(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131141
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240920BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240920BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/60 321E
H01L29/78 652Z
H01L29/78 653C
H01L29/78 652M
H01L21/60 301B
H01L23/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041230
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】有馬 理恵
(72)【発明者】
【氏名】松尾 一輝
(72)【発明者】
【氏名】泉沢 優
【テーマコード(参考)】
5F044
5F136
【Fターム(参考)】
5F044AA01
5F044AA14
5F044CC02
5F044CC06
5F044CC07
5F044FF05
5F044FF06
5F044JJ05
5F136BC02
5F136DA07
5F136FA33
5F136FA34
5F136FA53
5F136FA62
(57)【要約】 (修正有)
【課題】導通損失を低減し、放熱性を向上させた半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、金属ベース20と、金属ベース20から離間した第1端子30と、第2端子40と、半導体チップ10と、第1接続部材50、第2接続部材60と、導電部材70と、を備える。半導体チップ10は、金属ベース20に接続される裏面側電極17と、裏面側電極17とは反対側の表面上に設けられる表面側電極11と、を有する。第1接続部材50は、半導体チップ10の表面側電極11に接続される第1端部50E1と、第1端子30に接続される第2端部50E2と、を有する。導電部材70は、半導体チップ10の表面側電極11上に設けられ、表面側電極11の第1接続部材50の第1端部50E1に接続されない領域を覆う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ベースと、
前記金属ベースから離間した端子と、
前記金属ベースに接続される裏面側電極と、前記裏面側電極とは反対側の表面上に設けられる表面側電極と、を有する半導体チップと、
前記半導体チップの前記表面側電極に接続される第1端部と、前記端子に接続される第2端部と、を有する接続部材と、
前記半導体チップの前記表面側電極上に設けられ、前記表面側電極の前記接続部材の前記第1端部に接続されない領域を覆う導電部材と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記導電部材は、前記接続部材の前記第1端部を少なくとも部分的に覆う、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記接続部材は、前記表面側電極に接続される裏面と、前記裏面とは反対側の表面と、を有し、
前記導電部材は、前記接続部材の前記第1端部における前記表面を部分的に覆う、請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体チップの前記表面に垂直な方向において、前記導電部材の厚さは、前記表面側電極の厚さよりも厚い、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体チップの前記表面に垂直な方向において、前記導電部材の厚さは、前記接続部材の厚さよりも厚い、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記接続部材の前記第1端部と、前記表面側電極と、の間に設けられる接合部材をさらに備え、
前記接合部材は、前記導電部材の材料とは異なる材料を含む、請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記接続部材の前記第1端部と、前記表面側電極と、の間に設けられる接合部材をさらに備え、
前記接合部材は、前記導電部材の材料と同じ材料を含む、請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
前記表面側電極において、前記接続部材の前記第1端部に接続される領域と、前記第1端部に接続されない前記領域と、の境界に設けられる樹脂部材をさらに備える、請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
前記金属ベースと前記端子とは、第1方向に並び、
前記表面側電極の沿った第2方向であって、前記第1方向と直交する第2方向において、前記接続部材は、第1幅を有し、
前記導電部材は、前記第2方向の第2幅を有し、前記第1幅は、前記第2幅よりも狭い、請求項1記載の半導体装置。
【請求項10】
前記接続部材は、板状の金属コネクタであり、前記表面側電極に接続される裏面と、前記裏面とは反対側の表面と、前記裏面および前記表面につながる側面と、を有し、
前記導電部材は、前記第1端部において、少なくとも前記側面に接するように設けられる、請求項1記載の半導体装置。
【請求項11】
前記接続部材は、金属ワイヤであり、
前記導電部材は、前記表面電極を覆い、前記金属ワイヤの第1端部に接する、請求項1記載の半導体装置。
【請求項12】
前記接続部材は、金属ワイヤであり、
前記導電部材は、前記表面側電極と、前記金属ワイヤの第1端部と、を覆う、請求項1記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力制御用の半導体装置には、導通損失の低減および放熱性の向上が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、導通損失を低減し、放熱性を向上させた半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、金属ベースと、前記金属ベースから離間した端子と、半導体チップと、接続部材と、導電部材と、を備える。前記半導体チップは、前記金属ベースに接続される裏面側電極と、前記裏面側電極とは反対側の表面上に設けられる表面側電極と、を有する。前記接続部材は、前記半導体チップの前記表面側電極に接続される第1端部と、前記端子に接続される第2端部と、を有する。前記導電部材は、前記半導体チップの前記表面側電極上に設けられ、前記表面側電極の前記接続部材の前記第1端部に接続されない領域を覆う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置を示す模式図である。
【
図2】第1実施形態に係る半導体チップを示す模式断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す模式平面図である。
【
図4】第1実施形態に係る半導体チップを示す模式平面図である。
【
図5】第2実施形態に係る半導体装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
(第1実施形態)
図1(a)および(b)は、第1実施形態に係る半導体装置1を示す模式図である。
図1(a)は平面図であり、
図1(b)は、
図1(a)中に示すA-A線に沿った断面図である。
【0010】
図1(a)に示すように、半導体装置1は、半導体チップ10と、金属ベース20と、第1端子30と、第2端子40と、第1接続部材50と、第2接続部材60と、を含む。半導体チップ10は、MOSトランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、ダイオードなどのパワー半導体である。以下の例では、半導体チップ10は、MOSトランジスタである。
【0011】
半導体チップ10は、金属ベース20上にマウントされる。金属ベース20は、例えば、銅もしくはアルミニウムを含む金属板である。半導体チップ10は、金属ベース20に接続される裏面とは反対側の表面に設けられる表面側電極11と、制御パッド13と、を含む。制御パッド13は、半導体チップ10の表面側において、表面側電極11から離間して設けられる。
【0012】
第1端子30および金属ベース20は、例えば、Y方向に並べて配置される。第2端子40および金属ベース20もY方向に並べて配置される。第1端子30および第2端子40は、例えば、X方向に並ぶ。第1端子30、第2端子40および金属ベース20は、相互に離間して配置される。第1端子30および第2端子40は、例えば、金属ベース20の材料と同じ材料を含む。
【0013】
第1接続部材50は、半導体チップ10の表面側電極11と第1端子30とを電気的に接続する。第1接続部材50は、所謂、金属コネクタであり銅もしくはアルミニウムを含む。第1端子30は、例えば、ソース端子である。
【0014】
第2接続部材60は、半導体チップ10の制御パッド13と第2端子40とを電気的に接続する。第2接続部材60は、所謂、金属コネクタであり銅もしくはアルミニウムを含む。第2端子40は、例えば、ゲート端子である。
【0015】
半導体装置1は、導電部材70をさらに備える。導電部材70は、半導体チップ10の表面側電極11上に設けられる。導電部材70は、表面側電極11における第1接続部材50に接続されない領域を覆う。
【0016】
導電部材70は、好ましくは、表面側電極11の第1接続部材50に接続されない領域のほぼ全面を覆うように設けられる。第1接続部材50は、例えば、X方向の第1幅W1を有する。導電部材70は、例えば、第1幅W1よりも広いX方向の第2幅W2を有する。
【0017】
図1(b)に示すように、半導体チップ10は、接合部材21を介して、金属ベース20上にマウントされる。接合部材21は、例えば、はんだ材である。半導体チップ10は、接合部材21を介して、金属ベース20に電気的に接続される。金属ベース20は、例えば、ドレイン端子である。
【0018】
第1接続部材50は、半導体チップ10に接続される第1端部50E1と、第1端子30に接続される第2端部50E2とを有する。第1端部50E1は、接合部材53を介して、半導体チップ10の表面側電極11に接続される。第2端部50E2は、接合部材55を介して、第1端子30に接続される。接合部材53および55は、例えば、はんだ材である。
【0019】
導電部材70は、半導体チップ10の表面に垂直な方向、例えば、Z方向の第1厚T1を有する。第1接続部材50は、例えば、Z方向の第2厚T2を有する。また、第1接続部材50は、半導体チップ10に接続される裏面50Bと、裏面50Bとは反対側の上面50Tと、裏面50Bおよび上面50Tにつながる側面50Sを有する。
【0020】
導電部材70は、少なくとも、第1端部50E1の側面50Sに接するように設けられ、第1接続部材50の第1端部50E1の上面50Tを覆うように設けられてもよい。この例では、導電部材70のZ方向における第1厚T1は、第1接続部材T2のZ方向の第2厚T2よりも厚く記載されているが、第1厚T1が第2厚T2よりも薄い場合でも、導電部材70は、第1接続部材50の第1端部50E1の上面50Tを覆うように設けられてもよい。すなわち、導電部材70は、Z方向の厚さに関わらず、第1端部50E1において、上面50Tの少なくとも一部を覆うように設けられてもよい。このように、導電部材70は、第1接続部材50に接し、電気的に接続される。導電部材70は、例えば、はんだ材である。また、導電部材70は、銀ペーストもしくは銅ペーストなどの金属ペーストであってもよい。また、導電部材70は、導電性接着剤、導電性シリコーン、導電性コーティング剤などの導電性樹脂であってもよい。導電部材70がペーストもしくは導電性の樹脂部材である場合には、第1厚T1は。第1接続部材50の第2厚T2よりも厚いことが好ましい。
【0021】
導電部材70は、接合部材53と同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。導電部材70の材料と接合部材53の材料が同じ場合には、導電部材70と接合部材53の親和性が向上し、接合強度が高くなる。また、導電部材70の材料と、接合部材53の材料が異なる場合には、導電部材70を形成する際に、接合部材53が再溶融することによる第1接続部材50の動きなどを回避することが容易になる。
【0022】
半導体装置1は、封止樹脂80をさらに備える。封止樹脂80は、半導体チップ10と、金属ベース20と、第1端子30と、第2端子40と、第1接続部材50と、第2接続部材60と、を含む組立体を覆う。封止樹脂80は、半導体チップ10を金属ベース20上に封じる。封止樹脂80は、例えば、エポキシ樹脂もしくはポリイミドである。
【0023】
実施形態に係る半導体装置1では、半導体チップ10の表面側電極11上に導電部材70を設けることにより、半導体チップ10から第1接続部材50に至る電流経路における電気抵抗を低減することができる。これにより、オン抵抗を小さくして、導通損失を低減できる。さらに、半導体チップ10において発生するジュール熱を、導電部材70を介して第1接続部材50に移動させることにより、放熱性を向上させることも可能である。
【0024】
さらに、半導体チップ10の表面側電極11上に導電部材70を設けることにより、オン抵抗および熱伝導性を低下させることなく、第1接続部材50と表面側電極11との間の接続面積を小さくすることも可能である。例えば、導電部材70を設けない場合には、金属ベース20上にマウントされる半導体チップ10のサイズに合わせて、第1接続部材50のサイズを変更することが望ましい。これにより、第1接続部材50と表面側電極11との間の接続面積を広くしてオン抵抗および熱伝導性を向上させることが望まれる。これに対し、実施形態に係る半導体装置1では、半導体チップ10のサイズに第1接続部材10のサイズを適合させる必要はなく、製造過程の簡略化、および、低コスト化を実現できる。
【0025】
図2は、第1実施形態に係る半導体チップ10を例示する模式断面図である。半導体チップ10は、表面側電極11と、半導体部15と、裏面側電極17と、ゲート電極18と、を含む。
【0026】
表面側電極11は、例えば、ソース電極である。裏面側電極17は、例えば、ドレイン電極である。裏面側電極17は、半導体部15の裏面上に設けられ、接合部材21を介して、金属ベース20に接続される。表面側電極11は、半導体部15の裏面とは反対側の表面上に設けられる。
【0027】
ゲート電極18は、半導体部15の表面側に設けられ、例えば、トレンチゲート構造を有する。ゲート電極18は、ゲート絶縁膜19により半導体部15から電気的に絶縁される。ゲート電極18は、制御パッド13(
図1(a)参照)に電気的に接続される。
【0028】
半導体部15は、例えば、n形ドリフト層23と、p形ボディ層25と、n形ソース層27と、p形コンタクト層29と、を含む。n形ドリフト層23は、表面側電極11と裏面側電極17との間に延在する。p形ボディ層25は、n形ドリフト層23と表面側電極11との間に設けられ、Y方向において隣り合うゲート電極18の間に位置する。
【0029】
n形ソース層27は、表面側電極11とp形ボディ層25との間に設けられる。また、p形コンタクト層29も、表面側電極11とp形ボディ層25との間に設けられる。n形ソース層27およびp形コンタクト層29は、例えば、半導体部15の表面に沿って並び、表面側電極11に接続される。
【0030】
表面側電極11は、例えば、Z方向の第3厚T3を有する。表面側電極11の外縁は、例えば、樹脂部材85に覆われる。樹脂部材85は、例えば、ポリイミドである。表面側電極11は、樹脂部材85の内側に露出された部分において、第1接続部材50の第1端部50E1に接続される。導電部材70は、樹脂部材85の内側を覆うように設けられる。導電部材70は、表面側電極11の樹脂部材85の内側に露出され、第1端部50E1に接続されない領域の大部分を覆うことが好ましい。
【0031】
例えば、表面側電極11の第3厚T3を厚くするほど、表面抵抗は低減され、熱伝導性を向上させることができる。しかしながら、第3厚T3を厚くすることは、必ずしも容易ではない。第3厚T3を厚くすると、例えば、半導体チップ10の内部ストレスが大きくなり、製造歩留まりを低下させる場合もある。
【0032】
これに対し、実施形態に係る半導体装置1では、第3厚T3を厚くした半導体チップを用いる必要はなく、例えば、第3厚T3よりも厚い第1厚T1を有する導電部材70を設けることにより、表面側電極11の表面抵抗を低減し、熱伝導性を向上させることができる。言い換えれば、表面側電極11の厚さT3を薄くすることにより、半導体チップ10の製造が容易になり、半導体チップ10のコストを低減することができる。
【0033】
図3(a)および(b)は、第1実施形態に係る半導体装置1の製造過程を示す模式平面図である。
図3(a)および(b)は、金属ベース20の上面を表している。
【0034】
図3(a)に示すように、半導体チップ10を金属ベース20上にマウントした後、半導体チップ10の表面側電極11および第1端子30の上に接合部材53および55をそれぞれ塗布する。また、半導体チップ10の制御パッド13および第2端子40の上に接合部材63および65をそれぞれ塗布する。接合部材53、55、63および65は、例えば、クリームはんだである。
【0035】
半導体チップ10の表面側電極11の上には、例えば、樹脂部材87が設けられる。樹脂部材87は、表面側電極11の第1接続部材50に接続される領域と、第1接続部材50に接続されない領域と、の境界に配置される。樹脂部材87は、表面側電極11と導電部材70(
図1参照)との間の電気伝導および熱伝導に対する影響を無視できるサイズに設けられる。樹脂部材87は、例えば、ポリイミドである。なお、樹脂部材87は、必要に応じて配置されるものであり、樹脂部材87を配置しない構成でもよい。
【0036】
図3(b)に示すように、第1接続部材50を表面側電極11および第1端子30の上に載置し、上方から押圧する。これにより、第1接続部材50は、接合部材53を介して、半導体チップ10の表面側電極11に接続され、接合部材55を介して、第1端子30に接続される。第2接続部材60も同様に、接合部材63を介して、半導体チップ10の制御パッド13に接続され、接合部材65を介して、第2端子40に接続される。
【0037】
続いて、半導体チップ10、金属ベース20、第1端子30、第2端子40、第1接続部材50および第2接続部材60を含む組立体を、例えば、リフロー炉の内部に搬入し、加熱する。その後、組立体をリフロー炉から搬出し、冷却する。これにより、接合部材53および55が硬化され、第1接続部材50は、半導体チップ10の表面側電極11および第1端子30の上に固定される。同様に、第2接続部材60は、半導体チップ10の制御パッド13および第2端子40の上に固定される。
【0038】
さらに、導電部材70(
図1参照)を半導体チップ10の表面側電極11上に塗布し、硬化させる。導電部材70がはんだ材の場合には、導電部材70を塗布した後、組立体を、再度、リフロー炉中にて加熱し、リフロー炉から取り出して冷却する。
【0039】
この過程において、接合部材53が溶融され、表面側電極の第1接続部材50に接続されない領域に広がると共に、第1接続部材50が意図しない位置に移動する場合がある。樹脂部材87は、溶融された接合部材53の広がりを防ぎ、第1接続部材50の移動を抑制する。
【0040】
図4(a)~(c)は、第1実施形態に係る半導体チップ10を示す模式平面図である。
図4(a)~(c)は、半導体チップ10の表面側を表している。
【0041】
図4(a)~(c)に示すように、表面側電極11上に複数の樹脂部材87が設けられる。樹脂部材87は、相互に離間し、半導体チップ10の1つの辺に沿った方向、例えば、X方向に並ぶ。樹脂部材87の平面形状は、三角形でもよいし、台形または円形であってもよい。すなわち、樹脂部材87は、任意の平面形状を有する。
【0042】
(第2実施形態)
図5(a)および(b)は、第2実施形態に係る半導体装置2を示す模式図である。
図5(a)は平面図である。
図5(b)は、
図5(a)中に示すB-B線に沿った断面図である。
【0043】
図5(a)に示すように、半導体装置2は、半導体チップ10と、金属ベース20と、第1端子30と、第2端子40と、を含む。半導体チップ10は、金属ベース20上にマウントされる。
【0044】
金属ベース20、第1端子30および第2端子40は、相互に離間して配置される。第1端子30は、例えば、複数の金属ワイヤ90を介して、半導体チップ10の表面側電極11に電気的に接続される。第2端子40は、例えば、金属ワイヤ95を介して、半導体チップ10の制御パッド13に電気的に接続される。金属ワイヤ90および95は、例えば、銅ワイヤやアルミニウムワイヤである。
【0045】
半導体チップ10の表面側電極11上には、導電部材70が設けられる。好ましくは、導電部材70は、金属ワイヤ90を覆う。導電部材70は、例えば、表面側電極11の大部分を覆うように設けられる。導電部材70は、好ましくは、樹脂部材85に覆われる外縁を除く、表面側電極11の全面を覆う。
【0046】
図5(b)に示すように、半導体チップ10は、接合部材21を介して、金属ベース20に接続される。金属ワイヤ90は、半導体チップ10に接続される第1端部90E1と、第1端子30に接続される第2端部90E2と、を有する。導電部材70は、金属ワイヤ90の第1端部90E1を覆う。
【0047】
半導体チップ10と、金属ベース20と、第1端子30と、第2端子40と、を含む組立体は、封止樹脂80中に封じられる。金属ベース20、第1端子30および第2端子40のそれぞれの一部は、封止樹脂80から延出する。
【0048】
この例でも、半導体チップ10の表面側電極11上に導電部材70を設けることにより、表面抵抗を低減し、熱伝導性を向上させることができる。例えば、表面側電極11上に導電部材70を設けない場合、金属ワイヤ90は、第1端部90E1の底面において表面側電極11に接する。したがって、表面側電極11と金属ワイヤ90との接触面積は限られる。金属ワイヤ90の数を増して接触面積を広くするとしても、表面側電極11に接続できる金属ワイヤ90の数は限られる。これに対し、実施形態に係る半導体装置2では、表面側電極11上に導電部材70を設けることにより、金属ワイヤ90の第1端部90E1の全面において、表面側電極11に電気的に接続することが可能となる。これにより、オン抵抗を低減し、金属ワイヤ90を介した熱伝導性を向上させることができる。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0050】
(付記1)
金属ベースと、
前記金属ベースから離間した端子と、
前記金属ベースに接続される裏面側電極と、前記裏面側電極とは反対側の表面上に設けられる表面側電極と、を有する半導体チップと、
前記半導体チップの前記表面側電極に接続される第1端部と、前記端子に接続される第2端部と、を有する接続部材と、
前記半導体チップの前記表面側電極上に設けられ、前記表面側電極における前記接続部材の前記第1端部に接続されない領域を覆う導電部材と、
を備えた半導体装置。
(付記2)
前記導電部材は、前記接続部材の前記第1端部を少なくとも部分的に覆う、付記1記載の半導体装置。
(付記3)
前記接続部材は、前記表面側電極に接続される裏面と、前記裏面とは反対側の表面と、を有し、
前記導電部材は、前記接続部材の前記第1端部における前記表面を部分的に覆う、付記1記載の半導体装置。
(付記4)
前記半導体チップの前記表面に垂直な方向において、前記導電部材の厚さは、前記表面側電極の厚さよりも厚い、付記1乃至3のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記5)
前記半導体チップの前記表面に垂直な方向において、前記導電部材の厚さは、前記接続部材の厚さよりも厚い、付記1乃至4のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記6)
前記接続部材の前記第1端部と、前記表面側電極と、の間に設けられる接合部材をさらに備え、
前記接合部材は、前記導電部材の材料とは異なる材料を含む、付記1乃至5のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記7)
前記接続部材の前記第1端部と、前記表面側電極と、の間に設けられる接合部材をさらに備え、
前記接合部材は、前記導電部材の材料と同じ材料を含む、付記1乃至6のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記8)
前記表面側電極において、前記接続部材の前記第1端部に接続される領域と、前記第1端部に接続されない前記領域と、の境界に設けられる樹脂部材をさらに備える、付記1乃至7のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記9)
前記金属ベースと前記端子とは、第1方向に並び、
前記表面側電極の沿った第2方向であって、前記第1方向と直交する第2方向において、前記接続部材は、第1幅を有し、
前記導電部材は、前記第2方向の第2幅を有し、前記第1幅は、前記第2幅よりも狭い、付記1乃至8のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記10)
前記接続部材は、板状の金属コネクタであり、前記表面側電極に接続される裏面と、前記裏面とは反対側の表面と、前記裏面および前記表面につながる側面と、を有し、
前記導電部材は、前記第1端部において、少なくとも前記側面に接するように設けられる、付記1または2に記載の半導体装置。
(付記11)
前記接続部材は、金属ワイヤであり、
前記導電部材は、前記表面電極を覆い、前記金属ワイヤの第1端部に接する、付記1乃至9のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記12)
前記接続部材は、金属ワイヤであり、
前記導電部材は、前記表面側電極と、前記金属ワイヤの第1端部と、を覆う、付記1乃至9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0051】
1、2…半導体装置、10…半導体チップ、11…表面側電極、13…制御パッド、15…半導体部、17…裏面側電極、18…ゲート電極、19…ゲート絶縁膜、20…金属ベース、21、53、55、63、65…接合部材、23…n形ドリフト層、25…p形ボディ層、27…n形ソース層、29…p形コンタクト層、30…第1端子、40…第2端子、50…第1接続部材、50B…裏面、50S…側面、50T…上面、60…第2接続部材、70…導電部材、80…封止樹脂、85、87…樹脂部材、90、95…金属ワイヤ