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特開2024-131188頭蓋形状測定システム、情報処理装置、プログラム、及び、頭蓋形状測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131188
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】頭蓋形状測定システム、情報処理装置、プログラム、及び、頭蓋形状測定方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/107 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A61B5/107 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041295
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】521407050
【氏名又は名称】株式会社Berry
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】中野 裕士
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB02
4C038VB36
4C038VC05
(57)【要約】
【課題】容易に頭蓋の変形度合を計算することが出来る頭蓋形状測定システムを提供すること。
【解決手段】頭蓋形状測定システム100は、頭部3の上方からの頭部画像20を撮影するカメラ161を有する端末装置1aと、演算サーバ1bとを備え、演算サーバ1bは、頭部画像20を受け付ける画像受付部105と、頭部画像20から頭蓋3aの輪郭21を抽出する頭蓋輪郭抽出部106と、を有し、端末装置1aは、更に、頭部3と頭蓋3aの輪郭21とを表示する表示制御部102と、輪郭21の修正を受け付ける輪郭修正受付部103と、修正された輪郭21における複数の人体の基準部位4の位置を設定する基準部位設定部104と、を有し、演算サーバ1bは、更に、輪郭21と基準部位4の位置とに基づいて頭蓋3aの変形度合いを計算する変形度合計算部108を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部の上方からの頭部画像を撮影するカメラを有する端末装置と、演算サーバとを備え、
前記演算サーバは、
前記頭部画像を受け付ける画像受付部と、
前記頭部画像から頭蓋の輪郭を抽出する頭蓋輪郭抽出部と、
を有し、
前記端末装置は、更に、
前記頭部と前記頭蓋の前記輪郭とを表示する表示制御部と、
前記輪郭の修正を受け付ける輪郭修正受付部と、
修正された前記輪郭における複数の人体の基準部位の位置を設定する基準部位設定部と、
を有し、
前記演算サーバは、更に、
前記輪郭と前記基準部位の位置とに基づいて前記頭蓋の変形度合いを計算する変形度合計算部を有する、
頭蓋形状測定システム。
【請求項2】
前記演算サーバは、
前記輪郭に基づいて前記頭蓋の前記輪郭の中心点である頭蓋中心を導出する頭蓋中心導出部を更に有する、
請求項1に記載の頭蓋形状測定システム。
【請求項3】
前記頭蓋中心導出部は、前記輪郭に外接する長方形を導出し、その中心点を前記頭蓋中心として導出する、
請求項2に記載の頭蓋形状測定システム。
【請求項4】
前記輪郭修正受付部は、前記頭蓋中心から放射状に延びる線である放射状基準線と前記輪郭との交点を導出し、前記交点の修正を受け付ける、
請求項2又は請求項3に記載の頭蓋形状測定システム。
【請求項5】
前記輪郭修正受付部は、前記放射状に延びる線である放射状基準線の上で前記交点を移動させることによる前記交点の修正を受け付ける、
請求項4に記載の頭蓋形状測定システム。
【請求項6】
前記頭蓋中心から放射状に延びる線である放射状基準線は、等角度間隔で延びている、
請求項4に記載の頭蓋形状測定システム。
【請求項7】
前記基準部位は、鼻と一対の耳とを含む、
請求項2又は請求項3に記載の頭蓋形状測定システム。
【請求項8】
前記基準部位設定部は、前記頭部画像の所定方向を顔の正面方向と設定し、前記頭蓋中心から前記頭部画像の前記所定方向に伸ばした線分と前記輪郭との交点を前記鼻の位置として仮に設定し、前記頭蓋中心から前記頭部画像の前記所定方向と交差する方向に延ばした線分と前記輪郭との交点を前記耳の位置と仮に設定する、
請求項7に記載の頭蓋形状測定システム。
【請求項9】
前記基準部位設定部は、仮に設定された前記耳と前記鼻との位置の修正を受け付けて、前記耳と前記鼻との位置を設定する、
請求項8に記載の頭蓋形状測定システム。
【請求項10】
前記複数の人体の前記基準部位の位置は、前記輪郭の線上で修正される、
請求項1又は請求項2に記載の頭蓋形状測定システム。
【請求項11】
前記変形度合計算部は、前記頭蓋中心と前記鼻の位置とを結ぶ線から所定の角度傾いた一対の第1の斜線と第2の斜線とのそれぞれの前記輪郭との交点を算出し、前記第1の斜線の前記輪郭内の長さと前記第2の斜線の前記輪郭内の長さに基づいて、前記頭蓋の変形度合いを計算する、
請求項7に記載の頭蓋形状測定システム。
【請求項12】
前記所定の角度は、30度である、
請求項11に記載の頭蓋形状測定システム。
【請求項13】
前記変形度合計算部は、前記第1の斜線の前記輪郭内の長さと前記第2の斜線の前記輪郭内の長さとの差に基づいて、前記頭蓋の変形度合いを計算する、
請求項11に記載の頭蓋形状測定システム。
【請求項14】
前記変形度合計算部は、前記第1の斜線の前記輪郭内の長さと前記第2の斜線の前記輪郭内の長さとの差と、前記第1の斜線の前記輪郭内の長さと、の比に基づいて、前記頭蓋の変形度合いを計算する、
請求項11に記載の頭蓋形状測定システム。
【請求項15】
前記頭部画像、前記頭蓋の前記輪郭、前記基準部位の位置、前記頭蓋の変形度合等の各データを送受信するデータ送受信部と、
前記各データを記憶する記憶部と、を有する、
記憶サーバを備える、
請求項1又は請求項2に記載の頭蓋形状測定システム。
【請求項16】
更に、データ送受信用情報処理装置を有し、
前記データ送受信用情報処理装置は、前記端末装置と前記演算サーバとの間におけるデータの送受信を司る、
請求項1に記載の頭蓋形状測定システム。
【請求項17】
頭部の上方からの頭部画像を撮影するカメラと情報処理装置とを備え、
前記情報処理装置は、
前記頭部画像を受け付ける画像受付部と、
前記頭部画像から頭蓋の輪郭を抽出する頭蓋輪郭抽出部と
前記頭蓋と前記頭蓋の前記輪郭とを表示する表示制御部と、
前記輪郭の修正を受け付ける輪郭修正受付部と、
修正された前記輪郭における複数の人体の基準部位の位置を設定する基準部位設定部と、
前記輪郭と前記基準部位の位置とに基づいて前記頭蓋の変形度合いを計算する変形度合計算部と、
を有する頭蓋形状測定システム。
【請求項18】
頭部の上方から撮影された頭部画像を受け付ける画像受付部と、
前記頭部画像から頭蓋の輪郭を抽出する頭蓋輪郭抽出部と
前記輪郭の修正を受け付ける輪郭修正受付部と、
修正された前記輪郭における複数の人体の基準部位の位置を設定する基準部位設定部と、
前記輪郭と前記基準部位の位置とに基づいて前記頭蓋の変形度合いを計算する変形度合計算部と、
を有する情報処理装置。
【請求項19】
コンピュータに、
頭部の上方から撮影された頭部画像を受け付ける画像受付機能と、
前記頭部画像から頭蓋の輪郭を抽出する頭蓋輪郭抽出機能と
前記輪郭の修正を受け付ける修正受付機能と、
修正された前記輪郭における複数の人体の基準部位の位置を設定する基準部位設定機能と、
前記輪郭と前記基準部位の位置とに基づいて前記頭蓋の変形度合いを計算する変形度合計算機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項20】
頭部の上方から撮影された頭部画像を受け付ける画像受付ステップと、
前記頭部画像から頭蓋の輪郭を抽出する頭蓋輪郭抽出ステップと
前記輪郭の修正を受け付ける修正受付ステップと、
修正された前記輪郭における複数の人体の基準部位の位置を設定する基準部位設定ステップと、
前記輪郭と前記基準部位の位置とに基づいて前記頭蓋の変形度合いを計算する変形度合計算ステップと、
を有する頭蓋形状測定方法。
【請求項21】
頭部の上方からの頭部画像を撮影するカメラと表示制御部と情報処理部とを備え、
前記情報処理部は、
前記頭部画像を受け付ける画像受付部と、
前記頭部画像から頭蓋の輪郭を抽出する頭蓋輪郭抽出部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記頭蓋と前記頭蓋の前記輪郭とを表示し、
更に、前記情報処理部は、
前記輪郭の修正を受け付ける輪郭修正受付部と、
修正された前記輪郭における複数の人体の基準部位の位置を設定する基準部位設定部と、
前記輪郭と前記基準部位の位置とに基づいて前記頭蓋の変形度合いを計算する変形度合計算部と、
を有する端末装置。
【請求項22】
頭部の上方からの頭部画像を受け付ける画像受付部と、
前記頭部画像から頭蓋の輪郭を抽出する頭蓋輪郭抽出部と、
前記輪郭の修正を受け付ける輪郭修正受付部と、
修正された前記輪郭における複数の人体の基準部位の位置を設定する基準部位設定部と、
前記輪郭と前記基準部位の位置とに基づいて前記頭蓋の変形度合いを計算する変形度合計算部と、を有する、
演算サーバ。
【請求項23】
請求項1に記載の頭蓋形状測定システムにおける端末装置。
【請求項24】
請求項1に記載の頭蓋形状測定システムにおける演算サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭蓋形状測定システム、情報処理装置、プログラム、及び、頭蓋形状測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乳児や幼児に、斜頭或いは絶壁頭等の治療を要する頭蓋変形が生じる場合がある。斜頭は、頭蓋が左右対称形状ではなく片側に傾斜している変形形状である。絶壁頭は、短頭と呼ばれることがあり、頭蓋の前後方向寸法が著しく短い変形形状である。このような頭蓋変形を治療する装具として、頭部に被ることにより、頭蓋の成長に伴って頭蓋の形状が矯正されるように変形を促す頭蓋形状矯正ヘルメットがある。特許文献1には、頭蓋形状矯正ヘルメットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-169510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
頭蓋変形の治療の必要性についての判断のため、或いは、判断頭蓋形状矯正ヘルメットの作成に先立ち、頭蓋のゆがみを測定することが必要となる。頭部をレーザ等を用いて3次元スキャンすることなど既存の技術の適用が考えられる。しかしながら、3Dスキャンの専用装置が必要であり、又、乳児の頭部を長時間固定する必要がある。
【0005】
本発明は、容易に頭蓋の変形度合を計算することが出来る頭蓋形状測定システム、情報処理装置、プログラム、頭蓋形状測定方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
頭蓋形状測定システムは、頭部の上方からの頭部画像を撮影するカメラを有する端末装置と、演算サーバとを備え、演算サーバは、頭部画像を受け付ける画像受付部と、頭部画像から頭蓋の輪郭を抽出する頭蓋輪郭抽出部と、を有し、端末装置は、更に、頭部と頭蓋の輪郭とを表示する表示制御部と、輪郭の修正を受け付ける輪郭修正受付部と、修正された輪郭における複数の人体の基準部位の位置を設定する基準部位設定部と、を有し、演算サーバは、更に、輪郭と基準部位の位置とに基づいて頭蓋の変形度合いを計算する変形度合計算部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、容易に頭蓋の変形度合を計算することが出来る頭蓋形状測定システム、情報処理装置、プログラム、頭蓋形状測定方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る頭蓋形状測定システムを示す模式図である。
図2】本発明に係る端末及びサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本発明に係る端末の機能的構成を示すブロック図である。
図4】本発明に係る演算サーバの機能的構成を示すブロック図である。
図5】本発明に係る記憶サーバの機能的構成を示すブロック図である。
図6】本発明に係る頭蓋形状測定システムの処理を示すフローチャートである。
図7】本発明に係る端末により撮影された頭部の写真を示す図である。
図8】本発明に係る演算サーバにより生成される輪郭形状の頭部画像データを示す図である。
図9】本発明に係る演算サーバにより生成される輪郭の線データの頭部画像データを示す図である。
図10】本発明に係る演算サーバにより滑らかに調整された輪郭の線データの頭部画像データを示す図である。
図11】本発明係る演算サーバにより導出されるバウンディングボックスの作成例の頭部画像データを示す図である。
図12】本発明係る演算サーバにより導出される放射状基準線、及び端末を通しての輪郭線の修正過程の頭部画像データを示す図である。
図13】本発明係る端末による輪郭線の修正済状態の頭部画像データを示す図である。
図14】本発明に係る端末により測定基準点が設定された状態の頭部画像データを示す図である。
図15】本発明に係る演算サーバにより頭蓋形状を測定する幾何学的構成を示す図である。
図16】本発明に係る演算サーバにより測定された頭蓋形状の測定結果の頭部画像表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る頭蓋形状測定システム100、情報処理装置1、プログラム及び頭蓋形状測定方法について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付す。同一構成要素にて第1の構成要素、第2の構成要素のように区別する場合には、符号にa、b等が付加される。
【0010】
図1は、本発明に係る頭蓋形状測定システム100の模式図である。頭蓋形状測定システム100は、情報処理装置1として、端末装置1a、演算サーバ1b、記憶サーバ1cを備える。端末装置1aは例えばスマートフォンである。端末装置1aは撮影制御部101により制御されるカメラ161を有する。端末装置1aは、本体160と表示装置162とタッチパネル163とを有する。端末装置1aにより、被験者2の頭部3が撮影される。撮影された後述する頭部画像20が演算サーバ1bに送信される。詳細は後述するが、演算サーバ1bは、頭部画像20に基づいて、被験者2の頭部3を構成する頭蓋3aの形状を測定する。表示装置162は、演算サーバ1bから受信するデータ等の画像を表示する。タッチパネル163を通して、データの補正等が行われる。記憶サーバ1cは、演算サーバ1bにより測定された頭蓋3aの形状の測定結果を記憶する。記憶サーバ1cは、被験者2のデータを蓄積する。記憶サーバ1cに記憶されているデータに基づいて、時間とともに頭蓋3aの形状がどのように変化したかが検証され得る。
【0011】
図2は情報処理装置1のハードウェア構成を示す。端末装置1a、演算サーバ1b、記憶サーバ1cのそれぞれが、図2に示されるようなハードウェア構成を備えていてもよい。図2に示すように、情報処理装置1は、制御部10と、入出力部16と、通信手段17と、記憶部18と、を備える。制御部10は、プロセッサ11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インタフェース15とを有する。情報処理装置1は、スマートフォン或いはタブレット端末であってもよいし、各種のプログラムをインストールすることで各種の機能を実行することが可能な汎用のパーソナルコンピュータであってもよいし、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
【0012】
プロセッサ11は、各種演算及び処理を行う。プロセッサ11は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、SoC(system on a chip)、DSP(digital signal processor)、GPU(graphics processing unit)、ASIC(application specific integrated circuit)、PLD(programmable logic device)又はFPGA(field-programmable gate array)等である。或いは、プロセッサ11は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。又、プロセッサ11は、これらにハードウェアアクセラレーター等を組み合わせたものであってもよい。
【0013】
プロセッサ11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。プロセッサ11は、ROM12に記録されているプログラム又はRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。プログラムの一部又は全部は、プロセッサ11の回路内に組み込まれていてもよい。
【0014】
バス14は入出力インタフェース15にも接続される。入出力インタフェース15には、入出力部16と、通信手段17と、記憶部18と、が接続されている。
【0015】
入出力部16は、有線又は無線により電気的に入出力インタフェース15に接続される。入出力部16は例えばキーボード及びマウス等の入力部と画像を表示するディスプレイ及び音声を拡声するスピーカ等の出力部とによって構成される。なお、入出力部16はタッチパネルのように表示機能と入力機能が一体的な構成であってもよい。
【0016】
通信手段17は、他の情報処理装置1とデータ通信を行うための装置である。記憶部18は、詳細について後述するが、頭蓋形状測定システム100を制御するプログラム、頭蓋3aのデータを解析するプログラム、頭部3の頭部画像20、頭蓋3aの測定データ等を記憶する、例えばハードディスクドライブ(HDD)、半導体ドライブ(SSD)等の記憶装置である。
【0017】
図2に示したハードウェア構成は、あくまで一例であり、特にこの構成に限定されるわけではない。シングルプロセッサ、マルチプロセッサ及びマルチコアプロセッサ等の各種処理装置単体によって構成されるものの他、これら各種処理装置と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の処理回路とが組み合わせられたものを、プロセッサとしての機能的構成を実現するものとして採用してもよい。情報処理装置1が記憶部18を有するのではなく、記憶部18が別途設けられる構成が採用されてもよい。
【0018】
図1に示す端末装置1aは、入出力部16として、カメラ161と表示装置162とタッチパネル163とを有する。端末装置1aは例えばスマートフォンである。カメラ161は、例えば解像度200万画素のCCD撮像装置である。図1に示すように、カメラ161により被験者2の頭部3が頭部3の上方から撮影される。表示装置162は、例えば200万画素を有する液晶表示装置である。表示装置162は、カメラ161により撮影された後述する頭部画像20、及び/又はプログラムによる表示画像を表示する。タッチパネル163は、表示装置162の上に配置される。表示装置162に表示される画像に基づいて、タッチパネル163を通して、データを形成及び又は修正することが出来る。
【0019】
図3は、本実施形態に係る端末装置1aの機能的構成を示すブロック図である。図3に示す各機能は、図2に示す情報処理装置1の有するプロセッサ11等により実現される。端末装置1aは、撮影制御部101と、表示制御部102と、輪郭修正受付部103と、基準部位設定部104とを有する。
【0020】
撮影制御部101は、カメラ161を制御し、被験者2の頭部3の上方からの頭部画像20を撮影する。表示制御部102は、表示装置162を制御し、撮影制御部101により撮影された頭部画像20を表示する。更に、後述する演算サーバ1bにより演算された結果に基づく画像、例えば頭部3と頭蓋3aの輪郭21と、を表示する。輪郭修正受付部103は、頭部3の頭部画像20に基づいて作成された頭蓋3aの輪郭21に対する、タッチパネル163を通しての修正を受け付ける。基準部位設定部104は、頭部3についての、修正された輪郭21における複数の人体の基準部位4の位置を設定する。基準部位4は例えば、鼻5と耳6とである。詳細は後述するが、例えば、鼻5に基づく基準点50及び耳6に基づく基準点60などが設定される。
【0021】
図4は、本実施形態に係る演算サーバ1bの機能的構成を示すブロック図である。図4に示す各機能は、図2に示す情報処理装置1の有するプロセッサ11等により実現される。演算サーバ1bは、画像受付部105と頭蓋輪郭抽出部106と頭蓋中心導出部107と変形度合計算部108とを備える。画像受付部105は、端末装置1aの撮影制御部101が撮影した頭部画像20を受け付ける。頭蓋輪郭抽出部106は、頭部画像20から頭蓋3aの輪郭21を抽出する。頭蓋中心導出部107は、輪郭21に基づいて、頭蓋3aの輪郭21の中心点である頭蓋中心23を導出する。変形度合計算部108は、輪郭21と基準部位4の位置とに基づいて、頭蓋3aの変形度合いを計算する。
【0022】
図5は、本実施形態に係る記憶サーバ1cの機能的構成を示すブロック図である。図5に示す各機能は、図2に示す情報処理装置1の有するプロセッサ11等により実現される。記憶サーバ1cは、データ送受部109と記憶部18cとを有する。データ送受信部は、頭部画像20、頭蓋3aの輪郭21、基準部位4の位置、頭蓋3aの変形度合等の各データを、端末装置1a及び又は演算サーバ1bと送受信する。記憶部18cは、上記各データを記憶する。
【0023】
以下、頭蓋形状測定システム100の行う処理について、図6のフローチャート、及び図7から図16を参照して説明する。図7は、端末装置1aにより撮影された頭部3の写真を示す図である。図8は、演算サーバ1bにより生成される輪郭21の頭部画像データを示す図である。図9は、演算サーバ1bにより生成される輪郭21の線データの頭部画像データを示す図である。図10は、演算サーバ1bにより滑らかに調整された輪郭21の線データの頭部画像データを示す図である。図11は、演算サーバ1bにより導出されるバウンディングボックス22の作成例の頭部画像データを示す図である。図12は、演算サーバ1bにより導出される放射状基準線26、及び端末装置1aを通しての輪郭21を表す線の修正過程の頭部画像データを示す図である。図13は、端末装置1aによる輪郭21を表す線の修正済状態の頭部画像データを示す図である。図14は、端末装置1aにより測定基準点40が設定された状態の頭部画像20を示す図である。図15は、演算サーバ1bにより頭蓋形状を測定する幾何学的構成を示す図である。図16は、演算サーバ1bにより測定された頭蓋形状の測定結果の頭部画像表示例を示す図である。
【0024】
図1及び図6に示すように、システムのユーザにより被験者2の頭部3の写真が上方から撮影される(ステップS101)。図7は撮影された頭部画像20の例を示す。乳幼児のため多毛ではなく薄いが、髪の毛が頭蓋3aとともに同時に撮影されている。頭部画像20が頭蓋形状測定システム100の演算サーバ1bにアップロードされる。演算サーバ1bの画像受付部105が頭部画像20を受け付ける(ステップS102)。画像受付部105は、輪郭21が分かる程度に頭部画像20を圧縮する(ステップS103)。ファイルサイズが抑えられ、後ステップにおける計算処理の時間が抑えられ得る。ステップS101からステップS103において、頭部画像20が読み込まれる。
【0025】
次に、頭蓋輪郭抽出部106は、上記頭部画像20から頭部3を構成する頭蓋3aの輪郭21を抽出する。この抽出は、人工知能により自動的に行われる(ステップS104)。図8に示すように、まず、頭蓋3aの範囲を示す頭部画像データが生成される。次に、頭蓋輪郭抽出部106は、輪郭21を線データに変換する(図9)。更に、頭蓋輪郭抽出部106は、図10に示すように、輪郭21を示す線の凸凹を自動補正する(ステップS105)。輪郭21は滑らかなスムージング済輪郭21aに変換される。
【0026】
次に、頭蓋中心導出部107は、頭蓋3aのスムージング済輪郭21aの閉じた線分に外接する長方形(バウンディングボックス22)を図11に示すように導出する。更に、頭蓋中心導出部107は、当該バウンディングボックス22の中心を導出する。バウンディングボックス22の中心は頭蓋3aの中心である頭蓋中心23として導出される。次に、輪郭修正受付部103は、図12に示すように頭蓋中心23から放射状に延びる線である放射状基準線26を作成し、輪郭21との交点を導出する(ステップS106)。ここで、頭蓋中心23から放射状に延びる線である放射状基準線26は、等角度間隔で延びている。図12においては、左右基準線24及び/又は上下基準線25に基づいて、放射状基準線26が30度間隔で設定されている。本実施形態においては、12本の放射状基準線26が設定されている。但し、放射状基準線26の本数は、これに限らない。放射状基準線26の本数は、8本以上が好ましく、より好ましくは12本以上である。ステップS104からステップS106の工程は、輪郭21及び放射状基準線26等を自動的に抽出する工程である。
【0027】
次に、輪郭修正受付部103は、図12に示すように、頭部画像20と放射状基準線26と放射状基準線26と輪郭21との交点27を図1に示す端末装置1aの表示装置162に表示制御部102を通して表示する。交点27は複数存在し、図12においては、27a、27b、27cのように記載している。
【0028】
被験者2は乳幼児であるので、多毛ではなく薄いが、一般的に毛髪を有する。このため、頭蓋輪郭抽出部106が毛髪の形状に基づいて、誤った輪郭21を抽出する可能性がある。
【0029】
輪郭修正受付部103は、交点27の移動による輪郭21の修正を受け付ける(ステップS107)。頭蓋形状測定システム100の利用者は、手動にて、端末装置1aの有するタッチパネル163を用いて交点27を修正する。交点27は、頭蓋中心23から放射状に延びる線である放射状基準線26の上を移動させられる。図12においては、例えば交点27bが放射状基準線26bの上で移動させられている。図13は、修正が行われた後の様子を示す。
【0030】
次に、基準部位設定部104は、図13に示すように、基準部位4を設定する。基準部位4は、例えば、鼻5と一対の耳6とを含む。基準部位設定部104は、頭部画像20の所定方向を顔の正面方向と設定する。基準部位設定部104は、頭蓋中心23から頭部画像20の所定方向に伸ばした線分と輪郭21との交点27を鼻5の位置として仮に設定する。基準部位設定部104は、頭蓋中心23から頭部画像20の所定方向と交差する方向に延ばした線分と輪郭21との交点を耳6の位置と仮に設定する。基準部位設定部104は、仮に設定された耳6と鼻5との位置に対するユーザによる手動の修正を受け付ける。基準部位設定部104は、耳6と鼻5との位置を設定する(ステップS108)。基準部位4の位置は、スムージング済輪郭21aの線上で修正される。図14に示すように、修正された鼻5の位置が鼻に基づく基準点50として設定される。修正された一対の耳6の位置が耳に基づく基準点60として、一対の60a及び60bが設定される。なお、本実施形態においては、複数の基準部位4の位置は、それぞれ個別に修正可能となっている。
【0031】
ステップS107からステップS108を通して、輪郭21の形状及び基準部位4の位置が手動補正される。
【0032】
輪郭21と測定基準点40との補正が完了していない場合には(ステップS109:NO)、ステップS107に戻り、補正を継続する。補正が完了している場合には(ステップS109:YES)、次のステップS110に進む。手動補正が完了した輪郭21を手動補正済輪郭21bと称する。
【0033】
図15に示すように、変形度合計算部108は、鼻5の位置である鼻に基づく基準点50と頭蓋中心23とを結び、後頭部側の手動補正済輪郭21bまで延びる直線である鼻中心線Lnから所定の角度θ1傾いた一対の第1の斜線OL1と第2の斜線OL2とを作図する。所定の角度は、例えば30度である。変形度合計算部108は、第1の斜線OL1及び第2の斜線OL2と手動補正済輪郭21bの交点をそれぞれ算出する。変形度合計算部108は、第1の斜線OL1の手動補正済輪郭21bの内側の長さL1を求める。変形度合計算部108は、第2の斜線OL2の手動補正済輪郭21b内の長さL2を求める。変形度合計算部108は、L1とL2との差に基づいて、頭蓋3aの変形度合いを計算する。
【0034】
変形度合計算部108の用いる指標は、

CA : Cranial Asymmetry(mm)
=|L1-L2|

と一般的に称されている。
【0035】
変形度合計算部108は、L1とさL2との差と、L1と、の比に基づいて、頭蓋3aの変形度合いを計算する。L1がL2より大きくなるように選定する。この指標は、

ゆがみ度 CVAI
: Cranial Vault Asymmetry Index(%)
=(L1-L2)/L2 × 100

と一般的に称されている。
【0036】
更に、変形度合計算部108は、図15に示すように、鼻5の位置である鼻に基づく基準点50と頭蓋中心23とを結び後頭部側の手動補正済輪郭21bまで伸びる直線である鼻中心線Lnと、基準点60aと60bとを結ぶ線分の中点を通りLnに直交する直線と手動補正済輪郭21bとの交点を結んだ線分Leと、の比を算出する。この指標は、

絶壁度CI : Cephalic Index(%)
=Le/Ln × 100

と一般的に称されている。
【0037】
図16は、変形度合計算部108の計算結果が端末装置1aの表示装置162に表示された例を示す。上記のゆがみ度CVAIが3.8%とほぼ正常、絶壁度CIが98.9%で中等症に当たることが表示されている。
【0038】
上記においては、端末装置1aと演算サーバ1bと記憶サーバ1cとが頭蓋形状測定システム100を構成している。これらは、それぞれが個別に提供されてもよい。又、全ての機能を一つに集約してもよい。又、何れか二つの機能が一つに集約されてもよい。又、それぞれの機能の一部が独立させられ情報処理装置1とされてもよい。コンピュータに各機能を実現させるプログラムが独立して提供されてもよい。又、頭蓋形状を測定する方法が独立して提供されてもよい。上記においては、端末装置1aにタッチパネル163が備えられている形で説明されている。タッチパネル163が備えられておらず、マウス等のポインティングデバイスにより表示装置162を通して操作が行われてもよい。
【0039】
端末装置1aは、図3に示すように、撮影制御部101、表示制御部102、輪郭修正受付部103、基準部位設定部104等の機能部を有する。これらの各機能部が独立して提供されてもよい。
【0040】
例えば、カメラ161は、端末装置の一部としての独立したカメラにより実現されてもよい。カメラ161により撮影された頭部画像20が、近距離通信或いはメモリーカード等を通して端末装置1aにもたらされてもよい。
【0041】
例えば、表示装置162は、端末装置の一部としての独立したモニターにより実現されてもよい。例えば、タッチパネル163は、端末装置の一部としての独立したタッチパネルにより実現されてもよい。
【0042】
例えば、端末装置1aはスマートフォンである。一般的にスマートフォンはカメラ161と表示装置162と情報処理機能とを有している。但し、端末装置1aは、複数の端末装置1aにより構成されていてもよい。例えば、端末装置1aは、第1の端末装置としてのスマートフォンと、第2の端末装置としての例えばパーソナルコンピュータ(PC)等のコンピュータとにより構成されていてもよい。この場合、例えば、第1の端末装置がカメラ161および撮影制御部101等の機能部を有し、第2の端末装置が表示制御部102、輪郭修正受付部103、基準部位設定部104等の機能部を有していてもよい。第1の端末装置により撮影された頭部画像20が、近距離通信或いはメモリーカード等を通して第2の端末装置にもたらされてもよい。なお、いずれの端末装置にいずれの機能部を持たせるかは任意である。
【0043】
本実施形態の頭蓋形状測定システムは、更に、データ送受信用情報処理装置としてのパーソナルコンピュータ(PC)等のコンピュータを有していてもよい。データ送受信用情報処理装置は、端末装置1aと演算サーバ1bとの間におけるデータの送受信を司る。これにより、端末装置1aから演算サーバ1bへの直接の通信手段がないような場合にも、データ送受信用情報処理装置を介してデータの送受信が可能となる。例えば、端末装置1aとデータ送受信用情報処理装置との間では、近距離データ通信を通してデータの送受信が行われる。他の例として、端末装置1aとデータ送受信用情報処理装置との間では、メモリーカード等を通してデータの送受が行われる。データ送受信用情報処理装置と演算サーバ1bとの間では、例えば、インターネット或いはイントラネット等を通してデータの送受信が行われる。
【0044】
本開示は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。又、上述した実施形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。即ち、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【0045】
以上説明した実施形態に係る接近動体検出方法によれば以下のような効果が奏される。
【0046】
(1)頭蓋形状測定システム100は、頭部3の上方からの頭部画像20を撮影するカメラ161を有する端末装置1aと、演算サーバ1bとを備え、演算サーバ1bは、頭部画像20を受け付ける画像受付部105と、頭部画像20から頭蓋3aの輪郭21を抽出する頭蓋輪郭抽出部106と、を有し、端末装置1aは、更に、頭部3と頭蓋3aの輪郭21とを表示する表示制御部102と、輪郭21の修正を受け付ける輪郭修正受付部103と、修正された輪郭21における複数の人体の基準部位4の位置を設定する基準部位設定部104と、を有し、演算サーバ1bは、更に、輪郭21と基準部位4の位置とに基づいて頭蓋3aの変形度合いを計算する変形度合計算部108を有する。
【0047】
これにより、容易に頭蓋3aの変形度合を計算することが出来る頭蓋形状測定システム100が提供される。又、3Dスキャン等の専用装置を必要とすることなく、頭部3の写真撮影に基づいて、容易に頭蓋3aの変形度合を計算することが出来る頭蓋形状測定システム100を提供することも出来る。自動的に輪郭21を抽出する機能を演算サーバ1bに持たせ、ユーザインターフェース周りの部分を端末装置1aに持たせることにより、複雑な計算を高性能コンピュータに担わせて計算時間を短くすることが出来る。又、ユーザが特別の機械ではなく身の回りの例えばスマートフォンを利用することで容易に頭蓋形状測定システム100を使用することが出来る。更に、ユーザは、タッチパネル等で容易に輪郭21の修正をすることが出来る。
【0048】
(2)(1)の頭蓋形状測定システム100において、演算サーバ1bは、輪郭21に基づいて頭蓋3aの輪郭21の中心点である頭蓋中心23を導出する頭蓋中心導出部107を更に有する。
【0049】
これにより、頭蓋3aの歪みをより適切に測定することが出来る。
【0050】
(3)(2)の頭蓋形状測定システム100において、頭蓋中心導出部107は、輪郭21に外接する長方形を導出し、その中心点を頭蓋中心23として導出する。
【0051】
これにより、頭蓋3aの中心基準点を一意に設定することが可能となり、頭蓋3aの歪みをより適切に測定することが出来る。
【0052】
(4)(2)又は(3)の頭蓋形状測定システム100において、輪郭修正受付部103は、頭蓋中心23から放射状に延びる線である放射状基準線26と輪郭21との交点を導出し、交点の修正を受け付ける。
【0053】
これにより、頭髪の影響で誤差の生じ得る輪郭21を正確な位置に設定することが出来る。
【0054】
(5)(4)の頭蓋形状測定システム100において、輪郭修正受付部103は、放射状に延びる線である放射状基準線26の上で交点を移動させることによる交点の修正を受け付ける。
【0055】
これにより修正が確実に行われ得る。放射状基準線26の上に規制され、輪郭21の修正も容易に実行することが出来る。
【0056】
(6)(4)の頭蓋形状測定システム100において、頭蓋中心23から放射状に延びる線である放射状基準線26は、等角度間隔で延びている。
【0057】
これにより、頭蓋3aの形として、入力の仕方に依存して局所的に形状が歪んでいるがごとき間違った計測を防ぐことが出来る。
【0058】
(7)(2)から(6)の何れか1つの頭蓋形状測定システム100において、基準部位4は、鼻5と一対の耳6とを含む。
【0059】
これにより、一般的に用いられている頭蓋3aの形状を評価する指標に基づいて、被験者2の頭蓋3aの形状を測定し評価することが出来る。
【0060】
(8)(7)の頭蓋形状測定システム100において、基準部位設定部104は、頭部画像20の所定方向を顔の正面方向と設定し、頭蓋中心23から頭部画像20の所定方向に伸ばした線分と輪郭21との交点を鼻5の位置として仮に設定し、頭蓋中心23から頭部画像20の所定方向と交差する方向に延ばした線分と輪郭21との交点を耳6の位置と仮に設定する。
【0061】
これにより、頭蓋形状測定システム100の利用者が、鼻5と耳6との位置を設定しなければならないことを明確に意識し得る。更に、鼻5と耳6との位置を、頭蓋形状測定システム100の利用者による微修正のみで、正確な位置に設定することが出来る。
【0062】
(9)(8)の頭蓋形状測定システム100において、基準部位設定部104は、仮に設定された耳6と鼻5との位置の修正を受け付けて、耳6と鼻5との位置を設定する。
【0063】
これにより、鼻5と耳6との位置を正確な位置に設定することが出来る。鼻5及び/又は耳6が髪の毛で判別しづらい場合においても確実に鼻5と耳6との位置を確定することが出来る。
【0064】
(10)(1)から(9)の何れか1つの頭蓋形状測定システム100において、複数の人体の基準部位4の位置は、輪郭21の線上で修正される。
【0065】
これにより、基準部位4の位置が想定外の位置に誤って配置されることを防ぐことが出来る。又、輪郭21の修正も容易に実行することが出来る。
【0066】
(11)(7)の頭蓋形状測定システム100において、変形度合計算部108は、頭蓋中心23と鼻5の位置とを結ぶ線から所定の角度傾いた一対の第1の斜線OL1と第2の斜線OL2とのそれぞれの輪郭21との交点を算出し、第1の斜線OL1の輪郭21内の長さと第2の斜線OL2の輪郭21内の長さに基づいて、頭蓋3aの変形度合いを計算する。
【0067】
これにより、頭蓋3aの左右非対称な歪みを測定評価することが出来る。
【0068】
(12)(11)の頭蓋形状測定システム100において、所定の角度は、30度である。
【0069】
これにより、一般的な指標に基づいて、頭蓋3aの形状の歪みの測定及び評価を行うことが出来る。
【0070】
(13)(11)の頭蓋形状測定システム100において、変形度合計算部108は、第1の斜線OL1の輪郭21内の長さと第2の斜線OL2の輪郭21内の長さとの差に基づいて、頭蓋3aの変形度合いを計算する。
【0071】
これにより、一般的な指標に基づいて、頭蓋3aの形状の歪みの測定及び評価を行うことが出来る。
【0072】
(14)(11)の頭蓋形状測定システム100において、変形度合計算部108は、第1の斜線OL1の輪郭21内の長さと第2の斜線OL2の輪郭21内の長さとの差と、第1の斜線OL1の輪郭21内の長さと、の比に基づいて、頭蓋3aの変形度合いを計算する。
【0073】
これにより、一般的な指標に基づいて、頭蓋3aの形状の歪みの測定及び評価を行うことが出来る。
【0074】
(15)(1)から(14)の何れか1つの頭蓋形状測定システム100は、頭部画像20、頭蓋3aの輪郭21、基準部位4の位置、頭蓋3aの変形度合等の各データを送受信するデータ送受信部と、各データを記憶する記憶部18cと、を有する、記憶サーバ1cを備える。
【0075】
記憶サーバ1cに複数或いは多数の被験者2のデータを記憶させることが出来る。端末装置1aにデータを蓄積する必要がない。記憶サーバ1cに端末装置1aからアクセスするのみで、過去の特定の被験者2の測定結果のチェックは勿論のこと、他の被験者2の測定結果との比較、全体傾向の把握、等膨大なデータを活用することが可能となる。
【0076】
(16)(1)の頭蓋形状測定システム100は、更に、データ送受信用情報処理装置を有し、データ送受信用情報処理装置は、端末装置1aと演算サーバ1bとの間におけるデータの送受信を司ってもよい。
【0077】
これにより、端末装置1aから演算サーバ1bへの直接の通信手段がないような場合にも、データ送受信用情報処理装置を介してデータの送受信が可能となる。
【0078】
(17)頭蓋形状測定システム100は、頭部3の上方からの頭部画像20を撮影するカメラ161と情報処理装置1とを備え、情報処理装置1は、頭部画像20を受け付ける画像受付部105と、頭部画像20から頭蓋3aの輪郭21を抽出する頭蓋輪郭抽出部106と頭蓋3aと頭蓋3aの輪郭21とを表示する表示制御部102と、輪郭21の修正を受け付ける輪郭修正受付部103と、修正された輪郭21における複数の人体の基準部位4の位置を設定する基準部位設定部104と、輪郭21と基準部位4の位置とに基づいて頭蓋3aの変形度合いを計算する変形度合計算部108と、を有する。
【0079】
これにより、容易に頭蓋3aの変形度合を計算することが出来る頭蓋形状測定システム100が提供される。
【0080】
(18)情報処理装置1は、頭部3の上方から撮影された頭部画像20を受け付ける画像受付部105と、頭部画像20から頭蓋3aの輪郭21を抽出する頭蓋輪郭抽出部106と輪郭21の修正を受け付ける輪郭修正受付部103と、修正された輪郭21における複数の人体の基準部位4の位置を設定する基準部位設定部104と、輪郭21と基準部位4の位置とに基づいて頭蓋3aの変形度合いを計算する変形度合計算部108と、を有する。
【0081】
これにより、情報処理装置1が、別個のカメラ161により頭部3が撮影された場合において、受け付けた頭部画像20に基づいて、頭蓋3aの変形度合いを計算することが出来る。
【0082】
(19)プログラムは、コンピュータに、頭部3の上方から撮影された頭部画像20を受け付ける画像受付機能と、頭部画像20から頭蓋3aの輪郭21を抽出する頭蓋3a形状抽出機能と輪郭21の修正を受け付ける修正受付機能と、修正された輪郭21における複数の人体の基準部位4の位置を設定する基準部位設定機能と、輪郭21と基準部位4の位置とに基づいて頭蓋3aの変形度合いを計算する変形度合計算機能と、を実現させる。
【0083】
これにより、別個のカメラ161により頭部3が撮影された場合において、情報処理装置1は、受け付けた頭部画像20に基づいて、頭蓋3aの変形度合いを計算することが出来る。
【0084】
(20)頭蓋形状測定方法は、頭部3の上方から撮影された頭部画像20を受け付ける画像受付ステップと、頭部画像20から頭蓋3aの輪郭21を抽出する頭蓋3a形状抽出ステップと輪郭21の修正を受け付ける修正受付ステップと、修正された輪郭21における複数の人体の基準部位4の位置を設定する基準部位設定ステップと、輪郭21と基準部位4の位置とに基づいて頭蓋3aの変形度合いを計算する変形度合計算ステップと、を有する。
【0085】
これにより、容易に頭蓋3aの変形度合を計算することが出来る頭蓋形状測定方法が提供される。
【0086】
(21)端末装置1aは、頭部3の上方からの頭部画像20を撮影するカメラ161と表示制御部102と情報処理部とを備え、情報処理部は、頭部画像20を受け付ける画像受付部105と、頭部画像20から頭蓋3aの輪郭21を抽出する頭蓋輪郭抽出部106と、を有し、表示制御部102は、頭蓋3aと頭蓋3aの輪郭21とを表示し、更に、情報処理部は、輪郭21の修正を受け付ける輪郭修正受付部103と、修正された輪郭21における複数の人体の基準部位4の位置を設定する基準部位設定部104と、輪郭21と基準部位4の位置とに基づいて頭蓋3aの変形度合いを計算する変形度合計算部108と、を有する。
【0087】
これにより、端末装置1a単独にて、容易に頭蓋3aの変形度合を計算することが出来る頭蓋形状の測定が可能となる。
【0088】
(22)演算サーバ1bは、頭部3の上方からの頭部画像20を受け付ける画像受付部105と、頭部画像20から頭蓋3aの輪郭21を抽出する頭蓋輪郭抽出部106と、輪郭21の修正を受け付ける輪郭修正受付部103と、修正された輪郭21における複数の人体の基準部位4の位置を設定する基準部位設定部104と、輪郭21と基準部位4の位置とに基づいて頭蓋3aの変形度合いを計算する変形度合計算部108と、を有する。
【0089】
これにより、演算サーバ1bの提供のみで、例えば、被験者2の頭部画像20が単独で提供された場合においても、頭蓋形状の測定が可能となる。
【0090】
(23)端末装置1aは、(1)の頭蓋形状測定システム100における端末装置1aである。
【0091】
これにより、演算サーバ1bの設置場所に依存せず、ユーザは端末装置1aを通して、頭蓋形状測定システム100を利用することが出来る。
【0092】
(24)演算サーバ1bは、(1)の頭蓋形状測定システム100における演算サーバ1bである。
【0093】
これにより、端末装置1aが使用される場所に依存せず、演算サーバ1bを通して頭蓋形状測定システム100の機能が提供される。
【符号の説明】
【0094】
1 情報処理装置
1a 端末装置
1b 演算サーバ
1c 記憶サーバ
2 被験者
3 頭部
3a 頭蓋
4 基準部位
5 鼻
6 耳
10 制御部
11 プロセッサ
12 ROM
13 RAM
14 バス
15 入出力インタフェース
16 入出力部
17 通信手段
18 記憶部
20 頭部画像
21 輪郭
21a スムージング済輪郭
21b 手動補正済輪郭
22 バウンディングボックス
23 頭蓋中心
24 左右基準線
25 上下基準線
26 放射状基準線26
27 放射状基準線26と輪郭との交点
28 両耳に基づく基準線
40 測定基準点
50 鼻に基づく基準点
60 耳に基づく基準点
100 頭蓋形状測定システム
101 撮影制御部
102 表示制御部
103 輪郭修正受付部
104 基準部位設定部
105 画像受付部
106 輪郭抽出部
107 頭蓋中心導出部
108 変形度合計算部
160 本体
161 カメラ
162 表示装置
163 タッチパネル
θ1 所定の角度
OL1 第1の斜線
OL2 第2の斜線
Ln 鼻中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16