(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131163
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】食材小分け装置
(51)【国際特許分類】
G01F 11/24 20060101AFI20240920BHJP
A47J 44/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01F11/24
A47J44/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041255
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】521089889
【氏名又は名称】TMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】京谷 泰裕
(72)【発明者】
【氏名】山下 耕典
(72)【発明者】
【氏名】舩越 正紀
(72)【発明者】
【氏名】酒井 大気
【テーマコード(参考)】
4B053
【Fターム(参考)】
4B053AA01
4B053BA20
4B053BB03
4B053BC13
4B053BE13
4B053BE20
4B053BL20
(57)【要約】
【課題】レトルト食品や冷凍食品等の製造における省力化やスピード化、生産コストの削減を図ることが可能な食材小分け装置を提供する。
【解決手段】
互いに引っ付きやすい食材を解して小分けし、間欠的に送出するものであり、上部に食材の投入口、下部に食材の送出口がそれぞれ形成された筐体と、該筐体内に配置され、筐体の側板と直交する軸に回転可能に支持された歯車状をなす1または複数の回転体とを備え、前記回転体の1つまたは全部が、食材を送り出す方向である正方向に所定角度だけ回転した後、その逆方向に前記所定角度以下の角度だけ回転するか若しくは一定時間静止するというサイクルを繰り返すように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに引っ付きやすい食材を解して小分けし、間欠的に送出するものであり、
正面板、背板及び対向する一対の側板を有し、上部に食材の投入口、下部に食材の送出口がそれぞれ形成された筐体と、
該筐体内に配置され、前記側板と直交する軸に回転可能に支持された歯車状をなす1または複数の回転体と、
前記回転体の1つまたは全部を所定回転態様で回転させることにより、前記投入口から投入された食材を小分けし、前記送出口から間欠的に送出させる駆動源と、を備え、
前記所定回転態様において、前記回転体は、食材を送り出す方向である正方向に所定角度だけ回転した後、その逆方向に前記所定角度以下の角度だけ回転するか若しくは一定時間静止するというサイクルを繰り返すことを特徴とする食材小分け装置。
【請求項2】
2つの前記回転体が隣り合うように2つ配置されており、少なくともその一方が、前記所定回転態様で回転する請求項1記載の食材小分け装置。
【請求項3】
前記2つの回転体のうちの第1回転体は、平面視、前記正面板または背板のいずれか一方との間に空間(以下、第1空間ともいう。)が形成されるように前記正面板または背板のいずれか他方側に寄せて配置されており、
前記2つの回転体のうちの第2回転体は、前記第1回転体より下方であって、平面視、前記正面板または背板のいずれか他方との間に空間(以下、第2空間ともいう。)が形成されるように前記正面板または背板のいずれか一方側に寄せて配置されており、
前記投入口から投入された食材が、前記第1空間及び第2空間を通過して前記送出口から間欠的に送出されるように構成されている請求項2記載の食材小分け装置。
【請求項4】
前記第2回転体が、前記所定回転態様で回転する請求項3記載の食材小分け装置。
【請求項5】
前記第1回転体が、前記所定回転態様で回転する請求項4記載の食材小分け装置。
【請求項6】
前記筐体及び駆動源を保持する保持構造体をさらに備えており、
前記筐体は、前記保持構造体に設定された所定の固定位置と所定の退避位置との間でスライド可能に保持されており、
前記筐体を前記退避位置から前記固定位置にスライド移動させるだけで、前記回転体に前記駆動源が接続されるとともに、前記筐体を前記固定位置から前記退避位置にスライド移動させるだけで、前記回転体から前記駆動源が分離されるように構成してある請求項1記載の食材小分け装置。
【請求項7】
前記駆動源の回転を前記各回転体に伝達する伝達機構をさらに備え、
該伝達機構は、前記側板から突出した回転体に連結されたギヤ(以下、回転体側ギヤともいう。)と、前記駆動源に連結されたギヤ(以下、駆動源側ギヤともいう。)と、を備えたものであり、
前記固定位置において、前記回転体側ギヤと前記駆動源側ギヤとが噛合し、前記退避位置において、前記回転体側ギヤと前記駆動源側ギヤとが分離する請求項6記載の食材小分け装置。
【請求項8】
前記側板から突出する回転体の軸と当該側板との間にシール構造が設けられている請求項7記載の食材小分け装置。
【請求項9】
前記回転体は、径方向に突出する複数の歯を有したものであり、
各歯における進行方向前側の歯面の角度が、進行方向後側の歯面の角度よりも立っている請求項1記載の食材小分け装置。
【請求項10】
前記各歯における進行方向後側の歯面に複数の凹凸が設けられている請求項9記載の食材小分け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、おひとり様用のレトルトパック向けの丼ぶりやカレー等に用いられる煮られたスライス玉葱、野菜や肉などといった互いに引っ付きやすい食材の塊を解して、おおよそ一定の小分け量に分離し送出する食材小分け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レトルト食品や冷凍食品の製造においては、調理された各具材や調味料等(以下、食材という)をそれぞれ決められた所定分量ずつ包装容器や包装袋に充填する工程がある。
【0003】
この工程を自動化するために、特許文献1に示すように、食材の所定分量を計量する組み合わせ計量機が開発されている。このような装置においては、前提として各食材を前記所定分量よりも小さい単位に小分けして各計量皿に載せ、それら小分けされた各食材のうちから、合計量が前記所定分量となるいくつかの計量皿を選択し、それら選択された計量皿の食材を集積して包装容器や包装袋に充填すべく搬送する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した組み合わせ計量機の前段での食材の小分け工程は、機械化による自動化が難しいと考えられており、依然人手に頼っている。そしてこの点がボトルネックとなって、レトルト食品や冷凍食品等の製造における省力化やスピード化が阻害されている。
【0006】
そこで、本発明は、従来にない斬新な機構を採用することにより、この課題を解決すべく図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本願発明は以下のような構成を有している。
【0008】
[1]
互いに引っ付きやすい食材を解して小分けし、間欠的に送出するものであり、
正面板、背板及び対向する一対の側板を有し、上部に食材の投入口、下部に食材の送出口がそれぞれ形成された筐体と、
該筐体内に配置され、前記側板と直交する軸に回転可能に支持された歯車状をなす1または複数の回転体と、
前記回転体の1つまたは全部を所定回転態様で回転させることにより、前記投入口から投入された食材を小分けし、前記送出口から間欠的に送出させる駆動源と、を備え、
前記所定回転態様において、前記回転体は、食材を送り出す方向である正方向に所定角度だけ回転した後、その逆方向に前記所定角度以下の角度だけ回転するか若しくは一定時間静止するというサイクルを繰り返すことを特徴とする食材小分け装置。
【0009】
このような構成であれば、回転体の正逆回転の繰り返しによって、互いに引っ付きあった食材に剪断力が作用して小分けされ、送出される。したがって、従来、人手で行っていた食材の小分け工程を自動化することができ、省力化、スピード化、生産コストの削減などを図ることができる。
【0010】
[2]
2つの前記回転体が隣り合うように2つ配置されてるとともに、前記食材がこれら2つの回転体の間を通って送出されるように構成されており、前記回転体の少なくとも一方が、前記所定回転態様で回転する[1]記載の食材小分け装置。
【0011】
このような構成であれば、食材が2つの回転体の隙間を通る際に前記剪断力が作用するので、より確実に小分けをすることが可能になる。
【0012】
[3]
前記2つの回転体のうちの第1回転体は、平面視、前記正面板または背板のいずれか一方との間に空間(以下、第1空間ともいう。)が形成されるように前記正面板または背板のいずれか他方側に寄せて配置されており、
前記2つの回転体のうちの第2回転体は、前記第1回転体より下方であって、平面視、前記正面板または背板のいずれか他方との間に空間(以下、第2空間ともいう。)が形成されるように前記正面板または背板のいずれか一方側に寄せて配置されており、
前記投入口から投入された食材が、前記第1空間及び第2空間を通過して前記送出口から間欠的に送出されるように構成されている[2]記載の食材小分け装置。
【0013】
このように、第1回転体と第2回転体を斜めに配置し、第1空間と第2空間を形成することにより、まず投入口から投入された食材が第1回転体に接触し、その回転によって第1空間に送り込まれた後、この食材が第1空間の下方に位置する第2回転体に接触し、その回転により送出口に連通する第2空間に送り込まれるので、食材が筐体の途中で引っかかって回転体に接触しない、いわゆる回転体の空回りを抑制でき、食材をより確実に送出することができる。
【0014】
[4]
前記第2回転体が、前記所定回転態様で回転する[3]記載の食材小分け装置。
このような構成であれば、送出口に近い第2回転体が前記所定回転態様で回転するので、食材の小分けを効果的に行うことができる。
【0015】
[5]
前記第1回転体が、前記所定回転態様で回転する[4]記載の食材小分け装置。
このような構成であれば、両方の回転体が前記所定回転態様で回転するので、より確実に食材を小分けできる。
【0016】
[6]
前記筐体及び駆動源を保持する保持構造体をさらに備えており、
前記筐体は、前記保持構造体に設定された所定の固定位置と所定の退避位置との間でスライド可能に保持されており、
前記筐体を前記退避位置から前記固定位置にスライド移動させるだけで、前記回転体に前記駆動源が接続されるとともに、前記筐体を前記固定位置から前記退避位置にスライド移動させるだけで、前記回転体から前記駆動源が分離されるように構成してある[1]ないし[5]いずれかに記載の食材小分け装置。
【0017】
筐体およびそこに収容された回転体は、食材が通るため、定期的に、あるいは食材が変わるたびに洗浄を行わなければならない。以上の構成であれば、筐体を簡単に取り外せるので、洗浄を容易に行うことができる。
【0018】
[7]
前記駆動源の回転を前記各回転体に伝達する伝達機構をさらに備え、
該伝達機構は、前記側板から突出した回転体に連結されたギヤ(以下、回転体側ギヤともいう。)と、前記駆動源に連結されたギヤ(以下、駆動源側ギヤともいう。)と、を備えたものであり、
前記固定位置において、前記回転体側ギヤと前記駆動源側ギヤとが噛合し、前記退避位置において、前記回転体側ギヤと前記駆動源側ギヤとが分離する[6]記載の食材小分け装置。
【0019】
このような構成であれば、筐体をスライドさせて脱着する構造の簡単化を図ることができる。
【0020】
[8]
前記側板から突出する回転体の軸と、当該側板との間にシール構造が設けられている[7]記載の食材小分け装置。
このような構成であれば、筐体内の食材が送出口以外から漏れることを防止できる。
【0021】
[9]
前記回転体は、径方向に突出する複数の歯を有したものであり、
各歯における進行方向前側の歯面の角度が、進行方向後側の歯面の角度よりも立っている[1]ないし[6]いずれかに記載の食材小分け装置。
このような構成であれば、回転体によって食材を送出口に向かって効率的に送り込むことができるうえ、回転体の空回りを可及的に防止することもできる。
【0022】
[10]
前記各歯における進行方向後側の歯面に複数の凹凸が設けられている[9]記載の食材小分け装置。
このような構成であれば、回転体の進行方向後側の歯面に食材が引っ付くことを抑制できる。
【発明の効果】
【0023】
このような構成の食材小分け装置によれば、回転体の正逆回転の繰り返し、若しくは正回転と静止との繰り返しという斬新な機構によって、互いに引っ付きあった食材に剪断力が作用して小分けされ、送出される。したがって、従来、人手で行っていた引っ付きやすい食材の小分け工程を自動化することができ、省力化、スピード化、生産コストの削減などを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態における食材小分け装置の全体を示す3面図(背面図、側面図、平面図)である。
【
図2】同実施形態における筐体、回転体等を示す一方の側面図である。
【
図3】同実施形態における筐体、回転体等を示す平面図である。
【
図4】同実施形態における筐体、回転体等を示す背面図である。
【
図5】同実施形態における筐体、回転体等を示す他方の側面図である。
【
図6】同実施形態における筐体、回転体等を示す斜視図である。
【
図7】同実施形態における筐体、回転体等を示す斜視図である。
【
図8】同実施形態における筐体に収容された回転体およびギヤを示す断面図である。
【
図9】同実施形態における駆動機構等を示す3面図(背面図、側面図、平面図)である。
【
図10】同実施形態における筐体、駆動機構及び伝達機構を示す斜視図である。
【
図11】同実施形態における筐体、駆動機構及び伝達機構を示す側面図である。
【
図12】同実施形態におけるホッパーを示す斜視図および断面図である。
【
図13】同実施形態における食材小分け装置の動作を説明するための動作説明図である。
【
図14】同実施形態における食材小分け装置の動作を説明するための動作説明図である。
【
図15】同実施形態における食材小分け装置の動作を説明するための動作説明図である。
【
図16】同実施形態における食材小分け装置の動作を説明するための動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係る食材小分け装置100を、図面を参照して説明する。
【0026】
[概要]
本実施形態に係る食材小分け装置100は、例えば、おひとり様用のレトルトパック向けの丼ぶりやカレー等に用いられる煮られたスライス玉葱、野菜や肉などといった互いに引っ付きあった食材Wの塊を小分けして、間欠的に送出するものである。
【0027】
[構成]
具体的にこの食材小分け装置100は、
図1等に示すように、上部から投入された前記食材W(
図13に示す。)が内部を通って小分され、間欠的に下部から送出される筐体1と、この筐体1内に配置された歯車状をなす2つの回転体2(以下、これらを区別する場合には2A、2Bと付す。)と、これら各回転体2を回転駆動する駆動源3と、前記回転体2と駆動源3とを連結する伝達機構4と、前記駆動源3を制御する制御機構(図示しない。)と、これらを保持する保持構造体6とを備えたものである。なお、以下では、前後、左右、正、背、側などの方向を示す記述があるが、これはあくまで説明の簡便化のためであり、絶対的な方向を示すものではない。
【0028】
次に、前記各部について詳述する。
【0029】
前記筐体1は、
図2~
図5に特に示すように、直方体形状をなす例えばステンレス、アルミなどの金属製のものであり、正面板13、これに対向する背板14、一対の対向する側板11、12を備え、上面および下面は開口してそれぞれが前記投入口1aおよび送出口1bとなっている。なお、一方の側板11には開口16が設けられており、この開口を塞ぐ脱着可能な矩形状のカバー15が取り付けられている。筐体1の内部洗浄を容易化するためである。また、この筐体1の内面にはエンボス加工が施されて食材Wが当該内面に引っ付きにくい構成にしてある。
【0030】
この筐体1は、床面に設置されるフレーム状の保持構造体6に対し、所定の固定位置とそれよりも後側に設定された退避位置との間でレールなどの案内部材を介して前後スライド可能に取り付けられている。この実施形態では、左右に延びるバー61(
図1に示す。)を前後動させることにより、これら複数の筐体1が一斉に前記固定位置と退避位置との間で前後にスライドするように構成されている。
【0031】
なお、前記固定位置ではトグルクランプなどの固定治具により前記バー61を移動不能に固定できるようにしてある一方、前記退避位置では、各筐体1が個別に着脱できるように構成されている。
【0032】
また、この実施形態では、
図1、
図12に示すように、これら左右に並ぶ筐体1の上部に1つのホッパー7が設けられている。このホッパー7の上端部には食材Wの挿入口7aが設けられており、その下端部には前記各筐体1の投入口1aに接続される複数の接続口7bが形成されており、このホッパー7に食材Wを入れることにより、各筐体1に食材Wが一度に供給されるように構成されている。
【0033】
前記回転体2は、
図2、
図3、
図6、
図8に特に示すように、円盤状をなす本体部21および該本体部21の外周から径方向に一定間隔で突出する複数の歯22を備えた金属(例えばSUS)製のものである。
【0034】
前記本体部21の厚み寸法は、
図3に示すように、前記筐体1の側板11、12間内寸法とほぼ等しく設定されている。この本体部21の中心からは、
図8に示すように、一方向に向かって軸23が突出させてある。この軸23は他方の側板12に取り付けられた軸受24を介して筐体1の外部に突出している。この軸受24には、Oリングなどによって構成されたシール構造8が設けてあり、このシール構造8によって側板12の外側と内側との間が液密にシールされている。
【0035】
前記歯22は、この実施形態では例えば30°の間隔で設けられている。各歯22は、前記本体部21の半分の厚みを有し、本体部21の側面(軸方向)から視て、手前側に設けられた歯22と奥側に設けられた歯22とが交互に本体部21から突出している。また、同側面視において、各歯22における進行方向前側の歯面の角度は、進行方向後側の歯面の角度よりも立っている。より具体的には、進行方向前側の歯面の角度は、歯先円の接線方向に対しほぼ直角であり、進行方向後側の歯面の角度はそれよりも寝ている。さらに、進行方向後側の歯面には、軸方向に延びる複数の凹凸溝22aが規則正しく設けられている。
【0036】
しかして、上述した2つの回転体のうちの一方(第1回転体2A)は、平面視、前記正面板13との間に空間(以下、第1空間S1ともいう。)が形成されるように背板14側に寄せて配置されており、他方(第2回転体2B)は、前記第1回転体2Aより下方であって、平面視、前記背板14との間に空間(以下、第2空間S2ともいう。)が形成されるように正面板13側に寄せて配置されている。
【0037】
このように、第1回転体2Aの斜め下方に第2回転体2Bが配置されているところ、各回転体2の距離は、それぞれの歯先円が近接する距離に設定されている。
【0038】
前記駆動源3は、
図9に示すように、DCステッピング式の2つのモータ、すなわち、第1回転体2Aを駆動する第1モータ31及び第2回転体2Bを駆動する第2モータ32と、これら2つのモータ31、32を上下に並ぶように保持する保持板33とを備えたものであり、これら各モータ31、32によって各回転体2をそれぞれ独立して駆動可能に構成されている。ここでは、このような構成の駆動源3が、前記筐体1と同数設けられている。より具体的には、前記保持構造体6に取り付けられる水平な取付板62上に、これら駆動源3が、前記筐体1と同じ間隔で左右に並び設けられている。なお、モータは他の方式のDCモータでもよいし、ACモータでも構わない。また、同図中、符号Cはケーブルであり、このケーブルが図示しない電源や前述した制御機構に接続される。
【0039】
前記伝達機構4は、
図3~
図11に示すように、前記側板12から突出する各回転体2の軸23に連結されたギヤ(以下、回転体側ギヤ41ともいい、区別が必要な場合は、第1回転体側ギヤ41A、第2回転体側ギヤ41Bという。)と、前記各モータ31、32の軸に連結されたギヤ(以下、モータ側ギヤ42ともいい、区別が必要な場合は、第1モータ側ギヤ42A、第2モータ側ギヤ42Bという。)とを備えたものである。
【0040】
まず前記回転体側ギヤ41から説明する。
【0041】
前記第1回転体2Aに連結された第1回転体側ギヤ41Aは、ここでは複数(2つ)の互いに噛合するギヤ、すなわち第1回転体2Aの軸23に直結された一次ギヤ411と中間ギヤ412とから構成されている。前記中間ギヤ412は、側板12に軸支されて前記一次ギヤ411の後側斜め上方に配置されている。
【0042】
前記第2回転体2Bに連結された第2回転体側ギヤ41Bは、ここでは単体で構成されている。そして、前記第1回転体側ギヤ41Aを構成する中間ギヤ412と当該第2回転体側ギヤ41Bとが、側板12の後側において上下に並ぶように配置されている。
【0043】
次に前記モータ側ギヤ42について説明する。
【0044】
前記第1モータ31の軸に連結されたモータ側ギヤ(以下、第1モータ側ギヤ42Aともいう。)および前記第2モータ32の軸に連結されたモータ側ギヤ(以下、第2モータ側ギヤ42Bともいう。)は、それぞれ単体で構成されており、これらは各モータ31、32の配置に倣って上下に並ぶように配置されている。
【0045】
そして、前記各筐体1を、
図10に示す退避位置から
図11に示す固定位置にまで前方に向かって水平にスライド移動させると、前記各回転体側ギヤ41と前記各モータ側ギヤ42とがそれぞれ噛合する一方、前記筐体1を前記退避位置から前記固定位置に向かって後方に移動させると、前記各回転体側ギヤ41と前記各モータ側ギヤ42とが離れるとともに、前記筐体1を保持構造体6から取り外すことができるように構成されている。
【0046】
前記制御機構は、CPU、メモリ、モータドライバなどを備えた所謂コンピュータやシーケンサ(PLC)などと称されるものである。そして、前記メモリに記憶された所定のプログラムに従ってCPUおよびその周辺機器が協動することによって、前記各モータ31、32を介して前記各回転体2を所定回転態様で回転させ、前記投入口1aから投入された食材Wを、前記第1空間S1及び第2空間S2を通過させて前記送出口1bからおおよそ所定分量ずつ間欠的に送出させる。
【0047】
この所定回転態様において、前記第1回転体2Aは、その上部が前記第1空間S1に向かう方向(以下、第1正方向ともいう。)に例えば30°回転した後、一定時間静止するというサイクルを繰り返す。
【0048】
他方、前記第2回転体2Bは、その上部が前記第2空間S2に向かう方向(以下、第2正方向ともいう。)に例えば30°回転した後、その逆方向(以下、第2逆方向ともいう。)に例えば15°回転するというサイクルを繰り返す。ここでの正逆方向の回転速度は等しく、また、反転する際の静止時間は実質的に0である。
【0049】
[動作]
次に、上述した構成の食材小分け装置100の動作を説明する。
【0050】
食材Wを前記ホッパー7に入れると、この食材Wは、
図13に示すように、ホッパー7の下部の各接続口7bから各筐体1の投入口1aを通って各筐体1内に自重で入る。
【0051】
そして、筐体1内の食材Wは、
図14~
図16に示すように、自重および第1回転体2Aの回転によって第1空間S1に押し込まれてその下方にある第2回転体2Bに接触し、次に各回転体2の回転によって、第1回転体2Aと第2回転体2Bの隙間から第2空間S2に押しだされる。この隙間を食材Wが通るとき、第1回転体2Aの正回転と静止との繰り返し、および第2回転体2Bの正逆回転の繰り返しによる剪断力で、引っ付きあった食材Wがおおよそ均等な量に小分けされ、第2空間S2を通ってその下方の送出口1bから間欠的に吐き出される。
【0052】
より具体的に説明すると、この実施形態では、
図14に示すように、第1回転体2Aが静止した状態で、第2回転体2Bが第2正回転方向に60°回転する。このことにより、第1回転体2Aと第2回転体2Bの隙間から小分けされた食材Wが第2空間S2に押しだされ、送出口1bから下方に排出される。
【0053】
次に、
図15に示すように、第2回転体2Bは第2逆方向に30°回転するとともに、第1回転体2Aが第1正方向に30度回転する。このことにより、第1回転体2Aと第2回転体2Bの隙間に食材が充満する。
【0054】
そして、
図16に示すように、第1回転体2Aが静止した状態で、第2回転体2Bが第2正回転方向に60°回転する。このことにより、第1回転体2Aと第2回転体2Bの隙間から小分けされた食材Wが第2空間S2に押しだされ、送出口1bから下方に排出される。
【0055】
以上が繰り返され、食材Wがおおよそ均等な量に小分けされ、筐体1の送出口1bから間欠的に吐き出される。
【0056】
なお、各送出口1bの下方には図示しないベルトコンベアなどの搬送機がそれぞれ配設してあり、小分けされた各食材Wは、これら搬送機から背景技術で述べた組み合わせ計量機(図示しない)の各計量皿にそれぞれ搬送される。
【0057】
[効果]
以上に述べた食材小分け装置100によれば、第1回転体2Aの正回転と静止との繰り返し、および第2回転体2Bの正逆回転の繰り返しによって、互いに引っ付きあった食材Wに剪断力が作用して小分けされ、送出される。したがって、従来、人手で行っていた食材Wの小分け工程を自動化することができ、その分の省力化とスピード化を図ることができる。
【0058】
また、回転体2の各歯22の幅(厚み)が本体部21の厚みよりも小さいので、本体部21と同一幅の歯22とした場合と比べ、各歯22の歯先面積が小さくなる。したがって、引っ付きあった食材W内に歯22が食い込みやすく、その分確実に食材Wを送り込めるとともに剪断して小分けにすることができる。
【0059】
[変形例]
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0060】
例えば第1回転体の回転態様としては、第1正方向への所定角度回転した後、第1逆方向へ前記所定角度以下の角度で回転するというサイクルを繰り返すようにしてもよい。反転する際に静止時間を設けてもよい。各方向への回転角度や回転速度も前記実施形態に限られない。第1正方向に一定速度で回転し続けるようにしてもよい。
【0061】
第2回転体の回転態様としては、例えば一定時間の静止と第2正方向への所定角度の回転を繰り返すようにしてもよい。また、回転速度を第2正方向と第2逆方向とで異ならせてもよい。反転する際に静止時間を設けてもよい。
【0062】
各回転体の回転の相対的なタイミングは、前記実施形態では同期、すなわち、第2回転体が第2正方向へ回転しているときには、第1回転体は静止しており、第2回転体が第2逆方向へ回転しているときには第1回転体は第1正方向へ回転するというように、各回転体の1サイクル開始および終了タイミングを一致させていたが、これを一致させる必要はないし、各回転体の1サイクル期間を異ならせてもよい。
回転体の歯の形状は前記実施形態のように側面視非対称な形状に限られず、例えば側面から視て対称なスプライン形状や三角形状などとしてもよい。各歯の幅寸法を本体部の厚み寸法と同一にするなどしてもよい。
【0063】
回転体を左右に並べてもよいし、回転体を一つのみで構成することも可能である。
【0064】
要すれば、以上の構成は、食材の種類や小分け量に応じて適宜設定すればよい。
【0065】
伝達機構はギヤ列に限られず、プーリーなどを利用することも可能である。
【0066】
筐体の形状やその脱着機構も前記実施形態に限られるものではない。
【0067】
また、ホッパーの挿入口は、かなり高い位置に設定される場合があるため、このホッパーの挿入口に食材を搬送し投入するベルトコンベアなど搬送機を設けてもよい。また、ホッパーは必ずしも必要なく、筐体の投入口から直接食材を投入してもかまわない。
【0068】
さらに1つの筐体のみで構成してもかまわないし、必ずしも組み合わせ計量機とともに用いなくともよい。小分けされた食材の重量にある程度のばらつきがあってもよい用途に好適である。
【0069】
その他、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0070】
100・・・食材小分け装置
W・・・食材
1・・・筐体
11、12・・・側板
13・・・正面板
14・・・背板
1a・・・投入口
1b・・・送出口
S1・・・第1空間
S2・・・第2空間
2・・・回転体
22・・・歯
22a・・・凹凸溝(凹凸)
23・・・回転体の軸
3・・・駆動源
4・・・伝達機構
41・・・回転体側ギヤ
42・・・駆動源側ギヤ
6・・・保持構造体
8・・・シール構造