Recording)や熱アシスト磁気記録型式(HAMR:Heat Assisted Magnetic Recording)などのエネルギーアシスト記録型式が用いられるが、ライト回数に応じて磁気ヘッドのライト性能が低下することが知られている。
一般的なウェアレベリング(Wear Levering)では、磁気ディスクの記録領域おけるライト状況を監視し、空いている領域にデータを優先的にライトすることで、データが集中することを抑制している。しかしながら、上記のようなアルゴリズムでは、特定の磁気ヘッドにおいて、ライト回数が増加し、寿命が短くなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0065744号明細書
【特許文献2】米国特許第11023352号明細書
【特許文献3】米国特許第9218849号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の課題は、磁気ヘッドの寿命低下を抑制可能な磁気ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る磁気ディスク装置は、第1記録面及び第2記録面を有し、前記第1記録面及び前記第2記録面にはそれぞれ論理ブロックアドレスが割り当てられている複数のブロックが含まれる、少なくとも1枚の磁気ディスクと、前記第1記録面にデータをライトする第1磁気ヘッドと、前記第2記録面にデータをライトする第2磁気ヘッドと、前記第1磁気ヘッド及び前記第2磁気ヘッドの各々のライト回数を検出するカウンタと、前記複数のブロックから未ライトのブロックを検出する未ライト検出部と、前記第1磁気ヘッド及び前記第2磁気ヘッドの各々のライト回数に対する第1閾値と前記第1閾値以下である第2閾値とを記憶しているメモリと、を有するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記複数のブロックのうちの前記第1記録面の第1ブロックにデータをライトするコマンドを受けた際、前記第1ブロックにデータをライトする第1磁気ヘッドのライト回数が前記第1閾値を超えているか否かを判断し、前記第1磁気ヘッドのライト回数が前記第1閾値を超えていない場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、前記第1磁気ヘッドのライト回数が前記第1閾値を超えている場合、前記第2磁気ヘッドのライト回数が前記第2閾値を超えているか否かを判断し、前記第2磁気ヘッドのライト回数が前記第2閾値を超えている場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、前記第2磁気ヘッドのライト回数が前記第2閾値を超えていない場合、前記第2記録面に未ライトの第2ブロックが存在するか否かを判断し、前記第2ブロックが存在しない場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、前記第2ブロックが存在する場合、前記第1ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスと前記第2ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスとを入れ替え、前記第2磁気ヘッドで前記第2ブロックにデータをライトするように制御する。
【0006】
また、一実施形態に係る磁気ディスク装置は、第1記録面及び第2記録面を有し、前記第1記録面及び前記第2記録面にはそれぞれ論理ブロックアドレスが割り当てられている複数のブロックが含まれる、少なくとも1枚の磁気ディスクと、前記第1記録面にデータをライトする第1磁気ヘッドと、前記第2記録面にデータをライトする第2磁気ヘッドと、前記第1磁気ヘッド及び前記第2磁気ヘッドの各々のライト回数を検出するカウンタと、ライトされているデータが周期的な繰り返しパターンで構成されているか否かを検出するパターン検出部と、前記第1磁気ヘッド及び前記第2磁気ヘッドの各々のライト回数に対する第1閾値と前記第1閾値以下である第2閾値とを記憶しているメモリと、を有するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記複数のブロックのうちの前記第1記録面の第1ブロックにデータをライトするコマンドを受けた際、前記第1ブロックにデータをライトする第1磁気ヘッドのライト回数が前記第1閾値を超えているか否かを判断し、前記第1磁気ヘッドのライト回数が前記第1閾値を超えていない場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、前記第1磁気ヘッドのライト回数が前記第1閾値を超えている場合、第2磁気ヘッドのライト回数が前記第2閾値を超えているか否かを判断し、前記第2磁気ヘッドのライト回数が前記第2閾値を超えている場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、前記第2磁気ヘッドのライト回数が前記第2閾値を超えていない場合、前記第1ブロックにライトされている第1データが周期的な繰り返しパターンで構成されているか否かを判断し、前記第1データが周期的な繰り返しパターンで構成されていない場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、前記第1データが周期的な繰り返しパターンで構成されている場合、第2記録面に周期的な繰り返しパターンで構成されている第3データがライトされている第3ブロックが存在するか否かを判断し、前記第3ブロックが存在しない場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、前記第3ブロックが存在する場合、前記第1データと前記第3データとが同一か否かを判断し、前記第1データと前記第3データとが同一でない場合、前記第1磁気ヘッドで前記第1ブロックにデータをライトし、前記第1データと前記第3データとが同一である場合、前記第1ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスと前記第3ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスとを入れ替え、前記第2磁気ヘッドで前記第3ブロックにデータをライトするように制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る磁気ディスク装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、上記実施形態の磁気ディスク装置における磁気ヘッド及び磁気ディスクを示す斜視図である。
図3図3は、上記実施形態に係る磁気ディスク及び磁気ヘッドの一例を示す拡大断面図である。
図4図4は、上記実施形態に係る磁気ディスク装置のライト時における制御の一例を示す図である。
図5図5は、図4に続く、上記実施形態に係る磁気ディスク装置のライト時における制御の一例を説明するための図である。
図6図6は、上記実施形態に係る磁気ディスク装置のライト時における制御の一例を示す図である。
図7図7は、図6に続く、上記実施形態に係る磁気ディスク装置のライト時における制御の一例を示す図である。
図8図8は、上記実施形態に係る磁気ディスク装置のライト処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、図8に続く、上記実施形態に係る磁気ディスク装置のライト処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、図9に続く、上記実施形態に係る磁気ディスク装置のライト処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、図9に続く、上記実施形態に係る磁気ディスク装置のライト処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、図8に続く、第1変形例のライト処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、図8に続く、第2変形例のライト処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る磁気ディスク装置について説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の趣旨を保っての適宣変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面や説明をより明確にするため、実際の様態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宣省略することがある。
【0009】
図1は、一実施形態に係る磁気ディスク装置10の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、磁気ディスク装置10は、矩形状の筐体11と、筐体11内に配置された記録媒体としての磁気ディスク12と、磁気ディスク12を支持及び回転するスピンドルモータ14と、磁気ヘッド16と、を備えている。
磁気ディスク12には、データをライト可能な領域として、ユーザから利用可能なユーザデータ領域12aと、ホスト45などから転送されたデータ(又はコマンド)をユーザデータ領域12aの所定の領域にライトする前に一時的に保持するメディアキャッシュ領域12bと、システム管理に必要な情報を記録するシステムエリア12cとが割り当てられている。
なお、メディアキャッシュ領域12bは、必ずしも割り当てられなくともよく、システムエリア12cは、後述するメモリ47などに割り当ててもよい。
磁気ヘッド16は、磁気ディスク12にデータをライトするライトヘッド16Wと、磁気ディスク12からデータをリードするリードヘッド16Rと、を有している。
【0010】
磁気ディスク装置10は、磁気ヘッド16を磁気ディスク12上の任意のトラック上に移動するとともに位置決めするヘッドアクチュエータ18を備えている。ヘッドアクチュエータ18は、磁気ヘッド16を移動可能に支持するキャリッジアッセンブリ20と、キャリッジアッセンブリ20を回動させるボイスコイルモータ(VCM)22と、を含んでいる。
キャリッジアッセンブリ20は、筐体11に回動自在に支持された軸受部24と、軸受部24から延出した複数のサスペンション26と、を有している。磁気ヘッド16は、各サスペンション26の先端に支持されている。
【0011】
磁気ディスク装置10は、磁気ヘッド16を駆動するヘッドアンプIC(プリアンプ)30と、メインコントローラ40と、ドライバIC48と、を備えている。ヘッドアンプIC30は、図示しないリードアンプ、ライト電流制御回路32、及び素子エネルギー制御回路34を備えている。リードアンプは、リードヘッド16Rによって磁気ディスク12からリードされたリード信号を増幅して、メインコントローラ40(より詳細には、後述するR/Wチャネル42)に出力する。ライト電流制御回路32は、R/Wチャネル42から出力される信号に応じたライト電流をライトヘッド16Wに出力する。素子エネルギー制御回路34は、後述するアシスト素子200に電気的に接続され、アシスト素子200に所定のエネルギー(例えば、電流や電圧)を印加する。
【0012】
メインコントローラ40及びドライバIC48は、例えば、筐体11の背面側に設けられた図示しない制御回路基板に構成されている。メインコントローラ40は、R/Wチャネル42、ハードディスクコントローラ(HDC)44、マイクロプロセッサ(MPU)46、メモリ47などを備えている。メインコントローラ40は、ドライバIC48を介して、VCM22及びスピンドルモータ14に電気的に接続されている。HDC44は、ホストコンピュータ(ホスト)45に接続可能である。
【0013】
R/Wチャネル42は、リード/ライトデータの信号処理回路である。HDC44は、MPU46からの指示に応じて、ホスト45とR/Wチャネル42との間のデータ転送を制御する。HDC44は、R/Wチャネル42、MPU46、メモリ47などに電気的に接続されている。メモリ47は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含む。例えば、メモリ47は、DRAMからなるバッファメモリ及びフラッシュメモリなどを含む。メモリ47は、MPU46の処理に必要なプログラム及びパラメータを格納する。
メモリ47は、各々の磁気ヘッド16のライト回数に対する第1閾値及び第1閾値以下である第2閾値を記憶している。第2閾値は、第1閾値と同じであってもよい。第1閾値及び第2閾値は、例えば、1万回や10万回である。
【0014】
MPU46は、磁気ディスク装置10の各部を制御する主制御部である。MPU46は、リード/ライト動作の制御及び磁気ヘッド16の位置決めに必要なサーボ制御を実行する。MPU46は、ライト処理を制御するライト制御部46aと、リード処理を制御するリード制御部46bと、磁気ヘッド16のライト回数を検出するカウンタ46cと、後述するブロックの各々にデータがライトされたことがあるか否かを検出する未ライト検出部46dと、ブロックにライトされているデータが周期的な繰り返しパターンで構成されているか否かを検出するパターン検出部46eと、を有している。
なお、上記周期的な繰り返しパターンとは、例えば、0のみで構成されたパターン、1のみで構成されたパターン、規則性を有する繰り返しパターンなどである。規則性を有する繰り返しパターンは、例えば、0と1とを交互に繰り返すパターンである。
【0015】
ライト制御部46aは、ホスト45などからのコマンドに従って、データのライト処理を制御する。具体的には、ライト制御部46aは、ドライバIC48を介してVCM22を制御し、磁気ヘッド16を磁気ディスク12上の所定の位置に配置して、データをライトする。
リード制御部46bは、ホスト45などからのコマンドに従って、データのリード処理を制御する。具体的には、リード制御部46bは、ドライバIC48を介してVCM22を制御し、磁気ヘッド16を磁気ディスク12上の所定の位置に配置して、データをライトする。
【0016】
図2は、上記実施形態に係る磁気ディスク装置10の磁気ヘッド16及び磁気ディスク12を示す斜視図である。
図2に示すように、磁気ディスク装置10は、複数個の磁気ヘッド16及び複数の磁気ディスク12を有している。一例において、磁気ディスク装置10は、n個の磁気ヘッド16と、n/2個の磁気ディスク12と、を有している。複数の磁気ヘッド16及び複数の磁気ディスク12は、回転軸線aに沿って並んで位置している。
【0017】
各々の磁気ディスク12は、一対の記録面RSを有し、円周方向に沿った複数のトラックTと、トラックTを円周方向に分割して構成された複数のセクタCEと、を含んでいる。複数のトラックTは、半径方向に並んで位置している。セクタCEは、データがライトされる記憶領域である。磁気ディスク12は、複数のブロックに分けられている。複数のブロックの各々は、少なくとも1つのセクタを含み、論理ブロックアドレス(LBA:Logical Block Address)が割り当てられている。
【0018】
メインコントローラ40は、各ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスをメモリ47に記憶する。
メインコントローラ40は、未ライト検出部46dで検出された結果に基づいて、各ブロックにデータがライトされたことがあるか否かを示すフラグを、各ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスに関連付けてメモリ47に記憶する。また、メインコントローラ40は、パターン検出部46eで検出された結果に基づいて、各ブロックにライトされているデータのパターンが所定のパターンであるか否かを示すフラグを、各ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスに関連付けてメモリ47に記憶する。
【0019】
各々の磁気ヘッド16は、1つの記録面RSと対向している。メインコントローラ40は、複数の磁気ヘッド16を個別に制御することができる。具体的には、メインコントローラ40は、ライト制御部46aでヘッドアンプIC30を制御して、任意の磁気ヘッド16(例えば、磁気ヘッドH1)を駆動して磁気ディスク12の記録面RS1にデータをライトすることができる。
【0020】
図3は、上記実施形態に係る磁気ディスク12及び磁気ヘッド16の一例を示す拡大断面図である。なお、図3では、磁気ディスク12の回転方向Bは、空気流Cの方向と一致している。
図3に示すように、磁気ディスク12は、基板101と、軟磁性層102と、磁気記録層103と、保護膜104とが順に積層されている。基板101は、円板状の非磁性体で形成されている。軟磁性層102は、基板101の上に位置している。軟磁性層102は、軟磁気特性を示す材料で形成されている。磁気記録層103は、軟磁性層102の上に位置している。磁気記録層103は、磁気ディスク12の表面(磁気記録層103の表面又は保護膜104の表面)に対して垂直方向に磁気異方性を有する。保護膜104は、磁気記録層103の上に位置している。
【0021】
磁気ヘッド16は、スライダ160を備えている。スライダ160は、磁気ディスク12の表面(例えば、保護膜104)に対向するABS(Air Bearing Surface)162と、空気流Cの流出側に位置するトレーリング端164と、を有している。ライトヘッド16W及びリードヘッド16Rの一部は、ABS162から露出している。
【0022】
リードヘッド16Rは、磁性膜166と、シールド膜168と、シールド膜170とで構成されている。磁性膜166は、シールド膜168とシールド膜170との間に位置し、磁気抵抗効果を生じる。シールド膜168は、磁性膜166に対してトレーリング端164側に位置している。シールド膜170は、シールド膜168に対向している。磁性膜166、シールド膜168、及びシールド膜170の下端は、ABS162から露出している。
【0023】
ライトヘッド16Wは、リードヘッド16Rに対して、スライダ160のトレーリング端164側に設けられている。ライトヘッド16Wは、主磁極172と、ライトシールド174と、絶縁体176と、主磁極172に磁束を流すために主磁極172及びライトシールド174を含む磁気回路に巻き付くように配置された記録コイル178と、アシスト素子200と、を備えている。
【0024】
主磁極172は、高飽和磁束密度を有する軟磁性体からなる。主磁極172は、磁気ディスク12の磁気記録層103を磁化させるため、磁気ディスク12の表面に対して垂直方向の記録磁界を発生させる。一例において、主磁極172は、ABS162に対してほぼ垂直に延出している。
主磁極172のABS162側の先端部172aの下面は、ABS162から露出している。
【0025】
ライトシールド174は、高飽和磁束密度を有する軟磁性体からなる。ライトシールド174は、主磁極172直下の軟磁性層102を介して効率的に磁路を閉じるために設けられている。ライトシールド174は、主磁極172に対してトレーリング端164側に位置している。ライトシールド174は、ABS162と反対側の端に主磁極172に向かって突出する接続部174aを有している。接続部174aは、絶縁体176を介して主磁極172に連結されている。接続部174aは、主磁極172から電気的に絶縁されている。なお、接続部174aは、主磁極172に磁気的に接続されている。
【0026】
ライトシールド174は、略L字形状に形成され、ABS162側に主磁極172の先端部172aにライトギャップを置いて対向する先端部174bを有している。先端部174bの下面は、ABS162から露出している。
記録コイル178は、一例において、接続部174aの回りに巻き付けられている。磁気ディスク12に信号をライトする際、記録コイル178に電流を流すことにより、記録コイル178は、主磁極172を励起して主磁極172に磁束を流す。
【0027】
アシスト素子200は、主磁極172の先端部172a及びライトシールド174の先端部174bの間に設けられている。言い換えると、アシスト素子200は、ライトギャップに設けられている。アシスト素子200は、例えば、スピントルク発振子(STO:Spin Torque Oscillator)である。STOは、例えば、非磁性導電層からなる下地層と、スピン注入層と、中間層と、発振層と、非磁性導電層からなるギャップ層とを主磁極172の先端部172a側からライトシールド174の先端部174b側に順に積層された構造を有する。
【0028】
アシスト素子200は、電流又は電圧が印加されることで、磁気ディスク12に対してエネルギーを発生させる。上記エネルギーは、例えば、高周波磁界である。アシスト素子200は、磁気ディスク12の磁気記録層103に高周波磁界を印加することで、磁気記録層103の保持力を低下させる。これにより、ライトヘッド16Wによる磁気ディスク12へのライト性能を高める。
一方で、磁気ディスク12に対してエネルギーを発生させてライトする回数が増えると、磁気ヘッド16のライト能力は、徐々に低下する。つまり、高周波アシスト磁気記録型式や熱アシスト磁気記録型式などのエネルギーアシスト磁気記録型式を用いてデータをライトする場合、ライト回数に応じて磁気ヘッド16が劣化する。
【0029】
以下、図4及び図5を参照して、本実施形態に係る磁気ディスク装置10のライト処理時における磁気ヘッド16を選択する方法の一例について説明する。
図4及び図5では、n個の磁気ヘッド16と複数のブロックとを並べて示している。一例においては、各磁気ヘッド16の隣に、対応する記録面に含まれるブロックが示されている。また、図4及び図5には、各ブロックのライト状況を表すフラグが、各ブロックの下方に示されている。
【0030】
一例において、データ(より詳細にはユーザデータ)をライトされたことがないブロックであることを示すフラグは001であり、0のみで構成されたデータがライトされているブロックであることを示すフラグは010であり、1のみで構成されたデータがライトされているブロックであることを示すフラグは100である。なお、1と0との組み合わせで構成されたデータがライトされているブロックを示すフラグは000である。
また、0のみで構成されたデータや1のみで構成されたデータは、例えば、消去処理などを行った際にブロックにライトされる固定パターンのデータである。
以下、「データがライトされたことがないブロック」を「未ライトのブロック」とも称する。
【0031】
図4は、上記実施形態に係る磁気ディスク装置10のライト時における制御の一例を説明するための図である。
図4に示すように、複数のブロックには、論理ブロックアドレスが割り当てられている。以下、LBAn+1が割り当てられているブロックa1にデータをライトするコマンドを受けた場合を例として説明する。
ブロックa1は、磁気ヘッドH1に対応する記録面RS1に含まれている。カウンタ46cで検出した磁気ヘッドH1のライト回数が第1閾値を超えていた場合、ライト回数が第2閾値未満の磁気ヘッド16があるか否かを確認する。第2閾値未満の磁気ヘッド16として、磁気ヘッドH2が検出された場合、磁気ヘッドH2に対応する記録面RS2における各ブロックのフラグを確認する。
【0032】
一例において、LBA3n+2が割り当てられているブロックb1のフラグは、未ライトのブロックであることを示す001である。上記のような場合に、ブロックa1に割り当てられている論理ブロックアドレスとブロックb1に割り当てられている論理ブロックアドレスとを、入れ替える。つまり、未ライトのブロックが存在している場合、ライトするコマンドを受けたブロックの論理ブロックアドレスと未ライトのブロックの論理ブロックアドレスとを入れ替える。
【0033】
図5は、図4に続く、上記実施形態に係る磁気ディスク装置10のライト時における制御の一例を説明するための図である。
図5に示すように、ブロックa1に割り当てられている論理ブロックアドレスとブロックb1に割り当てられている論理ブロックアドレスとは、入れ替えられている。より具体的には、ブロックa1にLBA3n+2が割り当てられ、ブロックb1にLBAn+1が割り当てられている。
上記のように論理ブロックアドレスを入れ替えた状態で、磁気ヘッドH2は、ブロックb1にデータをライトする。また、ブロックa1にLBA3n+2が割り当てられていること、及びブロックb1にLBAn+1が割り当てられていることをメモリ47に記憶する。
【0034】
次に、磁気ヘッドH2に対応する記録面RS2に未ライトのブロックが含まれていなかった場合について、図6及び図7を参照して説明する。
図6は、上記実施形態に係る磁気ディスク装置のライト時における制御の一例を示す図である。以下、LBA2n+1が割り当てられているブロックa2にデータをライトするコマンドを受けた場合を例として説明する。
【0035】
ブロックa2は、磁気ヘッドH1に対応する記録面RS1に含まれている。カウンタ46cで検出した磁気ヘッドH1のライト回数が第1閾値を超えていた場合、ライト回数が第2閾値未満の磁気ヘッド16があるか否かを確認する。第2閾値未満の磁気ヘッド16として、磁気ヘッドH2が検出された場合、磁気ヘッドH2に対応する記録面RS2における各ブロックのフラグを確認する。
【0036】
一例において、磁気ヘッドH2に対応する記録面RS2において、未ライトのブロックを示すフラグは存在していない。つまり、磁気ヘッドH2に対応する記録面RS2において、未ライトのブロックは存在していない。
このとき、ブロックa2及び磁気ヘッドH2に対応する記録面RS2におけるブロックについて、データのパターンを示すフラグを確認する。
一例では、0のみで構成されているデータであるか否か、又は1のみで構成されているデータであるか否かをフラグで確認することができる。ブロックa2のフラグは、0のみであるパターンのデータがライトされていることを示す010である。また、磁気ヘッドH2に対応する記録面RS2は、ブロックa2と同じフラグ(010)が立っているブロックb2を含んでいる。ブロックb2には、LBA4n+2が割り当てられている。
【0037】
上記のような場合に、ブロックa2に割り当てられている論理ブロックアドレスとブロックb2に割り当てられている論理ブロックアドレスとを入れ替える。つまり、ライトするコマンドをうけたブロック(一例ではブロックa2)に周期的な繰り返しパターンで構成された所定のデータがライトされ、ライト回数の少ない磁気ヘッド16に対応する記録面RSが上記ブロックと同一のデータがライトされたブロック(一例ではブロックb2)を含む場合、ライトするコマンドを受けたブロックに割り当てられた論理ブロックアドレスと、ライトするコマンドを受けたブロックと同一のデータがライトされたブロックに割り当てられた論理ブロックアドレスと、を入れ替える。
【0038】
図7は、図6に続く、上記実施形態に係る磁気ディスク装置のライト時における制御の一例を示す図である。
図7に示すように、ブロックa2に割り当てられている論理ブロックアドレスとブロックb2に割り当てられている論理ブロックアドレスとは、入れ替えられている。より具体的には、ブロックa2にLBA4n+2が割り当てられ、ブロックb2にLBA2n+1が割り当てられている。
上記のように論理ブロックアドレスを入れ替えた状態で、磁気ヘッドH2は、ブロックb2にデータをライトする。また、ブロックa2にLBA4n+2が割り当てられていること、及びブロックb2にLBA2n+1が割り当てられていることをメモリ47に記憶する。
【0039】
本実施形態では、ブロックa2のフラグ及びブロックb2のフラグが010である場合を例として説明した。なお、磁気ヘッドH1に対応する記録面RS1にフラグが100であるブロックが存在し、且つ、磁気ヘッドH2に対応する記録面RS2にフラグが100であるブロックが存在する場合も同様の処理が行われる。
図6及び図7で例えると、ブロックa3にデータをライトするコマンドを受けた場合、ブロックa3に割り当てられている論理ブロックアドレスと、ブロックb3に割り当てられている論理ブロックアドレスとを入れ替えて、磁気ヘッドH2でブロックb3にデータをライトする。
【0040】
なお、フラグは、0のみで構成されたデータや、1のみで構成されたデータがライトされているブロックを示すことに限定されず、規則性を有する繰り返しパターンであってもよく、例えば、「0101…1010」のような、0と1とを交互に繰り返すデータがライトされているブロックを示すフラグであってもよい。言い換えると、周期的な繰り返しパターンで構成されたデータがライトされているブロックを示すフラグであってもよい。
【0041】
次に、本実施形態に係る磁気ディスク装置10のライト処理における磁気ヘッド16を選択する際の手順について、図8乃至図11を参照して説明する。
図8は、上記実施形態に係る磁気ディスク装置10のライト処理の手順の一例を示すフローチャートである。図9は、図8に続く、上記実施形態に係る磁気ディスク装置10のライト処理の手順の一例を示すフローチャートである。図10は、図9に続く、上記実施形態に係る磁気ディスク装置10のライト処理の手順の一例を示すフローチャートである。図11は、図9に続く、上記実施形態に係る磁気ディスク装置10のライト処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0042】
図8乃至図11に示すように、ライト処理が開始され、複数のブロックのうちの第1磁気ヘッドがライトする第1記録面の第1ブロックにデータをライトするコマンドを受けると(S5)、メインコントローラ40は、第1ブロックにデータをライトする第1磁気ヘッドのライト回数が第1閾値を超えているか否かを判断する(S10)。第1磁気ヘッドのライト回数が第1閾値を超えていない場合、第1磁気ヘッドで第1ブロックにデータをライトし(S20)、ライト処理を終了する。
第1磁気ヘッドのライト回数が第1閾値を超えている場合(S10)、メインコントローラ40は、第1磁気ヘッドと異なる第2磁気ヘッドを選択し(S11)、第2磁気ヘッドのライト回数が第2閾値を超えているか否かを判断する(S15)。
【0043】
第2磁気ヘッドのライト回数が第2閾値を超えている場合(S15)、ステップS20を実行する。
なお、ステップS15において、第2磁気ヘッドのライト回数が第2閾値を超え、且つ、第1磁気ヘッドと異なる磁気ヘッド16が複数存在している場合、第1磁気ヘッド及び第2磁気ヘッドと異なる第3磁気ヘッドを選択し、第3磁気ヘッドのライト回数が第2閾値を超えているか否かを判断する処理を行ってもよい。つまり、選択した磁気ヘッド16が第2閾値を超え、且つ、まだ選択されていない磁気ヘッド16(以下、「未選択の磁気ヘッド」と称する)が存在する場合、未選択の磁気ヘッド16から磁気ヘッド16を選択し、選択した磁気ヘッド16が第2閾値を超えているか否かを判断してもよい。未選択の磁気ヘッド16がなくなるまで、又は、選択した磁気ヘッド16が第2閾値を超えないと判断されるまで、上記の選択及び判断の処理を繰り返し行ってもよい。
【0044】
また、第1磁気ヘッドから近い順に磁気ヘッド16を選択してもよい。この場合、例えば、第2磁気ヘッドは第1磁気ヘッドに一番近い磁気ヘッド16であり、第3磁気ヘッドは第2磁気ヘッドの次に第1磁気ヘッドに近い磁気ヘッド16となる。上記のように選択することで、第1磁気ヘッドに一番近い第2閾値を超えない磁気ヘッド16を効率的に特定することができる。なお、第2磁気ヘッド16を選択する方法は、上記の方法に限定されない。
以下、ステップS15において第2磁気ヘッドのライト回数が第2閾値を超えていない場合について説明するが、上記のように選択した磁気ヘッド16が第2閾値を超えないと判断されるまで選択及び判断を行った場合、「第2磁気ヘッド」を「選択した磁気ヘッド」に読み替え可能である。
【0045】
第2磁気ヘッドのライト回数が第2閾値を超えていない場合(S15)、第2磁気ヘッドがライトする第2記録面に、未ライトの第2ブロックが存在するか否かを判断する(S25)。第2ブロックが存在する場合(S25)、メインコントローラ40は、第1ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスと第2ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスとを入れ替えて(S30)、第2磁気ヘッドで第2ブロックにデータをライトし(S35)、ライト処理を終了する。
なお、ステップS25において、第2記録面に未ライトのブロックが複数存在している場合、例えば、論理ブロックアドレスの番号が一番小さいブロックを第2ブロックとしてもよい。論理ブロックアドレスの小さい方から順に第2ブロックに該当するか否かを確認する場合、上記のように第2ブロックが定義されていれば、効率よく第2ブロックを決定することができる。なお、未ライトのブロックが複数存在している場合の第2ブロックの選定方法は、上記に限定されない。
【0046】
第2ブロックが存在しない場合(S25)、メインコントローラ40は、第1ブロックにライトされている第1データが周期的な繰り返しパターンで構成されているか否かを判断し(S40)、第1データが周期的な繰り返しパターンで構成されていない場合、ステップS20を実行する。
第1データが周期的な繰り返しパターンで構成されている場合(S40)、メインコントローラ40は、第2記録面に周期的な繰り返しパターンで構成されている第3データがライトされている第3ブロックが存在するか否かを判断する(S45)。
【0047】
なお、ステップS45において、第2記録面に周期的な繰り返しパターンで構成されているデータがライトされているブロックが複数存在している場合、例えば、論理ブロックアドレスが一番小さいブロックを第3ブロックとしてもよい。論理ブロックアドレスの小さい方から順に第3ブロックに該当するか否かを確認する場合、上記のように第3ブロックが定義されていれば、効率よく第3ブロックを決定することができる。なお、周期的な繰り返しパターンで構成されているデータがライトされているブロックが複数存在する場合の第3ブロックの選定方法は、上記に限定されない。
【0048】
第3ブロックが存在している場合(S45)、メインコントローラ40は、第1データと第3データとが同一であるか否かを判断し(S50)、第1データと第3データとが同一でない場合、ステップS20を実行する。
第1データと第3データとが同一である場合(S40)、メインコントローラ40は、第1ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスと第3ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスとを入れ替えて(S55)、第2磁気ヘッドで第3ブロックにデータをライトし(S60)、ライト処理を終了する。
【0049】
なお、ステップS25は、メモリ47に記憶されているフラグを基に、第2記録面に第2ブロックが存在するか否かを判断する処理であってもよい。つまり、未ライトのブロックを示すフラグが立っている第2ブロックが第2記録面に存在するか否か判断する処理であってもよい。
ステップS40は、メモリ47に記憶されているフラグを基に、第1データが周期的な繰り返しパターンで構成されているか否かを判断する処理であってもよい。つまり、第1ブロックに周期的な繰り返しパターンのデータがライトされていることを示すフラグが立っているか否かを判断する処理であってもよい。
ステップS45は、メモリ47に記憶されているフラグを基に、第2記録面に第3データがライトされた第3ブロックが存在するか否かを判断する処理であってもよい。つまり、第2記録面に周期的な繰り返しパターンのデータがライトされていることを示すフラグが立っているブロックがあるか否かを判断する処理であってもよい。
【0050】
また、1つのフラグが1つのデータパターンに対応している場合、ステップS25を実行した後、ステップS40及びステップS45を実行しないで、ステップS50に移行する処理であってもよい。この場合、ステップS50では、第1ブロックのフラグと第3ブロックのフラグとが同一であるか否かを判断する処理を実行し、同一であった場合、ステップS55を実行する。第1ブロックのフラグと第3ブロックのフラグとが同一でなかった場合(S50)、ステップS20を実行する。
ライト処理の手順で記載した第1記録面及び第2記録面の関係について、第1記録面及び第2記録面は、1枚の磁気ディスク12の表裏面に設けられていても、異なる磁気ディスク12の面に設けられてもよい。図2で例えると、第1記録面が記録面RS1であり第2記録面が記録面RS2であってもよいし、第1記録面が記録面RS1であり第2記録面が記録面RS3であってもよい。
【0051】
本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る磁気ディスク装置10によれば、磁気ディスク装置10のメインコントローラ40は、第1ブロックにデータをライトするコマンドを受けた際、第1ブロックにライトする第1磁気ヘッドのライト回数が第1閾値を超えているか否かを判断し、第1閾値を超えている場合、ライト回数が第2閾値未満の第2磁気ヘッドが存在するか否かを判断する。
第2磁気ヘッドが存在する場合、メインコントローラ40は、第2磁気ヘッドに対応する記録面に、未ライトの第2ブロックが存在するか否かを判断し、第2ブロックが存在する場合、第1ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスと第2ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスとを入れ替え、第2磁気ヘッドで第2ブロックにデータをライトする。
【0052】
一方、第2磁気ヘッドが存在しない場合、メインコントローラ40は、第1ブロックにライトされている第1データが周期的な繰り返しパターンで構成されているか否かを判断し、第1データが周期的な繰り返しパターンで構成されている場合、第2磁気ヘッドに対応する記録面に周期的な繰り返しパターンで構成されている第3データがライトされている第3ブロックが存在するか否かを判断する。
第3ブロックが存在する場合、メインコントローラ40は、第1データと第3データとが同一であるか否かを判断し、第1データと第3データとが同一である場合、第1ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスと第3ブロックに割り当てられている論理ブロックアドレスとを入れ替えて、第2磁気ヘッドで第3ブロックにデータをライトする。
これにより、ライト回数が多い第1磁気ヘッドでなく、ライト回数の少ない第2磁気ヘッドでライトするため、複数の磁気ヘッド16におけるライト回数を平滑化することが
できる。
【0053】
また、一般に、第1ブロックの論理ブロックアドレスと、データパターンの分からないデータがライトされているライト済みブロックの論理ブロックアドレスと、を入れ替えてライト済みブロックにデータをライトする場合、ライト済みブロックのデータを別の領域(例えば、メモリ47)にコピーする第1動作と、ライト済みブロックにデータをライトする第2動作と、コピーしたデータを第1ブロックにライトし直す第3動作と、を行う必要がある。
第2ブロックは未ライトであることから、第2ブロックにライトされているデータを別の領域にコピーする第1動作が不要となる。同様に、第3ブロックのデータパターンが第1ブロックのデータパターンと同じであることから、第3ブロックにライトされているデータを別の領域にコピーする第1動作が不要となる。上記のことから、データを移動する際のコストを削減することができる。
【0054】
また、メインコントローラ40は、複数のブロックの各々が未ライトか否かを示すフラグを、論理ブロックアドレスに関連付けてメモリ47に記憶し、フラグに基づいて第2ブロックが存在するか否かを判断する。
さらに、メインコントローラ40は、複数のブロックの各々にライトされているデータが周期的な繰り返しパターンで構成されているか否かを示すフラグを、論理ブロックアドレスに関連付けてメモリに記憶し、フラグに基づいて第3ブロックが存在するか否かを判断する。上記のようにフラグを使用することにより、第2ブロック及び第3ブロックを特定することが容易になる。
周期的な繰り返しパターンで構成されたデータは、0のみで構成されたデータ又は1のみで構成されたデータであることが望ましい。これにより、フラグを容易に管理することができる。
【0055】
次に、変形例に係る磁気ディスク装置10について説明する。以下に述べる変形例において、上述した実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略し、上記実施形態と異なる部分を中心に詳しく説明する。また、図8に示すライト処理の手順は、変形例のライト処理の手順においても同一である。
(第1変形例)
上記実施形態に係る磁気ディスク装置10の第1変形例について説明する。第1変形例において、磁気ディスク装置10は、パターン検出部46eを無しに構成されている。
以下、第1変形例のライト処理の手順について、図8及び図12を参照して説明する。
【0056】
図12は、図8に続く、第1変形例のライト処理の手順の一例を示すフローチャートである。図8及び図12に示すように、第2磁気ヘッドのライト回数が第2閾値を超えていない場合(S15)、メインコントローラ40は、第2記録面に未ライトの第2ブロックが存在するか否かを判断する(S25)。第2ブロックが存在しない場合、メインコントローラ40は、ステップS20を実行し、ライト処理を終了する。
未ライトの第2ブロックが存在する場合(S25)、ステップS30及びステップS35を実行してライト処理を終了する。なお、ステップS30及びステップS35の処理は、上記実施形態におけるライト処理と同一である。
上記のように構成された磁気ディスク装置10の第1変形例によれば、より単純な構成で、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
(第2変形例)
上位実施形態に係る磁気ディスク装置10の第2変形例について説明する。第2変形例において、磁気ディスク装置10は、未ライト検出部46dを無しに構成されている。
以下、第2変形例のライト処理の手順について、図8図11及び図13を参照して説明する。なお、第2変形例において、図11は、図13に続く第2変形例のライト処理の一例を示すフローチャートであり、ステップS55及びステップS60の処理は、上記実施形態におけるライト処理と同一である。
【0058】
図8図11、及び図13に示すように、第2磁気ヘッドのライト回数が第2閾値を超えていない場合(S15)、ステップS40を実行する。第1データが周期的な繰り返しパターンで構成されている場合(S40)、上記実施形態のライト処理と同様にステップS45からステップS60までの処理を実行する。
第1データが周期的な繰り返しパターンで構成されていない場合(S40)、ステップS20を実行してライト処理を終了する。
上記のように構成された磁気ディスク装置10の第2変形例によれば、第1変形例と同様の効果を得ることができる。
【0059】
本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
10…磁気ディスク装置、11…筐体、12…磁気ディスク、14…スピンドルモータ、16…磁気ヘッド、16R…リードヘッド、16W…ライトヘッド、32…ライト電流制御回路、34…素子エネルギー制御回路、40…メインコントローラ、46a…ライト制御部、46b…リード制御部、46c…カウンタ、46d…未ライト検出部、46e…パターン検出部、47…メモリ、200…アシスト素子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13