(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131162
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】箱状体、及び、電子部品内蔵ユニット
(51)【国際特許分類】
H02G 3/14 20060101AFI20240920BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20240920BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240920BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20240920BHJP
F16B 5/07 20060101ALI20240920BHJP
F16B 5/10 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H02G3/14
H02G3/16
B60R16/02 610A
H05K7/00 T
F16B5/07 L
F16B5/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041254
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 友彰
【テーマコード(参考)】
3J001
4E352
5G361
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GA06
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA08
3J001JD16
3J001JD29
3J001KA19
3J001KB01
4E352AA03
4E352BB15
4E352DD05
4E352DR19
4E352DR40
4E352GG01
4E352GG15
5G361AA06
5G361AC02
5G361AC04
5G361AD01
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】ケースへのカバーの適正な保持と、ケースからのカバーの容易な取り外しと、を両立可能な箱状体を提供すること。
【解決手段】箱状体2は、収容溝53を内部に有するケース7と、収容溝53の開口部を塞ぐようにケース7に組み付けられるカバー8と、を備える。ケース7は、収容溝53を画成する溝側壁58と、溝側壁58に設けられ且つケース7へのカバー8の取付方向に交差するように延びる両持ち梁状の係合梁68と、を有する。カバー8は、カバー8から溝側壁58に向けて突出して前記取付方向において係合梁68に係合する係合突起90を有する。係合梁68及び係合突起90は、係合突起90の突出方向における係合梁68と係合突起90との係合幅が、梁中央部69における係合幅L2のほうが、梁基端部70における係合幅L1よりも大きい、ように構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容溝を内部に有するケースと、前記収容溝の開口部を塞ぐように前記ケースに組み付けられるカバーと、を備える箱状体であって、
前記ケースは、
前記収容溝を画成する溝側壁と、前記溝側壁に設けられ且つ当該ケースへの前記カバーの取付方向に交差するように延びる両持ち梁状の係合梁と、を有し、
前記カバーは、
当該カバーから前記溝側壁に向けて突出して前記取付方向において前記係合梁に係合する係合突起を有し、
前記係合梁及び前記係合突起は、
当該係合突起の突出方向における当該係合梁と当該係合突起との係合幅が、前記係合梁の梁中央部における前記係合幅のほうが、前記係合梁の梁基端部における前記係合幅よりも大きい、ように構成される、
箱状体。
【請求項2】
請求項1に記載の箱状体において、
前記係合突起は、
前記梁中央部に係合する箇所の突出高さのほうが、前記梁基端部に係合する箇所の突出高さよりも大きい、ように構成される、
箱状体。
【請求項3】
請求項2に記載の箱状体において、
前記係合梁は、
前記梁中央部の前記突出方向における幅のほうが、前記梁基端部の前記突出方向における幅よりも大きい、ように構成される、
箱状体。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の箱状体と、
前記箱状体に格納される電子部品と、
前記電子部品と、前記収容溝に収容されることになる電線と、を電気的に接続することになる接続端子と、を備える、
電子部品内蔵ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースとカバーとを備える箱状体、及び、その箱状体を用いた電子部品内蔵ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂製の箱状体の中にコンデンサ等の電子部品等を格納した電子部品内蔵ユニットが提案されている。例えば、従来の電子部品内蔵ユニットの一つは、電線に伝達されるノイズを除去するための電子部品を内蔵するとともに、電線に取り付けられるようになっている(例えば、特許文献1を参照)。この種の電子部品内蔵ユニットは、例えば、自動車等に搭載される各種センサ等に繋がる電線に取り付けられ、ホーンやワイパモータのような雑音源からの伝導ノイズや、ネオンサイン等からの外来ノイズや、誘導ノイズ等を、電線から除去するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動車等のメンテナンスの際などに、電子部品内蔵ユニットのケースからカバーを取り外す場合がある。上述した従来の電子部品内蔵ユニットでは、ケースに設けられた複数の係合溝と、カバーに設けられた複数の係合突起と、が係合することで、ケースにカバーが取り付けられている。このような複数箇所での係合は、ケースにカバーを強固に保持できる点でメリットがある。しかし、ケースからカバーを取り外すとき、複数箇所で係合溝と係合突起との係合状態をひとつひとつ解除する必要があることから、取り外しの作業の作業性を向上させ難い点でデメリットがある。
【0005】
本発明の目的の一つは、ケースへのカバーの適正な保持と、ケースからのカバーの容易な取り外しと、を両立可能な箱状体、及び、この箱状体を用いた電子部品内蔵ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る箱状体及び電子部品内蔵ユニットは、以下を特徴としている。
【0007】
収容溝を内部に有するケースと、前記収容溝の開口部を塞ぐように前記ケースに組み付けられるカバーと、を備える箱状体であって、
前記ケースは、
前記収容溝を画成する溝側壁と、前記溝側壁に設けられ且つ当該ケースへの前記カバーの取付方向に交差するように延びる両持ち梁状の係合梁と、を有し、
前記カバーは、
当該カバーから前記溝側壁に向けて突出して前記取付方向において前記係合梁に係合する係合突起を有し、
前記係合梁及び前記係合突起は、
当該係合突起の突出方向における当該係合梁と当該係合突起との係合幅が、前記係合梁の梁中央部における前記係合幅のほうが、前記係合梁の梁基端部における前記係合幅よりも大きい、ように構成される、
箱状体であること。
【0008】
上述した構成を有する前記箱状体と、
前記箱状体に格納される電子部品と、
前記電子部品と、前記収容溝に収容されることになる電線と、を電気的に接続することになる接続端子と、を備える、
電子部品内蔵ユニットであること。
【発明の効果】
【0009】
本発明の箱状体及び電子部品内蔵ユニットによれば、ケースにカバーを取り付けると、ケースが有する両持ち梁状の係合梁にカバーが有する係合突起が係合する。係合突起は、係合梁の梁中央部だけでなく梁基端部においても係合することで、係合梁に強固に係合する。これにより、ケースにカバーが適正に保持される。更に、係合突起の突出方向における係合梁と係合突起との係合幅の点で、係合梁の梁中央部における係合幅のほうが、係合梁の梁基端部における係合幅よりも大きい。そのため、例えば、係合梁と係合突起との係合状態を解除するための治具等を用いて、係合梁の梁中央部を係合突起から離すように(即ち、係合突起の突出する向きに)変位させると、両持ち梁状の係合梁が湾曲することで梁中央部と係合突起との係合が解除される。このとき、係合梁の梁基端部での変位量は梁中央部での変位量よりも小さいものの、梁基端部での係合幅が梁中央部での係合幅よりも小さいため、梁基端部と係合突起との係合状態も解除され得る。即ち、梁中央部の係合状態を解除すれば、梁基端部の係合状態も解除され得る。これにより、係合梁の全体において係合突起との係合状態が解除され、ケースからカバーが容易に取り外される。したがって、本構成の箱状体及び電子部品内蔵ユニットは、ケースへのカバーの適正な保持と、ケースからのカバーの容易な取り外しと、を両立することができる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る電子部品内蔵ユニットの斜視図である。
【
図2】
図2は、電線側端子及びアース端子を介した電子部品と電線との接続状態を説明するための斜視図である。
【
図3】
図3は、電線に接続された電線側端子の下面図である。
【
図4】
図4は、第1カバーをケースへ取り付ける際の様子を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す電子部品内蔵ユニットの前面図である。
【
図10】
図10は、治具を用いてケースから第1カバーを取り外す際の手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る箱状体2を用いた電子部品内蔵ユニット1について説明する。
図1に示す電子部品内蔵ユニット1は、箱状体2(
図1等参照)と、箱状体2に格納される電子部品3(
図2参照)と、電子部品3及び電線4を電気的に接続することになる電線側端子5及びアース端子6(
図2参照)と、を備える。
【0013】
箱状体2は、ケース7と、ケース7に組み付けられる第1カバー8、第2カバー9及び第3カバー10と、を備える。電子部品内蔵ユニット1は、例えば、自動車等に搭載される各種センサ等に繋がる電線4に取り付けられ且つ自動車等のボディの所定の座面に係止・固定された状態で、ホーンやワイパモータのような雑音源からの伝導ノイズや、ネオンサイン等からの外来ノイズや、誘導ノイズ等を、電線4から除去する機能を果たす。
【0014】
以下、説明の便宜上、
図1等に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。上下方向は、ケース7への第1カバー8の取付方向と一致し、前後方向は、第1カバー8に設けられた係合突起90(
図4等参照、後述)の突出方向と一致している。なお、これらの方向は、あくまで説明の便宜のために定めているに過ぎず、電子部品内蔵ユニット1が自動車等に搭載されたときの自動車等の前後方向、左右方向及び上下方向に必ずしも対応する必要はない。以下、電子部品内蔵ユニット1を構成する各部品について順に説明する。
【0015】
まず、電線4及び電線側端子5について説明する。電線4は、ワイヤハーネスを構成する複数の電線のうちの一本、又は単独の電線であって、
図3に示すように、導体11と、導体11を被覆する絶縁性の被覆部12と、で構成されている。電線4の延在方向(左右方向)の中間位置には、電線側端子5が電気的に接続されている。電線4に接続された電線側端子5は、ケース7の収容溝53(
図4参照、後述)に収容されることになる。
【0016】
電線側端子5は、導電性を有する金属からなり、
図3に示すように、導体11との接続のための電線接続部21と、電線接続部21の電線4の延在方向の一側(右側)に連続する電気接触部22と、を有している。電線接続部21は、電線4の中間位置を皮剥ぎして露出させた導体11を加締める一対の導体加締め片23と、被覆部12を加締める一対の被覆加締め部24とを有している。
【0017】
電気接触部22は、
図2及び
図3に示すように、基部25と、基部25の幅方向一方側の縁(前側縁)に設けられた接続タブ26と、基部25の幅方向他方側の縁(後側縁)に設けられた係止部27とを有している。電気接触部22を構成する基部25、接続タブ26及び係止部27は、折り曲げ加工によりU字状の形状に形成されている。接続タブ26と係止部27との間には、電線4が貫通している。
【0018】
接続タブ26は、タブ状であり、アース端子6の筒状のタブ接続部36(
図2参照、後述)に差し込まれて電線側端子5とアース端子6とを電気的に接続する機能を果たす部分である。係止部27は、電線4に接続された電線側端子5がケース7の収容溝53(
図4参照)に収容された状態で、収容溝53の所定箇所と係合して電線側端子5を収容溝53に係止する機能を果たす部分である。
【0019】
次いで、電子部品3及びアース端子6について説明する。電子部品3は、
図2に示すように、略直方体状の本体41と、本体41の一の縁(前側縁)から延出する一対のリード42,43とを有している。電子部品3として、本実施形態においてはノイズフィルタのために既知のコンデンサが用いられているが、この他の用途に応じてダイオードや抵抗を用いてもよい。
【0020】
アース端子6は、導電性を有する金属からなり、
図2に示すように、略矩形平板状の基部31と、基部31の後側縁から後方に延出する貫通孔33を有するアース部32と、基部31の前側縁の左右両端部から前方に延出する一対の接続脚部34,35と、を有する。接続脚部34の延出端部には、上述した筒状のタブ接続部36が、上方に突出し且つ上下方向に延びるように設けられている。基部31の左右両側縁には、左右一対の被係止部37(具体的には、係止孔)が設けられている。
【0021】
基部31には、電子部品3の本体41が載置されることになる。基部31は、ケース7の収容溝52(
図4参照、後述)の下端開口を塞ぐ機能を果たす部分でもある。アース部32は、貫通孔33に挿通されるボルト等を利用して自動車等のボディの所定の座面に締結固定されることになる。一対の接続脚部34,35の上面には、それぞれ、電子部品3の一対のリード42,43がハンダ付け等によって接合・固定されることになる。一対の被係止部37は、ケース7の左右一対の係止部55(
図4参照、後述)に係止されることになる。
【0022】
次いで、ケース7について説明する。ケース7は、樹脂成形体であり、
図4に示すように、上方が開口した略矩形箱状の形状を有する本体部51を有する。本体部51には、本体部51の内部空間を左右方向に横断するように延びる隔壁54が設けられており、本体部51の内部空間は、隔壁54によって、電子部品3を収容する後側の収容溝52と、電線4及び電線側端子5を収容する前側の収容溝53と、に区分けされている。収容溝52及び収容溝53の各々の底壁(下壁)の大部分は、開口している。
【0023】
本体部51の収容溝52を画成する左右側壁には、アース端子6の左右一対の被係止部37(
図2参照)に対応して、左右一対の係止部55(具体的には、係止突起)が設けられている(
図4参照)。隔壁54には、電子部品3の一対のリード42,43にそれぞれ対応して、上方に開口し且つ上下方向に延びるスリット状の切欠き56,57が形成されている。
【0024】
収容溝53は、隔壁54と、本体部51の収容溝53を覆う前側壁58と、本体部51の収容溝53を覆う左側壁59と、本体部51の収容溝53を覆う右側壁60と、で画成されている。左側壁59及び右側壁60の上端面には、それぞれ、電線4を収容するための電線収容溝61,62が形成されている。左右方向に延びる隔壁54の溝内面(収容溝53の内側面)の左側領域には、上下方向に延びて上端が開口した溝部63が設けられ、溝部63の左側及び右側に隣接した位置にはそれぞれ、上下方向に延びて上端が封鎖された溝部64,65が設けられている。左右方向に延びる前側壁58の右側領域には、上方に開口し且つ上下方向に延びるスリット状の左右一対の切欠き66が、左右方向に間隔をあけて形成されている。溝部63,64,65はそれぞれ、第1カバー8の突条84、突起85、突起86(
図5参照、後述)に対応して設けられ、左右一対の切欠き66は、第1カバー8の左右一対の切欠き88(
図4参照、後述)に対応して設けられている。
【0025】
左右方向に延びる前側壁58の左側領域には、前後方向(前側壁58の板厚方向)に貫通し且つ左右方向に延びる係合孔67が形成されている。係合孔67には、第1カバー8の係合突起90(
図4参照、後述)が挿入されることになる。係合孔67の上側縁部は、左右方向に延びる両持ち梁状の係合梁68を構成している。係合梁68は前後方向に弾性変形可能となっている。係合梁68は、ケース7から第1カバー8を取り外す際に治具100(
図10参照)によって前側に押圧操作されて弾性変形される箇所である(後に詳述される)。
【0026】
係合梁68は、
図4に示すように、梁中央部69(左右方向中央部)の幅(前後方向の長さ)のほうが、左右の梁基端部70(左右方向両端部)の幅(前後方向の長さ)よりも大きい、形状を有している。この結果、係合梁68全体の幅が梁中央部69の幅と同じである場合に比べ、ケース7から第1カバー8を取り外すとき、より容易に係合梁68を変形させることができる。
【0027】
次いで、第1カバー8について説明する。第1カバー8は、樹脂成形体であり、
図4に示すように、前後方向及び左右方向に延び且つ左右方向に長い略矩形平板状の天板部81と、天板部81の後側縁及び前側縁から下方に突出し且つ左右方向に延びる後側壁82及び前側壁83と、を備え、大略的には、左右方向からみてU字状の形状を有している。
【0028】
図4及び
図5に示すように、左右方向に延びる後側壁82の左側領域の外面(後面)には、ケース7の溝部63,64,65(
図4参照)にそれぞれ対応して、突条84、突起85、突起86が設けられている。突条84は、後方に突出し且つ上下方向に延びる突条であり、突起85,86の各々は、後方に突出する突起である。左右方向に延びる前側壁83の右側領域には略直方体状に前側に膨出する膨出部87が設けられており、膨出部87の左右側壁には、ケース7の左右一対の切欠き66に対応して、下方に開口し且つ上下方向に延びるスリット状の左右一対の切欠き88が形成されている。
【0029】
左右方向に延びる前側壁83の左側領域(膨出部87の左側の領域)には、ケース7の係合孔67に対応して、前方に突出し且つ左右方向に延びる係合突起90が設けられている。係合突起90は、ケース7の係合孔67に挿入された状態にて係合梁68と上下方向に係合する箇所である。係合突起90は、係合梁68の梁中央部69に係合する左右方向の中央部91の突出高さ(前後方向の長さ)のほうが、左右の梁基端部70に係合する左右方向の両端部92の突出高さ(前後方向の長さ)よりも大きい、形状を有している。換言すれば、係合突起90は、左右方向において、両端よりも中央が突出した三角形状の突起形状を有する。この結果、ケース7に第1カバー8を取り付ける際、係合突起90を係合孔67の中にスムーズに移動(挿入)させることができる。
【0030】
次いで、第2カバー9及び第3カバー10について説明する。第2カバー9及び第3カバー10の各々は、樹脂成形体である。
図4に示すように、第2カバー9は、ケース7の収容溝52の上端開口に対応する形状を有しており、収容溝52の上端開口を塞ぐようにケース7に組み付け可能に構成されている。第3カバー10は、ケース7の収容溝53の下端開口に対応する形状を有しており、収容溝53の下端開口を塞ぐようにケース7に組み付け可能に構成されている。以上、電子部品内蔵ユニット1を構成する各部品について順に説明した。
【0031】
次いで、上記構成を有する箱状体2及び電子部品内蔵ユニット1の組み付け手順について説明する。まず、アース端子6がケース7に組み付けられる(
図4参照)。具体的には、アース端子6の左右一対の被係止部37がケース7の左右一対の係止部55に係止されるように、且つ、アース端子6の基部31が収容溝52の下端開口を塞ぐように、且つ、アース端子6のアース部32がケース7の後端から後方へ突出するように、且つ、アース端子6の一対の接続脚部34,35が収容溝53の下端開口の一部を塞ぐように、アース端子6が、下側から、ケース7に組み付けられる。
【0032】
次いで、アース端子6の上面に電子部品3が載置される(
図2及び
図4参照)。具体的には、電子部品3の本体41が、収容溝52の底面を構成するアース端子6の基部31の上面に載置・固定され、且つ、電子部品3の一対のリード42,43が、それらの中間部が隔壁54の切欠き56,57にそれぞれ差し込まれつつ、それらの先端部が収容溝53の底面の一部を構成するアース端子6の一対の接続脚部34,35の上面にそれぞれ載置される。次いで、一対のリード42,43の先端部が、溶接等によって、一対の接続脚部34,35の上面にそれぞれ接合される。そして、第2カバー9が、ケース7の収容溝52の上端開口を塞ぐように、上側からケース7に組み付けられ、且つ、第3カバー10が、ケース7の収容溝53の下端開口を塞ぐように、下側からケース7に組み付けられる。
【0033】
次いで、電線側端子5が接続された電線4が、収容溝53に収容される(
図4参照)。具体的には、電線側端子5の接続タブ26が、収容溝53内に位置するアース端子6のタブ接続部36に挿入され、且つ、電線側端子5の係止部27が、収容溝53の所定箇所と係合し、且つ、電線側端子5の左右に隣接する位置にある電線4がケース7の電線収容溝61,62にそれぞれ収容されるように、電線4及び電線側端子5が、上側から、収容溝53に収容される。これにより、電子部品3と電線4とが、電線側端子5及びアース端子6を介して電気的に接続された状態が得られる。
【0034】
次いで、第1カバー8が、ケース7の収容溝53の上端開口を塞ぐように、上側からケース7に組み付けられる。具体的には、まず、第1カバー8の前側より後側のほうが下側に位置するように第1カバー8が傾斜した姿勢を維持しながら、第1カバー8の突条84、突起85、突起86がケース7の溝部63,64,65にそれぞれ挿入される。次いで、第1カバー8の後側縁を回動中心として、第1カバー8の前側縁が下方に移動する向き(第1カバー8が水平に戻る向き)に第1カバー8が回動される。この回動により、第1カバー8の後側壁82及び前側壁83(膨出部87の前側壁89を除く)が収容溝53内に進入し、膨出部87の前側壁89が収容溝53の外側(前側壁58の前側)に位置して一対の切欠き88がケース7の一対の切欠き66に挿入されるように、且つ、第1カバー8の係合突起90が、係合突起90からの押圧による前側への一次的な弾性変形を経た係合梁68を乗り越えて、係合突起90がケース7の係合孔67に挿入される。
【0035】
これにより、突起85,86と溝部64,65との上下方向の係合によって第1カバー8の後側縁の上方への分離が防止され、且つ、係合突起90と係合梁68との上下方向の係合によって第1カバー8の前側縁の上方への分離が防止された状態で、第1カバー8がケース7に組み付けられる。以上により、箱状体2及び電子部品内蔵ユニット1の組み付けが完了する。
【0036】
組みつけが完了した(即ち、電線4に取り付けられた)電子部品内蔵ユニット1は、ケース7から突出しているアース端子6のアース部32を、貫通孔33に挿通されるボルト等を利用して自動車等のボディの所定の座面に締結固定することで、自動車等のボディに固定される。
【0037】
第1カバー8がケース7に組み付けられた状態では、係合突起90の中央部91及び両端部92が、それぞれ、係合梁68の梁中央部69及び左右の梁基端部70に係合している(
図7~
図9参照)。即ち、係合突起90は、係合梁68の梁中央部69だけでなく左右の梁基端部70においても係合することで、係合梁68に強固に係合している。これにより、ケース7に第1カバー8が適正に保持される。このように第1カバー8がケース7に適正に保持されている状態において、
図7~
図9に示すように、係合突起90の中央部91と係合梁68の梁中央部69との係合幅L2(係合箇所の前後方向の長さ、
図8参照)のほうが、係合突起90の両端部92と係合梁68の左右の梁基端部70との係合幅L1(係合箇所の前後方向の長さ、
図7,9参照)より大きい(L1<L2)。以下、このように係合幅が設定されることによる作用・効果について説明する。
【0038】
メンテナンス等の理由でケース7から第1カバー8を取り外す際、
図10に示すように、係合梁68と係合突起90との係合状態を解除するための治具100が用いられる。即ち、治具100を第1カバー8の前側壁83と係合梁68との間の隙間に挿し込みながら、治具100で係合梁68を前方に押すことによって、係合梁68の梁中央部69を係合突起90から離すように(具体的には、係合突起90が突出する前向きに)変位させる。これにより、両持ち梁状の係合梁68が湾曲することで、梁中央部69と係合突起90の中央部91との係合が解除される。このとき、係合梁68の左右の梁基端部70での変位量は梁中央部69での変位量よりも小さい。しかしながら、左右の梁基端部70での係合幅L1(
図7,9参照)が梁中央部69での係合幅L2(
図8参照)よりも小さいため、左右の梁基端部70と係合突起90の両端部92との係合状態も解除され得る。即ち、梁中央部69の係合状態を解除すれば、左右の梁基端部70の係合状態も解除され得る。これにより、ケース7から第1カバー8が容易に取り外される。
【0039】
<作用・効果>
本実施形態に係る電子部品内蔵ユニット1によれば、箱状体2のケース7の収容溝53に電線4を収容した上でケース7に第1カバー8を取り付けると、ケース7が有する両持ち梁状の係合梁68に第1カバー8が有する係合突起90が係合する。係合突起90は、係合梁68の梁中央部69だけでなく左右の梁基端部70においても係合することで、係合梁68に強固に係合する。これにより、ケース7に第1カバー8が適正に保持される。更に、係合突起90の突出方向における係合梁68と係合突起90との係合幅の点で、係合梁68の梁中央部69における係合幅L2のほうが、係合梁68の左右の梁基端部70における係合幅L1よりも大きい。そのため、メンテナンス等の理由でケース7から第1カバー8を取り外すとき、係合梁68と係合突起90との係合状態を解除するための治具100を用いて、係合梁68の梁中央部69を係合突起90から離すように(具体的には、係合突起90が突出する向きに)梁中央部69を変位させると、両持ち梁状の係合梁68が湾曲することで梁中央部69と係合突起90との係合が解除される。このとき、係合梁68の左右の梁基端部70での変位量は梁中央部69での変位量よりも小さいものの、左右の梁基端部70での係合幅L1が梁中央部69での係合幅L2よりも小さいため、左右の梁基端部70と係合突起90との係合状態も解除され得る。即ち、梁中央部69の係合状態を解除すれば、左右の梁基端部70の係合状態も解除され得る。これにより、ケース7から第1カバー8が容易に取り外される。したがって、本実施形態に係る電子部品内蔵ユニット1は、ケース7への第1カバー8の適正な保持と、ケース7からの第1カバー8の容易な取り外しと、を両立することができる。
【0040】
更に、本実施形態に係る電子部品内蔵ユニット1によれば、係合突起90は、梁中央部69に係合する箇所(中央部91)の突出高さのほうが、左右の梁基端部70に係合する箇所(両端部92)の突出高さよりも大きい。即ち、係合突起90は、係合梁68が延びる方向において、両端よりも中央が突出した三角形状の突起形状を有する。よって、ケース7に第1カバー8を取り付けるとき、係合突起90を適正な係合位置(即ち、係合孔67の中)にスムーズに挿入することができる。その結果、ケース7に第1カバー8を取り付ける作業の作業性を向上できる。
【0041】
更に、本実施形態に係る電子部品内蔵ユニット1によれば、係合梁68は、梁中央部69の突出方向における幅のほうが、左右の梁基端部70の突出方向における幅よりも大きい。よって、係合梁68全体の幅が梁中央部69の幅と同じである場合に比べ、ケース7から第1カバー8を取り外すとき、より容易に係合梁68を変形させることができる。その結果、ケース7からの第1カバー8の取り外しを更に容易にすることができる。
【0042】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0043】
ここで、上述した本発明に係る箱状体2及び電子部品内蔵ユニット1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
【0044】
[1]
収容溝(53)を内部に有するケース(7)と、前記収容溝(53)の開口部を塞ぐように前記ケース(7)に組み付けられるカバー(8)と、を備える箱状体(2)であって、
前記ケース(7)は、
前記収容溝(53)を画成する溝側壁(58)と、前記溝側壁(58)に設けられ且つ当該ケース(7)への前記カバー(8)の取付方向に交差するように延びる両持ち梁状の係合梁(68)と、を有し、
前記カバー(8)は、
当該カバー(8)から前記溝側壁(58)に向けて突出して前記取付方向において前記係合梁(68)に係合する係合突起(90)を有し、
前記係合梁(68)及び前記係合突起(90)は、
当該係合突起(90)の突出方向における当該係合梁(68)と当該係合突起(90)との係合幅が、前記係合梁(68)の梁中央部(69)における前記係合幅(L2)のほうが、前記係合梁(68)の梁基端部(70)における前記係合幅(L1)よりも大きい、ように構成される、
箱状体(2)。
【0045】
上記[1]の構成の箱状体によれば、ケースにカバーを取り付けると、ケースが有する両持ち梁状の係合梁にカバーが有する係合突起が係合する。係合突起は、係合梁の梁中央部だけでなく梁基端部においても係合することで、係合梁に強固に係合する。これにより、ケースにカバーが適正に保持される。更に、係合突起の突出方向における係合梁と係合突起との係合幅の点で、係合梁の梁中央部における係合幅のほうが、係合梁の梁基端部における係合幅よりも大きい。そのため、係合梁と係合突起との係合状態を解除するための治具等を用いて、係合梁の梁中央部を係合突起から離すように(具体的には、係合突起の突出する向きに)梁中央部を変位させると、両持ち梁状の係合梁が湾曲することで梁中央部と係合突起との係合が解除される。このとき、係合梁の梁基端部での変位量は梁中央部での変位量よりも小さいものの、梁基端部での係合幅が梁中央部での係合幅よりも小さいため、梁基端部と係合突起との係合状態も解除され得る。即ち、梁中央部の係合状態を解除すれば、梁基端部の係合状態も解除され得る。これにより、ケースからカバーが容易に取り外される。したがって、本構成の箱状体は、ケースへのカバーの適正な保持と、ケースからのカバーの容易な取り外しと、を両立することができる。
【0046】
[2]
上記[1]に記載の箱状体(2)において、
前記係合突起(90)は、
前記梁中央部(69)に係合する箇所の突出高さのほうが、前記梁基端部(70)に係合する箇所の突出高さよりも大きい、ように構成される、
箱状体(2)。
【0047】
上記[2]の構成の箱状体によれば、係合突起は、梁中央部に係合する箇所の突出高さのほうが、梁基端部に係合する箇所の突出高さよりも大きい。即ち、係合突起は、係合梁が延びる方向において、両端よりも中央が突出した三角形状の突起形状を有する。よって、ケースにカバーを取り付けるとき、係合突起を適正な係合位置(例えば、係合梁に隣接する空間)にスムーズに移動させることができる。その結果、ケースにカバーを取り付ける作業の作業性を向上できる。
【0048】
[3]
上記[2]に記載の箱状体(2)において、
前記係合梁(68)は、
前記梁中央部(69)の前記突出方向における幅のほうが、前記梁基端部(70)の前記突出方向における幅よりも大きい、ように構成される、
箱状体(2)。
【0049】
上記[3]の構成の箱状体によれば、係合梁は、梁中央部の突出方向における幅のほうが、梁基端部の突出方向における幅よりも大きい。よって、係合梁全体の幅が梁中央部の幅と同じである場合に比べ、ケースからカバーを取り外すとき、より容易に係合梁を変形させることができる。その結果、ケースからのカバーの取り外しを更に容易にすることができる。
【0050】
[4]
上記[1]~上記[3]の何れか一つに記載の箱状体(2)と、
前記箱状体(2)に格納される電子部品(3)と、
前記電子部品(3)と、前記収容溝(53)に収容されることになる電線(4)と、を電気的に接続することになる接続端子(5,6)と、を備える、
電子部品内蔵ユニット(1)。
【0051】
上記[4]の構成の電子部品内蔵ユニットによれば、箱状体のケースの収容溝に電線を収容した上でケースにカバーを取り付けると、ケースが有する両持ち梁状の係合梁にカバーが有する係合突起が係合する。係合突起は、係合梁の梁中央部だけでなく梁基端部においても係合することで、係合梁に強固に係合する。これにより、ケースにカバーが適正に保持される。更に、係合突起の突出方向における係合梁と係合突起との係合幅の点で、係合梁の梁中央部における係合幅のほうが、係合梁の梁基端部における係合幅よりも大きい。そのため、メンテナンス等の理由でケースからカバーを取り外すとき、係合梁と係合突起との係合状態を解除するための治具等を用いて、係合梁の梁中央部を係合突起から離すように(具体的には、係合突起の突出する向きに)梁中央部を変位させると、両持ち梁状の係合梁が湾曲することで梁中央部と係合突起との係合が解除される。このとき、係合梁の梁基端部での変位量は梁中央部での変位量よりも小さいものの、梁基端部での係合幅が梁中央部での係合幅よりも小さいため、梁基端部と係合突起との係合状態も解除され得る。即ち、梁中央部の係合状態を解除すれば、梁基端部の係合状態も解除され得る。これにより、ケースからカバーが容易に取り外される。したがって、本構成の電子部品内蔵ユニットは、ケースへのカバーの適正な保持と、ケースからのカバーの容易な取り外しと、を両立することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 電子部品内蔵ユニット
2 箱状体
3 電子部品
4 電線
5 電線側端子(接続端子)
6 アース端子(接続端子)
7 ケース
8 第1カバー(カバー)
53 収容溝
58 前側壁(溝側壁)
68 係合梁
69 梁中央部
70 梁基端部
90 係合突起