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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131146
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/20 20060101AFI20240920BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240920BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20240920BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240920BHJP
   B41J 29/377 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G03G21/20
G03G21/00 398
G03G21/14
B41J29/38 101
B41J29/377
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041236
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 智
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061BB26
2C061BB27
2C061CH03
2C061CN16
2C061HH11
2C061HJ10
2C061HK09
2C061HT02
2C061HT08
2H270KA53
2H270KA54
2H270KA55
2H270KA59
2H270KA62
2H270LA24
2H270LA28
2H270LA29
2H270MC78
2H270MD17
2H270MD29
2H270MF17
2H270MF22
2H270MG03
2H270MH18
2H270MH19
2H270PA56
2H270SA11
2H270SB19
2H270SB21
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
(57)【要約】
【課題】省電力化を図りつつ除湿ヒータを動作させて結露の発生を防ぐ。
【解決手段】制御部は、省電力モードが設定された状態でネットワーク通信を介して結露発生条件を満足することを通知する第1信号を受信すると、省電力モードを解除して切替部を除湿ヒータに対する通電がオンするように切り替えた後、省電力モードに移行するように設定部を制御する。また制御部は、ネットワーク通信を介して結露回避条件を満足することを通知する第2信号を受信すると、省電力モードを解除して切替部を除湿ヒータに対する通電がオフするように切り替えた後、省電力モードに移行するように設定部を制御する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部及び画像読取部を有する画像形成装置本体と、
前記画像形成装置本体内に設けられた除湿ヒータと、
前記除湿ヒータに対する通電のオン、オフを切り替える切替部と、
ネットワーク通信が有効な状態の省電力モードを設定する設定部と、
前記省電力モードが設定された状態で前記ネットワーク通信を介して結露発生条件を満足することを通知する第1信号を受信すると、前記省電力モードを解除して前記切替部を前記除湿ヒータに対する通電がオンするように切り替えた後、前記省電力モードに移行するように前記設定部を制御し、前記ネットワーク通信を介して結露回避条件を満足することを通知する第2信号を受信すると、前記省電力モードを解除して前記切替部を前記除湿ヒータに対する通電がオフするように切り替えた後、前記省電力モードに移行するように前記設定部を制御する制御部と、
を具備する画像形成装置。
【請求項2】
前記切替部は、セット用コイルとリセット用コイルとを含み、前記セット用コイルに電流が流れると前記除湿ヒータに電源を供給する電源ラインに介挿されたスイッチをオンし、このスイッチのオン状態を前記リセット用コイルに電流が流れるまで維持するラッチングリレーである、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1信号及び前記第2信号は、前記画像形成装置本体が設置されている室内の温度を調節する温度調節装置から取り込む、請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記温度調節装置は、前記室内の温度を設定温度まで上昇させるように調節する際に前記第1信号を出力するものである、請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記温度調節装置は、前記室内の温度が設定温度まで上昇した場合、又は、前記室内の温度が設定温度まで上昇してから一定時間が経過した場合、又は、前記第1信号を出力してから一定時間が経過した場合に前記第2信号を出力するものである、請求項4記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、除湿ヒータを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機(MFP:Multifunction Peripheral)等の画像形成装置においては、設置環境の急激な温度変化により画像読取部(スキャナ)或いは画像形成部(プリンタ)等に結露が発生して画像読取りまたは画像形成の品質が低下する懸念がある。そこで、装置本体の適所に除湿ヒータを設けて結露の発生を防止するようにした画像形成装置がある。
【0003】
従来の除湿ヒータを備えた画像形成装置は、主電源がオフのとき、あるいはスリープモードに移行したときに除湿ヒータを動作させて結露の発生を防いでいた。このため、結露が発生する環境下でないにも拘らず除湿ヒータを連続して通電しており、電力を無駄に消費していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-186373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、省電力化を図りつつ除湿ヒータを動作させて結露の発生を防ぎ、結露による品質の低下を未然に防止できる画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、画像形成装置は、画像形成装置本体と、除湿ヒータと、切替部と、設定部と、制御部とを備える。画像形成装置本体は、画像形成部及び画像読取部を有する。除湿ヒータは、画像形成装置本体内に設けられる。切替部は、除湿ヒータに対する通電のオン、オフを切り替える。設定部は、ネットワーク通信が有効な状態の省電力モードを設定する。制御部は、省電力モードが設定された状態でネットワーク通信を介して結露発生条件を満足することを通知する第1信号を受信すると、省電力モードを解除して切替部を除湿ヒータに対する通電がオンするように切り替えた後、省電力モードに移行するように設定部を制御する。また制御部は、ネットワーク通信を介して結露回避条件を満足することを通知する第2信号を受信すると、省電力モードを解除して切替部を除湿ヒータに対する通電がオフするように切り替えた後、省電力モードに移行するように設定部を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、複合機の外観を示す模式図である。
図2図2は、複合機の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図3は、ヒータ制御回路の詳細と該ヒータ制御回路に関わる各部の機能構成を示す模式図である。
図4図4は、ルームエアコンにおける判定部の動作を説明するための流れ図である。
図5図5は、複合機における制御部の動作を説明するための流れ図である。
図6図6は、ルームエアコンから出力される第1信号及び第2信号に対する各部の状態をそれぞれ示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、省電力化を図りつつ除湿ヒータを動作させて結露の発生を防ぎ、結露による品質の低下を未然に防止できる画像形成装置の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、この実施形態は、画像形成装置の一例としてワークスペース等に設置される複合機を例示する。
【0009】
図1は、複合機10の外観を示す模式図であり、図2は、複合機10の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、複合機10は、画像読取部としてのスキャナ101と、画像形成部としてのプリンタ102と、ユーザインターフェースとしての操作パネル103と、を有する。
【0010】
スキャナ101は、複合機本体100の上部に設置する。スキャナ101は、原稿の画像を光学的に読み取る装置である。スキャナ101は、スキャンする原稿を載置する原稿台ガラス104を有する。スキャナ101は、原稿台ガラス104に載置された原稿をスキャンする。スキャナ101は、キャリッジ及び光電変換部等を有する。キャリッジ及び光電変換部等は、原稿台ガラス104の下方に設置される。スキャナ101は、キャリッジを副走査方向に移動させながら光電変換部で主走査方向の画像データを取得することにより原稿全体の画像を読み取る。
【0011】
スキャナ101の上方には、自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)105が設けられる。ADF105は、開閉自在に設置される。ADF105は、スキャナ101の原稿台カバーとしても機能する。ADF105は、閉じた状態において原稿台ガラス104の原稿読取領域全体を覆う。ADF105は、給紙トレイ及び搬送系等を有する。ADF105は、閉じた状態において、給紙トレイにセットされた原稿を1枚ずつ取り出し、取り出した原稿の読取面が所定の読取位置を通過するように原稿を搬送させる。ADF105が原稿を搬送する場合、スキャナ101は、ADF105に搬送される原稿が所定の読取位置を通過する際に原稿面を読み取ることにより原稿全体の画像を読み取る。
【0012】
プリンタ102は、搬送系と画像形成機構とを有する。搬送系は、給紙カセット106に収容された用紙を搬送する。給紙カセット106は、画像をプリントする被画像形成媒体としての用紙を収納する。例えば、給紙カセット106は、複合機本体100の下部に着脱可能である。給紙カセット106に収納された用紙は、給紙ローラによって1枚ずつ取り出される。搬送系は、給紙ローラが給紙カセットから取り出された用紙を画像形成位置に搬送する。
【0013】
画像形成機構は、搬送系によって画像形成位置まで搬送された用紙に画像を形成する。画像形成機構は、中間転写体上に形成した画像を画像形成位置において搬送系によって供給される用紙に転写して画像を形成する。画像形成機構は、例えば感光体ドラム、現像器、露光装置、転写ローラ等を備えた電子写真方式である。画像形成機構は、インクジェット方式であってもよいし、熱転写方式であってもよい。また、画像形成機構は、カラーの画像を形成するものであってもよいし、モノクロの画像を形成するものであってもよい。
【0014】
操作パネル103は、タッチパネル107及び操作ボタン108を有する。タッチパネル107は、操作案内及び予め設定されたコンテンツ等を表示する。また、タッチパネル107は、操作子としてのアイコン等を表示する。タッチパネル107は、表示画面上においてユーザがタッチした部位を検知する。操作ボタン108は、テンキー及び特定の機能を指示するファンクションボタンを含む。ユーザは、タッチパネル107あるいは操作ボタン108により操作指示を入力する。
【0015】
図2に示すように、複合機10は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13及び通信インターフェース14を備える。複合機10は、プロセッサ11と、メインメモリ12、補助記憶デバイス13及び通信インターフェース14とをシステム伝送路15で接続する。システム伝送路15は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。複合機10は、プロセッサ11と、メインメモリ12、補助記憶デバイス13及び通信インターフェース14とをシステム伝送路15で接続することにより、コンピュータを構成する。そして複合機10は、そのコンピュータに、システム伝送路15を介してスキャナ101、プリンタ102、操作パネル103及びヒータ制御回路20を接続する。
【0016】
プロセッサ11は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、オペレーティングシステム又はアプリケーションソフトウェアに従って、複合機10としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ11は、例えばCPUである。
【0017】
メインメモリ12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションソフトウェアを記憶する。メインメモリ12は、プロセッサ11が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ12は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ11によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROMである。揮発性のメモリ領域は、例えばRAMである。
【0018】
補助記憶デバイス13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス13となり得る。補助記憶デバイス13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ11での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス13は、上記のアプリケーションソフトウェアを記憶する場合もある。
【0019】
通信インターフェース14は、ハブ30を介してルータ40と接続する。通信インターフェース14は、ルータ40に接続されたLAN(Local Area Network)50を経由して、他のコンピュータとデータ通信を行う。他のコンピュータは、ワークスペースに設置された1乃至複数台のパーソナルコンピュータである。通信インターフェース14は、LAN50を経由して他のコンピュータから印刷データを受信する。通信インターフェース14は、例えばスキャナ101で読み取ったデータを、LAN50を経由して他のコンピュータに送信する。
【0020】
また通信インターフェース14は、ハブ30を介してルームエアコン60と接続する。ルームエアコン60は、複合機10が設置されたワークスペースの室内の温度を調節する温度調節装置の一例である。
【0021】
ヒータ制御回路20は、複合機本体100に設けられた除湿ヒータ71及び除湿ヒータ72を制御するための回路である。除湿ヒータ71は、スキャナ101の近傍に設けられている。スキャナ101が備える原稿台ガラス104のガラス面に結露が発生すると、画像読取精度が劣化する。除湿ヒータ71は、ヒータ制御回路20の制御により原稿台ガラス104の近傍を加熱することで除湿を行い、ガラス面が結露するのを防ぐ。除湿ヒータ72は、プリンタ102の近傍に設けられている。プリンタ102が備える感光体ドラムの表面に結露が発生すると、画像形成精度が劣化する。除湿ヒータ72は、ヒータ制御回路20の制御により感光体ドラムの近傍を加熱することで除湿を行い、感光体ドラムの表面が結露するのを防ぐ。
【0022】
かかる構成の複合機10は、省電力モードとしてスリープモードを有する。すなわち複合機10は、何ら操作されない状態が所定時間を経過すると自動的にスリープモードに移行する。また、操作パネル103に設けられた操作ボタン108の1つに節電ボタンSEがある。オペレータによって節電ボタンSEが操作入力されると、複合機10は、強制的にスリープモードに移行する。スリープモードに移行すると、複合機10は、通信インターフェース14以外の動作を停止する。したがって、スキャナ101及びプリンタ102が待機中に消費する電力を抑えることができる。ただし、スリープモードに移行しても通信インターフェース14は動作を停止しないので、複合機10は、通信インターフェース14を介して外部からデータ信号を受信することはできる。すなわちスリープモードは、ネットワーク通信が有効な状態の省電力モードである。因みに、スリープモードにおいて、節電ボタンSEが操作入力された場合には、複合機10は、画像読取及び画像形成が可能な通常モードに復帰する。
図3は、ヒータ制御回路20の詳細と該ヒータ制御回路20に関わる各部の機能構成を示す模式図である。図3に示すようにヒータ制御回路20は、除湿ヒータ71に対するサーモスタット21と、除湿ヒータ72に対するサーモスタット22と、切替部23とを備える。
【0023】
サーモスタット21は、加熱装置又は冷却装置の作動及び停止の切り替えを行うことで除湿ヒータ71の温度を一定に保つための装置である。サーモスタット21によって一定に保たれる除湿ヒータ71の温度と、サーモスタット22によって一定に保たれる除湿ヒータ72の温度とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0024】
切替部23は、除湿ヒータ71及び除湿ヒータ72に対する通電のオン、オフを切り替えるための回路である。切替部23は、スイッチ231と、セット用コイル232と、リセット用コイル233と、を含むラッチングリレーである。スイッチ231は、除湿ヒータ71及び除湿ヒータ72に対して交流電源ACを供給する電源ライン24に介挿される。スイッチ231は、除湿ヒータ71のサーモスタット21と、除湿ヒータ72のサーモスタット22とを並列に接続するa端子と、開放されたb端子とを含む。スイッチ231は、セット用コイル232に電流が流れるとa端子と接続する。そしてスイッチ231は、電流が途絶えてもその状態を維持する。またスイッチ231は、リセット用コイル233に電流が流れるとb端子と接続する。そしてスイッチ231は、電流が途絶えても、その状態を維持する。スイッチ231がa端子に接続することにより、除湿ヒータ71及び除湿ヒータ72は、それぞれサーモスタット21及びサーモスタット22を介して交流電源ACに接続される。すなわち、除湿ヒータ71及び除湿ヒータ72に対する通電がオンとなる。スイッチ231がb端子に接続されることにより、電源ライン24が切断される。すなわち、除湿ヒータ71及び除湿ヒータ72に対する通電がオフとなる。
【0025】
プロセッサ11は、設定部111及び制御部112としての機能を有する。
設定部111は、ネットワーク通信が有効な状態の省電力モードであるスリープモードを設定する機能である。設定部111は、スキャナ101及びプリンタ102が通電されている通常モードにおいて、何ら操作されない状態が所定時間を経過すると、動作モードを通常モードからスリープモードへと切り替える。また設定部111は、通常モードにおいて、節電ボタンSEが入力された場合も、動作モードを通常モードからスリープモードへと切り替える。かくして設定部111は、スリープモードを設定する。スリープモードが設定されることにより、スキャナ101及びプリンタ102への通電がオフとなるため、消費電力が低減される。
【0026】
制御部112は、スリープモードが設定された状態で通信インターフェース14を介して第1信号Saを受信すると、スリープモードを一旦解除する。そして制御部112は、切替部23のセット用コイル232に電流を流してスイッチ231をa端子に接続する。すなわち制御部112は、切替部23を除湿ヒータ71,72に対する通電がオンするように切り替える。しかる後、制御部112は、スリープモードに移行するように設定部111を制御する。また制御部112は、通信インターフェース14を介して第2信号Sbを受信すると、スリープモードを一旦解除する。そして制御部112は、切替部23のリセット用コイル233に電流を流してスイッチ231をb端子に接続する。すなわち制御部112は、切替部23を除湿ヒータ71,72に対する通電がオフするように切り替える。しかる後、制御部112は、スリープモードに移行するように設定部111を制御する。
【0027】
第1信号Sa及び第2信号Sbは、ルームエアコン60のネットワーク通信機能により送信される信号である。第1信号Saは、結露の発生条件を満足することを通知するための信号である。第2信号Sbは、結露の回避条件を満足することを通知する信号である。ルームエアコン60から送信された第1信号Sa及び第2信号Sbは、ハブ30を経由して通信インターフェース14で受信される。
【0028】
ルームエアコン60は、第1信号Sa及び第2信号Sbを送信するために、温度センサ601、湿度センサ602、判定部603及び出力部604を有する。温度センサ601は、ルームエアコン60が設置されているワークスペースの室内温度を計測する。湿度センサ602は、同ワークスペースの室内湿度を計測する。
【0029】
判定部603は、結露の発生条件を満足するか否か、及び、結露の回避条件を満足するか否かを判定する。結露の発生条件は、例えば以下の3通りである。
発生条件1…リモコン61によって設定された設定温度が、温度センサ601によって計測されている室内温度よりも高い場合。
発生条件2…リモコン61によって設定された設定温度が、温度センサ601によって計測されている室内温度よりも所定の温度以上高い場合。所定の温度は任意である。
発生条件3…リモコン61によって設定された設定温度が、温度センサ601によって計測されている室内温度よりも高く、湿度センサ602によって計測されている室内湿度が所定の湿度よりも高い場合。所定の湿度は任意である。
【0030】
これらの発生条件を満足する場合、ルームエアコン60と同じワークスペース内に設置されている複合機10においても、例えばスキャナ101が備える原稿台ガラス104のガラス面、あるいはプリンタ102が備える感光体ドラムの表面等に結露が発生する可能性がある。
【0031】
一方、結露の回避条件は、例えば以下の3通りである。
回避条件1…温度センサ601によって計測されている室内温度が設定温度まで上昇した場合。
回避条件2…温度センサ601によって計測されている室内温度が設定温度まで上昇してから所定の時間が経過した場合。所定の時間は任意である。
【0032】
回避条件3…第1信号を出力してから所定の時間が経過した場合。所定の時間は任意である。
【0033】
これらの回避条件を満足する場合、ルームエアコン60と同じワークスペース内に設置されている複合機10においても、結露が発生する可能性は略ない。
【0034】
出力部604は、判定部603において発生条件を満足すると判定された場合、結露発生条件を満足することを通知する第1信号Saを複合機10へと出力する。また出力部604は、判定部603において回避条件を満足すると判定された場合、結露回避条件を満足することを通知する第2信号Sbを複合機10へと出力する。
【0035】
次に、図4乃至図6を参照して、ルームエアコン60と複合機10の本実施形態に係る動作の一例について詳細に説明する。図4は、ルームエアコン60における判定部603の動作を説明するための流れ図である。図5は、複合機10における制御部112の動作を説明するための流れ図である。図6は、ルームエアコン60から出力される第1信号Sa及び第2信号Sbに対する複合機10、切替部23、除湿ヒータ71及び除湿ヒータ72のそれぞれの状態を示すタイミング図である。なお、前提として、複合機10は、設定部111によりスリープモードが設定されていると仮定する。
【0036】
はじめに、判定部603の動作について説明する。
【0037】
リモコン61からの指令によりルームエアコン60が起動すると、判定部603は、図4のACT1として温度センサ601によって測定されている室内温度と、湿度センサ602によって測定されている室内湿度とを取得する。また判定部603は、ACT2としてリモコン61によって設定された室内の設定温度を取得する。そして室内温度、室内湿度及び設定温度を取得した判定部603は、ACT3へと進む。
【0038】
判定部603は、ACT3として結露の発生条件を満足するか否かを判定する。例えば判定部603は、前述した発生条件1を満足するか否かを判定する。判定部603は、前述した発生条件2又は発生条件3を満足するか否かを判定してもよい。どの発生条件を採用するかは任意である。予め採用する発生条件を決めておけばよい。
【0039】
判定部603は、ACT4として結露発生条件の判定結果を得る。判定結果が「満足しない」であった場合には、判定部603は、ACT4からACT10へと進む。ACT10の処理については後述する。
【0040】
判定結果が「満足する」であった場合には、判定部603は、ACT4からACT5へと進む。判定部603は、ACT5として出力部604に対して第1信号Saを出力するように指令する。この指令を受けて、出力部604は、第1信号Saを出力する。出力部604から出力された第1信号Saは、ハブ30を経由して複合機10の通信インターフェース14で受信される。
【0041】
第1信号Saの出力を制御した判定部603は、ACT6へと進む。判定部603は、ACT6として温度センサ601によって測定されている室内温度と、湿度センサ602によって測定されている室内湿度とを取得する。そして判定部603は、ACT7として結露の回避条件を満足するか否かを判定する。例えば判定部603は、前述した回避条件1を満足するか否かを判定する。判定部603は、前述した回避条件2又は回避条件3を満足するか否かを判定してもよい。どの回避条件を採用するかは任意である。予め採用する回避条件を決めておけばよい。
【0042】
判定部603は、ACT8として結露回避条件の判定結果を得る。判定結果が「満足しない」であった場合には、判定部603は、ACT8からACT6へと戻る。すなわち判定部603は、室内温度と室内湿度とを取得し、結露の回避条件を満足するのを待ち受ける。そして、判定結果が「満足する」となった場合、判定部603は、ACT8からACT9へと進む。判定部603は、ACT9として出力部604に対して第2信号Sbを出力するように指令する。この指令を受けて、出力部604は、第2信号Sbを出力する。出力部604から出力された第2信号Sbは、ハブ30を経由して複合機10の通信インターフェース14で受信される。
【0043】
第2信号Sbの出力を制御した判定部603は、ACT10へと進む。すなわち判定部603は、結露発生条件を満足しないか、結露発生条件を満足した後に結露回避条件を満足すると、ACT10へと進む。判定部603は、ACT10としてリモコン61により設定温度が変更されるのを待ち受ける。設定温度が変更されると、判定部603は、ACT1へと戻る。判定部603は、ACT1以降の処理を前述したのと同様に実行する。すなわち判定部603は、結露の発生条件を満足しない場合には、リモコン61による設定温度の変更を待ち受ける。判定部603は、結露の発生条件を満足する場合には、第1信号Saを出力するように出力部604を制御する。そしてその後は、結露の回避条件が満足するのを待ち受け、回避条件を満足すると、第2信号Sbを出力するように出力部604を制御する。
【0044】
次に、制御部112の動作について説明する。
【0045】
スリープモードに移行した複合機10の制御部112は、図5のACT11として第1信号Saを受信したか否かを確認する。第1信号Saを受信していない場合、制御部112は、ACT12としてスリープモードが解除されたか否かを確認する。スリープモードが解除されていない場合、制御部112は、ACT11へと戻る。このように制御部112は、ACT11及びACT12において第1信号Saを受信するかスリープモードが解除されるのを待ち受ける。
【0046】
ACT11及びACT12の待ち受け状態において、操作ボタン108の節電ボタンSEが操作されてスリープモードが解除されると、制御部112は、図5の流れ図に示す手順の動作を終了する。
【0047】
これに対し、ACT11及びACT12の待ち受け状態において、通信インターフェース14で第1信号Saを受信すると、制御部112は、ACT11からACT13へと進む。制御部112は、ACT13としてスリープモードを一旦解除する。そして制御部112は、ACT14として切替部23をオンする。すなわち制御部112は、ラッチングリレーのセット用コイル232に電流を流して、スイッチ231の接続先をb接点からa接点に切り替える。しかる後、制御部112は、ACT15としてスリープモードに移行するように設定部111を制御する。因みに、スリープモードではラッチングリレーのセット用コイル232に電流を流すことができない。このため、ACT13において、スリープモードを解除している。
【0048】
図6に示すように、ルームエアコン60の出力部604の作用により、時点taにおいて第1信号Saが出力されると、複合機10においては、設定部111によって設定されていたスリープモード(SM)が一時的に解除される。そして、このスリープモード(SM)が解除されている期間内の時点tbにおいて切替部23がオンする。切替部23がオンすると、除湿ヒータ71及び除湿ヒータ72に対して通電が開始される。
【0049】
切替部23がオンした後、設定部111によってスリープモード(SM)が再度設定される。しかし、切替部23のオン状態は、スリープモード(SM)に移行しても継続される。したがって、除湿ヒータ71及び除湿ヒータ72に対する通電オン状態は継続されるので、除湿ヒータ71及び除湿ヒータ72は、それぞれサーモスタット21及びサーモスタット22により制御されて温度が一定に保たれる。その結果、除湿ヒータ71によってスキャナ101の原稿台ガラス104の近傍が加熱により除湿されるので、原稿台ガラス104のガラス面が結露するおそれはない。また、除湿ヒータ72によってプリンタ102の感光体ドラムの近傍が加熱により除湿されるので、感光体ドラムの表面が結露するおそれはない。
【0050】
図5の説明に戻る。
ACT15においてスリープモードの設定を制御した制御部112は、ACT16へと進む。制御部112は、ACT16として第2信号Sbを受信したか否かを確認する。第2信号Sbを受信していない場合、制御部112は、ACT17としてスリープモードが解除されたか否かを確認する。スリープモードが解除されていない場合、制御部112は、ACT16へと戻る。このように制御部112は、ACT16及びACT17において第2信号Sbを受信するかスリープモードが解除されるのを待ち受ける。
【0051】
ACT16及びACT17の待ち受け状態において、操作ボタン108の節電ボタンSEが操作されてスリープモードが解除されると、制御部112は、ACT17からACT18へと進む。制御部112は、ACT18として切替部23をオフする。すなわち制御部112は、ラッチングリレーのリセット用コイル233に電流を流して、スイッチ231の接続先をa接点からb接点に切り替える。以上で、制御部112は、図5の流れ図に示す手順の動作を終了する。
【0052】
これに対し、ACT16及びACT17の待ち受け状態において、通信インターフェース14で第2信号Sbを受信すると、制御部112は、ACT16からACT19へと進む。制御部112は、ACT19としてスリープモードを一旦解除する。そして制御部112は、ACT20として切替部23をオフする。すなわち制御部112は、ラッチングリレーのリセット用コイル233に電流を流して、スイッチ231の接続先をa接点からb接点に切り替える。しかる後、制御部112は、ACT21としてスリープモードに移行するように設定部111を制御する。因みに、スリープモードではラッチングリレーのリセット用コイル233に電流を流すことができない。このため、ACT19において、スリープモードを解除している。
【0053】
図6に示すように、ルームエアコン60の出力部604の作用により、時点tcにおいて第2信号Sbが出力されると、複合機10においては、設定部111によって設定されていたスリープモード(SM)が一時的に解除される。そして、このスリープモード(SM)が解除されている期間内の時点tdにおいて切替部23がオフする。切替部23がオフすると、除湿ヒータ71及び除湿ヒータ72に対する通電が停止する。
【0054】
そして、切替部23のオフ状態は、スリープモード(SM)に移行しても継続される。したがって、除湿ヒータ71及び除湿ヒータ72に対する通電オフの状態はスリープモードでも継続される。このとき、複合機10が設置されているワークスペースの温湿度環境は。結露が発生する環境ではない。したがって、除湿ヒータ71及び除湿ヒータ72を通電する必要はないので、電力が無駄に消費されることはない。
【0055】
図5の説明に戻る。
ACT21においてスリープモードの再設定を制御した制御部112は、ACT11へと戻る。制御部112は、ACT11及びACT12の待ち受け状態となる。この待ち受け状態において、再び第1信号Saを受信すると、制御部112は、ACT13乃至ACT21の処理を前述したのと同様に実行する。一方、ACT11及びACT12の待ち受け状態においてスリープモードが解除されると、制御部112図5の流れ図に示す手順の動作を終了する。
【0056】
なお、スリープモードが解除されて動作モードが通常モードになると、制御部112は、通信インターフェース14を介して第1信号Sa又は第2信号Sbを受信しても動作しない。
【0057】
以上詳述したように、複合機10の除湿ヒータ71及び除湿ヒータ72に対して通電が行われるのは、結露の発生条件を満足する期間内に限定される。結露の回避条件を満足すると、除湿ヒータ71及び除湿ヒータ72に対して通電は行われなくなる。したがって、結露が発生する環境下でないにも拘らず除湿ヒータ71及び除湿ヒータ72を連続して通電して、電力を無駄に消費するのを防ぐことができる。その結果、省電力化を図りつつ除湿ヒータ71及び除湿ヒータ72を適切に動作させて結露の発生を防ぎ、結露による画像読取りまたは画像形成の品質の低下を未然に防止できる複合機10を提供することができる。
【0058】
以上、省電力化を図りつつ除湿ヒータを動作させて結露の発生を防ぎ、結露による画像読取りまたは画像形成の品質の低下を未然に防止できる画像形成装置の実施形態について説明したが、かかる実施形態はこれに限定されるものではない。
【0059】
例えば、前記実施形態は、除湿ヒータ71及び除湿ヒータ72を、画像読取部であるスキャナ101と画像形成部であるプリンタ102の各近傍にそれぞれ設けたが、除湿ヒータ72の取付場所は特に限定されるものではない。画像形成装置の本体内で結露発生条件を満足する場合に結露が発生しやすい場所に設けられていればよい。また、給紙カセット106に収容されている用紙の湿気を防ぐために給紙カセット106の近傍に除湿ヒータを設けた複合機がある。このような複合機の除湿ヒータについても、前記実施形態と同様に通電のオン,オフを制御することで、省電力化の効果を奏し得る。
【0060】
前記実施形態では、結露の発生条件及び回避条件をそれぞれ3通り例示したが、発生条件及び回避条件はこれらに限定されるものではない。複合機10の設置環境等を考慮して適切な発生条件及び回避条件を設定すればよい。
【0061】
前記実施形態では、第1信号Sa及び第2信号Sbを出力する温度調節装置としてルームエアコン60を例示したが、温度調節装置はルームエアコン60に限定されない。例えば温度調節装置は、室内の温度及び湿度の調節のみならず、空気清浄、換気、気流の調整等を行う空調機等であってもよい。
【0062】
画像形成装置は、複合機10に限定されない。単機能の複写機、プリンタ、スキャナ等であって、除湿ヒータを備えた画像形成装置に対しても、前記実施形態と同様な構成を採用することができる。
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
10…複合機、11…プロセッサ、12…メインメモリ、13…補助記憶デバイス、14…通信インターフェース、15…システム伝送路、20…ヒータ制御回路、30…ハブ、40…ルータ、50…LAN、60…ルームエアコン、71,72…除湿ヒータ、101…スキャナ、102…プリンタ、103…操作パネル、104…原稿台ガラス、105…ADF、106…給紙カセット、107…タッチパネル、108…操作ボタン、SE…節電ボタン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6