(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131125
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
B60T 7/06 20060101AFI20240920BHJP
G05G 1/30 20080401ALI20240920BHJP
【FI】
B60T7/06 C
B60T7/06 B
G05G1/30 A
G05G1/30 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041208
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】石塚 大
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勇太
(72)【発明者】
【氏名】平丸 真之
(72)【発明者】
【氏名】冨田 裕明
(72)【発明者】
【氏名】能津 邦洋
【テーマコード(参考)】
3D124
3J070
【Fターム(参考)】
3D124AA36
3D124BB01
3D124BB02
3D124BB17
3D124CC28
3D124DD03
3D124DD06
3D124DD34
3D124DD39
3J070AA32
3J070CB02
3J070CC02
3J070DA04
(57)【要約】
【課題】より簡単な操作でパーキングブレーキを作動させることができる鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】運転者が足(S)で操作するブレーキペダル(30)と、該ブレーキペダル(30)の操作に応じて作動するブレーキ装置(9)とを有する鞍乗型車両(1)において、前記ブレーキペダル(30)を踏むことで前記ブレーキ装置(9)が通常ブレーキとして作動すると共に、前記ブレーキペダル(30)を上方にかき上げることで前記ブレーキ装置(9)がパーキングブレーキとして作動するように構成する。前記ブレーキペダル(30)をかき上げて所定角度まで上方に揺動させると、前記ブレーキペダル(30)が所定角度に保持されてパーキングブレーキが作動するように構成する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が足(S)で操作するブレーキペダル(30)と、該ブレーキペダル(30)の操作に応じて作動するブレーキ装置(9)とを有する鞍乗型車両(1)において、
前記ブレーキペダル(30)を踏むことで前記ブレーキ装置(9)が通常ブレーキとして作動すると共に、前記ブレーキペダル(30)を上方にかき上げることで前記ブレーキ装置(9)がパーキングブレーキとして作動するように構成されていることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項2】
前記ブレーキペダル(30)をかき上げて所定角度まで上方に揺動させると、前記ブレーキペダル(30)が所定角度に保持されてパーキングブレーキが作動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記鞍乗型車両(1)の車体に揺動自在に軸支されるベース部材(70)を有し、
前記ベース部材(70)の前端部に前記ブレーキペダル(30)が支持されており、
前記ブレーキペダル(30)を踏むと、前記ベース部材(70)が前記ブレーキペダル(30)と一体に揺動することで前記ブレーキ装置(9)が作動し、
前記ブレーキペダル(30)をかき上げると、前記ベース部材(70)に取り付けられたリンク機構(L)が作動することで前記ブレーキ装置(9)が作動することを特徴とする請求項1または2に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記ブレーキペダル(30)に山型のカム(34)が形成されており、
前記ブレーキペダル(30)をかき上げると、前記リンク機構(L)を構成する入力部材(40)が前記カム(34)に押されることで前記リンク機構(L)が作動すると共に、前記入力部材(40)を初期位置に戻す方向の付勢力によって前記ブレーキペダル(30)が所定角度に保持されることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記ブレーキペダル(30)が所定角度で保持された状態は、前記ブレーキペダル(30)を踏むことで解除されることを特徴とする請求項4に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記リンク機構(L)は、前記ベース部材(70)の前後寸法の間に配設されていることを特徴とする請求項3に記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記ベース部材(70)は、前記ブレーキペダル(30)より車幅方向内側に配設されていることを特徴とする請求項3に記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に係り、特に、車両の停車時に車輪の回転を継続的に禁止するためのパーキングブレーキを有する鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、走行中の車両を減速させる通常ブレーキに加えて、車両の停車時に車輪の回転を継続的に禁止するためのパーキングブレーキを有する構成が知られている。
【0003】
特許文献1には、自動二輪車のブレーキシステムにおいて、運転者がブレーキレバーを握ることで通常ブレーキが作動すると共に、ブレーキレバーの基部に設けられたロック機構によってブレーキレバーを揺動させた状態で保持することで、パーキングブレーキを作動させるようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の構成では、パーキングブレーキを作動させるために、まずブレーキレバーを握り、次にブレーキレバーを握ったままロック機構を操作するという2段階の操作が必要であり、操作が煩わしいという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、より簡単な操作でパーキングブレーキを作動させることができる鞍乗型車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、運転者が足(S)で操作するブレーキペダル(30)と、該ブレーキペダル(30)の操作に応じて作動するブレーキ装置(9)とを有する鞍乗型車両(1)において、前記ブレーキペダル(30)を踏むことで前記ブレーキ装置(9)が通常ブレーキとして作動すると共に、前記ブレーキペダル(30)を上方にかき上げることで前記ブレーキ装置(9)がパーキングブレーキとして作動するように構成されている点に第1の特徴がある。
【0008】
また、前記ブレーキペダル(30)をかき上げて所定角度まで上方に揺動させると、前記ブレーキペダル(30)が所定角度に保持されてパーキングブレーキが作動するように構成されている点に第2の特徴がある。
【0009】
また、前記鞍乗型車両(1)の車体に揺動自在に軸支されるベース部材(70)を有し、前記ベース部材(70)の前端部に前記ブレーキペダル(30)が支持されており、前記ブレーキペダル(30)を踏むと、前記ベース部材(70)が前記ブレーキペダル(30)と一体に揺動することで前記ブレーキ装置(9)が作動し、前記ブレーキペダル(30)をかき上げると、前記ベース部材(70)に取り付けられたリンク機構(L)が作動することで前記ブレーキ装置(9)が作動する点に第3の特徴がある。
【0010】
また、前記ブレーキペダル(30)に山型のカム(34)が形成されており、前記ブレーキペダル(30)をかき上げると、前記リンク機構(L)を構成する入力部材(40)が前記カム(34)に押されることで前記リンク機構(L)が作動すると共に、前記入力部材(40)を初期位置に戻す方向の付勢力によって前記ブレーキペダル(30)が所定角度に保持される点に第4の特徴がある。
【0011】
また、前記ブレーキペダル(30)が所定角度で保持された状態は、前記ブレーキペダル(30)を踏むことで解除される点に第5の特徴がある。
【0012】
また、前記リンク機構(L)は、前記ベース部材(70)の前後寸法の間に配設されている点に第6の特徴がある。
【0013】
さらに、前記ベース部材(70)は、前記ブレーキペダル(30)より車幅方向内側に配設されている点に第7の特徴がある。
【発明の効果】
【0014】
第1の特徴によれば、運転者が足(S)で操作するブレーキペダル(30)と、該ブレーキペダル(30)の操作に応じて作動するブレーキ装置(9)とを有する鞍乗型車両(1)において、前記ブレーキペダル(30)を踏むことで前記ブレーキ装置(9)が通常ブレーキとして作動すると共に、前記ブレーキペダル(30)を上方にかき上げることで前記ブレーキ装置(9)がパーキングブレーキとして作動するように構成されているので、パーキングブレーキを作動させるための専用の操作子を設けることなく、ブレーキペダルを足でかき上げるという単一の操作によってパーキングブレーキを作動させることが可能となる。これにより、ブレーキシステムの部品点数の増加を防ぐことができる。また、通常ブレーキを作動させる操作方向とパーキングブレーキを作動させる操作方向とが逆向きであるため、意図せずにパーキングブレーキを作動させる誤操作を防ぐことができる。
【0015】
第2の特徴によれば、前記ブレーキペダル(30)をかき上げて所定角度まで上方に揺動させると、前記ブレーキペダル(30)が所定角度に保持されてパーキングブレーキが作動するように構成されているので、ブレーキペダルを足でかき上げる単一の操作のみでパーキングブレーキを作動させることが可能となる。
【0016】
第3の特徴によれば、前記鞍乗型車両(1)の車体に揺動自在に軸支されるベース部材(70)を有し、前記ベース部材(70)の前端部に前記ブレーキペダル(30)が支持されており、前記ブレーキペダル(30)を踏むと、前記ベース部材(70)が前記ブレーキペダル(30)と一体に揺動することで前記ブレーキ装置(9)が作動し、前記ブレーキペダル(30)をかき上げると、前記ベース部材(70)に取り付けられたリンク機構(L)が作動することで前記ブレーキ装置(9)が作動するので、ブレーキペダルの操作によって通常ブレーキとパーキングブレーキとを使い分ける機構を容易に構成することが可能となる。
【0017】
第4の特徴によれば、前記ブレーキペダル(30)に山型のカム(34)が形成されており、前記ブレーキペダル(30)をかき上げると、前記リンク機構(L)を構成する入力部材(40)が前記カム(34)に押されることで前記リンク機構(L)が作動すると共に、前記入力部材(40)を初期位置に戻す方向の付勢力によって前記ブレーキペダル(30)が所定角度に保持されるので、山型のカムを用いることで、ブレーキペダルをかき上げる操作に伴って、ブレーキ装置の作動とブレーキペダルの所定角度への保持とを同時に行い、パーキングブレーキを作動させることが可能となる。
【0018】
第5の特徴によれば、前記ブレーキペダル(30)が所定角度で保持された状態は、前記ブレーキペダル(30)を踏むことで解除されるので、パーキングブレーキがかかった状態からブレーキペダルを踏むという簡単な操作でパーキングブレーキを解除することが可能となる。
【0019】
第6の特徴によれば、前記リンク機構(L)は、前記ベース部材(70)の前後寸法の間に配設されているので、リンク機構の小型化を図ることができる。
【0020】
第7の特徴によれば、前記ベース部材(70)は、前記ブレーキペダル(30)より車幅方向内側に配設されているので、ベース部材が運転者の足に接触することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態に係る自動二輪車の右側面図である。
【
図3】ブレーキペダルによってブレーキ装置を作動させるための伝達機構の模式図である。
【
図4】ブレーキペダルを踏んだ際の伝達機構の動作を示す説明図である。
【
図5】ブレーキペダルをかき上げた際の伝達機構の動作を示す説明図である。
【
図6】本実施形態の変形例に係る伝達機構の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る自動二輪車1の右側面図である。自動二輪車1は、エンジンと変速機とを一体に構成したパワーユニットPの動力を後輪WRに伝達して走行する鞍乗型車両である。車体フレームFの前端部には、前輪WFを回転自在に軸支する左右一対のフロントフォーク14が操舵可能に支持されている。フロントフォーク14の上部には、メータ装置2およびバックミラー3を支持する操向ハンドル4が取り付けられている。パワーユニットPを吊り下げる車体フレームFの前部は、運転者の足を保護するレッグシールド17で覆われている。前輪WFの上方を覆うフロントフェンダ15の上方には、前照灯16を支持するフロントキャリア24が配設されている。
【0023】
車体フレームFの後方下方寄りの位置には、後輪WRを回転自在に軸支するスイングアーム11の前端部が、ピボット12によって揺動自在に軸支されている。スイングアーム11の後部は、左右一対のリヤクッション7によって車体フレームFに吊り下げられている。リヤクッション7の後方には、後輪WRの上方を覆うリヤフェンダ8および尾灯装置6が配設されている。パワーユニットPの燃焼ガスは、スイングアーム11の車幅方向右側に配設されるマフラ10から排出される。
【0024】
後輪WRの中央には、後輪WRに制動力を与えるドラム式のブレーキ装置9が設けられている。パワーユニットPの車幅方向左右には、運転者が足を載せるステップ13が左右一対で設けられており、車幅方向右側のステップ13の前方に、後輪WRのブレーキ装置9を作動させるためのブレーキペダル30が配設されている。
【0025】
図2は、
図1の一部拡大図である。前記と同一符号は、前記と同一または同等部分を示す。本実施形態に係る自動二輪車1は、ブレーキペダル30を踏むことで後輪WRのブレーキ装置9を通常ブレーキとして作動させると共に、ブレーキペダル30をかき上げることでブレーキ装置9をパーキングブレーキとして作動させる機構を有する。
【0026】
ピボット12で揺動自在に軸支されるスイングアーム11の後端部には、車軸19によって後輪WRが回転自在に軸支されている。後輪WRの中央にはドラム式のブレーキ装置9が配設されており、ブレーキ装置9に取り付けられたブレーキアーム18が前方に揺動することで、ブレーキ装置9が作動するように構成されている。
【0027】
運転者が右足で操作するブレーキペダル30は、揺動軸22によって車体に揺動自在に軸支されるベース部材70に支持されている。本実施形態では、ブレーキペダル30を踏むことで第1ロッド20が牽引されてブレーキアーム18が揺動すると共に、ブレーキペダル30をかき上げることで第2ロッド21が牽引されてブレーキアーム18が揺動するように構成されている。
【0028】
図3は、ブレーキペダル30によってブレーキ装置9を作動させるための伝達機構の模式図である。ブレーキ装置9を作動させるためのブレーキアーム18は、揺動軸23によってブレーキ装置9に軸支されている。ブレーキアーム18には、第1ロッド20および第2ロッド21が連結されている。ブレーキペダル30は、揺動軸33によってベース部材70の前端部に軸支されており、ブレーキペダル30の前端部には車幅方向外側に突出する踏部31が取り付けられている。また、ブレーキペダル30の下部にはベース部材70の前端面に当接するストッパ32が形成されており、ブレーキペダル30の後端部には山型のカム34が形成されている。
【0029】
ベース部材70の前方寄りの位置には、上下方向に延出する入力部材40が揺動軸41によって揺動自在に軸支されている。入力部材40の下端部には、前後方向に延出する牽引部材50の前端部が揺動軸51によって軸支されている。ベース部材70の前後方向の略中央には、上下方向に延びる伝達アーム60の下端部が揺動軸61によって軸支されている。伝達アーム60には、牽引部材50の後端部が揺動軸52によって軸支されている。
【0030】
第1ロッド20の前端部は、ベース部材70に一体に形成された延長部71の上端部に支持されており、第2ロッド21の前端部は、伝達アーム60の上端部に支持されている。入力部材40、牽引部材50および伝達アーム60は、ベース部材70に支持されるリンク機構Lを構成する。ブレーキペダル30は、車幅方向右側のステップ13に載せた運転者の右の足Sで操作される。ブレーキペダル30をかき上げる動作は、踏部31の下方に挿入した足Sで踏部31を上方に持ち上げることで行われる。
【0031】
図4は、ブレーキペダル30を踏んだ際の伝達機構の動作を示す説明図である。ブレーキペダル30を踏んだ際には、ブレーキペダル30に形成されたストッパ32によって操作力がベース部材70に伝達され、揺動軸22を中心にしてベース部材70が図示時計方向に揺動する。これにより、ベース部材70の延長部71が第1ロッド20を牽引して、ブレーキ装置9が作動することとなる。
【0032】
図5は、ブレーキペダル30をかき上げた際の伝達機構の動作を示す説明図である。ブレーキペダル30をかき上げた際には、ベース部材70は揺動せず、ベース部材70に対してブレーキペダル30が図示反時計方向に揺動することでリンク機構Lが作動する。すなわち、ブレーキペダル30が図示反時計方向に揺動すると、入力部材40の上方寄りの前面がカム34に押圧されて入力部材40が図示反時計方向に揺動すると共に、牽引部材50が前方に牽引されて、伝達アーム60が前方に揺動する。これにより、第2ロッド21が牽引されて、ブレーキ装置9が作動することとなる。
【0033】
ブレーキアーム18には、バネ等によって初期位置に戻す方向の付勢力が加えられており、リンク機構Lにも初期位置に戻す方向の付勢力が加わっている。これにより、ブレーキペダル30は、カム34と入力部材40との接触部分がカム34の頂点を乗り越える所定角度まで上方にかき上げることで、上記した付勢力によって所定角度に保持されることとなる。その結果、ブレーキペダル30を足でかき上げるという単一の操作のみでパーキングブレーキを作動させることが可能となる。そして、パーキングブレーキがかかった状態から、上記した付勢力に抗する踏力でブレーキペダル30を踏むと、ブレーキペダル30が初期位置に戻ってパーキングブレーキが解除されることとなる。
【0034】
本実施形態では、リンク機構Lをベース部材70の前後寸法の間に配設することで、リンク機構Lの小型化を図ると共に、リンク機構Lが運転者の足Sと接触することを防いでいる。また、ベース部材70をブレーキペダル30より車幅方向内側に配設することで、ベース部材70が運転者の足Sに接触することを防いでいる。
【0035】
図6は、本実施形態の変形例に係る伝達機構の構成を示す模式図である。前記と同一符号は、前記と同一または同等部分を示す。前記した実施形態と異なる点は、構成部品の形状や配置のみであり、ブレーキペダル80を操作した際に通常ブレーキおよびパーキングブレーキが作動する原理は同様である。
【0036】
ベース部材95は、揺動軸99によって鞍乗型車両1の車体に軸支されている。揺動軸99の上方には、ベース部材95と一体の延長部89が設けられている。ベース部材95の前端部には、揺動軸83によってブレーキペダル80が軸支されている。ブレーキペダル80の前端部には踏部81が取り付けられており、後端部には山型のカム84が形成されている。ブレーキペダル80の下部には、ベース部材95を供回りさせるためのストッパ82が設けられている。
【0037】
揺動軸91によってベース部材95に軸支される入力部材90は、ブレーキペダル80の後方に配設されている。本実施形態では、第2ロッド21を牽引する伝達アーム97が、揺動軸98によってベース部材95の後端下部の位置に軸支されている。これにより、第2ロッド21の長さを短縮することを可能としている。リンク機構L1は、入力部材90と、伝達アーム97と、入力部材90および伝達アーム97を連結するリンクロッド96とによって構成される。
【0038】
運転者がブレーキペダル80を踏むと、ベース部材95が揺動軸99を中心に図示時計方向に揺動することで第1ロッド20が牽引され、通常ブレーキが作動する。一方、運転者がブレーキペダル80をかき上げると、ブレーキペダル80が反時計方向に揺動することでカム84が入力部材90を押圧して反時計方向に揺動させる。すると、リンクロッド96が前方に牽引されて伝達アーム97が前方に揺動し、第2ロッド21が牽引されてブレーキ装置9が作動する。これと同時に、カム84によってブレーキペダル80が所定角度に保持され、パーキングブレーキが作動することとなる。
【0039】
上記したように、本実施形態に係るパーキングブレーキ構造によれば、運転者がブレーキペダル30を踏むことでブレーキ装置9が通常ブレーキとして作動すると共に、ブレーキペダル30を上方にかき上げることで、ブレーキ装置9が作動すると共にブレーキペダル30が所定角度で保持されてパーキングブレーキが作動するので、パーキングブレーキを作動させるための専用の操作子を設けることなく、ブレーキペダルを足でかき上げるという単一の操作によってパーキングブレーキを作動させることが可能となる。これにより、ブレーキシステムの部品点数の増加を防ぐことができる。また、通常ブレーキを作動させる操作方向とパーキングブレーキを作動させる操作方向とが逆向きであるため、意図せずにパーキングブレーキを作動させる誤操作を防ぐことができる。
【0040】
なお、自動二輪車の形態、ブレーキ装置の構成、リンク機構の構成、リンク機構を構成する各部品の形状、ブレーキペダルの形状等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、ブレーキペダルを含む伝達機構を車体左側に設けたり、ディスク式のブレーキ装置を適用してもよい。本発明に係るパーキングブレーキ構造は、二輪車や三輪車等の鞍乗型車両に限られず、ブレーキペダルを有する種々の車両に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1…自動二輪車(鞍乗型車両)、9…ブレーキ装置、30…ブレーキペダル、34…カム、70…ベース部材、L…リンク機構