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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131155
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/08 20060101AFI20240920BHJP
   H01H 50/54 20060101ALI20240920BHJP
   H01H 45/08 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01H50/08 H
H01H50/54 B
H01H45/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041247
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】小川 真一
(72)【発明者】
【氏名】川口 直樹
(72)【発明者】
【氏名】堀江 彩太
(57)【要約】
【課題】短絡性能を向上させるために、可動接触片の位置に合わせてバスバーを容易に配置することができる電磁継電器を提供する。
【解決手段】電磁継電器は、ケースと、第1固定端子と、第2固定端子と、可動接触片と、印と、を備える。第1固定端子は、第1固定接点を含む。第1固定接点は、ケース内に配置される。第1固定端子は、ケース内からケース外へ突出する。第2固定端子は、第2固定接点を含む。第2固定接点は、ケース内に配置される。第2固定端子は、ケース内からケース外へ突出する。可動接触片は、ケース内に配置される。可動接触片は、第1固定接点及び第2固定接点に接触する接触位置と、第1固定接点及び第2固定接点から開離する開離位置とに移動可能に設けられる。印は、ケースの外面に設けられる。印は、可動接触片の接触位置を示す。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内に配置される第1固定接点を含み、前記ケース内から前記ケース外へ突出する第1固定端子と、
前記ケース内に配置される第2固定接点を含み、前記ケース内から前記ケース外へ突出する第2固定端子と、
前記ケース内に配置され、前記第1固定接点及び前記第2固定接点に接触する接触位置と、前記第1固定接点及び前記第2固定接点から開離する開離位置とに移動可能に設けられた可動接触片と、
前記ケースの外面に設けられ、前記可動接触片の前記接触位置を示す印と、
を備える電磁継電器。
【請求項2】
前記可動接触片は、前記接触位置と前記開離位置との間で上下方向に移動し、
前記印の少なくとも一部は、前記ケースの外面において、前記接触位置に位置する可動接触片と同じ高さに配置される、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記印は、前記ケースの外面上にプリントされている、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記印は、前記ケースの外面から凹んだ形状を有する、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記印は、前記ケースの外面から突出する凸形状を有する、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記ケースの外面からの前記凸形状の高さは、前記可動接触片の厚さよりも小さい、
請求項5に記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記ケースは、
第1ケースと、
前記第1ケースと別体であり、前記第1ケースに取り付けられる第2ケースと、
を含み、
前記印は、前記第1ケースと前記第2ケースとの境目である、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項8】
前記可動接触片は、前記接触位置と前記開離位置との間で上下方向に移動し、
前記ケースには、前記境目と同じ高さに前記ケースの外面から突出する凸形状が設けられない、
請求項1に記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁継電器には、他の製品と電磁継電器とを接続するためのバスバーが接続されるものがある。例えば、特許文献1の電磁継電器では、第1固定端子に第1バスバーが接続されている。第1バスバーは、第1固定部と第1延設部とを含む。第1固定部は、第1固定端子から側方に延びている。第1延設部は、第1固定部から下方に延びている。第1延設部は、可動接触片の側方を通るように配置されている。
【0003】
上記の電磁継電器では、第1固定端子を流れる電流によって発生する磁界により、第1固定端子から離れる方向へのローレンツ力が、電磁反発力として可動接触片に作用する。このような電磁反発力を抑えるために、可動接触片の側方に第1延設部が配置される。第1延設部において第1固定端子とは逆方向に電流が流れることにより、可動接触片には第1固定端子に向かう方向へのローレンツ力が作用する。それにより、電磁反発力が抑えられることで、電磁継電器における短絡性能が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許7117567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、電磁反発力を抑えるためのローレンツ力を可動接触片に作用させるためには、可動接触片の位置に合わせてバスバーを配置することが重要となる。しかし、電磁継電器の製品において、可動接触片がケースによって覆われている場合には、製品の外部から可動接触片の位置を把握することは困難である。本発明の目的は、短絡性能を向上させるために、可動接触片の位置に合わせてバスバーを容易に配置することができる電磁継電器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電磁継電器は、ケースと、第1固定端子と、第2固定端子と、可動接触片と、印と、を備える。第1固定端子は、第1固定接点を含む。第1固定接点は、ケース内に配置される。第1固定端子は、ケース内からケース外へ突出する。第2固定端子は、第2固定接点を含む。第2固定接点は、ケース内に配置される。第2固定端子は、ケース内からケース外へ突出する。可動接触片は、ケース内に配置される。可動接触片は、接触位置と開離位置とに移動可能に設けられる。可動接触片は、接触位置において、第1固定接点及び第2固定接点に接触する。可動接触片は、開離位置において、第1固定接点及び第2固定接点から開離する。印は、ケースの外面に設けられる。印は、可動接触片の接触位置を示す。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ケースの外面に設けられた印により、ケースの外部から可動接触片の接触位置を把握することができる。そのため、短絡性能を向上させるために、可動接触片の位置に合わせてバスバーを容易に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る電磁継電器の外観斜視図である。
図2】開状態における電磁継電器の断面模式図である。
図3】閉状態における電磁継電器の断面模式図である。
図4】電磁継電器の拡大正面図である。
図5】第1変形例に係る電磁継電器の拡大正面図である。
図6】第2変形例に係る電磁継電器の拡大正面図である。
図7】第3変形例に係る電磁継電器の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る電磁継電器について、図面を参照して説明する。なお、図面を参照するときにおいて、矢印Z1,Z2が指し示す方向が上下方向、矢印X1,X2が差し示す方向が左右方向、矢印Y1,Y2が差し示す方向が前後方向と定義される。詳細には、矢印Z1が指し示す方向が上方向、矢印Z2が指し示す方向が下方向、矢印X1が差し示す方向が左方向、矢印X2が差し示す方向が右方向、矢印Y1が差し示す方向が前方向、矢印Y2が差し示す方向が後方向と定義される。ただし、これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、電磁継電器1の配置方向を限定するものではない。
【0010】
図1は、実施形態に係る電磁継電器1の外観斜視図である。図2は、電磁継電器1の断面模式図である。図1及び図2に示すように、電磁継電器1は、ケース2と、接点装置3と、駆動装置4とを備えている。ケース2は、例えば、セラミック、或いは樹脂などの絶縁性を有する材料で形成されている。或いは、ケース2は、アルミなどの金属材料で形成されてもよい。
【0011】
図1に示すように、ケース2の外面は、電磁継電器1の外部に露出している。ケース2は、天面11と、第1側面12と、第2側面13と、前面14と、後面15とを含む。第1側面12と第2側面13とは、左右方向に互いに離れて配置されている。前面14と後面15とは、前後方向に互いに離れて配置されている。
【0012】
接点装置3は、第1固定端子5と、第2固定端子6と、可動機構7と、可動接触片8と含む。第1固定端子5と第2固定端子6とは、それぞれ例えば円柱形状を有する。第1固定端子5と第2固定端子6とは、それぞれ上下方向に延びている。第1固定端子5と第2固定端子6とは、それぞれケース2の内部から外部に突出している。第1固定端子5と第2固定端子6とは、それぞれ銅などの導電性を有する材料で形成されている。第1固定端子5と第2固定端子6とは、互いに左右方向に離れて配置されている。
【0013】
第1固定端子5は、第1固定接点16を含む。第1固定接点16は、第1固定端子5の下端に設けられている。第2固定端子6は、第2固定接点17を含む。第2固定接点17は、第2固定端子6の下端に設けられている。第1固定接点16と第2固定接点17とは、ケース2内に配置されている。第1固定端子5は、第1外部接続部18を含む。第1外部接続部18は、ケース2の天面11から上方に突出している。第1外部接続部18は、ケース2の外部に露出している。第2固定端子6は、第2外部接続部19を含む。第2外部接続部19は、ケース2の天面11から上方に突出している。第2外部接続部19は、ケース2の外部に露出している。
【0014】
可動接触片8は、左右方向に延びている。可動接触片8、銅などの導電性を有する材料で形成されている。可動接触片8は、第1固定接点16及び第2固定接点17と向かい合って配置されている。可動接触片8は、第1可動接点21と第2可動接点22とを含む。第1可動接点21は、第1固定接点16と向かい合って配置されている。第2可動接点22は、第2固定接点17と向かい合って配置されている。可動接触片8は、上下方向に移動可能である。詳細には、可動接触片8は、接触方向Z1と開離方向Z2とに移動可能である。接触方向Z1は、可動接触片8が第1固定端子5及び第2固定端子6に近づく方向である。開離方向Z2は、可動接触片8が第1固定端子5及び第2固定端子6から離れる方向である。
【0015】
可動機構7は、可動接触片8を支持する。可動機構7は、駆動軸23と、第1保持部材24と、第2保持部材25と、接点ばね26とを含む。可動接触片8には貫通孔27が設けられている。駆動軸23は、可動接触片8の貫通孔27を上下方向に貫通している。駆動軸23は、上下方向に延びている。駆動軸23は、上下方向に移動可能に設けられる。
【0016】
第1保持部材24は、可動接触片8よりも上方で駆動軸23に固定されている。第2保持部材25は、可動接触片8よりも下方で駆動軸23に固定されている。接点ばね26は、圧縮された状態で可動接触片8と第2保持部材25の間に配置されている。接点ばね26は、可動接触片8を接触方向Z1に付勢する。
【0017】
駆動装置4は、電磁力により、可動機構7の駆動軸23を介して可動接触片8を上下方向に移動させる。駆動装置4は、コイル31と、可動鉄心32と、固定鉄心33と、ヨーク34と、復帰ばね35と、を含む。コイル31は、電圧が印加されて励磁されると、可動鉄心32を接触方向Z1に移動させる電磁力を発生させる。可動鉄心32は、駆動軸23に一体移動可能に連結されている。固定鉄心33は、可動鉄心32と対向する位置に配置されている。ヨーク34は、コイル31を囲むように配置されている。復帰ばね35は、可動鉄心32と固定鉄心33の間に配置されている。復帰ばね35は、可動鉄心32を開離方向Z2に付勢する。
【0018】
次に、電磁継電器1の動作について説明する。図2は、開状態の電磁継電器1を示している。図3は、閉状態の電磁継電器1を示している。駆動装置4が励磁されていないときは、可動接触片8は、図2に示す開離位置に配置される。可動接触片8が開離位置に位置している場合には、第1可動接点21は、第1固定接点16から開離しており、第2可動接点22は、第2固定接点17から開離している。
【0019】
駆動装置4が励磁されると、コイル31による電磁力により、可動鉄心32が駆動軸23とともに接触方向Z1に移動する。それにより、可動接触片8は、図3に示す接触位置に移動する。可動接触片8が接触位置に位置している場合には、第1可動接点21が第1固定接点16に接触し、第2可動接点22が第2固定接点17に接触している。詳細には、第1可動接点21が第1固定接点16に接触し、第2可動接点22が第2固定接点17に接触した後、駆動軸23は、図3に示す接触位置まで、さらに接触方向Z1に移動する。それにより、第2保持部材25によって接点ばね26が圧縮される。これにより、可動接触片8を接触方向Z1に押圧する力が大きくなる。
【0020】
駆動装置4の励磁が停止されると、復帰ばね35の付勢力により、可動鉄心32が駆動軸23とともに開離方向Z2に移動する。そのため、可動接触片8は、図3に示す開離位置に移動する。それにより、第1可動接点21は、第1固定接点16から開離し、第2可動接点22は、第2固定接点17から開離する。
【0021】
図4は、電磁継電器1の拡大正面図である。図4に示すように、第1固定端子5の第1外部接続部18と第2固定端子6の第2外部接続部19とには、それぞれ第1バスバー41と第2バスバー42とが接続される。電磁継電器1は、第1バスバー41と第2バスバー42とを介して、他の製品と電気的に接続される。
【0022】
電磁継電器1では、第1固定端子5を流れる電流による磁界と第2固定端子6を流れる電流による磁界とによって、可動接触片8には開離方向Z2へのローレンツ力が、電磁反発力として作用する。このような電磁反発力を抑えるためには、図4に示すように、第1バスバー41は、可動接触片8の接触位置の一側方において可動接触片8と向かい合う位置に配置されることが好ましい。同様に、第2バスバー42は、可動接触片8の接触位置の他側方において可動接触片8と向かい合う位置に配置されることが好ましい。
【0023】
そのため、本実施形態に係る電磁継電器1では、ケース2の外面に可動接触片8の接触位置を示す印50が設けられている。印50の少なくとも一部は、ケース2の外面において、接触位置に位置する可動接触片8と同じ高さに配置される。印50は、ケース2の外面上にプリントされている。例えば、印50は、レーザーマーキングによってケース2の外面上に形成される。或いは、印50は、塗料による塗装によってケース2の外面上に形成されてもよい。
【0024】
図4に示すように、印50は、例えばケース2の前面14に設けられる。或いは、印50は、ケース2の第1側面12、第2側面13、或いは後面15に設けられてもよい。印50は、接触位置を示すものであればよく、円形、多角形、或いは直線状であってもよい。或いは、印50は、文字であってもよい。或いは、印50は、可動接触片8などの形状を示すものであってもよい。
【0025】
以上説明した本実施形態に係る電磁継電器1によれば、ケース2の外面に設けられた印50により、ケース2の外部から可動接触片8の接触位置を把握することができる。そのため、短絡性能を向上させるために、可動接触片8の位置に合わせてバスバーを容易に配置することができる。
【0026】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0027】
第1固定接点16は、第1固定端子5において一体的に設けられてもよく、或いは別体であってもよい。第2固定接点17は、第2固定端子6において一体的に設けられてもよく、或いは別体であってもよい。第1可動接点21と第2可動接点22とは、可動接触片8において一体的に設けられてもよく、或いは別体であってもよい。
【0028】
印50は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、図5は、第1変形例に係る電磁継電器1の拡大図である。図5に示すように、第1変形例では、印50は、ケース2の外面から凹んだ凹形状51を有する。凹形状51は、例えば、第1側面12に設けられる。或いは、凹形状51は、第2側面13、前面14、或いは後面15に設けられてもよい。凹形状51は、ケース2の全周に亘って設けられてもよく、或いは、ケース2の全周における一部のみに設けられてもよい。凹形状51は、ケース2を製造する金型によって形成されてもよい。或いは、凹形状51は、刻印によって形成されてもよい。
【0029】
図6は、第2変形例に係る電磁継電器1の拡大図である。図6に示すように、第2変形例では、印50は、ケース2の外面から突出する凸形状52を有する。ケース2の外面からの凸形状52の高さL1は、可動接触片8の厚さL2よりも小さい。凸形状52は、例えば、第1側面12に設けられる。或いは、凸形状52は、第2側面13、前面14、或いは後面15に設けられてもよい。凸形状52は、ケース2の全周に亘って設けられてもよく、或いは、ケース2の全周の一部のみに設けられてもよい。
【0030】
図7は、第3変形例に係る電磁継電器1の拡大図である。図7に示すように、ケース2は、第1ケース2Aと第2ケース2Bとを含む。第2ケース2Bは、第1ケース2Aと別体であり、第1ケース2Aに取り付けられる。第2ケース2Bは、第1ケース2Aの下方に配置される。第1ケース2Aと第2ケース2Bとの境目53は、上下方向に対して垂直な方向に延びている。第3変形例において、印50は、第1ケース2Aと第2ケース2Bとの境目53である。すなわち、第1ケース2Aと第2ケース2Bとの境目53は、接触位置における可動接触片8と同じ高さに配置されている。
【0031】
なお、ケース2には、境目53と同じ高さにケース2の外面から突出する凸形状が設けられていない。すなわち、ケース2の外面には、バスバー41,42が可動接触片8と向かい合う位置を通過する経路上に、バスバー41,42の配置を妨げるような凸形状が設けられていない。それにより、電磁反発力を抑えるための適切な位置に、バスバー41,42を容易に配置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、短絡性能を向上させるために、可動接触片の位置に合わせてバスバーを容易に配置することができる。
【符号の説明】
【0033】
2:ケース
2A:第1ケース
2B:第2ケース
5:第1固定端子
6:第2固定端子
8:可動接触片
16:第1固定接点
17:第2固定接点
50:印
51:凹形状
52:凸形状
53:境目
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7