(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131130
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】生タイヤ成形装置
(51)【国際特許分類】
B29D 30/32 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B29D30/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041218
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】原田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】鬼松 博幸
【テーマコード(参考)】
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215VC02
4F215VD10
4F215VD12
4F215VK19
4F501TB02
4F501TC10
4F501TC11
4F501TD19
4F501TE28
4F501TV04
(57)【要約】
【課題】リム径の変更に伴う段取替え作業を低コストかつ容易に行える生タイヤ形成装置を提供する。
【解決手段】生タイヤ成形装置1は、円筒状の成形ドラム21と、成形ドラム21を回転駆動する主軸22と、タイヤケースTcの一対のはみ出し部Tc2をドラム半径方向外側に巻上げるための複数の巻上げアーム23と、主軸22の軸方向に移動しながら複数の巻上げアーム23を回動可能となるように支持する一対のリング状のアーム支持具24とを備える。それぞれのアーム支持具24は、成形ドラム21の外周に着脱可能に設けられ、主軸22の中心からのアーム径が互いに異なる第1アーム支持具124から第2アーム支持具224へと交換可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生タイヤ成形装置であって、
タイヤケースが外周に巻き付けられる円筒状の成形ドラムと、
前記成形ドラムを回転駆動する主軸と、
前記タイヤケースに外挿された一対のビードコアよりも前記主軸の軸方向外側にはみ出した前記タイヤケースの一対のはみ出し部をドラム半径方向外側に巻上げるための複数の巻上げアームと、
前記主軸の軸方向に移動しながら前記複数の巻上げアームを各巻上げアームの基端部の周りに回動可能となるように支持する一対のリング状のアーム支持具とを備え、
それぞれの前記アーム支持具は、
前記成形ドラムの外周に着脱可能に設けられ、
前記主軸の中心から前記基端部に至るアーム径が互いに異なる第1アーム支持具から第2アーム支持具へと交換可能である、
生タイヤ成形装置。
【請求項2】
前記第1アーム支持具及び前記第2アーム支持具は、前記アーム径を変換するためのアーム径変換アダプターを含む、請求項1に記載の生タイヤ成形装置。
【請求項3】
前記複数の巻上げアームは、前記第1アーム支持具及び前記第2アーム支持具に着脱可能に設けられ、前記第1アーム支持具から前記第2アーム支持具へと移植可能である、請求項1に記載の生タイヤ成形装置。
【請求項4】
前記タイヤケースの内周面と当接する当接部を有し、前記当接部が前記内周面を前記主軸の径方向外側に押すことにより、前記一対のビードコアを保持する一対のリング状のビードコア保持具をさらに備え、
それぞれの前記ビードコア保具は、
前記成形ドラムの外周に着脱可能に設けられ、
前記主軸の中心から前記当接部に至るビード径が互いに異なる第1ビードコア保持具から第2ビードコア保持具へと交換可能である、請求項1に記載の生タイヤ成形装置。
【請求項5】
前記前記第1ビードコア保持具及び前記第2ビードコア保持具は、前記ビード径を変換するためのビード径変換アダプターを含む、請求項4に記載の生タイヤ成形装置。
【請求項6】
前記第1ビードコア保持具は、前記第1アーム支持具との組み合わせにより前記成形ドラムに装着され、
前記第2ビードコア保持具は、前記第2アーム支持具との組み合わせにより前記成形ドラムに装着される、請求項4に記載の生タイヤ成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生タイヤ成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数本の巻上げアームを有する生タイヤ成形装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気入りタイヤは、JATMA、TRA及びETRTO等の規格体系において、負荷能力等に応じて種々のサイズが設定されている。上記タイヤのサイズには、複数のリム径が設定されている。
【0005】
タイヤの生産工場では、変動する生産計画に柔軟に対応するため、複数のリム径の空気入りタイヤに対応する生タイヤを成形可能な生タイヤ成形装置が望まれる。異なるリム径の空気入りタイヤに対応する生タイヤを成形する場合、生タイヤ成形装置の部品等を変更するいわゆる段取替え作業が必要となる。
【0006】
上記特許文献1に示される従来の生タイヤ成形装置における段取替え作業には、成形ドラム、複数の巻上げアームと、リング状のアーム支持具及びビードコア保持具が一体化されたアセンブリーを主軸から取り外し、異なるリム径に対応するアセンブリーを主軸に取り付ける作業が含まれる。
【0007】
しかしながら、多数の部品から構成される上記アセンブリーをリム径に応じて複数種類製造し、それらを保管するには相応のコストが必要とされる。また、重装備で大型の上記アセンブリーを交換する作業は、相応の工数と注意を要していた。
【0008】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、リム径の変更に伴う段取替え作業を低コストかつ容易に行える生タイヤ形成装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、生タイヤ成形装置であって、
カーカスプライを含むタイヤケースが外周に巻き付けられる円筒状の成形ドラムと、
前記成形ドラムを回転駆動する主軸と、
前記タイヤケースに外挿された一対のビードコアよりも前記主軸の軸方向外側にはみ出した前記タイヤケースの一対のはみ出し部をドラム半径方向外側に巻上げるための複数の巻上げアームと、
前記主軸の軸方向に移動しながら前記複数の巻上げアームを各巻上げアームの基端部の周りに回動可能となるように支持する一対のリング状のアーム支持具とを備え、
それぞれの前記アーム支持具は、
前記成形ドラムの外周に着脱可能に設けられ、
前記主軸の中心から前記基端部に至るアーム径が互いに異なる第1アーム支持具から第2アーム支持具へと交換可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の前記生タイヤ成形装置は、上記構成を有しているので、リム径の変更に伴う段取替え作業を低コストかつ容易に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の生タイヤ成形装置の一実施形態を示す正面図である。
【
図3】ビード保持状態でのフォーマーを示す断面図である。
【
図4】タイヤケースのはみ出し部の巻上げ工程を初期状態で示す断面図である。
【
図5】
図4に次いで巻上げ工程を初期状態で示す断面図である。
【
図6】
図5に次いで巻上げ工程を初期状態で示す断面図である。
【
図7】小径の空気入りタイヤに対応する生タイヤを製造するときのフォーマーの構成を示す断面図である。
【
図8】
図7の状態からアーム支持具等が取り外されたフォーマーの構成を示す断面図である。
【
図9】大径の空気入りタイヤに対応する生タイヤを製造するときのフォーマーの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態の生タイヤ成形装置1は、円筒状のタイヤケースTcを形成するためのフォーマー2と、環状のトレッドリングTrを形成するためのトレッド形成ドラム3と、トレッドリングTrをトレッド形成ドラム3からフォーマー2の外周の赤道Cの位置まで搬送するトレッドトランスファー4とを含んでいる。フォーマー2、トレッド形成ドラム3及びトレッドトランスファー4は、互いに同心に配置されている。
【0013】
図2は、フォーマー2を示している。フォーマー2は、生タイヤの赤道Cに対して対称に構成されている。
【0014】
フォーマー2は、円筒状の成形ドラム21と、成形ドラム21を回転駆動する主軸22と、複数の巻上げアーム23と、一対のリング状のアーム支持具24とを備えている。複数の巻上げアーム23は、アーム支持具24を介して成形ドラム21に取り付けられている。
【0015】
タイヤケースTcは、シート状のケース構成部材を成形ドラム21の外周に巻回すことで形成される。ケース構成部材としては、例えば、カーカス、インナーライナゴム、サイドウォールゴム等が挙げられる。
【0016】
タイヤケースTcの外周には、一対の環状のビードコアBcが配される。一対のビードコアBcは、成形ドラム21の軸方向に所定の間隔を隔てて配される。なお、一対のビードコアBcは、ビードセット具(図示せず)によってタイヤケースTcの外周の予め定められた位置にセットされる。
【0017】
ビードコアBcの内径は、空気入りタイヤのリム径に応じて設定されている。従って、リム径が異なる生タイヤを成形する際には、内径の異なるビードコアBcが適用される。
【0018】
ビードコアBcによって、タイヤケースTcは本体部Tc1とはみ出し部Tc2とに区画される。本体部Tc1は、タイヤケースTcのうち一対のビードコアBcに挟まれた領域であり、はみ出し部Tc2は、一対のビードコアBcよりも主軸22の軸方向外側の領域である。はみ出し部Tc2は、本体部Tc1に対して主軸22の軸方向の両外側に位置され、複数の巻上げアーム23と対向する。
【0019】
成形ドラム21は、主軸22の外周に取り付けられる。これにより、成形ドラム21は、主軸22の軸方向に位置決めされる。本実施形態の成形ドラム21は、主軸22に対して軸方向に固定されているが、主軸22の軸方向に移動可能に装着されていてもよい。
【0020】
成形ドラム21は、赤道Cを跨ぐ中央領域で、タイヤケースTcの内周面を支持するように構成されているのが望ましい。
【0021】
主軸22は、原動機25(
図1参照)によって自身の軸廻りに回転駆動され、その駆動力を成形ドラム21及びアーム支持具24に伝達する。これにより、成形ドラム21、巻上げアーム23及びアーム支持具24は、主軸22によって回転駆動される。
【0022】
複数の巻上げアーム23は、主軸22の半径方向の外側に、主軸22の周方向に沿って並べて配列されている。例えば、本実施形態では、赤道Cの両側のそれぞれに、30数本の巻上げアーム23が装着されている。
【0023】
各巻上げアーム23は、成形ドラム21の軸方向の両端部に、主軸22と平行に配向されている。タイヤケースTcは、成形ドラム21の軸方向両側の巻上げアーム23に跨がって、各巻上げアーム23の半径方向の外側に巻回される。
【0024】
巻上げアーム23は、基端部23aがアーム支持具24によって支持され、先端部23bにローラー23cが回転自在に設けられている。巻上げアーム23は、ローラー23cを介してタイヤケースTcのはみ出し部Tc2をドラム半径方向外側に巻上げる。
【0025】
アーム支持具24は、成形ドラム21の外周においてリング状に設けられている。アーム支持具24は、主軸22の周方向に連続してすなわち一体的に形成されていてもよく、分割されていてもよい。
【0026】
アーム支持具24は、主軸22の軸方向に移動可能に設けられている。成形ドラム21には、主軸22の軸方向に沿ってアーム支持具24の移動をガイドするガイド部(図示せず)が設けられているのが望ましい。ガイド部は、例えば、主軸22の軸方向に沿って溝状に形成されている。
【0027】
アーム支持具24は、成形ドラム21の外周を主軸22の軸方向に移動しながら、各巻上げアーム23を支持する。各アーム支持具24は、回動軸24aを有している。アーム支持具24は、各回動軸24aを介して、各巻上げアーム23を基端部23aの周りに回動可能となるように支持する。
【0028】
各回動軸24aは、各巻上げアーム23に対応して設けられ、巻上げアーム23の基端部23aを軸支する。回動軸24aに替えて、各巻上げアーム23の側に回動軸が設けられていてもよい。
【0029】
フォーマー2は、タイヤケースTcを介して一対のビードコアBcを保持する一対のビードコア保持具26をさらに備えている。各ビードコア保持具26は、赤道Cの両側に設けられている。各ビードコア保持具26は、タイヤケースTcを挟んでビードコアBcと対向する位置に配されている。
【0030】
ビードコア保持具26は、主軸22の外周においてリング状に設けられている。ビードコア保持具26は、主軸22の周方向に連続してすなわち一体的に形成されていてもよく、分割されていてもよい。
【0031】
各ビードコア保持具26は、タイヤケースTcの内周面と当接する当接部26aを有している。当接部26aは、ビードコア保持具26の半径方向の外側に配されている。当接部26aは、ゴム等の伸縮可能な弾性体によって構成され、主軸22の周方向に連続して形成されている。
【0032】
ビードコア保持具26は、成形ドラム21の内部空間に設けられているスライドリング27によって駆動され、半径方向に拡縮可能に構成されている。スライドリング27は、高圧空気によって駆動され、主軸22の軸方向に移動する。スライドリング27の一端には、斜面27aが形成されている。ビードコア保持具26には、斜面27aと当接する回転自在のローラー26bが設けられている。スライドリング27が軸方向に移動することにより、ローラー26bが斜面27aを昇降し、ビードコア保持具26が半径方向に拡縮する。ローラー26bによって、スライドリング27の移動及びビードコア保持具26の拡縮が円滑化される。
【0033】
なお、成形ドラム21には、拡縮時のビードコア保持具26をガイドするガイド部材28が設けられている。ガイド部材28は、その外周面で巻上げアーム23のローラー23cと当接し、巻上げアーム23の先端部23bを支持する。
【0034】
また、巻上げアーム23には、これらを主軸22の径方向内側に締め付ける環状の弾性部材29が装着されている。
【0035】
図3は、ビードコア保持具26の動作によるビードロック工程を示している。スライドリング27が赤道Cに向かって軸方向に移動すると、ローラー26bが斜面27aを昇って各ビードコア保持具26が半径方向外側に移動する。
【0036】
一対のビードコア保持具26の拡径により、当接部26aがタイヤケースTcの内周面を主軸22の径方向外側に押圧される。これにより、タイヤケースTcが半径方向外側に拡張され、一対のビードコアBcの内周面と当接し、各ビードコアBcはタイヤケースTcを介してビードコア保持具26に保持される。
【0037】
図1に示されるトレッド形成ドラム3は、トレッドリングTrを形成する。トレッドリングTrには、環状のトレッドゴムの他、トレッドゴムを補強するためのベルトプライ等の補強層が含まれる。
【0038】
トレッドトランスファー4は、トレッドリングTrの外周面を保持し、フォーマー2の主軸22の軸方向に移動可能に構成されている。トレッドトランスファー4は、トレッド形成ドラム3からフォーマー2のシェーピング位置まで移動する。トレッドリングTrを保持したトレッドトランスファー4が移動することにより、
図1に一点鎖線で示されるように、トレッドリングTrがフォーマー2のシェーピング位置にセットされる。
【0039】
その後、ビードコアBcを保持した状態で一対のビードコア保持具26が赤道Cの側に移動することにより、ビードコアBcの間隔が狭められる(後述する
図4参照)。同時に、タイヤケースTc(本体部Tc1)の内周側に高圧空気が充填されると、
図1に一点鎖線で示されるように、タイヤケースTcは、半径方向外側に膨張し、トレッドリングTrと一体化(シェーピング)される。
【0040】
この後、必要に応じてステッチローラー等を用いてトレッドリングTrがタイヤケースTcの側に押圧され、両者が密着される。なお、タイヤケースTcとトレッドリングTrと一体化は、後述するはみ出し部Tc2の巻上げ工程の後に実行されてもよい。
【0041】
図4ないし6は、タイヤケースTcのはみ出し部Tc2を巻上げる工程を時系列で示している。
【0042】
図4は、はみ出し部Tc2の巻上げ工程の初期状態を示している。当該初期状態は、タイヤケースTcとトレッドリングTrの本体部Tc1との一体化が完了した直後の状態である。この状態では、各巻上げアーム23は、主軸22と平行にたたまれている。
【0043】
図5に示されるように、一対のアーム支持具24は、駆動手段(図示せず)に駆動されて赤道Cの側に移動する。これに伴い、巻上げアーム23の基端部23aを軸支する回動軸24aが赤道Cの側に移動する。このとき、各巻上げアーム23は、回動軸24aの周りに回動可能に支持されているので、先端部23b(
図2参照)が拡径するように各巻上げアーム23が回動し、タイヤケースTcがビードコアBcの回りで折り返され、はみ出し部Tc2が成形ドラム21の半径方向外側に巻上げられる。巻上げられたはみ出し部Tc2は、さらに赤道Cの側に駆動される各巻上げアーム23によって、本体部Tc1に接合され、トロイダル状の生タイヤが完成する。
【0044】
その後、複数の巻上げアーム23を介して一対のはみ出し部Tc2を巻上げた一対のアーム支持具24が
図4に示される位置に戻ると、各巻上げアーム23は、弾性部材29の弾性力によってたたまれ、初期状態に復帰する。
【0045】
さらに、
図6に示されるように、スライドリング27が赤道Cから離れる方向に移動すると、ローラー26bが斜面27aを降りて各ビードコア保持具26が半径方向内側の初期位置に復帰する。これにより、一対のビードコア保持具26が縮径し、一対のビードコアBcの拘束が解かれ、生タイヤがフォーマー2から取り出し可能とされる。
【0046】
本実施形態の生タイヤ成形装置1では、空気入りタイヤのリム径に応じて複数種類のアーム支持具24が準備される。各リム径に対応するアーム支持具24は、各巻上げアーム23と共に、成形ドラム21に対して着脱可能に設けられている。各リム径に対応するアーム支持具24は、主軸22の中心(軸心)から回動軸24aまでの距離を異ならせることにより、実現される。このような複数種類のアーム支持具24は、主軸22の中心から基端部23aに至るアーム径が互いに異なっている。
【0047】
また、本実施形態の生タイヤ成形装置1では、空気入りタイヤのリム径に応じて複数種類のガイド部材28が準備される。各リム径に対応するガイド部材28は、成形ドラム21に対して着脱可能に設けられている。各リム径に対応するガイド部材28は、主軸22の中心からローラー23cとの当接面までの距離を異ならせることにより、実現可能である。すなわち、各リム径ごとに、対応するアーム支持具24とガイド部材28との組み合わせが存在する。
【0048】
図7は、例えば、17インチのリム径の空気入りタイヤに対応する生タイヤを製造するときのフォーマー2の構成を示している。この状態のフォーマー2では、17インチのリム径に対応する第1アーム支持具124及び第1ガイド部材128が主軸22に取り付けられている。すなわち、第1アーム支持具124は、第1ガイド部材128との組み合わせにより主軸22に装着される。
【0049】
第1アーム支持具124及び第1ガイド部材128によって、各巻上げアーム23は、主軸22と平行な姿勢で待機する。そして、タイヤケースTcは、17インチのリム径に対応する直径で各巻上げアーム23の外周に巻回される。巻上げ工程における第1アーム支持具124及び各巻上げアーム23の動作については、
図4ないし6に示したアーム支持具24及び各巻上げアーム23の動作と同等である。
【0050】
図8は、第1アーム支持具124及び第1ガイド部材128(
図7参照)が成形ドラム21から取り外された状態でのフォーマー2を示している。第1アーム支持具124は、各巻上げアーム23と共に成形ドラム21から取り外されるように構成されていてもよく、各巻上げアーム23が第1アーム支持具124から取り外された後、第1アーム支持具124が成形ドラム21から取り外されるように構成されていてもよい。
【0051】
通常、第1アーム支持具124及び第1ガイド部材128は、成形ドラム21と共に主軸22から取り外される。しかしながら、本実施形態の生タイヤ成形装置1では、第1アーム支持具124及び第1ガイド部材128が、成形ドラム21から独立してフォーマー2から取り外されることにより、主軸22には重量物である成形ドラム21が残されている。そして、異なるリム径に対応するアーム支持具24及びガイド部材28が、成形ドラム21を介してフォーマー2に取り付け可能となる。
【0052】
フォーマー2から取り外された第1アーム支持具124及び第1ガイド部材128は、既に成形ドラム21からも分離されているので、成形ドラム21と第1アーム支持具124及び第1ガイド部材128との組立体と比較すると軽量かつコンパクトであり、その保管も容易である。
【0053】
図9は、例えば、19インチのリム径の空気入りタイヤに対応する生タイヤを製造するときのフォーマー2の構成を示している。この状態のフォーマー2では、19インチのリム径に対応する第2アーム支持具224及び第2ガイド部材228が成形ドラム21に取り付けられている。すなわち、第2アーム支持具224は、第2ガイド部材228との組み合わせにより成形ドラム21に装着される。
【0054】
第2アーム支持具224及び第2ガイド部材228によって、各巻上げアーム23は、主軸22と平行な姿勢で待機する。そして、従って、タイヤケースTcは、19インチのリム径に対応する直径で各巻上げアーム23の外周に巻回される。巻上げ工程における第2アーム支持具224及び各巻上げアーム23の動作については、
図4ないし6に示したアーム支持具24及び各巻上げアーム23の動作と同等である。
【0055】
第2アーム支持具224は、各巻上げアーム23と共に成形ドラム21に取り付けられるように構成されていてもよく、第2アーム支持具224が成形ドラム21に取り付けられた後、各巻上げアーム23が第2アーム支持具224に取り付けられるように構成されていてもよい。
【0056】
上記では便宜上、17、19インチのリム径に対応する第1アーム支持具124、第2アーム支持具224及び第1ガイド部材128、第2ガイド部材228に関して説明されたが、本発明の生タイヤ成形装置1は、16、18、20インチ等、他のリム径に対応するアーム支持具24及びガイド部材28を含んでいてもよい。
【0057】
本発明の生タイヤ成形装置1は、上記構成を有しているので、リム径の変更に伴うアーム支持具24等の段取替え作業を低コストかつ容易に行えるようになる。
【0058】
図7及び9に示されるように、本実施形態の第1アーム支持具124及び第2アーム支持具224は、アーム径を変換するための第1アーム径変換アダプター124c及び第2アーム径変換アダプター224cを含んでいる。第1アーム支持具124には、第1アーム径変換アダプター124cが適用され、第2アーム支持具224には、第2アーム径変換アダプター224cが適用される。
【0059】
第1アーム径変換アダプター124c及び第2アーム径変換アダプター224cは、例えば、リング状に形成されている。第1アーム径変換アダプター124c及び第2アーム径変換アダプター224cは、成形ドラム21に直接的に装着されてもよく、別の部品を介して間接的に装着されてもよい。
【0060】
第1アーム径変換アダプター124c及び第2アーム径変換アダプター224cは、それぞれ各巻上げアーム23を軸支する軸受け部24dを含んでいる。軸受け部24dは、第1アーム径変換アダプター124cまたは第2アーム径変換アダプター224cの半径方向外側に装着される。軸受け部24dは、主軸22の周方向に連続してすなわち一体的に形成されていてもよく、分割されていてもよい。
【0061】
複数の巻上げアーム23は、第1アーム支持具124の軸受け部24d及び第2アーム支持具224の軸受け部24dに着脱可能に設けられている。複数の巻上げアーム23は、第1アーム支持具124の軸受け部24dから取り外し、第2アーム支持具224の軸受け部24dに取り付け可能である。すなわち、複数の巻上げアーム23は、第1アーム支持具124から第2アーム支持具224へと移植可能である。これにより、フォーマー2ひいては生タイヤ成形装置1のコストダウンを図ることができる。
【0062】
複数の巻上げアーム23は、第1アーム支持具124及び第2アーム支持具224に組み付けられた状態で準備されていてもよい。このような構成では、リム径の変更に伴うフォーマー2の段取替え作業を迅速に行うことができる。
【0063】
第1アーム径変換アダプター124c及び第2アーム径変換アダプター224cの内径は等しく外径が互いに異なっている。これにより、第1アーム径変換アダプター124c及び第2アーム径変換アダプター224cの主軸22の半径方向の高さを、互いに異ならせることが可能となり、主軸22の中心から基端部23aに至るアーム径を変換可能となる。
【0064】
第1アーム支持具124から第1アーム径変換アダプター124cを取り外して第2アーム径変換アダプター224cに組み替えることにより、第2アーム支持具224へと変更される。一方、第2アーム支持具224から第2アーム径変換アダプター224cを取り外して第1アーム径変換アダプター124cに組み替えることにより、第1アーム支持具124へと変更される。
【0065】
このような構成によれば、第1アーム支持具124及び第2アーム支持具224を構成する他の部品の多く(例えば、軸受け部24d等)を共用することが可能となり、フォーマー2ひいては生タイヤ成形装置1のコストダウンを図ることが可能となる。
【0066】
また、複数の巻上げアーム23が軸受け部24dを介して第1アーム支持具124及び第2アーム支持具224に支持される構成となっている。これにより、複数の巻上げアーム23を軸受け部24dから分離することなく、軸受け部24dごと第1アーム径変換アダプター124cから取り外し、第2アーム径変換アダプター224cへと組み付けることにより、巻上げアーム23の移植が迅速に行えるようになる。
【0067】
本実施形態の生タイヤ成形装置1では、空気入りタイヤのリム径に応じて複数種類のビードコア保持具26が準備される。各リム径に対応するビードコア保持具26は、成形ドラム21に対して着脱可能に設けられている。各リム径に対応するビードコア保持具26は、主軸22の中心(軸心)から当接部26aまでの距離を異ならせることにより、実現される。このような複数種類のビードコア保持具26は、主軸22の中心から当接部26aの外周面に至る外径が互いに異なっている。
【0068】
図7に示されるように、17インチのリム径の空気入りタイヤに対応する生タイヤを製造するとき生タイヤ成形装置1では、17インチのリム径に対応する第1ビードコア保持具126が成形ドラム21に取り付けられている。そして、タイヤケースTcは、17インチのリム径に対応する直径で第1ビードコア保持具126の外周に巻回される。
【0069】
図8に示されるように、リム径の空気入りタイヤに対応する生タイヤを製造する際には、まず、上記第1アーム支持具124及び第1ガイド部材128と共に、第1ビードコア保持具126(
図7参照)が成形ドラム21から取り外される。これにより、主軸22には重量物である成形ドラム21が残されている。そして、異なるリム径に対応するアーム支持具24、ガイド部材28及びビードコア保持具26が、成形ドラム21を介してフォーマー2に取り付け可能となる。
【0070】
例えば、19インチのリム径の空気入りタイヤに対応する生タイヤを製造する際には、19インチのリム径に対応する第2ビードコア保持具226が成形ドラム21に取り付けられる。そして、タイヤケースTcは、19インチのリム径に対応する直径で第2ビードコア保持具226の外周に巻回される。
【0071】
第1ビードコア保持具126は、第1アーム支持具124との組み合わせにより成形ドラム21に装着される。一方、第2ビードコア保持具226は、第2アーム支持具224との組み合わせにより成形ドラム21に装着される。これにより、段取替え作業の前後において、ケース構成部材を適正な径で巻回すことが可能となる。
【0072】
上記では便宜上、17、19インチのリム径に対応する第1ビードコア保持具126、第2ビードコア保持具226に関して説明されたが、本発明の生タイヤ成形装置1は、16、18、20インチ等、他のリム径に対応するビードコア保持具26を含んでいてもよい。
【0073】
本発明の生タイヤ成形装置1は、上記構成を有しているので、リム径の変更に伴うビードコア保持具26の段取替え作業を低コストかつ容易に行えるようになる。
【0074】
図7及び9に示されるように、本実施形態の第1ビードコア保持具126及び第2ビードコア保持具226は、当接部26aの外径すなわちビード径を変換するための第1ビード径変換アダプター126c及び第2ビード径変換アダプター226cを含んでいる。第1ビードコア保持具126には、第1ビード径変換アダプター126cが適用され、第2ビードコア保持具226には、第2ビード径変換アダプター226cが適用される。
【0075】
第1ビード径変換アダプター126c及び第2ビード径変換アダプター226cは、例えば、リング状に形成されている。第1ビード径変換アダプター126c及び第2ビード径変換アダプター226cは、成形ドラム21に直接的に装着されてもよく、別の部品を介して間接的に装着されてもよい。
【0076】
ビードコアBcと当接する当接部26aは、第1ビード径変換アダプター126c及び第2ビード径変換アダプター226cの半径方向外側に装着される。
【0077】
第1ビード径変換アダプター126c及び第2ビード径変換アダプター226cの内径は等しく外径が互いに異なっている。これにより、第1ビード径変換アダプター126c及び第2ビード径変換アダプター226cの主軸22の半径方向の高さを、互いに異ならせることが可能となり、主軸22の中心から当接部26aに至るビード径を変換可能となる。
【0078】
第1ビードコア保持具126から第1ビード径変換アダプター126cを取り外して第2ビード径変換アダプター226cに組み替えることにより、第2ビードコア保持具226へと変更される。一方、第2ビードコア保持具226から第2ビード径変換アダプター226cを取り外して第1ビード径変換アダプター126cに組み替えることにより、第1ビードコア保持具126へと変更される。このような構成によれば、第1ビードコア保持具126及び第2ビードコア保持具226を構成する他の部品の多く(例えば、当接部26a等)を共用することが可能となり、生タイヤ成形装置1のコストダウンを図ることが可能となる。
【0079】
以上、本発明の生タイヤ成形装置1が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
【0080】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0081】
[本発明1]
生タイヤ成形装置であって、
タイヤケースが外周に巻き付けられる円筒状の成形ドラムと、
前記成形ドラムを回転駆動する主軸と、
前記タイヤケースに外挿された一対のビードコアよりも前記主軸の軸方向外側にはみ出した前記タイヤケースの一対のはみ出し部をドラム半径方向外側に巻上げるための複数の巻上げアームと、
前記主軸の軸方向に移動しながら前記複数の巻上げアームを各巻上げアームの基端部の周りに回動可能となるように支持する一対のリング状のアーム支持具とを備え、
それぞれの前記アーム支持具は、
前記成形ドラムの外周に着脱可能に設けられ、
前記主軸の中心から前記基端部に至るアーム径が互いに異なる第1アーム支持具から第2アーム支持具へと交換可能である、
生タイヤ成形装置。
[本発明2]
前記第1アーム支持具及び前記第2アーム支持具は、前記アーム径を変換するためのアーム径変換アダプターを含む、本発明1に記載の生タイヤ成形装置。
[本発明3]
前記複数の巻上げアームは、前記第1アーム支持具及び前記第2アーム支持具に着脱可能に設けられ、前記第1アーム支持具から前記第2アーム支持具へと移植可能である、本発明1または2に記載の生タイヤ成形装置。
[本発明4]
前記タイヤケースの内周面と当接する当接部を有し、前記当接部が前記内周面を前記主軸の径方向外側に押すことにより、前記一対のビードコアを保持する一対のリング状のビードコア保持具をさらに備え、
それぞれの前記ビードコア保具は、
前記成形ドラムの外周に着脱可能に設けられ、
前記主軸の中心から前記当接部に至るビード径が互いに異なる第1ビードコア保持具から第2ビードコア保持具へと交換可能である、本発明1ないし3に記載の生タイヤ成形装置。
[本発明5]
前記前記第1ビードコア保持具及び前記第2ビードコア保持具は、前記ビード径を変換するためのビード径変換アダプターを含む、本発明4に記載の生タイヤ成形装置。
[本発明6]
前記第1ビードコア保持具は、前記第1アーム支持具との組み合わせにより前記成形ドラムに装着され、
前記第2ビードコア保持具は、前記第2アーム支持具との組み合わせにより前記成形ドラムに装着される、本発明4または5に記載の生タイヤ成形装置。
【符号の説明】
【0082】
1 :生タイヤ成形装置
21 :成形ドラム
22 :主軸
23 :巻上げアーム
23a :基端部
24 :アーム支持具
26 :ビードコア保持具
26a :当接部
124 :第1アーム支持具
126 :第1ビードコア保持具
224 :第2アーム支持具
226 :第2ビードコア保持具
Bc :ビードコア
Tc :タイヤケース
Tc2 :はみ出し部