(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131171
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】半導体製造装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240920BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/302 105Z
H01L21/302 101B
H01L21/306 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041266
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒川 翔平
【テーマコード(参考)】
5F004
5F043
【Fターム(参考)】
5F004AA15
5F004AA16
5F004BA06
5F004BA20
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB25
5F004BB29
5F004DA00
5F004DA01
5F004DA04
5F004DA15
5F004DA16
5F004DA17
5F004DA20
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA24
5F004DA29
5F004DB12
5F004DB13
5F004DB19
5F004DB22
5F004EB08
5F043AA03
5F043AA04
5F043AA21
5F043BB07
5F043BB08
5F043BB10
5F043BB12
5F043BB14
5F043GG10
(57)【要約】
【課題】処理能力を向上する。
【解決手段】実施形態によれば、半導体製造装置は、ベベル処理チャンバ11と、基板2が載置され、基板の第1面と接するステージ12と、ベベルを冷却する第1ガスCG1を第1面側に供給可能な第1のガス供給配管SP1と、ステージを囲むように設けられ、外径が基板の直径よりも小さい第1リング13と、基板の第2面と向かい合う天板14と、ベベルを冷却する第2ガスCG2を第2面側に供給可能な第2のガス供給配管SP2と、天板を囲むように設けられ、外径が基板の直径よりも小さい第2リング15と、第1リングを囲むように設けられた第1電極16と、第2リングを囲むように設けられた第2電極17と、プロセスガスを供給可能な第3のガス供給配管SP3と、プラズマ処理を制御する制御回路40と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベベル処理チャンバと、
前記ベベル処理チャンバ内に設けられ、基板が載置され、前記基板の第1面と接することが可能なステージと、
前記基板のベベルを冷却する第1ガスを前記第1面側に供給可能な第1のガス供給配管と、
前記ステージを囲むように設けられ、外径が前記基板の直径よりも小さい第1リングと、
前記ベベル処理チャンバ内に設けられ、前記基板の前記第1面と対向する第2面と向かい合う天板と、
前記基板のベベルを冷却する第2ガスを前記第2面側に供給可能な第2のガス供給配管と、
前記天板を囲むように設けられ、外径が前記基板の前記直径よりも小さい第2リングと、
前記第1リングを囲むように設けられた第1電極と、
前記第2リングを囲むように設けられた第2電極と、
前記ベベルのプラズマ処理に用いられるプロセスガスを供給可能な第3のガス供給配管と、
前記ベベルにおける前記プラズマ処理を制御する制御回路と、
を備える、半導体製造装置。
【請求項2】
前記基板と前記天板との間の距離は、前記第1電極と前記第2電極との間の距離よりも小さい、
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記第1ガスは、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記第1のガス供給配管は、前記プロセスガスを供給可能である、
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記プロセスガスは、水素(H2)、アンモニア(NH3)、硫化水素(H2S)、水蒸気(H2O)、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)、メタン(CH4)、トリフロオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、フルオロメタン(CH3F)からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項6】
前記プラズマ処理における前記ステージの温度は、0℃以上且つ60℃以下である、
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項7】
前記第1電極と前記第2電極は、前記ベベルを挟むように配置される、
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項8】
RIEチャンバと、
前記ベベル処理チャンバと前記RIEチャンバに接続されたトランスファチャンバをさらに備え、
前記制御回路は、前記ベベル処理チャンバ、前記RIEチャンバ、及び前記トランスファチャンバへ前記基板を搬送するように制御する請求項1記載の半導体製造装置。
【請求項9】
ベベル処理チャンバに第1面と前記第1面と対向する第2面を有する基板を搬入する工程と、
前記基板のベベルを冷却する第1ガスを前記第1面側に供給する工程と、
前記ベベルを冷却する第2ガスを前記第2面側に供給する工程と、
前記第1ガス及び前記第2ガスを供給した後、前記ベベルにプロセスガスを供給する工程と、
前記ベベルのプラズマ処理を実行する工程と、
プラズマ処理後の前記基板を前記ベベル処理チャンバから搬出する工程と
を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1ガスは、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、
請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1ガスを供給するときに、前記ベベルに前記プロセスガスを供給すること含む、
請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記プロセスガスは、水素(H2)、アンモニア(NH3)、硫化水素(H2S)、水蒸気(H2O)、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)、メタン(CH4)、トリフロオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、フルオロメタン(CH3F)からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、
請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記基板をRIEチャンバに搬入する工程をさらに備える、
請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記基板を前記RIEチャンバから搬出した後、前記基板を前記ベベル処理チャンバに搬入する、
請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記基板を前記ベベル処理チャンバから搬出した後、ウエットエッチングの処理槽に前記基板を搬入する工程と、
前記ベベルのウエットエッチングを実行する工程と、
前記処理槽から前記基板を搬出する工程と、
をさらに備える、請求項14記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記ウエットエッチングに用いる薬液は、塩酸(HCl)、弗酸(HF)、塩酸(HCl)硝酸(HNO3)からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、
請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体製造装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置として、基板のベベル(周縁部)に堆積した堆積膜をプラズマ処理するベベル処理装置が知られている。プラズマ処理により発生した不揮発性の副生成物がベベル処理装置の天板に付着すると、付着物のふき取り作業のためのダウンタイムが発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-180577号公報
【特許文献2】特表2020-510994号公報
【特許文献3】特開2011-40416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態では、処理能力を向上できる半導体製造装置及び半導体装置の製造方法を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体製造装置は、ベベル処理チャンバと、ベベル処理チャンバ内に設けられ、基板が載置され、基板の第1面と接することが可能なステージと、基板のベベルを冷却する第1ガスを第1面側に供給可能な第1のガス供給配管と、ステージを囲むように設けられ、外径が基板の直径よりも小さい第1リングと、ベベル処理チャンバ内に設けられ、基板の第1面と対向する第2面と向かい合う天板と、基板のベベルを冷却する第2ガスを第2面側に供給可能な第2のガス供給配管と、天板を囲むように設けられ、外径が基板の直径よりも小さい第2リングと、第1リングを囲むように設けられた第1電極と、第2リングを囲むように設けられた第2電極と、ベベルのプラズマ処理に用いられるプロセスガスを供給可能な第3のガス供給配管と、ベベルにおけるプラズマ処理を制御する制御回路と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体製造装置の構成図。
【
図2】第1実施形態に係る半導体製造装置の備える天板、上部石英リング、及び上部電極の平面図。
【
図3】第1実施形態に係る半導体製造装置を用いたベベルエッチングの概念図。
【
図4】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるベベルエッチングの流れを示すフローチャート。
【
図5】第1実施形態に係る半導体製造装置を用いたプラズマ処理の流れを示すフローチャート。
【
図6】第2実施形態に係る半導体製造装置の構成を示す平面図。
【
図7】第2実施形態に係る半導体製造装置におけるプラズマ処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図8】第2実施形態に係る半導体製造装置における半導体基板の移動を示す装置平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合に行う。また、以下に示す各実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。
【0008】
1.第1実施形態
第1実施形態に係る半導体製造装置について説明する。以下では、半導体製造装置として、半導体基板(シリコンウェハ)のベベル(周縁部)に堆積した化合物をプラズマ雰囲気で還元処理するベベル処理装置について説明する。なお、プラズマ雰囲気における処理は、還元処理に限定されない。ベベル処理装置は、シリコン基板のベベルに堆積した化合物をプラズマ雰囲気でエッチング処理してもよいし、酸化処理してもよい。
【0009】
以下では、化合物がInを含む場合について説明する。Inを含む化合物としては、第15族元素、第16族元素、及び第17族元素のうちの非金属元素又は半金属元素、例えば酸素(O)、リン(P)、ホウ素(B)、炭素(C)、窒素(N)、ケイ素(Si)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、又はヨウ素(I)と、Inとの化合物が挙げられる。そのような化合物の具体例としては、In酸化物(InO)、Inリン化物(InP)、In窒化物(InN)、Inヒ素化物(InAs)、Inセレン化物(InSe)等が挙げられ、Inを含む化合物はこれらの少なくとも1つを含むことができる。ただし、Inを含む化合物は、In以外の金属元素、例えばスズ(Sn)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)等を含んでいてもよい。
【0010】
In酸化物やInリン化物等のInを含む化合物は、半導体又は導電体として機能するものがある。Inを含む酸化物の例としては、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)、インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(In-Ga-Zn Oxide:IGZO)、インジウム-アルミニウム-亜鉛酸化物(In-Al-Zn Oxide:IAZO)、酸化インジウム(InO)等が挙げられる。
【0011】
ITO等のIn酸化物の比率が大きいInを含む酸化物は、ウエットエッチング等に用いられる酸性やアルカリ性の薬液に対する耐性が高く、さらにドライエッチング等に用いられるハロゲン系ガス(HBrやCl2等)や有機系ガス(CH4、CH3OH、CF4、CHF3等)に対して加工残渣や不揮発性物が生じやすいという難点を有している。このため、Inを含む酸化物を、効率よく、かつ加工残渣等を生じさせることなく、エッチングすることは難しい。そこで、Inを含む酸化物に対するベベルエッチングの前処理として、本実施形態のベベル処理装置による還元処理が適用される。
【0012】
1.1 ベベル処理装置の構成
まず、
図1を参照して、ベベル処理装置1の構成の一例について説明する。
図1は、ベベル処理装置1の構成図である。以下の説明において、半導体基板2の表面または半導体基板2の裏面と表記する場合は、半導体基板2のベベルを含まない。
【0013】
図1に示すように、ベベル処理装置1は、チャンバ11、ステージ12、下部石英リング13、天板14、上部石英リング15、下部電極16、上部電極17、高周波電源20、真空装置30、制御回路40、スロットルバルブTV、ガス供給配管SP1~SP3、及び排気配管VP1を含む。
【0014】
チャンバ11は、ベベルのプラズマ処理に用いられる処理室である。例えば、チャンバ11の内部圧力は、低圧(大気圧よりも低い圧力)に維持される。チャンバ11内のガスは、排気配管VP1を介して、排気される。例えば、チャンバ11は、図示せぬ温度調節機構により、適切な温度に管理され得る。例えば、チャンバ11には、図示せぬゲートバルブが設けられている。半導体基板2は、チャンバ11の外部から、ゲートバルブを介して、チャンバ11の内部に搬送される。
【0015】
ステージ12は、チャンバ11内部の下側には設置される。ステージ12は、載置された半導体基板2を支持する。ステージ12の上面は、半導体基板2の裏面に接する。ステージ12の上面は、円形形状を有する。ステージ12の上面の直径は、半導体基板2の直径よりも小さい。ステージ12は、例えば、静電チャック機能を有し、ステージ12上に載置された半導体基板2の位置を固定する。この場合、ステージ12は、静電チャックを制御するための図示せぬ高周波電源に接続される。ステージ12は、温度測定のため熱電対等を含んでいてもよい。また、ステージ12は、半導体基板2をリフトアップするための機構を有していてもよい。
【0016】
ステージ12には、内部を貫通するガス供給配管SP1が設けられている。ステージ12は、ガス供給配管SP1を介して、半導体基板2の裏面に冷却ガスCG1を供給する。冷却ガスCG1として、例えば、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)等の希ガスからなる群より選ばれる少なくとも1つを含むガスが用いられる。また、冷却ガスCG1は、プロセスガスと同じであってもよいし、プロセスガスと希ガスの混合ガスであってもよい。冷却ガスCG1により、ステージ12は冷却される。また、冷却ガスCG1により、半導体基板2の裏面側から半導体基板2のベベルが冷却される。例えば、ステージ12は、プラズマ処理の際に、冷却ガスCG1により、0℃以上且つ60℃以下に冷却される方が好適である。換言すれば、半導体基板2のベベルは、0℃以上且つ60℃以下に冷却される方が好適である。例えば、ベベルに堆積したITOを60℃を超える温度で還元処理(プラズマ処理)すると、ITOに含まれているInの凝集により、還元されたITOの改質層の表面モホロジーが悪化する。このため、還元処理の後のウエットエッチングにおいて、ITOの除去性が劣化する。また、ベベルに堆積したITOを0℃未満の温度で還元処理すると、還元処理の効果が弱まり、ITOの改質層が形成されにくくなる。このため、還元処理の後のウエットエッチングにおいて、ITOの除去性が劣化する。
【0017】
下部石英リング13は、ステージ12の側面を囲むように設けられている。下部石英リング13は、ステージ12と下部電極16とを絶縁する。また、下部石英リング13は、プラズマ処理の際に、半導体基板2の裏面及びステージ12がプラズマ雰囲気に晒されるのを抑制する。下部石英リング13の外径は、半導体基板2の直径よりも小さい。これにより、半導体基板2のベベルは、下部石英リング13の外周から外側(横方向)に突出する。
【0018】
天板14は、チャンバ11の上側に設置されている。天板14には、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)または酸化イットリウム(Y2O3)等の絶縁性に優れた材料が使用され得る。天板14の下面は、半導体基板2の表面と向かい合う。すなわち、天板14の下面は、ステージ12の上面と対向する。天板14の下面は、円形形状を有する。天板14の下面の直径は、半導体基板2の直径よりも小さい。天板14の下面から半導体基板2の表面までの距離は、プラズマによる電子やイオンを消失させるため、上部電極17と下部電極16との間の距離よりも短く(例えば、0.35mm以上且つ0.55mm以下)設定される。これにより、半導体基板2の表面ではプラズマを発生させずに、ベベルのプラズマ処理を実行できる。
【0019】
天板14には、内部を貫通するガス供給配管SP2が設けられている。天板14は、ガス供給配管SP2を介して、半導体基板2の表面及びベベルに冷却ガスCG2を供給する。冷却ガスCG2により、天板14は冷却される。また、冷却ガスCG2により、半導体基板2の表面側から半導体基板2のベベルが冷却される。例えば、天板14は、ステージ12と同様に、冷却ガスCG2により、0℃以上且つ60℃以下に冷却される方が好適である。また、天板14から冷却ガスCG2をチャンバ11内に供給することにより、天板14と半導体基板2との間に、プラズマ処理による副生成物が拡散するのを抑制できる。これにより、天板14への副生成物の付着を抑制できる。冷却ガスCG2として、例えば、He、Ne、Ar等の希ガスからなる群より選ばれる少なくとも1つを含むガスが用いられる。また、冷却ガスCG2は、プロセスガスと同じであってもよいし、プロセスガスと希ガスの混合ガスであってもよい。
冷却ガスCG2は、冷却ガスCG1と同じ種類であってもよいし、異なっていてもよい。なお、ベベル処理装置1は、ガスを冷却するための機構を有しており、この機構により冷却ガスCG1及び冷却ガスCG2を生成してもよい。
【0020】
上部石英リング15は、天板14の側面下側を囲むように設けられている。上部石英リング15は、プラズマ処理の際に、半導体基板2の表面及び天板14がプラズマ雰囲気に晒されるのを抑制する。半導体基板2のベベルを上部石英リング15の外周から外側に突出させるため、上部石英リング15の外径は、半導体基板2の直径よりも小さい。上部石英リング15の外径は、下部石英リング13の外径と概略同じである。
【0021】
下部電極16は、ステージ12及び下部石英リング13を囲むように設けられている。例えば、下部電極16の上面は、円環形状を有する。下部電極16の上面の内径は、半導体基板2の直径よりも小さい。そして、下部電極16の上面の外径は、半導体基板2の直径よりも大きい。下部電極16の上面の高さ位置は、ステージ12及び下部石英リング13の上面の高さ位置よりも低い。下部電極16は、チャンバ11及びステージ12から絶縁されている。
【0022】
上部電極17は、天板14及び上部石英リング15を囲むように設けられている。上部電極17の下面は、下部電極16の上面と向かい合い且つ互いの面が平行に配置される。上部電極17の下面の形状は、下部電極16の上面の形状と概略同じである。下部電極16と同様に、上部電極17の下面の内径は、半導体基板2の直径よりも小さい。そして、上部電極17の下面の外径は、半導体基板2の直径よりも大きい。下部電極16と上部電極17との間に、上部石英リング15と下部石英リング13との間から突出した半導体基板2のベベルが位置する。上部電極17の下面の高さ位置は、天板14の下面及び上部石英リング15の下面の高さ位置よりも高い。上部電極17は、チャンバ11から絶縁されている。下部電極16と上部電極17との間が、プラズマ処理におけるプラズマ発生領域である。プラズマ発生時、半導体基板2のベベルがプラズマ雰囲気に晒される。
【0023】
上部電極17には、内部を貫通するガス供給配管SP3が設けられている。上部電極17は、ガス供給配管SP3を介して、上部電極17と下部電極16との間の領域にプロセスガスを供給する。すなわち、上部電極17は、半導体基板2のベベルにプロセスガスを供給する。本実施形態では、プラズマ処理に用いられるプロセスガスとして、還元性ガスが供給される。還元性ガスとしては、例えば水素原子(H)を含むガスが挙げられる。そのような還元性ガスとしては、水素(H2)、アンモニア(NH3)、硫化水素(H2S)、及び水蒸気(H2O)からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むガスが用いられる。これらを含むガスは、いずれもInを含む化合物の還元処理に適用可能である。これらのガス以外にも、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)、メタン(CH4)、トリフロオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、フルオロメタン(CH3F)等の使用が可能である。
【0024】
高周波電源20は、下部電極16と上部電極17との間で、プラズマ放電を発生させるための電源である。以下、プラズマ放電を発生させる場合を、「プラズマをオン状態にする」とも表記する。プラズマ放電により、プロセスガスが活性化される。高周波電源20は、下部電極16に接続される。下部電極に対向する上部電極17は、接地される。なお、上部電極17に高周波電源20が接続され、下部電極16が接地されていてもよい。
【0025】
チャンバ11の排気口には、スロットルバルブTVを介して排気配管VP1が接続される。スロットルバルブTVは、バルブの開度を調節可能であり、チャンバ11の圧力制御に使用される。排気配管VP1は、副生成物の付着を抑制するため、図示せぬ温度制御機構が取り付けられていてもよい。
【0026】
真空装置30は、排気配管VP1を介して、チャンバ11内のガスを排気する。真空装置30の構成は、プロセス条件に基づく。例えば、真空装置30は、排気ガスの上流側にメカニカルブースターポンプが設けられ、下流側にドライポンプが設けられた構成であってもよい。
【0027】
制御回路40は、ベベル処理装置1全体を制御する。制御回路40は、ベベル処理装置1におけるプラズマ処理を実行する。例えば、高周波電源20、真空装置30、及びスロットルバルブTV等を制御する。より具体的には、制御回路40は、チャンバ11への半導体基板2の搬出入、チャンバ11への各種ガスの供給及び排気、高周波電源20によるプラズマ放電、ステージ12の静電チャック、チャンバ11の圧力、ステージ12の温度等を制御する。
【0028】
1.2 天板の平面構成
次に、
図2を参照して、天板の平面構成の一例について説明する。
図2は、天板14、上部石英リング15、及び上部電極17の下面を、チャンバ11の下から見た平面図である。
【0029】
図2に示すように、天板14には、複数のガス供給配管SP2のガス噴出口が設けられている。
図2の例では、天板14の中心に1つ、そして同心円状に等間隔となるように8つのガス噴出口が設けられている。なお、天板14に設けられるガス供給配管SP2のガス噴出口の個数及び配置は任意である。
【0030】
天板14を囲むように円環状の上部石英リング15が設けられている。上部石英リング15の外径は、半導体基板2の直径よりも小さい。半導体基板2のベベルが上部石英リング15の外周から外側に突出する。
【0031】
上部石英リング15の外周を囲むように、円環状の上部電極17が設けられている。上部電極17には、複数のガス供給配管SP3のガス噴出口が設けられている。
図2の例では、同心円状に等間隔となるように4つのガス噴出口が設けられている。なお、上部石英リング15に設けられるガス供給配管SP3のガス噴出口の個数及び配置は任意である。
【0032】
1.3 ベベルエッチングプロセス
1.3.1 ベベルエッチングプロセスの概要
まず、
図3を参照して、ベベルエッチングプロセスの概要について説明する。
図3は、ベベル処理装置1を用いたベベルエッチングの概念図である。
図3の例では、シリコン酸化膜の上に形成されたITOを除去する場合について説明する。なお、
図3に示す半導体基板2は、ベベルの一部を拡大して示している。
【0033】
図3に示すように、半導体基板2の上にシリコン酸化膜(SiO
2)1000が成膜されている。更に、SiO
2上に、エッチング対象の化合物(ITO)2000が成膜されている。この状態において、ベベルの化合物2000を除去するためのベベルエッチングプロセスが実行される。
【0034】
エッチングプロセスは、還元処理とウエットエッチングとを含む。還元処理は、ベベル処理装置1において実行される。
【0035】
還元処理は、化合物2000の表面を還元する(酸素を脱離させる)プロセスである。還元処理により、化合物2000から酸素が脱離する。これにより、シリコン酸化膜1000の上には、還元処理に改質された(酸素が脱離した)改質層3000が形成される。このとき、還元処理の処理温度を0℃から60℃の範囲に制御することにより、改質層3000の表面モホロジーの悪化を抑制できる。改質層3000は、化合物2000と比較して加工性に優れる。このため、改質層3000は、ウエットエッチング液等の薬液により、効率的に処理できると共に、加工残渣を抑制することができる。
【0036】
ウエットエッチングは、改質層3000をエッチングするプロセスである。ウエットエッチングは、図示せぬウエットエッチング装置により実行される。ウエットエッチングに用いる薬液は、例えば、塩酸(HCl)、弗酸(HF)、硝酸(HNO3)からなる群のすくなくとも1つを含む。より具体的には、薬液には、例えば、塩酸(HCl)の0.5質量%以上40質量%以下程度の水溶液、弗酸(HF)の0.01質量%以上50質量%以下程度の水溶液、塩酸(HCl)の30質量%以上と硝酸(HNO3)の70質量%以下との混合液、及びそのような混合液を10体積%以上の任意の比率の水(H2O)で希釈した混合溶液のような酸液が用いられる。改質層3000を酸液で処理することによって、改質層3000をエッチングして除去することができる。なお、改質層3000の種類等によっては、薬液としてアルカリ溶液等を用いてもよい。
【0037】
例えば、Inを含む酸化物は結晶化している場合に加工が困難であることから、加工対象であるInを含む酸化物等の化合物が結晶化した部分を含む場合に、本実施形態のエッチング方法がより効果的である。
【0038】
1.3.2 ベベルエッチングの流れ
次に、
図4を参照して、ベベルエッチングの処理の流れについて説明する。
図4は、ベベルエッチングの流れを示すフローチャートである。
【0039】
図4に示すように、まず、化合物2000成膜後の半導体基板2をベベル処理装置1のチャンバ11に搬入する(S10)。
【0040】
制御回路40は、チャンバ11において、ベベルのプラズマ処理(還元処理)を実行する(S11)。このとき、ステージ12(半導体基板2の裏面側)から冷却ガスCG1が供給され且つ天板14(半導体基板2の表面側)から冷却ガスCG2が供給されることによりベベルが冷却された状態で、ベベルのプラズマ処理が実行される。これにより、半導体基板2のベベルにおいて、改質層3000が形成される。このとき、半導体基板2の表面と天板14との間でプラズマ放電は生じていないため、半導体基板2の表面には改質層3000は形成されない。なお、ベベル処理装置1におけるプラズマ処理の流れの詳細については後述する。
【0041】
プラズマ処理終了後、半導体基板2をベベル処理装置1のチャンバ11から搬出する(S12)。
【0042】
次に、改質層3000形成後(還元処理終了後)の半導体基板2を、ウエットエッチング装置の処理槽に搬入する(S13)。なお、ウエットエッチング装置の種類は限定されない。例えば、ウエットエッチング装置は、複数枚の半導体基板2を一括して処理するバッチ式であってもよいし、1枚ずつ処理する枚葉式であってもよい。更には、ウエットエッチング装置は、半導体基板2のベベルにのみ薬液を供給可能なスピンエッチング装置であってもよい。
【0043】
改質層3000のウエットエッチングを実行する(S14)。
【0044】
ウエットエッチング終了後、半導体基板2をウエットエッチング装置から搬出し(S15)、ベベルエッチングを終了する。
【0045】
なお、ベベルエッチングプロセスにおいて、還元処理とウエットエッチング処理とを含むループが複数回繰り返し実行されてもよい。
【0046】
1.4 ベベル処理装置におけるプラズマ処理の流れ
次に、
図5を参照して、ベベル処理装置1におけるプラズマ処理の流れの一例について説明する。
図5は、ベベル処理装置1を用いたプラズマ処理の流れを示すフローチャートである。
図5は、
図4のS10からS12に対応する。
【0047】
図5に示すように、まず、制御回路40は、チャンバ11に半導体基板2を搬入する(S100)。制御回路40は、例えば、ゲートバルブ及び半導体基板2の搬送機構を制御して、ステージ12の上に、半導体基板2を載置する。制御回路40は、ステージ12の静電チャックをオン状態にして、半導体基板2を固定する。
【0048】
制御回路40は、ステージ12の上に半導体基板2が載置された状態で、冷却ガスCG1の供給と、冷却ガスCG2の供給とを開始する(S101)。冷却ガスCG1及び冷却ガスCG2として、例えば、Heが供給される。冷却ガスCG1及び冷却ガスCG2により、半導体基板2のベベルが冷却される。このとき、ステージ12の温度は、0℃以上且つ60℃以下となるように制御される。なお、冷却ガスCG1と冷却ガスCG2の供給開始タイミングと供給終了タイミングは一致しても良いし、供給開始タイミング、供給終了タイミングのどちらか一方のみが一致しても良い。さらに、冷却ガスCG1及び冷却ガスCG2がともに供給される時間があるが、冷却ガスCG1と冷却ガスCG2の供給開始タイミングと供給終了タイミングは異なっていても良い。
【0049】
制御回路40は、冷却ガスCG1及び冷却ガスCG2が供給されている状態で、プロセスガス(例えば、H2)の供給を開始する(S102)。制御回路40は、スロットルバルブTVの開度を制御して、チャンバ11の圧力を、プラズマ処理を実行するために予め設定された圧力に調整する。
【0050】
制御回路40は、高周波電源20を制御して、ベベルを含む領域にプラズマ放電を発生させる。なお、このとき、半導体基板2の表面と天板14との間では、プラズマ放電は発生していない。これにより、ベベルのプラズマ処理(H2プラズマによる還元処理)が実行される(S103)。プラズマ処理終了後、制御回路40は、高周波電源20をオフ状態にする。例えば、制御回路40は、スロットルバルブTVの開度を100%にして、チャンバ11のガスを排気する。
【0051】
制御回路40は、プロセスガスの供給を停止する(S104)。
【0052】
次に、制御回路40は、冷却ガスCG1及び冷却ガスCG2の供給を停止する(S105)。
【0053】
制御回路40は、ステージ12の静電チャックをオフ状態にする。次に、制御回路40は、例えば、ゲートバルブ及び半導体基板2の搬送機構を制御して、チャンバ11から半導体基板2を搬出する(S106)。
【0054】
1.5 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、処理能力を向上できるベベル処理装置を提供できる。本効果につき詳述する。
【0055】
例えば、半導体基板のベベルに堆積したInを含む酸化物をプラズマ処理する場合、プラズマ処理により生成される副生成物がチャンバの天板部分等に付着する。このため、定期的にチャンバを大気開放して、清掃する必要がある。これにより、装置のダウンタイムが比較的長くなり、装置の処理能力が低下する。また、Inを含む酸化物の還元処理では、半導体基板(ベベル)の温度が上昇すると、Inを含む改質層が凝集して表面モホロジーが悪化する。このため、改質層をウエットエッチングする際に、改質層が残存する可能性が高くなる。
【0056】
これに対し、本実施形態に係る構成であれば、天板14から半導体基板2のベベルに冷却ガスを供給できる。これにより、プラズマ処理の副生成物が天板14に付着するのを抑制できる。このため、チャンバ清掃の頻度を低減できる。よって、ベベル処理装置のダウンタイムを低減し、ベベル処理装置の処理能力を向上できる。
【0057】
更に、本実施形態に係る構成であれば、ステージ12及び天板14から半導体基板2のベベルに冷却ガスを供給できる。すなわち、半導体基板2の裏面及び表面の両側からベベルを冷却できる。裏面または表面の一方からのみ冷却ガスを供給する場合にくらべて、より効率的にベベル部を冷却することができる。ベベル部を冷却することにより、ベベル処理装置1において、Inを含む酸化物を還元処理した際に、改質層の表面モホロジーの悪化を抑制できる。このため、後続のウエットエッチングにおいて、改質層が残存する可能性を低減できる。従って、ベベルエッチングプロセスによる化合物の除去性能を向上できる。
【0058】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態で説明したベベル処理装置1のチャンバ11を搭載した半導体製造装置について説明する。
【0059】
2.1 半導体製造の構成
まず、
図6を参照して、半導体製造装置100の構成の一例について説明する。
図6は、半導体製造装置100の構成を示す平面図である。
【0060】
図6に示すように、半導体製造装置100は、ロードポート101、ロードモジュール102、ロードロック103、トランスファチャンバ104、ベベル処理チャンバ105、RIE(Reactive Ion Etching)チャンバ106、及び制御回路107を含む。
【0061】
ロードポート101は、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)200の開閉を行う。ロードポート101上に、FOUP200がセットされる。FOUP200は、半導体基板2の搬送用の密閉容器である。FOUP200は、複数の半導体基板2を収納可能である。なお、
図6の例は、ロードポート101が3つ配置されている場合を示しているが、ロードポート101の個数は1個以上であればよい。
【0062】
ロードモジュール102は、ハンドラ110を含む。ハンドラ110は、FOUP200とロードロック103との間で半導体基板2を搬送できるように駆動可能に構成されている。
【0063】
ロードロック103は、半導体基板2を真空(低圧)雰囲気内に搬送するための真空室である。例えば、ロードロック103は、FOUP200との間で半導体基板2の搬送を行う場合は、大気圧とされる。他方で、ロードロック103は、トランスファチャンバ104との間で半導体基板2の搬送を行う場合は、真空(低圧)とされる。ロードロック103は、図示せぬ真空装置と接続される。
図6の例は、ロードロック103が2つ配置されている場合を示しているが、ロードロック103の個数は1個以上であればよい。
【0064】
トランスファチャンバ104は、ハンドラ120を含む。トランスファチャンバ104は、ロードロック103、ベベル処理チャンバ105、及びRIEチャンバ106と接続される。ハンドラ120は、ロードロック103、ベベル処理チャンバ105、及びRIEチャンバ106に半導体基板2を搬送できるように駆動可能に構成されている。トランスファチャンバ104は、真空雰囲気に維持される。トランスファチャンバ104は、図示せぬ真空装置と接続される。
【0065】
ベベル処理チャンバ105は、第1実施形態で説明したチャンバ11に相当する。なお、
図6の例は、ベベル処理チャンバ105が1つ配置されている場合を示しているが、ベベル処理チャンバ105の個数は1個以上であればよい。
【0066】
RIEチャンバ106は、半導体基板2のドライエッチングを実行するためのチャンバである。例えば、RIEチャンバ106は、ベベル処理チャンバ105と同様のプラズマ処理条件(ガス条件、圧力、RFパワー、等)で半導体基板2の表面のプラズマ処理を実行し得る。より具体的には、例えば、半導体基板2の表面に形成されている化合物2000の還元処理を実行して、半導体基板2の表面に改質層3000を形成し得る。また、RIEチャンバ106は、改質層3000をエッチングする機能を有していてもよい。例えば、改質層3000をエッチングするためのエッチングガスが供給可能であってもよい。なお、
図6の例は、RIEチャンバ106が3つ配置されている場合を示しているが、RIEチャンバ106の個数は1個以上であればよい。
【0067】
制御回路107は、ロードポート101、ロードモジュール102、ロードロック103、トランスファチャンバ104、ベベル処理チャンバ105、及びRIEチャンバ106を制御する。制御回路107は、ベベル処理チャンバ105及びRIEチャンバ106において、各種プロセスを実行する。制御回路107は、第1実施形態で説明した制御回路40に相当する。
【0068】
なお、半導体製造装置100の構成は、これに限定されない。例えば、プロセスチャンバとして、ベベル処理チャンバ105及びRIEチャンバ106とは異なるプロセスチャンバが搭載されていてもよい。
【0069】
2.2 半導体製造装置におけるプラズマ処理の流れ
次に、
図7及び
図8を参照して、半導体製造装置100におけるプラズマ処理の流れの一例について説明する。
図7は、半導体製造装置100におけるプラズマ処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8は、半導体製造装置100における半導体基板2の移動を示す装置平面図である。なお、
図7及び
図8の例は、RIEチャンバ106及びベベル処理チャンバ105の順に連続してプラズマ処理を実行する場合を示している。
【0070】
図7及び
図8に示すように、半導体製造装置100のロードポート101に、半導体基板2が収納されたFOUP200がセットされる(S200)。
【0071】
制御回路107は、FOUP200をオープンする。そして、ロードモジュール102のハンドラ110を制御して、ロードロック103に半導体基板2を搬入する(S201)。
【0072】
制御回路107は、ロードロック103の真空引きを実行後、トランスファチャンバ104のハンドラ120を制御して、ロードロック103内の半導体基板2をトランスファチャンバ104に搬送する(S202)。
【0073】
制御回路107は、ハンドラ120を制御して、RIEチャンバ106に半導体基板2を搬送する(S203)。
【0074】
制御回路107は、RIEチャンバ106において、半導体基板2の表面のプラズマ処理を実行する(S204)。例えば、半導体基板2の表面に化合物2000が成膜されている場合、制御回路107は、H2プラズマによる還元処理を実行し、半導体基板2の表面に改質層3000を形成する。
【0075】
制御回路107は、ハンドラ120を制御して、RIEチャンバ106からトランスファチャンバ104に半導体基板2を搬出する(S205)。
【0076】
制御回路107は、ハンドラ120を制御して、ベベル処理チャンバ105に半導体基板2を搬送する(S206)。
【0077】
制御回路107は、ベベル処理チャンバ105において、半導体基板2のベベルのプラズマ処理を実行する(S207)。ベベル処理チャンバ105内における処理の詳細は、第1実施形態と同様である。
【0078】
制御回路107は、ハンドラ120を制御して、ベベル処理チャンバ105からトランスファチャンバ104に半導体基板2を搬出する(S208)。
【0079】
制御回路107は、ハンドラ120を制御して、ロードロック103に半導体基板2を搬送する(S209)。
【0080】
制御回路107は、ロードロック103を大気圧に戻した後、ロードモジュール102のハンドラ110を制御して、FOUP200に半導体基板2を搬送する(S210)。
【0081】
なお、
図7の例では、RIEチャンバ106での処理とベベル処理チャンバ105での処理が連続して実行される場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ベベル処理チャンバ105での処理が実行された後に、RIEチャンバ106での処理が実行されてもよい。更には、RIEチャンバ106での処理とベベル処理チャンバ105での処理とが、連続して実行されなくてもよい。すなわち、RIEチャンバ106での処理及びベベル処理チャンバ105での処理のいずれか一方が実行された後、半導体基板2は、半導体製造装置100の外部に一旦搬出され、別のタイミングでRIEチャンバ106での処理及びベベル処理チャンバ105での処理のいずれか他方が実行されてもよい。
【0082】
例えば、半導体製造装置100により半導体基板2の上面及びベベルのプラズマ処理が実行された後、第1実施形態の
図4のS13~15において説明したウエットエッチングが実行される。
【0083】
2.3 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0084】
3.変形例等
上記実施形態に係る半導体製造装置は、ベベル処理チャンバ(11)と、ベベル処理チャンバ内に設けられ、基板(2)が載置され、基板の第1面(裏面)と接することが可能なステージ(12)と、基板のベベルを冷却する第1ガス(CG1)を第1面側に供給可能な第1のガス供給配管(SP1)と、ステージを囲むように設けられ、外径が基板の直径よりも小さい第1リング(13)と、ベベル処理チャンバ内に設けられ、基板の第1面と対向する第2面(表面)と向かい合う天板(14)と、基板のベベルを冷却する第2ガス(CG2)を第2面側に供給可能な第2のガス供給配管(SP2)と、天板を囲むように設けられ、外径が基板の直径よりも小さい第2リング(15)と、第1リングを囲むように設けられた第1電極(16)と、第2リングを囲むように設けられた第2電極(17)と、ベベルのプラズマ処理に用いられるプロセスガスを供給可能な第3のガス供給配管(SP3)と、ベベルにおけるプラズマ処理を制御する制御回路(40)と、含む。
【0085】
なお、実施形態は上記説明した形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0086】
例えば、上記実施形態では、基板が半導体基板である場合について説明したが、基板は、ヘテロジニアスコンピューティング用基板、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)用基板、三次元集積回路用半導体ウェハ、生体・医療用基板、光導波路用基板等であってもよい。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0088】
1…ベベル処理装置、2…半導体基板、11…チャンバ、12…ステージ、13…下部石英リング、14…天板、15…上部石英リング、16…下部電極、17…上部電極、20…高周波電源、30…真空装置、40…制御回路、100…半導体製造装置、101…ロードポート、102…ロードモジュール、103…ロードロック、104…トランスファチャンバ、105…ベベル処理チャンバ、106…RIEチャンバ、107…制御回路、110、120…ハンドラ、1000…シリコン酸化膜、2000…化合物、3000…改質層、SP1~SP3…ガス供給配管、TV…スロットルバルブ、VP1…排気配管