(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013118
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20240124BHJP
F25B 7/00 20060101ALI20240124BHJP
F25B 39/04 20060101ALI20240124BHJP
F28D 7/10 20060101ALI20240124BHJP
F28F 9/013 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
F25B7/00 D
F25B39/04 K
F28D7/10 A
F28F9/013 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115070
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】加賀 進一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義康
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103CC18
3L103CC30
3L103DD38
(57)【要約】
【課題】二重管構造に構成した熱交換部の熱交換効率を向上し得る冷却装置を提供する。
【解決手段】圧縮機CMの作動により一次冷媒を強制循環する一次回路34と、二次冷媒を自然循環する二次回路44と、一次回路34を構成する一次冷媒経路36を流通する一次冷媒および二次回路44を構成する二次冷媒経路46を流通する二次冷媒の間で熱交換して当該二次冷媒を液化する熱交換部HEと、二次回路44の経路に設けられて二次冷媒を気化して冷却する冷却部EPと、を備え、空気の流通が許容される開放空間20に、一次回路34を配置する。そして、一次冷媒経路36を形成する内管104を流通する一次冷媒が、二次冷媒経路46を形成する外管102の内部において上方側に偏った位置を流通するよう、当該内管104を外管102に挿通して熱交換部を構成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機の作動により一次冷媒を強制循環する一次回路と、二次冷媒を自然循環する二次回路と、前記一次回路を構成する一次冷媒経路を流通する一次冷媒および前記二次回路を構成する二次冷媒経路を流通する二次冷媒の間で熱交換して当該二次冷媒を液化する熱交換部と、前記二次回路の経路に設けられて二次冷媒を気化して冷却する冷却部と、を備え、空気の流通が許容される開放空間に、前記一次回路を配置すると共に、当該開放空間から区画した冷却空間に、前記冷却部を配置するよう構成された冷却装置において、
前記一次冷媒経路を形成する第1の配管が前記二次冷媒経路を構成する第2の配管の内部を挿通するよう前記熱交換部が構成されると共に、
前記第1の配管は、当該第1の配管内を流通する一次冷媒が前記第2の配管の内部において上方側に偏った位置を流通するよう当該第2の配管の内部に配置されている
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記第1の配管の下方に支持部材が配置され、当該支持部材により前記第1の配管が前記第2の配管の内部において上方側に偏って位置するよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
【請求項3】
前記支持部材の上部に窪み部が設けられ、当該窪み部で前記第1の配管を支持するよう構成されていることを特徴とする請求項2記載の冷却装置。
【請求項4】
前記支持部材に前記第2の配管の内側の空間に繋がる流通空間を設けて、当該第2の配管を流通する二次冷媒が当該支持部材の流通空間を流通し得るよう構成されていることを特徴とする請求項2または3記載の冷却装置。
【請求項5】
前記支持部材は、線材をコイル状に巻回して形成されていることを特徴とする請求項2記載の冷却装置。
【請求項6】
コイル状に形成された前記支持部材を、前記第1の配管の延在方向に当該支持部材の開口方向が向くよう配置すると共に、当該支持部材が横長の扁平形状に形成されていることを特徴とする請求項5記載の冷却装置。
【請求項7】
前記第1の配管は、一次冷媒が流通する管本体部から下方に突出する突出部を備え、当該突出部により前記管本体部が前記第2の配管の内部において上方側に偏って位置するよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関し、更に詳細には、一次冷媒を機械的に強制循環する一次回路と二次冷媒を自然循環する二次回路と、一次冷媒および二次冷媒の熱交換を行なう熱交換部とを備える冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば冷蔵庫等の貯蔵設備や空調設備等に用いられる冷却装置として、一次冷媒を機械的に強制循環させる一次回路と、二次冷媒が自然循環する二次回路とを備え、一次冷媒と二次冷媒との間で熱交換して二次回路内に温度勾配を設けることで冷媒に密度差を形成し、密度の不均一によって重力の作用下に生じる自然対流を利用して熱伝達を行なうサーモサイフォンと呼ばれる熱輸送機構が知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。このような冷却装置の概略構成は、気相一次冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮した一次冷媒を液化する凝縮器と、熱交換器に設けられて液相一次冷媒を気化する一次熱交換部とを配管で接続するようにして一次回路を構成すると共に、熱交換器に設けられて気相二次冷媒を液化する二次熱交換部と、液相二次冷媒を気化する冷却器とを別の配管で接続するようにして二次回路を構成して、熱交換器において一次冷媒と二次冷媒とが熱交換することで、最終的に二次回路の冷却器を冷却するようになっている。そして、このような冷却装置の一次冷媒には、蒸発熱や飽和圧等の冷媒としての特性に優れているブタンやプロパン等の炭化水素(HC系)またはアンモニアなどが採用されると共に、二次冷媒には、毒性、可燃性および腐食性を有していない安全性の高い二酸化炭素が採用されており、自然冷媒の利用によった環境負荷の削減が図られている。
【0003】
ところで、一次冷媒として炭化水素やアンモニアなどを利用する場合は、経年劣化や何らかの外的要因により冷媒が循環する配管が損傷して一次冷媒が漏出する可能性があることから、圧縮機が配置される機械室に一次冷媒が流通する熱交換器が配置されている。しかしながら、熱交換器を断熱材で囲うなどして熱交換効率の低下を防止する必要があり、メンテナンス作業時の作業性の低下を招いたり、コストが嵩む要因となっていた。
【0004】
一方で、一次冷媒の漏出を検出するガスセンサや、一次冷媒の漏出時に熱交換器への一次冷媒の供給を遮断するように一次回路に遮断弁を設けることにより、冷却器が配置される冷却空間内に熱交換器を配置することも可能になる。しかしながら、ガスセンサの検出精度が低く、漏出した一次冷媒以外のガスに反応する難点があり、またガスセンサに霜が付着して検出不能になる恐れがあり、冷却空間内に熱交換器を配置することは現実的に困難であった。また、高価なガスセンサや遮断弁を採用する必要があることから、コストの抑制には繋がりにくい問題も指摘される。
【0005】
このような課題に鑑みて、本願出願人は、一次回路を構成する一次冷媒経路が冷却空間に露出しないように当該冷却空間に熱交換部を配置する構成を発明し、特願2022-17326号として特許出願している。この特許出願では、一次冷媒経路を形成する配管が二次冷媒経路を構成する配管の内部を挿通するように熱交換部を二重管構造に構成することで、一次冷媒経路を形成する配管から一次冷媒が漏出した場合でも、二次冷媒経路を構成する配管の内部に一次冷媒を留まらせることを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-48484号公報
【特許文献2】特開2001-118134号公報
【特許文献3】特開2010-7985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、一次冷媒が流通する配管(内管)を、二次冷媒が流通する配管(外管)の内部を挿通するよう熱交換部を構成した場合、当該内管を流通する一次冷媒と外管を流通する二次冷媒との間の熱交換効率が冷却装置全体の冷却性能に大きく影響する。
【0008】
そこで、本発明は、前述した課題を好適に解決するべく提案されたものであって、二重管構造に構成した熱交換部の熱交換効率を向上し得る冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、第1の発明は、
圧縮機の作動により一次冷媒を強制循環する一次回路と、二次冷媒を自然循環する二次回路と、前記一次回路を構成する一次冷媒経路を流通する一次冷媒および前記二次回路を構成する二次冷媒経路を流通する二次冷媒の間で熱交換して当該二次冷媒を液化する熱交換部と、前記二次回路の経路に設けられて二次冷媒を気化して冷却する冷却部と、を備え、空気の流通が許容される開放空間に、前記一次回路を配置すると共に、当該開放空間から区画した冷却空間に、前記冷却部を配置するよう構成された冷却装置において、
前記一次冷媒経路を形成する第1の配管が前記二次冷媒経路を構成する第2の配管の内部を挿通するよう前記熱交換部が構成されると共に、
前記第1の配管は、当該第1の配管内を流通する一次冷媒が前記第2の配管の内部において上方側に偏った位置を流通するよう当該第2の配管の内部に配置されていることを要旨とする。
このように、一次冷媒が流通する第1の配管を第2の配管の内部において上方側に偏った位置に配置するよう構成することで、第2の配管を流通する液相二次冷媒に第1の配管が浸る(埋まる)のを防止して、気相二次冷媒と第1の配管との接触面積を拡大することができる。このため、第2の配管内を流通する気相二次冷媒に第1の配管が接触しやすくなり、熱交換部での熱交換効率を向上し得ると共に、第2の配管内の液相二次冷媒の流れを第1の配管が阻害することなく良好に液相二次冷媒を循環させることができるから、冷却能力を高めることに繋がる。
【0010】
第2の発明は、
前記第1の配管の下方に支持部材が配置され、当該支持部材により前記第1の配管が前記第2の配管の内部において上方側に偏って位置するよう構成されていることを要旨とする。
このように、第1の配管の下方を支持部材で支持することで、第1の配管を第2の配管の内部において上方側に偏った位置に良好に位置付けることができる。
【0011】
第3の発明は、
前記支持部材の上部に窪み部が設けられ、当該窪み部で前記第1の配管を支持するよう構成されていることを要旨とする。
このように、支持部材に設けた窪み部で第1の配管の下部を支持することで、支持部材により第1の配管を安定して支えることができるから、支持部材からの第1の配管の脱落を効果的に防止しして、第1の配管を第2の配管の内部上方側に偏った位置に安定して維持することができる。
【0012】
第4の発明は、
前記支持部材に前記第2の配管の内側の空間に繋がる流通空間を設けて、当該第2の配管を流通する二次冷媒が当該支持部材の流通空間を流通し得るよう構成されていることを要旨とする。
このように、流通空間を設けることで、二次冷媒を良好に流通することができる。
【0013】
第5の発明は、
前記支持部材は、線材をコイル状に巻回して形成されていることを要旨とする。
このように、支持部材をコイル状に形成することで、当該支持部材の弾性的な変形が可能になるから、第1の配管を第2の配管の内部において上方側に偏った位置に支持部材で位置付けつつ、配管の曲げ加工時には支持部材が容易に変形することで製造工程を簡略化することができる。
【0014】
第6の発明は、
コイル状に形成された前記支持部材を、前記第1の配管の延在方向に当該支持部材の開口方向が向くよう配置すると共に、当該支持部材が横長の扁平形状に形成されていることを要旨とする。
このように、支持部材を横長の扁平形状に形成することで、当該支持部材で支持された第1の配管の安定性を高めることができる。
【0015】
第7の発明は、
前記第1の配管は、一次冷媒が流通する管本体部から下方に突出する突出部を備え、当該突出部により前記管本体部が前記第2の配管の内部において上方側に偏って位置するよう構成されていることを要旨とする。
このように、第1の配管に突出部を設けることで、支持部材を設けることなく一次冷媒が流通する管本体部を第2の配管の内部において上方側に偏った位置に位置付けることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る冷却装置によれば、二重管構造に構成した熱交換部の熱交換効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態1に係る冷却装置により冷却される冷蔵庫を示す側断面図である。
【
図2】実施形態1の冷蔵庫における機械室を示す平面図である。
【
図3】実施形態1の熱交換部を一部破断して示す側面図である。
【
図4】実施形態1に係る熱交換部の二重管部の断面図であって、(a)は二重管部を径方向に破断した断面図であり、(b)は二重管部を長手方向に破断した断面図を一部破断して示す側面図である。
【
図5】実施形態2に係る熱交換部の二重管部の断面図であって、二重管部を径方向に破断した断面図である
【
図6】実施形態3に係る熱交換部の二重管部の断面図および概略斜視図であって、(a)は二重管部を径方向に破断した断面図であり、(b)は実施形態3の支持部材を示す概略斜視図である。
【
図7】実施形態4に係る熱交換部の二重管部の断面図であって、(a)は二重管部を径方向に破断した断面図であり、(b)は二重管部を長手方向に破断した断面図を一部破断して示す側面図である。
【
図8】実施形態5に係る熱交換部の二重管部の断面図であって、二重管部を径方向に破断した断面図である
【
図9】実施形態6に係る熱交換部の二重管部の断面図であって、(a)は突出部を1つ形成した例を示し、(b)は突出部を2つ形成した例を示す。
【
図10】変更例に係る熱交換部の二重管部の断面図であって、二重管部を径方向に破断した断面図である
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る冷却装置の好適な実施形態に関し、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、店舗等の業務用途に用いられ、野菜や肉等の物品を多量に収納し得る大型の冷蔵庫に設けられる冷却装置を例に挙げて説明する。
【0019】
(実施形態1)
図1に示すように、実施形態1に係る冷蔵庫10は、収納室(閉鎖空間)14を内部画成した断熱構造の箱体12と、この箱体12の上方に設けられ、金属パネル18により外壁を構成したキャビネット16とを備えている。箱体12には、前側に開放して物品の出し入れ口となる開口部12aが収納室14に連通して開設される。また箱体12の前部には、断熱扉22が図示しないヒンジにより回動可能に配設され、断熱扉22を開放することで開口部12aを介して収納室14に対する物品の出し入れが許容されると共に、断熱扉22を閉成することで収納室14を密閉し得るようになっている。
【0020】
前記キャビネット16の内部には、収納室14を冷却するための冷却装置32の一部および該冷却装置32を制御する制御装置Cが配設される機械室(開放空間)20が画成される(
図2参照)。機械室20の底部には、箱体12の天板12bに載置されて、該機械室20に配設する機器の共通基板となる台板24が設置されている。そして、キャビネット16の外壁をなす金属パネル18には、機械室20に連通する空気流通孔(図示せず)が適宜部位に開設され、この空気流通孔を介して機械室20内の雰囲気と外気とが入替わるようになっている。なお、キャビネット16は、冷蔵庫10の天井となる金属パネル18が設けられず、機械室20の上方が開放されている。
【0021】
前記収納室14の上部には、箱体12における天板12bの下面から所定間隔離間して冷却ダクト26が配設され、この冷却ダクト26と、箱体12の天板12bに開設した開口12cを介して収納室14側に臨む台板24との間に冷却室(冷却空間)28が画成される。この冷却室28は、冷却ダクト26の底部前側に形成した吸込口26aおよび後側に形成した冷気吹出口26bを介して収納室14に連通して、閉鎖空間としての収納室14の一部を構成している。吸込口26aには送風ファン30が配設され、該送風ファン30を駆動することで、吸込口26aから収納室14の空気を冷却室28に取込み、冷気吹出口26bから冷却室28の冷気が収納室14に送出される。天板12bの切欠口12cは、台板24で気密的に塞がれて、収納室14(冷却室28)と機械室20とは、台板24で区切られて互いに独立した空間となっている(
図1参照)。
【0022】
図3に示すように、冷却装置32は、冷媒を強制循環する機械圧縮式の一次回路34と、冷媒が自然対流するサーモサイフォンからなる二次回路(冷媒回路)44との2系統の回路を、熱交換部HEを介して熱交換するように接続(カスケード接続)した二次ループ冷凍回路が採用される。熱交換部HEは、一次回路34を構成する一次冷媒経路36と、この一次冷媒経路36と別系統に形成されて、二次回路44を構成する二次冷媒経路46とが設けられており、前記台板24の下面側に位置するよう冷却室28内に配置されている(
図3参照)。すなわち、一次回路34および二次回路44は、熱交換可能な独立した冷媒循環経路を形成しており、熱交換部HEにおいて、一次回路34の一次冷媒と二次回路44の二次冷媒との間で熱交換が行われるようになっている。ここで、一次回路34を循環する一次冷媒としては、蒸発熱や飽和圧等の冷媒としての特性に優れているブタンやプロパン等の炭化水素系(HC系)の冷媒またはアンモニアなどが採用される。また、二次回路44を循環する二次冷媒としては、毒性、可燃性および腐食性を有していない安全性の高い二酸化炭素が好適に採用される。
【0023】
前記一次回路34は、気相一次冷媒を圧縮する圧縮機CMと、圧縮した一次冷媒を液化する凝縮器CDと、液相一次冷媒の圧力を低下させる減圧手段としての膨張弁EVと、液相一次冷媒を気化する熱交換部HEの一次冷媒経路36とを冷媒配管38で接続して構成される(
図3参照)。ここで、圧縮機CMは、冷却装置32の冷却運転時に連続駆動され、冷却装置32の停止時に停止される。圧縮機CMおよび凝縮器CDは、機械室20において台板24上に共通的に配設され、凝縮器CDを強制冷却する凝縮器ファンFMも、該凝縮器CDに対向して台板24上に配設されている。ここで、凝縮器CDは、キャビネット16の前面をなす金属パネル(フロントパネル)18に近接して機械室20の前側に配置され、該凝縮器CDの後側に凝縮器ファンFMが配置される。また圧縮機CMは、凝縮器ファンFMの後側に配置される(
図2参照)。このように機械室20では、凝縮器CD,凝縮器ファンFMおよび圧縮機CMが、機械室20において凝縮器ファン(送風手段)FMにより送出される空気の流通方向に沿って一直線上に並んで配設される。すなわち、凝縮器ファンFMの駆動によりフロントパネル18とキャビネット16との間に設けた空気流通孔(図示せず)から外気が機械室20に取込まれ、この外気が機械室20の前側から後側に流通して凝縮器CDおよび圧縮機CMと熱交換するようになっている。
【0024】
前記一次回路34では、圧縮機CMによる一次冷媒の圧縮により、圧縮機CM、凝縮器CD、膨張弁EV、熱交換部HEの一次冷媒経路36および圧縮機CMの順に、一次冷媒が強制循環され、各機器の作用下に一次冷媒経路36において所要の冷却を行なうようになっている(
図3参照)。なお、前述した制御装置Cは、機械室20において凝縮器ファンFMによる空気の流れを阻害しない位置(機械室20の側部)で台板24上に配設されている。
【0025】
前記二次回路44は、気相二次冷媒(気化冷媒)を液化する熱交換部HEの二次冷媒経路46と、液相二次冷媒(液化冷媒)を気化する蒸発器EPとを備えている(
図3参照)。また二次回路44は、二次冷媒経路46と蒸発器EPとを液配管48およびガス配管50を介して接続するよう構成されており、二次冷媒経路46から液配管48を介して重力の作用下に液相二次冷媒を蒸発器EPへ供給し、蒸発器EPから二次冷媒経路46へガス配管50を介して気相二次冷媒を還流させるようになっている。すなわち、液配管48は、液相二次冷媒を熱交換部HEから蒸発器EPへ導入する導入経路を形成し、ガス配管50は、気相二次冷媒を蒸発器EPから熱交換部HEへ環流させる環流経路を形成している。このように、この実施形態では、液配管48およびガス配管50は、蒸発器EPを形成する蒸発管52と連続した配管として形成されている。ここで、蒸発器EPは、機械室20の下方に位置する冷却室28に、前記熱交換部HEの下方に位置するよう配置されており、熱交換部HEの二次冷媒経路46から液相二次冷媒が重力の作用下に流下し得るようになっている。
【0026】
前記蒸発器EPは、管路を蛇行させた蒸発管52と、この蒸発管52に設けられたフィン53とから構成されている。蒸発管52は、液配管48の下端に接続する流入端が、蒸発器EPの下部に配置されると共に、ガス配管50の下端に接続する蒸発管52の流出端が、蒸発器EPの上部に配置され、蒸発管52の流入端が流出端より下方に位置するように構成される(
図3参照)。また蒸発管52の管路は、流入端と流出端との上下位置の間で延在して、蒸発管52に流入した液相二次冷媒を、該液相二次冷媒の蒸発による作用下に管路に沿って流出端側まで拡散させるように導くようになっている。
【0027】
次に、実施形態1の熱交換部HEについて具体的に説明する。
図3、
図4に示すように、熱交換部HEは、外管102と、外管102の内側に空間をあけるようにして内管104が挿通された二重管部100を備えており、内管104の内側の空間を一次冷媒が流通すると共に、外管102と内管104との間の空間を二次冷媒が流通するよう構成されている。すなわち、内管104の内側に一次冷媒経路36が形成されると共に、外管102と内管104との間に二次冷媒経路46が形成されている。なお、外管102および内管104は熱伝導性に優れた金属材料で形成されている。
【0028】
ここで、熱交換部HEの二重管部100は、管路が蛇行するよう形成されていると共に、冷却室28から機械室20に至るように二重管部100の両端部が台板24を貫通して機械室20に露出するよう構成されている(
図3参照)。ここで、機械室20側に貫通した二重管部100の両端部は、外管102の端部から内管104が延出しており、外管102から延出する内管104の一方に、膨張弁EVに接続する流入側の冷媒配管38が接続されると共に、外管102から延出する内管104の他方に、圧縮機CMに接続する流出側の冷媒配管38が接続されて、一次回路34を形成するようになっている。
【0029】
また、熱交換部HEの二重管部100には、熱交換部HEの下方に位置する蒸発器EPに向けて延在する接続管108が二次冷媒経路46に連通するよう2箇所に設けられており、一方の接続管108に蒸発器EPに設けた液配管48の上端が接続すると共に、一方の接続管108に蒸発器EPに設けたガス配管50の上端が接続するよう構成されて、二次回路44を形成するようになっている。
【0030】
ここで、
図3に示すように、熱交換部HEの内管104と一次回路34を形成する前記冷媒配管38とは、機械室20に接続部位106が位置するようにして接続されている。この内管104と冷媒配管38とは、溶接により接続するようにしてもよく、継手などを利用して接続することもできる。この実施形態1では接続部位106において溶接により内管104と冷媒配管38とを接続してある。
【0031】
また、熱交換部HEの二重管部100の管路は、ガス配管50との接続側から液配管48の接続側に向けて下方傾斜するようになっており、熱交換部HEにおいて冷却されて液化した液相二次冷媒が、その自重により液配管48側に自然に流れるようになっている。また、熱交換部HEは、二次冷媒経路46を流通する二次冷媒の流通方向と一次冷媒経路36を流通する一次冷媒の流通方向とが反対向きの対向流になるよう構成される。
【0032】
熱交換部HEは、
図3に示すように、冷却室28内に位置する二重管部100が断熱材110で覆われており、蒸発器EPでの二次冷媒の気化に伴う冷却室28の冷却により熱交換部HEを流通する二次冷媒が冷却されて液化しないようになっている。ここで、断熱材110としては特に限定されるものではなく、ポリウレタン発泡体など従来公知の断熱素材を採用することができる。
【0033】
ここで、熱交換部HEの二重管部100について、より詳細に説明する。
図3、
図4に示すように、二重管部100を形成する内管104は、当該内管104を流通する一次冷媒が外管102の内部において上方側に偏った位置を流通するように当該外管102の内部に配置されており、当該外管102を流通する気相二次冷媒に対して内管104が接触し易くなるよう構成してある。具体的に、この実施形態1では、
図4に示すように、内管104と外管102との間に、当該内管104の下方に位置するよう支持部材112が配置されており、当該支持部材112により内管104が外管102の内部上方に偏って位置するようにしてある。ここで、支持部材112は、金属材や合成樹脂材により形成することができ、また形状としても丸棒や角棒などの棒状に形成してもよく、円筒状や角筒状などのパイプ状に形成するようにしてもよい。この実施形態1では、支持部材112として丸棒状に形成すると共に、支持部材112の中心軸線が内管104の延在方向に向くよう取り付けられている。
【0034】
また、支持部材112は、
図4(b)に示すように、二重管部100(外管102、内管104)の延在方向に離間する複数箇所に設けられており、熱交換部HEにおいて内管104の全体が外管102の内部上方に偏って位置するよう構成してある。ここで、管路が蛇行するよう屈曲した二重管部100において、直線的に延在する管路部分に支持部材112を配置することがより好ましい。二重管部100の屈曲する部分に支持部材112が位置しないようにすることで、外管102内の二次冷媒の流通を支持部材112が阻害するのを防止することができる。また、支持部材112は、二重管部100を横断した横断面において、外管102と内管104との間の空間の専有面積が小さくなるよう形成することが好ましい。
【0035】
また、二重管部100は、内管104の外周面に支持部材112を溶接や接着などにより接合した後に、当該支持部材112を接合した内管104を外管102内に挿通し、その後に適宜に曲げ加工することで形成される。このように、支持部材112を接合した内管104を外管102内に挿通した後に曲げ加工することで、支持部材112が位置連れすることなく外管102内の所定位置に支持部材112を位置付けて、内管104を外管102の内部において上方側に偏った位置に保持することができる。
【0036】
(実施形態1の作用)
次に、本実施形態1に係る冷却装置32の作用について説明する。冷却装置32では、冷却運転を開始すると、一次回路34および二次回路44の夫々で冷媒の循環が開始される。先ず、一次回路34について説明すると、圧縮機CMおよび凝縮器ファンFMが駆動され、圧縮機CMで気相一次冷媒が圧縮されて、この一次冷媒を冷媒配管38を介して凝縮器CDに供給して、凝縮器ファンFMによる強制冷却により凝縮液化することで液相とする。液相一次冷媒は、膨張弁EVで減圧され、熱交換部HEの一次冷媒経路36において二次冷媒経路46を流通する二次冷媒から熱を奪って(吸熱)一挙に膨張気化する。このように一次回路34は、熱交換部HEにおいて、一次冷媒経路36により二次冷媒経路46を強制冷却するように機能している。そして、一次冷媒経路36で気化した気相一次冷媒は、冷媒配管38を経て圧縮機CMに帰還する強制循環サイクルを繰返す。
【0037】
前記二次回路44では、二次冷媒経路46が一次冷媒経路36により冷却されているから、二次冷媒経路46で気相二次冷媒が放熱して凝縮し、気相から液相に状態変化することで比重が増加することから、重力の作用下に二次冷媒経路46に沿って液相二次冷媒が流下する。二次回路44では、二次冷媒経路46を備える熱交換部HEの下方に蒸発器EPを配置することで、二次冷媒経路46と蒸発器EPとの間に落差を設けてある。すなわち、液相二次冷媒を、二次冷媒経路46の下部に接続した液配管48を介して、蒸発器EPへ向けて重力の作用下に自然流下させることができる。液相二次冷媒は、蒸発器EPの蒸発管52を流通する過程で該蒸発器EPの周囲雰囲気から熱を奪って気化して気相に移行する。気相二次冷媒は、ガス配管50を介して蒸発器EPから二次冷媒経路46へ還流し、二次回路44ではポンプやモータ等の動力を用いることなく、簡単な構成で二次冷媒が自然循環するサイクルが繰返される。
【0038】
前記送風ファン30により吸込口26aから冷却室28に吸引された収納室14の空気を、冷却された蒸発器EPに吹付けることで、蒸発器EPと熱交換した空気が冷気となる。そして冷気を、冷却室28から冷気吹出口26bを介して収納室14に送出することで、収納室14が冷却される。冷気は、収納室14の内部を循環して、吸込口26aを介して再び冷却室28内に戻るサイクルを反復する。
【0039】
ここで、実施形態1の冷却装置32は、一次回路34を構成する一次冷媒経路36が前記冷却室28に露出しないように当該冷却室28に前記熱交換部HEが配置されている。このため、一次冷媒経路36を流通する一次冷媒が冷却室28に漏出するのを効果的に防ぐことができ、蒸発熱や飽和圧等の冷媒としての特性に優れているブタンやプロパン等の炭化水素系(HC系)や、毒性が指摘されるアンモニアを一次冷媒に採用しつつ、冷却室28に熱交換部HEを配置することができる。
【0040】
特に、この実施形態のように、外管102と、外管102の内側に空間をあけるようにして内管104が挿通された二重管部100を熱交換部HEに備えるように構成し、内管104の内側の空間を一次冷媒が流通すると共に、外管102と内管104との間の空間を二次冷媒が流通することで、腐食等が生じて内管104に孔空き(孔食)が発生したとしても、内管104から漏出した一次冷媒を外管102の内部に留まらせることができ、冷却室28に一次冷媒が直接漏れ出すことを効果的に防ぐことができる。また、熱交換部HEにおいて冷却室28内に位置する二重管部100を断熱材110で覆うようにすることで、熱交換部HEを流通する冷媒(一次冷媒および二次冷媒)の冷却室28への漏れを抑制することができる。すなわち、より高い安全基準を満たした冷却装置32を実現することができる。
【0041】
また、二重管部100において、一次冷媒が流通する内管104を外管102の内部において上方側に偏った位置に配置するよう構成されている。このため、外管102を流通する液相二次冷媒に内管104が浸る(埋まる)のを防止して、気相二次冷媒と内管104との接触面積を拡大することができる。ここで、内管104が液相二次冷媒に浸るように位置すると、気相二次冷媒と内管104との熱交換面積が小さくなり、熱交換効率の低下を招いたり、外管102内の液相二次冷媒の流れを内管104が阻害することに繋がり、冷却能力の低下を招くことになる。これに対して、内管104を外管102の内部において上方側に偏った位置に配置することで、外管102内を流通する気相二次冷媒に内管104が接触しやすくなり、熱交換部HEでの熱交換効率を向上し得ると共に、外管102内の液相二次冷媒の流れを内管104が阻害することなく良好に液相二次冷媒を循環させることができるから、冷却能力を高めることに繋がる。
【0042】
また、内管104の下方を支持部材112で支持することで、内管104を外管102の内部において上方側に偏った位置に良好に位置付けることができる。そして、二重管部100の屈曲する部分に支持部材112が位置しないようにすることで、冷媒の流れが低下しやすい屈曲部分において支持部材112が二次冷媒の流通を妨げるのを防止しつつ、内管104を外管102の内部上方側に偏るように位置付けて熱交換効率を高めることができる。
【0043】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る冷却装置について説明する。但し、実施形態2に係る冷却装置は、実施形態1で説明した冷却装置32と基本的に同一構成であり、支持部材の形状が異なるものであるから、同一の機能を有する部材・構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0044】
実施形態2の冷却装置32の支持部材114は、
図5に示すように、当該支持部材114の上部に窪み部114aが設けられており、当該窪み部114aで内管104の下部を支持するよう構成されている。具体的には、実施形態2の支持部材114は、実施形態1の支持部材112と同様に、金属材や合成樹脂材により丸棒状に形成されると共に、当該支持部材114の上部側に、中心軸線方向に延在するようV溝状の窪み部114aが形成されており、当該窪み部114aを形成する2つの面114bが内管104の外周面に接するよう構成されている。なお、窪み部114aを形成する面114bを屈曲状に形成して、窪み部114aに対して内管104の外周面が3点以上で接するように構成しても良い。なお、この実施形態2の支持部材114の成型方法としては、押出成型や射出成形、その他従来公知の方法により成型することができる。
【0045】
(実施形態2の作用)
このように、支持部材114に設けた窪み部114aで内管104の下部を支持することで、支持部材114により内管104を安定して支えることができる。このため、支持部材114からの内管104の脱落を効果的に防止しして、内管104を外管102の内部上方側に偏った位置に安定して維持することができる。特に、窪み部114aを形成する2つの面114bが内管104の外周面に接するよう構成することで、内管104の安定性をより高めることができる。
【0046】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る冷却装置について説明する。但し、実施形態3に係る冷却装置は、実施形態1で説明した冷却装置32と基本的に同一構成であり、支持部材の形状が異なるものであるから、同一の機能を有する部材・構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
実施形態3の冷却装置32の支持部材116は、
図6に示すように、外管102の内側に繋がる流通空間116aを有するよう形成されて、当該内管104を流通する二次冷媒が当該支持部材116の流通空間116aを流通し得るよう構成されている。より具体的には、実施形態3の支持部材116は、
図6(b)に示すように、鋼線などの線材116bを網目状(メッシュ状)にするようにして形成されており、支持部材116の内側に連続した流通空間116aが形成されている。なお、支持部材116は、格子状に配置した線材などを溶接や接着などにより接合するようにしてもよく、ワイヤなどを編み込むようにして形成したものであってもよい。
【0048】
(実施形態3の作用)
このように、支持部材116の内外に繋がる流通空間116aを設けるようにすることで、外管102内を流れる二次冷媒が支持部材116の内部を流通することができるようになる。このため、外管102内に支持部材116を配置した場合でも、二次冷媒の流通領域を確保して二次冷媒を良好に流通することができる。これにより、支持部材116で二次冷媒の流通を阻害することなく内管104を外管102の内部上方側に偏るように位置付けて熱交換部HEの熱交換効率を向上することができる。
【0049】
(実施形態4)
次に、実施形態4に係る冷却装置について説明する。但し、実施形態4に係る冷却装置は、実施形態1で説明した冷却装置32と基本的に同一構成であり、支持部材の形状が異なるものであるから、同一の機能を有する部材・構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0050】
実施形態4の冷却装置32の支持部材118は、
図7(a)、(b)に示すように、線材をコイル状に巻回して形成されている。すなわち、実施形態4の支持部材118は、圧縮ばね状の形状に形成されており、当該コイル状に形成された支持部材118が、内管104の延在方向に開口方向が向くよう配置されている。このように、実施形態4の支持部材118は、実施形態3の支持部材116と同様に、外管102の内側に繋がる流通空間118aを有するよう形成されて、当該内管104を流通する二次冷媒が当該支持部材118の流通空間118aを流通し得るようになっている。
【0051】
(実施形態4の作用)
このように、線材をコイル状に巻回して支持部材118を形成することで、当該支持部材118の弾性的な変形が可能になっている。これにより、支持部材118を接合した内管104を外管102内に挿通した後に曲げ加工する際に、支持部材118が弾性的に変形することで、内管104を外管102の内部において上方側に偏った位置に支持部材118で位置付けつつ二重管部100の曲げ加工を容易に行うことができ、熱交換部HEの製造を簡略化し得る。このように、支持部材118をコイル状に形成することで、支持部材118を介在させた状態であっても二重管部100を容易に所要の形状に曲げ加工することが可能になる。
【0052】
また、支持部材118をコイル状に形成して支持部材118の内外に繋がる流通空間118aを設けるようにすることで、外管102内を流れる二次冷媒が支持部材118の内部を流通することができるようになる。このため、実施形態3と同様に、外管102内に支持部材118を配置した場合でも、二次冷媒の流通領域を確保して二次冷媒を良好に流通することができる利点がある。
【0053】
(実施形態5)
次に、実施形態5に係る冷却装置について説明する。但し、実施形態5に係る冷却装置は、実施形態1で説明した冷却装置32と基本的に同一構成であり、支持部材の形状が異なるものであるから、同一の機能を有する部材・構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0054】
実施形態5の冷却装置32の支持部材120は、実施形態4と同様に線材をコイル状に巻回して形成されて、当該コイル状に形成された支持部材120が内管104の延在方向に開口方向が向くよう配置されている。すなわち、実施形態5の支持部材120は、実施形態4の支持部材118と同様に、外管102の内側に繋がる流通空間120aを有するよう形成されて、当該内管104を流通する二次冷媒が当該支持部材120の流通空間120aを流通し得るようになっている。
【0055】
ここで、実施形態5の支持部材120は、
図8に示すように、外管102の内側に配置した状態で、横長の扁平形状に形成されている。そして、支持部材120に、上部側に窪み部120bが設けられており、当該窪み部120bで内管104の下部を支持するよう構成されている。具体的には、実施形態5の支持部材120は、横長楕円形の扁平コイル状に形成した後に、当該支持部材120の上部側を押し潰すように変形させることで窪み部120bが形成されている。
【0056】
(実施形態5の作用)
このように、線材をコイル状に巻回して支持部材120を形成することで、実施形態4と同様に当該支持部材120の弾性的な変形が可能になっている。これにより、支持部材120を接合した内管104を外管102内に挿通した後に曲げ加工する際に、支持部材120が弾性的に変形することで、曲げ加工を容易に行うことができる。このように、支持部材120をコイル状に形成することで、支持部材120を介在させた状態であっても二重管部100を容易に所要の形状に曲げ加工することが可能になる。
【0057】
また、支持部材120を横長の扁平形状に形成することで、当該支持部材120により内管104を安定性して支持することができる。更に、実施形態2と同様に、支持部材120に設けた窪み部120bで内管104の下部を支持することで、支持部材120により内管104を安定して支えることができる。このため、支持部材120からの内管104の脱落を効果的に防止しして、内管104を外管102の内部上方側に偏った位置に安定して維持することができる。
【0058】
更に、支持部材120をコイル状に形成して支持部材118の内外に繋がる流通空間120aを設けるようにすることで、外管102内を流れる二次冷媒が支持部材118の内部を流通することができるようになる。このため、実施形態4と同様に、外管102内に支持部材120を配置した場合でも、二次冷媒の流通領域を確保して二次冷媒を良好に流通することができる利点がある。
【0059】
(実施形態6)
次に、実施形態6に係る冷却装置について説明する。ここで、実施形態1~5に係る冷却装置は、内管104の下方に位置するよう支持部材112,114,116,118を配置して、当該支持部材112,114,116,118により内管104が外管102の内部上方に偏って位置するよう構成したが、この実施形態6では、内管124の形状により、支持部材112,114,116,118を設けることなく内管124内を流通する一次冷媒が外管102の内部において上方側に偏った位置を流通するよう構成されたものである。なお、実施形態6に係る冷却装置では、内管の形状を除き実施形態1で説明した冷却装置32と基本的に同一構成であり、同一の機能を有する部材・構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0060】
実施形態6の二重管部100の内管124は、
図9(a)、(b)に示すように、一次冷媒が流通する管本体部126と、当該管本体部126から下方へ突出するよう設けられた突出部128とを備えている。そして、内管124を外管102に挿通した状態で、内管124の突出部128が外管102の内面に接触して、当該突出部128により管本体部126が外管102の内部において上方側に偏って位置するようになっている。ここで、この内管124は、押出成型などの従来公知の成型方法により成型することができる。また、突出部128の内側に空間が形成されるようにして、当該突出部128の内側を一次冷媒が流通するようにしてもよいが、一次冷媒の大部分が管本体部126を流通するよう突出部128の内側の空間をできる限り狭小にすることが好ましい。また、管本体部126から突出する突出部128の形成数としては、特に限定されるものではなく、
図9(a)のように突出部128を1つ備えるようにしてもよく、また
図9(b)のように突出部128を複数備えるようにしてもよい。
【0061】
(実施形態6の作用)
このように、内管124に設けた突出部128を設けるようにすることで、内管124において主に一次冷媒が流通する管本体部126を外管102の内部において上方側に偏った位置に良好に位置付けることができる。これにより、実施形態1等と同様に、外管102内を流通する気相二次冷媒に内管104の管本体部126が接触しやすくなり、熱交換部HEでの熱交換効率を向上し得ると共に、外管102内の液相二次冷媒の流れを内管124が阻害することなく良好に液相二次冷媒を循環させることができるから、冷却能力を高めることに繋がる。また、実施形態1~5のように支持部材112,114,116,118を設けることなく内管124内を流通する一次冷媒が外管102の内部において上方側に偏った位置を流通させることができるから、部材点数や加工工数の削減によるコストの低減を図り得る。
【0062】
(変更例)
本発明に係る冷却装置としては、前述した実施形態に示すものに限られるものではなく、種々の変更が可能である。
【0063】
(1) 冷却室28に位置する熱交換部HEの二重管部100を断熱材110で覆うようにしたが、当該断熱材110を省略するようにしてもよい。
(2) 外管としては、断面円形の情勢に限られるものではなく、例えば
図10に示すように、外管102の断面が縦長の楕円形状に形成するようにしてもよい。外管102の断面を縦長の楕円形状にすることで、内側に挿通した内管104の幅方向の移動を規制することができるから、内管104が支持部材112(114,116,118)から脱落するのを効果的防止し得ると共に、外管102内の上方側に内管104が偏って位置することで、液相二次冷媒が流通する空間(内管104の下方の空間)をより広く確保することができる。なお、外管102の断面形状としては、縦長の楕円形状に限らず、縦長の矩形状などにすることもできる。
(3) 冷却装置32を冷蔵庫10に採用する場合を例にして説明したが、冷凍庫、冷凍・冷蔵庫、ショーケースおよびプレハブ庫等の所謂貯蔵庫、その他空調機器等にも適用可能である。
(4) 一次回路34の減圧手段として膨張弁EVを用いたが、キャピラリーチューブやその他の手段を採用することができる。
【符号の説明】
【0064】
20 機械室(開放空間),28 冷却室(冷却空間)34 一次回路,36 一次冷媒経路, 44 二次回路,102 外管(二次冷媒経路を形成する配管)
104 内管(一次冷媒経路を構成する配管),114,116,118,120 支持部材
124 内管(一次冷媒経路を構成する配管),126 管本体部,128 突出部