IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社JVCケンウッドの特許一覧

特開2024-131147情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
<>
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法およびプログラム 図1
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法およびプログラム 図2
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法およびプログラム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131147
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/372 20210101AFI20240920BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61B5/372
G06F3/01 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041238
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島倉 孝満
【テーマコード(参考)】
4C127
5E555
【Fターム(参考)】
4C127AA03
4C127FF02
4C127GG10
5E555AA61
5E555BA38
5E555BB38
5E555BC09
5E555CA41
5E555CB47
5E555CB69
5E555CB70
5E555CB74
5E555DA40
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】複数の対象者の間で必要な情報だけを共有可能とする。
【解決手段】対象者の脳情報を取得する脳情報取得部と、脳情報取得部が取得した脳情報から特定情報だけを選択するフィルタ部と、フィルタ部で選択された特定情報を対象者に出力する出力部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の脳情報を取得する脳情報取得部と、
前記脳情報取得部が取得した脳情報から特定情報だけを選択するフィルタ部と、
前記フィルタ部で選択された特定情報を対象者に出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記フィルタ部は、脳情報を取得する第1対象者の脳情報と、前記特定情報を出力する第2対象者の脳情報との類似性に基づいて前記特定情報だけを選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記フィルタ部は、脳情報を取得する第1対象者の脳情報と、前記特定情報を出力する複数の第2対象者の脳情報との類似性に基づいて複数の第2対象者から前記特定情報を出力する第2対象者を選択する、
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
対象者の脳情報を取得するステップと、
取得した脳情報から特定情報だけを選択するステップと、
選択された特定情報を対象者に出力するステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項5】
対象者の脳情報を取得するステップと、
取得した脳情報から特定情報だけを選択するステップと、
選択された特定情報を対象者に出力するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、脳内活性化情報を計測する技術が発達し、脳と外部のインターフェースであるブレインマシンインターフェースの技術が現実的となりつつある。下記特許文献1には、複数の五感刺激手段とそれらの感覚に対する刺激の種類の対応関係を記憶し、相互に関連をもつ複数の感覚に対する刺激をプレーヤーに同時に与え、五感刺激手段を制御して2種類以上の刺激をプレーヤーに対して提供させ、少なくとも1種類を選択入力可能にして、これらの感覚の間の関連性をプレーヤーに選択させるという脳活性化のための訓練に適した脳活性化することについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-279190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1では、自分の脳活動を利用することができても、他人の脳活動を共有したり、制御したりすることについて記載されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の対象者の間で必要な情報だけを共有可能とする情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、対象者の脳情報を取得する脳情報取得部と、前記脳情報取得部が取得した脳情報から特定情報だけを選択するフィルタ部と、前記フィルタ部で選択された特定情報を対象者に出力する出力部と、を備える。
【0007】
本発明に係る情報処理方法は、対象者の脳情報を取得するステップと、取得した脳情報から特定情報だけを選択するステップと、選択された特定情報を対象者に出力するステップと、を含む。
【0008】
本発明に係るプログラムは、対象者の脳情報を取得するステップと、取得した脳情報から特定情報だけを選択するステップと、選択された特定情報を対象者に出力するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の対象者の間で必要な情報だけを共有することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る情報処理装置を表すブロック構成図である。
図2図2は、フィルタ部を表すブロック構成図である。
図3図3は、本実施形態に係る情報処理方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る情報処理装置、情報処理方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
[第1実施形態]
<情報処理装置>
図1は、第1実施形態に係る情報処理装置を表すブロック構成図である。
【0013】
図1に示すように、情報処理装置10は、複数のユーザ(対象者)との間で情報の共有化を図るものである。情報処理装置10は、第1のユーザから取得した脳情報を含まれる特定の情報だけを第2のユーザに出力して情報の共有化を図るものである。なお、以下の説明では、第1のユーザを1名とし、第2のユーザを2名として説明するが、第2のユーザの人数は、1人または3人以上であってもよい。
【0014】
情報処理装置10は、入力部11と、脳電極(計測部、出力部)12A,12B,12Cと、制御部13とを備える。
【0015】
入力部11は、制御部13に接続される。入力部11は、ユーザが操作可能であり、各種の信号を制御部13に入力可能である。入力部11は、例えば、脳情報の共有化を図る操作を実行させるための操作制御を開始する開始信号や脳情報の共有化を図る操作を実行させるための操作制御を終了するための終了信号を制御部13に入力する。入力部11は、例えば、タッチパネル、ボタン、スイッチ、キーボードなどにより実現することができる。
【0016】
脳電極12A,12B,12Cは、計測部および出力部として機能する。脳電極12A,12B,12Cは、ユーザA,B,Cが装着するものである。脳電極12Aは、ユーザAの頭部に装着される。脳電極12Bは、ユーザBの頭部に装着される。脳電極12Cは、ユーザCの頭部に装着される。
【0017】
脳電極12A,12B,12Cは、ユーザの脳情報である脳波を取得する計測部として機能する。脳電極12A,12B,12Cは、ユーザの脳に対して脳情報である脳波を出力する出力部として機能する。脳電極12A,12B,12Cは、例えば、侵襲式の電極である。脳電極12A,12B,12Cは、脳の神経ネットワークに流れる微弱な電流から出る脳波を検出する。脳電極12A,12B,12Cは、ユーザが外部から刺激を受けたときや、ユーザの思念などの思考に基づく、微弱な電流の電位(電気信号)を検出する。また、脳電極12A,12B,12Cは、脳波を微弱な電流として脳の神経ネットワークに流して刺激する。脳電極12A,12B,12Cは、ユーザに対して外部における事象に基づく微弱な電流の電位(電気信号)を付与する。
【0018】
ユーザA,B,Cの各脳電極12A,12B,12Cは、それぞれ制御部13に接続される。制御部13は、脳電極12A,12B,12Cに対して脳情報のやり取りを行う。すなわち、制御部13は、脳電極12A,12B,12Cが取得した脳波の電気信号が入力する。また、制御部13は、脳電極12A,12B,12Cに対して脳波の電気信号を出力する。
【0019】
また、脳電極12A,12B,12Cは、脳波を微弱な電流として脳の神経ネットワークに流して刺激するとしたがこれに限定されない。情報処理装置10は、さらにTMS(Transcranial Magnetic Stimulation)装置を備えており、このTMS装置によって発生する磁気により脳の神経ネットワークへ刺激を提供してもよい。
【0020】
制御部13は、入力部11と、ユーザA,B,Cの脳電極12A,12B,12Cが接続される。制御部13は、入力部11および脳電極12A,12B,12Cから各種の情報が入力されると共に、脳電極12A,12B,12Cに各種の情報を出力する。制御部13は、脳情報取得部21と、デコーダ22と、エンコーダ23と、フィルタ部24と、記憶部25とを有する。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算回路によって構成される。
【0021】
脳情報取得部21は、ユーザA,B,Cの脳情報を取得する。脳情報取得部21は、脳電極12A,12B,12Cが検出したユーザの脳波の電気信号を取得する。
【0022】
脳情報取得部21は、デコーダ22に接続される。デコーダ22は、脳電極12A,12B,12Cが脳細胞から検出し、脳情報取得部21が取得したユーザA,B,Cの脳波の電気信号を全てのユーザA,B,Cの共通の形式である体験符号に変換する。この場合、事前に、ユーザA,B,Cの脳波の複数の電気信号とユーザの思考情報との関係を紐付けておく。例えば、ディープラーニング(深層学習)などによる機械学習を用いて、脳波の電気信号とユーザの思考情報である体験符号との関係を紐付ける。
【0023】
エンコーダ23は、全てのユーザA,B,Cの共通の形式である体験符号をユーザA,B,Cの脳細胞に出力する脳波の電気信号に変換する。この場合、事前に、全てのユーザA,B,Cの共通の形式である体験符号とユーザA,B,Cの脳波の複数の電気信号との関係を、ディープラーニング(深層学習)などによる機械学習を用いて紐付ける。
【0024】
フィルタ部24は、脳情報取得部21が取得したユーザA,B,Cの脳情報(体験符号)から特定情報だけを選択して出力する。フィルタ部24は、例えば、脳情報を取得する側のユーザA(第1対象者)の脳情報と、特定情報を出力する側のユーザB,C(第2対象者)の脳情報との類似性に基づいて特定情報だけを選択する。また、フィルタ部24は、脳情報を取得する側のユーザA(第1対象者)の脳情報と、特定情報を出力する側の複数のユーザB,C(第2対象者)の脳情報との類似性に基づいて複数のユーザB,Cから特定情報を出力するユーザB,Cを選択する。
【0025】
具体的に、デコーダ22は、ユーザA,B,Cの脳波の電気信号を全てのユーザA,B,Cの共通の形式である第1体験符号に変換し、フィルタ部24は、デコーダ22が変換した体験符号を加工して特定情報だけを選択した第2体験符号を生成する。エンコーダ23は、フィルタ部24が生成した特定情報を含んだ第2体験符号をユーザA,B,Cの脳波の電気信号に変換し、脳電極12A,12B,12Cに出力する。
【0026】
なお、フィルタ部24の具体的な構成については、後述する。
【0027】
記憶部25は、制御部13が操作制御を行うためのプログラムが格納される。なお、記憶部25は、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置やメモリなどである。記憶部16は、制御部13が各種の判定処理に用いるしきい値などを記憶する。
【0028】
<フィルタ部>
図2は、フィルタ部を表すブロック構成図である。
【0029】
図1および図2に示すように、フィルタ部24は、例えば、脳情報を取得する側のユーザAの脳情報としての第1体験符号を加工して第2体験符号を生成し、特定情報を出力する側のユーザB,Cに対して第2体験符号を出力する。
【0030】
フィルタ部24は、タグデコーダ31と、タグフィルタ32と、タグエンコーダ33とを有する。
【0031】
タグデコーダ31は、第1体験符号を一部が可読な形式であるタグデータに変換する。タグフィルタ32は、タグデコーダ31が出力したタグデータを加工する。タグエンコーダ33は、タグフィルタ32が出力したタグデータを第2体験符号に変換する。
【0032】
タグフィルタ32は、第1体験符号における変更すべき箇所を指定するデータである変更フラグと、変更すべき内容を示す変更情報と、変更フラグが指定した箇所のみを変更情報で上書きする変更部から構成される。例えば、第1体験符号として複数の情報S1,S2,S3,S4,S5から構成されるものとする。タグフィルタ32は、複数の情報S1,S2,S3,S4,S5から所定の情報S4,S5を除く特定の情報S1,S2,S3にタグを付けて出力する。そのため、第2体験符号は、特定の情報S1,S2,S3から構成されるものとなる。
【0033】
この場合、タグフィルタ32は、例えば、ユーザAの体験符号とユーザB,Cの体験符号との間で、関連性が高い情報S1,S2,S3だけを選択する。タグフィルタ32は、ユーザAの体験符号とユーザB,Cの体験符号との間で、関連性が高いユーザB,Cを選択する。
【0034】
なお、制御部13のデコーダ22が機械学習するとき、第1のユーザAが複数のテストコンテンツを体験しているときの脳波を、テストコンテンツを復元可能でより小さいデータに変換するように機械学習した体験エンコーダの出力である第1体験符号に変換するように機械学習する。
【0035】
一方、制御部13のエンコーダ23が機械学習するとき、テストコンテンツを第2のユーザB,Cが体験しているときの脳波を、第1体験符号から第2体験符号に変換するように機械学習する。
【0036】
ここで、テストコンテンツは、映像コンテンツ、指示コンテンツなど、ユーザA,B,Cに所定の体験をさせるものである。
【0037】
また、タグデータは、テストコンテンツに特定の人、例えば、「おばあさん」が出てきたことを示す「おばあさんフラグ」を含んでもよい。第1のユーザAが「おばあさん」を見たとき、第1のユーザAの脳にある「おばあさん細胞」が発火し、デコーダ22が出力する第1体験符号をタグデコーダでデコードすると、「おばあさんフラグ」が立つ。また、フィルタ部24は、「おばあさんフラグ」を下ろすように変更してから、エンコーダ23に出力すると、第2のユーザB,Cは、「おばあさん」を認識しない。
【0038】
なお、タグフィルタ32は、特定の情報以外をクリアするように構成してもよい。タグフィルタ32は、例えば、楽器演奏に関係ない情報をクリアするように構成することで、腰痛の人が楽器演奏の体験を共有するとき、腰痛まで共有せずに済む。また、タグフィルタ32は、刺激と反応のうちの片方をクリアするように構成することで、刺激または反応だけを取り出すことができる。また、タグフィルタ32は、特定の情報を強調するように構成してもよい。タグフィルタ32は、例えば、感動を強調するように構成すると、第2のユーザは、より多くの感動を体験することができる。
【0039】
すなわち、特定情報とは、一方のユーザの脳の電気信号から抽出される情報と、他方のユーザの脳の電気信号から抽出される情報とにおいて、それぞれのユーザで共通する情報又は共通しない情報を意味する。さらに特定情報は、予め設定した情報であってもよい。
【0040】
<情報処理方法>
図3は、本実施形態に係る情報処理法を表すフローチャートである。
【0041】
図1および図3に示すように、ステップS11にて、脳情報取得部21は、脳電極12A,12B,12Cが検出したユーザA,B,Cの脳波の電気信号を取得する。ステップS12にて、デコーダ22は、脳情報取得部21が取得したユーザA,B,Cの脳波の電気信号を全てのユーザA,B,Cの共通の形式である体験符号に変換する。
【0042】
ステップS13にて、フィルタ部24は、例えば、デコーダ22が変換したユーザAの第1体験符号を加工し、特定情報だけを選択した第2体験符号を生成する。すなわち、フィルタ部24にて、タグデコーダ31は、第1体験符号を一部が可読な形式であるタグデータに変換し、タグフィルタ32は、タグデコーダ31が出力したタグデータを加工し、タグエンコーダ33は、タグフィルタ32が出力したタグデータを第2体験符号に変換する。具体的に、タグフィルタ32は、第1体験符号として複数の情報S1,S2,S3,S4,S5から不要な情報S4,S5を除く特定の情報S1,S2,S3だけの第2体験符号を生成する。
【0043】
ステップS14にて、エンコーダ23は、フィルタ部24が生成した特定情報を含んだ第2体験符号をユーザA,B,Cの脳波の電気信号に変換する。そして、ステップS15にて、エンコーダ23は、ユーザA,B,Cの脳電極12A,12B,12Cに出力する。
【0044】
この場合、フィルタ部24は、ユーザA,B,Cの第1体験符号のうち、共通しない情報を除去し、共通する情報だけの第2体験符号を通過させたが、共通する情報を除去し、共通しない情報だけの第2体験符号を通過させてもよい。例えば、第1のユーザAと第2のユーザB,Cが野球の話をしているとき、雨が降ってきたとする。このとき、第1のユーザAと第2のユーザBは、野球に関する体験符号と、雨に関する体験符号と、呼吸に関する体験符号と、心拍に関する体験符号が第1体験符号として出力される。一方、野球の話をしていない第3のユーザCからは、雨に関する体験符号と、呼吸に関する体験符号と、心拍に関する体験符号が出力される。この場合、雨に関する体験符号と、呼吸に関する体験符号と、心拍に関する体験符号が第1体験符号として出力され、野球に関する体験符号が含まれない。そのため、ユーザA,B,Cの間で、雨に関する情報と、呼吸に関する情報と、心拍に関する情報を共有してもよいし、野球に関する情報を共有してもよい。
【0045】
具体的に、ユーザA,B,Cは、脳電極12A,12B,12Cを装着している。制御部13としてのサーバであるが、制御部13の脳情報取得部21は、脳電極12A,12B,12CからユーザA,B,Cの脳波の電気信号を取得する。脳情報取得部21は、ユーザA,B,Cの脳波の電気信号をフィルタ部24へ送信し、フィルタ部24は、ユーザAの脳波の情報に基づいて出力する電磁波を決定する。すなわち、フィルタ部24は、ユーザA,B,Cの第1体験符号に基づいて、ユーザB,Cへ出力する作業指令(第2体験符号)を生成する。
【0046】
フィルタ部24は、次に、複数のユーザA,B,Cのうち、どのユーザへ送信するかを決定する。フィルタ部24は、他方のユーザB、Cの脳波を取得しており、作業指令(第1体験符号または第2体験符号)の脳波がもっとも類似するユーザを選択する。そして、フィルタ部24は、選択したユーザへ作業指令(第2体験符号)を送信する。
【0047】
なお、脳波の類似度は、脳波を評価し、最も分類上誤差が少ない脳波を類似とすればよい。例えば、脳の活性度(活性/不活性)、快/不快度の4象限のうち、ユーザAともっとも近いユーザBへ作業指令(第2体験符号)を送信する。
【0048】
具体的に、ユーザの脳状態である活性度(不活性度)や快適度(不快度)の判定には種々の技術を用いればよい。例えば、フィルタ部24は、脳情報取得部21が取得したユーザの脳波の電気信号のうち、脳の関心領域のθ帯域の反応(EEGの電気信号)を測定し快適度(不快度)を算出すればよい。また、フィルタ部24は、脳情報取得部21が取得したユーザの脳波の電気信号のうち、脳の関心領域のβ帯域の反応(EEGの電気信号)を測定し活性度(不活性度)を算出すればよい。また、脳波の類似度は、一方のユーザの脳の活性度および快/不快度を算出した結果、他方のユーザが同様の脳の活性度および快/不快度の有するか否かによって判定してもよい。例えば、ユーザAの脳が活性かつ快であった場合に、同様の算出結果(脳が活性かつ快)となったユーザBへ作業指令(第2体験符号)を送信する。または一方のユーザの脳の活性度および快/不快度の数値にもっとも近似する他方のユーザへ作業指令(第2体験符号)を送信する。このような方法により、ユーザAと心情が最も近いユーザBへ作業指令(第2体験符号)を送信することができ、共感し合える環境下で脳内ネットワークを共有することができる。
【0049】
また、フィルタ部24は、最も近い脳波のユーザを送信先に選んだが、最も遠い脳波のユーザを送信先として選択してもよい。この方法により、多様な環境下で脳内ネットワークを共有できる。さらに、フィルタ部24は、作業指令(第2体験符号)の内容を分類して送信先を決定してもよい。ユーザAの作業指令が「野球の話をしたい」であった場合に、「野球」のキーワードを想起しているユーザを選択対象にすればよい。例えば、脳電極12A,12B,12Cから脳波を取得し、脳波からユーザが発言しようとする内容を推測することが可能であることから、脳波から言語へ変換し、野球というキーワードを拾いあげる。この方法により、検索を行うことができる。
【0050】
なお、脳波による作業指令から作業内容を分類し、その作業に適した脳波を出力するユーザに作業指令を送信してもよい。例えば、ユーザAが「議事録をとる」との作業指令を出力したとする。この指令は、分類上、「文章の記載」に該当したとする。「文章の記載」に適する脳波を出力するユーザ(例えば、脳の状況がある程度不活性)に対して作業指令を出力する。また、ユーザAが「議論したい」と作業指令を出したとする。この指令は、分類上、「会話」に該当したとする。「会話」に適する脳波を出力するユーザ(例えば、脳の状況がある程度活性)に作業指令を送る。
【0051】
なお、タグデータの要素はあらかじめ用意された刺激である標準刺激(犬の画像、猫の画像、甘い香り、酸っぱい香り、手の触覚など)に対する反応量とし、タグデコーダを作成する際はあるユーザに標準刺激を与えた時の体験符号から各標準刺激の確率を推定するように学習し、タグエンコーダを作成する際は各標準刺激の確率から体験符号を推定するように学習するように構成しても良い。
【0052】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の情報処理装置は、ユーザ(対象者)の脳情報を取得する脳情報取得部21と、脳情報取得部21が取得した脳情報から特定情報だけを選択するフィルタ部24と、フィルタ部24で選択された特定情報を対象者に出力するエンコーダ(出力部)23とを備える。
【0053】
そのため、フィルタ部24は、第1のユーザの脳情報から選択した特定情報だけを第2のユーザに出力することとなり、複数の対象者の間で必要な情報だけを共有することができる。
【0054】
本実施形態の情報処理装置は、フィルタ部24は、脳情報を取得する第1のユーザ(第1対象者)の脳情報と、特定情報を出力する第2のユーザ(第2対象者)の脳情報との類似性に基づいて特定情報だけを選択する。そのため、第1のユーザと第2のユーザとの類似性に基づいて特定情報を容易に選択することができる。
【0055】
本実施形態の情報処理装置は、フィルタ部24は、脳情報を取得する第1のユーザ(第1対象者)の脳情報と、特定情報を出力する複数の第2のユーザ(第2対象者)の脳情報との類似性に基づいての複数の第2のユーザから特定情報を出力する第2のユーザを選択する。そのため、第1のユーザと第2のユーザとの類似性に基づいて特定情報を送信するユーザを容易に選択することができる。
【0056】
これまで本発明に係る情報処理装置について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。
【0057】
図示した情報処理装置の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0058】
情報処理装置の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0059】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 情報処理装置
11 入力部
12A,12B,12C 脳電極(計測部、出力部)
13 制御部
21 脳情報取得部
22 デコーダ
23 エンコーダ
24 フィルタ部
25 記憶部
31 タグデコーダ
32 タグフィルタ
33 タグエンコーダ
図1
図2
図3