(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131196
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G01S 5/14 20060101AFI20240920BHJP
G01S 13/74 20060101ALI20240920BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20240920BHJP
【FI】
G01S5/14
G01S13/74
H04W64/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041307
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】318014809
【氏名又は名称】ALES株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 定夫
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
(72)【発明者】
【氏名】井原 和法
(72)【発明者】
【氏名】高橋 友樹
(72)【発明者】
【氏名】大西 健広
(72)【発明者】
【氏名】近藤 徹
(72)【発明者】
【氏名】野村 宏利
【テーマコード(参考)】
5J062
5J070
5K067
【Fターム(参考)】
5J062CC11
5J062CC18
5J062FF01
5J070AB14
5J070AC01
5J070AC02
5J070BC05
5K067AA21
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE16
5K067EE25
(57)【要約】
【課題】測位対象装置の位置測位を行う際の測位精度を高めること。
【解決手段】情報処理システムは、測位対象装置から発せられた電波を受信した複数の無線通信端末が得た前記測位対象装置の測位に関する情報を、前記無線通信端末の位置に応じて分類されたグループごとに取得する第1の取得部と、前記第1の取得部が取得した前記情報に基づいて、前記測位対象装置の測位計算を前記グループごとに行う測位計算部と、前記測位計算部における測位計算の過程で、測位精度の指標値を前記グループごとに取得する第2の取得部と、前記測位計算部が行った前記測位計算による計算結果と、前記第2の取得部が取得した前記指標値とに基づいて、前記測位対象装置の位置座標を特定する座標特定部とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位対象装置から発せられた電波を受信した複数の無線通信端末が得た前記測位対象装置の測位に関する情報を、前記無線通信端末の位置に応じて分類されたグループごとに取得する第1の取得部と、
前記第1の取得部が取得した前記情報に基づいて、前記測位対象装置の測位計算を前記グループごとに行う測位計算部と、
前記測位計算部における測位計算の過程で、測位精度の指標値を前記グループごとに取得する第2の取得部と、
前記測位計算部が行った前記測位計算による計算結果と、前記第2の取得部が取得した前記指標値とに基づいて、前記測位対象装置の位置座標を特定する座標特定部と
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記座標特定部は、前記第2の取得部が取得した前記指標値を前記グループの間で比較し、前記比較した結果に基づいて、前記指標値のうち1の指標値に応じた位置座標を前記測位対象装置の位置座標として特定する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記座標特定部は、前記無線通信端末の位置に応じて分類されたグループの数をn、前記グループのうちk番目のグループについて取得された前記情報に基づく前記測位計算で得られた測位結果をx
k、前記測位結果x
kを得るための前記測位計算の過程で取得された前記指標値をdop
kとし、以下の式1で表される、前記測位対象装置の最も確からしい位置座標xを算出することで、前記位置座標xを前記測位対象装置の位置座標として特定する
請求項1に記載の情報処理システム。
【数1】
【請求項4】
前記座標特定部は、前記無線通信端末の位置に応じて分類されたグループの数をn、前記グループのうちk番目のグループについて取得された前記情報に基づく前記測位計算で得られた測位結果をx
k、測位結果x
kを得るための前記測位計算の過程で取得された前記指標値の成分を内包するk番目のグループの行列をD
kとし、以下の式2~式4で表される値の2乗和を最小化することで、前記k番目の測位対象装置の位置座標の確からしさを示す確率Pを最大化するよう位置座標xを算出することで、前記位置座標xを前記測位対象装置の位置座標として特定する
請求項1に記載の情報処理システム。
【数2】
【請求項5】
式2において前記確率Pが最大化される場合には、前記位置座標xと、前記行列Aと、前記行列Bとの間でx=A-1Bが成立することが条件となる
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記指標値は、精度低下率の値である
請求項1~5のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記グループそれぞれは、少なくとも3以上の無線通信端末が属するように構成される
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記グループのうち、第1グループと第2グループにおいて、同一の無線通信端末が属するように構成される
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記測位対象装置から発せられた電波はUWB(Ultra Wide Band)無線の電波である
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記測位計算部は、前記第1の取得部が取得した前記情報と、さらに前記無線通信端末の位置に関する情報とに基づき、前記測位対象装置の位置に関する測位計算を前記グループごとに行い、
前記第1の取得部が取得した前記情報は、前記測位対象装置から発せられた電波を前記無線通信端末が受信した時刻に関する情報である
請求項1に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の場所に設置される固定機と、携帯端末との間で行われるUWB信号の送受信に基づいて、携帯端末の位置情報を取得する手法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、測位対象装置の位置を測位する際に、測位精度の指標値を用いておらず、測位精度を高める点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、測位精度の指標値を用いた新たな測位手法により測位精度を高めることのできる情報処理システムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理システムは、測位対象装置から発せられた電波を受信した複数の無線通信端末が得た前記測位対象装置の測位に関する情報を、前記無線通信端末の位置に応じて分類されたグループごとに取得する第1の取得部と、前記第1の取得部が取得した前記情報に基づいて、前記測位対象装置の測位計算を前記グループごとに行う測位計算部と、前記測位計算部における測位計算の過程で、測位精度の指標値を前記グループごとに取得する第2の取得部と、前記測位計算部が行った前記測位計算による計算結果と、前記第2の取得部が取得した前記指標値とに基づいて、前記測位対象装置の位置座標を特定する座標特定部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、アンカーおよび管理装置の主要な構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る管理装置の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、屋内空間に設定されたゾーンの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、屋内空間に設置されるタグの位置関係を示す図である。
【
図6】
図6は、複数のゾーンが設定された場合における位置座標の算出結果の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、DoP値に基づく位置座標の特定手法を説明する説明図である。
【
図8】
図8は、タグの位置座標が表示された測位結果画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る情報処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、グループの定義手法のバリエーションを示す図である。
【
図11】
図11は、管理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明に係る情報処理システムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明に係る情報処理システムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0009】
<実施形態>
〔1.はじめに〕
実施形態に係る情報処理システムには、タグ(測位対象装置)と、タグの位置座標の測定に用いられる複数のアンカー(無線通信端末)とが含まれる。また、実施形態に係る情報処理システムは、タグと、複数のアンカーとの間で、見通し内環境(LOS環境)で超広帯域(UWB:Ultra Wide Band)の電波による測位信号の送受信を行い、その送受信の結果に基づき、タグの位置座標を測定するシステムである。
【0010】
実施形態に係る情報処理システムは、例えばTDoA(到達時刻差)方式のアルゴリズムを用いて、タグ等の測位対象装置の位置をリアルタイムに測位することができる。
【0011】
ここで、LOS環境の一例である屋内空間SPに存在するタグ30の位置座標が、同じく屋内空間SPに設置された複数のアンカー20を用いて測定される場面を例に、本発明で解決しようとする課題について説明する。例えば、複数のアンカー20のうち、タグ30の位置座標を測位する測位処理の基準となるアンカーから発せられた電波が届く距離(範囲)に応じて、アンカー20をグループ分けするエリア(以下、「ゾーン」と表記する場合がある)が屋内空間SPに対して仮想的に設定される場合がある。
【0012】
ゾーンは、後述する管理装置40によって設定されてよいものであるが、例えば、アンカー20の設置状況に応じた電波範囲によっては、複数のゾーンが設定される場合がある。このように、複数のゾーンが設定された場合、ある1つのタグ30から発せられた電波が複数のゾーンそれぞれに含まれるアンカーによって意図せず受信されてしまうことがあり、係る場合には、このタグ30の位置座標がゾーンごとに算出されてしまう。すなわち、1つのタグ30について、複数の位置座標が得られてしまうという問題がある。そこで、複数の位置座標のうちより精度の高い適切な位置座標を特定することが求められているが、この手法についてはこれまで検討されていない。
【0013】
本発明では、上記の問題を解決する新たな技術を提案する。具体的には、本開示では、屋内空間SPにおいて、少なくとも3以上のアンカー20が属するように構成される各グループすなわちゾーンごとにタグ30の測位計算が行われ、測位計算の過程で得られる測位精度の指標値がゾーンごとに取得される。そして、本発明では、測位計算によって得られたタグ30の位置座標と、ゾーンごとに取得された指標値とに基づいて、タグ30の正式な位置座標が特定される。
【0014】
このような本発明によれば、1つのタグ30についてゾーンごとに位置座標が得られてしまう場合でも、得られた複数の位置座標のうち、より精度の高い適切な位置座標を特定することができるといった効果を期待できる。また、本発明は、状況によらず、タグ30の位置座標を算出できるため、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【0015】
〔2.システム構成〕
ここからは、
図1を用いて、実施形態に係る情報処理システムの構成を説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
図1には、実施形態に係る情報処理システムの一例として、情報処理システムSyが示される。本発明の実施形態に係る情報処理(以下、「実施形態に係る情報処理」と略す)は、情報処理システムSyにおいて実現されてよい。
【0016】
図1に示すように、情報処理システムSyは、利用者装置10と、アンカー20と、タグ30と、管理装置40とを備えて構成されてよい。また、情報処理システムSyでは、利用者装置10と、アンカー20と、タグ30と、管理装置40とが、ネットワークNを介して、有線または無線により通信可能に接続されてよい。情報処理システムSyは、管理装置40を含めて屋内空間SPに導入されてよいが、管理装置40のみを屋内空間SPの外においてもよい。
【0017】
利用者装置10は、利用者によって利用される情報処理端末である。利用者装置10は、例えば、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等により実現される。本実施形態では、利用者装置10は、スマートフォンであるものとする。
【0018】
また、利用者装置10には、管理装置40との間での情報の送受信を実現するためのアプリケーションが予めインストールされてよい。係るアプリケーションは、管理装置40に対応する専用のアプリケーションであってもよいし、汎用的なアプリケーション(例えば、ブラウザ)であってもよい。
【0019】
アンカー20は、タグ30の位置座標の計測に用いられる無線通信端末の一例であり、例えば、屋内空間SPにおいて、NLOS(Non Line of Sight)すなわち見通し外が発生しないと想定される位置に設置されることが好ましい。
【0020】
タグ30は、測位対象装置の一例であり、屋内空間SPにおける任意の場所に設置される。例えば、タグ30は、利用者が位置情報を管理したいと考える物品に設置され得る。
【0021】
管理装置40は、実施形態に係る情報処理システムを構成する情報処理装置の一例であり、実施形態に係る情報処理を行う中心的な装置である。管理装置40は、例えば、クラウド側に存在するサーバ装置であってよい。
【0022】
具体的には、管理装置40は、タグ30から発せられた電波を受信した複数のアンカー20が得たタグ30の測位に関する情報を、タグ30の位置に応じて分類されたグループ(ゾーン)ごとに取得する。そして、管理装置40は、タグ30の測位に関する情報に基づいて、タグ30の測位計算をグループ(ゾーン)ごとに行う。係る測位計算の過程では、測位精度の指標値がグループ(ゾーン)ごとに得られる。そこで、管理装置40は、測位計算による計算結果と、グループ(ゾーン)ごとに得られた指標値とに基づいて、タグ30の位置座標を特定する。
【0023】
また、管理装置40は、上記実施形態に係る情報処理を実現する機能に加え、以下に示すその他の機能も有してよい。
【0024】
例えば、管理装置40は、屋内空間SPにおいてアンカー20が順次、追加設置されることに応じて、設置されたアンカー20を検出する機能、アンカー20のうち特定の1台のアンカー20(例えば、実施形態に係る情報処理において、基準となるアンカー20)に対して同期信号を発信するよう指示する機能を有してよい。以下の実施形態において、基準となるアンカー20を「基準アンカー20x」、基準アンカー以外の他のアンカー20を「他のアンカー20y」と表記する場合がある。
【0025】
また、管理装置40は、基準アンカー20xが発信した同期信号を他のアンカー20yが受信したか否かを判定する機能、他のアンカー20yが同期信号を受信したか否かの判定結果と、他のアンカー20yを識別する識別情報とを対応付けた情報を提供する機能とを有してよい。
【0026】
さらに、管理装置40は、他のアンカー20yが同期信号を受信したと判定した場合、基準アンカー20xと他のアンカー20yとの間の距離を測定するための処理を実行するよう、基準アンカー20xおよび他のアンカー20yの双方に指示する機能を有してよい。基準アンカー20xと他のアンカー20yとの間の距離を測定する測定方式は、TWR(Two Way Ranging)方式であってもよい。TWR方式では、基準アンカー20xと他のアンカー20yとの間のUWBの電波による測位信号の送受信により、距離が算出される。
【0027】
例えば、基準アンカー20xと他のアンカー20yとの間での測距には、これらアンカー間でのタイムスタンプの送受信が必要となる。具体的には、基準アンカー20xは、他のアンカー20yへと信号の発信時刻を示すタイムスタンプを送付する。また、他のアンカー20yは、基準アンカー20xが送付したタイムスタンプを即座もしくは決められた時間後に基準アンカー20xへと送り返す。基準アンカー20xは、他のアンカー20yから送り返されたタイムスタンプを取得した時刻を示すタイムスタンプと、自装置が送付したタイムスタンプとに基づいて、他のアンカー20yとの距離を算出する。このような処理は、基準アンカー20x、および、他のアンカー20yのそれぞれが有する時刻情報がずれている場合があることを考慮し、アンカー間距離の算出においてこのずれを削除する目的で行われる。
【0028】
また、管理装置40は、基準アンカー20xと他のアンカー20yとの間の距離に基づいて、例えば、他のアンカー20yの位置座標として、基準アンカー20xの位置座標を基準とした場合の相対的な位置座標を測定する。すなわち、管理装置40は、基準アンカー20xの位置座標、および、他のアンカー20yの位置座標を提供する機能も有してよい。
【0029】
〔3.情報処理システムにおける機能構成〕
図2は、
図1の情報処理システムSyにおいて、アンカー20’の追加設置時におけるアンカー20、アンカー20’および管理装置40の主要な構成の一例を示すブロック図である。なお、
図2でいうアンカー20は、設置された順番が最初のアンカー20であり、基準アンカー20xに対応するものとする。一方、アンカー20’は、設置された順番が2番目のアンカー20であり、他のアンカー20yに対応するものとする。
【0030】
アンカー20(アンカー20’も同様)は、UWB通信部210と、記憶部230と、情報の送信部としても機能するNW通信部240とを備える。UWB通信部210は、タグ30の測位時における測距信号の受信部としても機能する。
【0031】
アンカー20のUWB通信部210は、アンカー20’の設置時における測距信号の送受信部としても機能する。また、アンカー20のUWB通信部210は、アンカー20’の設置時に、アンテナ211を介して、アンカー20’にUWBの電波で測距信号を送信する。更に、UWB通信部210は、アンテナ211を介して、アンカー20’から返信された測距信号を受信する。また、アンカー20のUWB通信部210は、アンカー20’へ測距信号を送信した送信時刻情報(タイムスタンプ)と、アンカー20’から返信された測距信号を受信した受信時刻情報(タイムスタンプ)とを出力する。
【0032】
アンカー20の記憶部230は、UWB通信部210から出力された測距信号に含まれる各種情報と、測距信号の送受信結果の情報である測位信号の送信時刻情報(タイムスタンプ)および受信時刻情報(タイムスタンプ)とを互いに関連付けて記憶する。
【0033】
アンカー20のNW通信部240は、記憶部230に記憶されているアンカー20'の測位に関する測位関連情報を、管理装置40に送信する。管理装置40に送信される測位関連情報の送信フォーマットは、例えば、アンカー20のアンカーID、アンカー20’のアンカーID、アンカー20’への測距信号の送信時刻情報(タイムスタンプ)およびアンカー20’からの測距信号の受信時刻情報(タイムスタンプ)を含む。
【0034】
管理装置40は、NW通信部410と、制御部420と、記憶部430とを備える。NW通信部410は、タグ30の測位時における測距信号の送受信結果の情報の受信部としても機能する。
【0035】
NW通信部410は、有線または無線の通信回線を介して複数のアンカー20と通信する。NW通信部410は、タグ30の測位時に、タグ30の測位に関する測位関連情報を各アンカー20から受信する。アンカー20からの測位関連情報は、例えば、タグ30のタグID、アンカー20のアンカーID、タグカウント情報、測位管理識別情報、タグ30からの測距信号の受信時刻情報、電波強度、絶対時刻情報を含み得る。
【0036】
制御部420は、実施形態に係る情報処理に対応する機能を司る処理部に相当し、具体的構成ついては
図3で説明する。
【0037】
記憶部430は、測位関連情報、測位管理識別情報ごとにかつタグ30ごとに計算された測位結果を記憶する。また、記憶部430は、複数のアンカー20のそれぞれに予め設定した測位管理識別情報を記憶する。
【0038】
〔4.管理装置の構成〕
次に、
図3を用いて、実施形態に係る管理装置40について説明する。
図3は、実施形態に係る管理装置40の構成例を示す図である。
図3に示すように、管理装置40は、NW通信部410と、制御部420と、記憶部430とを有する。
【0039】
(NW通信部410について)
NW通信部410は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。例えば、NW通信部410は、ネットワークNと無線で接続され、利用者装置10、アンカー20、タグ30との間で情報の送受信を行う。
【0040】
(記憶部430について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0041】
(制御部420について)
制御部420は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、管理装置40内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAM(Random Access Memory)を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部420は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0042】
図3に示すように、制御部420は、受付部421と、設定部422と、第1の取得部423と、第2の取得部424と、測位計算部425と、座標特定部426と、提供部427を有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部420の内部構成は、
図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部420が有する各処理部の接続関係は、
図3に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0043】
(受付部421について)
受付部421は、実施形態に係る情報処理に関する各種情報を利用者から受け付ける。例えば、受付部421は、ゾーンの設定に関する各種情報を利用者から受け付ける。また、受付部421は、タグ30およびアンカー20を設置する屋内空間SPの情報や、グループを定義する定義情報も利用者から受け付けてよい。グループを定義する定義情報については後述する。
【0044】
(設定部422について)
設定部422は、少なくとも3以上のアンカー20の間での時刻同期を管理する単位となるエリアであるゾーンを複数設定する。
【0045】
例えば、設定部422は、屋内空間SPにおいて、互いの電波が届く隣り合う位置のアンカー20を予め定められた所定台数(例えば、6台)認識し、この所定台数のアンカー20を1グループとするゾーンを設定してよい。
【0046】
また、設定部422は、屋内空間SPにおいて、基準アンカー20xの電波が届く位置にある他のアンカー20yを認識し、認識した他のアンカー20yと基準アンカー20xとの組合せを1グループとするゾーンを設定してもよい。
【0047】
なお、設定部422は、少なくとも3以上のアンカー20が属するグループを2つ以上生成するが、特定の2以上のグループ(例えば、第1のグループと第2のグループ)において、同一のタグ30が属するようにグループを生成する。
【0048】
また、設定部422は、グループごとに、当該グループに属するアンカー20それぞれの電波範囲に基づいて、ゾーンを設定してよい。このため、設定部422が生成するグループの数とゾーンの数とは同数であり、グループ単位とゾーン単位とは実質互いに同義であることを意味する。
【0049】
ここで、
図4は、屋内空間SPに設定されたゾーンの一例を示す図である。
図4の例によれば、屋内空間SPには、12台のアンカー20が設定されており、このうち、アンカー20x(1)、および、アンカー20x(2)が基準アンカーとして定められている場面を示す。係る例では、設定部422は、
図4に示すように、基準アンカー20x(1)に対して電波の届く5つの他のアンカー20yと、基準アンカー20x(1)との計6台のアンカーが属するようにグループG1を生成している。また、設定部422は、グループG1に属する6台のアンカー20の電波範囲に基づいて、屋内空間SPに対してゾーンZ1を設定している。
【0050】
一方、
図4の例によれば、設定部422は、基準アンカー20x(2)に対して電波の届く5つの他のアンカー20yと、基準アンカー20x(2)との計6台のアンカーが属するようにグループG2を生成している。また、設定部422は、グループG2に属する6台のアンカー20の電波範囲に基づいて、屋内空間SPに対してゾーンZ2を設定している。
【0051】
なお、
図4には、屋内空間SPを上空から見下ろした状態で、屋内空間SPに対して設定されたゾーンZ1およびZ2の例が示されるため、ゾーンZ1およびZ2は2次元に見えるが、設定部422は、実際には、立体空間としての屋内空間SPに対して、3次元のゾーンZ1およびZ2を設定してよい。
【0052】
ここで、タグ30が設置される位置によっては、グループG1に属するアンカー20、および、グループG2に属するアンカー20の双方にタグ30の電波が届くという意図しない状況が起きてしまう場合がある。
図4には、グループG1に属するアンカー20、および、グループG2に属するアンカー20の双方にタグ30の電波が到達する領域OVが示される。
【0053】
領域OV内にタグ30が設置された場合、タグ30の測位結果が2つ得られてしまうことになる。具体的には、領域OV内にタグ30が設置された場合、タグ30の電波がグループG1に属するアンカー20に到達することで、グループG1に属するアンカー20を対象とした測位関連情報に基づきタグ30の位置座標が算出される。また、領域OV内にタグ30が設置された場合、タグ30の電波がグループG2に属するアンカー20にも到達するため、グループG2に属するアンカー20を対象とした測位関連情報に基づくタグ30の位置座標も算出されてしまう。
【0054】
なお、
図4の例では、ゾーンZ1と、ゾーンZ2との間で重複するエリアが、領域OVとして定められている例が示されるが、このように重複するエリアにタグ30が設置された場合にのみ、タグ30の位置座標が複数算出されてしまうとは限らない。例えば、ゾーンZ1と、ゾーンZ2との間で重複するエリアから外れた位置にタグ30が設置された場合であっても、タグ30の電波が各ゾーン(グループ)のアンカー20に届き得るケースは存在し、係る場合には、タグ30の測位結果が2つ得られてしまう。このようなことから、領域OVは、複数のゾーンの重複に関係なく、複数のゾーン(グループ)それぞれに含まれるアンカー20にタグ30の電波が到達してしまう領域である。
【0055】
また、電波が届くアンカー20が各ゾーンにおいて3台以上である場合に、ゾーンごとにタグ30の位置座標の測位が可能となってしまう。
図4の例によれば、ゾーンZ1およびゾーンZ2の双方に3台以上のアンカー20が含まれるため、タグ30の測位結果が2つ得られてしまうことになる。一方、図示はされていないが、例えば、ゾーンZ1に含まれるアンカー20は3台以上であるが、ゾーンZ2に含まれるアンカー20は3台未満である場合には、双方のゾーンに含まれるアンカー20にタグ30の電波が届いたとしても、ゾーンZ1に対応する位置座標のみ算出される。
【0056】
これまで説明してきたように、1つのタグ30について、本来であれば1つの位置座標が算出されることが望ましいが、上記例のように、グループG1およびグループG2のそれぞれに含まれるアンカー20にタグ30の電波が意図せず届いてしまうことで、2つの位置座標が算出されてしまう場合がある。そして、2つの位置座標のうちより確からしい位置座標を特定する手段までは、従来技術では考慮されていない。この点について、
図5および
図6を用いてより詳細に説明する。
【0057】
図5は、屋内空間SPに設置されるタグ30の位置関係を示す図である。
図5には、屋内空間SPにおいて18台のタグ30、具体的には、タグ30-1~タグ30-18が設置されている例が示される。また、グループG1に属するアンカー20、および、グループG2に属するアンカー20の双方にタグ30の電波が到達する領域である領域OV内には、タグ30-7、タグ30-8、タグ30-9が含まれている。
【0058】
係る例では、グループG1に属するアンカー20を対象とした測位関連情報に基づき、領域OVに含まれる3台のタグ30(タグ30-7、タグ30-8、タグ30-9)の位置座標が算出される。
【0059】
また、グループG2に属するアンカー20を対象とした測位関連情報に基づき、同じく領域OVに含まれる3台のタグ30の位置座標が算出される。
【0060】
図6には、領域OVに含まれる3台のタグ30(タグ30-7、タグ30-8、タグ30-9)それぞれについて、グループG1に対応する位置座標と、グループG2に対応する位置座標とが算出された例が示される。
図6は、複数のゾーンが設定された場合における位置座標の算出結果の一例を示す図である。
【0061】
図6の例によれば、領域OVに含まれるタグ30-7、タグ30-8、タグ30-9については、ゾーンZ1(グループG1)に対応する測位関連情報に基づく測位結果と、ゾーンZ2(グループG2)に対応する測位関連情報に基づく測位結果という2つの測位結果が得られてしまっている。従来の測位計算では、タグ30-7について算出されている2つの位置座標のうちより確からしい位置座標を特定することはできない。同様に、従来の測位計算では、タグ30-8について算出されている2つの位置座標のうちより確からしい位置座標を特定すること、そして、タグ30-9について算出されている2つの位置座標のうちより確からしい位置座標を特定することもできない。
【0062】
実施形態に係る情報処理は、複数のグループそれぞれに3台以上のアンカー20が属する状態で、各グループのアンカー20にタグ30の電波が意図せず届いてしまうことで、このタグ30につきグループごとの位置座標が得られた場合において、得られた複数の位置座標のうち適切な位置座標を特定する手法に相当する。具体的には、管理装置40は、実施形態に係る情報処理を実現する処理部として、第1の取得部423と、第2の取得部424と、測位計算部425と、座標特定部426とを有する。以下では、これらの処理部について説明する。
【0063】
(第1の取得部423について)
図4の説明に戻り、第1の取得部423は、複数のグループに自装置の電波が届いてしまうタグ30(以下、「タグ30A」と表記する)が存在する場合において、タグ30Aが発した電波を受信したアンカー20が得たタグ30Aの測位に関する測位関連情報を、アンカー20の位置に応じて分類されたグループごとに取得する。
【0064】
ここで、グループごとに取得されるタグ30Aの測位関連情報とは、タグ30Aが発した電波をアンカー20が受信した時刻に関する情報と、アンカー20の位置に関する情報とを含む。
図4等の例を用いると、グループごとに取得されるタグ30Aの測位関連情報とは、グループG1に属するアンカー20がタグ30Aにより発せられた電波を受信した時刻を示すタイムスタンプ、および、グループG2に属するアンカー20がタグ30Aにより発せられた電波を受信した時刻を示すタイムスタンプである。また、タグ30Aから発せられた電波はUWB無線の電波である。
【0065】
同じく
図4等の例を用いると、グループごとに取得されるアンカー20の位置に関する情報は、グループG1に属するアンカー20の位置座標や、グループG1に属するアンカー20を対象とした時刻同期の情報(絶対時刻情報)等を含む。例えば、管理装置40は、グループG1において、基準アンカー20x(1)と他のアンカー20yとの間の距離に基づいて、他のアンカー20yの位置座標として、基準アンカー20x(1)の位置座標を基準とした場合の相対的な位置座標を測定することができる。
【0066】
また、グループごとに取得されるアンカー20の位置に関する情報は、グループG2に属するアンカー20の位置座標や、グループG2に属するアンカー20を対象とした時刻同期の情報(絶対時刻情報)等を含む。例えば、管理装置40は、グループG2において、基準アンカー20x(2)と他のアンカー20yとの間の距離に基づいて、他のアンカー20yの位置座標として、基準アンカー20x(2)の位置座標を基準とした場合の相対的な位置座標を測定することができる。
【0067】
(第2の取得部424について)
第2の取得部424は、測位計算部425における測位計算の過程で得られた測位精度の指標値をグループごとに取得する。本実施形態では、第2の取得部424により取得される指標値は、DoP(Dilution of Precision:精度低下率)値であるものとする。
【0068】
DoP値は、小さい程測位精度が高いことを示す。また、DoPには、PDoP(三次元位置精度低下率)、HDoP(二次元位置精度低下率)、VDoP(垂直位置精度低下率)等の複数種別が存在する。このため、第2の取得部424は、全ての種別のDoP値を取得してもよいし、例えば利用者により選択された種別のDoP値を取得してもよい。
【0069】
(測位計算部425について)
測位計算部425は、第1の取得部423が取得した上記の情報に基づいて、タグ30Aの測位計算をグループごとに行う。
図4等の例を用いると、測位計算部425は、第1の取得部423がグループG1を対象に取得した測位関連情報に基づきタグ30Aの位置座標を算出し、また、第1の取得部423がグループG2を対象に取得した測位関連情報に基づきタグ30Aの位置座標を算出する。
【0070】
例えば、測位計算部425は、グループG1に属するアンカー20がタグ30Aにより発せられた電波を受信した時刻を示すタイムスタンプと、測位信号の伝搬速度と、グループG1に属するアンカー20の間での測位信号の受信時刻差とに基づいて、グループG1に属する各アンカー20とタグ30Aとの距離を計算する。そして、測位計算部425は、各アンカー20とタグ30Aとの距離それぞれを半径とし、各アンカー20の位置座標を原点とした球面の交点を求めるアルゴリズムにより、グループG1に対応するタグ30Aの位置座標を計算する。
【0071】
同様に、測位計算部425は、グループG2に属するアンカー20がタグ30Aにより発せられた電波を受信した時刻を示すタイムスタンプと、測位信号の伝搬速度と、グループG2に属するアンカー20の間での測位信号の受信時刻差とに基づいて、グループG2に属する各アンカー20とタグ30Aとの距離を計算する。そして、測位計算部425は、各アンカー20とタグ30Aとの距離それぞれを半径とし、各アンカー20の位置座標を原点とした球面の交点を求めるアルゴリズムにより、グループG2に対応するタグ30Aの位置座標を計算する。
【0072】
なお、ここでは、測位計算部425が、グループG1およびG2それぞれの測位関連情報を用いて、タグ30Aの位置座標を計算する例を示したが、測位計算部425は、屋内空間SPに設置される他のタグ30の位置座標も計算してよい。例えば、他のタグ30として、グループG1に属するアンカー20に対してのみ電波が届くタグ30-1を例に説明すると、測位計算部425は、第1の取得部423がグループG1を対象に取得した測位関連情報に基づいて、タグ30-1の位置座標を算出する。一方、他のタグ30として、グループG2に属するアンカー20に対してのみ電波が届くタグ30-18の例では、測位計算部425は、第1の取得部423がグループG2を対象に取得した測位関連情報に基づいて、タグ30-18の位置座標を算出する。
【0073】
ここで、上述したDoP値は、測位計算部425による測位計算の過程で自ずと得られるものであり、第2の取得部424は、測位計算の過程で得られたこのDoP値を取得する。
図4等の例を用いると、第2の取得部424は、グループG1を対象に取得した測位関連情報に基づく測位計算の過程で得られたDoP値を取得する。また、第2の取得部424は、グループG2を対象に取得した測位関連情報に基づく測位計算の過程で得られたDoP値を取得する。
【0074】
なお、上述した位置座標の算出手法は、クロックバイアスや誤差が無いと仮定した場合の手法であり、詳細な算出手法については段落0123以降で説明する。
【0075】
(座標特定部426について)
座標特定部426は、測位計算部425が行った測位計算による計算結果と、第2の取得部424が取得したDoP値とに基づいて、タグ30Aの位置座標を特定する。例えば、座標特定部426は、タグ30Aについてグループごとに算出された複数の位置座標をグループ間で比較する。そして、座標特定部426は、グループごとに算出された複数の位置座標のうち、1のDoP値に応じた位置座標をタグ30Aの位置座標として特定する。具体的には、座標特定部426は、複数の位置座標のうち、より小さなDoP値が得られたグループに対応する位置座標を、タグ30Aの位置座標として特定してよい。
【0076】
(提供部427について)
提供部427は、タグ30の位置座標を示す情報を利用者に提供する。例えば、提供部427は、屋内空間SPに設置されたタグ30の位置座標が表示された測位結果画面を生成し、生成した測位結果画面を利用者装置10に送信する。
【0077】
また、提供部427は、屋内空間SPを上空から見下ろしたマップ情報に対して、タグ30の配置関係を示す情報が重畳された配置結果画面をタグ30の位置座標に基づき生成し、生成した配置結果画面を利用者装置10に送信してもよい。
【0078】
〔5.位置座標特定手法〕
ここで、
図7を用いて、DoP値に基づく位置座標の特定手法を説明する。
図7は、DoP値に基づく位置座標の特定手法を説明する説明図である。
図7では、
図6の例を採用して、座標特定部426による特定手法を説明する。
【0079】
図7の例によれば、測位計算部425が、タグ30-7、タグ30-8、タグ30-9それぞれの位置座標を計算するタイミングで、グループG1およびG2それぞれについてDoP値が副次的に得られる。また、第2の取得部424が、このDoP値を取得し、座標特定部426へと伝送し、DoP値を受け取った座標特定部426は、
図7に示すような以下の処理を実行する。
【0080】
図7(a)には、タグ30-7の例が示される。例えば、測位計算部425は、グループG1に対応する測位関連情報に基づいて、タグ30-7の位置座標を計算する。
図7(a)には、測位計算部425が、測位計算により、タグ30-7の位置座標(XYZ座標)として、「X71,Y71,Z71」を算出した例が示される。また、
図7(a)には、係る測位計算の過程で、位置座標「X71,Y71,Z71」の精度を示すDoP値として、「4」が副次的に得られた例が示される。
【0081】
測位計算部425は、グループG2に対応する測位関連情報に基づいて、タグ30-7の位置座標を計算する。
図7(a)には、測位計算部425が、測位計算により、タグ30-7の位置座標(XYZ座標)として、「X72,Y72,Z72」を算出した例が示される。また、
図7(a)には、係る測位計算の過程で、位置座標「X72,Y72,Z72」の精度を示すDoP値として、「3」が副次的に得られた例が示される。
【0082】
座標特定部426は、位置座標「X71,Y71,Z71」のDoP値が「4」、位置座標「X72,Y72,Z72」のDoP値が「3」であることから、DoP値が小さい方の位置座標「X72,Y72,Z72」がより精度が高いと推定する。この結果、座標特定部426は、位置座標「X72,Y72,Z72」を、タグ30-7の位置座標として特定する。
【0083】
図7(b)には、タグ30-8の例が示される。例えば、測位計算部425は、グループG1に対応する測位関連情報に基づいて、タグ30-8の位置座標を計算する。
図7(b)には、測位計算部425が、測位計算により、タグ30-8の位置座標(XYZ座標)として、「X81,Y81,Z81」を算出した例が示される。また、
図7(b)には、係る測位計算の過程で、位置座標「X81,Y81,Z81」の精度を示すDoP値として、「3」が副次的に得られた例が示される。
【0084】
測位計算部425は、グループG2に対応する測位関連情報に基づいて、タグ30-8の位置座標を計算する。
図7(b)には、測位計算部425が、測位計算により、タグ30-8の位置座標(XYZ座標)として、「X82,Y82,Z82」を算出した例が示される。また、
図7(b)には、係る測位計算の過程で、位置座標「X82,Y82,Z82」の精度を示すDoP値として、「4」が副次的に得られた例が示される。
【0085】
座標特定部426は、位置座標「X81,Y81,Z81」のDoP値が「3」、位置座標「X82,Y82,Z82」のDoP値が「4」であることから、DoP値が小さい方の位置座標「X81,Y81,Z81」がより精度が高いと推定する。この結果、座標特定部426は、位置座標「X81,Y81,Z81」を、タグ30-8の位置座標として特定する。
【0086】
図7(c)には、タグ30-9の例が示される。例えば、測位計算部425は、グループG1に対応する測位関連情報に基づいて、タグ30-9の位置座標を計算する。
図7(c)には、測位計算部425が、測位計算により、タグ30-9の位置座標(XYZ座標)として、「X91,Y91,Z91」を算出した例が示される。また、
図7(c)には、係る測位計算の過程で、位置座標「X91,Y91,Z91」の精度を示すDoP値として、「1」が副次的に得られた例が示される。
【0087】
測位計算部425は、グループG2に対応する測位関連情報に基づいて、タグ30-9の位置座標を計算する。
図7(c)には、測位計算部425が、測位計算により、タグ30-9の位置座標(XYZ座標)として、「X92,Y92,Z92」を算出した例が示される。また、
図7(c)には、係る測位計算の過程で、位置座標「X92,Y92,Z92」の精度を示すDoP値として、「3」が副次的に得られた例が示される。
【0088】
座標特定部426は、位置座標「X91,Y91,Z91」のDoP値が「1」、位置座標「X92,Y92,Z92」のDoP値が「3」であることから、DoP値が小さい方の位置座標「X91,Y91,Z91」がより精度が高いと推定する。この結果、座標特定部426は、位置座標「X91,Y91,Z91」を、タグ30-9の位置座標として特定する。
【0089】
〔6.位置座標提供手法〕
次に、座標特定部426によって位置座標が特定された状態での測位結果の提供手法を説明する。
図8は、タグ30の位置座標が表示された測位結果画面PTの一例を示す図である。
図8に示す測位結果画面PTは、
図6の例に対応し、屋内空間SPに18台のタグ30(タグ30-1~タグ30-18)が設置された場合における、各タグ30の位置座標が表示される。
【0090】
図8に示すように、測位結果画面PTには、タグ30ごとにDoP値も表示されてよい。また、測位結果画面PTには、グループG1およびG2のうち、いずれのグループに対応する測位結果であるのかを示す情報も表示されてよい。
【0091】
ここで、
図6を参照すると、タグ30-1~タグ30-6は、グループG1に属する(換言すると、ゾーンZ1に含まれる)アンカー20に対してのみ電波が届く位置に設置されている。このため、タグ30-1~タグ30-6それぞれの位置座標(XYZ座標)は、グループG1に対応する測位関連情報に基づく測位結果である。
【0092】
また、
図6を参照すると、タグ30-10~タグ30-18は、グループG2に属する(換言すると、ゾーンZ2に含まれる)アンカー20に対してのみ電波が届く位置に設置されている。このため、タグ30-10~タグ30-18それぞれの位置座標(XYZ座標)は、グループG2に対応する測位関連情報に基づく測位結果である。
【0093】
一方、タグ30-7、タグ30-8、タグ30-9については、グループG1に属するアンカー20、および、グループG2に属するアンカー20の双方に電波が届く位置(領域OV内の位置)に設置されている。このため、グループG1およびG2の双方で算出された位置座標のうち、座標特定部426がDoP値に基づき特定した方の位置座標(より精度が高いと推定される方の位置座標)が表示される。
【0094】
提供部427は、
図8に示す態様の測位結果画面PTを利用者に提供してよい。例えば、提供部427は、測位結果画面PTを利用者装置10に送信する。
【0095】
〔7.処理手順〕
ここからは、
図9を用いて、実施形態に係る情報処理の手順を説明する。
図9は、実施形態に係る情報処理手順を示すフローチャートである。
【0096】
まず、設定部422は、屋内空間SPに設置されるアンカー20の位置に基づいて、アンカー20をグループ分けする(ステップS901)。例えば、設定部422は、少なくとも3以上のアンカー20が属するグループを2つ以上生成する。また、このとき設定部422は、特定の2以上のグループ例えば第1のグループと第2のグループにおいて、同一のタグ30が属するようにグループを生成する。
【0097】
次に、設定部422は、屋内空間SPを示す情報に対して、グループごとに電波範囲のゾーンを設定する(ステップS902)。
【0098】
第1の取得部423は、グループごとに測位関連情報を取得し、取得した測位関連情報を測位計算部425に伝送する(ステップS903)。
【0099】
測位計算部425は、測位関連情報に基づいて、屋内空間SPに設置されたタグ30の位置座標をグループごとに計算する測位計算を実行する(ステップS904)。これまでの説明の通り、係る測位計算の過程において、グループごとに副次的にDoP値が得られる。
【0100】
座標特定部426は、測位計算の結果に基づいて、複数のグループに渡って複数の位置座標が算出されたタグ30Aを認識する(ステップS905)。
【0101】
座標特定部426は、タグ30Aを認識できた場合には、DoP値に基づいて、タグ30Aについて複数算出された位置座標の中からより精度の高い位置座標を特定する(ステップS906)。ここで用いられるDoP値は、第2の取得部424により取得され、座標特定部426へと伝送されてよい。
【0102】
提供部427は、タグ30Aの位置座標と、屋内空間SPに設置された他のタグ30の位置座標とが測位結果として示される測位結果画面PTを生成し、測位結果画面PTを利用者に提供する(ステップS907)。
【0103】
〔8.変形例〕
上記実施形態に係る管理装置40は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、管理装置40の他の実施形態について説明する。
【0104】
〔8-1.位置座標特定手法(1)〕
上記実施形態では、管理装置40が、1つのタグ30について複数の位置座標が算出された場合に、係る位置座標の測位計算の過程において、グループごとに得られたDoPに基づいて、複数の位置座標の中から最適な位置座標を特定する例を示した。
【0105】
このように、上記実施形態に係る位置座標特定手法は、複数の位置座標の中から、最も精度が高いと推定される位置座標をタグ30Aの位置座標として特定するため、確率論的手法といえる。このため、上記実施形態に係る位置座標特定手法では、実際には、より正しい位置座標が存在するという可能性が残されている。
【0106】
そこで、管理装置40は、屋内空間SPに設置された全てのタグ30の位置座標に基づき、1つのタグ30について可能性として残されているより確からしい位置座標を探索してよい。
【0107】
例えば、座標特定部426は、第1の取得部423が取得した測位関連情報と、第2の取得部424が得たDoP値とを用いて、以下の式1に示す演算を行い、演算結果が示す位置座標を、タグ30の位置座標として特定してよい。
【0108】
例えば、屋内空間SPにおけるアンカー20の位置に応じて分類されたグループの数をn、n個のグループのうちk番目のグループについて取得された測位関連情報に基づく測位計算で得られた測位結果(タグ30の位置座標)をxk、測位結果xkを得るための測位計算の過程で取得されたDoP値をdopkとすると、タグ30の最も確からしい位置座標xを得るための式1が成立する。測位結果xkは、例えば、グループごとに取得された測位関連情報に基づき算出されたタグ30の位置座標である。
【0109】
【0110】
座標特定部426は、式1に示す演算の結果得られた位置座標xを、タグ30の位置座標として特定する。
【0111】
式1によれば、k番目のグループを対象とした測位計算の過程で得られたDoP値であるdopkの2乗の逆数を分母とし、k番目のグループを対象とした測位計算で得られた測位結果xkをdopkの2乗で割ったものをグループの数nの分だけ足し合わせた値を分子として、位置座標xが求められる。係る手法によれば、dopkの2乗の逆数を用いて、重み係数が適切になるよう調整される。
【0112】
このように式1を用いる場合、単純にDoP値の大小で計算する前述の方法よりも多くのアンカー20の情報が使えることになるので、精度は向上する可能性がある。また後述するような大規模演算(DoP値の計算手法)を行う場合と比較して、タグ30の最終的な位置座標を特定するまでにかかる計算コストをより抑えることができるようになる。
【0113】
〔8-2.位置座標特定手法(2)〕
また、座標特定部426は、最小二乗法に関する計算を行ってもよい。上記式1と同様に、屋内空間SPにおけるアンカー20の位置に応じて分類されたグループの数をn、n個のグループのうちk番目のグループについて取得された測位関連情報に基づく測位計算で得られた測位結果(タグ30の位置座標)をxkとする。また、測位結果xkを得るための測位計算の過程で取得されたDoP値のDoP成分を内包するk番目のグループの行列をDkとする。この場合、座標特定部426は、以下の式2~式4に示す演算を行い、演算結果が示す位置座標を、k番目のタグ30の位置座標として特定してよい。
【0114】
【0115】
具体的には、座標特定部426は、式2で表される値の2乗和を最小化することで、タグ30の位置座標の確からしさを示す確率Pを最大化するよう位置座標xを算出する。そして、座標特定部426は、位置座標xをタグ30の位置座標として特定する。
【0116】
ここで、上記式2の各値として、行列Aおよび行列Bの具体例が式3および式4に示される。すなわち、式3および式4によれば、式2では、平方完成の考え方を元に式変形(置換)が行われる。
【0117】
なお、確率Pを最大化するためには、位置座標xと、行列Aと、行列Bとの間でx=A-1Bが成立することが条件となる。
【0118】
式2~式4を用いる場合には、上記の手法よりも計算コストはかかるが、DoP値の成分行列を全て使用してタグ30の位置座標を計算できるため、上記の各手法と比較して測位精度が高い。
【0119】
なお、本手法を含めて、これまで、タグ30の位置座標を特定する3つの手法を説明したが、計算コストと精度を鑑みて、3つの手法の中から適当な手法を選択するが望ましい。
【0120】
〔8-3.アンカーのグルーピング〕
【0121】
上記実施形態では、設定部422が、アンカー20のグルーピング、および、グルーピングの結果に応じたゾーン設定を動的に行う例を示した。しかしながら、利用者から受け付けた定義情報に基づいて、設定部422がグルーピングを行う構成が採用されてもよい。係る例では、利用者は、設定部422に対してゾーンを設定させる際に、各グループを構成するアンカーを指定することで、グループを定義する定義情報を自身の利用者装置10を介して入力することができる。
【0122】
利用者によって行われるグループの定義手法について
図10を用いて説明する。
図10は、グループの定義手法のバリエーションを示す図である。
図10には3つのバリエーションが示され、
図10(a)、
図10(b)、
図10(c)にその一例が示される。なお、説明を簡単にするために、
図10には、屋内空間SPに6台のアンカー20が設置された状態の定義例が示される。
【0123】
図10(a)の例によれば、利用者は、複数のグループ(ゾーン)の間において、同一のアンカー20が存在しないよう、三角の囲いを用いてアンカー20をグルーピングすることができる。
【0124】
図10(b)の例によれば、利用者は、複数のグループ(ゾーン)の間において、同一のアンカー20が1台だけ存在するよう、三角の囲いを用いてアンカー20をグルーピングすることができる。
【0125】
また、
図10(c)の例によれば、利用者は、複数のグループ(ゾーン)の間において、同一のアンカー20が2台存在するよう(重複数2)、三角の囲いを用いてアンカー20をグルーピングすることができる。係る例は、n台のアンカー20で構成されグループを複数設定する場合には、(n-1)台のアンカーは他のゾーンと重複してもよいとの定義条件に基づくものである。
【0126】
なお、
図10では不図示であるが、利用者は、m台のアンカーで構成される屋内空間SPにおいて、「m台のアンカー20で構成されるグループ」という定義条件と、「(m-1)台のアンカー20で構成されるグループ」という定義条件とを用いて、グループピングさせることもできる。
【0127】
〔9.DoP値計算手法〕
ここからは、UWB測位におけるDoP値の計算手法について説明する。具体的には各ゾーン(グループ)ごとのDoP値の計算手法について説明する。本実施形態では、タグ30の位置座標を計算する過程で、以下で説明するような従来手法に従ってDoP値が得られる。
【0128】
まず、タグ30の位置座標を計算する前提として、アンカー20の位置座標は、レーザーや自己位置推定によって既知となっている必要がある。また、アンカー20の間において、測位信号の送受信等を行わせることで、該当ゾーン内のアンカー20同士の時刻を同期できるような環境にアンカー20を設置しておく必要がある。
【0129】
なお、アンカー20間での時刻同期は、アンカー20の装置内で実行されてもよいし、アンカー間で通信されたデータをクラウドに上げクラウド側で実行されてもよい。他の例として、アンカー間で通信されたデータをエッジに上げエッジ側で実行されてもよい。以下では、屋内空間SPにおけるアンカー20の設置数をn、屋内空間SPにおけるタグ30の設置数を1とした場合の、係るタグ30の位置座標が測位される場面を例に説明する。
【0130】
ここで、k番目のアンカー20の位置座標(XYZ座標)を(xk,yk,zk)とし、各アンカー20間で時刻同期したクロックバイアスとし、タグ30のクロックバイアスとの差に光速をかけ、距離次元に変換した値をsとする。また、k番目のアンカー20の観測値をYkとする。係る場合、観測値Ykは、以下の式5によって表される。
【0131】
【0132】
ωkは、観測ノイズである。一方、タグ30の位置座標(XYZ座標)を(x,y,z)とする。ここで、最小二乗法を想定し以下の式6が示すminを最小化することを考える。
【0133】
【0134】
Rは、観測誤差行列であり、ωkの標準偏差をσとすると、R=σ2Iとなる。ここで、式6を最小化するx,y,z,sを求める。例えばニュートン法を用いて説く場合の具体的な手順は以下の通りである。
【0135】
手順(1):
x,y,z,sについて適当な初期値x0,y0,z0,s0を用意する。なお、妥当な初期値が見つからない場合には、0が用いられてよい。
【0136】
手順(2):
初期値x0,y0,z0,s0を用意した場合においては、擬似距離として測定されるモデル値r_i^0を以下の式7を用いて計算する。
【0137】
【0138】
手順(3):
実際に測定された擬似距離との残差Δriを以下の式8を用いて計算する。
【0139】
【0140】
手順(4):
x0,y0,z0,s0をこの残差に相当する分だけ修正すれば、正しい解に近づくことができる。このためには、以下の式9に示す通り、riのx,y,z,sによる偏微分を用いる。
【0141】
【0142】
ρiは幾何距離計算値とした。そして、以下の式10により、x0,y0,z0,s0を更新するための変化量Δx0,Δy0,Δz0,Δs0を求める。
【0143】
【0144】
ここで、式10の連立方程式の解は、方程式が4つ(Gが4行4列の正方行列の場合)であれば、以下の式11に示すように、Gの逆行列を求めることで得られる。
【0145】
【0146】
一方、方程式が5つ以上ある(Gが5行以上ある)場合には、未知数よりも方程式の方が数が多いことになるが、このような場合には、以下の式12に示すように、最小二乗法により解を得るのが一般的である。
【0147】
【0148】
手順(5):
手順(4)で得られたΔx0,Δy0,Δz0,Δs0により、初期値を更新する。具体的には、
x1=X0+Δx
y1=y0+Δy
z1=z0+Δz
s1=s0+Δs
のように初期値を更新する。
【0149】
手順(6):
初期値をx1,y1,z1,s1,に更新して手順(2)に戻る。以上の手順をΔx0,Δy0,Δz0,Δs0が十分に小さくなるまで繰り返す。この結果、ゾーンでのタグ30の位置座標を算出することができる。
【0150】
ここで、ΔXを以下の式13により定義し、ΔRを以下の式14により定義すると、手順(4)中の式に基づき、共分散cov(ΔX),cov(ΔR)との間には、以下の式15が成立する。
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
式15は、ΔXの分散が、測距(観測値)の分散σと、アンカー20の数あるいはアンカー20の位置等とのパラメータを含むCの掛け算で表されることを示している。
【0155】
また、Cは、DoP行列といわれ、精度劣化の指数を表す行列となる。なお、上述した式2~式4に示すDkは、Cと同じDoP行列である。cは、行列Cの成分を表す。
【0156】
また、行列Cの中では対角成分が主成分であるため、着目すべき次元での精度によって分けて、精度劣化指数は以下の式16~式18で表すことができる。
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
PDoPは位置座標(x,y,z)の3次元の精度指数、HDoPは位置座標(x,y)の水平方向の精度指数、VDoPは垂直方向の決定精度となる。測位結果xkを得るための測位計算の過程で取得されるDoP値すなわちdopkは、PDoP、HDoP、VDoPのいずれであってもよい。
【0161】
また、DoP行列Cは、以下の式19で表され、手順(4)の中で算出されるため、測位計算の過程で得られることになる。
【0162】
【0163】
〔10.ハードウェア構成〕
また、上記実施形態に係る管理装置40は、例えば
図11に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図11は、管理装置40の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。なお、HDD1400の代わりにフラッシュロムが採用されてもよい。
【0164】
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0165】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、および、係るプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、通信網50を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを、通信網50を介して他の機器へ送信する。
【0166】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを、入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0167】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、係るプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase Change Rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0168】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る管理装置40として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラム(例えば、実施形態に係るプログラム)を実行することにより、制御部420の機能を実現する。また、HDD1400には、記憶部120内のデータが格納される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを、記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から、通信網50を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0169】
〔11.その他〕
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0170】
上記実施形態では、ハードウェア構成として、実施形態に係る各処理部(受付部421、設定部422、第1の取得部423、第2の取得部424、測位計算部425、座標特定部426、提供部427)が、1つの管理装置40において実現される例を示した。しかしながら、これらの処理部は、適切な組合せごとに、複数の異なる情報処理装置(サーバ装置)に分けて実現されてもよい。
【0171】
例えば、情報処理システムSyにおいて、サーバ装置SV1とサーバ装置SV2という2つの情報処理装置が導入される場合、各情報処理装置に対して以下のパターンで処理部が実現されてよい。
【0172】
例えば、受付部421と設定部422と第1の取得部423とはサーバ装置SV1において実現され、第2の取得部424と測位計算部425と座標特定部426と提供部427とはサーバ装置SV2において実現される構成が採用されてよい。
【0173】
他の例として、受付部421はサーバ装置SV1において実現され、設定部422と第1の取得部423と第2の取得部424と測位計算部425と座標特定部426と提供部427とはサーバ装置SV2において実現される構成が採用されてもよい。
【0174】
また、他の例として、受付部421と設定部422と第1の取得部423と第2の取得部424と測位計算部425と座標特定部426とはサーバ装置SV1において実現され、提供部427はサーバ装置SV2において実現される構成が採用されてもよい。
【0175】
次に、情報処理システムSyにおいて、サーバ装置SV1とサーバ装置SV2とサーバ装置SV3という3つの情報処理装置が導入される場合、各情報処理装置に対して以下のパターンで処理部が実現されてよい。
【0176】
例えば、受付部421と設定部422と第1の取得部423とはサーバ装置SV1において実現され、第2の取得部424と測位計算部425と座標特定部426とはサーバ装置SV2において実現され、提供部427はサーバ装置SV3において実現される構成が採用されてよい。
【0177】
他の例として、受付部421と設定部422とはサーバ装置SV1において実現され、第1の取得部423と第2の取得部424と測位計算部425とはサーバ装置SV2において実現され、座標特定部426と提供部427とはサーバ装置SV3において実現される構成が採用されてもよい。
【0178】
また、他の例として、受付部421はサーバ装置SV1において実現され、設定部422と第1の取得部423と第2の取得部424と測位計算部425と座標特定部426とはサーバ装置SV2において実現され、提供部427はサーバ装置SV3において実現される構成が採用されてもよい。
【0179】
なお、情報処理システムSyに導入する情報処理装置の数は、上記例のように、2台や3台に限定されず、目的に応じて任意の数が導入されてよい。また、情報処理装置に対する処理部の実現パターンも上記例に限定されない。例えば、全ての処理部が異なる情報処理装置に分けられてもよい。
【0180】
以上、本願の実施形態をいくつかの図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0181】
Sy 情報処理システム
10 利用者装置
20 アンカー
30 タグ
40 管理装置
421 受付部
422 設定部
423 第1の取得部
424 第2の取得部
425 測位計算部
426 座標特定部
427 提供部