(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131115
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】情報端末、ロック解除方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/62 20130101AFI20240920BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240920BHJP
H04M 1/72463 20210101ALI20240920BHJP
G06F 21/32 20130101ALI20240920BHJP
G06F 21/40 20130101ALI20240920BHJP
【FI】
G06F21/62
G06Q50/10
H04M1/72463
G06F21/32
G06F21/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041189
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 新之介
(72)【発明者】
【氏名】菅原 孝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 潤
(72)【発明者】
【氏名】中野 栄治
(72)【発明者】
【氏名】高梨 陸
【テーマコード(参考)】
5K127
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5K127BA03
5K127GE02
5K127GE12
5K127JA49
5L049CC14
5L050CC14
(57)【要約】
【課題】故人の情報端末の情報を、他者に適切に開示する。
【解決手段】情報端末1は、情報端末1の所有者以外の複数の代理人PXの指紋を情報端末1におけるロックを解除するために必要な指紋として登録する指紋管理部と、指紋を取得する指紋取得部と、取得した指紋が代理人PXの指紋であるかを照合し、かつ取得したそれぞれの指紋が所定の制限時間の間に入力されたかを確認する指紋照合部と、情報端末1のロックの解除と、情報端末1におけるキーチェーンデータのロックの解除とを実施するロック制御部と、を有し、ロック制御部は、取得したそれぞれの指紋が、代理人PXの指紋と照合され、かつ、所定の制限時間の間に入力された場合に、情報端末1のロックを解除し、キーチェーンデータのうちの少なくとも一部の情報である第一情報のロックについては、取得したそれぞれの指紋が前記代理人の指紋と照合された場合であっても、解除をしない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
故人の情報端末であって、
前記情報端末の所有者以外の複数の代理人の指紋を前記情報端末におけるロックを解除するために必要な指紋として登録する指紋管理部と、
指紋を取得する指紋取得部と、
前記取得した指紋が前記代理人の指紋であるかを照合し、かつ前記取得したそれぞれの指紋が所定の制限時間の間に入力されたかを確認する指紋照合部と、
前記情報端末のロックの解除と、前記情報端末におけるキーチェーンデータのロックの解除とを実施するロック制御部と、を有し、
前記ロック制御部は、
前記取得したそれぞれの指紋が、前記代理人の指紋と照合され、かつ、前記所定の制限時間の間に入力された場合に、前記情報端末のロックを解除し、
前記キーチェーンデータのうちの少なくとも一部の情報である第一情報のロックについては、前記取得したそれぞれの指紋が前記代理人の指紋と照合された場合であっても、解除をしない、
情報端末。
【請求項2】
前記ロック制御部は、前記キーチェーンデータのうち、前記第一情報と異なる第二情報に関するデータのロックについては、前記取得したそれぞれの指紋が、前記代理人の指紋と照合され、かつ、前記所定の制限時間の間に入力された場合に、解除する、
請求項1に記載の情報端末。
【請求項3】
前記ロック制御部は、前記代理人の指紋で前記情報端末のロックを解除した場合、前記キーチェーンデータのうち、クレジットカードに関する情報を消去する、
請求項1又は請求項2に記載の情報端末。
【請求項4】
前記情報端末の所有者の生前において、
前記指紋管理部は、前記代理人が死亡したとの情報を入手した際には、前記死亡した前記代理人に変わる者の指紋を前記情報端末に登録する旨を促す情報を前記情報端末の所有者に通知する、
請求項1又は請求項2に記載の情報端末。
【請求項5】
故人の情報端末のロック解除方法であって、
前記情報端末の所有者以外の複数の代理人の指紋を前記情報端末におけるロックを解除するために必要な指紋として登録するステップと、
指紋を取得するステップと、
前記取得した指紋が前記代理人の指紋であるかを照合し、かつ前記取得したそれぞれの指紋が所定の制限時間の間に入力されたかを確認するステップと、
前記情報端末のロックの解除と、前記情報端末におけるキーチェーンデータのロックの解除とを実施するステップと、を含み、
前記情報端末のロックを解除するステップにおいては、前記取得したそれぞれの指紋が、前記代理人の指紋と照合され、かつ、前記所定の制限時間の間に入力された場合に、前記情報端末のロックを解除し、
前記キーチェーンデータのロックを解除するステップにおいては、前記キーチェーンデータのうち、の少なくとも一部の情報である第一情報のロックについては、前記取得したそれぞれの指紋が前記代理人の指紋と照合された場合であっても、解除しない、
ロック解除方法。
【請求項6】
故人の情報端末のロック解除方法を実行するプログラムであって、
前記情報端末の所有者以外の複数の代理者の指紋を前記情報端末におけるロックを解除するために必要な指紋として登録するステップと、
指紋を取得するステップと、
前記取得した指紋が前記代理人の指紋であるかを照合し、かつ前記取得したそれぞれの指紋が所定の制限時間の間に入力されたかを確認するステップと、前記情報端末のロックの解除と、前記情報端末におけるキーチェーンデータのロックの解除とを実施するステップとを、情報端末に実行させ、
前記情報端末のロックを解除するステップにおいては、前記取得したそれぞれの指紋が、前記代理人の指紋と照合され、かつ、前記所定の制限時間の間に入力された場合に、前記情報端末のロックを解除し、
前記キーチェーンデータのロックを解除するステップにおいては、前記キーチェーンデータのうちの少なくとも一部の情報である第一情報のロックについては、前記取得したそれぞれの指紋が前記代理人の指紋と照合された場合であっても、解除しない、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末、ロック解除方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報端末の所有者が死亡した場合、故人の情報端末内に残された種々の情報(デジタル遺品)を、遺族がロックされた情報端末から入手することは困難な場合が多い。故人の情報端末から情報を入手する方法の例として、特許文献1には、機器による虹彩認証により、個人の特定と瞳孔の拡大具合から認証者の死亡判定を行い、死亡が確認されると、故人の情報端末から端末内のデータを遺族の情報端末に送信させる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、所有者が死亡したと確認されたら、全ての情報を他者に開示することになるため、開示すべきでない情報まで開示されてしまうおそれがある。そのため、故人の情報端末の情報を、他者に適切に開示することが求められている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、故人の情報端末の情報を、他者に適切に開示する情報端末、情報端末のロック解除方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る情報端末は、前記情報端末の所有者以外の複数の代理人の指紋を前記情報端末におけるロックを解除するために必要な指紋として登録する指紋管理部と、指紋を取得する指紋取得部と、前記取得した指紋が前記代理人の指紋であるかを照合し、かつ前記取得したそれぞれの指紋が所定の制限時間の間に入力されたかを確認する指紋照合部と、前記情報端末のロックの解除と、前記情報端末におけるキーチェーンデータのロックの解除を実施するロック制御部と、を有し、前記ロック制御部は、前記取得したそれぞれの指紋が、前記代理人の指紋と照合され、かつ前記所定の制限時間の間に入力された場合に、前記情報端末のロックを解除し、前記キーチェーンデータのうちの少なくとも一部の情報である第一情報のロックについては、前記取得したそれぞれの指紋が前記代理人の指紋と照合された場合であっても解除をしない。
【0007】
本開示に係る情報端末のロック解除方法は、前記情報端末の所有者以外の複数の代理人の指紋を前記情報端末におけるロックを解除するために必要な指紋として登録するステップと、指紋を取得するステップと、前記取得した指紋が前記代理人の指紋であるかを照合し、かつ前記取得したそれぞれの指紋が所定の制限時間の間に入力されたかを確認するステップと、前記情報端末のロックの解除と、前記情報端末におけるキーチェーンデータのロックの解除とを実施するステップと、を含み、前記情報端末のロックを解除するステップにおいては、前記取得したそれぞれの指紋が、前記代理人の指紋と照合され、かつ、前記所定の制限時間の間に入力された場合に、前記情報端末のロックを解除し、前記キーチェーンデータのロックを解除するステップにおいては、前記キーチェーンデータのうち、の少なくとも一部の情報である第一情報のロックについては、前記取得したそれぞれの指紋が前記代理人の指紋と照合された場合であっても、解除しない。
【0008】
本開示に係るプログラムは、前記情報端末の所有者以外の複数の代理者の指紋を前記情報端末におけるロックを解除するために必要な指紋として登録するステップと、指紋を取得するステップと、前記取得した指紋が前記代理人の指紋であるかを照合し、かつ前記取得したそれぞれの指紋が所定の制限時間の間に入力されたかを確認するステップと、前記情報端末のロックの解除と、前記情報端末におけるキーチェーンデータのロックの解除とを実施するステップとを、情報端末に実行させ、前記情報端末のロックを解除するステップにおいては、前記取得したそれぞれの指紋が、前記代理人の指紋と照合され、かつ、前記所定の制限時間の間に入力された場合に、前記情報端末のロックを解除し、前記キーチェーンデータのロックを解除するステップにおいては、前記キーチェーンデータのうちの少なくとも一部の情報である第一情報のロックについては、前記取得したそれぞれの指紋が前記代理人の指紋と照合された場合であっても、解除しない。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、故人の情報端末の情報を、他者に適切に開示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る情報端末の概要説明図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る情報端末1の模式的なブロック図である。
【
図3】
図3は、代理人によるロック解除を行う際の処理を説明する模式図である。
【
図4】
図4は、代理人によるロック解除の処理フローを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示にかかる情報端末の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。
【0012】
(情報端末)
図1は、本実施形態に係る情報端末の概要説明図である。
図1に示すように、本実施形態に係る情報端末1は、指紋センサ40を有する情報端末である。情報端末1は、所有者本人による暗証番号の入力、パターン入力、指紋認証等の方法のいずれの方法によりロック解除されてもよいが、本実施形態の例では指紋認証によりロック解除される。また、情報端末1は、予め登録されている所有者以外の複数の代理人PXの指紋認証によってロック解除される。代理人PXの指紋認証による情報端末のロック解除方法の詳細については後述する。なお、ここでのロック解除とは、後述のキーチェーンに含まれる第一情報以外の、情報端末1に記憶された情報にアクセス可能であり、かつ、情報端末1に各種機能を実行させることが可能な状態を指す。
【0013】
図2は、本実施形態に係る情報端末1の模式的なブロック図である。本実施形態に係る情報端末1は、例えばスマートフォンであり、
図2に示すように、入力部10と、出力部20と、メモリ30と、指紋センサ40と、データ通信部50と、制御部60とを有する。入力部10は、ユーザの操作を受け付ける装置であり、例えば液晶パネル(Liquid Crystal Display)、タッチパネル等である。出力部20は、情報を出力する装置であり、例えば、液晶パネル(Liquid Crystal Display)等である。
【0014】
メモリ30は、制御部60の演算内容や、プログラム、入力部10から情報端末1の使用者によって入力された各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。メモリ30が保存する制御部60用のプログラムは、情報端末1が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。指紋センサ40は、情報端末1のロック解除方法の一つである指紋認証を行う際に、指紋情報を取得するセンサであり、例えば静電容量方式によって構成されたものである。データ通信部50は、外部の装置などと通信するモジュールであり、例えばアンテナなどを含んでよい。データ通信部50による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。
【0015】
制御部60は、演算装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算回路を含む。制御部60は、出力制御部611と、暗証番号管理部612と、指紋取得部613と、指紋管理部614と、指紋照合部615と、ロック制御部616とを含む。制御部60は、メモリ30からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、出力制御部611と、暗証番号管理部612と、指紋取得部613と、指紋管理部614と、指紋照合部615と、ロック制御部616とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部60は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、出力制御部611と、暗証番号管理部612と、指紋取得部613と、指紋管理部614と、指紋照合部615と、ロック制御部616との処理の少なくとも一部を、ハードウェアで実現してもよい。
【0016】
出力制御部611は、出力部20から情報を出力させ、暗証番号管理部612は、情報端末1のロック解除のための暗証番号の管理を行い、指紋取得部613は、指紋センサ40によって検出された指紋情報を取得し、指紋管理部614は、ロック解除のための指紋の登録や管理を行い、指紋照合部615は、入力された指紋と登録された指紋の照合を行い、ロック制御部616は、情報端末1のロック解除を行う。各部の具体的な処理は後述する。
【0017】
(情報端末の処理)
本実施形態に係る情報端末1は、所有者が死亡した際に、代理人PXの指紋認証によってロック解除可能となっている。以下で、情報端末1の処理内容を説明する。最初に、代理人の指紋や暗証番号を登録する処理について説明し、その後、代理者によるロック解除の処理を説明する。
【0018】
(代理人の指紋の登録)
情報端末1においては、複数の代理人PXによりロック解除するために、それぞれの代理人PXの指紋が登録される。具体的には、ロック解除用の代理人PXの指紋を登録する際には、代理人PXが、指紋センサ40をタッチする。指紋取得部613は、指紋センサ40を制御して、指紋センサ40によりタッチされた代理人PXの指紋を検出させて、代理人PXの指紋情報を取得する。指紋管理部614は、指紋取得部613が取得した代理人PXの指紋情報に基づき、代理人PXの指紋の特徴量を算出して、その特徴量を、代理人PXの指紋として登録する。情報端末1は、この処理を代理人PX毎に実行して、それぞれの代理人PXについて、指紋を登録する。指紋を登録する代理人PXの数は、言い換えれば、ロック解除に必要な代理人PXの数であり、以降の説明では3人であるが、それに限られず、任意の複数人であってよい。なお、代理人PXの指紋を登録する際には、出力制御部611が、代理人PXに指紋センサ40をタッチすることを求める情報を、出力部20に表示させてよい。
【0019】
(代理人情報の登録)
また、本実施形態では、指紋管理部614は、代理人PXの指紋に加えて、代理人情報を取得する。代理人情報とは、その代理人PXに関する情報であり、例えば、代理人を識別する情報(例えば代理人の名前)と、代理人の連絡先(例えば電話番号やメールアドレス)とが含まれる。指紋管理部614は、代理人PXの指紋と、その代理人PXの代理人情報とを、関連付けてメモリ30に記憶させる。代理人情報は任意の方法で取得されてよいが、代理人PXや所有者によって入力されてよい。代理人情報を登録する際にも、出力制御部611が、代理人情報を入力することを求める情報を、出力部20に表示させてよい。ただし、代理人情報の登録は必須ではない。
【0020】
(制限時間の登録)
また、本実施形態では、指紋管理部614は、代理人PXの指紋によりロックを解除する際の、指紋を入力可能な制限時間を設定する。制限時間は、一人あたり8秒以上程度であることが好ましいが、任意の長さであってよい。また、制限時間は任意の方法で取得されてよいが、代理人PXや所有者によって入力されてよい。すなわちこの場合、指紋管理部614は、入力部10を介して入力された時間長さを、制限時間として設定する。制限時間を設定する際にも、出力制御部611が、制限時間を設定することを求める情報を、出力部20に表示させてよい。ただし、制限時間の設定は必須ではない。例えば、制限時間は、予め設定された固定値であってもよい。
【0021】
(入力順の登録)
また、本実施形態では、指紋管理部614は、ロックを解除する際の、指紋を入力する順番である入力順を設定する。入力順は任意の方法で設定されてよいが、代理人PXや所有者によって入力されてよい。すなわちこの場合、指紋管理部614は、入力部10を介して入力された順番を、入力順として設定する。入力順を設定する際にも、出力制御部611が、入力順を設定することを求める情報を、出力部20に表示させてよい。ただし、入力順の設定は必須ではない。例えば、入力順は、予め設定されてもよく、例えば指紋が登録された順番と同じであってもよい。
【0022】
(暗証番号の登録)
情報端末1においては、複数の代理人PXによるロック解除が可能な代理解除モードに切り替えるための、暗証番号(切替暗証番号)が登録される。切替暗証番号は、代理人PXや所有者によって入力されてよい。すなわちこの場合、暗証番号管理部612は、入力部10を介して入力された番号を、切替暗証番号として設定する。切替暗証番号を設定する際にも、出力制御部611が、切替暗証番号を設定することを求める情報を、出力部20に表示させてよい。ただし、切替暗証番号の設定は必須ではなく、切替暗証番号を入力することなく、代理解除モードに切り替え可能であってよい。また、以上の説明では、切替暗証番号を数字としているが、切替暗証番号は数字に限られず、文字や記号を含むものであってよい。すなわち、切替暗証番号はパスワードと言い換えることができる。以降の暗証番号についても同様である。
【0023】
以上説明した、各種情報の登録処理は、所有者の生前に行われる。すなわち、各種情報の登録処理は、情報端末1が、所有者によりロック解除された状態でのみ、実施可能であることが好ましい。
【0024】
(代理人によるロック解除)
以降で、代理人PXが代理で情報端末1のロック解除を行う際の処理について説明する。以降の処理は、所有者の死亡後に行われることが好ましい。
図3は、代理人によるロック解除を行う際の処理を説明する模式図である。
【0025】
(代理解除モードへの切り替え)
情報端末1は、所有者によりロック解除される所有者解除モードから、代理解除モードに切り替えられることで、代理人PXによるロック解除が可能となる。この場合、
図3のステップS1に示すように、出力制御部611は、例えば所有者解除モードにおけるログイン画面において、代理解除モードに切り替えるための切替画像を出力部20に表示させる。この画像が表示されたら、代理人PX又は他のユーザは、情報端末1の入力部10に、代理解除モードへの切替を選択する旨の操作(例えば切替画像をタッチする操作)を入力する。切替画像は任意のものであってよいが、
図3の例では「複数人認証ログイン」という文章を含む画像である。
【0026】
代理解除モードへの切替が選択する旨の操作が入力されたら、出力制御部611は、ステップS2に示すように、代理解除モードに切り替えるための画像として、切替暗証番号(複数人認証ログインパスワード)の入力を求める画像を、出力部20に表示させる。この画像が表示されたら、代理人PX又は他のユーザは、入力部10に切替暗証番号を入力する。ロック制御部616は、入力部10に入力された情報(番号など)と切替暗証番号とを照合し、それらが一致している場合に、代理解除モードに切り替える。
【0027】
(代理解除モード)
代理解除モードにおいては、出力制御部611は、ステップS3に示すように、代理人PXによる指紋認証を開始するための開始画像(
図3の例では「複数人認証ログインを開始する」という文章を含む画像)を、出力部20に表示させる。また、本実施形態の例では、出力制御部611は、開始画像と共に、ロック解除に必要な情報を示す必要情報を、出力部20に表示させてよい。必要情報としては、代理人情報と、指紋を入力する入力順とが含まれる。本実施形態の例では、出力制御部611は、ステップS3に示すように、代理人PXを識別する情報(例えば名前)と、入力順とを、表示する。そして、ステップS3の画面が表示されている状態で、代理人PX又は他のユーザにより、入力部10に代理人PXの連絡先を表示する旨の操作が入力されたら、出力制御部611は、ステップS4に示すように、代理人PXの連絡先を表示させる。
【0028】
(指紋認証)
情報端末1は、開始画像が表示された状態で、代理人PXによる指紋認証を開始する旨の操作が入力されたら、代理人PXによる指紋認証を開始する。この場合、出力制御部611は、設定された入力順で代理人PXによる指紋の入力を求める認証画像を、出力部20に表示する。認証画像が表示されたら、それぞれの代理人PXは、入力順で設定された順番で、指紋センサ40をタッチして指紋を入力する。指紋取得部613は、指紋センサ40が検出した指紋を取得する。指紋照合部615は、指紋が取得される度に、取得された指紋と、現在の入力順(ここでは最初)の代理人PXの登録された指紋とを照合して、それらの指紋が一致するかを判断する。例えば、指紋照合部615は、取得された指紋の特徴量を抽出して、抽出した特徴量と、登録された指紋の特徴量との一致度合いが所定値以上である場合に、指紋が一致すると判断する。
【0029】
指紋が一致する場合には、出力制御部611は、入力順に基づき、次の入力順で指紋入力すべき代理人PXがいるかを判断する。次に入力すべき代理人PXがいる場合、出力制御部611は、次に入力すべき代理人PXによる指紋の入力を求める認証画像を、出力部20に表示して、以降は、同様の処理を繰り返す。一方、次に入力すべき代理人PXがいない場合には、すなわち全ての代理人PXの指紋の照合が完了したら、指紋認証を完了する。
【0030】
図3の例では、ステップS5において、入力順が最初の代理人PX(Bさん)による指紋の入力を求める認証画像を表示する。ステップS5の認証画像を表示している状態で、入力された指紋と最初の代理人PX(Bさん)の指紋とが一致したら、ステップS6に進み、2番目の代理人PX(Cさん)による指紋の入力を求める認証画像を表示する。ステップS6の認証画像を表示している状態で、入力された指紋と2番目の代理人PX(Cさん)の指紋とが一致したら、ステップS7に進み、3番目の代理人PX(Dさん)による指紋の入力を求める認証画像を表示する。ステップS7の認証画像を表示している状態で、入力された指紋と3番目の代理人PX(Dさん)の指紋とが一致したら、全ての代理人PXの指紋の照合が完了したとして、指紋認証を完了する。
【0031】
なお、本実施形態では、設定された制限時間内に、全ての代理人PXの指紋の照合が完了した場合にのみ、指紋認証を完了することが好ましい。言い換えれば、指紋照合部615は、取得された指紋と代理人PXの指紋とが一致するかを照合し、かつ、取得されたそれぞれの指紋が制限時間の間に入力されたかを確認する。そして、指紋照合部615は、取得されたそれぞれの指紋が制限時間の間に入力され、かつ、それぞれの指紋がそれぞれの代理人PXの指紋と一致する場合に、指紋認証を完了することが好ましい。設定された制限時間内に全ての代理人PXの指紋の照合が完了しない場合には、指紋認証を完了せず、例えばステップS3やステップS5に戻り、最初の代理人PXから指紋認証をやり直させてよい。この場合、ステップS5~S7に示すように、出力制御部611は、認証画像に、制限時間を表示させ、時間経過と共に制限時間を減算して表示することが好ましい。
【0032】
(ロック解除)
指紋認証が完了したら、ロック制御部616は、情報端末1のロックを解除する。すなわち、ロック制御部616は、取得したそれぞれの指紋が、代理人PXの指紋と照合され、かつ、制限時間の間に入力された場合に、情報端末1のロックを解除する。なお、指紋認証が完了したら、出力制御部611は、ステップS8に示すように、所有者解除モードでロック解除するための新たな暗証番号(パスワード)の設定を求める画面を、出力部20に表示させてよい。この画像が表示されたら、代理人PX又は他のユーザは、入力部10に新たな暗証番号をする情報(番号など)入力する。暗証番号管理部612は、入力部10を介して入力された情報を、情報として設定する。これにより、次回より、代理解除モードを用いることなく、所有者解除モードで新たな暗証番号を入力することで、より簡単にロック解除できる。
【0033】
(キーチェーンデータ)
ここで、情報端末1には、キーチェーンデータに含まれる情報が記憶されている。キーチェーンデータに含まれる情報は、任意の情報であってよく、例えば所有者の設定により適宜設定される。例えば、キーチェーンデータに含まれる情報としては、情報端末1の所有者が過去にアクセス、または利用したウェブサイトやアプリ等の一覧情報と、各ウェブサイトやアプリで使用するIDやパスワードなどの個人情報との少なくとも1つを含んでよい。このようなキーチェーンデータに含まれる情報は、たとえ予め設定された代理人PXにロック解除された場合であっても、所有者以外に取得されるべきではないこともある。
【0034】
従って、本実施形態においては、ロック制御部616は、取得したそれぞれの指紋が代理人PXの指紋と照合され、かつ、制限時間の間に入力された場合であっても(設定された制限時間内に、全ての代理人PXの指紋の照合が完了して、指紋認証が完了した場合であっても)、キーチェーンデータに含まれる少なくとも一部の情報(第一情報)については、ロックを解除しない。すなわち、ロック制御部616は、指紋認証が完了した場合であっても、キーチェーンデータに含まれる第一情報については、アクセス不可能とする。これにより、代理人PXの指紋認証により情報端末1の操作や情報取得を可能としつつも、所有者以外に取得されるべきではないキーチェーンデータに含まれる情報が、所有者以外に取得されることを抑制できる。
【0035】
ここで、ロック解除しないキーチェーンデータに含まれる第一情報は、任意に設定されてよい。例えば、第一情報は、予め設定されてよい。この場合の第一情報の設定も、上述で説明した他の情報(指紋や暗証番号)の登録と同様に、情報端末1が、所有者によりロック解除された状態でのみ、実施可能であることが好ましい。第一情報は、任意の方法で設定されてよいが、所有者によって設定されてよい。すなわちこの場合、所有者は、キーチェーンデータに含まれる情報のうちから、第一情報とする情報を選択する操作を、入力部10に入力する。ロック制御部616は、入力部10を介して入力された情報を、第一情報として設定する。
【0036】
ロック制御部616は、キーチェーンデータに含まれる情報のうち、第一情報以外の情報(第二情報)については、指紋認証が完了した場合に、ロックを解除してよい。これにより、キーチェーンデータであっても、所有者以外に取得されてもよい情報については、代理人PXによって取得可能となる。
【0037】
ロック制御部616は、指紋認証が完了した場合に、キーチェーンデータに含まれる情報のうちの所定の情報については、消去してよい。すなわち、ロック制御部616は、指紋認証が完了した場合に、所定の情報を、キーチェーンデータから削除する。これにより、所有者以外に取得されるべきではない情報が消去され、より安全性が確保できる。なお、消去される所定の情報は、任意に設定されてよく、例えば第一情報と同様に、所有者によって予め設定されてよい。ただし、本実施形態においては、消去される所定の情報は、キーチェーンデータに含まれるクレジットカードに関する情報であることが好ましい。クレジットカードに関する情報を消去することで、所有者以外に、所有者名義のクレジットカードが使用されることが抑制できる。
【0038】
(処理フロー)
以上説明した、代理人PXによるロック解除の処理フローを説明する。
図4は、代理人によるロック解除の処理フローを説明するフローチャートである。
図4に示すように、情報端末1は、代理解除モードでの指紋認証が開始されたら(ステップS10)、出力制御部611によって指紋入力を求める認証画像を表示させて、指紋の入力を求める。そして、情報端末1は、指紋センサ40に指紋が入力されたら、指紋取得部613により入力された指紋を取得し(ステップS12)、指紋照合部615により、取得した指紋と、登録した代理人の指紋とが一致するかを判定する(ステップS14)。指紋が一致しない場合(ステップS14;No)、ステップS12に戻る。一方、指紋が一致する場合には(ステップS14;Yes)、情報端末1は、次に指紋認証すべき代理人が存在するかを判断する(ステップS16)。次の代理人が存在する場合(ステップS16;Yes)、ステップS12に戻り、次に取得した指紋と次の代理人の指紋との指紋認証を行う。一方、次の代理人が存在しない場合(ステップS16;No)、情報端末1は、指紋認証が完了したとして、ロック制御部616により、キーチェーンデータの第一情報のロックを維持しつつ、情報端末1のロックを解除する(ステップS18)。なお、指紋認証の制限時間が設定されている場合には、ステップS12からステップS16を行っている期間中に制限時間が経過したら、処理を終了して、ステップS10に戻って、最初の代理人から指紋認証をやり直してよい。
【0039】
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係る情報端末1は、複数の代理人PXによる指紋認証が完了した場合に、キーチェーンデータの第一情報のロックを維持しつつ、情報端末1のロックを解除する。従って、キーチェーンデータに含まれる、所有者以外に開示すべきでない情報を保護しつつ、情報端末1の情報にアクセス可能となるため、故人の情報端末1の情報を、他者に適切に開示できる。
【0040】
(他の例)
以上の説明では、代理解除モードでロック解除できる代理人PXは、予め登録されていた。ただし、代理人PXは変更可能であってよい。この場合、情報端末1は、新たに代理人PXとする人の指紋を、上述と同様の方法で登録してよい。また、情報端末1は、登録を取りやめる代理人PXの指紋については、登録された代理人PXの指紋から解除する。
【0041】
さらに言えば、所有者の生前において、代理人PXが死亡することも考えられる。この場合、代理人PXによるロック解除が不可能となるため、代理人PXを変更することが好ましい。そのため、情報端末1は、代理人PXが死亡したとの情報を入手した際には、死亡した代理人PXに変わる者の指紋を情報端末1に登録する旨を促す情報を、所有者に通知することが好ましい。この場合例えば、情報端末1は、出力制御部611により、その旨の情報を出力部20に表示させてよい。これにより、代理人PXの変更が促されて、代理人PXによるロック解除が不可能となることが抑制される。
【0042】
(効果)
以上説明したように、本開示の情報端末1は、情報端末1の所有者以外の複数の代理人PXの指紋を情報端末1におけるロックを解除するために必要な指紋として登録する指紋管理部614と、指紋を取得する指紋取得部613と、取得した指紋が代理人PXの指紋であるかを照合し、かつ取得したそれぞれの指紋が所定の制限時間の間に入力されたかを確認する指紋照合部615と、情報端末1のロックの解除と、情報端末1におけるキーチェーンデータのロックの解除とを実施するロック制御部616と、を有し、ロック制御部616は、取得したそれぞれの指紋が、代理人PXの指紋と照合され、かつ、所定の制限時間の間に入力された場合に、情報端末1のロックを解除し、キーチェーンデータのうちの少なくとも一部の情報である第一情報のロックについては、取得したそれぞれの指紋が代理人PXの指紋と照合された場合であっても、解除をしない。本開示によると、故人の情報端末1の情報を、他者に適切に開示することができる。
【0043】
また、本開示によれば、ロック制御部616は、キーチェーンデータのうち、第一情報と異なる第二情報に関するデータのロックについては、取得したそれぞれの指紋が、代理人PXの指紋と照合され、かつ、所定の制限時間の間に入力された場合に、解除する。本開示によると、故人の情報端末1の情報のうち、所有者以外に開示すべきでない情報を保護しつつ、それ以外の情報については、他者に適切に開示することできる。
【0044】
また、本開示によれば、ロック制御部616は、代理人PXの指紋で情報端末1のロックを解除した場合、キーチェーンデータのうち、クレジットカードに関する情報を消去する。本開示によると、所有者以外に、所有者名義のクレジットカードが使用されることを抑制できる。
【0045】
また、本開示に係る指紋管理部614は、情報端末1の所有者の生前において、代理人PXが死亡したとの情報を入手した際には、死亡した代理人PXに変わる者の指紋を情報端末1に登録する旨を促す情報を情報端末1の所有者に通知する。本開示によると、代理人PXの死亡により、代理人PXの指紋入力による情報端末1のロック解除が不可能となることを抑制できる。
【0046】
また、本開示に係るロック解除方法は、情報端末1の所有者以外の複数の代理人PXの指紋を情報端末1におけるロックを解除するために必要な指紋として登録するステップと、指紋を取得するステップと、取得した指紋が代理人PXの指紋であるかを照合し、かつ取得したそれぞれの指紋が所定の制限時間の間に入力されたかを確認するステップと、情報端末1のロックの解除と、情報端末1におけるキーチェーンデータのロックの解除とを実施するステップと、を含み、情報端末1のロックを解除するステップにおいては、取得したそれぞれの指紋が、代理人PXの指紋と照合され、かつ、所定の制限時間の間に入力された場合に、情報端末1のロックを解除し、キーチェーンデータのロックを解除するステップにおいては、キーチェーンデータのうち、の少なくとも一部の情報である第一情報のロックについては、取得したそれぞれの指紋が代理人PXの指紋と照合された場合であっても、解除しない。本開示によると、故人の情報端末1の情報を、他者に適切に開示することができる。
【0047】
また、本開示に係るプログラムは、情報端末1の所有者以外の複数の代理者PXの指紋を情報端末1におけるロックを解除するために必要な指紋として登録するステップと、指紋を取得するステップと、取得した指紋が代理人PXの指紋であるかを照合し、かつ取得したそれぞれの指紋が所定の制限時間の間に入力されたかを確認するステップと、情報端末1のロックの解除と、情報端末1におけるキーチェーンデータのロックの解除とを実施するステップとを、情報端末1に実行させ、情報端末1のロックを解除するステップにおいては、取得したそれぞれの指紋が代理人PXの指紋と照合され、かつ、所定の制限時間の間に入力された場合に、情報端末1のロックを解除し、キーチェーンデータのロックを解除するステップにおいては、キーチェーンデータのうちの少なくとも一部の情報である第一情報のロックについては、取得したそれぞれの指紋が代理人PXの指紋と照合された場合であっても、解除しない。本開示によると、故人の情報端末1の情報を、他者に適切に開示することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0049】
1 情報端末
60 制御部
611 出力制御部
612 暗証番号管理部
613 指紋取得部
614 指紋管理部
615 指紋照合部
616 ロック制御部
PX 代理人