(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131208
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G08G1/09 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041327
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 健太
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL09
5H181MB02
(57)【要約】
【課題】車線認識処理にかかる処理負荷を軽減可能な車両の制御装置を提供する。
【解決手段】車両の制御装置は、車両に搭載された撮像装置により撮像された撮像画像に基づいて車両が走行している道路の車線を認識するための車線認識処理を行う車線認識部と、道路の構造を示す情報を含む地図情報に基づいて車両が走行している道路が所定条件を満たす狭隘道路であるか否かを判定する第1判定部と、地図情報に基づいて車両が走行している道路に車線を区画する区画線があるか否かを判定する第2判定部と、車両が走行している道路が狭隘道路であり、且つ当該道路に区画線がない場合には、車線認識処理を停止させる実行制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された撮像装置により撮像された撮像画像に基づいて前記車両が走行している道路の車線を認識するための車線認識処理を行う車線認識部と、
道路の構造を示す情報を含む地図情報に基づいて前記車両が走行している道路が所定条件を満たす狭隘道路であるか否かを判定する第1判定部と、
前記地図情報に基づいて前記車両が走行している道路に前記車線を区画する区画線があるか否かを判定する第2判定部と、
前記車両が走行している道路が前記狭隘道路であり、且つ当該道路に前記区画線がない場合には、前記車線認識処理を停止させる実行制御部と、
を備える車両の制御装置。
【請求項2】
前記第1判定部は、前記地図情報に基づいて前記車両が走行している道路の道幅が閾値以下であるか否かを判定し、前記道幅が前記閾値以下である場合に、当該道路は前記狭隘道路であると判定する、
請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記第1判定部は、前記地図情報に基づいて前記車両が走行している道路が2以上の車線を有するか否かを判定し、当該道路が2以上の車線を有しない場合に、当該道路は前記狭隘道路であると判定する、
請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記第2判定部は、前記実行制御部が前記車線認識処理を停止させた後、前記地図情報に基づいて前記車両の現在位置から所定範囲内に前記区画線があるか否かを判定し、
前記実行制御部は、前記所定範囲内に前記区画線がある場合に、前記車線認識処理を復帰させる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記所定範囲は、前記車両の予定進路上の範囲であって、
前記実行制御部は、前記予定進路において前記区画線が出現する位置に前記車両が到達する前に前記車線認識処理を復帰させる、
請求項4に記載の車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の自動運転システム等において、車載カメラにより撮像された撮像画像に基づいて車両が走行している道路の車線を認識する車線認識処理が実行される。車線認識処理の結果は、レーンキープ制御等に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような車線認識処理は、画像処理等を含むため、一般的に処理負荷が高いものである。車両が走行する道路の中には、車線認識処理が不要な道路も存在するが、従来技術においては、車線認識処理が道路の構造や状態に関わらず実行されるため、自動運転制御における処理負荷が不要に増大化する場合がある。
【0005】
本発明の目的は、車線認識処理にかかる処理負荷を軽減可能な車両の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態としての車両の制御装置は、車両に搭載された撮像装置により撮像された撮像画像に基づいて車両が走行している道路の車線を認識するための車線認識処理を行う車線認識部と、道路の構造を示す情報を含む地図情報に基づいて車両が走行している道路が所定条件を満たす狭隘道路であるか否かを判定する第1判定部と、地図情報に基づいて車両が走行している道路に車線を区画する区画線があるか否かを判定する第2判定部と、車両が走行している道路が狭隘道路であり、且つ当該道路に区画線がない場合には、車線認識処理を停止させる実行制御部と、を備えることを特徴とするものである。
【0007】
上記構成によれば、車両が走行している道路が狭隘道路であり、且つ区画線がない場合には、車線認識処理が停止される。これにより、車線認識処理が不要に実行されることを回避でき、処理負荷を軽減できる。
【0008】
また、上記構成において、第1判定部は、地図情報に基づいて車両が走行している道路の道幅が閾値以下であるか否かを判定し、道幅が閾値以下である場合に、当該道路は狭隘道路であると判定してもよい。
【0009】
上記構成によれば、地図情報に基づいて車両が走行している道路が狭隘道路であるか否かを適切に判定できる。
【0010】
また、上記構成において、第1判定部は、地図情報に基づいて車両が走行している道路が2以上の車線を有するか否かを判定し、当該道路が2以上の車線を有しない場合に、当該道路は狭隘道路であると判定してもよい。
【0011】
上記構成によれば、地図情報に基づいて車両が走行している道路が狭隘道路であるか否かを適切に判定できる。
【0012】
また、上記構成において、第2判定部は、実行制御部が車線認識処理を停止させた後、地図情報に基づいて車両の現在位置から所定範囲内に区画線があるか否かを判定し、実行制御部は、所定範囲内に区画線がある場合に、車線認識処理を復帰させてもよい。
【0013】
上記構成によれば、車線認識処理を停止させた後、車両の現在位置から所定範囲内に区画線がある場合には、車線認識処理が事前復帰させる。これにより、車線認識処理が必要な道路に車両が差し掛かったときにスムーズに車線を認識することが可能となり、車線認識処理の停止による自動運転制御の精度の低下を回避できる。
【0014】
また、上記構成において、所定範囲は、車両の予定進路上の範囲であって、実行制御部は、車両が予定進路において区画線が出現する位置に到達する前に車線認識処理を復帰させてもよい。
【0015】
上記構成によれば、車線認識処理は、予定進路において区画線が出現する位置に車両が到達する前に復帰される。これにより、ナビゲーションシステムの使用時における自動運転制御の制御性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態に係る制御装置が搭載される車両のシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る車両の機能構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る車両の制御装置による処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下に記載する実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用及び効果は一例であって、本発明は以下の記載内容に限定されるものではない。
【0018】
図1は、実施形態に係る制御装置が搭載される車両1のシステム構成の一例を示す図である。車両1は、自動運転機能を搭載しており、ユーザ(運転者)の運転操作によらない自動運転による走行が可能である。なお、自動運転には、車両1の走行における操作の一部が自動化された(ユーザによる部分的な運転操作を要する)半自動運転が含まれる。
【0019】
車両1には、各部を制御するため、複数のECU(Electronic Control Unit)が搭載されている。各ECUは、マイコン(マイクロコントローラユニット)を備えており、マイコンには、例えば、CPU(Central Processing Unit)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ及びDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリが内蔵されている。
【0020】
複数のECUには、駆動ECU11、操舵ECU12、ブレーキECU13、メータECU14及びボデーECU15が含まれる。駆動ECU11、操舵ECU12、ブレーキECU13、メータECU14及びボデーECU15は、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる通信、つまりCAN通信が可能に接続されている。
【0021】
駆動ECU11は、車両1の駆動装置21を制御する制御部である。駆動装置21は、エンジンを駆動源として備える構成であってもよいし、モータを駆動源として備える構成であってもよいし、エンジン及びモータの両方を駆動源として備える構成であってもよい。駆動装置21には、必要に応じて、駆動源からの駆動力を変速して出力する変速機が含まれる。
【0022】
操舵ECU12は、車両1の操舵装置22を制御する制御部である。操舵装置22は、例えば、電動モータのトルクをステアリング機構に付与する電動パワーステアリング装置である。ステアリング機構は、例えば、ラックアンドピニオン式のステアリングギヤを含み、電動モータのトルクによりラック軸が車幅方向に移動すると、そのラック軸の移動に伴って左右の操向輪が左右に転舵するように構成されている。
【0023】
ブレーキECU13は、車両1の制動装置23を制御する制御部である。制動装置23は、油圧式であってもよいし、電動式であってもよい。油圧式の制動装置23は、ブレーキアクチュエータを備え、このブレーキアクチュエータの機能により、各車輪に設けられたブレーキのホイールシリンダに油圧が分配され、その油圧により各ブレーキから駆動輪
を含む車輪に制動力が付与される。
【0024】
メータECU14は、車両1のメータパネル(図示せず)の各部を制御する制御部である。メータパネルには、車速やエンジン回転数を表示する計器類の他、各種の情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示器が設けられている。また、メータECU14には、自動運転の緊急停止を指示するために操作される緊急停止スイッチ24が接続されている。
【0025】
ボデーECU15は、車両1のイグニッションスイッチがオフの状態でも動作の必要がある各部、例えば、左右の各ウインカやドアロックモータ等を制御する制御部である。
【0026】
また、複数のECUには、自動運転機能のための制御部として、自動運転ECU31、ライダECU32及び単眼カメラECU33が含まれる。
【0027】
自動運転ECU31は、自動運転制御の制御中枢である。自動運転ECU31は、駆動ECU11、操舵ECU12、ブレーキECU13、メータECU14及びボデーECU15とCAN通信可能に接続されている。
【0028】
自動運転ECU31には、例えば、イーサネット(登録商標)規格の通信ケーブルを介して、全方位ライダ(LiDAR:Light Detection And Ranging)34が接続されている。全方位ライダ34は、360°全方位にレーザ光を照射し、探索範囲内に存在する物体からの反射光を光センサで受光して、その反射光に応じた検出信号を出力する。自動運転ECU31には、その全方位ライダ34の検出信号が入力される。
【0029】
また、自動運転ECU31には、例えば、USB(Universal Serial Bus)規格の通信ケーブルを介して、GPS受信機35が接続されている。GPS受信機35は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)衛星からの測位信号を受信する受信機である。GPS受信機35が受信する測位信号は、GPS受信機35から自動運転ECU31に入力される。
【0030】
ライダECU32は、例えば、イーサネット規格の通信ケーブルを介して、自動運転ECU31と通信可能に接続されている。ライダECU32には、6個のライダ36が接続されている。ライダ36は、探索範囲にレーザ光を照射し、その探索範囲内に存在する物体からの反射光を光センサで受光して、その反射光に応じた検出信号を出力する。ライダ36は、例えば、車両1のフロントバンパの左端、中央及び右端並びにリヤバンパの左端、中央及び右端にそれぞれ配置されている。ライダECU32には、各ライダ36から出力される検出信号が入力される。ライダECU32は、各ライダ36から出力される検出信号を処理し、その処理により得られるデータを自動運転ECU31に送信する。
【0031】
単眼カメラECU33は、例えば、USB規格の通信ケーブルを介して、自動運転ECU31と通信可能に接続されている。単眼カメラECU33には、単眼カメラ37(撮像装置の一例)が接続されている。単眼カメラ37は、車両1の前方の探索範囲の静止画を所定のフレームレートで連続して撮影可能なカメラである。単眼カメラECU33には、単眼カメラ37から連続して出力される静止画の画信号が入力される。単眼カメラECU33は、単眼カメラ37から入力される画信号を処理し、その処理により得られる画像データを自動運転ECU31に送信する。
【0032】
図2は、実施形態に係る車両1の機能構成の一例を示す図である。本実施形態の車両1は、自己位置推定部101、車線認識部102、自動運転制御部103、記憶部104、第1判定部105、第2判定部106及び実行制御部107を有する。これらの機能部101~107は、
図1に例示するような車両1を構成するハードウェアとソフトウェア(プログラム等)との協働により構成される。また、これらの機能部101~107のうち少なくとも1つが専用のハードウェア(回路等)により構成されてもよい。
【0033】
自己位置推定部101は、車両1の自己位置(現在位置)を推定する。自己位置の推定は、公知又は新規な手法を適宜用いて実現されればよいが、例えば、GPS受信機35により取得される測位信号等に基づいて実現され得る。
【0034】
車線認識処理部102は、車両1に搭載された撮像装置(本実施形態では単眼カメラ37)により撮像された撮像画像(画像データ)に基づいて、車両1が走行している道路の車線を認識するための車線認識処理を行う。車線認識処理は、公知又は新規な手法を適宜用いて実現されればよいが、例えば、撮像画像に対する歪み補正、ノイズ除去、明暗調整、色調調整、エッジ検出、特徴抽出等の画像処理の結果に基づいて、道路上に描かれた区画線(中央線、車線分割線、路側線等)の位置や形状等を特定する手法等が適用され得る。
【0035】
自動運転制御部103は、自己位置推定部101による推定結果(車両1の自己位置等)、車線認識処理部102による認識結果(区画線の位置、形状等)等に基づいて、車両1を自動的又は半自動的に走行させるための自動運転制御を行う。自動運転制御の具体的内容は、車両1の仕様等に応じて適宜決定されるべきものであるが、例えば、レーンキープ制御、自動速度制御、自動ブレーキ制御、自動追従制御等であり得る。
【0036】
記憶部104は、自動運転制御の実現に有用な各種データを記憶する。本実施形態の記憶部104に記憶されるデータには、道路の構造を示す情報を含む地図情報が含まれる。地図情報には、例えば、道路情報、地形情報、施設情報、交通情報等が含まれる。道路情報には、例えば、道路の形状、道幅、車線数、区画線の有無、名称、有料道路/一般道路の区分等が含まれる。地図情報は、例えば、車両1に搭載された不揮発性メモリ等に記憶され、適宜な通信ネットワークを介して随時更新可能であることが好ましい。
【0037】
第1判定部105は、地図情報に基づいて、車両1が走行している道路が所定条件を満たす狭隘道路であるか否かを判定する。当該所定条件は、道路が狭隘であることを示し、且つ地図情報から特定可能な条件であり、例えば、道幅が閾値以下であること、道路が2以上の車線を有していないこと等であり得る。なお、所定条件はこれに限定されるものではない。
【0038】
第2判定部106は、地図情報に基づいて、車両1が走行している道路に区画線があるか否かを判定する。区画線とは、道路の車線を区画するための線であり、例えば、進行方向が互いに対向する左側車線と右側車線(対向車線)との境界を示す中央線、進行方向が同一の複数の車線の境界を示す車線分割線、車両走行用の領域と路側帯(路肩)との境界を示す路側線等であり得る。本実施形態では、このような区画線の有無を示す情報を含む地図情報が用いられる。
【0039】
実行制御部107は、第1判定部105による判定結果及び第2判定部106による判定結果に基づいて、車線認識部102における車線認識処理の実行/停止を切り替える。実行制御部107は、第1判定部107により車両1が走行している道路が狭隘道路であると判定され、且つ第2判定部108により当該道路に区画線がないと判定された場合に、車線認識処理を停止させる。これにより、車線認識処理の不要な実行を回避し、処理負荷を軽減できる。
【0040】
また、実行制御部107は、車線認識処理を停止させた後、第2判定部106により車両1の現在位置から所定範囲内に区画線があると判定された場合に、車線認識処理を復帰させる。これにより、車線認識処理が必要な道路に車両1が差し掛かったときにスムーズに車線を認識することが可能となり、車線認識処理の停止による自動運転制御の精度の低下を回避できる。
【0041】
上記所定範囲は、車両1の仕様等に応じて適宜設定されるべきものであるが、例えば、車両1の予定進路(例えばナビゲーションシステムにおいて設定された目的地までの経路)上の範囲等であり得る。この場合、車線認識処理は、予定進路において区画線が出現する位置に車両1が到達する前に復帰される。これにより、ナビゲーションシステムの使用時における自動運転制御の制御性を向上させることができる。
【0042】
図3は、道路51の一例を示す図である。ここで例示する道路51は、車線認識処理が実行される道路の一例であり、進行方向が互いに対向する2つの車線61A,61Bと、これらの車線61A,61Bを区画する3つの区画線62A,62B,62Cと、を有する。左側の車線61Aは、中央線としての区画線62Aと、左側の路側線としての区画線62Bと、により区画された領域である。右側の車線61Bは、区画線62Aと、右側の路側線としての区画線62Cと、により区画された領域である。以下、車線61A,61Bを区別する必要がない場合にはこれらを車線61と記載し、区画線62A,62B,62Cを区別する必要がない場合にはこれらを区画線62と記載する場合がある。
【0043】
図3において、本実施形態の車両1が左側の車線61Aを走行している状態が示されている。このような場合、車線61Aの中央付近を維持するように車両1を走行させるレーンキープ制御等を実行するために、区画線62(主に車線61Aを区画する区画線62A,62B)を認識する車線認識処理が実行される。なお、
図3においては、片側一車線の道路51を例示したが、片側二車線以上の道路であっても同様である。
【0044】
図4は、狭隘道路52Aの一例を示す図である。ここで例示する狭隘道路52Aは、車線認識処理が停止される狭隘道路の一例であり、狭隘であることを示す所定条件を満たし、区画線62がない道路である。狭隘であるか否かの判定(所定条件)は、例えば、道幅Dが閾値以下であること、又は2以上の車線61を有していないこと、のうち少なくとも一方を満たすか否かに基づいて行われる。当該閾値は、車両1の仕様等に応じて適宜設定されるべきものであるが、例えば2m程度であり得る。なお、所定条件は、上記に限られるものではなく、地図情報に基づいて特定可能な条件であればよい。
【0045】
図5は、狭隘道路52Bの一例を示す図である。ここで例示する狭隘道路52Bは、車線認識処理が実行される狭隘道路の一例である。当該狭隘道路52Bは、狭隘であることを示す所定条件を満たすが、車線61と路側帯との境界を示す区画線62があるため、車線認識処理が実行されるべき道路として扱われる。すなわち、このような狭隘道路52Bでは、区画線62を基準としてレーンキープ制御等を実行できるため、区画線62を認識する車線認識処理が実行される。
【0046】
図6は、実施形態に係る車両1の制御装置における処理の一例を示すフローチャートである。自動運転の開始等に伴って車線認識処理が開始されると、第1判定部105は、走行中の道路が狭隘道路であるかを判定する(S101)。当該判定は、車両1の自己位置を示す自己位置情報、地図情報、上記所定条件等に基づいて行われる。走行中の道路が狭隘道路でない場合(S101:No)、本ルーチンを終了し、車線認識処理が継続される。
【0047】
走行中の道路が狭隘道路である場合(S101:Yes)、第2判定部106は、走行中の道路に区画線62がないかを判定する(S102)。当該判定は、自己位置情報、地図情報等に基づいて行われる。走行中の道路に区画線62がある場合(S102:No)、本ルーチンを終了し、車線認識処理が継続される。走行中の道路に区画線62がない場合(S102:Yes)、実行制御部107は、車線認識処理を停止させる(S103)。
【0048】
車線認識処理の停止後、第2判定部106は、車両1の自己位置から所定範囲内に区画線62があるかを判定する(S104)。当該判定は、自己位置情報、地図情報、ナビゲーションシステムから取得される予定進路情報等に基づいて実行される。なお、予定進路がない場合には、予定進路情報は使用されない。自己位置から所定範囲内に区画線62がない場合(S104:No)、本ルーチンを終了し、車線認識処理の停止状態が継続される。自己位置から所定範囲内に区画線62がある場合(S104:Yes)、実行制御部107は、車線認識処理を復帰させる(S105)。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、車両1が走行している道路が狭隘道路であり、且つ区画線がない場合には、車線認識処理が停止される。これにより、車線認識処理が不要に実行されることを回避でき、処理負荷を軽減できる。
【0050】
また、車線認識処理を停止させた後、車両1の現在位置から所定範囲内に区画線62がある場合には、区画線62がある道路に車両1が到達する前に車線認識処理が復帰される。これにより、車線認識処理が必要な道路に車両1が差し掛かったときにスムーズに車線を認識でき、車線認識処理の停止による自動運転制御の精度の低下を抑制できる。
【0051】
上記のような車両1の制御装置における各種機能を実現するための処理をコンピュータ(例えば自動運転ECU31、単願カメラECU33等)に実行させるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disc)-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供することが可能なものである。また、当該プログラムは、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布されてもよい。また、当該プログラムをROM等に予め組み込んで提供してもよい。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した実施形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1…車両、11…駆動ECU、12…操舵ECU、13…ブレーキECU、14…メータECU、15…ボデーECU、24…緊急停止スイッチ、31…自動運転ECU、32…ライダECU、33…単眼カメラECU、34…全方位ライダ、35…GPS受信機、36…ライダ、37…単眼カメラ、51…道路、52A,52B…狭隘道路、61,61A,61B…車線、62,62A,62B,62C…区画線、101…自己位置推定部、102…車線認識部、103…自動運転制御部、104…記憶部、105…第1判定部、106…第2判定部、107…実行制御部、D…道幅