(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131156
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20240920BHJP
H01L 23/34 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/34 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041248
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹田 駿
(72)【発明者】
【氏名】河野 洋志
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BA03
5F136BB05
5F136DA27
5F136DA41
5F136FA03
5F136FA12
(57)【要約】
【課題】半導体装置の信頼性を向上する。
【解決手段】実施形態に係る半導体装置は、複数のチップを備え、上記複数のチップは、第1方向の一端側から他端側に向かって並ぶ、第1チップと、上記第1方向の上記他端側において上記第1チップと隣合う第2チップと、上記第2チップより上記第1方向の上記他端側に設けられる第3チップと、上記第1方向の上記他端側において上記第3チップと隣合う第4チップと、を含み、上記第1チップ及び上記第2チップの第1間隔、並びに上記第3チップ及び上記第4チップの第2間隔は、上記複数のチップのうち、上記第1チップより上記第1方向の上記他端側であり、かつ上記第4チップより上記第1方向の上記一端側である領域において隣合う2個のチップの第3間隔未満である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチップを備え、
前記複数のチップは、第1方向の一端側から他端側に向かって並ぶ、第1チップと、前記第1方向の前記他端側において前記第1チップと隣合う第2チップと、前記第2チップより前記第1方向の前記他端側に設けられる第3チップと、前記第1方向の前記他端側において前記第3チップと隣合う第4チップと、を含み、
前記第1チップ及び前記第2チップの第1間隔、並びに前記第3チップ及び前記第4チップの第2間隔は、前記複数のチップのうち、前記第1チップより前記第1方向の前記他端側であり、かつ前記第4チップより前記第1方向の前記一端側である領域において隣合う2個のチップの第3間隔未満である、
半導体装置。
【請求項2】
前記複数のチップは、
前記第2チップ及び前記第3チップの間において、前記第2チップと前記第1方向に隣合う第5チップ、を含み、
前記第2チップ及び前記第5チップの第4間隔は、前記第1間隔以上、前記第3間隔以下である、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数のチップは、同一の導電体上に設けられる、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数のチップは、前記第1方向、及び前記第1方向を含む面内において前記第1方向と直交する第2方向に並ぶように、マトリクス状に設けられ、
前記複数のチップは、前記第1チップとともに前記第2方向の一端側から他端側に並ぶ、前記第2方向の前記他端側において前記第1チップと隣合う第5チップと、前記第5チップより前記第2方向の前記他端側に設けられる第6チップと、前記第2方向の他端側において前記第6チップと隣合う第7チップと、をさらに含み、
前記第1チップ及び前記第5チップの第4間隔、並びに前記第6チップ及び前記第7チップの第5間隔は、前記複数のチップのうち、前記第1チップより前記第2方向の前記他端側であり、かつ前記第7チップより前記第2方向の前記一端側である領域において隣合う2個のチップの第6間隔未満である、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数のチップは、第1導電体上、及び第2導電体上に設けられ、
前記複数のチップのうち、前記第1導電体上に設けられるチップは、第1ノード及び第2ノードの間に接続され、
前記複数のチップのうち、前記第2導電体上に設けられるチップは、前記第2ノード、及び前記第1ノードと異なる第3ノードの間に接続される、
請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1チップ及び前記第5チップは、前記第1導電体上に設けられ、
前記第6チップ及び前記第7チップは、前記第2導電体上に設けられ、
前記第1チップ及び前記第5チップの各々の負荷は、前記第6チップ及び前記第7チップの各々の負荷より大きく、
前記第4間隔は、前記第5間隔より広い、
請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1チップ及び前記第5チップは、ダイオードであり、
前記第6チップ及び前記第7チップは、トランジスタである、
請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数のチップは、同一のベース基板の上方に設けられる、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ベース基板の下面上に設けられた放熱部材をさらに備える、
請求項8記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高出力を実現する半導体装置として、パワーモジュールが知られている。パワーモジュールは、複数のパワー半導体が搭載された1個のパッケージとして構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-072326号公報
【特許文献2】特開2016-152238号公報
【特許文献3】特開2008-010617号公報
【特許文献4】特開2003-007968号公報
【特許文献5】特開2005-175074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体装置の信頼性を向上する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、複数のチップを備え、上記複数のチップは、第1方向の一端側から他端側に向かって並ぶ、第1チップと、上記第1方向の上記他端側において上記第1チップと隣合う第2チップと、上記第2チップより上記第1方向の上記他端側に設けられる第3チップと、上記第1方向の上記他端側において上記第3チップと隣合う第4チップと、を含み、上記第1チップ及び上記第2チップの第1間隔、並びに上記第3チップ及び上記第4チップの第2間隔は、上記複数のチップのうち、上記第1チップより上記第1方向の上記他端側であり、かつ上記第4チップより上記第1方向の上記一端側である領域において隣合う2個のチップの第3間隔未満である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る半導体装置の回路構成の一例を示す回路図。
【
図2】実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図。
【
図3】実施形態に係る半導体装置の断面構造の一例を示す、
図2のIII-III線に沿った断面図。
【
図4】実施形態に係る半導体装置における複数の半導体素子の配置を示す平面図。
【
図5】実施形態に係る半導体装置、及び比較例に係る半導体装置をそれぞれ用いた場合における各半導体素子の最高温度を示すグラフ。
【
図6】第1変形例に係る半導体装置の構成を示す平面図。
【
図7】第1変形例に係る半導体装置における複数の半導体素子の配置を示す図。
【
図8】第2変形例に係る半導体装置の回路構成の一例を示す回路図。
【
図9】第2変形例に係る半導体装置における複数の半導体素子の配置を示す図。
【
図10】第2変形例に係る半導体装置における複数の半導体素子の配置を示す図。
【
図11】その他の例に係る半導体装置の部分を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。図面の寸法及び比率は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。
【0008】
なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。同様の構成を有する要素同士を特に区別する場合、同一符号の末尾に、互いに異なる文字又は数字を付加する場合がある。
【0009】
1. 実施形態
実施形態に係る半導体装置について説明する。
【0010】
実施形態に係る半導体装置は、パワーモジュールである。実施形態に係る半導体装置は、例えば、鉄道車両用の電力変換装置、又は再生可能エネルギー発電システム用の産業用機器等に適用される。
【0011】
1.1 構成
実施形態に係る半導体装置の構成について説明する。
【0012】
1.1.1 回路構成
実施形態に係る半導体装置の回路構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、実施形態に係る半導体装置の回路構成の一例を示す回路図である。
図1の例では、半導体装置1は、内部の半導体素子として、複数のトランジスタTU及びTLを含む場合が示される。なお、以下の説明において、複数のトランジスタTU及びTLを区別しない場合には、複数のトランジスタTU及びTLの各々を単にトランジスタTとも呼ぶ。
【0013】
複数のトランジスタTは、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタである。複数のトランジスタTは、n型トランジスタである。なお、実施形態において、複数のトランジスタTU及びTLのうち少なくともいずれか一方の数は、4個以上である。
【0014】
複数のトランジスタTUは、ノードP及びノードAC(Alternating Current)の間において、並列に接続される。ノードPは、半導体装置1の入力端子である。ノードPは、半導体装置1の回路構成において、例えば正極性を有する。ノードACは、半導体装置1の出力端子である。なお、ノードACは、後述するように、モニタ端子に接続される。また、以下の説明において、ノードP及びノードACの間に設けられる半導体素子を、上側の半導体素子とも呼ぶ。
【0015】
各トランジスタTUは、ノードPに接続されたドレイン端と、ノードACに接続されたソース端と、ノードGHに接続されたゲート端と、を有する。ノードGHは、制御端子である。
【0016】
複数のトランジスタTLは、ノードAC及びノードNの間において、並列に接続される。ノードNは、半導体装置1の入力端子である。ノードNは、半導体装置1の回路構成において、例えば負極性を有する。なお、ノードNは、後述するように、ノードACに接続されるモニタ端子と異なるモニタ端子に接続される。また、以下の説明において、ノードAC及びノードNの間に設けられる半導体素子を、下側の半導体素子とも呼ぶ。
【0017】
各トランジスタTLは、ノードACに接続されたドレイン端と、ノードNに接続されたソース端と、ノードGLに接続されたゲート端と、を有する。ノードGLは、制御端子である。
【0018】
以上のような構成により、半導体装置1の内部の半導体素子を、半導体装置1の外部から供給される電圧によって制御することができる。
【0019】
なお、半導体装置1の回路構成は、
図1の例に限られない。半導体装置1は、内部の半導体素子として、複数のトランジスタTの代わりに、例えば複数のIGBT(Insulated-Gate Bipolar Transistor)を有してもよい。
【0020】
1.1.2 半導体装置の構造
次に、実施形態に係る半導体装置1の構造について説明する。
【0021】
1.1.2.1 平面構造
まず、実施形態に係る半導体装置1の平面構造について、
図2を用いて説明する。
図2は、実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【0022】
半導体装置1は、絶縁部材10、導電体21、22、23、24、25、26、27、28a、28b、31、32、33、及び34をさらに備える。また、半導体装置1は、
図2には図示しないベース基板をさらに含む。
【0023】
ベース基板上に絶縁部材10が設けられる。ベース基板は、平板状の部分を有する支持体である。ベース基板は、例えば銅、又はセラミックスを含む。絶縁部材10は、例えば樹脂、又はセラミックスを含む。当該樹脂は、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS:Poly-Phenylene Sulfide)である。なお、以下では、半導体装置1の構造が、ベース基板、及び絶縁部材10の上面に平行な平面内のX方向、当該平面内においてX方向と直交するY方向、及び上記平面に垂直なZ方向を用いて説明される。
【0024】
導電体21、22、23、24、及び25は、絶縁部材10上に設けられる。導電体21、22、23、24、及び25は、互いに離れて設けられる。導電体21、22、23、24、及び25のそれぞれは、X方向に沿って延伸した部分を有する。導電体22のX方向に沿って延伸した部分、導電体21のX方向に沿って延伸した部分、導電体23のX方向に沿って延伸した部分、導電体24のX方向に沿って延伸した部分、及び導電体25のX方向に沿って延伸した部分は、この順番に、Y方向に沿って並ぶ。導電体21、23、及び24はそれぞれ、Y方向に延伸した部分をさらに有する。導電体23のY方向に延伸した部分と、導電体21及び24の各々のY方向に延伸した部分とはX方向に沿った異なる端に配置される。なお、以降の説明において、導電体21、23、及び24のY方向に延伸した部分のうち、導電体23のY方向に延伸した部分が配置される側をX方向における一端側と呼ぶ。また、導電体21、23、及び24のY方向に延伸した部分のうち、導電体21及び24のY方向に延伸した部分が配置される側をX方向における他端側と呼ぶ。
【0025】
導電体21のX方向に沿って延伸した部分の上面上には、複数のトランジスタTUがX方向に並んで設けられる。
図2では、6個のトランジスタTUが並ぶ例が示される。各トランジスタTUのドレイン端は、当該トランジスタTUの下面に設けられる。各トランジスタTUのソース端及びゲート端は、当該トランジスタTUの上面に設けられる。各トランジスタTUのドレイン端は、導電体21に電気的に接続される。各トランジスタTUのソース端は、ワイヤを介して、導電体23に電気的に接続される。各トランジスタTUのゲート端は、ワイヤを介して、導電体22に電気的に接続される。
【0026】
導電体23のX方向に沿って延伸した部分の上面上には、複数のトランジスタTLがX方向に並んで設けられる。
図2では、6個のトランジスタTLが並ぶ例が示される。各トランジスタTLのドレイン端は、当該トランジスタTLの下面に設けられる。各トランジスタTLのソース端及びゲート端は、当該トランジスタTLの上面に設けられる。各トランジスタTLのドレイン端は、導電体23に電気的に接続される。各トランジスタTLのソース端は、ワイヤを介して、導電体24に電気的に接続される。各トランジスタTLのゲート端は、ワイヤを介して、導電体25に電気的に接続される。
【0027】
導電体26は、X方向に沿った他端側において、導電体21のY方向に延伸した部分と電気的に接続される。導電体26は、ノードPとして機能する。すなわち、導電体26は、正極性の入力端子である。
【0028】
導電体27は、X方向に沿った他端側において、導電体24のY方向に延伸した部分と電気的に接続される。導電体27は、ノードNとして機能する。すなわち、導電体27は、負極性の入力端子である。
【0029】
導電体28a及び28bは、X方向に沿った一端側において、導電体23のY方向に延伸した部分と電気的に接続される。導電体28a及び28bは、ノードACとして機能する。すなわち、導電体28a及び28bは、出力端子である。
【0030】
導電体31、32、33、及び34は、導電体21、22、23、24、及び25と同様に、絶縁部材10上に設けられる。導電体31は、ワイヤを介して、導電体22と電気的に接続される。導電体31は、ノードGHとして機能する。すなわち、導電体31は、複数のトランジスタTUの制御端子に対応する。導電体32は、ワイヤを介して、導電体23と電気的に接続される。導電体32は、ノードACに接続されるモニタ端子SSHとして機能する。導電体33は、ワイヤを介して、導電体25と電気的に接続される。導電体33は、ノードGLとして機能する。すなわち、導電体33は、複数のトランジスタTLの制御端子に対応する。導電体34は、ワイヤを介して、導電体24と電気的に接続される。導電体34は、ノードNに接続されるモニタ端子SSLとして機能する。
【0031】
1.1.2.2 断面構造
次に、実施形態に係る半導体装置1の断面構造について、
図3を用いて説明する。
図3は、実施形態に係る半導体装置の断面構造の一例を示す、
図2のIII-III線に沿った断面図である。
【0032】
半導体装置1は、例えば放熱部材HSをさらに含む。
【0033】
放熱部材HSは、ヒートシンクである。放熱部材HSは、例えば上述の支持体として用いられるベース基板Bの下面上に全体的に設けられる。放熱部材HSは、下面に凹凸を有することにより、比較的大きな表面積を有する。放熱部材HSは、例えば、銅、又はセラミックスを含む。なお、放熱部材HSは、ベース基板Bと一体に形成されてもよい。
【0034】
導電体21の上面上には、各トランジスタTUが、接着部材41を介して設けられる。接着部材41は、各トランジスタTUのドレイン端と導電体21とを、物理的かつ電気的に接続する。
【0035】
導電体23の上面上には、各トランジスタTLが、接着部材42を介して設けられる。接着部材42は、各トランジスタTLのドレイン端と導電体23とを、物理的かつ電気的に接続する。
【0036】
1.1.2.3 複数の半導体素子の配置
次に、実施形態に係る半導体装置1における複数の半導体素子の配置について、
図4を用いて説明する。
図4は、実施形態に係る半導体装置における複数の半導体素子の配置を示す平面図である。複数のトランジスタTLの配置は、複数のトランジスタTUの配置と同様とすることができる。このため、
図4では、複数のトランジスタTUのみが図示される。また、
図4では、導電体21の図示が省略される。
【0037】
なお、以下では、X方向における一端側から他端側に向かって並ぶ6個のトランジスタTUを、トランジスタTU1、TU2、TU3、TU4、TU5、及びTU6と呼ぶ。
【0038】
トランジスタTU1及びTU2の間隔、並びにトランジスタTU5及びTU6の間隔は、間隔d1である。トランジスタTU2及びTU3の間隔、並びにトランジスタTU4及びTU5の間隔は、間隔d2である。トランジスタTU3及びTU4の間隔は間隔d3である。
【0039】
間隔d1は、間隔d3未満である。また、間隔d2は、間隔d1以上、間隔d3以下である。
【0040】
なお、X方向に並ぶトランジスタTUが4個、5個、及び7個以上の場合であっても、複数のトランジスタTUは、X方向に並ぶトランジスタTUが6個の場合と同様に配置され得る。
【0041】
より具体的には、X方向に4個のトランジスタTUのみが並ぶ場合、複数のトランジスタTUは、例えばトランジスタTU3及びTU4を含まず、トランジスタTU1、TU2、TU5、及びTU6を含む。この場合、トランジスタTU2及びTU5の間隔は、間隔d3である。
【0042】
また、X方向に5個のトランジスタTUのみが並ぶ場合、複数のトランジスタTUは、例えばトランジスタTU1、TU2、TU5、及びTU6、並びにトランジスタTU3又はTU4を含む。この場合、トランジスタTU2及びTU3の間隔、並びにトランジスタTU3及びTU5の間隔のうち少なくとも1つの間隔、又はトランジスタTU2及びTU4の間隔、並びにトランジスタTU4及びTU5の間隔のうち少なくとも1つの間隔が、間隔d3である。
【0043】
また、X方向に7個以上のトランジスタTUが並ぶ場合、複数のトランジスタTUは、例えばトランジスタTU2及びTU3の間、並びにトランジスタTU4及びTU5の間に、1個以上のトランジスタTUを含む。この場合、X方向において、トランジスタTU1より他端側であり、かつトランジスタTU4より一端側である領域、及びトランジスタTU3より他端側であり、かつトランジスタTU6より一端側である領域に含まれる、隣合う2個のトランジスタTUの間隔は、間隔d1以上、間隔d3以下である。トランジスタTU1より他端側であり、かつトランジスタTU4より一端側である領域において隣合う2個のトランジスタTUの間隔は、当該2個のトランジスタTUよりX方向の一端側において隣合う2個のトランジスタTUの間隔以上である。また、トランジスタTU3より他端側であり、かつトランジスタTU6より一端側である領域において隣合う2個のトランジスタTUの間隔は、当該2個のトランジスタTUよりX方向の他端側において隣合う2個のトランジスタTUの間隔以上である。
【0044】
以上のような構成により、実施形態に係る複数のトランジスタTは、例えば中央領域から、X方向に沿った一端側及び他端側それぞれに向かって、隣合う2個のトランジスタTの間隔が段階的に(徐々に)小さくなるように配置される。X方向に沿った中央領域は、例えば、X方向に隣合う2個の半導体素子の間隔が最大となる2個の半導体素子に挟まれる領域である。なお、当該2個の半導体素子の組が複数ある場合、中央領域は、当該複数の組のうち、いずれの組に含まれる2個の半導体素子に挟まれる領域であってもよい。
【0045】
実施形態によれば、半導体装置1の信頼性を向上することができる。
【0046】
実施形態の半導体装置1は、X方向に沿って並ぶ複数のトランジスタTUを備える。複数のトランジスタTUは、X方向の一端側から他端側に向かってこの順に並ぶ、トランジスタTU1、TU2、TU3、TU4、TU5、及びTU6を含む。トランジスタTU1及びTU2の間隔d1、並びにトランジスタTU5及びTU6の間隔d1は、トランジスタTU3及びTU4の間隔d3未満である。このような構成により、例えばトランジスタTU間の熱干渉により、X方向に沿った一端側及び他端側の領域に設けられるトランジスタTUに比べて、中央領域に設けられるトランジスタTUの温度が上昇してしまうことが抑制される。これにより、半導体装置1の動作時の複数のトランジスタTUの温度を均一化することができる。以上のことから、半導体装置1の信頼性を向上することができる。
【0047】
中央領域に設けられるトランジスタTUの温度上昇の抑制、及び複数のトランジスタTUの温度の均一化について、
図5を用いて、より具体的に説明する。
図5は、実施形態に係る半導体装置、及び比較例に係る半導体装置をそれぞれ用いた場合における各半導体素子の最高温度を示すグラフである。
図5では、実施形態に係る半導体装置1と同等に複数のトランジスタを配置した場合における、複数のトランジスタの動作シミュレーションの熱解析の結果として、複数のトランジスタの最高温度Tjmaxが、実線で示される。また、6個のトランジスタを等間隔で配置した比較例における、複数のトランジスタの動作シミュレーションの熱解析の結果として、複数のトランジスタの最高温度Tjmaxが、一点鎖線で示される。
図5の縦軸及び横軸はそれぞれ、温度、及びX方向に沿った一端側から数えたトランジスタの番号である。なお、実施形態及び比較例の動作シミュレーションにおいて、各トランジスタの体積あたりの発熱量は同等である。各トランジスタとして、例えば約600Aの電流が供給され、定格最高温度が約150℃であるような素子が想定される。
【0048】
また、上記動作シミュレーションにおいて、各トランジスタの縦及び横の長さはそれぞれ、7.5mmである。また、実施形態に係る動作シミュレーションにおいて、間隔d1、d2、及びd3はそれぞれ、2mm、5.75mm、及び7mmである。また、比較例に係る動作シミュレーションにおいて、隣合う2個のトランジスタの間隔は4.5mmである。以上のようなレイアウトにおいて、実施形態における最も一端側のトランジスタ、及び最も他端側のトランジスタの間隔は、比較例における最も一端側のトランジスタ、及び最も他端側のトランジスタの間隔と同等である。すなわち、実施形態及び比較例において、複数のトランジスタは、同等の面積を有する領域に設けられる。
【0049】
図5に示すように、比較例において、3番目及び4番目のトランジスタの各々は、当該トランジスタの周囲のトランジスタの発熱の影響により、その他のトランジスタより高温になってしまう。例えば、比較例における3番目のトランジスタの最高温度Tjmaxは、132℃付近まで上昇する。
【0050】
一方、実施形態において、3番目及び4番目のトランジスタTUの各々は、上述のような複数のトランジスタTUの配置により、当該トランジスタTUの周囲のトランジスタTUの発熱の影響が軽減されることで、温度上昇が抑制される。これにより、実施形態における全てのトランジスタTUの最高温度Tjmaxは、130℃未満になる。
【0051】
以上のように、実施形態及び比較例において同一の面積に同数のトランジスタを設ける場合に、実施形態におけるトランジスタの最高温度Tjmaxの最大値を、比較例におけるトランジスタの最高温度Tjmaxの最大値より低くすることができる。さらに、実施形態によれば、複数のトランジスタの最高温度Tjmaxを、比較例における複数のトランジスタの最高温度Tjmaxと比べて均一化することができる。
【0052】
また、実施形態に係る複数のトランジスタTUは、中央領域から、X方向に沿った一端側及び他端側それぞれに向かって、隣合う2個のトランジスタTUの間隔が段階的に小さくなるように配置される。このような配置であれば、限られた面積に複数のトランジスタTUを配置する場合に、各トランジスタTUの周囲のトランジスタTUの発熱による、当該トランジスタTUの温度上昇を、効果的に抑制することができる。
【0053】
次に、複数のトランジスタTUの温度上昇の抑制、及び複数のトランジスタTUの温度の均一化による、半導体装置1の信頼性の向上について補足する。半導体素子の寿命Nfは、例えば、最高温度Tjmaxを用いた下記式(1)に基づいて予測される。下記式(1)は、修正コフィンマンソン(Modified Coffin-Manson)の式として知られる。
【0054】
【0055】
式(1)中の値A及びαは定数である。値ΔTjは、半導体素子の動作停止時の温度と、半導体素子の動作時の最高温度Tjmaxとの温度差である。値Eaは、予め定められる活性化エネルギーである。値kBはボルツマン定数である。
【0056】
上記式(1)に基づき、寿命Nfは、最高温度Tjmaxの増加とともに短くなることが予測される。したがって、実施形態によれば、中央領域に設けられる半導体素子の温度上昇を抑制し、複数の半導体素子の温度を均一化することで、複数の半導体素子の寿命の平均値の低下が抑制され得る。
【0057】
また、実施形態に係る半導体装置1では、放熱部材HSが、ベース基板Bの下面全体に設けられる。これにより、自然冷却に加えて、放熱部材HSを介して半導体装置1を冷却することができる。このため、半導体装置1の放熱性を向上することができる。したがって、半導体素子の温度の上昇を抑制することができる。このような構成によっても、半導体装置1の信頼性を向上することができる。
【0058】
2 変形例
次に、変形例に係る半導体装置について説明する。以下では、実施形態と同等の構成についてはその説明を省略し、実施形態と異なる構成について主に説明する。
【0059】
2.1 第1変形例
第1変形例に係る半導体装置は、複数の上側のトランジスタ、及び複数の下側のトランジスタがそれぞれ、導電体上において、マトリクス状に配置される点において、実施形態に係る半導体装置と異なる。以下では、実施形態と異なる構成について主に説明する。
【0060】
第1変形例に係る半導体装置1の構成について、
図6を用いて説明する。
図6は、第1変形例に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【0061】
第1変形例において、半導体装置1は、18個のトランジスタTU、及び18個のトランジスタTLを含む。なお、
図6において、複数のトランジスタTの配置を分かりやすくするため、各トランジスタTのソース端及びゲート端に接続されるワイヤの図示が省略される。
【0062】
導電体21のX方向に沿って延伸した部分の上面上には、複数のトランジスタTUがマトリクス状に配置される。なお、各トランジスタTUのドレイン端、ソース端、及びゲート端の電気的な接続は、実施形態に係る各トランジスタTUのドレイン端、ソース端、及びゲート端の電気的な接続と同様であるため、その説明を省略する。
【0063】
また、導電体23のX方向に沿って延伸した部分の上面上には、複数のトランジスタTLがマトリクス状に配置される。なお、各トランジスタTLのドレイン端、ソース端、及びゲート端の電気的な接続は、実施形態に係る各トランジスタTLのドレイン端、ソース端、及びゲート端の電気的な接続と同様であるため、その説明を省略する。
【0064】
以上のようにマトリクス状に配置される複数のトランジスタTにより、複数のトランジスタTは、X方向及びY方向においても、6個のトランジスタTが並ぶように、マトリクス状に配置される。なお、Y方向に並ぶトランジスタTの数は、例えば4個以上である。
【0065】
YZ断面における半導体装置1の断面構造は、トランジスタTの数が異なることを除き、実施形態における半導体装置の断面構造と同様であるため、その説明及び図示を省略する。
【0066】
次に、第1変形例に係る半導体素子の配置について、
図7を用いて説明する。
図7は、第1変形例に係る半導体装置における複数の半導体素子の配置を示す図である。
図7では、複数のトランジスタTの配置について図示される。なお、
図7では、導電体21及び23の図示が省略される。また、以下の説明において、トランジスタTU及びTLのうちトランジスタTUが設けられる側をY方向における一端側と呼ぶ。また、トランジスタTU及びTLのうちトランジスタTLが設けられる側をY方向における他端側と呼ぶ。
【0067】
複数のトランジスタTは、行(row)、及び列(column)の組に対応付けられる。i
1行、及びj
1列に対応付けられるトランジスタTは、トランジスタT〈i
1,j
1〉で示される。
図7に示す例において、i
1及びj
1はそれぞれ、1以上6以下の整数である。
【0068】
各行に設けられる6個のトランジスタT〈i2,1〉~T〈i2,6〉の配置は、実施形態における複数のトランジスタTの配置と同等とすることができるため、これらの説明を省略する。ここで、i2は、1以上6以下の任意の整数である。
【0069】
以下では、各列に設けられる複数のトランジスタTの配置について、6個のトランジスタTU〈1,j2〉、TU〈2,j2〉、TU〈3,j2〉、TL〈4,j2〉、TL〈5,j2〉、及びTL〈6,j2〉を例に、説明する。ここで、j2は、1以上6以下の任意の整数である。
【0070】
トランジスタTU〈1,j2〉及びTU〈2,j2〉の間隔、並びにトランジスタTL〈5,j2〉及びTL〈6,j2〉の間隔は、間隔d4である。トランジスタTU〈2,j2〉及びTU〈3,j2〉の間隔、並びにトランジスタTL〈4,j2〉及びTL〈5,j2〉の間隔は、間隔d5である。トランジスタTU〈3,j2〉及びTL〈4,j2〉の間隔は間隔d6である。
【0071】
間隔d4は、間隔d6未満である。間隔d5は、間隔d4以上、間隔d6以下である。
【0072】
なお、Y方向に並ぶトランジスタTが4個、5個、及び7個以上の場合であっても、複数のトランジスタTは、各列において、方向が異なることを除いて、実施形態に係る複数のトランジスタTの配置と同様に配置され得る。
【0073】
また、上述の第1変形例では、半導体装置1は、各列において、例えばトランジスタTU及びTLをそれぞれ同数含む。しかしながら、これに限られない。各列において、トランジスタTUの数、及びトランジスタTLの数は、互いに異なってもよい。
【0074】
以上のような構成により、第1変形例に係る複数のトランジスタTは、例えば、Y方向において、中央領域から、一端側及び他端側それぞれに向かって、隣合う2個のトランジスタTの間隔が段階的に(徐々に)小さくなるように配置される。Y方向に沿った中央領域は、例えば、各列において、Y方向に隣合う2個の半導体素子の間隔が最大となる2個の半導体素子に挟まれる領域である。なお、当該2個の半導体素子の組が複数ある場合、中央領域は、当該複数の組のうち、いずれの組に含まれる2個の半導体素子に挟まれる領域であってもよい。
【0075】
第1変形例によれば、複数の半導体素子が、半導体装置1内においてマトリクス状に配置される場合であっても、実施形態と同等の効果が奏される。
【0076】
2.2 第2変形例
第2変形例に係る半導体装置は、異なる2種類の半導体素子を含む点において、第1変形例に係る半導体装置と異なる。以下では、実施形態及び第1変形例と異なる構成について主に説明する。
【0077】
2.2.1 回路構成
第2変形例に係る半導体装置の回路構成について、
図8を用いて説明する。
図8は、第2変形例に係る半導体装置の回路構成の一例を示す回路図である。
図8の例では、半導体装置1は、内部の半導体素子として、複数のダイオードDU、及び複数のトランジスタTLを含む場合が示される。なお、以下の説明では、複数のダイオードDU及び複数のトランジスタTLを区別しない場合に、複数のダイオードDU及び複数のトランジスタTLの各々を、単に半導体素子Eと呼ぶ。
【0078】
複数のダイオードDUは、ノードP及びノードACの間において、並列に接続される。各ダイオードDUは、ノードPに接続されたアノード、及びノードACに接続されたカソードを有する。
【0079】
その他の構成は、実施形態に係る半導体装置の回路構成と実質的に同等である。
【0080】
2.2.2 平面構造
第2変形例に係る半導体装置1の構成について、
図9を用いて説明する。
図9は、第2変形例に係る半導体装置の構成を示す平面図である。なお、第1変形例と同様の理由により、各トランジスタTLのソース端及びゲート端に接続されるワイヤの図示が省略される。
【0081】
第2変形例において、半導体装置1は、18個のダイオードDU、及び18個のトランジスタTLを含む。
【0082】
導電体21のX方向に沿って延伸した部分の上面上には、複数のダイオードDUがマトリクス状に配置される。各ダイオードDUのアノードは、当該ダイオードの下面に設けられる。各ダイオードDUのカソードは、当該ダイオードDUの上面に設けられる。各ダイオードDUのアノードは、導電体21の上面上に接続される。各ダイオードDUのカソードは、ワイヤを介して、導電体23と電気的に接続される。なお、各ダイオードDUのアノードは、実施形態に係る各トランジスタTUと同様に、図示しない接着部材によって、導電体21と物理的、かつ電気的に接続される。
【0083】
以上のように、複数のトランジスタTLと同様にマトリクス状に配置される複数のダイオードDUにより、複数の半導体素子Eは、X方向及びY方向においても、6個の半導体素子Eが並ぶように、マトリクス状に配置される。
図9に示す例では、Y方向に並ぶ半導体素子Eは、3個のダイオードDU、及び3個のトランジスタTLを含む。しかしながら、これに限られず、複数の半導体素子Eは、例えば、Y方向に沿って、少なくとも2個のダイオードDU、及び2個のトランジスタTLを含めばよい。また、
図9では、半導体装置1がダイオードDU及びトランジスタTLをそれぞれ同数含む場合が示される。しかしながら、これに限られない。各列において、ダイオードDUの数、及びトランジスタTLの数は、互いに異なってもよい。
【0084】
次に、第2変形例に係る半導体素子の配置について、
図10を用いて説明する。
図10は、第2変形例に係る半導体装置における複数の半導体素子の配置を示す図である。
図10では、複数のダイオードDU、及び複数のトランジスタTLの配置について図示される。なお、
図10では、導電体21及び23の図示が省略される。また、以下の説明において、ダイオードDU、及びトランジスタTLのうちダイオードDUが設けられる側をY方向における一端側と呼ぶ。また、ダイオードDU、及びトランジスタTLのうちトランジスタTLが設けられる側をY方向における他端側と呼ぶ。
【0085】
複数の半導体素子Eは、第1変形例に係るトランジスタTと同様に、行(row)、及び列(column)の組に対応付けられる。
図10において、i
3行、及びj
3列に対応付けられる半導体素子Eは、半導体素子E〈i
3,j
3〉で示される。i
3及びj
3はそれぞれ、1以上6以下の整数である。
【0086】
各行に設けられる6個の半導体素子E〈i4,1〉~E〈i4,6〉の配置は、実施形態におけるトランジスタTU及びTLの配置と同等とすることができるため、これらの説明を省略する。ここで、i4は、1以上6以下の任意の整数である。
【0087】
以下では、各列に設けられる複数の半導体素子Eの配置について、3個のダイオードDU〈1,j4〉、DU〈2,j4〉、及びDU〈3,j4〉、並びに3個のトランジスタTL〈4,j4〉、TL〈5,j4〉、及びTL〈6,j4〉を例に、説明する。ここで、j4は、1以上6以下の任意の整数である。
【0088】
ダイオードDU〈1,j4〉及びDU〈2,j2〉の間隔は間隔d7である。ダイオードDU〈2,j4〉及びDU〈3,j4〉の間隔は間隔d8である。ダイオードDU〈3,j4〉、及びトランジスタTL〈4,j4〉の間隔は間隔d9である。トランジスタTL〈4,j4〉及びTL〈5,j4〉の間隔は間隔d8’である。トランジスタTL〈5,j4〉及びTL〈6,j4〉の間隔は間隔d7’である。
【0089】
間隔d7及びd7’は、間隔d9未満である。また、間隔d8は、間隔d7以上、間隔d9以下である。また、間隔d8’は、間隔d7’以上、間隔d9以下である。
【0090】
また、導電体21上における2個のダイオードDの間隔d7及びd8はそれぞれ、導電体23上における2個のトランジスタTLの間隔d7’及びd8’と異なる。より具体的に、間隔d7は間隔d7’より広い。また、間隔d8は、間隔d8’より広い。また、間隔d7は、例えば間隔d8’より広くてもよい。これらの構成により、Y方向において、連続して設けられるダイオードDU〈1,j4〉~DU〈3,j2〉の間隔は、連続して設けられるトランジスタTL〈4,j4〉~TL〈6,j2〉の間隔より広くなる。すなわち、Y方向において、ダイオードDU〈1,j4〉~DU〈3,j2〉は、トランジスタTL〈4,j4〉~TL〈6,j2〉より広い範囲に渡って設けられる。
【0091】
なお、Y方向に並ぶ半導体素子Eが4個、5個、及び7個以上の場合であっても、複数の半導体素子Eは、Y方向に並ぶ半導体素子Eが6個の場合と同様に配置され得る。
【0092】
より具体的には、Y方向に4個の半導体素子Eのみが並ぶ場合、複数の半導体素子Eは、例えばダイオードDU〈3,j4〉及びトランジスタTL〈4,j4〉を含まず、ダイオードDU〈1,j4〉及びDU〈2,j4〉、並びにトランジスタTL〈5,j4〉及びTL〈6,j4〉を含む。この場合、ダイオードDU〈2,j4〉及びトランジスタTL〈5,j4〉の間隔は、間隔d9である。
【0093】
また、X方向に5個の半導体素子Eのみが並ぶ場合、複数の半導体素子Eは、例えばダイオードDU〈1,j4〉及びDU〈2,j4〉、並びにトランジスタTL〈5,j4〉及びTL〈6,j4〉と、ダイオードDU〈3,j4〉又はトランジスタTL〈4,j4〉とを含む。この場合、ダイオードDU〈2,j4〉及びトランジスタTL〈4,j4〉の間隔、並びにトランジスタTL〈4,j4〉及びTL〈5,j4〉の間隔のうち少なくとも1つの間隔、又はダイオードDU〈2,j4〉及びDU〈3,j4〉の間隔、並びにダイオードDU〈3,j4〉及びトランジスタTL〈5,j4〉の間隔のうち少なくとも1つの間隔が、間隔d9である。
【0094】
また、Y方向に7個以上の半導体素子Eが並ぶ場合、複数の半導体素子Eは、例えばダイオードDU〈2,j4〉及びDU〈3,j4〉の間、並びにトランジスタTL〈4,j4〉及びTL〈5,j4〉の間に、1個以上の半導体素子Eを含む。ダイオードDU〈2,j4〉及びDU〈3,j4〉の間に含まれ得る半導体素子Eは、ダイオードDUである。Y方向において、ダイオードDU〈1,j4〉より他端側であり、かつトランジスタTL〈4,j4〉より一端側である領域に含まれる隣合う2個のダイオードDUの間隔は、間隔d7以上、間隔d9以下である。当該領域において隣合う2個のダイオードDUの間隔は、当該2個のダイオードDUよりY方向の一端側において隣合う2個のダイオードDUの間隔以上である。また、トランジスタTL〈4,j4〉及びTL〈5,j4〉の間に含まれ得る半導体素子Eは、トランジスタTLである。Y方向において、ダイオードDU〈3,j4〉より他端側であり、かつトランジスタTL〈6,j4〉より一端側である領域に含まれる、隣合う2個のトランジスタTLの間隔は、間隔d7’以上、間隔d9以下である。当該領域において隣合う2個のトランジスタTLの間隔は、当該2個のトランジスタTLよりY方向の他端側において隣合う2個のトランジスタTLの間隔以上である。
【0095】
また、Y方向に並ぶ半導体素子Eが6個以上の場合に、複数の半導体素子Eは、ダイオードDU〈3,j4〉を含まずに、2個のダイオードDU〈1,j4〉及びDU〈2,j4〉と、トランジスタTL〈4,j4〉、TL〈5,j4〉、及びTL〈6,j4〉を有する4個以上のトランジスタTLと、を含んでもよい。この場合、例えば、トランジスタTL〈4,j4〉及びTL〈5,j4〉の間に、1個以上のトランジスタTLが設けられる。また、例えば、ダイオードDU〈2,j4〉及びトランジスタTL〈4,j4〉の間隔は、間隔d9になる。また、Y方向において、ダイオードDU〈2,j4〉より他端側であり、かつトランジスタTL〈6,j4〉より一端側である領域に含まれる隣合う2個のトランジスタTLの間隔は、間隔d7’以上、間隔d9以下である。また、当該領域に含まれる隣合う2個のトランジスタTLの間隔は、当該2個のトランジスタTLよりY方向の他端側において隣合う2個のトランジスタTLの間隔以上である。
【0096】
以上のような構成により、第2変形例に係る複数の半導体素子Eは、例えば、Y方向において、中央領域から、一端側及び他端側それぞれに向かって、隣合う2個の半導体素子Eの間隔が段階的に(徐々に)小さくなるように配置される。また、複数の上側の半導体素子Eと、複数の下側の半導体素子Eとは、XZ平面について非対称的に配置され得る。
【0097】
第2変形例によれば、半導体装置1の回路において、上側の各半導体素子Eの負荷と、下側の各半導体素子Eの負荷とが異なる場合であっても、実施形態及び第1変形例と同等の効果が奏される。
【0098】
補足すると、半導体装置1において、負荷がより大きい半導体素子Eの方が、負荷がより小さい半導体素子Eと比べて発熱量が大きくなる。このような場合に、各列において、複数の半導体素子Eの配置を、上側の半導体素子Eの負荷、及び下側の半導体素子Eの負荷に応じて、設定する。例えば、負荷がより大きい2個の半導体素子Eの間隔を、負荷がより小さい2個の半導体素子Eの間隔より広くすることができる。このような構成により、上側の各半導体素子Eの負荷と、下側の各半導体素子Eの負荷とが異なる場合であっても、複数の半導体素子Eの温度上昇を効果的に抑制することができる。したがって、半導体装置1の信頼性を向上することができる。
【0099】
3 その他
なお、上述の第1変形例では、異なる導電体21及び23の上面上において、複数の半導体素子Eが、Y方向において、中央領域から、一端側及び他端側それぞれに向かって、隣合う2個の半導体素子Eの間隔が段階的に小さくなるように配置される例を示した。しかしながら、これに限られない。
図11に示すように、複数の半導体素子Eが、同一の導電体上において、中央領域から、Y方向に沿った一端側及び他端側それぞれに向かって、隣合う2個の半導体素子Eの間隔が段階的に(徐々に)小さくなるように配置されてもよい。
図11は、その他の例に係る半導体装置の部分を示す平面図である。
図11では、36個の上側のトランジスタTU、及び導電体21の部分が図示される。その他の例において、複数のトランジスタTLは、導電体23上に、複数のトランジスタTUと同様に配置されてもよい。また、複数のトランジスタTの配置を除く構成は、実施形態及び第1変形例と同様である。これらのことから、複数の上側のトランジスタTU、及び導電体21の部分を除く構成の図示が省略される。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
1…半導体装置、10…絶縁部材、21、22、23、24、25、26、27、28a、28b、31、32、33、34…導電体、41、42…接着部材、TU、TL…トランジスタ、DU…ダイオード、B…ベース基板、HS…放熱部材。