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特開2024-131168紙幣処理システム、紙幣処理方法、及び、紙幣処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131168
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】紙幣処理システム、紙幣処理方法、及び、紙幣処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/50 20190101AFI20240920BHJP
【FI】
G07D11/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041262
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】服部 憲一
(72)【発明者】
【氏名】梶間 慶一
(72)【発明者】
【氏名】野中 慎一
(72)【発明者】
【氏名】金井 伸
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA02
3E141BA15
3E141CA02
3E141CB04
3E141DA04
(57)【要約】
【課題】二枚以上の紙幣に同一の記番号が印字された場合であっても、記番号を印字色別に管理できること。
【解決手段】紙幣を受け付けて当該紙幣に印字された記番号を取得する取得部18と、取得された記番号を記憶する記憶部41と、記憶部41に記憶された記番号のうちに同一のものがあるか否かを判定する判定部43と、判定部43が同一のものがあると判定した場合に発報する発報部53と、記番号が同一であると判定された紙幣を対象紙幣とし、対象紙幣の記番号を対象記番号とし、対象紙幣における対象記番号の印字色の入力を、対象紙幣のうちの少なくとも一つについて受け付ける色入力部51と、色入力部51が受け付けた対象紙幣の印字色を、その対象紙幣の対象記番号と対応づけて記憶部41に登録する色登録部42Cと、が備えられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を受け付けて当該紙幣に印字された記番号を取得する取得部と、
取得された前記記番号を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記記番号のうちに同一のものがあるか否かを判定する判定部と、
前記判定部が同一のものがあると判定した場合に発報する発報部と、
前記記番号が同一であると判定された前記紙幣を対象紙幣とし、前記対象紙幣の前記記番号を対象記番号とし、前記対象紙幣における前記対象記番号の印字色の入力を、前記対象紙幣のうちの少なくとも一つについて受け付ける色入力部と、
前記色入力部が受け付けた前記対象紙幣の前記印字色を、その前記対象紙幣の前記対象記番号と対応づけて前記記憶部に登録する色登録部と、が備えられている紙幣処理システム。
【請求項2】
前記色入力部は、複数候補からの選択形式で前記印字色の入力を受け付ける請求項1に記載の紙幣処理システム。
【請求項3】
前記対象紙幣の在処を特定するための特定情報を出力する出力部が更に備えられている請求項1に記載の紙幣処理システム。
【請求項4】
前記出力部は、前記対象紙幣のうち最後に受け付けられた最後対象紙幣について前記特定情報を出力する請求項3に記載の紙幣処理システム。
【請求項5】
前記出力部は、前記対象紙幣のうち前記最後対象紙幣よりも先に受け付けられた先対象紙幣について前記特定情報を出力する請求項4に記載の紙幣処理システム。
【請求項6】
前記出力部は、予め設定された所定期間の間に受け付けた前記紙幣に含まれる前記対象紙幣について前記特定情報を出力する請求項3に記載の紙幣処理システム。
【請求項7】
これから受け付ける受付予定紙幣における前記記番号の印字色の入力を受け付ける予定色入力部と、
前記予定色入力部が受け付けた前記印字色を、前記受付予定紙幣から取得された前記記番号と対応づけて前記記憶部に登録する予定登録部と、が更に備えられている請求項1に記載の紙幣処理システム。
【請求項8】
受け付けられた前記紙幣のカラー画像を撮像する撮像部と、
前記対象紙幣の前記カラー画像を表示する表示部と、が更に備えられている請求項1に記載の紙幣処理システム。
【請求項9】
前記判定部が前記記番号の同一判定を行う対象とする前記紙幣の条件の入力を受け付ける条件入力部が更に備えられている請求項1から5のいずれか1項に記載の紙幣処理システム。
【請求項10】
紙幣処理システムで実行される紙幣処理方法であって、
紙幣を受け付けて当該紙幣に印字された記番号を取得する取得ステップと、
取得された前記記番号を記憶部に記憶させる記憶ステップと、
前記記憶部に記憶された前記記番号のうちに同一のものがあるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにて同一のものがあると判定された場合に発報する発報ステップと、
前記記番号が同一であると判定された前記紙幣を対象紙幣とし、前記対象紙幣の前記記番号を対象記番号とし、前記対象紙幣における前記対象記番号の印字色の入力を受け付ける色入力ステップと、
前記色入力ステップで受け付けた前記印字色を、前記対象紙幣の前記対象記番号と対応づけて前記記憶部に登録する色登録ステップと、を含む紙幣処理方法。
【請求項11】
紙幣を受け付けて当該紙幣に印字された記番号を取得する取得機能と、
取得された前記記番号を記憶部に記憶させる記憶機能と、
前記記憶部に記憶された前記記番号のうちに同一のものがあるか否かを判定する判定機能と、
前記判定機能にて同一のものがあると判定された場合に発報する発報機能と、
前記記番号が同一であると判定された前記紙幣を対象紙幣とし、前記対象紙幣の前記記番号を対象記番号とし、前記対象紙幣における前記対象記番号の印字色の入力を受け付ける色入力機能と、
前記色入力機能で受け付けた前記印字色を、前記対象紙幣の前記対象記番号と対応づけて前記記憶部に登録する色登録機能と、をコンピュータに実行させる紙幣処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣処理システム、紙幣処理方法、及び、紙幣処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示された紙幣処理システム(文献では紙幣分類装置及び管理サーバ)において、紙幣に印字された記番号が管理サーバにおいて管理されるものが開示されている。これにより、紙幣の追跡や管理が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-058895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、紙幣の発行枚数が増え、記番号の印字色が変更されて同一の記番号が繰り返し使用される場合がある。つまり、同一の記番号を有する複数の紙幣では、記番号の色違いで、夫々の紙幣が管理される。しかし、従来の紙幣処理システム等は、印字色まで区別して管理するものではない。同一の記番号が印字された紙幣を区別して管理できない点を解決する手段として、印字色を自動認識できる紙幣処理システムを導入することが考えられるが、紙幣処理の速度が従来のシステムよりも遅くなったり、価格面で従来のシステムよりも高価なものとなったりする。このため、同一の記番号が印字された紙幣を区別して管理できない点を、他の手段で解決することが要望されていた。
【0005】
本発明の目的は、二枚以上の紙幣に同一の記番号が印字された場合であっても、記番号を印字色別に管理できる紙幣処理システム、紙幣処理方法、及び、紙幣処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する手段として、本発明の紙幣処理システムは、紙幣を受け付けて当該紙幣に印字された記番号を取得する取得部と、取得された前記記番号を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記記番号のうちに同一のものがあるか否かを判定する判定部と、前記判定部が同一のものがあると判定した場合に発報する発報部と、前記記番号が同一であると判定された前記紙幣を対象紙幣とし、前記対象紙幣の前記記番号を対象記番号とし、前記対象紙幣における前記対象記番号の印字色の入力を、前記対象紙幣のうちの少なくとも一つについて受け付ける色入力部と、前記色入力部が受け付けた前記対象紙幣の前記印字色を、その前記対象紙幣の前記対象記番号と対応づけて前記記憶部に登録する色登録部と、が備えられていることを特徴とする。
【0007】
上記の特徴によれば、同一の記番号が印字された紙幣が判定部によって発見可能となり、同一の記番号が印字された紙幣の存在が発報部によって報知される。このため、例えば作業者は、同一の記番号が印字された紙幣を認識して対応することが可能となる。また、色入力部が印字色の入力を作業者等から受け付けて、色登録部が印字色を記番号と紐付けて記憶部に記憶できる。このため、同一の記番号が印字された紙幣を区別して管理することが可能となる。これにより、二枚以上の紙幣に同一の記番号が印字された場合であっても、記番号を印字色別に管理できる紙幣処理システムが実現される。
【0008】
本発明において、前記色入力部は、複数候補からの選択形式で前記印字色の入力を受け付けると好ましい。
【0009】
上記の特徴によれば、色入力部が選択形式で入力を受け付ける。これにより、記憶部に記憶される印字色の名称が統一され、例えば同色で「紺色」や「青色」等といったバラバラの名称で管理される虞が回避される。また、選択形式の入力であれば、例えばキーボード入力やフリック入力と比較して、作業者の操作が簡単になるため、作業性が向上する。
【0010】
本発明において、前記対象紙幣の在処を特定するための特定情報を出力する出力部が更に備えられていると好ましい。
【0011】
上記の特徴によれば、対象紙幣の在処を特定するための特定情報が出力されるため、作業者が容易に対象紙幣を探せる。
【0012】
本発明において、前記出力部は、前記対象紙幣のうち最後に受け付けられた最後対象紙幣について前記特定情報を出力すると好ましい。
【0013】
上記の特徴によれば、最後対象紙幣の在処を特定するための特定情報が出力されるため、作業者が容易に最後対象紙幣を探せる。
【0014】
本発明において、前記出力部は、前記対象紙幣のうち前記最後対象紙幣よりも先に受け付けられた先対象紙幣について前記特定情報を出力すると好ましい。
【0015】
上記の特徴によれば、先対象紙幣の在処を特定するための特定情報が出力されるため、作業者が容易に先対象紙幣を探せる。
【0016】
本発明において、前記出力部は、予め設定された所定期間の間に受け付けた前記紙幣に含まれる前記対象紙幣について前記特定情報を出力すると好ましい。
【0017】
上記の特徴によれば、所定期間の間に受け付けた対象紙幣の在処を特定するための特定情報が出力される。この構成であれば、例えば一日の終わりに対象紙幣の在処を示すリストの出力が可能となる。これにより、例えば作業者は一日の纏まった時間内で対象紙幣を効率的に探せる。
【0018】
本発明において、これから受け付ける受付予定紙幣における前記記番号の印字色の入力を受け付ける予定色入力部と、前記予定色入力部が受け付けた前記印字色を、前記受付予定紙幣から取得された前記記番号と対応づけて前記記憶部に登録する予定登録部と、が更に備えられていると好ましい。
【0019】
上記の特徴によれば、予定登録部が記番号と印字色とを対応付けて記憶部に記憶できる。このため、例えば作業者が、紙幣の束の印字色を予め分かっている場合に、予定色入力部を操作して印字色を予め指定できる。これにより、記番号と印字色とを容易に纏めて管理することが可能となる。
【0020】
本発明において、受け付けられた前記紙幣のカラー画像を撮像する撮像部と、前記対象紙幣の前記カラー画像を表示する表示部と、が更に備えられていると好ましい。
【0021】
上記の特徴によれば、対象紙幣のカラー画像が表示部に表示される。このため、例えば作業者は、わざわざ対象紙幣を探さなくても、対象紙幣の記番号の印字色を容易に把握でき、その場で色入力部に印字色を入力できる。
【0022】
本発明において、前記判定部が前記記番号の同一判定を行う対象とする前記紙幣の条件の入力を受け付ける条件入力部が更に備えられていると好ましい。
【0023】
上記の特徴によれば、記憶部に記憶されている記番号を有する紙幣のうち、判定部での同一判定を行う対象の紙幣に条件設定を行うことが可能となる。例えば複数の保管場所で管理されている紙幣の記番号を記憶部が一括管理する場合に、同一の保管場所で管理されている紙幣のみを対象に記番号の重複を管理するような運用方法が考えられる。このような場合には、判定部での同一判定を行う対象の紙幣は、同一の保管場所で管理されている紙幣に限定される。本構成であれば、判定部での同一判定を行う対象の紙幣が条件設定によって絞り込まれる。このため、記憶部に記憶されている記番号を有する紙幣の全てが判定部での同一判定を行う対象として用いられる構成と比較して、判定部の処理時間が短縮される。
【0024】
上述した課題を解決する手段として、本発明の紙幣処理方法は、紙幣処理システムで実行される紙幣処理方法であって、紙幣を受け付けて当該紙幣に印字された記番号を取得する取得ステップと、取得された前記記番号を記憶部に記憶させる記憶ステップと、前記記憶部に記憶された前記記番号のうちに同一のものがあるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにて同一のものがあると判定された場合に発報する発報ステップと、前記記番号が同一であると判定された前記紙幣を対象紙幣とし、前記対象紙幣の前記記番号を対象記番号とし、前記対象紙幣における前記対象記番号の印字色の入力を受け付ける色入力ステップと、前記色入力ステップで受け付けた前記印字色を、前記対象紙幣の前記対象記番号と対応づけて前記記憶部に登録する色登録ステップと、を含むことを特徴とする。
【0025】
上記の特徴によれば、同一の記番号が印字された紙幣が判定ステップによって発見可能となり、同一の記番号が印字された紙幣の存在が発報ステップによって報知される。このため、例えば作業者は、同一の記番号が印字された紙幣を認識して、対応することが可能となる。また、色入力ステップが印字色の入力を受け付けて、色登録ステップが印字色を記番号と紐付けて記憶部に記憶できる。このため、同一の記番号が印字された紙幣を区別して管理することが可能となる。これにより、二枚以上の紙幣に同一の記番号が印字された場合であっても、記番号を印字色別に管理できる紙幣処理方法が実現される。
【0026】
上述した課題を解決する手段として、本発明の紙幣処理プログラムは、紙幣を受け付けて当該紙幣に印字された記番号を取得する取得機能と、取得された前記記番号を記憶部に記憶させる記憶機能と、前記記憶部に記憶された前記記番号のうちに同一のものがあるか否かを判定する判定機能と、前記判定機能にて同一のものがあると判定された場合に発報する発報機能と、前記記番号が同一であると判定された前記紙幣を対象紙幣とし、前記対象紙幣の前記記番号を対象記番号とし、前記対象紙幣における前記対象記番号の印字色の入力を受け付ける色入力機能と、前記色入力機能で受け付けた前記印字色を、前記対象紙幣の前記対象記番号と対応づけて前記記憶部に登録する色登録機能と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0027】
上記の特徴によれば、同一の記番号が印字された紙幣が判定機能によって発見可能となり、同一の記番号が印字された紙幣の存在が発報機能によって報知される。このため、例えば作業者は、同一の記番号が印字された紙幣を認識して、対応することが可能となる。また、色入力機能が印字色の入力を受け付けて、色登録機能が印字色を記番号と紐付けて記憶部に記憶可能となる。このため、同一の記番号が印字された紙幣を区別して管理することが可能となる。これにより、二枚以上の紙幣に同一の記番号が印字された場合であっても、記番号を印字色別に管理できる紙幣処理プログラムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】紙幣処理装置の内部構成を例示する図である。
図2】紙幣処理システムを例示するブロック線図である。
図3】紙幣に関するデータベースの一例を示す図である。
図4】帯封紙幣に関するデータベースの一例を示す図である。
図5】紙幣の記番号の取得処理の一例を示すフローチャート図である。
図6】紙幣に関するデータベースに同一の記番号が存在する状態の一例を示す図である。
図7】紙幣における同一記番号の判定、発報、及び、同一記番号の情報の出力に関する処理の一例を示すフローチャート図である。
図8】特定画面及び色入力画面と、データベースに印字色を追加することと、を示す図である。
図9】印字色をデータベースに登録する一例を示すフローチャート図である。
図10】予定登録部によって登録された紙幣のデータベースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、紙幣処理システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明は、紙幣処理システムの一例である。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0030】
〔紙幣処理装置の構成〕
紙幣処理装置1は、紙幣5(図3参照)を識別及び計数し、種類別に分類をした上で、所定枚数毎の帯封紙幣4(図4参照)を作成したり、紙幣5を所定枚数毎に区分したり、紙幣5の計数を行ったりする装置である。なお、以下の説明では、便宜上、図1における紙面左を「前」、紙面右を「後」と呼ぶ場合がある。
【0031】
紙幣処理装置1には、紙幣5を集積する第一外部集積部11及び第二外部集積部12と、紙幣5が投入される投入部13、リジェクト券を集積するリジェクト部14、帯封された紙幣5を出金するための投出部15、及び、端数の紙幣5を返却する返却部16が夫々設けられている。
【0032】
投入部13は、筐体10の前面の上部に設けられている。作業者は投入部13の内部に紙幣5を投入することができる。投入部13は、複数枚の紙幣5を、集積した状態で保持することができる。投入部13には、様々な金種を含む紙幣5が投入される。投入部13は、保持している紙幣5を、繰り出しローラ13Aによって一枚ずつ、筐体10の内部へ繰り出す。
【0033】
第一外部集積部11及び第二外部集積部12は、紙幣処理装置1の筐体10の上部に、前後に並んで設けられている。第一外部集積部11及び第二外部集積部12は夫々、複数枚の紙幣5を集積することができる。作業者は、第一外部集積部11及び第二外部集積部12に集積されている紙幣5を、手で取り出すことができる。
【0034】
リジェクト部14は 筐体10の前面における投入部13の下側に設けられている。リジェクト部14は、複数枚の紙幣5を集積することができる。作業者は、リジェクト部14に集積されている紙幣5を、手で取り出すことができる。
【0035】
投出部15は、筐体10の前面の下部に開口している。帯封紙幣4は、投出部15のスロープを通って筐体10の外に投出される。投出部15から投出された帯封紙幣4は、予め置かれた容器等に入る。
【0036】
返却部16は、筐体10の上部に設けられている。返却部16は、紙幣5が載るトレイ16Aを有する。トレイ16Aは、図1に実線及び一点鎖線で示すように、前後方向に移動する。紙幣5を載せたトレイ16Aが、一点鎖線に示すように前進すると、作業者は、トレイ16Aから紙幣5を、手で取り出すことができる。
【0037】
紙幣処理装置1の上部には、表示部17が設けられている。表示部17は、返却部16の上側に配設されている。表示部17は、タッチパネルからなる。表示部17は、作業者が操作を行うための操作部を兼用する。表示部17は、紙幣処理装置1が処理を行っているときには、紙幣5の処理状況等の情報を含んだ計数画面を表示する。表示部17は、紙幣5の処理に関する複数の項目を、作業者が設定入力するための設定画面を表示する。
【0038】
図1に示すように、紙幣処理装置1は、筐体10の内部に、搬送部3、識別部18、第一反転部21、第二反転部22、集積部25A~25E、運搬部6、帯封部7、装置制御部23、及び装置記憶部24を備えている。
【0039】
搬送部3は、紙幣5の搬送方向の順に、投入部13から、識別部18、第一反転部21、リジェクト部14、第二反転部22、集積部25A~25E、第一外部集積部11及び第二外部集積部12までの間で、紙幣5の搬送を行う。搬送部3は、筐体10の内部に配設された搬送路を有する。搬送路は、詳細な図示は省略するが、多数のローラ、複数のベルト、これらを駆動するモータ、搬送される紙幣5を検出する通過センサ及び複数のガイドの組み合わせによって構成されている。搬送部3は、所定の間隔を空けて、紙幣5を一枚ずつ、搬送路に沿って搬送する。
【0040】
識別部18は、紙幣5の搬送方向について、投入部13の下流に設けられている。識別部18は、搬送路に沿って搬送される紙幣5の金種、真偽、表裏、向き、正損、新旧、記番号5B、搬送状態等を識別する。識別部18は、特許請求の範囲に記載の『取得部』に相当する。
【0041】
第一反転部21は、スイッチバック機構を含み、識別部18の識別結果に応じて、紙幣5の表裏及び天地方向の両方を、選択的に反転するよう構成されている。第一反転部21は、表裏及び天地方向の向きを反転する必要がある紙幣5の表裏及び天地方向の向きを反転させると共に、表裏及び天地方向の向きを反転する必要がない紙幣5を、そのまま通過させる。第一反転部21を通過した紙幣5は、少なくとも表裏が揃っている。
【0042】
第一反転部21の前側には、リジェクト部14が配設されている。リジェクト部14につながる搬送路14Aは、紙幣5の搬送方向について第一反転部21の下流から分岐している。リジェクト券と識別された紙幣5は、リジェクト部14に搬送される。
【0043】
第二反転部22は、スパイラル機構を含み、紙幣5の搬送幅方向の向きを、選択的に反転するよう構成されている。第二反転部22は、識別部18の識別結果に応じて、左右方向の向きを反転する必要がある紙幣5の左右方向の向き及び表裏を反転させると共に、左右方向の向きを反転する必要がない紙幣5を、そのまま通過させる。この紙幣処理装置1は、反転部として、第一反転部21と第二反転部22との二種類の反転部を備えることにより、紙幣5の表裏及び天地方向の向きの両方を揃えることができる。
【0044】
集積部25A~25Eは、識別部18、第一反転部21及び第二反転部22の後側に配設されている。集積部25A~25Eは、上下方向に並んで配設されている。集積部25A~25Eは、帯封対象の紙幣5を、例えば金種毎に集積する。作業者は、集積部25A~25Eに集積する紙幣5の種類を設定することができる。
【0045】
第二反転部22の下流で紙幣5を搬送する搬送路は、集積部25A~25Eの前側でかつ、識別部18、第一反転部21及び第二反転部22の後側で、集積部25A~25Eに沿うように上下方向に伸びて配設されている。上下方向に伸びる搬送路から分岐した五つの分岐路が、集積部25A~25Eの夫々に接続されている。紙幣5は、集積部25A~25Eの夫々に対し、前側から投入される。投入された紙幣5は、集積部25A~25Eの夫々に集積される。
【0046】
図示は省略するが、各分岐路の分岐箇所には、紙幣5の搬送方向を切り替える分岐爪が設けられている。装置制御部23は、識別部18の識別結果に応じて、各分岐爪を動かす。これにより、紙幣5は、集積部25A~25Eに、選択的に投入される。
【0047】
上下方向に伸びる搬送路の下流側は、途中で二つに分岐して、第一外部集積部11及び第二外部集積部12の夫々に接続されている。分岐箇所には、図示は省略するが、分岐爪が配設されている。装置制御部23は、識別部18の識別結果に応じて、分岐爪を動かすことにより、紙幣5は、第一外部集積部11及び第二外部集積部12に、選択的に投入される。
【0048】
運搬部6は、上下方向に並んだ集積部25A~25Eの後側に配設されている。運搬部6は、紙幣5を掴むアーム部6Aと、アーム部6Aを上下方向に往復移動させるガイド部6Bと、を備えている。ガイド部6Bは、上下方向に伸びている。アーム部6Aは、ガイド部6Bに沿って上下方向に移動をする。アーム部6Aは、集積部25A~25E夫々の高さ位置に位置づけられ、集積部25A~25Eに集積されている紙幣5を、後方に向かって取り出す。
【0049】
帯封部7は、第二反転部22の下側に配設されている。帯封部7は、運搬部6の下端部に位置している。運搬部6は、集積部25A~25Eから取り出した紙幣5を、帯封部7に運搬する。帯封部7の構成の詳細な図示は省略するが、帯封部7は、公知の様々な構成を採用することができる。帯封部7は、例えば紙幣5の束の外周囲に帯封紙4Aを巻き付けることによって帯封を行うようにしてもよい。帯封部7はまた、帯封紙4Aによって形成した輪の中に紙幣5の束を挿入することによって帯封を行うようにしてもよい。
【0050】
帯封部7は、帯封紙4Aに情報を印字する印字部7Aを有する。印字部7Aは、帯封紙4Aに印刷を行う印刷部、及び、帯封紙4Aにスタンプを押す押印部の両方、または、いずれか一方を含む。印字部7Aは、帯封をする前、または、帯封をした後に、帯封紙4Aに情報を印字する。印字部7Aは、帯封を行った日時の情報や、帯封処理を行った作業者を特定する情報等を、帯封紙4Aに印字する(図4参照)。また、印字部7Aは、例えば帯封紙幣4を作成した金融機関名の情報、及び、帯封紙幣4が損券である旨の情報を、帯封紙4Aに印字する。
【0051】
帯封部7の前側には、ベルト式の第二運搬部7Bが設けられている。第二運搬部7Bは、帯封部7が帯封をした帯封紙幣4を、前方に向かって投出部15まで搬送する。帯封紙幣4は、投出部15のスロープを通って筐体10の外に投出される。
【0052】
紙幣処理装置1が分類処理を行った際、帯封枚数に至らずに集積部25A~25Eに紙幣5が残ってしまう場合がある。運搬部6は、集積部25A~25Eに残った端数の紙幣5を返却部16へ運搬する。
【0053】
第一外部集積部11、第二外部集積部12、投入部13、リジェクト部14、返却部16、識別部18、第一反転部21、第二反転部22、搬送部3、集積部25A~25E、運搬部6、及び、帯封部7が、信号の授受可能に装置制御部23に接続されている。装置記憶部24には、各種の情報やプログラムが記憶されている。
【0054】
装置制御部23は、前述した第一外部集積部11、第二外部集積部12、投入部13、リジェクト部14、返却部16、識別部18、第一反転部21、第二反転部22、搬送部3、集積部25A~25E、運搬部6、及び、帯封部7に、装置記憶部24が記憶している各種の情報やプログラムに基づいて制御信号を出力する。このことにより、紙幣処理装置1は、紙幣5を識別及び計数し、種類別に分類をする処理を行う。
【0055】
装置記憶部24は、データを記憶するデバイスであり、EEPROMや不揮発性RAM(フラッシュメモリ、FeRAM等)といった記憶デバイスで構成される。装置記憶部24は、表示部17に表示をする各種の画面に関する情報、及び、設定が必要な複数の項目について予め設定をした登録パターンの情報等を記憶している。
【0056】
〔紙幣処理システムの構成について〕
図2に示すように、ネットワーク30に、複数の紙幣処理装置1と、管理コンピュータ40と、操作端末50と、が接続されている。作業者は、操作端末50を操作することによって、管理コンピュータ40にコマンド等を送信できる。なお、操作端末50は、ネットワーク30を介さずに、紙幣処理装置1に直接的に接続可能な構成であっても良い。
【0057】
紙幣処理装置1に、図1に示す識別部18と、予定色入力部19と、が備えられている。紙幣処理装置1の識別部18によって識別された紙幣5の情報が、ネットワーク30を介して管理コンピュータ40へ送られる。予定色入力部19に関しては後述する。
【0058】
管理コンピュータ40に、記憶部41と、登録管理部42と、判定部43と、出力部44と、条件入力部45と、が備えられている。
【0059】
記憶部41は、データを保存・共有・管理するために使われる。このことから、管理コンピュータ40は、クラウドサーバやストレージサーバとしても用いられる。記憶部41は、紙幣処理装置1から送られた紙幣5の情報を記憶する。
【0060】
記憶部41に記憶される紙幣5の情報に、例えば図3に示すように、紙幣5の券種、紙幣5の金額、紙幣5の記番号5B、記番号5Bの印字色、紙幣5がどの帯封紙幣4に束ねられているかに関する情報、が含まれる。また、記憶部41は、帯封紙幣4の情報も記憶する。帯封紙幣4の情報に、例えば図4に示すように、印字部7Aによって帯封紙4Aに印された情報、帯封紙幣4のID番号、帯封紙幣4の在処、等が含まれる。このように、記憶部41は、帯封紙幣4と、帯封紙幣4に含まれる紙幣5と、に関する情報のデータベースを記憶する。
【0061】
登録管理部42は、紙幣処理装置1から送られた情報に基づいて、帯封紙幣4と、帯封紙幣4に含まれる紙幣5と、に関する情報を記憶部41に登録可能に構成されている。登録管理部42は、例えば帯封紙幣4が他の場所へ移されたり、帯封紙幣4が開封されたり、帯封紙幣4や紙幣5が金融機関の管理下から離れたりした場合に、記憶部41に記憶された情報を変更したり削除したりすることが可能である。
【0062】
登録管理部42に、記番号登録部42Aと、予定登録部42Bと、色登録部42Cと、が備えられている。記番号登録部42Aは、紙幣処理装置1が受け付けた紙幣5の記番号5Bを記憶部41のデータベースに登録する。これにより、記憶部41は、紙幣処理装置1によって取得された記番号5Bを記憶する。予定登録部42B及び色登録部42Cに関しては後述する。
【0063】
紙幣5の発行枚数が増え、記番号5Bの印字色が変更されて同一の記番号5Bが繰り返し使用される場合がある。このため、例えば金融機関が管理する紙幣5の中で、記番号5Bが重複する複数の紙幣5が存在する場合が考えられる。判定部43は、記憶部41に記憶された記番号5Bのうちに同一のものがあるか否かを判定する。
【0064】
詳細に関しては後述するが、出力部44は、判定部43によって記番号5Bが同一であると判定された紙幣5を対象紙幣とし、その対象紙幣の在処を特定するための特定情報を出力する。出力部44によって出力された情報は、操作端末50へ送られる。対象紙幣の在処を特定するための特定情報に、例えば、帯封紙幣4における帯封紙4Aの印字情報、帯封紙幣4における一番上の紙幣5から何番目であるかの枚数、帯封紙幣4が何処の紙幣処理装置1や金庫で保管されているかの情報、帯封紙幣4が何処の紙幣処理装置1でいつ帯封処理されたかの情報、等が含まれる(例えば図8の特定画面54を参照)。
【0065】
条件入力部45は、判定部43が記番号5Bの同一判定を行う対象とする紙幣5の条件の入力を受け付ける。紙幣5の条件は、例えば帯封紙幣4の帯封番号の指定範囲であったり、記番号登録部42Aが新規に紙幣5の情報を登録した期間の範囲であったり、帯封紙幣4の保管場所だったりする。条件入力部45で紙幣5の条件の入力が受け付けられると、判定部43は、記憶部41に記憶された記番号5Bのうち、条件に合致した記番号5Bの範囲で一致判定を行う。
【0066】
条件入力部45は、例えば管理コンピュータ40に備えられた入力装置であっても良いし、紙幣処理装置1と操作端末50との少なくとも一方に備えられた入力モジュールから設定を受け付けるものであっても良い。
【0067】
操作端末50は、例えばスマートフォンやモバイルコンピュータ、タブレットコンピュータ等の携帯情報端末や、据え置き型の装置(デスクトップパソコンやPOS装置)に組み込まれる構成であっても良い。操作端末50に、色入力部51と、表示部52と、発報部53と、が備えられている。色入力部51に関しては後述する。
【0068】
表示部52は、例えば、上述の携帯情報端末や据え置き型装置が備える液晶表示装置やOLED表示装置である。
【0069】
発報部53は、例えばブザーやスピーカを含む音声装置であっても良いし、表示パネルやランプを含む表示装置であっても良いし、音声装置と表示装置との両方を含むものであっても良い。発報部53は、2枚以上の紙幣5における記番号5Bが同一であることが判定部43によって判定された場合に発報する。
【0070】
上述の携帯情報端末や据え置き型装置が備えるタッチパネルディスプレイが、色入力部51と表示部52、表示部52と発報部53、または色入力部51と表示部52と発報部53とを兼ねるよう、構成されてもよい。
【0071】
〔記番号の取得処理、及び、記番号の登録処理について〕
図5に基づいて、紙幣処理装置1が新規に取得した紙幣5(以下、『新規取得紙幣5N』と称する)に印字された記番号5Bを取得する処理について説明する。新規取得紙幣5Nが投入部13に投入されると、図5に基づくフローチャート処理が開始される。このとき、ステップ#05に示す新規取得紙幣5Nの枚数カウントは0にクリアされる。識別部18が新規取得紙幣5Nの情報を取得する(ステップ#01)。ステップ#01において識別部18は、例えば、新規取得紙幣5Nの種別、新規取得紙幣5Nに印字された記番号5B等を取得する。そして識別部18は、新規取得紙幣5Nがリジェクト券であるか否かを判定する(ステップ#02)。
【0072】
新規取得紙幣5Nがリジェクト券であると判定されると(ステップ#02:Yes)、例えば紙幣処理装置1の装置制御部23がリジェクト処理を実行し(ステップ#03)、リジェクト券はリジェクト部14へ搬送される。このとき、後述のステップ#04及びステップ#05は実行されず、ステップ#06の処理に移行する。
【0073】
新規取得紙幣5Nがリジェクト券ではないと判定されると(ステップ#02:No)、識別部18によって取得された記番号5B等の情報が、ネットワーク30を介して管理コンピュータ40へ送信される(ステップ#04)。管理コンピュータ40の登録管理部42は、紙幣処理装置1から送られた情報に基づいて、紙幣5に関する情報を記憶部41に登録する。
【0074】
識別部18によって取得された記番号5B等が管理コンピュータ40へ送信されると、新規取得紙幣5Nがカウントされる(ステップ#05)。新規取得紙幣5Nのカウントは、紙幣処理装置1の装置制御部23によって行われても良いし、管理コンピュータ40の登録管理部42によって行われても良いし、他のモジュール等によって行われても良い。このカウント数は、投入部13に投入された新規取得紙幣5Nのうち、リジェクト券を除いた枚数である。このカウント数は、例えば一日における新規取得紙幣5Nの総取得枚数の計算にも利用可能である。
【0075】
ステップ#06では、まだ識別部18に読み取られていない新規取得紙幣5Nが投入部13に残っているか否かが判定される。新規取得紙幣5Nが投入部13に残っていれば(ステップ#06:Yes)、ステップ#01~ステップ#05の処理が繰り返される。新規取得紙幣5Nが投入部13に残っていなければ(ステップ#06:No)、図5のフローチャート処理は終了する。
【0076】
〔記番号の同一判定、及び、特定情報の出力について〕
図6及び図7に基づいて、判定部43による記番号5Bの同一判定処理、及び、同一の記番号5Bに関する情報の出力処理について説明する。図6に示すように、紙幣処理装置1が新規に取得した新規取得紙幣5Nに印字された記番号5Bと、新規取得紙幣5Nの取得日時以前に既に記憶部41のデータベースに記憶された紙幣5(以下、『既存紙幣5E』と称する)に印字された記番号5Bと、が同一となる場合がある。この場合、新規取得紙幣5Nの記番号5Bと、既存紙幣5Eの記番号5Bと、で印字色が異なるため、この印字色の違いもデータベースで管理される。
【0077】
図7のフローチャートがスタートするタイミングは、例えば記番号登録部42Aが、新規取得紙幣5Nの記番号5Bを記憶部41のデータベースに登録したタイミングであっても良い。この場合、判定部43は、紙幣処理装置1によって新規取得紙幣5Nが取得される度に、図7に示すフローチャートに基づいて記番号5Bの同一判定処理を行う。この場合、ステップ#11における新規取得紙幣5Nの枚数は、図5に示すステップ#05でカウントされた枚数になる。このとき、判定部43は、新規取得紙幣5Nが紙幣処理装置1の投入部13に一度に投入された枚数分(リジェクト券を除く枚数)だけ、図7に示すフローチャートに基づいて記番号5Bの同一判定処理を繰り返す。このとき、新規取得紙幣5Nが帯封部7によって帯封紙4Aに巻き付けられ、帯封紙4Aの印字情報がネットワーク30を介して管理コンピュータ40へ送られて記憶部41に記憶された後で、図7に示すフローチャートが開始する構成であっても良い。
【0078】
また、図7のフローチャートがスタートするタイミングは、例えば一日において予め設定された時刻となったタイミングであっても良い。この場合、ステップ#11における新規取得紙幣5Nの枚数は、例えば一日において、紙幣処理装置1によって新規に取得された枚数になる。そして、判定部43は、一日において新規取得紙幣5Nが取得された総枚数分だけ、図7に示すフローチャートに基づいて記番号5Bの同一判定処理を繰り返す。
【0079】
図7に基づく実施形態では、紙幣処理装置1によって取得された複数の新規取得紙幣5Nを判定部43が順番に読み取るために、カウンタiが用いられる。新規取得紙幣5Nの記番号5Bは配列順に並べられており、判定部43が新規取得紙幣5Nにおける最初の記番号5Bを読み取るために、カウンタiが1に設定される(ステップ#12)。
【0080】
判定部43は、条件入力部45に条件が入力されているか否かを判定する(ステップ#13)。条件入力部45に条件が入力されていると(ステップ#13:Yes)、判定部43は、記憶部41に記憶された記番号5Bのうち、当該条件に合致する記番号5Bを抽出する(ステップ#14)。また、条件入力部45に条件が入力されていなければ(ステップ#13:No)、判定部43は、記憶部41に記憶された記番号5Bの全てを抽出する(ステップ#15)。
【0081】
図7に基づく実施形態では、判定部43が記憶部41に記憶された複数の記番号5Bを順番に読み取るため、カウンタjが用いられる。以前に取得済みの既存紙幣5Eの記番号5Bは配列順に並べられており、判定部43が、既存紙幣5Eの最初の記番号5Bを読み取るために、カウンタjが1に設定される(ステップ#16)。
【0082】
ステップ#17において、判定部43は、紙幣処理装置1によってi番目に取得された新規取得紙幣5Nの記番号5Bが、記憶部41から抽出された複数の記番号5Bにおけるi番目の記番号5Bと一致するか否かを判定する。ステップ#17の判定でNoの判定になると、後述のステップ#18~ステップ#20の処理は行われず、後述のステップ#21の判定処理が行われる。
【0083】
ステップ#17の判定でYesの判定になると、判定部43または出力部44は、操作端末50の発報部53へ発報信号を出力する(ステップ#18)。操作端末50における発報部53は、発報信号を受けると、2枚以上の紙幣5における記番号5Bが同一であることが判定部43によって判定されたことを発報する。つまり、発報部53は、判定部43が同一のものがあると判定した場合に発報する。
【0084】
また、判定部43または出力部44は、記番号5Bが同一であると判定された紙幣5を対象紙幣とし、当該対象紙幣の特定情報を生成する(ステップ#19)。対象紙幣となる紙幣5とは、記番号5Bの一致判定を受けた新規取得紙幣5Nであって、特許請求の範囲に記載の『最後対象紙幣』に相当する。記番号5Bの一致判定を受けた新規取得紙幣5Nの特定情報に、紙幣処理装置1によって取得された新規取得紙幣5Nの取得日時や在処等が含まれる。
【0085】
なお、対象紙幣となる紙幣5に、記番号5Bの一致判定を受けた既存紙幣5Eが含まれても良い。記番号5Bの一致判定を受けた既存紙幣5Eは、特許請求の範囲に記載の『先対象紙幣』に相当する。この場合、当該対象紙幣の特定情報に、既存紙幣5Eの在処等が含まれても良い。
【0086】
ステップ#19において当該対象紙幣の特定情報が生成されると、出力部44は、特定情報を操作端末50へ出力する(ステップ#20)。即ち、出力部44は、対象紙幣のうち、少なくとも最後に受け付けられた新規取得紙幣5Nについて特定情報を出力する。また、出力部44は、対象紙幣のうち新規取得紙幣5Nよりも先に受け付けられた既存紙幣5Eについて特定情報を出力する構成であっても良い。
【0087】
ステップ#21では、カウンタjが記憶部41から抽出された複数の記番号5Bの抽出数に達したか否かが判定される。カウンタjの値が記番号5Bの抽出数と同じである場合(ステップ#21:Yes)、紙幣処理装置1によって取得されたi番目の新規取得紙幣5Nの記番号5Bと、記憶部41から抽出された全ての記番号5Bと、の一致判定が完了したことを意味する。このため、ステップ#21においてYesの判定が行われると、ステップ#23の処理に進む。
【0088】
ステップ#21においてNoの判定が行われると、ステップ#22でカウンタjがインクリメント、即ち、1だけ加算される。そして、ステップ#17~ステップ#21の処理が繰り返される。
【0089】
ステップ#23では、カウンタiが新規取得紙幣5Nの枚数に達したか否かが判定される。カウンタiの値が新規取得紙幣5Nの枚数と同じである場合(ステップ#23:Yes)、紙幣処理装置1によって取得された全ての新規取得紙幣5Nの記番号5Bに対して、当該一致判定が完了したことを意味する。このため、ステップ#23においてYesの判定が行われると、図7のフローチャートに基づく処理は終了する。
【0090】
ステップ#23においてNoの判定が行われると、ステップ#24でカウンタiがインクリメント、即ち、1だけ加算される。そして、ステップ#13~ステップ#22の処理が繰り返される。
【0091】
ステップ#11において取得された新規取得紙幣5Nの枚数として、紙幣処理装置1による一日の総取得枚数であることを例示した。この場合、出力部44は、例えば一日の終わりの任意の時間に複数の紙幣5に関する特定情報を纏めて出力する構成であっても良い。つまり、出力部44は、予め設定された所定期間の間に受け付けた新規取得紙幣5Nに含まれる対象紙幣について特定情報を出力する構成であっても良い。
【0092】
出力部44は、操作端末50へ特定情報を送信する。そして、操作端末50における表示部52に特定画面54が表示され(図8参照)、特定画面54に特定情報が表示される。なお、出力部44が予め設定された所定期間の間に受け付けた新規取得紙幣5Nに含まれる対象紙幣について特定情報を出力する構成である場合、操作端末50における表示部52に特定画面54のリストが表示される構成であっても良い。
【0093】
〔色入力及び色登録について〕
図8に示すように、判定部43によって同一の記番号5Bを有する二枚以上の紙幣5が存在すると、操作端末50の表示部52に特定画面54が表示され、特定画面54に対象紙幣の特定情報が表示される。表示部52に表示される特定情報は、対象紙幣の記番号5B、券種、紙幣5の在処等である。図示例では、紙幣5の在処として、帯封紙4Aに印字された番号や、帯封処理が行われた紙幣処理装置1の番号等が表示されている。対象紙幣は、紙幣処理装置1が新規に受け付けた新規取得紙幣5Nである。なお、表示部52は、新規取得紙幣5N以外に、既存紙幣5Eに関する特定情報を表示しても良い。
【0094】
図8及び図9に基づいて説明する。表示部52に特定画面54が表示されているとき、特定画面54に色入力ボタン54Aがアイコンとして表示される。このとき、図9に示すフローチャートでは、色入力ボタン54Aが操作されたか否かが判定される(ステップ#31)。作業者が色入力ボタン54Aをタッチ操作しなければ(ステップ#31:No)、表示部52における特定画面54の表示が継続する。作業者が色入力ボタン54Aをタッチ操作すると(ステップ#31:Yes)、図8に示すように、表示部52に、対象紙幣に対応した色入力画面55が表示される(ステップ#32)。色入力画面55に色入力部51が表示される。
【0095】
色入力部51に、印字色アイコン51A,51B,51Cが表示されている。つまり、色入力部51は、複数候補からの選択形式で印字色の入力を受け付ける(ステップ#32)。そして、色入力部51において印字色の選択入力が行われたか否かが判定される(ステップ#33)。このとき、作業者が確認ボタン51Dを操作しても、確認ボタン51Dの操作は無効化される。印字色の選択入力が行われなければ(ステップ#33:No)、ステップ#32~ステップ#33の処理が繰り返される。
【0096】
作業者が色入力部51における印字色アイコン51A,51B,51Cの一つを選択すると(ステップ#33:Yes)、確認ボタン51Dが操作されたか否かが判定される(ステップ#34)。確認ボタン51Dが操作されなければ(ステップ#34:No)、ステップ#32~ステップ#34の処理が繰り返される。
【0097】
つまり、色入力部51は、記番号5Bが同一であると判定された紙幣5を対象紙幣とし、当該対象紙幣の記番号5Bを対象記番号とし、対象紙幣における対象記番号の印字色の入力を受け付ける。対象紙幣は、新規取得紙幣5Nであっても良いし、既存紙幣5Eであっても良い。つまり、色入力部51は、対象紙幣における対象記番号の印字色の入力を、対象紙幣のうちの少なくとも一つについて受け付ける。
【0098】
作業者が確認ボタン51Dを操作すると(ステップ#34:Yes)、色入力部51における印字色の選択情報が色登録部42Cへ送られる。色登録部42Cは、色入力部51が受け付けた対象紙幣の印字色を、その対象紙幣の記番号5Bと対応づけて記憶部41に登録する(ステップ#35)。これにより、図8に示すように、記憶部41に記憶されたデータベースにおいて、記番号5Bと紐付けて印字色が登録される。
【0099】
〔印字色の予定登録について〕
例えば国家の中央銀行から民間金融機関に持ち込まれる新紙幣は、帯封紙幣4において重ねられている紙幣5の記番号5Bが連続しており、かつ、印字色が全て同じである場合がある。このため、本実施形態では、図2に示すように紙幣処理装置1に予定色入力部19が備えられている。予定色入力部19は、例えば表示部17に画面表示される構成であっても良いし、専用ボタンで構成されても良い。予定色入力部19は、これから受け付ける受付予定紙幣における記番号5Bの印字色の入力を受け付ける。
【0100】
作業者が予定色入力部19を操作して印字色を指定した状態で、紙幣5を紙幣処理装置1における投入部13へ投入すると、図5に示すフローチャートが実行される。このとき、ステップ#04の処理において、識別部18によって識別された紙幣5の情報と、予定色入力部19の情報と、がネットワーク30を介して管理コンピュータ40の予定登録部42Bへ送信される。
【0101】
予定登録部42Bは、紙幣5の記番号5Bを記憶部41のデータベースに登録する。更に、予定登録部42Bは、記番号5Bに印字色の情報を紐づけて、記憶部41のデータベースに登録する。つまり、予定登録部42Bは、予定色入力部19が受け付けた印字色を、紙幣5から取得された記番号5Bと対応づけて記憶部41に登録する。
【0102】
これにより、図10に示すように、紙幣5の記番号5Bが連続した状態で、同一の印字色が紐づけられた状態で、記憶部41のデータベースに紙幣5の情報が登録される。
【0103】
〔別実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0104】
(1)上述の紙幣処理システムは、単一の紙幣処理装置1で構成されても良い。この場合、図2に示す紙幣処理装置1が一台だけであって、紙幣処理装置1に管理コンピュータ40と操作端末50とが組み込まれる構成であっても良い。
【0105】
(2)上述の紙幣処理システムでは、紙幣処理方法が実行される。図5のステップ#01に示すように、識別部18が新規取得紙幣5Nの記番号5B等を取得する処理は、特許請求の範囲に記載の『取得ステップ』に相当する。図5のステップ#04に示す処理に基づいて、登録管理部42が記番号5B等の情報を記憶部41に記憶させる処理は、特許請求の範囲に記載の『記憶ステップ』に相当する。図7のステップ#17に示すように、判定部43が判定する処理は、特許請求の範囲に記載の『判定ステップ』に相当する。図7のステップ#18に示すように、発報部53が発報する処理は、特許請求の範囲に記載の『発報ステップ』に相当する。図9のステップ#32及びステップ#33に示すように、印字色の選択入力を受け付ける処理は、特許請求の範囲に記載の『色入力ステップ』に相当する。図9のステップ#35に示すように、色登録部42Cが印字色を対象紙幣の記番号5Bと対応づけて記憶部41に登録する処理は、特許請求の範囲に記載の『色登録ステップ』に相当する。
【0106】
(3)上述の紙幣処理システムでは、紙幣処理プログラムが実行される。識別部18の機能は、特許請求の範囲に記載の『取得機能』に相当する。登録管理部42の機能と、記憶部41の機能と、の少なくとも一方は、特許請求の範囲に記載の『記憶機能』に相当する。判定部43の機能は、特許請求の範囲に記載の『判定機能』に相当する。発報部53の機能は、特許請求の範囲に記載の『発報機能』に相当する。色入力部51の機能は、特許請求の範囲に記載の『色入力機能』に相当する。色登録部42Cの機能は、特許請求の範囲に記載の『色登録機能』に相当する。
【0107】
(4)上述の識別部18は、カラー画像を撮像可能な構成であっても良い。つまり、上述の識別部18は、受け付けられた紙幣5のカラー画像を撮像する『撮像部』であっても良い。そして、表示部52が対象紙幣のカラー画像を表示する構成であっても良い。この構成であれば、例えば作業者は、わざわざ対象紙幣を探さなくても、対象紙幣の記番号5Bの印字色を容易に把握でき、その場で色入力部51に印字色を入力できる。
【0108】
(5)上述の発報部53は、操作端末50に備えられても良いし、管理コンピュータ40に備えられても良いし、紙幣処理装置1に備えられても良い。
【0109】
(6)上述の出力部44と発報部53とが一体的に構成されても良い。あるいは、出力部44の一構成として発報部53が備えられても良いし、発報部53の一構成として出力部44が備えられても良い。
【0110】
(7)上述の記憶部41は、管理コンピュータ40に備えられても良いし、管理コンピュータ40とは別のクラウドサーバやストレージサーバとして構成されても良い。
【0111】
(8)新規取得紙幣5Nは、発報部53による発報が行われた時点では、紙幣処理装置1の内部か、紙幣処理装置1の近傍に置かれ、作業者が見付け易いことが考えられる。一方、既存紙幣5Eは、既に金庫の奥に保管されている可能性があり、作業者が既存紙幣5Eを見つけ出すのに労力を要することが考えられる。このため、色入力部51は、新規取得紙幣5Nにおける記番号5Bの印字色の入力のみを受け付ける構成であっても良い。この場合、既存紙幣5Eに関しては、例えば表示部52に既存紙幣5Eの記番号5Bや特定情報を直接入力するための入力画面が表示されても良い。そして、作業者がその入力画面で既存紙幣5Eの記番号5Bや特定情報を入力してから、既存紙幣5Eの印字色を登録操作する構成であっても良い。この構成であれば、例えば作業者が後日に金庫内部を整理して既存紙幣5Eを見つけた際に、既存紙幣5Eの印字色を記憶部41のデータベースに登録できる。
【0112】
(9)上述の実施形態では、対象紙幣として新規取得紙幣5Nと既存紙幣5Eとを例示した。複数の新規取得紙幣5Nがあっても良いし、複数の既存紙幣5Eがあっても良い。複数の新規取得紙幣5Nに印字された記番号5Bの印字色が夫々異なり、複数の既存紙幣5Eに印字された記番号5Bの印字色が夫々異なる場合であっても、上述の紙幣処理システム、紙幣処理方法、及び、紙幣処理プログラムは適用可能である。
【0113】
(10)色入力部51は、複数候補からの選択形式で印字色の入力を受け付ける。この実施形態に限定されず、例えば色入力部51は、仮名入力やキーボード入力、音声認識で印字色を受け付ける構成であっても良い。
【0114】
(11)上述の実施形態では、一つの管理コンピュータ40に判定部43が備えられている。この実施形態に限定されず、判定部43は、複数のコンピュータで分散処理する構成であっても良い。
【0115】
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、紙幣処理システム、紙幣処理方法、及び、紙幣処理プログラムに適用できる。
【符号の説明】
【0117】
5 :紙幣
5B :記番号
5E :既存紙幣(対象紙幣、先対象紙幣)
5N :新規取得紙幣(対象紙幣、最後対象紙幣)
18 :識別部(取得部)
19 :予定色入力部
41 :記憶部
42B :予定登録部
42C :色登録部
43 :判定部
44 :出力部
45 :条件入力部
51 :色入力部
52 :表示部
53 :発報部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10