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特開2024-131129移動店舗の移動経路を探索する管理装置、移動店舗ロボット、プログラム及び方法
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  • 特開-移動店舗の移動経路を探索する管理装置、移動店舗ロボット、プログラム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131129
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】移動店舗の移動経路を探索する管理装置、移動店舗ロボット、プログラム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240920BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041217
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】神谷 尚保
(72)【発明者】
【氏名】稗圃 泰彦
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】販売力を向上させる移動経路を探索することができる管理装置,移動店舗ロボット,移動経路探索方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】管理装置は、経路区間毎に、当該移動店舗で販売する商品役務に応じた見込み利益額を算出するリアルコストマップ算出部と、経路区間毎の見込み利益額に基づいて、見込み利益額の総額が最も高くなる移動経路を探索する移動経路探索部と、経路区間毎に、見込み売上額を算出する見込み売上額算出部と、経路区間毎に、見込み費用額を算出する見込み費用額算出部と、を有する。リアルコストマップ算出部は、見込み売上額から見込み費用額を減算して、見込み利益額を算出し、見込み売上額算出部は、経路区間毎に、過去の属性別のユーザ数と購入履歴とに基づく関係によって、経路区間毎に、現在の属性別のユーザ数から購入を予測し、見込み売上額を算出する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動店舗の移動経路を探索する管理装置であって、
経路区間毎に、当該移動店舗で販売する商品役務に応じた見込み利益額を算出するリアルコストマップ算出手段と、
経路区間毎の見込み利益額に基づいて、見込み利益額の総額が最も高くなる移動経路を探索する移動経路探索手段と
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
経路区間毎に、見込み売上額を算出する見込み売上額算出手段と、
経路区間毎に、見込み費用額を算出する見込み費用額算出手段と
を更に有し、
リアルコストマップ算出部は、見込み売上額から見込み費用額を減算して、見込み利益額を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
移動区間毎にユーザの属性別に、ユーザ数を推計する属性別ユーザ数推計手段と、
ユーザが当該移動店舗で購入した履歴情報を保管する購入履歴データベースと
を有し、
見込み売上額算出手段は、経路区間毎に、過去の属性別のユーザ数と購入履歴とに基づいて、現在の属性別のユーザ数から見込み売上額を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
属性別ユーザ数推計手段は、不特定多数の人が所持する携帯端末の位置情報及び加入者属性から、属性別のユーザ数を推計する
ことを特徴とする請求項3に記載の管理装置。
【請求項5】
移動経路探索手段は、販売可能な商品役務から算出した上限売上額が、見込み売上額を超えている場合、上限売上額以上となる移動経路の中で見込み費用額が最も少なくなる移動経路を再探索する
ことを特徴とする請求項2に記載の管理装置。
【請求項6】
移動店舗の位置に応じた通信リソース割当量を算出する通信リソース割当量算出手段を更に有し、
見込み費用額算出手段は、通信リソース割当量が多いほど見込み費用額も増額するようにする
ことを特徴とする請求項2に記載の管理装置。
【請求項7】
見込み費用額算出手段は、経路区間内に位置する携帯端末の数が多いほど見込み費用額も増額するようにする
ことを特徴とする請求項6に記載の管理装置。
【請求項8】
通信リソース割当量算出手段は、移動店舗が移動中には通信リソース割当量を少なくし、移動店舗が駐車中には通信リソース割当量を多くするように、無線アクセスネットワークのネットワークスライシングを制御する
ことを特徴とする請求項6に記載の管理装置。
【請求項9】
当該管理装置は、移動店舗と無線基地局との間に通信リソースを割り当てる無線アクセスネットワークの通信リソース管理装置と通信可能であり、
通信リソース割当量算出手段は、
経路区間毎に、無線基地局と通信中の移動店舗におけるMCS(Modulation and Coding Scheme)を記録しており、
移動店舗が位置する経路区間における過去のMCSの値から、通信リソース割当量を算出する
ことを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項10】
前記移動経路探索手段は、属性別ユーザ数推計手段によって推計された移動区間毎の合計ユーザ数から経路区間毎の人口密度を算出し、人口密度が所定閾値以下となる経路区間以外の経路区間を移動経路として探索する
ことを特徴とする請求項3に記載の管理装置。
【請求項11】
移動店舗は、自走可能な移動店舗ロボットである
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項12】
移動経路を探索する自走可能な移動店舗ロボットであって、
経路区間毎に、当該移動店舗で販売する商品役務に応じた見込み利益額を算出するリアルコストマップ算出手段と、
経路区間毎の見込み利益額に基づいて、見込み利益額の総額が最も高くなる移動経路を探索する移動経路探索手段と
を有することを特徴とする移動店舗ロボット。
【請求項13】
移動店舗の移動経路を探索するようにコンピュータを機能させるプログラムであって、
経路区間毎に、当該移動店舗で販売する商品役務に応じた見込み利益額を算出するリアルコストマップ算出手段と、
経路区間毎の見込み利益額に基づいて、見込み利益額の総額が最も高くなる移動経路を探索する移動経路探索手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
移動店舗の移動経路を探索する装置の移動経路探索方法であって、
装置は、
経路区間毎に、当該移動店舗で販売する商品役務に応じた見込み利益額を算出する第1のステップと、
経路区間毎の見込み利益額に基づいて、見込み利益額の総額が最も高くなる移動経路を探索する第2のステップと
を実行することを特徴とする移動経路探索方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明によれば、移動体の移動経路を探索する技術に関する。移動体としては特に、ユーザへ商品役務を提供する移動店舗に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動店舗の運行計画を生成するシステムの技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、ユーザが、訪問を希望する移動店舗を訪問リクエストとしてサーバへ送信し、その移動店舗が所定位置に移動するべく制御される。
また、第1の移動店舗から、ユーザにおける商品役務の購入情報を取得し、第2移動店舗へ、そのユーザの購入情報を送信する技術もある(例えば特許文献2参照)。
更に、所定店舗の営業時間終了後、その所定店舗の商品を搭載した移動車両を、予め指定した販売場所に所定時間だけ駐車させて、商品を販売する技術もある(例えば特許文献3参照)。
【0003】
尚、他の従来技術として、ユーザが商品を購入する際の負担を軽減する移動店舗管理装置の技術もある(例えば特許文献4参照)。この技術によれば、所定の領域内の通路を自律走行して商品を販売する移動店舗を管理する管理装置について、オフィスにおいて在席中の在席ユーザの在席位置を示す在席情報を取得する在席情報取得部と、在席情報が示す在席位置に基づいて、移動店舗が通る巡回経路を決定する巡回経路決定部と、決定された巡回経路を、移動店舗に通知する経路通知部とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-139371号公報
【特許文献2】特開2020-119006号公報
【特許文献3】特表2020-126559号公報
【特許文献4】特開2022-093927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1~3によれば、移動店舗として車両を想定している。一方で、特許文献4によれば、移動店舗として移動ロボットを想定している。移動店舗として移動ロボットを活用した場合、ユーザ側の利点として、移動店舗へのアクセスの利便性を高めることが期待されている。この場合、車両と比較して積載量が限定されるものの、狭い空間を移動できる。また、移動店舗は、屋外の道路だけでなく、施設内(例えばオフィスのセキュリティゲートの前)の通路まで入り込むこともできる。
【0006】
これに対し、本願の発明者らは、商品役務の販売者側の利点として、移動店舗の販売力を向上させることも期待できないか、と考えた。即ち、移動店舗の販売力を向上させるように、移動経路を探索することはできないか、と考えた。
【0007】
そこで、本発明は、販売力を向上させる移動経路を探索することができる管理装置、移動店舗ロボット、プログラム及び方法を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、移動店舗の移動経路を探索する管理装置であって、
経路区間毎に、当該移動店舗で販売する商品役務に応じた見込み利益額を算出するリアルコストマップ算出手段と、
経路区間毎の見込み利益額に基づいて、見込み利益額の総額が最も高くなる移動経路を探索する移動経路探索手段と
を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
経路区間毎に、見込み売上額を算出する見込み売上額算出手段と、
経路区間毎に、見込み費用額を算出する見込み費用額算出手段と
を更に有し、
リアルコストマップ算出部は、見込み売上額から見込み費用額を減算して、見込み利益額を算出する
ことも好ましい。
【0010】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
移動区間毎にユーザの属性別に、ユーザ数を推計する属性別ユーザ数推計手段と、
ユーザが当該移動店舗で購入した履歴情報を保管する購入履歴データベースと
を有し、
見込み売上額算出手段は、経路区間毎に、過去の属性別のユーザ数と購入履歴とに基づいて、現在の属性別のユーザ数から見込み売上額を算出する
ことも好ましい。
【0011】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
属性別ユーザ数推計手段は、不特定多数の人が所持する携帯端末の位置情報及び加入者属性から、属性別のユーザ数を推計する
ことも好ましい。
【0012】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
移動経路探索手段は、販売可能な商品役務から算出した上限売上額が、見込み売上額を超えている場合、上限売上額以上となる移動経路の中で見込み費用額が最も少なくなる移動経路を再探索する
ことも好ましい。
【0013】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
移動店舗の位置に応じた通信リソース割当量を算出する通信リソース割当量算出手段を更に有し、
見込み費用額算出手段は、通信リソース割当量が多いほど見込み費用額も増額するようにする
ことも好ましい。
【0014】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
見込み費用額算出手段は、経路区間内に位置する携帯端末の数が多いほど見込み費用額も増額するようにする
ことも好ましい。
【0015】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
通信リソース割当量算出手段は、移動店舗が移動中には通信リソース割当量を少なくし、移動店舗が駐車中には通信リソース割当量を多くするように、無線アクセスネットワークのネットワークスライシングを制御する
ことも好ましい。
【0016】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
当該管理装置は、移動店舗と無線基地局との間に通信リソースを割り当てる無線アクセスネットワークの通信リソース管理装置と通信可能であり、
通信リソース割当量算出手段は、
経路区間毎に、無線基地局と通信中の移動店舗におけるMCS(Modulation and Coding Scheme)を記録しており、
移動店舗が位置する経路区間における過去のMCSの値から、通信リソース割当量を算出する
ことも好ましい。
【0017】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
移動経路探索手段は、属性別ユーザ数推計手段によって推計された移動区間毎の合計ユーザ数から経路区間毎の人口密度を算出し、人口密度が所定閾値以下となる経路区間以外の経路区間を移動経路として探索する
ことも好ましい。
【0018】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
移動店舗は、自走可能な移動店舗ロボットである
ことも好ましい。
【0019】
本発明によれば、移動経路を探索する自走可能な移動店舗ロボットであって、
経路区間毎に、当該移動店舗で販売する商品役務に応じた見込み利益額を算出するリアルコストマップ算出手段と、
経路区間毎の見込み利益額に基づいて、見込み利益額の総額が最も高くなる移動経路を探索する移動経路探索手段と
を有することを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、移動店舗の移動経路を探索するようにコンピュータを機能させるプログラムであって、
経路区間毎に、当該移動店舗で販売する商品役務に応じた見込み利益額を算出するリアルコストマップ算出手段と、
経路区間毎の見込み利益額に基づいて、見込み利益額の総額が最も高くなる移動経路を探索する移動経路探索手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、移動店舗の移動経路を探索する装置の移動経路探索方法であって、
装置は、
経路区間毎に、当該移動店舗で販売する商品役務に応じた見込み利益額を算出する第1のステップと、
経路区間毎の見込み利益額に基づいて、見込み利益額の総額が最も高くなる移動経路を探索する第2のステップと
を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の管理装置、移動店舗ロボット、プログラム及び方法によれば、販売力を向上させる移動経路を探索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明におけるシステム構成図である。
図2】本発明における移動店舗ロボットの機能構成図である。
図3】本発明における管理装置の機能構成図である。
図4】本発明における経路区間に応じた販売情報を表す説明図である。
図5】本発明における移動経路の制御を表す説明図である。
図6】本発明の管理装置におけるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明におけるシステム構成図である。
図1のシステムによれば、移動店舗1と、携帯端末2と、管理装置3と、通信リソース管理装置4とが、ネットワークを介して通信する。
【0026】
[移動店舗1]
移動店舗1は、ユーザに対して商品役務を販売するべく移動可能なものである。移動店舗1は、自走可能な移動店舗ロボット(スマートモビリティ)であるとして説明するが、勿論、人為的に移動させる車両店舗であってもよい。
尚、本発明が想定する経路は、一般車両が走行する道路であってもよいし、例えば施設内の通路であってもよい。不特定多数の第三者が行き来する経路であって、移動店舗1が通行及び駐車することができればよい。
【0027】
[携帯端末2]
携帯端末2は、経路周辺に位置する不特定多数の第三者によって所持されたものである。例えば人が外出時に持ち歩くスマートフォンであり、移動店舗1のサービスとは何ら関係ないものであってもよい。携帯端末2としては、例えば特定の通信キャリアと契約されており、位置情報の取得の合意が取れている全ての加入者を対象としていることが好ましい。
【0028】
[管理装置3]
管理装置3は、移動店舗の商品役務の販売が向上するように、見込み売上額が高くなる移動経路を探索することができる。移動店舗ロボットであれば、その移動経路に応じて自律的に走行させて、自動的に商品役務を販売させる。
また、管理装置3は、ネットワークを介して、移動店舗1へ移動経路を指示すると共に、各経路区間おける携帯端末2の滞在数も収集することができる。
尚、管理装置3による移動経路の探索技術を、パスプランニングを持つ移動店舗ロボット自体に組み込むこともできる。これによって、移動店舗ロボット単体で、完全に自律的に走行することもできる。
【0029】
[通信リソース管理装置4]
通信リソース管理装置4は、移動店舗1と無線基地局との間における無線アクセスネットワークの通信リソースを割り当てる。本発明によれば、管理装置3からの指示に応じて、移動店舗1と通信する基地局に対する通信リソースの割当てを制御する。この通信リソースの無線領域は、屋外に限られず、屋内であってもよいし、その両方で利用可能なものであってもよい。
【0030】
図2は、本発明における移動店舗ロボットの機能構成図である。
【0031】
図2によれば、移動店舗1は、商品搭載部101と、無線通信部102と、無線品質取得部103と、現在位置取得部104と、状態取得部105と、撮像部106と、経路情報格納部107と、収音部108と、対話処理部109と、動作計画部110と、動作制御部111と、購入処理部112と、購入表示部113とを有する。これら機能構成部は、移動店舗に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、移動店舗の制御方法としても理解できる。
【0032】
[商品搭載部101]
商品搭載部101は、商品を搭載するコンテナである。勿論、棚や箱であってもよいし、箱の開口部に扉が設けられていてもよい。また、積載した商品を保温又は保冷するものであってもよい。これら商品は、ユーザに対して人手で提供されるものであってもよいし、例えばアームロボットのような制御機器によって提供されるものであってもよい。
勿論、商品搭載部101は、役務(サービス)を提供するコンテナであってもよい。
【0033】
[無線通信部102]
無線通信部102は、基地局やアクセスポイントと通信するための無線通信モジュールである。これは、RAN(Radio Access Network)やインターネットを介して、管理装置3と通信する。
具体的には、無線通信部102は、現在実用化されている4G(第4世代移動通信システム)や5G(第5世代移動通信システム)、将来的な実用化が見込まれる6G(第6世代移動通信システム)等の無線通信方式に対応する基地局との間で、無線で通信する。
【0034】
[無線品質取得部103]
無線品質取得部103は、無線通信部102における無線品質を取得する。
【0035】
[現在位置取得部104]
現在位置取得部104は、屋外であれば、例えばGPS(Global Positioning System)によって測位する。屋内であれば、例えばIMES(Indoor MEssaging System)によって絶対位置を測位するものであってもよい。
【0036】
[状態取得部105]
状態取得部105は、移動店舗1に搭載された各種センサから、バッテリー残量、温度、移動速度のような状態データを取得する。
【0037】
[撮像部106]
撮像部106は、例えば移動店舗1の周辺を、撮像画像を取得するカメラである。例えば移動店舗1の進行方向前方を撮影するものであってもよい。
また、撮像部106は、カメラを移動させる移動機構を備えていてもよい。移動機構を制御して、進行方向前方に限られず、左右や上下を撮像することもできる。
【0038】
[経路情報格納部107]
経路情報格納部107は、管理装置3から受信した移動経路の情報を格納する。
【0039】
[収音部108]
収音部108は、移動店舗1の周囲の音を収音するマイクである。
【0040】
[対話処理部109]
対話処理部109は、ユーザと音声又はテキストで対話するものであり、ユーザに親近感を持たせ、その購買意欲を高めることができる。対話処理部109は、収音部108で収音したユーザの音声に対して、対話処理部109で生成した対話を音声で発話する。
【0041】
[動作計画部110]
動作計画部110は、移動店舗1における次の動作を計画する。
動作計画部110は、経路情報格納部107に格納された移動経路に沿って移動する際に、以下の情報を用いて、周囲の環境に合わせた動作を計画する。
・現在位置取得部104で取得した現在位置
・状態取得部105で取得した移動店舗1の状態
・撮像部106で取得した撮像画像
動作計画部110は、例えば前方に障害物がある場合、適切な移動速度で障害物を避けた経路を移動するように動作を計画する。
また、動作計画部110は、ユーザが商品を購入するために、以下の情報を検知した場合、移動店舗1を一時停止させる。
・撮像部106で取得した撮像画像によって、ユーザが手を挙げる又は近づいている
・収音部108で収音した音によって、ユーザの特定の発言を検知した
そして、動作計画部110は、商品搭載部101の扉を開いて、ユーザが商品を取り出せるように制御する。
【0042】
[動作制御部111]
動作制御部111は、動作計画部110で判断した動作を実行する。
動作制御部111は、移動店舗1を前進、後退、右左折させたり、停止させたりする。
また、動作制御部111は、カメラを移動させる移動機構を制御してカメラの向きを変更したり、商品搭載部101の棚の扉を開閉したりする。
【0043】
[購入処理部112]
購入処理部112は、商品役務の購入処理に向けて迅速に、ユーザの個人認証と商品特定を実行する。迅速に購入処理が完了することによって、単位時間あたりの売上額の増加を期待できると共に、ユーザの満足度を向上させることできる。
ユーザの個人認証としては、例えば、顔認証や指紋認証(例えば商品棚から商品を手に取る際)の情報を管理装置3へ送信して、購入者認証を実行する。また、移動店舗1に搭載されたICカードリーダやQRコード(登録商標)リーダを用いて、ユーザのICカードやスマートフォン等に表示されたQRコードからユーザ識別情報を読み取るものであってもよい。また、購入処理部112は、例えば、ユーザが手に取った商品の画像解析の情報を管理装置3へ送信し、商品を認識するものであってもよい。更に、移動店舗1に搭載されたRFIDリーダやバーコードリーダを用いて、商品に貼られたRFIDタグやバーコードの読み取りによって、商品を認識するものであってもよい。
【0044】
[購入表示部113]
購入表示部113は、管理装置3から決済完了を受信した際に、その旨をユーザに表示する。例えば、購入表示部113は、以下の情報を、ディスプレイに表示するものであってもよい。
・購入ユーザを示す情報(例えば登録名や会員番号)
・商品を示す情報(例えば商品名、商品の価格、商品の割引率)
・決済完了を示す情報(例えば音声又は効果音)
【0045】
図3は、本発明における管理装置の機能構成図である。
【0046】
管理装置3は、例えばクラウド上に存在するサーバであり、1つ以上の移動店舗1の移動経路を探索すると共に、様々な情報を管理する。
管理装置3は、運用監視部301と、位置・通信品質・電力消費量格納部302と、個人情報データベース303と、購入者認証部304と、商品情報データベース305と、商品認識部306と、決済部307と、購入履歴データベース308と、対話生成部309と、位置情報格納部310と、属性別ユーザ数推計部311と、見込み売上額算出部312と、総通信リソース使用量推計部313と、通信リソース割当量算出部314と、見込み費用額算出部315と、リアルコストマップ算出部316と、地図情報格納部317と、移動経路探索部318と、移動経路配信部319とを有する。これら機能構成部は、管理装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、移動店舗における移動経路探索方法としても理解できる。
【0047】
[運用監視部301]
運用監視部301は、1つ以上の移動店舗1の運用を監視する。運用監視部301は、移動店舗1毎のID(識別子)に紐付けて、リアルタイムに受信した位置情報、状態情報及び映像(画像を含む)を管理する。これら情報は、例えば1秒間隔で受信して更新されるものであってもよい。運用監視部301は、特に位置情報、状態情報及び映像を解析し、移動店舗1の障害発生を検知した際に、システム監視者に対して警報を発出する。
【0048】
[位置・通信品質・電力消費量格納部302]
位置・通信品質・電力消費量格納部302は、移動店舗1のID毎に、位置情報、無線通信品質情報、後述するMCS(Modulation and Coding Scheme)情報、及び、位置間の電力消費量情報を紐付けて蓄積する。
【0049】
[個人情報データベース303]
個人情報データベース303は、個人認証に必要な個人情報に加えて、属性情報も蓄積する。属性情報としては、例えば性別、年齢、家族構成などがある。また、商品役務の嗜好や、移動店舗1での購買の意欲の強弱についても蓄積することが好ましい。
【0050】
[購入者認証部304]
購入者認証部304は、購入者の個人認証を実行する。個人認証としては、例えば、撮像部106で撮像された購入者の顔画像と、個人情報データベース303に格納されている顔の特徴情報とを照合するものであってもよい。
【0051】
[商品情報データベース305]
商品情報データベース305は、移動店舗1によって提供される可能性がある商品役務の情報を蓄積する。例えば、商品ジャンル、商品名、商品の価格などの情報を蓄積する。また、商品の外観を示す外観データを含むことも好ましい。
【0052】
[商品認識部306]
商品認識部306は、ユーザが選択した(例えば手に取った)商品役務を特定する。例えば、撮像部106で撮像された商品画像と、商品情報データベース305に格納されている商品の外観データとを照合し、商品を特定するものであってもよい。
【0053】
[決済部307]
決済部307は、購入者認証部304が特定した購入ユーザを示す情報と、商品認識部306が特定した商品を示す情報とを取得し、決済処理を実行する。決済部307は、決済処理が完了した後、その旨を移動店舗1へ通知する。
【0054】
[購入履歴データベース308]
購入履歴データベース308は、ユーザが移動店舗1で購入した履歴情報を保管する。
購入履歴データベース308は、決済部307における決済処理が完了した後に、ユーザの購入ログを履歴情報として保管する。
【0055】
[対話生成部309]
対話生成部309は、ユーザの購買意欲を高めるために、ユーザに対する移動店舗1の対話を生成する。対話生成部309は、例えば、お勧め商品を紹介する対話や、ユーザが移動店舗1に注目をしてくれたことに対するお礼の対話を生成する。
【0056】
[位置情報格納部310]
位置情報格納部310は、携帯端末2の位置情報の履歴を保管する。例えば携帯端末2に搭載されたGPSの位置情報を、時刻と紐付けて保管する。
【0057】
[属性別ユーザ数推計部311]
属性別ユーザ数推計部311は、移動区間毎にユーザの属性別に、ユーザ数を推計する。
属性別ユーザ数推計部311は、具体的には、不特定多数の人が所持する携帯端末2の位置情報及び加入者属性から、属性別のユーザ数を推計する。
【0058】
属性別ユーザ数推計部311は、位置情報格納部310に保管された位置情報の履歴から、地図情報格納部317に格納された地図情報とのマップマッチングを実行し、道路及び屋内施設におけるユーザ数をカウントする。マップマッチングは、GPSによって得られた、誤差を含んでいる可能性のある位置情報を、地図情報を用いて道路上になるように補正する処理であり、カーナビなどで利用されている。
尚、単一時間あたりの移動平均量などに基づいて道路沿いの建物に滞在している移動端末2は、屋内にいると判定することが好ましい。また、移動平均量の大きさから、屋外にいる移動端末2の移動方法が、歩行であるか又は車両であるかを判定できることも好ましい。属性別ユーザ数推計部311は、例えば男女別、年代別、家族構成別、1ヶ月当たりのデータ利用料の区分別に、ユーザ数を推計する。
【0059】
ここで、移動店舗として、POS(Point of Sales:販売時点情報管理)を搭載した移動店舗ロボットを想定する。移動店舗ロボットは、一般道路を走行する車両と比較して、狭い空間を移動でき、歩行者道路のような屋外だけでなく、オフィスや施設の内部(セキュリティゲートの前)まで入り込むことができる。これによって、ユーザによる移動店舗1に対するアクセスの利便性が期待できる。
移動店舗ロボットが走行する経路区間には、オフィス、学校、マンション、商業系建物、ホテル、病院等が隣接し、その場所の属性の違いにより、利用者の年代や性別等の属性も異なる。即ち、ユーザ数が同じであっても、商品役務の購買率が大きく異なることが想定される。属性別ユーザ数推計部311は、移動店舗1が販売可能な移動区間毎に、各ユーザ属性のユーザ数を推計する。
【0060】
図4は、本発明における経路区間に応じた販売情報を表す説明図である。
図4によれば、属性別ユーザ数推計部311は、経路区間毎に、各ユーザ属性について、例えば以下のようにユーザ数を推計する。
経路区間51:道路
経路区間52:オフィスエリア
経路区間53:学校エリア
【0061】
[見込み売上額算出部312]
見込み売上額算出部312は、経路区間毎に、見込み売上額を算出する。
見込み売上額算出部312は、経路区間毎に、過去の属性別のユーザ数と購入履歴(過去の単価と購買率)とに基づいて、現在の属性別のユーザ数から見込み売上額を算出する。
(属性別)ユーザ数×(購買率×単価)=見込み売上高
これに限られず、教師有り機械学習エンジンを用いたものであってもよい。機械学習エンジンは、例えば経路区間毎に、過去の属性別のユーザ数を説明変数とし、その過去の売上高を目的変数として訓練する。そして、現在の属性別のユーザ数を入力することによって、見込み売上高を予測することができる。
【0062】
見込み売上額算出部312は、属性別ユーザ数推計部311における経路区間(場所属性)毎のユーザ数と、その経路区間における購入履歴データベース308に格納されている購入履歴の属性情報とを分析する。これによって、ユーザ属性別に、ユーザ数と積載商品、売上額との関係性を推測し、見込み売上額を算出する。
また、見込み売上額算出部312は、曜日別、時間帯別に、属性別のユーザ数と、売上額との関係性の推測結果を区分し、移動店舗1を稼働させる曜日、時間帯に合わせた見込み売上額を算出してもよい。
更に、見込み売上額算出部312は、購買待ち時間を、見込み売上額の算出に活用してもよい。購買待ち時間が長くなり過ぎると、利用意欲が低下することが想定されるためである。購買待ち時間の算出は、例えば、対象のユーザが移動店舗1の待ち行列に並んでから、購買処理が完了するまでの時間を計測するものであってもよい。
【0063】
前述した図4によれば、ある時間帯について、経路区間(道路51、オフィスエリア52、学校エリア53)毎に、見込み売上額を算出している。例えばSMSで流行しているお菓子が、移動店舗1に積載されている場合、10代女性の購買率(購入人数÷ユーザ数×100)が、他の属性ユーザと比較して著しく高くなっている。この場合、学校エリア53で推計される10代女性のユーザ数900人の見込み売上が27,000円となり、売上額の多くを占めることが想定される。このように、経路区間に分割することで、ユーザ属性別に、より正確な見込み売上額の算出が期待できる。
【0064】
[総通信リソース使用量推計部313]
総通信リソース使用量推計部313は、基地局毎の総通信リソース使用量を推計する。
【0065】
[通信リソース割当量算出部314]
通信リソース割当量算出部314は、移動店舗1の位置に応じた通信リソース割当量を算出する。
【0066】
例えば、移動店舗1が走行中である場合、移動店舗1から管理装置3へ、運用監視のための位置情報や状態情報が送信されるが、比較的少量の通信リソースしか必要としない。一方で、移動店舗1が購買処理中である場合、移動店舗1から管理装置3へ、購入者認証や商品認識の高解像度画像が送信されるため、比較的大量の通信リソースが必要となる。
また、移動店舗1の無線通信品質が悪い場合は、伝送品質を確保するべく、多くの通信リソースを必要とする。これは、無線通信品質が悪いほど、周波数利用効率(1Hzあたりに伝送できる情報ビット数)が低くなるためである。
【0067】
通信リソース割当量算出部314は、経路区間毎に、無線基地局と通信中の移動店舗におけるMCS(Modulation and Coding Scheme)を記録するものであってもよい。また、移動店舗が位置する経路区間における過去のMCSの値から、通信リソース割当量を算出するものであってもよい。
周波数利用効率は、変調方式と符号化率の組み合わせで定義されるMCSによって表される。位置・通信品質・電力消費量格納部302が、無線通信品質に紐づけて、MCSも格納しておく。これによって、移動店舗1の行動や無線通信品質に応じて、必要な通信リソース割当量を算出することが可能となる。
【0068】
また、通信リソース割当量算出部314は、総通信リソース使用量推計部313で推計した基地局毎の総通信リソース使用量によっては、基地局で割当可能な通信リソースが足りずに、所望の通信リソースの全てを割当てることができず、伝送品質が悪化することがある。伝送品質の悪化は、各ユーザの購買処理における所要時間の増加に繋がり、購買待ち時間の増加にも繋がる。
【0069】
例えば、以下のように最大スループット値を見込むこともできる。
MCS28の周波数利用効率=5.5547
システム帯域幅:100MHz
UPlink率:40%
データ送信に使用可能な無線リソース割合:97%
オーバーヘッド:14%
最大スループット値=5.5547×100M×0.4×0.97×(1-0.14)
=約185Mbps
この条件で、移動店舗1以外のUPlink通信で180Mbpsが見込まれるとすると、移動店舗1に割り当てられる通信リソース割当量は、5Mbpsとなる。その場合、例えば運用監視に必要な通信リソース割当量が1Mbps、購買処理に必要な通信リソース割当量が30Mbpsとすると、購入処理に必要な通信リソースを割り当てることができず、購買処理における所要時間の増加に繋がる。
【0070】
これに対して、通信リソース割当量算出部314は、移動店舗1が移動中には通信リソース割当量を少なくし、移動店舗1が駐車中には通信リソース割当量を多くするように、無線アクセスネットワークのネットワークスライシングを制御する。
ネットワークスライシングとは、ネットワークを仮想的に分割するものであって、ここでは、移動店舗1の移動中のスライスと、駐車中のスライスとを異なるものに設定する。
【0071】
[見込み費用額算出部315]
見込み費用額算出部315は、経路区間毎に、見込み費用額を算出する。
見込み費用額算出部315は、経路区間(移動店舗1が販売可能な場所を含む)毎に、その経路区間を移動店舗1が通過し、移動店舗1が商品役務を販売する際に見込まれる費用を算出する。
【0072】
見込み費用額算出部315は、例えば、位置・通信品質・電力消費量格納部302に格納されている電力消費量の履歴データに基づいて、電気料金を費用として算出する。また、電力消費量は、位置・通信品質・電力消費量格納部302に格納されている各位置間の勾配に応じて算出してもよい。この際、上りと下りの勾配では電力消費量が異なるため、各位置間の移動方向毎に、電力消費量を算出するものであってもよい。更に、時間帯によって電気料金が異なることもあるので、時間帯によって見込み費用額を算出するものであってもよい。
【0073】
また、見込み費用額算出部315は、通信リソース割当量が多いほど見込み費用額も増額するようにするものであってもよい。
これは、通信リソース割当量算出部314で算出した通信リソースを確保するために見込まれるネットワーク制御コストを、見込み費用額としたものである。ここで、ネットワーク制御コストは、ネットワークスライシングで帯域を確保する際の要求条件とデータサイズとしてもよい。見込み費用額算出部315は、例えば、通信リソース割当量算出部314で、特段の処理を行わなくても、要求条件(例えば、スループット)を満たす通信リソース割当が可能な場合、ネットワーク制御コストをゼロと仮定する。一方で、MCSを向上させるために基地局のビームフォーミング制御を行ったり、ネットワーク経路制御を行ったりと、特段の処理が必要な場合は、その処理に必要なネットワーク制御コストを仮定し、活用してもよい。
【0074】
更に、見込み費用額算出部315は、経路区間内に位置する携帯端末の数が多いほど見込み費用額も増額するようにするものであってもよい。
【0075】
[リアルコストマップ算出部316]
リアルコストマップ算出部316は、経路区間毎に、当該移動店舗で販売する商品役務に応じた見込み利益額を算出する。これは、本発明の本質的な機能部である。
具体的には、リアルコストマップ算出部316は、経路区間毎に見込み売上額算出部312で算出した見込み売上額から、見込み費用額算出部315で算出した見込み費用額を減算して、見込み利益額を算出するものであってもよい。
見込み利益額=見込み売上額-見込み費用額
【0076】
ここで、単純には、移動店舗1は、人が多い経路区間を通行するほど、見込み売上額が高くなることが想定される。しかしながら、屋内にいる人や自動車や電車に乗っている人は、移動店舗1を利用する期待が薄い。そのため、属性別ユーザ数推計部311で歩行中の人のみを、購入の見込みがあるユーザとして抽出することが好ましい。
また、多量のデータ通信を行う人が多いほど、ネットワーク制御コストも高くなる。そのために、移動店舗1の利用意欲が高い人が多く、それ以外の人が少ない道路が、利益を生む道路として捉えることができる。
【0077】
[地図情報格納部317]
地図情報格納部317は、移動店舗1が走行する可能性がある経路の地図情報を、地図データとして格納する。
地図データは、例えば、分岐点をノードとして複数の部分に分割し、各ノード間の部分をリンク(経路区間)として規定したリンクデータとして与えられる。このリンクデータは、リンク固有のリンクID(識別子)、リンク長、リンクの始点・終点(ノード)の位置情報、角度(方向)データ、通路幅、通路種別などのデータから構成される。
【0078】
[移動経路探索部318]
移動経路探索部318は、リアルコストマップ算出部316によって算出された経路区間毎の見込み利益額に基づいて、見込み利益額の総額が最も高くなる移動経路を探索する。これも、本発明の本質的な機能部である。
【0079】
移動経路の探索は、以下の2つのパターンがある。
・目的地を定める移動経路の探索
・目的地を定めない移動経路の探索
目的地を定める移動経路の探索では、例えば、指定の公園で一定時間停車して移動店舗1で販売するような場合、目的地が決まっており、その目的地に到着するまでの移動中にも移動店舗1で販売することを想定し、最も利益が見込める移動経路を探索できるようにする。
目的地を定めない移動経路の探索では、例えば、指定した販売時間(例:3時間)で最も利益が見込める移動経路を探索できるようにする。
【0080】
尚、移動経路探索部318は、始点と終点とを結ぶ最短距離となる移動経路について、例えばダイクストラ法(Dijkstra's algorithm)のようなグラフベースのアルゴリズムを適用することもできる。これは、グラフ理論における辺の重み(見込み利益額)から単一始点最短経路問題を解くための最良優先探索によるアルゴリズムである。
【0081】
図5は、本発明における移動経路の制御を表す説明図である。
【0082】
図5(a)は、目的地を定める移動経路の探索を表す。
図5(a)によれば、出発地Aから目的地Fまでに、最も利益が見込める移動経路を探索する。各経路区間の販売情報として、リアルコストマップ算出部316による見込み利益額が算出されている。ここで、最も利益が見込める移動経路として、A->B->C->Fの移動経路が探索されている。尚、移動区間毎の移動時間及び購入処理時間を考慮し、目的地に指定の時間までに到着できない経路は除外することも好ましい。
【0083】
図5(b)は、目的地を定めない移動経路の探索を表す。
図5(b)によれば、単純化のために全ての移動区間について、移動時間と購入処理時間を合計して20分の時間が見込まれるとする。例えば、1時間で最も利益が見込める移動経路を探索した場合、A->B->C->Aの移動経路が探索されている。
尚、移動経路の探索にあたり、同じ道路を何度か通過するようにしてもよい。この場合、同じ道路に対する通過回数によって、利益の減少が想定されるため、通過回数による利益の減少を反映させた上で移動経路を探索することも好ましい。
【0084】
また、移動経路探索部318は、移動区間毎の見込み利益額と、リアルタイムの実績利益額とを比較することにより、移動経路を変更してもよい。
【0085】
更に、移動経路探索部318は、移動区間毎の見込み利益額を固定値でなく、確率的な要素を持たせたものであってもよい。例えば、低確率で高い利益が見込める移動区間と、高確率でほどほどの利益が見込める移動区間とがあった際に、実績値との比較によって確率の値を判断することで、どちらの移動経路を選択するか判断してもよい。
【0086】
更に、移動経路探索部318は、天候の影響を考慮し、天候によって移動経路を変更してもよい。
【0087】
更に、移動経路探索部318は、特定の移動区間に待機して、別の移動区間の通過をあえて遅らせるようにしてもよい。これは、特定の時間帯にある移動区間での利益が大きく上昇する傾向がある際に、その時間帯に対象移動区間を通過できるようにするためである。
【0088】
更に、移動経路探索部318は、経路探索について何らかの制約を設けさせてもよい。
移動経路探索部318は、属性別ユーザ数推計部311によって推計された移動区間毎の合計ユーザ数から経路区間毎の人口密度を算出し、人口密度が所定閾値以下となる経路区間以外の経路区間を移動経路として探索するものであってもよい。例えば、感染症が蔓延化した場合、移動店舗1の近くに人が集まることにより、密な環境が形成されることが懸念されるためである。
【0089】
移動経路探索部318は、販売可能な商品役務から算出した上限売上額が、見込み売上額を超えている場合、上限売上額以上となる移動経路の中で見込み費用額が最も少なくなる移動経路を再探索するものであってもよい。
移動店舗ロボットの場合、車両と比較して積載量が大きく限定されるため、経路の移動中に商品等の在庫切れとなる場合がある。この場合、売り上げの上限に達し、それ以上は移動を続けても利益が出ずに、移動に係る電気代等の費用だけが膨らんでいくこととなる。
【0090】
図5(c)は、図5(a)の目的地を定める移動経路について、上限売上額を考慮した経路探索を表す。
ここで、上限売上額を2万円とすると、最も利益が見込める移動経路であるA->B->C->Fは、売上合計が2万9千円となり、上限売上額を超えている。
また、A->B->C->Fの移動経路における費用は、3千円となる。
そこで、この場合、上限売上額の2万円を超えた2万2千円であり、費用が2千円と少ない、A->C->Fの移動経路が再探索される。
【0091】
[移動経路配信部319]
移動経路配信部319は、移動経路探索部318で探索した移動経路データを移動店舗1へ送信する。
また、移動経路配信部319は、移動経路データを、アプリ等でユーザに対して公開してもよい。移動経路データを公開することによって、移動店舗1がこれからどこを移動する予定かを、ユーザが把握できるようになり、購入の促進が期待できる。この際、移動経路だけでなく、移動店舗1の搭載商品や在庫についても公開してもよい。また、ユーザが移動経路データを見ながら、時間帯及び経路区間を指定して、購入希望の意思表示ができるようにしてもよい。この意思表示により、例えば、対象の時間帯にその経路区間を走行できるように、移動店舗1の移動速度を調整することも好ましい。
【0092】
図6は、本発明の管理装置におけるフローチャートである。
【0093】
図6によれば、リアルコストマップ算出部316を用いた移動経路探索部318の処理の流れを表す。
(S11)最初に、移動店舗ロボット1の出発地を取得する。出発地は、例えば移動店舗ロボット1に商品を積載する地点であるとする。
(S12)次に、予約されている移動店舗ロボット1の移動経路について、目的地を定める移動経路の探索であるか否かを判定する。
(S13)目的地を定める移動経路の探索である場合、移動店舗ロボット1の目的地を取得し、S15へ移行する。
(S14)目的地を定めない移動経路の探索である場合、移動店舗1の販売時間を取得し、S15へ移行する。
(S15)見込み利益額の総額が最も高くなる移動経路を探索する。
(S16)探索した移動経路における見込み売上額が、上限売上額を超えているか否かを判定する。
(S17)S16で偽(上限売上額を超えていない)と判定された場合、S18へ移行する。S16で真(上限売上額を超えている)と判定された場合、上限売上額以上で最も見込み費用額が少ない移動経路を再探索し、S18へ移行する。
(S18)探索した移動経路を、移動店舗ロボット1へ通知する。
(S19)リアルコストマップ算出部316は、コストマップの変化があるか否かを監視し続ける。コストマップの変化とは、例えば、天候変化やリアルタイムの実績利益額との比較による移動経路毎の見込み利益額の変更である。
(S20)コストマップの変化があった場合は、移動経路を再探索する。
(S21)そして、移動経路配信部319は、再探索した移動経路を、移動店舗ロボット1へ通知する。
S19~S21の処理を、目的地に到着するまで又は販売時間終了まで、繰り返す。
【0094】
以上、詳細に説明したように、本発明の管理装置、移動店舗ロボット、プログラム及び方法によれば、販売力を向上させる移動経路を探索することができる。
【0095】
尚、これにより、例えば「移動店舗は、販売力を向上させる移動経路を探索することができる」ことから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0096】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0097】
1 移動店舗
101 商品搭載部
102 無線通信部
103 無線品質取得部
104 現在位置取得部
105 状態取得部
106 撮像部
107 経路情報格納部
108 収音部
109 対話処理部
110 動作計画部
111 動作制御部
112 購入処理部
113 購入表示部
2 携帯端末
3 管理装置
301 運用監視部
302 位置・通信品質・電力消費量格納部
303 個人情報データベース
304 購入者認証部
305 商品情報データベース
306 商品認識部
307 決済部
308 購入履歴データベース
309 対話生成部
310 位置情報格納部
311 属性別ユーザ数推計部
312 見込み売上額算出部
313 総通信リソース使用量推計部
314 通信リソース割当量算出部
315 見込み費用額算出部
316 リアルコストマップ算出部
317 地図情報格納部
318 移動経路探索部
319 移動経路配信部
4 通信リソース管理装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6