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  • 特開-ステアリングホイールの革巻き方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013113
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】ステアリングホイールの革巻き方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/04 20060101AFI20240124BHJP
   B68F 1/00 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B62D1/04
B68F1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115064
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】江川 聖二
【テーマコード(参考)】
3D030
4F056
【Fターム(参考)】
3D030CA02
3D030DA26
3D030DB83
4F056DD27
4F056DD29
4F056DD48
(57)【要約】
【課題】ステアリングホイールの操舵部に被覆された天然皮革に熱風を当てて皺を延ばす工程に要する時間の短縮化を図ることができるステアリングホイールの革巻き方法を提供する。
【解決手段】ステアリングホイール10の革巻き方法は、操舵部に巻かれる環状の天然皮革である皮革1cを温度が60℃未満、相対湿度が80%以上の加湿室43に所定の時間置くことにより加湿する加湿工程と、加湿された皮革1cを操舵部に巻き付け、巻き付けた皮革1cの端部同士を縫合することにより操舵部を皮革1cで被覆する被覆工程と、操舵部に被覆された皮革1cに100℃以上の熱風を当てることにより皮革1cの皺を延ばす皺取り工程を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者に把持され、操舵中心軸を中心に回転操舵される操舵部を有するステアリングホイールの革巻き方法において、
前記操舵部に巻かれる環状の天然皮革を温度が60℃未満、相対湿度が80%以上の空間に所定の時間置くことにより加湿する加湿工程と、
加湿された前記天然皮革を前記操舵部に巻き付け、巻き付けた前記天然皮革の端部同士を縫合することにより前記操舵部を前記天然皮革で被覆する被覆工程と、
前記操舵部に被覆された前記天然皮革に100℃以上の熱風を当てることにより前記天然皮革の皺を延ばす皺取り工程と、
を含むことを特徴するステアリングホイールの革巻き方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるステアリングホイールの革巻き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載されるステアリングホイールにおいて、運転者に把持されて回転操舵される操舵部に天然皮革を巻くことにより意匠性を高める構成が広く知られている。また、特許文献1では、ステアリングホイールの操舵部を天然皮革で被覆した後、天然皮革に熱風を当てて天然皮革の皺を延ばす構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-215206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成のように、ステアリングホイールの操舵部に被覆された天然皮革に熱風を当てて皺を延ばす場合、熱風を当てる時間をなるべく短縮した方が、天然皮革が熱のダメージを受けにくく、また製品完成までの時間が短くなって生産性が向上する。
【0005】
そこで本発明は、ステアリングホイールの操舵部に被覆された天然皮革に熱風を当てて皺を延ばす工程に要する時間の短縮化を図ることができるステアリングホイールの革巻き方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明に係るステアリングホイールの革巻き方法の代表的な構成は、運転者に把持され、操舵中心軸を中心に回転操舵される操舵部を有するステアリングホイールの革巻き方法において、前記操舵部に巻かれる環状の天然皮革を温度が60℃未満、相対湿度が80%以上の空間に所定の時間置くことにより加湿する加湿工程と、加湿された前記天然皮革を前記操舵部に巻き付け、巻き付けた前記天然皮革の端部同士を縫合することにより前記操舵部を前記天然皮革で被覆する被覆工程と、前記操舵部に被覆された前記天然皮革に100℃以上の熱風を当てることにより前記天然皮革の皺を延ばす皺取り工程と、を含むことを特徴する。
【0007】
本発明によれば、天然皮革を操舵部に巻き付けて端部同士を縫合することにより操舵部を天然皮革で被覆する被覆工程と、操舵部に被覆された天然皮革に熱風を当てて天然皮革の皺を延ばす皺取り工程の前に、天然皮革を加湿する加湿工程を行う。天然皮革は、加湿することにより膨張するため、加湿工程を経て膨張した天然皮革で操舵部を被覆することにより、加湿工程を経ていない天然皮革で操舵部を被覆するよりも小形の天然皮革で操舵部を被覆することができる。小形の天然皮革で操舵部を被覆することにより、天然皮革の皺の原因となる被覆工程後の天然皮革の余剰分が少なくなる。この結果、皺取り工程において天然皮革の皺が延ばしやすくなり、皺取り工程に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0008】
また、天然皮革は、皮革とする動物が同一種であっても皮膚の硬さには個体差があり、同一個体であっても頭部や腹部等の部位によって硬さにばらつきがある。さらに天然皮革は、60℃以上の温度で加熱される場合、天然皮革に含まれるタンパク質が変性して硬化しやすくなる。本発明によれば、加湿工程において、温度が60℃未満、相対湿度が80%以上の空間で天然皮革を加湿する。これにより天然皮革が全体的に軟化して硬さのばらつきが小さくなり、被覆工程における縫合作業の作業性や、皺取り工程における天然皮革の皺延ばし作業の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るステアリングホイールの平面図である。
図2】ステアリングホイールの操舵部を図1に示すA-A断面で切断した断面図である。
図3】皮革を構成する四つの分割材の展開平面図である。
図4】皮革を加湿する加湿装置の正面概略図である。
図5】ステアリングホイールの加湿工程後の革巻き方法を順に示す斜視図である。
図6】ステアリングホイールの加湿工程後の革巻き方法を順に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係るステアリングホイール10について説明する。ステアリングホイール10は、不図示の車両に搭載されている。なお、以下の説明において、特定的な記載がない限り、上下方向は不図示のステアリングシャフトの軸方向に沿った上下方向を意味し、前後方向は車両の直進操舵時のステアリングシャフトの軸方向と直交する前後方向を意味し、左右方向は車両の直進操舵時のステアリングシャフトの軸方向と直交する左右方向を意味する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るステアリングホイール10の平面図である。なお、図1では、内部構成を見やすくするために、アッパカバー3xを透明化して外形線のみを二点鎖線で示している。図2は、ステアリングホイール10の操舵部1を図1に示すA-A断面で切断した断面図である。
【0012】
図1に示す様に、ステアリングホイール10は、円環状の操舵部1と、操舵部1の内側に配置され、操舵軸としての不図示のステアリングシャフトに連結されるボス部2と、操舵部1とボス部2とを連結するスポーク部3を備える。また、ステアリングホイール10の下面側には、不図示のロアカバーが設けられている。
【0013】
操舵部1は、運転者によって把持され、ボス部2に連結されたステアリングシャフトを中心として回転操舵される。これにより車両の進行方向が変更される。図2に示す様に、操舵部1は、アルミニウム合金等の金属製の芯材1aと、芯材1aを被覆するポリウレタン等の合成樹脂で形成された中間材1bと、中間材1bの外周部に巻かれた牛などの動物の皮膚を原材料とした天然皮革である皮革1cから構成されている。皮革1cは、操舵部1の周方向に四つに分割された分割材1c1、1c2、1c3、1c4が縫合や接着等によって環状に連結されて形成されている。
【0014】
ボス部2は、操舵部1の中心に配置され、不図示のステアリングシャフトに連結される金属製の部材である。ボス部2は、ステアリングシャフトが挿通される軸穴2aを有し、軸穴2aにステアリングシャフトの先端部が挿通されて嵌合した状態で、ステアリングシャフトの先端部がナット止めされることにより、ボス部2とステアリングシャフトとが連結される。また、ボス部2は、金属製の芯材2bと一体成型されている。
【0015】
なお、本実施形態では、操舵部1の芯材1a、ボス部2の芯材2b、及び、後述するスポーク部3の芯材3a1、3b1、3c1はダイキャスト加工により一体成型されており、これにより操舵部1、ボス部2、及びスポーク部3が連結されている。しかし、操舵部1の芯材1a、ボス部2の芯材2b、及び、スポーク部3の芯材3a1、3b1、3c1を別々に形成し、これらを溶接等によって連結させる構成としてもよい。
【0016】
スポーク部3は、ボス部2から左右両側にそれぞれ延びるスポーク部3a、3bと、ボス部2から後側に延びるスポーク部3cで構成されている。スポーク部3a、3bは、操舵部1の芯材1aとボス部2の芯材2bとを繋ぐように左右両側にそれぞれ延びる金属製の芯材3a1、3b1を有する。スポーク部3cは、ボス部2の芯材2bから後側に延び、左右に分岐しつつ操舵部1の芯材1aに繋がる金属製の芯材3c1を有する。また、スポーク部3a、3b、3cは、芯材3a1、3b1、3c1を覆う樹脂製のアッパカバー3xを有する。
【0017】
次に、操舵部1の皮革1cの革巻き方法について説明する。図3は、皮革1cを構成する四つの分割材1c1~1c4の展開平面図である。図4は、皮革1cを加湿する加湿装置40の正面概略図である。図5図6は、ステアリングホイール10の加湿工程後の革巻き方法を順に示す斜視図である。なお、図5図6は、操舵部1の一部を切り出して図示している。
【0018】
図3に示す様に、分割材1c1は略長方形状に裁断された天然皮革であり、他の分割材1c2~1c4は略十字形状に裁断された天然皮革である。分割材1c1の長手方向の端部1c1b、1c1dは、隣接する分割材1c2、1c4の長手方向の端部1c2a、1c4aに接着や縫合等によりそれぞれ連結される。分割材1c3の長手方向の端部1c3b、1c3dは、隣接する分割材1c2、1c4の長手方向の端部1c2c、1c4cに接着や縫合等によりそれぞれ連結される。このように四枚の分割材1c1~1c4の長手方向の端部同士が連結されることにより環状の皮革1cが形成される。
【0019】
また、後述する被覆工程において、分割材1c1の短手方向の端部1c1a、1c1c同士は縫合されて連結される。同様に、分割材1c2の短手方向の端部1c2b、1c2d同士、分割材1c3の短手方向の端部1c3a、1c3c同士、及び分割材1c4の短手方向の端部1c4b、1c4d同士も縫合されて連結される。なお、分割材1c2の端部1c2b、1c2dにおいて他の部分より突出した突出部1c2b1、1c2d1は、スポーク部3の芯材3b1に干渉して密着させられないため、縫合せずに中間材1bのボス部2側の端面にそれぞれ接着される。同様の理由で、分割材1c3の端部1c3a、1c3cにおいて他の部分より突出した突出部1c3a1、1c3c1、分割材1c4の端部1c4b、1c4dにおいて他の部分より突出した突出部1c4b1、1c4d1も、中間材1bのボス部2側の端面にそれぞれ接着される。
【0020】
次に、環状の皮革1cは、図4に示す加湿装置40によって加湿される。この加湿装置40は、皮革1cを加湿するための加湿室43を有する。加湿室43は、筐体41と筐体41の前面側に設けられた透明の耐熱ガラスで構成されたガラス扉42によって密閉された空間である。加湿室43の内部には、皮革1cを引っ掛けて支持させる三つの支持棒44と、蒸気を排出する二つの蒸気排出部45と、温度センサ47が設けられている。また、加湿装置40は、水などの液体を入れるタンク46と、タンク46内の液体を加熱する不図示のヒータを有する。
【0021】
ステアリングホイール10の革巻きを行う作業者は、加湿装置40の使用に際し、まずガラス扉42の取手42aを手で掴んでガラス扉42を開き、三つの支持棒44に三つの皮革1cをそれぞれ引っ掛けた後にガラス扉42を閉じる。次に、作業者は、加湿装置40の不図示の操作部を操作し、加湿室43の温度と加湿時間を設定してヒータを稼働させる。このとき、作業者は、皮革1cに含まれるタンパク質が変性して硬化することを抑制するために、加湿室43の温度を60℃未満に設定する。これによりヒータを制御する不図示の制御部は、設定された加湿時間の間、ヒータを稼働させるとともに、加湿室43内の温度センサ47の検出温度が作業者によって設定された温度となるようにヒータのオン、オフを制御する。この結果、タンク46内の液体がヒータで加熱されて気化して蒸気として蒸気排出部45から排出され、加湿室43の温度が作業者によって設定された温度まで上がり、相対湿度が80%~100%まで上がり、加湿室43の内部に置かれた皮革1cが加湿される。つまり環状の皮革1cは、加湿工程において、人工的に作り出した温度が60℃未満、相対湿度が80%~100%の空間である加湿室43内に所定の時間置かれることにより加湿される。なお、加湿室43の湿度は作業性を向上させるためには100%が好ましい。
【0022】
本実施形態では、タンク46内の液体は水であるため、蒸気排出部45からは水蒸気が排出される。また、加湿室43の温度は40℃、加湿時間は60分に設定される。これにより加湿工程前の自然状態の8%程度の皮革1cの含水率は、加湿工程後に10%~30%程度となり、皮革1cの体積は2%程度膨張する。このように皮革1cは、加湿工程において水分を含んで体積膨張するため、分割材1c1~1c4の裁断段階において、この皮革1cの体積膨張を考慮して、加湿工程を行わない場合よりも2%程度小さい寸法で分割材1c1~1c4を裁断する。なお、皮革1cに水分を含ませるために皮革1cを液体にそのまま漬けることも考え得るものの、この場合には皮革1cの含水率が高くなり過ぎてしまい、皮革1cにカビが発生しやすく、中間材1bに対する接着性も低下するため、加湿装置40を用いて皮革1cを加湿している。また、皮革1cの含水率は、Otto Specht社のレーザ水分計を用いて測定した。
【0023】
次に、図5Aに示す様に、加湿工程を経て膨張した皮革1cは、接着剤が塗布された中間材1bの外周部に巻き付ける。この時、作業者は、皮革1cの幅方向(短手方向)の端部1c1v、1c1w同士が近接するように皮革1cを引っ張りながら巻き付ける。その後、図5Bに示す様に、皮革1cの端部1c1v、1c1w同士は、操舵部1の内周側(ボス部2側)の位置において、ポリエステル等で構成された二本の縫合糸91、92によって縫合される。この縫合の方法は限定されないものの、本実施形態では次のように行われる。
【0024】
まず作業者は、縫合糸91が取り付けられた縫い針95を皮革1cの端部1c1vの表面から裏面まで貫通させると共に、縫合糸92が取り付けられた縫い針96を皮革1cの端部1c1wの表面から裏面まで貫通させる。次に、作業者は、縫合糸91、92が相互に掛かり合うように縫い針95、96を交差させる。その後、作業者は、端部1c1vにおける縫い針95を前回貫通させた位置と隣接した位置で縫い針95を表面から裏面まで貫通させると共に、端部1c1wにおける縫い針96を前回貫通させた位置と隣接した位置で縫い針96を表面から裏面まで貫通させる。作業者は、この工程を繰り返すことによって皮革1cの端部1c1v、1c1w同士を縫合する。
【0025】
このように皮革1cの端部1c1v、1c1w同士が縫合されることにより、図6Aに示す様に、操舵部1が皮革1cによって被覆される。ここで操舵部1が皮革1cに被覆される過程で、皮革1cの余剰分が皺99となって皮革1cの表面に現れる。そこでステアリングホイール10の見栄えを良好とするため、皮革1cの革巻きの最終工程として、皮革1cの皺99を延ばす皺取り工程が実施される。具体的には、図6Bに示す様に、作業者は、加熱装置85の吹出し口85aから排出された100℃以上(本実施形態では250℃)の熱風を皮革1cの皺99の周囲に当てるとともに、皺99が延びる方向に皮革1cを指で引っ張る。これにより皮革1cに含まれる水分が蒸発して皮革1cが収縮し、皮革1cの余剰分が減少して皺99が延ばされる。この作業を繰り返して皺99が目立たない程度まで減少させれば、皺取り工程が終了し、ステアリングホイール10の革巻きが完了する。
【0026】
このように本実施形態のステアリングホイール10の革巻き方法は、天然皮革である皮革1cを操舵部1に巻き付けて皮革1cの端部1c1v、1c1w同士を縫合することにより操舵部1を皮革1cで被覆する被覆工程と、操舵部1に被覆された皮革1cに熱風を当てて皮革1cの皺99を延ばす皺取り工程の前に、皮革1cを加湿する加湿工程を含んでいる。皮革1cは、加湿することにより膨張するため、加湿工程を経て膨張した皮革1cで操舵部1を被覆することにより、加湿工程を経ていない皮革1cで操舵部1を被覆するよりも小形の皮革1cで操舵部1を被覆することができる。本実施形態では、加湿工程によって皮革1cの体積が約2%膨張するため、皮革1cを構成する分割材1c1~1c4の裁断を、加湿処理を行わない場合よりも約2%小さい寸法で裁断している。このように小形の皮革1cで操舵部1を被覆することにより、皮革1cの使用量が減って歩留まりが良くなりステアリングホイール10の材料コストが削減されるだけでなく、皮革1cの皺99の原因となる被覆工程後の皮革1cの余剰分が少なくなる。この結果、皺取り工程において皺99が延ばしやすくなり、皺取り工程に要する時間の短縮化を図ることができる。皺取り工程に要する時間が短縮されることにより、皺取り工程において皮革1cが受ける熱のダメージを低減することができる。また、ステアリングホイール10の完成までの時間が短くなるため、ステアリングホイール10の生産性を向上させることができる。
【0027】
また、天然皮革は、皮革1cとする動物が同一種であっても皮膚の硬さには個体差があり、同一個体であっても頭部や腹部等の部位によって硬さにばらつきがある。さらに天然皮革の皮革1cは、60℃以上の温度で加熱される場合、皮革1cに含まれるタンパク質が変性して硬化しやすくなる。本実施形態では、加湿工程において、温度が60℃未満、相対湿度が100%の加湿室43で皮革1cを加湿する。これにより皮革1cが全体的に軟化して硬さのばらつきが小さくなり、被覆工程における縫合作業の作業性や、皺取り工程における皺延ばし作業の作業性を向上させることができる。
【0028】
なお、本実施形態では、操舵部1が円環状のステアリングホイール10について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、操舵部1を楕円環状や、環状でない形状などの他の形状とする構成や、操舵部1の層構成が異なる構成であっても、操舵部1に皮革1cが巻かれており、皮革1cを上述した方法によって革巻きすることにより、上記同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0029】
1…操舵部、1c…皮革、1c1v、1c1w…皮革の端部、10…ステアリングホイール、40…加湿装置、43…加湿室、99…皺
図1
図2
図3
図4
図5
図6