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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131166
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】放射性廃棄物の回収方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G21C 19/26 20060101AFI20240920BHJP
   G21F 9/30 20060101ALI20240920BHJP
   G21C 19/06 20060101ALI20240920BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20240920BHJP
   G21F 9/02 20060101ALI20240920BHJP
   G21F 9/08 20060101ALI20240920BHJP
   G21C 17/06 20060101ALI20240920BHJP
   G21F 9/28 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G21C19/26
G21F9/30 101
G21C19/06 400
G21F9/36 501F
G21F9/02 551A
G21F9/08 511Z
G21F9/36 521Z
G21F9/36 511P
G21C17/06
G21F9/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041259
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神吉 厚之
(72)【発明者】
【氏名】坂下 英司
(72)【発明者】
【氏名】森家 康文
【テーマコード(参考)】
2G075
【Fターム(参考)】
2G075AA02
2G075BA12
2G075CA04
2G075CA38
2G075DA07
2G075DA20
2G075GA40
(57)【要約】
【課題】放射性廃棄物の回収方法および装置において、放射性廃棄物の回収作業を簡素化することで回収作業の作業性の向上を図る。
【解決手段】原子炉格納容器の内部で溶融固化した燃料を含む放射性廃棄物を回収する放射性廃棄物の回収方法において、放射性廃棄物を含む冷却水を回収容器に充填する工程と、回収容器に充填された放射性廃棄物を脱水する工程と、回収容器で脱水された放射性廃棄物を閉止する工程と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉格納容器の内部で溶融固化した燃料を含む放射性廃棄物を回収する放射性廃棄物の回収方法において、
前記放射性廃棄物を含む冷却水を回収容器に充填する工程と、
前記回収容器に充填された前記放射性廃棄物を脱水する工程と、
前記回収容器で脱水された前記放射性廃棄物を閉止する工程と、
を有する放射性廃棄物の回収方法。
【請求項2】
前記回収容器で脱水された前記放射性廃棄物からの水素発生量を測定する、
請求項1に記載の放射性廃棄物の回収方法。
【請求項3】
前記回収容器に充填された前記放射性廃棄物を脱水した後、前記放射性廃棄物を乾燥する、
請求項1または請求項2に記載の放射性廃棄物の回収方法。
【請求項4】
前記回収容器で乾燥された前記放射性廃棄物の重量を測定する、
請求項3に記載の放射性廃棄物の回収方法。
【請求項5】
前記回収容器は、前記放射性廃棄物を含む冷却水を充填する内回収容器と、前記内回収容器を収納する外回収容器とを有し、前記内回収容器を前記外回収容器に収納することで前記放射性廃棄物を閉止する、
請求項1に記載の放射性廃棄物の回収方法。
【請求項6】
前記内回収容器は、充填口と排水口とを有する容器本体と、前記放射性廃棄物を含む冷却水を濾過するフィルタとを有する、
請求項5に記載の放射性廃棄物の回収方法。
【請求項7】
前記フィルタは、前記放射性廃棄物を含む冷却水を濾過する第1フィルタと、前記第1フィルタにより濾過された前記放射性廃棄物を含む冷却水を濾過する第2フィルタとを有する、
請求項6に記載の放射性廃棄物の回収方法。
【請求項8】
前記原子炉格納容器の内部で前記放射性廃棄物を加工して前記放射性廃棄物を含む冷却水を前記回収容器に充填する、
請求項1に記載の放射性廃棄物の回収方法。
【請求項9】
前記放射性廃棄物を含む冷却水が充填された前記回収容器を前記原子炉格納容器の内部から前記原子炉格納容器の外部に搬出した後、前記放射性廃棄物を脱水する、
請求項8に記載の放射性廃棄物の回収方法。
【請求項10】
前記原子炉格納容器の内部で前記放射性廃棄物を加工して前記放射性廃棄物を含む冷却水を前記原子炉格納容器の外部に回収した後、前記放射性廃棄物を含む冷却水を前記回収容器に充填する、
請求項1に記載の放射性廃棄物の回収方法。
【請求項11】
前記原子炉格納容器の外部に回収した前記放射性廃棄物を含む冷却水を濃縮した後、前記放射性廃棄物を含む冷却水を前記回収容器に充填する、
請求項1に記載の放射性廃棄物の回収方法。
【請求項12】
原子炉格納容器の内部で溶融固化した燃料を含む放射性廃棄物を回収する放射性廃棄物の回収装置において、
前記放射性廃棄物を含む冷却水を回収容器に充填する充填装置と、
前記回収容器に充填された前記放射性廃棄物を脱水する脱水装置と、
前記回収容器で脱水された前記放射性廃棄物を閉止する閉止装置と、
を備える放射性廃棄物の回収装置。
【請求項13】
前記回収容器で脱水された前記放射性廃棄物からの水素発生量を測定する水素発生量測定処理を有する、
請求項12に記載の放射性廃棄物の回収装置。
【請求項14】
前記回収容器に充填された前記放射性廃棄物を脱水した後、前記放射性廃棄物を乾燥する乾燥装置を有する、
請求項12または請求項13に記載の放射性廃棄物の回収装置。
【請求項15】
前記回収容器で乾燥された前記放射性廃棄物の重量を測定する重量測定装置を有する、
請求項14に記載の放射性廃棄物の回収装置。
【請求項16】
前記回収容器は、前記放射性廃棄物を含む冷却水を充填する内回収容器と、前記内回収容器を収納する外回収容器とを有し、前記内回収容器を前記外回収容器に収納することで前記放射性廃棄物を閉止する、
請求項12に記載の放射性廃棄物の回収装置。
【請求項17】
前記内回収容器は、充填口と排水口とを有する容器本体と、前記放射性廃棄物を含む冷却水を濾過するフィルタとを有する、
請求項16に記載の放射性廃棄物の回収装置。
【請求項18】
前記フィルタは、前記放射性廃棄物を含む冷却水を濾過する第1フィルタと、前記第1フィルタにより濾過された前記放射性廃棄物を含む冷却水を濾過する第2フィルタとを有する、
請求項17に記載の放射性廃棄物の回収装置。
【請求項19】
前記原子炉格納容器の内部で前記放射性廃棄物を加工して前記放射性廃棄物を含む冷却水を前記回収容器に充填する、
請求項12に記載の放射性廃棄物の回収装置。
【請求項20】
前記放射性廃棄物を含む冷却水が充填された前記回収容器を前記原子炉格納容器の内部から前記原子炉格納容器の外部に搬出した後、前記放射性廃棄物を脱水する、
請求項19に記載の放射性廃棄物の回収装置。
【請求項21】
前記原子炉格納容器の内部で前記放射性廃棄物を加工して前記放射性廃棄物を含む冷却水を前記原子炉格納容器の外部に回収した後、前記放射性廃棄物を含む冷却水を前記回収容器に充填する、
請求項12に記載の放射性廃棄物の回収装置。
【請求項22】
前記原子炉格納容器の外部に回収した前記放射性廃棄物を含む冷却水を濃縮した後、前記放射性廃棄物を含む冷却水を前記回収容器に充填する、
請求項12に記載の放射性廃棄物の回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、炉心燃料が溶融して形成された放射性廃棄物を回収する放射性廃棄物の回収方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子力発電プラントにて、原子炉圧力容器の内部に配置された炉心燃料が溶融すると、原子炉格納容器の内部の構造物も溶融して固化し、放射性廃棄物としてのデブリとなる。そのため、デブリなどの放射性廃棄物を原子炉格納容器から回収して処理する必要がある。原子炉格納容器の内部にあるデブリを回収する技術として、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-206756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術は、原子炉格納容器の内部にあるデブリを破砕し、デブリを水と共に回収してフィルタに保持させて回収するものである。ところが、特許文献1には、フィルタに保持されたデブリを処理する具体的な方法が記載されていない。また、特許文献1の技術は、デブリを回収するためのフィルタの交換が必要となってしまう。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、放射性廃棄物の回収作業を簡素化することで回収作業の作業性の向上を図る放射性廃棄物の回収方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の放射性廃棄物の回収方法は、原子炉格納容器の内部で溶融固化した燃料を含む放射性廃棄物を回収する放射性廃棄物の回収方法において、前記放射性廃棄物を含む冷却水を回収容器に充填する工程と、前記回収容器に充填された前記放射性廃棄物を脱水する工程と、前記回収容器で脱水された前記放射性廃棄物を閉止する工程と、を有する。
【0007】
また、本開示の放射性廃棄物の回収装置は、原子炉格納容器の内部で溶融固化した燃料を含む放射性廃棄物を回収する放射性廃棄物の回収装置において、前記放射性廃棄物を含む冷却水を回収容器に充填する充填装置と、前記回収容器に充填された前記放射性廃棄物を脱水する脱水装置と、前記回収容器で脱水された前記放射性廃棄物を閉止する閉止装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の放射性廃棄物の回収方法および装置によれば、放射性廃棄物の回収作業を簡素化することで回収作業の作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態の放射性廃棄物の回収方法を表す概略図である。
図2図2は、内回収容器を表す断面図である。
図3図3は、外回収容器を表す断面図である。
図4図4は、放射性廃棄物の回収装置の要部を表す概略図である。
図5図5は、放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの濾過・脱水処理から収納処理までの工程を表す概略図である。
図6図6は、放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの乾燥処理から搬送処理までの工程を表す概略図である。
図7図7は、放射性廃棄物の回収方法における処理ラインを表す概略図である。
図8図8は、放射性廃棄物の回収方法における処理ライン変形例を表す概略図である。
図9図9は、沸騰水型原子炉を表す概略図である。
図10図10は、第2実施形態の放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの加工処理から充填処理までの工程を表す概略図である。
図11図11は、放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの充填処理を表す概略図である。
図12図12は、放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの濾過・脱水処理を表す概略図である。
図13図13は、放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの収納処理を表す概略図である。
図14図14は、放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの乾燥処理を表す概略図である。
図15図15は、放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの水素発生量測定処理および重量測定処理を表す概略図である。
図16図16は、放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの閉止処理から搬送処理までの工程を表す概略図である。
図17図17は、放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの加工処理から充填処理までの工程の変形例を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
[第1実施形態]
<沸騰水型原子炉>
図9は、沸騰水型原子炉を表す概略図である。
【0012】
図9に示すように、沸騰水型原子炉100は、原子炉格納容器101の内部に原子炉102が格納されて構成される。原子炉格納容器101は、原子炉建屋103の内部に設置され、上端部に上蓋104が取付けられることで密封される。原子炉格納容器101は、内部に形成されたドライウェル105と、冷却水が充填された圧力抑制プールが内部に形成される複数の圧力抑制室106とを有する。ドライウェル105は、ベント通路107を介して圧力抑制室106に連結され、ベント通路107の先端部が圧力抑制プールの冷却水中に浸漬される。
【0013】
原子炉建屋103は、原子炉格納容器101を支持し、上蓋104の上方に複数に分割されて放射線遮へい体として機能する複数のシールドプラグ108が配置され、複数のシールドプラグ108により原子炉格納容器101が密閉保持される。
【0014】
原子炉102は、上蓋109が取付けられて構成される原子炉容器110、核燃料物質を含む複数の燃料集合体が装荷された炉心111、気水分離器112、蒸気乾燥器113などにより構成される。炉心111、気水分離器112、蒸気乾燥器113は、原子炉容器110内に配置される。原子炉容器110は、内部に炉心シュラウド114が配置され、炉心111を取り囲んでいる。炉心111は、内部に複数の燃料集合体が装荷され、各燃料集合体は、下端部が炉心支持板115により支持され、上端部が上部格子板116によって保持される。気水分離器112は、上部格子板116よりも上方に配置され、蒸気乾燥器113が気水分離器112の上方に配置される。
【0015】
複数の制御棒117は、下方から炉心111に挿入されるように配置される。複数の制御棒117は、制御棒案内管(図示略)内に配置され、上下方向に移動自在となり、炉心111の内部に配置されている燃料集合体間に対して出し入れされて原子炉出力が制御される。制御棒駆動機構118は、原子炉容器110の下鏡に取付けられ、各制御棒案内管内の制御棒117に連結される。
【0016】
原子炉容器110は、炉心構造物として、炉心111だけでなく、気水分離器112、蒸気乾燥器113、炉心シュラウド114、炉心支持板115、上部格子板116、制御棒117などが内部に配置される。
【0017】
原子炉容器110は、原子炉格納容器101内の底部に設けられたコンクリートマット119上に設けられた筒状のペデスタル120上に据付けられる。そして、筒状のγ線遮蔽体121が、ペデスタル120の上端に設置され、原子炉容器110の外側を取り囲んでいる。
【0018】
ところで、原子力発電プラントにて、原子炉容器110の内部の炉心111などが溶融すると、溶融した燃料など溶融物が原子炉容器110の底部に堆積したり、原子炉容器110も溶融してコンクリートマット119に落下したりする。原子炉格納容器101は、内部に冷却水が供給されることで冷却されており、ペデスタル120内に冷却水が貯留されることで溶融物が冷却されて固化される。固化した溶融物は、放射性廃棄物(以下、デブリと称する。)Mとして回収の対象となる。
【0019】
放射性廃棄物の処理装置130は、原子炉格納容器101の内部にあるデブリMの調査や回収などを行うものである。原子炉建屋103は、中央部に原子炉102(原子炉容器110)を支持する原子炉格納容器101が配置され、原子炉格納容器101の外側に部屋131が設けられる。部屋131は、原子炉102の正常運転時には、作業者が被ばくすることなく安全に立ち入ることができる空間である。部屋131は、コンクリート製の壁部132により区画される。部屋131は、コンクリート構造壁を貫通して原子炉格納容器101内に連通する作業孔134が設けられる。
【0020】
放射性廃棄物の処理装置130は、原子炉建屋103における部屋131に設置される。放射性廃棄物の処理装置130は、エンクロージャ140を有する。エンクロージャ140は、原子炉格納容器101の作業孔(ペネトレーション)134に連通管135を介して連結される。エンクロージャ140は、内部に回収装置10は、エンクロージャ140の内部に配置される。
【0021】
<放射性廃棄物の回収方法の概略>
第1実施形態の放射性廃棄物の回収方法および装置は、原子炉格納容器101の内部でデブリMを加工し、デブリMを含む冷却水を回収容器に充填し、デブリMを含む冷却水が充填された回収容器を原子炉格納容器101の内部から原子炉格納容器101の外部に搬出し、エンクロージャ140の内部でデブリMに対して各種の処理を行うものである。
【0022】
図1は、第1実施形態の放射性廃棄物の回収方法を表す概略図である。
【0023】
図1に示すように、放射性廃棄物の回収方法は、加工処理11と、充填処理12と、濾過・脱水処理13と、収納処理14と、乾燥処理15と、水素発生量測定処理16と、重量測定処理17と、閉止処理18と、搬送処理19とを有する。
【0024】
加工処理11は、原子炉格納容器101の内部で、加工装置によりデブリMを加工する処理である。加工装置は、例えば、切削装置や破砕装置などであり、デブリMを切削または破砕して粒状物を生成する。
【0025】
充填処理12は、加工装置により加工されたデブリMを含む冷却水を回収容器に充填する処理である。第1実施形態では、原子炉格納容器101の内部において、デブリMを加工し、充填装置としてのポンプ装置を作動し、デブリMを含む冷却水を回収容器に充填する。
【0026】
濾過・脱水処理13は、回収容器に充填されたデブリMを脱水する処理である。デブリMを含む冷却水が充填された回収容器は、搬送装置により原子炉格納容器101のエンクロージャ140(図9参照)に搬出される。エンクロージャ140の内部に設けられた濾過装置や脱水装置を用いて回収容器の内部のデブリMを濾過したり、脱水したりする。
【0027】
回収容器は、内回収容器と、外回収容器とを有する。充填処理12は、加工装置により加工されたデブリMを含む冷却水を内回収容器に充填する。収納処理14は、デブリMを含む冷却水が充填された内回収容器を、例えば、コンベアや作業用ロボットなどを用いて外回収容器に収納する。
【0028】
乾燥処理15は、回収容器で脱水されたデブリMを乾燥する処理である。乾燥処理15は、乾燥装置としての加熱装置や減圧装置などを用いて水分を除去してデブリMを乾燥する。
【0029】
水素発生量測定処理16は、回収容器で乾燥されたデブリMからの発生する水素発生量を測定する処理である。デブリMは、核燃料物質が含まれていることから、デブリM自身からの放射線により残留している水分や有機物など分解して水素が発生する。水素発生量測定処理16は、水素計により回収容器でデブリMからの発生する水素発生量を測定する。デブリMからの発生する水素発生量が予め設定された規制値を超えると、再度、乾燥処理15を行うことが好ましい。
【0030】
重量測定処理17は、回収容器で乾燥されたデブリMからの重量を測定する処理である。デブリMは、核燃料物質が含まれていることから、臨界が発生しない収納量(重量)に制限して保管する必要があると共に、外部への搬出量の管理を行う必要がある。重量測定処理17は、重量計により回収容器でデブリMの重量を測定する。
【0031】
閉止処理18は、水素発生量および重量が測定されたデブリMが収容された回収容器に蓋をする処理である。回収容器は、外回収容器を有し、外回収容器は、容器本体と、蓋とを有する。閉止処理18は、例えば、作業ロボットを用いて、デブリMが入った内回収容器を外回収容器の容器本体に入れた後、容器本体に蓋を装着して閉止する。
【0032】
搬送処理19は、閉止処理18により回収容器に収容されたデブリMを輸送容器に密閉して格納し、外部に搬送する処理である。搬送処理19によりデブリMが収容された回収容器は、所定の処理施設に格納される。
【0033】
<回収容器>
図2は、内回収容器を表す断面図、図3は、外回収容器を表す断面図である。
【0034】
図2および図3に示すように、回収容器20は、内回収容器21と、外回収容器31とを有する。内回収容器21は、デブリMを含む冷却水を充填する。外回収容器31は、内回収容器21を収納する。外回収容器31は、デブリMが入った内回収容器21を収納することでデブリMを格納する。
【0035】
図2に示すように、内回収容器21は、容器本体22と、第1フィルタ23と、第2フィルタ24とを有する。容器本体22は、中空箱型形状をなす。容器本体22は、上部に充填口22aが形成され、下部に排水口22bが形成される。容器本体22は、上部に充填口22aの外周部にリング形状をなすシール部材22cが固定され、排水口22bの外周部にリング形状をなすシール部材22dが固定される。内回収容器21に対して、冷却水の供給管や排出管が連結されたとき、シール部材22c,22dにより漏水が防止される。また、排水口22bは、内回収容器21からの脱水に使用されることから、複数設けてもよい。容器本体22は、充填口22aに対向する内部に板形状をなすガイド部材25が配置される。容器本体22は、上部とガイド部材25との間に流路26が形成される。
【0036】
第1フィルタ23は、デブリMを含む冷却水を濾過する。第2フィルタ24は、第1フィルタ23により濾過されたデブリMを含む冷却水を濾過する。第1フィルタ23は、容器本体22の内部で、ガイド部材25の下方に配置される。第1フィルタ23は、充填口22aから流路26を流れた冷却水を濾過する。また、ガイド部材25によりデブリMを含む冷却水が第1フィルタ23の表面に沿って流れることで、第1フィルタ23の目詰まりを防止することが可能となる。なお、粒度の大きいデブリMを含む冷却水が流れる場合、流路26を広く確保するため、ガイド部材25を設けなくてもよい。第2フィルタ24は、容器本体22の内部で、第1フィルタ23の下方に配置され、排水口22bを閉止する。第1フィルタ23は、ウェッジワイヤスクリーン、バグフィルタ、メッシュフィルタの少なくともいずれか一つにより構成されることが好ましい。また、第2フィルタ24は、濾紙により構成されることが好ましい。但し、第1フィルタ23と第2フィルタ24し、この構成に限定されるものではなく、第2フィルタ24の濾過性能(ベータ値β)が第1フィルタ23の濾過性能(ベータ値β)より高いものであればよい。
【0037】
図3に示すように、外回収容器31は、容器本体32と、蓋33とを有する。容器本体32は、中空箱型形状をなし、上方に開口部34が形成される。容器本体32は、容積が内回収容器21を収納可能な大きさである。蓋33は、平板形状をなす。蓋33は、容器本体32に開口部34に装着されることで開口部34を閉止し、容器本体32の内部を閉止可能である。また、外回収容器31は、内部にガイド35が設けられる。ガイド35は、内回収容器21の下外周部をガイドすることで、内回収容器21を外回収容器31の中央部に配置することができる。そのため、外回収容器31に対して、内回収容器21の取出しや搬送等の作業時の位置決めを容易にすることができる。
【0038】
<放射性廃棄物の回収装置>
図4は、放射性廃棄物の回収装置の要部を表す概略図、図5は、放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの濾過・脱水処理から収納処理までの工程を表す概略図、図6は、放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの乾燥処理から搬送処理までの工程を表す概略図である。
【0039】
図4から図6に示すように、回収装置10は、加工装置41と、充填装置42と、濾過・脱水装置43と、収納装置44と、乾燥装置45と、水素発生量測定装置46と、重量測定装置47と、閉止装置48と、搬送装置49とを備える。
【0040】
図4に示すように、回収ユニット50は、加工装置41と、充填装置42と、濾過・脱水装置43と、内回収容器21とを有する。ユニット本体51は、下部に加工装置41が設けられる。加工装置41は、ハウジング41aと、加工具41bとを有する。ハウジング41aは、外部と区画し、内部に加工具41bが回転自在または直動自在に支持される。加工具41bは、回転または直動することでデブリMを加工可能であり、カッタ、砥石、たがね、ハンマ等により構成されることが好ましい。ハウジング41aは、加工されたデブリMの粒状物を冷却水と共に収容可能である。
【0041】
ユニット本体51は、上部に内回収容器21が設けられる。内回収容器21は、ユニット本体51の内部に配置される。ユニット本体51は、充填装置42が設けられる。充填装置42は、給水管42aと、回収管42bと、ポンプ42cとを有する。給水管42aは、ユニット本体51の外部から加工水となる冷却水を加工装置41におけるハウジング41aの内部であって、加工具41bによるデブリMの切削部に供給する。回収管42bは、ポンプ42cが設けられる。ポンプ42cを駆動することで、ユニット本体51の内部であって、加工具41bによるデブリMの切削部の近傍のデブリMを含む冷却水を回収管42bにより内回収容器21に供給する。なお、回収管42bにより加工装置41におけるハウジング41aの内部の冷却水が排出されることで、給水管42aにより冷却水がハウジング41aの内部に吸入される。内回収容器21は、回収管42bから冷却水が供給されることで、デブリMを含む冷却水が充填される。
【0042】
濾過・脱水装置43は、内回収容器21に設けられる。濾過・脱水装置43は、内回収容器21に設けられる排水口22bと第1フィルタ23および第2フィルタ24(いずれも図2参照)である。内回収容器21は、ユニット本体51の内部に配置され、排水口22bが外部に連通する。また、内回収容器21は、ユニット本体51に対して移動自在であると共に、着脱自在である。移動装置52は、ユニット本体51に設けられ、内回収容器21をユニット本体51の内部位置と外部位置に移動可能である。移動装置52が外部位置に移動すると、ユニット本体51の内部にある内回収容器21は、ユニット本体51から排出され、取り外される。なお、濾過・脱水装置43は、内回収容器21との別に外部に設けられていてもよい。
【0043】
図5に示すように、回収ユニット50は、エンクロージャ140まで搬送され、ユニット本体51から内回収容器21が取外される。加工装置41と充填装置42を含む回収ユニット50は、エンクロージャ140の内部にて、メンテナンス作業や交換作業が行われる。回収ユニット50は、搬送台53上に配置され、移動装置52によりユニット本体51に対して内回収容器21が外部位置に移動され、取り外されることで、搬送台53上に載置される。
【0044】
搬送台53は、排水部54が設けられ、排水部54にローラコンベア55が設けられる。内回収容器21は、排水口22bが鉛直方向の下方に位置するように、ローラコンベア55上に載置される。内回収容器21は、排水部54をローラコンベア55により移動する間に、自重により内部の冷却水が第1フィルタ23および第2フィルタ24を通過することで濾過される。内回収容器21は、冷却水が排水口22bから排水部54に排水されることで、デブリMの粒状物が内部に残留して脱水される。なお、内回収容器21の充填口22aから圧縮空気または圧縮ガスを印加する等により、内回収容器21内部の冷却水に圧力を印加し、内部の冷却水を第1フィルタ23および第2フィルタ24を通過させることで濾過してもよい。
【0045】
搬送台53は、収納部56が設けられ、収納部56にローラコンベア57が設けられる。搬送台53は、収納部56に対して外回収容器31を搬入可能である。搬送台53は、収納装置44としての作業用ロボット(クレーン)58が設けられる。作業用ロボット58は、排水部54にある内回収容器21を保持して移動し、内回収容器21を収納部56にある外回収容器31の上方に搬送する。ここで、移動装置52により内回収容器21を下降することで、外回収容器31の内部に移動する。
【0046】
図6に示すように、搬送台53は、乾燥部59が設けられる。乾燥部59は、上部を開閉可能な蓋60と、配管61と、真空ポンプ62で構成される第1乾燥部59aと、加熱装置(例えば、ヒータ)63で構成される第2乾燥部59bとを有する。真空ポンプ62を作動することで、乾燥部59を減圧して内部を乾燥させる。加熱装置63は、外回収容器31を介して内回収容器21を加熱し、内部を乾燥させる。乾燥部59の内部は、デブリMを含む冷却水が蒸発することにより汚染されるため、乾燥部59の内部に洗浄装置を設けてもよい。また、第1乾燥部59aと第2乾燥部59bのどちらか一方で構成されてもよい。
【0047】
搬送台53は、測定部64が設けられ、測定部64から下流側に向けてローラコンベア65が設けられる。測定部64は、駆動装置66により作動するストッパ67が設けられ、外回収容器31を測定部64に停止させる。また、測定部64は、上方に閉止蓋68が移動装置69により移動自在に設けられる。内回収容器21が収納された外回収容器31は、測定部64で停止する。ここで、移動装置69により閉止蓋68が下降し、外回収容器31の開口部を閉止する。そして、水素発生量測定装置46としての水素計により内回収容器21の内部のデブリMからの発生する水素発生量を測定する。デブリMの水素発生量の測定が終了すると、移動装置69により閉止蓋68が上昇する。また、重量測定装置47としての重量計により内回収容器21の内部のデブリMの重量を測定する。デブリMの水素発生量と重量の測定が終了すると、駆動装置66によりストッパ67を下降し、外回収容器31を移動する。
【0048】
搬送台53は、閉止部70が設けられる。閉止部70は、駆動装置71により作動するストッパ72が設けられ、外回収容器31を閉止部70に停止させる。搬送台53は、閉止部70に対して蓋33を搬入可能である。内回収容器21が収納された外回収容器31は、閉止部70で停止する。ここで、閉止装置48としての作業ロボットが蓋33を保持し、内回収容器21が収納された外回収容器31に対して蓋33を装着することで、内回収容器21、つまり、デブリMを収容する。デブリMの閉止処理が終了すると、駆動装置71によりストッパ72を下降し、外回収容器31を移動する。
【0049】
搬送台53は、搬送部73が設けられる。搬送部73は、搬送装置49としての作業ロボットもしくは搬送コンベアにより回収容器20を外部のコンテナ74に搬送する。外部のコンテナ74に搬送された回収容器20は、外部のコンテナ74に蓋をされることで密閉され、エンクロージャ140の外部に搬送される。
【0050】
<回収装置の回収ライン>
図7は、放射性廃棄物の回収方法における処理ラインを表す概略図、図8は、放射性廃棄物の回収方法における処理ライン変形例を表す概略図である。
【0051】
図7に示すように、回収装置10は、メイン搬送ラインL1に対して、水平方向に交差する容器搬入ラインL2、蓋搬入ラインL3、外部搬送ラインL4が設けられる。メイン搬送ラインL1と容器搬入ラインL2と蓋搬入ラインL3と外部搬送ラインL4は、例えば、回収容器20を水平方向に搬送可能なローラコンベアで構成される。
【0052】
メイン搬送ラインL1は、排水部54と、収納部56と、乾燥部59と、測定部64と、閉止部70と、搬送部73が水平方向に直線状をなして配置される。容器搬入ラインL2は、外回収容器31を水平方向に沿って収納部56に搬入するラインである。蓋搬入ラインL3は、蓋33を水平方向に沿って閉止部70に搬入するラインである。外部搬送ラインL4は、回収容器20を水平方向に沿って外部に搬送するラインである。
【0053】
なお、処理ラインは、上述した構成に限定されるものではない。図8に示すように、回収装置10は、メイン搬送ラインL11に対して、鉛直方向に交差する容器搬入ラインL12、蓋搬入ラインL13、外部搬送ラインL14が設けられる。メイン搬送ラインL11は、例えば、回収容器20を水平方向に搬送可能なローラコンベアで構成される。容器搬入ラインL12と蓋搬入ラインL13と外部搬送ラインL14は、例えば、回収容器20を鉛直方向に搬送可能なリフターで構成される。
【0054】
メイン搬送ラインL11は、排水部54と、収納部56と、乾燥部59と、測定部64と、閉止部70と、搬送部73が水平方向に直線状をなして配置される。容器搬入ラインL12は、外回収容器31を鉛直方向の上方から収納部56に搬入するラインである。蓋搬入ラインL13は、蓋33を鉛直方向の上方から閉止部70に搬入するラインである。外部搬送ラインL14は、回収容器20を水平方向に沿って外部に搬送するラインである。また、外回収容器31と蓋33が外部から搬入された場合、鉛直方向の上方に向けて外回収容器31と蓋33を搬送し、容器搬入ラインL12、蓋搬入ラインL13へ供給する。
【0055】
[第2実施形態]
第2実施形態の放射性廃棄物の回収方法および装置は、第1実施形態の放射性廃棄物の回収方法および装置と基本構成が同様である。すなわち、図1に示すように、加工処理11と、充填処理12と、濾過・脱水処理13と、収納処理14と、乾燥処理15と、水素発生量測定処理16と、重量測定処理17と、閉止処理18と、搬送処理19とを有する。
【0056】
但し、第2実施形態の放射性廃棄物の回収方法および装置は、原子炉格納容器101の内部でデブリMを加工し、デブリMを含む冷却水を原子炉格納容器101の内部から原子炉格納容器101の外部にあるエンクロージャ140に回収した後、デブリMを含む冷却水を回収容器に充填し、デブリMに対して各種の処理を行うものである。
【0057】
以下、第2実施形態の放射性廃棄物の回収方法および装置を具体的に説明するが、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0058】
図10は、第2実施形態の放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの加工処理から充填処理までの工程を表す概略図である。
【0059】
図10に示すように、回収装置10Aは、加工装置41と、充填装置42と、濾過・脱水装置43と、収納装置44と、乾燥装置45と、水素発生量測定装置46と、重量測定装置47と、閉止装置48と、搬送装置49に加えて、濃縮装置(濃縮処理)80を備える。加工装置41、充填装置42、濾過・脱水装置43、収納装置44、乾燥装置45、水素発生量測定装置46、重量測定装置47、閉止装置48、搬送装置49は、第1実施形態と同様であり、説明は省略する。
【0060】
回収装置10Aにて、加工装置41は、原子炉格納容器101の内部に配置され、濃縮装置80を含むそれ以外の装置は、エンクロージャ140に配置される。加工装置41は、ハウジング41aと、加工具41bを有する。充填装置42は、給水管42aと、回収管42bと、ポンプ42cとを有する。回収管42bは、ポンプ42cが設けられ、上流側が加工装置41に連結され、下流側が濃縮装置80を介して内回収容器21に連結される。すなわち、回収管42bは、原子炉格納容器101からエンクロージャ140まで敷設される。
【0061】
濃縮装置80は、第1サイクロン81と、第2サイクロン82と、マイクロバブル分離器83とを有する。第1サイクロン81は、回収管42bから分岐した第1分岐管83aが連結され、第2サイクロン82は、回収管42bから分岐した第2分岐管83bが連結される。第1分岐管83aは、第1開閉弁84aが設けられ、第2分岐管83bは、第2開閉弁84bが設けられる。また、第1サイクロン81は、下部に分離したデブリMを排出する第1デブリ回収管86aが連結され、第2サイクロン82は、下部に分離したデブリMを排出する第2デブリ回収管86bが連結される。第1デブリ回収管86aは、第1開閉弁87aが設けられ、第2デブリ回収管86bは、第2開閉弁87bが設けられる。そして、第1デブリ回収管86aと第2デブリ回収管86bは、下流側が集合して内回収容器21に連結される。
【0062】
さらに、第1サイクロン81は、上部に分離した冷却水を排出する第1排水管88aが連結され、第2サイクロン82は、上部に分離した冷却水を排出する第2排水管88bが連結される。第1排水管88aは、第1開閉弁89aが設けられ、第2排水管88bは、第2開閉弁89bが設けられる。そして、第1排水管88aと第2排水管88bは、集合してマイクロバブル分離器83に連結される。
【0063】
マイクロバブル分離器83は、デブリMが混入した冷却水に対してマイクロバブルを供給することで、デブリMの細かい粒状体を浮上させて分離するものである。マイクロバブル分離器83は、上部に分離したデブリMを排出する第3デブリ回収管86cが連結され、下流側が内回収容器21に連結される。第3デブリ回収管86cは、第3開閉弁87cが設けられる。なお、マイクロバブル分離器83は、デブリMが分離された冷却水は、原子炉格納容器101に戻される。なお、デブリ回収管86a,86b,86cは、開閉弁90aが設けられた逆洗配管90が連結される。また、第1デブリ回収管86aと第2デブリ回収管86bと第3デブリ回収管86cの合流部の下流側に第4開閉弁87dが設けられる。
【0064】
加工処理11にて、加工装置41は、デブリMを加工する。充填処理12にて、充填装置42は、デブリMを含む冷却水を濃縮装置80に供給する。濃縮処理にて、回収管42bを通って回収されたデブリMを含む冷却水は、第1サイクロン81および第2サイクロン82に供給される。第1サイクロン81および第2サイクロン82は、遠心分離により冷却水からデブリMを分離する。分離されたデブリMは、第1デブリ回収管86aおよび第2デブリ回収管86bにより内回収容器21に充填される。一方、デブリMが分離された冷却水は、第1排水管88aおよび第2排水管88bによりマイクロバブル分離器83に供給される。マイクロバブル分離器83は、冷却水に対してマイクロバブルを供給してデブリMの細かい粒状体を浮上させて分離する。冷却水から分離されたデブリMは、第3デブリ回収管86cにより内回収容器21に充填される。一方、デブリMが分離された冷却水は、原子炉格納容器101に戻される。
【0065】
図11は、放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの充填処理を表す概略図である。図11に示すように、充填処理12にて、加工装置41により加工され、濃縮装置80により濃縮されたデブリMを含む冷却水は、内回収容器21に充填される。
【0066】
図12は、放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの濾過・脱水処理を表す概略図である。図12に示すように、濾過・脱水処理13にて、内回収容器21に充填されデブリMを含む冷却水は、内回収容器21内で濾過およびを脱水が行われる。
【0067】
図13は、放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの収納処理を表す概略図である。図13に示すように、収納処理14にて、デブリMを含む冷却水が充填された内回収容器21は、作業用ロボットなどにより外回収容器31の内部に移動されて収納される。
【0068】
図14は、放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの乾燥処理を表す概略図である。図14に示すように、乾燥処理15にて、内回収容器21に充填されたデブリMを含む冷却水は、外回収容器31を介して加熱や減圧されることで、乾燥される。
【0069】
図15は、放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの水素発生量測定処理および重量測定処理を表す概略図である。図15に示すように、水素発生量測定処理16にて、内回収容器21に収納されたデブリMは、水素計により水素発生量が測定される。また、重量測定処理17にて、内回収容器21に収納されたデブリMは、重量計により重量が測定される。
【0070】
図16は、放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの閉止処理から搬送処理までの工程を表す概略図である。図16に示すように、閉止処理18にて、デブリMが収納された内回収容器21は、外回収容器31に入れられた状態で蓋33が固定されて閉止される。その後、搬送処理19にて、回収容器20に収容されたデブリMは、外部に搬送される。
【0071】
なお、濃縮装置80は、上述した構成に限定されるものではない。図17は、放射性廃棄物の回収方法におけるデブリの加工処理から充填処理までの工程の変形例を表す概略図である。
【0072】
図17に示すように、濃縮装置80Aは、第1サイクロン81と、第2サイクロン82と、マイクロバブル分離器83と、貯留槽91と、ベルトコンベア92とを有する。第1サイクロン81、第2サイクロン82、マイクロバブル分離器83は、上述した構成と同様である。貯留槽91は、上方が開放された傾斜形状をなす。貯留槽91は、上部に第1デブリ回収管86aと第2デブリ回収管86bと第3デブリ回収管86cの下流側が連結される。貯留槽91は、ベルトコンベア92が設けられる。ベルトコンベア92は、貯留槽91沈降するデブリMを外部に搬送する。
【0073】
濃縮処理にて、回収管42bを通って回収されたデブリMを含む冷却水は、第1サイクロン81および第2サイクロン82に供給される。第1サイクロン81および第2サイクロン82は、遠心分離により冷却水からデブリMを分離する。分離されたデブリMは、第1デブリ回収管86aおよび第2デブリ回収管86bにより貯留槽91に搬送される。一方、デブリMが分離された冷却水は、第1排水管88aおよび第2排水管88bによりマイクロバブル分離器83に供給される。マイクロバブル分離器83は、冷却水に対してマイクロバブルを供給してデブリMの細かい粒状体を浮上させて分離する。冷却水から分離されたデブリMは、第3デブリ回収管86cにより貯留槽91に搬送される。ベルトコンベア92は、貯留槽91沈降するデブリMを外部に搬送し、内回収容器21に充填する。
【0074】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る放射性廃棄物の回収方法は、デブリ(放射性廃棄物)Mを含む冷却水を回収容器20に充填する工程と、回収容器20に充填されたデブリMを脱水する工程と、回収容器20で脱水されたデブリMを閉止する工程とを有する。
【0075】
第1の態様に係る放射性廃棄物の回収方法によれば、原子炉格納容器101の内部にあるデブリMは、冷却水と共に回収されて回収容器20に充填される充填処理12がなされた後、デブリMが回収容器20に充填された状態で、デブリMの濾過・脱水処理13と閉止処理18がなされる。そして、デブリMは、回収容器20に充填された後に廃棄処理、保管処理もしくは分析処理される。そのため、放射性廃棄物の回収作業を簡素化することで回収作業の作業性の向上を図ることができる。
【0076】
第2の態様に係る放射性廃棄物の回収方法は、第1の態様に係る放射性廃棄物の回収方法であって、さらに、回収容器20で脱水されたデブリMからの水素発生量を測定する。これにより、安全性を確保することができる。
【0077】
第3の態様に係る放射性廃棄物の回収方法は、第1の態様または第2の態様に係る放射性廃棄物の回収方法であって、さらに、回収容器20に充填されたデブリMを脱水した後、デブリMを乾燥する。これにより、デブリMの乾燥を促進することができる。
【0078】
第4の態様に係る放射性廃棄物の回収方法は、第3の態様に係る放射性廃棄物の回収方法であって、さらに、回収容器20で乾燥されたデブリMの重量を測定する。これにより、回収容器20に充填されたデブリMの量を管理することができる。
【0079】
第5の態様に係る放射性廃棄物の回収方法は、第1の態様または第2態様に係る放射性廃棄物の回収方法であって、さらに、回収容器20は、デブリMを含む冷却水を充填する内回収容器21と、内回収容器21を収納する外回収容器31とを有し、内回収容器21を外回収容器31に収納することでデブリMを収容する。これにより、デブリMの収容作業を容易に行うことができる。また、外回収容器31の外側への汚染を極力拡大させないようにすることができる。
【0080】
第6の態様に係る放射性廃棄物の回収方法は、第1の態様から第5の態様のいずれか一つに係る放射性廃棄物の回収方法であって、さらに、内回収容器21は、充填口22aと排水口22bとを有する容器本体22と、デブリMを含む冷却水を濾過するフィルタ23,24とを有する。これにより、デブリMを含む冷却水を内回収容器21に充填するだけで、濾過・脱水を行うことができ、作業性を向上することができる。
【0081】
第7の態様に係る放射性廃棄物の回収方法は、第6の態様に係る放射性廃棄物の回収方法であって、さらに、デブリMを含む冷却水を濾過する第1フィルタ23と、第1フィルタ23により濾過されたデブリMを含む冷却水を濾過する第2フィルタ24とを有する。これにより、デブリMを含む冷却水を内回収容器21に充填するだけで、濾過・脱水を適切に行うことができる。
【0082】
第8の態様に係る放射性廃棄物の回収方法は、第1の態様から第4の態様のいずれか一つに係る放射性廃棄物の回収方法であって、さらに、原子炉格納容器101の内部でデブリMを加工してデブリMを含む冷却水を回収容器20に充填する。これにより、デブリMを含む冷却水を原子炉格納容器101の外側まで搬送する必要がなく、排水設備を不要とすることができる。
【0083】
第9の態様に係る放射性廃棄物の回収方法は、第5の態様に係る放射性廃棄物の回収方法であって、さらに、デブリMを含む冷却水が充填された回収容器20を原子炉格納容器101の内部から原子炉格納容器101の外部に搬出した後、デブリMを脱水する。これにより、デブリMの搬出を容易で安全に行うことができる。
【0084】
第10の態様に係る放射性廃棄物の回収方法は、第1の態様から第9の態様のいずれか一つに係る放射性廃棄物の回収方法であって、さらに、原子炉格納容器101の内部でデブリMを加工してデブリMを含む冷却水を原子炉格納容器101の外部に回収した後、デブリMを含む冷却水を回収容器20に充填する。これにより、デブリMを含む冷却水を充填する回収容器20を原子炉格納容器101とエンクロージャ140との間で搬送する必要がなく、搬送設備を不要とすることができる。
【0085】
第11の態様に係る放射性廃棄物の回収方法は、第1の態様から第7の態様のいずれか一つに係る放射性廃棄物の回収方法であって、さらに、原子炉格納容器101の外部に回収したデブリMを含む冷却水を濃縮した後、デブリMを含む冷却水を回収容器20に充填する。これにより、回収容器20に充填する冷却水の量が減少し、濾過・脱水処理13や乾燥処理15の簡素化を図ることができる。
【0086】
第12の態様に係る放射性廃棄物の回収装置は、デブリMを含む冷却水を回収容器20に充填する充填装置42と、回収容器20に充填されたデブリMを脱水する濾過・脱水装置43と、回収容器20で脱水されたデブリMを閉止する閉止装置48とを備える。
【0087】
第12の態様に係る放射性廃棄物の回収装置によれば、原子炉格納容器101の内部にあるデブリMは、冷却水と共に回収されて回収容器20に充填された後、デブリMが回収容器20に充填された状態で、デブリMの濾過・脱水と閉止がなされる。そして、デブリMは、回収容器20に充填された後に廃棄処理、保管処理もしくは分析処理される。そのため、放射性廃棄物の回収作業を簡素化することで回収作業の作業性の向上を図ることができる。
【0088】
なお、上述した実施形態では、放射性廃棄物の回収方法は、加工処理11と、充填処理12と、濾過・脱水処理13と、収納処理14と、乾燥処理15と、水素発生量測定処理16と、重量測定処理17と、閉止処理18と、搬送処理19とを有するものとしたが、この構成に限定されるものではない。放射性廃棄物の回収方法は、少なくとも充填処理12と、濾過・脱水処理13と、閉止処理18とを有していればよい。但し、放射性廃棄物の回収方法は、重量測定処理17を有することが好ましい。
【0089】
また、上述した実施形態では、放射性廃棄物の回収方法は、各処理の順序は、各実施形態に限定されるものではない。例えば、収納処理14は、閉止処理18と同時または閉止処理18より前であればよい。
【符号の説明】
【0090】
10,10A 回収装置
11 加工処理
12 充填処理
13 濾過・脱水処理
14 収納処理
15 乾燥処理
16 水素発生量測定処理
17 重量測定処理
18 閉止処理
19 搬送処理
20 回収容器
21 内回収容器
31 外回収容器
41 加工装置
42 充填装置
43 濾過・脱水装置
44 収納装置
45 乾燥装置
46 水素発生量測定装置
47 重量測定装置
48 閉止装置
49 搬送装置
80,80A 濃縮装置
101 原子炉格納容器
130 放射性廃棄物の処理装置
140 エンクロージャ
M デブリ(放射性廃棄物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17