(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131112
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】制御装置および調理機器
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20240920BHJP
G09G 3/14 20060101ALI20240920BHJP
G09G 3/04 20060101ALI20240920BHJP
F24C 15/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F24C3/12 L
G09G3/14 J
G09G3/04 J
F24C3/12 D
F24C15/00 M
F24C15/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041177
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森部 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】本下 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】大西 郁雄
【テーマコード(参考)】
5C080
5C380
【Fターム(参考)】
5C080AA07
5C080BB02
5C080DD21
5C080JJ01
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080KK52
5C380AA03
5C380AB02
5C380AC20
5C380BA03
5C380BA50
5C380CE09
5C380CE19
5C380CF58
5C380CF62
5C380DA02
5C380DA58
(57)【要約】
【課題】LED表示器のLEDを従来よりも適切に点灯させ得る制御装置を提供する。
【解決手段】複数のLED表示器をダイナミック点灯させる制御装置は、クロック発振回路と、CPUと、LED表示器のLEDのそれぞれに対応して設けられた第1出力ポート群と、LED表示器のコモン端子のそれぞれに対応して設けられた第2出力ポート群と、を備え、実行可能な制御モードとして、CPUから各LEDを点灯させるか否かについての指令信号を第1出力ポート群の各ポートに供給し、クロック発振回路からのクロック信号を第2出力ポート群の各ポートに供給する第1モードと、上記指令信号の供給が停止される一方で上記クロック信号が出力可能な第2モードと、を含む。第2モードにおいて、第2モードに移行する前の所定の上記指令信号に対応する電圧レベルに第1出力ポート群の各ポートの出力を維持させ、第2出力ポート群に対してクロック信号を出力させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLED表示器をダイナミック点灯させる制御装置であって、
前記制御装置は、クロック発振回路と、CPUと、前記LED表示器を構成する複数のLEDのそれぞれに対応して設けられた第1出力ポート群と、前記LED表示器のコモン端子のそれぞれに対応して設けられた第2出力ポート群と、を備え、
前記制御装置は、実行可能な制御モードとして、前記CPUから各LEDを点灯させるか否かについての指令信号を前記第1出力ポート群の各ポートに供給し、前記クロック発振回路からのクロック信号を前記第2出力ポート群の各ポートに供給する第1モードと、前記CPUからの前記指令信号の供給が停止される一方で、前記クロック発振回路からのクロック信号が出力可能な第2モードと、を含み、
前記第2モードにおいて、前記第2モードに移行する前の所定の前記指令信号に対応する電圧レベルに前記第1出力ポート群の各ポートの出力を維持させ、前記第2出力ポート群に対して前記クロック信号を出力させる制御装置。
【請求項2】
前記第2モードにおいて、前記第2出力ポート群の各ポートのうちの一つのみに前記クロック信号を出力させる請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の制御装置と、前記LED表示器を備える操作表示パネルと、前記操作表示パネルによって操作する調理用加熱器と、を備える調理機器。
【請求項4】
前記調理機器は電池駆動式である請求項3に記載の調理機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は制御装置および調理機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のLEDからなるLED群とICおよびスイッチング素子とを備え、ICにはコモン出力部とデータ出力部とを備え、当該コモン出力部はスイッチング素子を介してLED群の各コモン端子に接続され、データ出力部はLED群の各LEDのデータ端子へ接続され、所定の間隔でコモン出力部から信号が出力されることでLED群を点灯および消灯させるダイナミック点灯装置が開示されている。ここで、特許文献1に開示されたダイナミック点灯装置は、ICはデータ出力信号の監視を行い当該信号が全てオフの場合にはコモン出力部からの信号を出力しないように構成されたICであることを特徴とする。
【0003】
特許文献2には、加熱部での加熱時間を設定する設定スイッチを含む複数の操作スイッチと、加熱時間を表示する7セグメントLED表示部とを備えた操作表示パネルに、所定押し時間押し続けることによって加熱部についての安全機能の設定および解除を行うシートキースイッチを備えたシートキースイッチ付きのガスコンロが開示されている。ここで、特許文献2に開示されたコンロは、7セグメントLED表示部に、シートキースイッチを押したときに、少なくとも1つのセグメントLEDを点灯し、該スイッチを所定時間押し続けたときに、セグメントLEDによる図形、数字または記号等の完了表示を完成するとともに、その間、点灯するセグメントLEDを完了表示に向けて変化させることを特徴とする。
【0004】
特許文献3には、プリント配線基板上に装着された7セグメントタイプの第1および第2のLEDをダイナミック点灯することにより二桁の数字等を表示する表示器が開示されている。ここで、特許文献3に開示された表示器は、第2のLEDを第1のLEDに対して天地が逆方向となるように配置した上で、プリント配線基板上に、第1および第2のLEDにおける各セグメントに対応した7個ずつのリードのうち同一の数字エレメント表示用のもの同士を接続する7本の単位配線パターンを設け、それらの配線パターンを、第1のLEDにおける各リード間部位および第2のLEDにおける各リード間部位を通らない状態で引き回すように構成したことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-47429号公報
【特許文献2】特許第4408822号
【特許文献3】実開平6-75571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、一例として、LED表示器のLEDを従来よりも適切に点灯させ得る制御装置および調理機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様(aspect)は、複数のLED表示器をダイナミック点灯させる制御装置であって、前記制御装置は、クロック発振回路と、CPUと、前記LED表示器を構成する複数のLEDのそれぞれに対応して設けられた第1出力ポート群と、前記LED表示器のコモン端子のそれぞれに対応して設けられた第2出力ポート群と、を備え、前記制御装置は、実行可能な制御モードとして、前記CPUから各LEDを点灯させるか否かについての指令信号を前記第1出力ポート群の各ポートに供給し、前記クロック発振回路からのクロック信号を前記第2出力ポート群の各ポートに供給する第1モードと、前記CPUからの前記指令信号の供給が停止される一方で前記クロック発振回路からのクロック信号が出力可能な第2モードと、を含み、前記第2モードにおいて、前記第2モードに移行する前の所定の前記指令信号に対応する電圧レベルに前記第1出力ポート群の各ポートの出力を維持させ、前記第2出力ポート群に対して前記クロック信号を出力させる。
【0008】
本開示の一態様の調理機器は、上記一態様の制御装置と、前記LED表示器を備える操作表示パネルと、前記操作表示パネルによって操作される調理用加熱器と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様の制御装置および調理機器は、LED表示器のLEDを従来よりも適切に点灯させ得る、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態の調理機器の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態の調理機器における操作表示パネルの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態の調理機器における制御装置およびLED表示器の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、複数のLED表示器をダイナミック点灯させる制御のタイムチャートの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、制御装置のHALTモードにおいて、LED表示器のLEDを点灯させる制御のタイムチャートの一例を示す図である、
【
図6】
図6は、
図5のLED表示器のLEDを点灯させる制御によって、LED点灯が行われた操作表示パネルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
調理機器では、従来から、上記の如く、制御装置のCPUによって複数のLED表示器をダイナミック点灯させる制御が行われている。このとき、制御装置は、通常動作モードとして、CPUから各LEDを点灯させるか否かについての指令信号を、LED表示器を構成する複数のLEDのそれぞれに対応して接続された第1出力ポートに供給するとともに、マイコンに内蔵されるクロック発振回路により生成されるクロック信号を、LED表示器のコモン端子のそれぞれに対応して接続された第2出力ポートに供給する。
【0012】
ここで、制御装置の低消費電力モードとして、動作電流が通常動作モードよりも低減するスタンバイ機能が存在するが、かかるスタンバイ機能においては、CPUの動作が停止するので、LED表示器のLEDを点灯できないという問題がある。
【0013】
そこで、本開示者らは、以上の問題を改善すべく鋭意検討を行った結果、本開示の以下の各態様に想到した。
【0014】
すなわち、本開示の第1態様は、複数のLED表示器をダイナミック点灯させる制御装置であって、制御装置は、クロック発振回路と、CPUと、LED表示器を構成する複数のLEDのそれぞれに対応して設けられた第1出力ポート群と、LED表示器のコモン端子のそれぞれに対応して設けられた第2出力ポート群と、を備え、制御装置は、実行可能な制御モードとして、CPUから各LEDを点灯させるか否かについての指令信号を第1出力ポート群の各ポートに供給し、クロック発振回路からのクロック信号を第2出力ポート群の各ポートに供給する第1モードと、CPUからの上記指令信号の供給が停止される一方でクロック発振回路からのクロック信号が出力可能な第2モードと、を含み、
第2モードにおいて、第2モードに移行する前の所定の上記指令信号に対応する電圧レベルに第1出力ポート群の各ポートの出力を維持させ、第2出力ポート群に対して上記クロック信号を出力させる。
【0015】
かかる構成によると、本態様の制御装置は、LED表示器のLEDを従来よりも適切に点灯させ得る。
【0016】
具体的には、制御装置には、低消費電力モードとして、動作電流が通常動作モードよりも低減するスタンバイ機能が存在するが、かかるスタンバイ機能のうちの上記第2モードは、CPUからの上記指令信号の供給が停止される一方で、クロック発振回路からのクロック信号が出力可能な動作モードである。このため、本態様の制御装置は、第2モードに移行する前の所定の上記指令信号に対応する電圧レベルに第1出力ポート群の各ポートの出力を維持するとともに、第2出力ポート群に対して上記クロック信号を出力させることで、第2モードに移行する前のLED表示器のダイナミック点灯時における点灯状態が維持される。これにより、例えば、ユーザは、当該第2モードに移行する前のLED表示器の表示内容の確認が可能となる。また、このときのLED表示器のLEDの輝度は、当該LED表示器のダイナミック点灯時におけるLEDの輝度と同様であるので、LED表示器を視認するユーザに表示上の違和感を与えない。
【0017】
本開示の第2態様の制御装置は、第1態様の制御装置の第2モードにおいて、第2出力ポート群の各ポートのうちの一つのみに上記クロック信号を出力させてもよい。
【0018】
かかる構成によると、本態様の制御装置は、第2モードにおいて、第2出力ポート群の各ポートのうちの一つのみに上記クロック信号を出力させることで、LED表示器のコモン端子のそれぞれに対応して設けられた第2出力ポート群の各ポートに上記クロック信号を出力させる場合に比べて、点灯すべきLED表示器を適切に選択しながら動作電流を低減することができる。
【0019】
本開示の第3態様の調理機器は、第1態様または第2態様の制御装置と、LED表示器を備える操作表示パネルと、操作表示パネルによって操作する調理用加熱器と、を備えてもよい。
【0020】
かかる構成によると、本態様の調理機器は、調理機器の様々な調理情報を示すLED表示器のLEDを従来よりも適切に点灯させ得る。なお、本態様の調理機器が奏する作用効果の詳細は、第1態様の制御装置が奏する上記作用効果の説明から容易に理解できるので省略する。
【0021】
本開示の第4態様の調理機器は、第3態様の調理機器が電池駆動式であってもよい。
【0022】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の上記態様の具体例を説明する。以下で説明する具体例は、いずれも本開示の上記態様の一例を示すものである。よって、以下で示される形状、数値、構成要素、構成要素の配置位置、接続形態および制御器の制御内容などは、請求項に記載されていない限り、請求項の範囲を限定するものではない。
【0023】
また、以下に説明する構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比などについては正確な表示ではない場合がある。
【0024】
なお、本開示で説明する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、または、それらの組み合わせを含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本開示に示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、ユニット、または手段はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアまたはプロセッサの構成に使用される。
【0025】
(実施形態)
図1は、実施形態の調理機器の一例を示す図である。
図2は、実施形態の調理機器における操作表示パネルの一例を示す図である。
図3は、実施形態の調理機器における制御装置およびLED表示器の一例を示す図である。
【0026】
図1には、本開示の「調理機器」の一例として、ガス調理器100が示されている。ガス調理器100は、電池で運転が可能な電池駆動式であってもよい。
【0027】
以下、ガス調理器100の構成について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、ガス調理器100は、本体1と、本体1の上部に設置された天板2と、を備える。天板2には、3つのコンロ3が設けられている。コンロ3はそれぞれ、コンロバーナと、調理鍋などを設置するための五徳と、を備える。本体1の中央内には、グリルが設けられている。グリルは、本体1の前面の中央部に設けられたグリル扉11と、図示しないグリルバーナおよびグリル皿と、を備える。上記のコンロ3およびグリルはそれぞれ、本開示の「調理用加熱器」の一例である。コンロ3およびグリルの構成は公知であるので詳細な説明を省略する。
【0028】
また、グリル扉11の両側のそれぞれには、操作表示部10が設けられている。操作表示部10は、
図1に示す如く、操作表示パネル20を備え、操作表示パネル20は、ユーザの操作によって操作可能であって、かかる操作に応じた、適宜の電気信号を制御装置50(
図3参照)に出力する。
【0029】
図2には、操作表示パネル20の模式図が示されている。操作表示パネル20は、ユーザがコンロを操作するためのコンロ操作表示部と、ユーザがグリルを操作するためのグリル操作表示部と、を備える。これらのコンロ操作表示部およびグリル操作表示部のそれぞれには、コンロの調理モード、グリルのオートメニューを設定および変更するための適宜の操作ボタンの他、LED表示器21が設けられている。
図2では、操作表示部10のうちの一方の操作表示部10が有する操作表示パネル20が図示されているが、他方の操作表示部10が有する、図示しない操作表示パネルには、2つのコンロ操作表示部が設けられている。これらの3つのコンロ操作表示部の構成は、同様であってもよいし、異なっていてもよい。なお、以上のコンロ操作表示部およびグリル操作表示部における、LED表示器21の表示機能以外の上記操作ボタンの機能は公知であるので説明を省略する。
【0030】
LED表示器21は、複数のLEDによって構成され、例えば、コンロ3で使用する調理容器の温度、コンロの調理モード、グリルの加熱時間、グリルのオートメニューなどの調理情報をユーザに知らせるための表示器である。
【0031】
一例として、
図2に示すように、LED表示器21AおよびLED表示器21Bはそれぞれ、数字の形状に7個の細長いLEDを配することで、ユーザに対してグリルの加熱時間を2桁数字で表示する。つまり、LED表示器21AおよびLED表示器21Bは、7個のセグメントから構成された7セグメントLEDによってグリルの加熱時間を表示するための表示器である。なお、LED表示器21AおよびLED表示器21Bの白丸部(〇)は、デシマルポイント(DP)に対応するLEDである。
【0032】
また、一例として、LED表示器21Cは、「切身」、「トースト」、「姿焼」、「焼き魚」、「干物」、「あたため」のそれぞれの文字に隣接する6個の細長いLEDを適所に配することで、ユーザによって選択されたグリルのオートメニューを点灯表示する。
【0033】
なお、LED表示器21A、LED表示器21BおよびLED表示器21Cは例示であって、本開示の「LED表示器」は、これらに限定されない。例えば、本開示の「LED表示器」は、コンロ3で使用する調理容器の温度、加熱時間などを表示するための表示部22に設けられた3個の7セグメントLED(図示せず)を備えていてもよい。
【0034】
図3に示すように、制御装置50は、クロック発振回路51と、CPU52と、LED表示器21を構成する複数のLEDのそれぞれに対応して設けられた第1出力ポート群53と、LED表示器21のコモン端子21comのそれぞれに対応して設けられた第2出力ポート群54と、を備える。なお、
図3に示す例では、第2出力ポート群54のポートP10~P12のそれぞれが、スイッチングトランジスタのそれぞれのベースに接続され、電源(5V)が、スイッチングトランジスタのそれぞれのエミッタに接続され、コモン端子21comのそれぞれが、スイッチングトランジスタのコレクタに接続されている。かかる配線結線は例示であって、本例に限定されない。
【0035】
ここで、制御装置50は、実行可能な制御モードとして、CPU52から複数のLED表示器21の各LEDを点灯させるか否かについての指令信号(以下、指令信号と略す)を第1出力ポート群53の各ポートに供給するとともに、クロック発振回路51からのクロック信号(以下、クロック信号と略す)を第2出力ポート群54の各ポートに供給する第1モードを含む。このような第1モードとして、例えば、制御装置50の通常運転モードを挙げることができる。これにより、制御装置50のCPU52によって複数のLED表示器21をダイナミック点灯させる制御を実行することができる。具体的には、
図3に示す例では、LED表示器21AのLEDのそれぞれと、LED表示器21BのLEDのそれぞれと、LED表示器21CのLEDのそれぞれとは、第1出力ポート群53のポートP20~P27のそれぞれから伸びる配線のそれぞれに対して共通に接続されている。そして、
図4に示す如く、LED表示器21AのLEDは、LED表示器21Aのコモン端子21comに対応するポートP10が「Lレベル」のとき点灯し、LED表示器21BのLEDは、LED表示器21Bのコモン端子21comに対応するポートP11が「Lレベル」のとき点灯し、LED表示器21CのLEDは、LED表示器21Cのコモン端子21comに対応するポートP12が「Lレベル」のとき点灯する。かかる現象が所定のサイクルTで周期的に繰り返されることで、残像現象によって、全てのLED表示器21A、21B、21Cの適宜のLEDが点灯するように視認される。
【0036】
ただし、LED表示器21Cに含まれるLEDの個数は6個であるので、LED表示器21CのLEDはそれぞれ、第1出力ポート群53のポートP20~P25のそれぞれから伸びる配線のそれぞれと接続されている。かかる配線結線は例示であって、本例に限定されない。
【0037】
また、制御装置50は、実行可能な制御モードとして、CPU52からの指令信号の供給が停止される一方でクロック信号が出力可能な第2モードを含み、第2モードにおいて、第2モードに移行する前の所定の指令信号に対応する電圧レベルに第1出力ポート群53の各ポートの出力を維持させ、第2出力ポート群54に対してクロック信号を出力させる。このような第2モードとして、例えば、制御装置50のスタンバイ機能のうちのHALTモードを挙げることができる。これにより、動作電流が通常動作モードよりも低減する。そして、
図5に示す例では、制御装置50のHALTモードにおいて、制御装置50がHALTモードに移行する直前のLED表示器21Cの指令信号に対応する電圧レベルに第1出力ポート群53の各ポートP20~P27の出力を維持させ、第2出力ポート群54のうちのポートP12のみにクロック信号を出力させる。つまり、このとき、第2出力ポート群54のうちのポートP10およびポートP11を非アクティブ状態(Hレベル)にする。すると、仮に、制御装置50がHALTモードに移行する直前の通常動作モードにおいて、ガス調理器100のグリルのオートメニューとして、「姿焼」が選択されていた場合、HALTモードであっても、
図6に示す如く、「姿焼」の文字に隣接するLEDが点灯したままの状態に維持される。
【0038】
以上の指令信号およびクロック信号は例示であって、本例に限定されない。例えば、制御装置50がHALTモードに移行する直前のLED表示器21Aの指令信号に対応する電圧レベルに第1出力ポート群53の各ポートP20~P27の出力を維持させ、第2出力ポート群54のポートP10のみにクロック信号を出力させてもよい。また、制御装置50がHALTモードに移行する直前のLED表示器21Aの指令信号に対応する電圧レベルに第1出力ポート群53の各ポートP20~P27の出力を維持させ、第2出力ポート群54の全てのポートP10~P12にクロック信号を出力させてもよい。
【0039】
制御装置50は、例えば、表示用マイコンによって構成されているが、制御装置50が、ガス調理器100の全体の動作を制御してもよい。制御装置50は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されていてもよい。また、制御装置50は、上記クロック発振回路51およびCPU52の他、制御プログラムを記憶する記憶回路と、制御装置50の機能を豊富にするための適宜の周辺回路と、を備えてもよい。CPU52が、記憶回路に記憶された制御プログラムを読み出して実行することによって、制御装置50において、所定の制御が実現される。記憶回路としては、例えば、メモリを挙げることができる。
【0040】
以上のとおり、本実施形態の制御装置50およびガス調理器100は、様々な調理情報を示すLED表示器21のLEDを従来よりも適切に点灯させ得る。
【0041】
具体的には、制御装置50には、低消費電力モードとして、動作電流が通常動作モードよりも低減するスタンバイ機能が存在するが、かかるスタンバイ機能のうちのHALTモードは、CPU52からの指令信号の供給が停止される一方で、クロック信号が出力可能な動作モードである。このため、本実施形態の制御装置50およびガス調理器100は、HALTモードに移行する前の所定の指令信号に対応する電圧レベルに第1出力ポート群53の各ポートP20~P27の出力を維持するとともに、第2出力ポート群54に対してクロック信号を出力させることで、HALTモードに移行する前のLED表示器21のダイナミック点灯時における点灯状態が維持される。これにより、例えば、ユーザは、当該HALTモードに移行する前のLED表示器21の表示内容の確認が可能となる。また、このときのLED表示器21のLEDの輝度は、当該LED表示器21のダイナミック点灯時におけるLEDの輝度と同様であるので、LED表示器21を視認するユーザに、表示上の違和感を与えない。
【0042】
また、本実施形態の制御装置50およびガス調理器100は、HALTモードにおいて、第2出力ポート群54の各ポートP10~P12のうちのポートP12のみにクロック信号を出力させることで、LED表示器21のコモン端子21comのそれぞれに対応して設けられた第2出力ポート群54の各ポートP10~P12にクロック信号を出力させる場合に比べて、点灯すべきLED表示器21を適切に選択しながら動作電流を低減することができる。
【0043】
また、本実施形態のガス調理器100は、制御装置50の動作電流が通常動作モードよりも低減するスタンバイ機能において、電池の寿命を適切に確保しながら、LED表示器21のダイナミック点灯時における点灯状態が維持される。
【0044】
さらに、本実施形態の制御装置50およびガス調理器100は、制御装置50には、低消費電力モードとして、動作電流が通常動作モードよりも低減するスタンバイ機能が存在するが、かかるスタンバイ機能のうちのHALTモードは、CPU52からの指令信号の供給が停止される一方で、タイマ出力機能が停止しないので、クロック信号がタイマ出力のための信号であると好都合である。
【0045】
上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良および他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本開示の一態様は、LED表示器のLEDを従来よりも適切に点灯させ得る制御装置および調理機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 本体、2 天板、3 コンロ、10 操作表示部、11 グリル扉、20 操作表示パネル、21 LED表示器、21A LED表示器、21B LED表示器、21C LED表示器、21com コモン端子、22 表示部、50 制御装置、51 クロック発振回路、52 CPU、53 第1出力ポート群、54 第2出力ポート群、100 ガス調理器