(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131216
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】画像形成装置及びファームウェアの更新方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240920BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H04N1/00 C
H04N1/00 350
B41J29/38 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041338
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】神代 卓也
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061HK05
2C061HN05
2C061HN08
2C061HN15
2C061HN24
2C061HQ01
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB42
5C062AB49
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC68
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF02
5C062AF06
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】ファームウェア更新の際の装置状況に応じて、当該ファームウェアの更新に係る制御を適切に行うことにより、ユーザの利便性を向上させることが可能な画像形成装置等を提供する。
【解決手段】リモートでのファームウェアの更新指示を受付ける受信部と、操作画面を表示する表示部と、前記ファームウェアの更新に関する処理を制御する制御部とを備え、前記制御部は、受付けた前記更新指示に基づき、更新の際の装置状況に応じて、前記表示部で表示する前記操作画面の表示内容又は前記ファームウェアの更新開始タイミングを制御する画像形成装置。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモートでのファームウェアの更新指示を受付ける受信部と、
操作画面を表示する表示部と、
前記ファームウェアの更新に関する処理を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
受付けた前記更新指示に基づき、更新の際の装置状況に応じて、
前記表示部で表示する前記操作画面の表示内容又は前記ファームウェアの更新開始タイミングを制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
予め設定された前記ファームウェアの更新指示に基づき、更新の際の装置状況に応じて、
前記表示部で表示する前記操作画面の表示内容又は前記ファームウェアの更新開始タイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記更新指示に、前記ファームウェアの更新日時を指定する日時指定が含まれている場合、当該更新日時に画像形成装置が電源断とならないように促すメッセージを前記操作画面に表示することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記更新日時の所定時間前に、画像形成装置に対するユーザの操作を制限することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記更新日時の所定時間前に、画像形成に係るジョブを実行中の場合は、当該ジョブの終了を待って前記ファームウェアを更新することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記ファームウェアを強制的に更新する強制更新設定がなされている場合は、前記ジョブを中断して前記ファームウェアを更新することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記ファームウェアの更新開始タイミングに到達したときに、装置不具合によって前記ファームウェアの更新が実行できなかった場合は、所定の通知先に通知し、前記ファームウェアの更新を促すことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記装置不具合には、
画像形成装置の電源断、ネットワーク回線からの切断、装置故障、又は消耗品交換が含まれることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記装置不具合が解消され、外部端末装置から前記更新指示を受付けたときに、前記ファームウェアの更新を開始することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
リモートでのファームウェアの更新指示を受付け、
受付けた前記更新指示に基づき、更新の際の装置状況に応じて、
表示装置で表示する操作画面の表示内容又は前記ファームウェアの更新開始タイミングを制御することを特徴とするファームウェアの更新方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機等の画像形成装置は、製造メーカやディーラ等から配布されるファームウェアを更新することで装置状態を良好な状態に維持することができる。一般的に、更新用のファームウェアがリリースされると、画像形成装置の保守、管理を請け負うサービス業者や、画像形成装置の管理権限を有するユーザ(以降、単に管理者と称する)によってファームウェアの更新処理が行われる。
【0003】
一般的なファームウェアの更新処理では、例えば、サービス業者等の外部から、リモートで更新指示がなされる場合と、画像形成装置の管理者が、システム設定画面等を介して自動アップデートを設定する場合とが想定される。
【0004】
例えば、特許文献1には、Webブラウザを使用したリモートUIの操作画面を介して情報処理装置のファームウェアの更新処理を行う技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これまで、更新指示に基づくファームウェアの更新処理において、更新開始の際の画像形成装置の装置状況は考慮されてこなかった。
【0007】
本開示は、ファームウェア更新の際の装置状況に応じて、当該ファームウェアの更新に係る制御を適切に行うことにより、ユーザの利便性を向上させることが可能な画像形成装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係る画像形成装置は、リモートでのファームウェアの更新指示を受付ける受信部と、操作画面を表示する表示部と、前記ファームウェアの更新に関する処理を制御する制御部とを備え、前記制御部は、受付けた前記更新指示に基づき、更新の際の装置状況に応じて、前記表示部で表示する前記操作画面の表示内容又は前記ファームウェアの更新開始タイミングを制御することを特徴としている。
【0009】
また、本開示に係るファームウェアの更新方法は、リモートでのファームウェアの更新指示を受付け、受付けた前記更新指示に基づき、更新の際の装置状況に応じて、表示装置で表示する操作画面の表示内容又は前記ファームウェアの更新開始タイミングを制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本開示によればファームウェア更新の際の装置状況に応じて、当該ファームウェアの更新に係る制御を適切に行うことにより、ユーザの利便性を向上させることが可能な画像形成装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る複合機のネットワークに対する接続形態を説明する図である。
【
図2】第1実施形態に係る複合機の機能構成を説明する図である。
【
図3】ファームウェア管理テーブルのデータ構造の一形態を説明する図である。
【
図4】第1実施形態に係るファームウェア提供装置の機能構成を説明する図である。
【
図5】ファームウェア更新設定テーブルのデータ構造の一形態を説明する図である。
【
図6】第1実施形態に係る処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図7】第1実施形態に係る処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図8】第1実施形態に係る処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図9】第1実施形態に係る処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図10】第1実施形態に係る動作例を説明する図である。
【
図11】第1実施形態に係る動作例を説明する図である。
【
図12】第1実施形態に係る動作例を説明する図である。
【
図13】第1実施形態に係る動作例を説明する図である。
【
図14】第1実施形態に係る動作例を説明する図である。
【
図15】第1実施形態に係る動作例を説明する図である。
【
図16】第1実施形態に係る動作例を説明する図である。
【
図17】第2実施形態に係る処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図18】第2実施形態に係る動作例を説明する図である。
【
図19】第2実施形態に係る動作例を説明する図である。
【
図20】第2実施形態に係る動作例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は、本開示を説明するための一例であり、特許請求の範囲に記載した説明の技術的範囲は、以下の記載に限定されるものではない。
【0013】
画像形成装置に対するファームウェアの更新処理は、リモートからの更新指示や、画像形成装置のシステム設定画面を介して設定された自動アップデートに係る更新指示に基づき実施することができる。例えば、当該更新指示に、ファームウェアの更新を開始する更新日時が指定されている場合、画像形成装置は、更新日時として指定された日時(更新開始タイミング)にファームウェアの更新処理を開始する。
【0014】
更新指示に含まれる更新日時指定等の設定内容は、リモートで更新指示を行うサービス業者や、画像形成装置の管理者は把握することができるが、画像形成装置を利用するユーザ(一般)が把握することは困難である。
【0015】
また、更新日時として指定された日時に、画像形成装置が如何なる装置状況であるかを予測することは困難である。例えば、ファームウェアの更新開始タイミングに、停電等の電源断が発生していたり、入力されたジョブを処理中である場合は、更新処理を実施することができない。
【0016】
このように、ファームウェアの更新に関し、ユーザに対する通知や、更新開始の際の画像形成装置の装置状況が考慮されていないと、ユーザが意図していないタイミングでファームウェアの更新が実行されてしまったり、逆に、ユーザが意図したタイミングでのファームウェアの更新が行われないといった事態を招く可能性があった。
【0017】
本開示では、ファームウェアの更新指示の内容に基づき、ファームウェア更新の際の装置状況に応じて、当該ファームウェアの更新に係る制御を適切に行うことで、ユーザの利便性を向上させることが可能な画像形成装置を以下の実施形態で実現する。
【0018】
[1 第1実施形態]
第1実施形態では、プリント、コピー、スキャン、ファクス、インターネットファクス等の各モードにおいてデバイスが実行するジョブを一つの筐体で実施可能な複合機を画像形成装置の一形態として説明する。第1実施形態に係る複合機は、更新指示で指定された更新日時(更新開始タイミング)でファームウェアの更新を実行可能な画像形成装置である。第1実施形態では、ファームウェア提供装置からリモートで出力されたファームウェア更新指示に基づき複合機(デバイス)のファームウェア更新を実行する形態について説明する。なお、ファームウェアの更新は、後述するように、画像形成装置の管理者が、システム設定画面等を介して自動アップデートを設定し、更新に係るファームウェアをファームウェア提供装置から取得して行うことも可能である。
【0019】
図1は、複合機10とファームウェア提供装置30との接続形態の一構成を概略的に説明する図である。複合機10は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、電話回線、ファクス回線等のネットワークNWを介し、ファームウェア提供装置30と通信可能となるように接続されている。なお、
図1では、複合機10はファームウェア提供装置30と同一のネットワークNWに接続された形態を示しているが、異なるネットワークNWを介して接続されていてもよい。また、複合機10は、ネットワークNWに複数台接続されていてもよい。
【0020】
[1.1 機能構成]
[1.1.1 複合機10について]
第1実施形態に係る複合機10の機能構成について
図2を用いて説明する。
図2は、複合機10の機能構成図である。複合機10は、制御部11と、表示部13と、操作入力部15と、画像入力部17と、画像形成部19と、通信部21と、検知部23と、記憶部25とを備える。
【0021】
制御部11は、複合機10全体を制御する。制御部11は、例えば、1又は複数の演算装置(CPU(Central processing unit)等)により構成される。制御部11は、記憶部25に記憶された各種プログラムを読み出し、画像入力部17、画像形成部19、通信部21、検知部23等の各デバイスを制御することでその機能を実現する。
【0022】
表示部13は、各種情報をユーザ等に対して表示する。表示部13は、例えば、LCD(Liquid crystal display)や有機EL(Electro-luminescence)ディスプレイ等の表示装置により構成することができる。表示部13は、表示制御プログラム253を読み出した制御部11による制御に基づき、操作画面としてのホーム画面、ジョブ実行画面、システム設定画面等を表示する。
【0023】
操作入力部15は、ユーザ等による情報の入力を受付ける。操作入力部15は、ハードキー(例えば、テンキー)やボタン等の入力装置で構成することができる。なお、操作入力部15は、表示部13を介しての入力が可能なタッチパネルとして構成することができる。この場合、タッチパネルの入力方式としては、例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった一般的な方式を採用することができる。
【0024】
画像入力部17は、例えば、CCD(Charge coupled device)、CIS(Contact image sensor)等のイメージセンサ、自動原稿送り装置(ADF:Automatic document feeder)、原稿を載置するためのフラットベット等を備えたスキャナ装置として構成することができる。この場合、スキャナ装置は、原稿画像からの反射光像をイメージセンサで読取ることで画像データを生成することが可能な構成であれば、その構成に特に制限はない。なお、画像入力部17は、例えば、USB(Universal serial bus)メモリ等の外部記憶装置(デバイス)に記憶された画像データファイルや、ネットワークNWを介して受信した画像データ等の取得が可能なインタフェースとして構成することも可能である。
【0025】
画像形成部19は、画像入力部17から入力された画像データに基づく画像を記録媒体としての用紙等に形成する。画像形成部19は、不図示の給紙部から用紙を給紙し、用紙上に画像データに基づく画像を形成した後、不図示の排紙部に排紙する。画像形成部19は、例えば、電子写真方式を利用したレーザプリンタ等により構成することができる。この場合、画像形成部19は、トナー色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に対応した不図示のトナーカートリッジから供給されるトナーを用いて画像形成を行う。
【0026】
通信部21は、例えば、LAN、WAN、インターネット、電話回線、ファクス回線等のネットワークNWを介して他の装置(ファームウェア提供装置30)との通信を行うために必要な有線/無線の何れか又はその両方のインタフェースを備える。通信部21は受信部として機能し、リモートでのファームウェアの更新指示を受付けることができる。
【0027】
検知部23は、複合機10の装置状態を監視するための、温湿度センサ等の環境センサ、画像入力部17や画像形成部19における記録媒体の位置を検知する媒体位置センサ等の画像形成に関する各種センサに加え、複合機10の近傍に存在するユーザを検知するための人感センサを備える。人感センサとしては、特に限定はされないが、例えば、赤外線センサ、音感センサ、超音波センサ、タッチセンサ等を挙げることができる。
【0028】
記憶部25は、複合機10の動作に必要な各種プログラムや、各種データを記憶する。記憶部25は、例えば、RAM(Random access memory)、HDD(Hard disk drive)、SSD(Solid state drive)、ROM(Read only memory)等の記憶装置により構成するこができる。
【0029】
第1実施形態において、記憶部25は、ジョブ制御プログラム251と、表示制御プログラム253と、ファームウェア更新プログラム255と、更新指示・装置状況判定プログラム257とを記憶し、ファームウェア記憶領域259を確保する。
【0030】
ジョブ制御プログラム251は、プリント、コピー、スキャン、ファクス、インターネットファクス等の各モードに係る処理をジョブ単位で行うために、制御部11が読み出すプログラムである。ジョブ制御プログラム251を読み出した制御部11は、表示部13、操作入力部15、画像入力部17、画像形成部19、通信部21、検知部23等の各デバイスを制御することでジョブを実行する。
【0031】
表示制御プログラム253は、表示部13を介した操作画面の表示制御を行う際に制御部11が読み出すプログラムである。表示制御プログラム253を読み出した制御部11は、例えば、ホーム画面、ジョブ実行画面、システム設定画面、ファームウェアの更新に関する各種操作画面を表示部13に表示する。
【0032】
ファームウェア更新プログラム255は、ファームウェア更新指示を受付けた際に制御部11が読み出すプログラムである。ファームウェア更新プログラム255を読み出した制御部11は、リモートにより入力されたファームウェアの更新指示や、自動アップデート設定に係る更新指示の内容に基づき、装置状況に応じてファームウェア更新に関する処理を実行する。ファームウェア更新プログラム255を読み出した制御部11は、例えば、後述するファームウェア更新に係る更新設定画面や、各種メッセージ画面等の表示指示を行う。また、ファームウェア更新プログラム255を読み出した制御部11は、更新指示の内容、複合機10の装置状況に応じて、表示部13で表示する操作画面の表示内容又はファームウェアの更新開始タイミング等を制御する。
【0033】
更新指示・装置状況判定プログラム257は、入力されたファームウェアの更新指示の解析や、複合機10の装置状況を判定する際に、制御部11が読み出すプログラムである。更新指示・装置状況判定プログラム257を読み出した制御部11は、リモートにより入力された更新指示や、自動アップデート設定に係る更新指示を解析する。制御部11は、解析した更新指示に、更新日時指定が含まれている場合、当該日時情報を取得する。また、更新指示・装置状況判定プログラム257を読み出した制御部11は、検知部23が検知した各種検知結果や、ジョブの実行状況を装置状況として取得する。更新指示・装置状況判定プログラム257の読み出しにより取得した更新指示や、装置情報はファームウェア更新に関する処理に用いられる。
【0034】
ファームウェア記憶領域259は、更新に係るファームウェアや、ファームウェア更新に係る更新ログを管理するファームウェア管理テーブル2590を記憶する記憶領域である。ここで、ファームウェア管理テーブル2590について
図3を用いて説明する。
【0035】
図3は、ファームウェア管理テーブル2590のデータ構造の一構成例を説明する図である。ファームウェア管理テーブル2590は、管理項目として、Model Nameと、Serial Numberと、FW Update Nameと、Update Scheduledと、Statusと、Status Changedと、FW Versionとを含む。
【0036】
Model Nameは、複合機10のモデル名(○○-0001)を表す。Serial Numberは、複合機10のシリアル番号(9504615800)を表す。FW Update Nameは、更新に係るファームウェアの名称(abcdefghijk)を表す。Update Scheduledは、ファームウェア更新の更新日時指定(6/7/2022 5:00 PM)を表す。Statusは、更新結果(Success)を表す。Status Changedは、ファームウェアの更新が終了し、Statusが更新された日時(6/7 2022 5:19 PM)を表す。FW Versionは、更新に係るファームウェアのバージョン(00P20.G1)を表す。
【0037】
なお、ファームウェア管理テーブル2590で管理する管理項目は、上記項目に限定されることなく適宜設定変更が可能である。ファームウェア更新プログラム255を読み出した制御部11は、ファームウェア更新指示を受付けると、ファームウェア管理テーブル2590を参照し、例えば、更新されるファームウェアの名称、バージョン等を確認することで、更新用のファームウェアが適切であるか否かを判定することができる。例えば、ファームウェア管理テーブル2590での参照の結果、更新用のファームウェアが適切でない場合、制御部11は、更新用のファームウェアが適切でない旨を表示部13にエラーメッセージとして表示したり、更新用のファームウェアの提供先(ファームウェア提供装置30)に更新用のファームウェアが適切でない旨の通知や、適切な更新用のファームウェアの取得要求等を行うことも可能である。
【0038】
[1.1.2 ファームウェア提供装置30について]
ファームウェア提供装置30は、例えば、複合機10の製造メーカ、ディーラ、又は複合機10の管理・保守を請け負うサービス業者等のオペレータにより用いられ、更新用のファームウェアの提供に関し、当該ファームウェアの更新指示を出力することが可能な外部端末装置である。
【0039】
図4は、ファームウェア提供装置30の機能構成図である。ファームウェア提供装置30は、制御部31と、表示部33と、操作入力部35と、通信部37と、記憶部39とを備える。
【0040】
制御部31は、ファームウェア提供装置30全体を制御する。制御部31は、例えば、1又は複数の演算装置(CPU等)により構成される。制御部31は、記憶部39に記憶された各種プログラムを読み出して実行することにより、各機能を実現する。
【0041】
表示部33は、各種情報をユーザ等に表示する。表示部33は、例えば、LCDや、有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ、ミニLEDディスプレイ等の表示装置により構成することができる。
【0042】
操作入力部35は、ユーザ等からの情報の入力を受付ける入力装置である。操作入力部35は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置から構成することができる。
【0043】
通信部37は、例えば、LAN、WAN、インターネット、電話回線、ファクス回線等のネットワークNWを介して他の装置(複合機10)との通信を行うために必要な有線/無線通信の何れか又はその両方のインタフェースを備える。通信部37は、複合機10との間で通信を行い、ファームウェアの更新指示や、更新用のファームウェア本体等を提供することができる。
【0044】
記憶部39は、ファームウェア提供装置30の動作に必要な各種プログラムや、各種データを記憶する。記憶部39は、例えば、RAM、HDD、SSD、ROM等の記憶装置により構成することができる。
【0045】
第1実施形態において、記憶部39は、表示制御プログラム391と、ファームウェア提供プログラム393とを記憶し、ファームウェア記憶領域395と、ファームウェア更新設定記憶領域397とを確保する。
【0046】
表示制御プログラム391は、表示部33を介した表示画面の表示制御を行う際に制御部31が読み出すプログラムである。表示制御プログラム391を読み出した制御部31は、例えば、後述するファームウェア更新設定画面等を表示する。
【0047】
ファームウェア提供プログラム393は、更新用のファームウェアの提供の際に制御部31が読み出すプログラムである。ファームウェア提供プログラム393を読み出した制御部31は、後述するファームウェア更新設定テーブルを参照し、ファームウェアの更新日時が指定された場合には、指定された更新日時にファームウェアが更新されるように更新指示を複合機10に対して出力する。ファームウェア提供プログラム393を読み出した制御部31は、更新用のファームウェアを複合機10に対して出力する。
【0048】
ファームウェア記憶領域395は、更新用のファームウェアを記憶する記憶領域である。なお、更新用のファームウェアはファームウェア提供装置30以外のサーバ等の外部装置から提供される形態であってもよい。
【0049】
ファームウェア更新設定記憶領域397は、ファームウェアの更新設定を管理するファームウェア更新設定テーブル3970を記憶する記憶領域である。ここで、ファームウェア更新設定テーブル3970について
図5を用いて説明する。
【0050】
図5は、ファームウェア更新設定テーブル3970のデータ構造の一構成例を説明する図である。ファームウェア更新設定テーブル3970は、管理項目として、Model Nameと、Serial Numberと、FW Update Nameと、Update Scheduledと、Statusと、Status Changedと、FW Versionとを含む。
【0051】
Model Nameは、更新用のファームウェアの提供先として管理する複合機10のモデル名を表す。Serial Numberは、更新用のファームウェアの提供先として管理する複合機10のシリアル番号を表す。FW Update Nameは、更新に係るファームウェアの名称を表す。Update Scheduledは、設定されたファームウェア更新の更新日時を表す。Statusは、更新結果を表す。Status Changedは、ファームウェアの更新が終了し、Statusが変更された日時を表す。FW Versionは、更新に係るファームウェアのバージョンを表す。
【0052】
例えば、Model Name“○○-0001”、Serial Number“9504615800”で識別されるファームウェア更新設定は、複合機10に対するファームウェア更新設定である。なお、ファームウェア提供装置30は、複合機10以外の画像形成装置に対するファームウェア更新を管理する場合、複合機10に対するファームウェア更新設定と同様の設定情報を管理することができる。例えば、Model Name“○○-0003”、Serial Number“3322445566”で識別されるファームウェア更新設定は、Model Name“○○-0003”、Serial Number“3322445566”で識別される画像形成装置に対するファームウェア更新設定である。このファームウェア更新設定では、ファームウェアの更新が更新日時(6/10/2022 5:00 PM)に指定され、当該更新日時が到来するまでファームウェアの更新が保留されている状態を表している(Status“Waiting”)。
【0053】
[1.2 処理の流れ]
[1.2.1 複合機10の処理について]
次に、第1実施形態に係る処理の流れについて説明する。
図6は、複合機10におけるファームウェアの更新に係る処理を説明するフローチャートであって、ファームウェアの更新指示に当該ファームウェアの更新日時を指定する更新日時指定が含まれる場合の処理について説明するフローチャートである。
図6で説明する処理は、複合機10の制御部11が主に表示制御プログラム253、ファームウェア更新プログラム255、更新指示・装置状況判定プログラム257等を読み出すことで実行する処理である。
【0054】
まず、制御部11は、ファームウェア提供装置30からファームウェアの更新指示を受付けたか否かを判定する(ステップS10)。ファームウェアの更新指示を受付けたと判定した場合、制御部11は、受付けた更新指示を解析し、当該更新指示に更新日時指定が含まれているか否かを判定する(ステップS10;Yes→ステップS12)。なお、ファームウェアの更新指示を受付けていないと判定した場合、制御部11は、ファームウェアの更新指示を受付けるまで待機する(ステップS10;No)。
【0055】
ステップS12において、更新指示に更新日時指定が含まれていると判定した場合、制御部11は、当該更新日時指定で指定された日時に複合機10が電源断とならないように促すメッセージを表示部13に表示する(ステップS12;Yes→ステップS14)。
【0056】
次いで、制御部11は、現時刻が更新日時指定で指定された日時の所定時間前であるか否かを判定する(ステップS16)。現時刻が更新日時指定で指定された日時の所定時間前であると判定した場合、制御部11は複合機10に対するユーザの操作を制限する(ステップS16;Yes→ステップS18)。なお、現時刻が更新日時指定で指定された日時の所定時間前ではないと判定した場合、制御部11はメッセージの表示を継続する(ステップS16;No→ステップS14)。
【0057】
複合機10に対するユーザの操作を制限後、制御部11は、例えば、印刷ジョブ等のジョブを実行中であるか否かを判定する(ステップS20)。ジョブを実行中であると判定した場合、制御部11は、ジョブやその他の処理を実行中であっても、ファームウェアを強制的に更新する強制更新設定が設定されているか否かを判定する(ステップS20;Yes→ステップS22)。
【0058】
強制更新設定が設定されていないと判定すると、制御部11は、ジョブを継続して実行する(ステップS22;No→ステップS24)。そして、制御部11は、実行中のジョブが終了したか否かを判定する(ステップS26)。実行中のジョブが終了したと判定した場合、制御部11は、ファームウェアの更新処理を行う(ステップS26;Yes→ステップS28)。なお、実行中のジョブが終了していないと判定した場合、制御部11はジョブの実行を継続する(ステップS26;No→ステップS24)。
【0059】
ところで、ステップS12において、更新指示に更新日時指定が含まれていないと判定した場合(ステップS12;No)、ステップ20において、ジョブを実行中ではないと判定した場合(ステップS20;No)、又はステップS22において、強制更新設定が設定されていると判定した場合(ステップS22;Yes)、制御部11は、ファームウェアの更新処理を行う(ステップS28)。
【0060】
次に、
図7は、複合機10におけるファームウェアの更新に係る処理を説明するフローチャートであって、ファームウェアの更新指示を受付けた際の装置状況に応じて更新処理を行うか否かを判定する場合の処理について説明するフローチャートである。
【0061】
まず、制御部11は、ファームウェア提供装置30からファームウェアの更新指示を受付けたか否かを判定する(ステップS30)。ファームウェアの更新指示を受付けたと判定した場合、制御部11は、ファームウェア更新開始タイミングに到達したか否かを判定する(ステップS30;Yes→ステップS32)。一方、ファームウェアの更新指示を受付けていないと判定した場合、制御部11は、更新指示を受付けるまで待機する(ステップS30;No)。
【0062】
ファームウェアの更新開始タイミングに到達したと判定した場合、制御部11は、装置状況判定処理を実行する(ステップS32;Yes→ステップS34)。一方、ファームウェア更新開始タイミングに到達していないと判定した場合、制御部11は更新開始タイミングに到達するまで待機する(ステップS32;No)。ところで、制御部11は、ステップS32の処理を省略し、ファームウェアの更新指示を受付けたと判定した時点で、ステップS34に係る装置状況判定処理を実行してもよい。
【0063】
装置状況判定処理の結果、装置不具合が発生していると判定した場合、制御部11は、ファームウェアの更新を実行せず、サービス業者や、管理者等の通知先に対してファームウェアの更新が失敗した旨を通知する(ステップS36;Yes→ステップS38)。
【0064】
一方、装置状況判定処理の結果、装置不具合が発生していないと判定した場合、制御部11は、ファームウェアの更新処理を実行する(ステップS36;No→ステップS40)。
【0065】
図8は、
図7のステップS34に係る装置状況判定処理を説明するフローチャートである。
図8において、制御部11は、電源断、ネットワーク回線の混線・切断、装置故障、又は消耗品交換等によって発生した装置不具合により、複合機10の機能発揮が妨げられる状況であるか否かを装置状況として判定する。なお、
図8では、装置状況判定処理として複合機10に発生した装置不具合について説明するが、装置状況は、
図8で例示する装置不具合に限定されるものではない。装置状況としては、例えば、複合機10がジョブやその他の処理を実行中であって、ステップS34のタイミングにおいてファームウェアの更新処理を遂行できず、ファームウェアの更新処理が失敗するような状況も想定することができる。
【0066】
制御部11は、装置状況判定処理を開始すると、装置が電源断であって、必要な電力の供給が妨げられている状況であるか否かを判定する(ステップS341)。制御部11は、電源断であると判定すると、装置不具合に該当すると判定する(ステップS341;Yes→ステップS351)。
【0067】
一方、制御部11は、電源断ではないと判定すると、ネットワーク回線の混線・切断が生じているか否かを判定する(ステップS341;No→ステップS343)。制御部11は、ネットワーク回線の混線・切断が生じていると判定すると、装置不具合に該当すると判定する(ステップS343;Yes→ステップS351)。
【0068】
一方、制御部11は、ネットワーク回線の混線・切断が生じていないと判定すると、装置故障が生じているか否かを判定する(ステップS343;No→ステップS345)。制御部11は、装置故障が生じていると判定すると、装置不具合に該当すると判定する(ステップS345;Yes→ステップS351)。
【0069】
一方、制御部11は、装置故障が生じていないと判定すると、トナーや用紙等の消耗品交換が行われているか否かを判定する(ステップS345;No→ステップS347)。制御部11は、消耗品交換が行われていると判定すると、装置不具合に該当すると判定する(ステップS347;Yes→ステップS351)。
【0070】
一方、消耗品交換が行われていないと判定すると、制御部11は、装置状況は装置不具合に該当しないと判定する(ステップS347;No→ステップS349)。
【0071】
なお、ここでの説明では、ファームウェアの更新指示に当該ファームウェアの更新日時を指定する更新日時指定が含まれる場合の処理(
図6)及びファームウェアの更新指示を受付けた際の装置状況に応じて更新処理を行うか否かを判定する場合の処理(
図7及び
図8)について個別に説明したが、これらの処理は、一連の処理として実施することもできるし、並列的な処理として実施することも無論可能である。
【0072】
[1.2.2 ファームウェア提供装置30の処理について]
次に、ファームウェア提供装置30における処理の流れについて
図9のフローチャートを用いて説明する。
図9で説明する処理は、制御部31が主に表示制御プログラム391、ファームウェア提供プログラム393等を読み出すことで実行する処理である。
【0073】
制御部31は、ファームウェア更新設定テーブル3970を監視し、予め設定されたファームウェアの更新指示タイミングに到達したか否かを判定する(ステップS100→ステップS102)。ファームウェアの更新指示タイミングに到達したと判定した場合、制御部31はファームウェア更新設定画面を表示部33に表示する(ステップS102;Yes→ステップS104)。なお、ファームウェアの更新指示タイミングに到達していないと判定した場合、制御部31はファームウェア更新設定テーブル3970の監視を継続する(ステップS102;No→ステップS100)。
【0074】
制御部31は、表示したファームウェア更新設定画面を介してファームウェアの更新指示が選択されたか否かを判定する(ステップS106)。ファームウェアの更新指示が選択されたと判定した場合、制御部31は、ファームウェアの更新指示を複合機10に対して出力する(ステップS106;Yes→ステップS108)。なお、ファームウェアの更新指示が選択されなかったと判定した場合、制御部31は処理を終了する(ステップS106;No→終了)。
【0075】
次いで、制御部31は、出力したファームウェアの更新指示に基づき、複合機10からファームウェアの更新実行指示を受付けたか否かを判定する(ステップS110)。ファームウェアの更新実行指示を受付けたと判定した場合、制御部31は更新用のファームウェアを複合機10に対して出力する(ステップS110;Yes→ステップS112)。一方、ファームウェアの更新実行指示を受付けていないと判定した場合、制御部31は処理をステップS114に移行する(ステップS110;No→ステップS114)。
【0076】
制御部31は、複合機10からファームウェアの更新指示の再要求を受付けたか否かを判定する(ステップS114)。ファームウェアの更新指示の再要求を受けたと判定した場合、制御部31はファームウェアの更新指示を再出力して処理を終了する(ステップS114;Yes→ステップS116)。一方、ファームウェアの更新指示の再要求を受けていないと判定した場合、制御部31は処理を終了する(ステップS114;No→終了)。
【0077】
[1.3 動作例]
次に、第1実施形態に係る動作例について説明する。
図10は、複合機10における設定画面W10の一構成例を説明する図である。
【0078】
設定画面W10は、システム設定タブT10を含む。システム設定タブT10は、複合機10のシステム全般に係る設定情報の表示、設定値の入力を受付ける。システム設定タブT10は、ファームウェア更新に係る自動アップデートの設定を受付けるファームウェア更新設定領域R12を含む。
【0079】
ファームウェア更新設定領域R12は、基本設定領域R14と詳細設定領域R16とを有する。基本設定領域R14は、ファームウェア更新設定プルダウンメニューと、ファームウェア更新時刻設定とを含む。
【0080】
ファームウェア更新設定プルダウンメニューは、ファームウェア更新の有効・無効の設定を受付ける。ファームウェア更新設定プルダウンメニューの設定値が“ON”である場合、ファームウェア更新は有効となる。一方、設定値が“OFF”であるとファームウェア更新は無効となる。
【0081】
ファームウェア更新時刻設定は、ファームウェア更新指示の受付時間帯の設定を受付ける。制御部11は、ファームウェア更新受付開始時刻で設定した受付開始時刻からファームウェア更新受付終了時刻で設定した受付終了時刻の間でファームウェア更新指示を受付ける。
【0082】
詳細設定領域R16は、ファームウェア更新に係る詳細設定を受付ける領域である。
図10は、詳細設定の一例として、ファームウェア更新開始時、ジョブの実行中の場合は、ジョブを中断し、更新を強制スタートする強制更新設定の有効・無効の選択を受付けるプルダウンメニューを表示した例示である。強制更新設定プルダウンメニューの設定値が“ON”である場合、ファームウェアの強制更新は有効となる。一方、設定値が“OFF”であるとファームウェアの強制更新は無効となる。
【0083】
図11は、ファームウェア提供装置30の制御部31が表示部33に表示するファームウェア更新設定画面W30の一構成例を説明する図である。ファームウェア更新設定画面W30は、ファームウェア提供装置30のオペレータ(サービス業者等)によるリモートでのファームウェア更新に係る設定を受付ける設定画面である。
【0084】
ファームウェア更新設定画面W30は、ファームウェア更新操作選択領域R30と、ファームウェア更新設定表示領域R32とを含む。
【0085】
ファームウェア更新操作選択領域R30は、FW Updateボタンと、Reserve FW Upadateボタンと、Cancel FW Updateボタンとを備える。FW Updateボタンは、ファームウェア更新の出力指示を受付けるボタンである。Reserve FW Updateボタンはファームウェア更新の予約指示を受付けるボタンである。Cancel FW Updateボタンはファームウェア更新のキャンセル指示を受付けるボタンである。
【0086】
ファームウェア提供装置30のオペレータは、ファームウェア更新操作選択領域R30に設けられた各種ボタンを選択することにより、ファームウェア更新に係る処理の実行やそのキャンセル指示を出力することができる。
【0087】
ファームウェア更新設定表示領域R32は、ファームウェア更新設定テーブル3970における設定内容を表示する表示領域である。ファームウェア提供装置30のオペレータは、ファームウェア更新設定表示領域R32における表示内容を確認することにより、管理する複合機10に対してファームウェアの更新指示等を行うことができる。
【0088】
図12は、
図6のステップS14に係る処理に対応する動作例を説明する図である。
図12において、ファームウェア提供装置30は、オペレータの指示に基づきファームウェア更新指示を複合機10に対して行う。このとき、ファームウェア更新指示に更新日時指定が含まれる場合、制御部11は、当該更新日時指定に係る日時に、複合機10の電源をOFFとしないように(電源断とならないように)要求する内容のメッセージ(「本日、15:00からファームウェア更新を行います。電源をOFFにしないでください。」)を表示部13に表示する。制御部11は、複合機10の電源がONの場合に常時当該メッセージを表示部13に表示してもいいし、ジョブの実行前又は人感センサ(検知部23)が複合機10の周囲に位置する人を検知した場合に当該メッセージを表示部13に表示してもよい。
【0089】
図13は、
図6のステップS18からステップS28に係る処理に対応する動作例を説明する図である。
図13において、ファームウェア提供装置30は、オペレータの指示に基づきファームウェア更新指示を複合機10に対して行う。このとき、ファームウェア更新指示に更新日時指定が含まれる場合、制御部11は、現時刻が当該更新日時指定に係る日時の所定時間前であると判定した場合、複合機10に対するユーザの操作を制限する内容のメッセージ(「本日、15:00からファームウェア更新を行います。開始時刻5分前になったら本機の利用を停止します。」)を表示部13に表示する。加えて、ジョブが実行中である場合、制御部11は、当該ジョブを停止、又は当該ジョブの終了後にファームウェアの更新処理を行う内容のメッセージ(「本日、15:00からファームウェア更新を行います。開始時刻5分前になったら実行中のジョブを停止します。」または、「本日、15:00からファームウェア更新を行います。開始時刻5分前にジョブを実行中の場合は、ジョブ終了後にファームウェア更新を行います。」)を表示部13に表示する。制御部11は、複合機10の電源がON、ジョブの実行前又は人感センサ(検知部23)が複合機10の周囲に位置する人を検知した場合に当該メッセージを表示部13に表示する。なお、上記例示のメッセージは、ファームウェア更新の開始時刻の5分前若しくは開始時刻になるまでは、操作画面の操作が可能となるように、操作画面の一部の領域にメッセージを表示し、開始時刻の5分前若しくは開始時刻になったら、操作画面を介した操作が不可となるように操作画面のほぼ全域を覆うようにメッセージを表示する(若しくは、操作ボタンを無効化した操作画面の一部の領域にメッセージを表示する)形態とすることも可能である。
【0090】
図14は、
図7のステップS34からステップS38に係る処理に対応する動作例を説明する図である。
図14において、ファームウェア提供装置30は、オペレータの指示に基づきファームウェア更新指示を複合機10に対して行う。このとき、装置状況として、電源OFF(電源断)の装置不具合が発生しており、ファームウェアの更新処理が失敗したものとする。制御部11は、更新エラー通知を行うとともに、ファームウェアの再更新指示をファームウェア提供装置30のオペレータに対して実行する。
【0091】
図15は、
図14で説明したエラー通知の一例としてのメール受信画面M10の一構成例を説明する図である。
図15は、メール受信画面M10として、ファームウェア更新開始時間(2022/9/8 15:00)と、更新結果(失敗)と、失敗した要因(MFP(複合機10)の電源OFF)とを受信内容とした例示である。ファームウェア提供装置30のオペレータは、複合機10から受信したメール受信画面M10の内容を確認することにより、複合機10におけるファームウェアの更新処理が失敗した旨を把握することができる。そして、オペレータは、ファームウェアの再更新指示を複合機10に対して出力する。
【0092】
図16は、ファームウェアの更新指示の出力形態の一例を説明する図である。
図16において、ファームウェア提供装置30はサーバ装置(データベースを含む)を介し、複合機10に対してファームウェアの更新指示を出力する。複合機10が電源OFF状態である場合、複合機10の制御部11は、ファームウェア更新が失敗した旨の更新エラー通知及び再更新指示の連絡をサーバに対して行う。サーバは、ファームウェア更新指示に係る情報を保持し、複合機10の電源がONとされ、ネットワークへの接続が確認されたタイミングでファームウェア更新に係る処理を開始することができる。
【0093】
以上のように、第1実施形態によれば、更新日時指定といったファームウェアの更新指示の内容に基づき、ファームウェア更新の際の装置状況(装置不具合の発生状況等)に応じて、当該ファームウェアの更新に係る制御を適切に行うことができる。第1実施形態によれば、ユーザが意図したタイミングでファームウェアの更新を実施することができるため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0094】
[2 第2実施形態]
第2実施形態は、第1実施形態において、実行中のジョブの終了時間が予め設定された規定時間を超える場合に、実行中のジョブを中断し、ファームウェアの更新処理を実行する形態である。
【0095】
[2.1 機能構成]
第2実施形態に係る複合機及びファームウェア提供装置の機能構成は、第1実施形態に係る複合機10及びファームウェア提供装置30の機能構成と同一構成とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0096】
[2.2 処理の流れ]
図17は、第2実施形態に係る処理の流れを説明するフローチャートである。第2実施形態に係る処理の流れは、第1実施形態の
図6で説明したステップS10からステップS20(;Yes)までの処理と共通とすることができる。したがって、ステップS20以降の処理の流れについて説明する。
【0097】
図6のステップS20において、ジョブを実行中であると判定した制御部11は、当該ジョブが終了するまでの終了時間を算出する(ステップS20;Yes→ステップS50)。次いで、制御部11は、算出したジョブ終了時間が予め設定された規定時間を超えるか否かを判定する(ステップS50→ステップS52)。なお、規定時間としては、特に制限は無いが、例えば、ファームウェアの更新処理に数分しか要しないのに対して、実行中のジョブが終了するまでに数十分程度要するような場合は、ファームウェアの更新処理を優先させた方が好適な場合がある。このような場合、規定時間を、例えば5分から10分に設定し、これを超える処理時間を要するジョブが実行中である場合は、当該ジョブを中断し、ファームウェアの更新処理を割り込み処理として処理することで、ファームウェアの更新処理を失敗することなく完遂することができる。なお、ファームウェアの更新処理への移行閾値としては、先に述べた規定時間以外にも、例えば、予め設定した規定の印刷枚数であってもよく、ジョブが送信ジョブである場合には、規定の送信枚数であってもかまわない。
【0098】
ジョブ終了時間が規定時間を超えると判定した場合、制御部11はジョブを中断する(ステップS52;Yes→ステップS54)。そして、制御部11はファームウェアの更新処理を実行する(ステップS56)。制御部11は、ファームウェアの更新処理が終了したか否かを判定する(ステップS58)。ファームウェアの更新処理が終了したと判定した場合、制御部11は処理を終了する(ステップS58;Yes)。なお、ファームウェアの更新処理が終了していないと判定した場合、制御部11はファームウェア更新処理を継続する(ステップS58;No)。
【0099】
ところで、ステップS52において、ジョブ終了時間が規定時間を超えないと判定した場合、制御部11はジョブを継続する(ステップS52;No→ステップS60)。そして、制御部11はジョブが終了したか否かを判定する(ステップS62)。ジョブが終了したと判定した場合、制御部11は、ファームウェアの更新処理を実行する(ステップS62;Yes→ステップS56)。なお、ジョブが終了していないと判定した場合、制御部11はジョブを継続する(ステップS62;No)。
【0100】
制御部11は、ステップS56で開始したファームウェアの更新処理が終了したか否かを判定する(ステップS58)。ファームウェアの更新処理が終了したと判定した場合、制御部11は処理を終了する(ステップS58;Yes)。なお、ファームウェアの更新処理が終了していないと判定した場合、制御部11はファームウェア更新処理を継続する(ステップS58;No)。
【0101】
[2.3 動作例]
次に、第2実施形態の動作例について説明する。
図18は、実行中のジョブを中断してファームウェア更新処理を実行する場合に、制御部11が表示するメッセージ画面M12の一構成例を説明する図である。
【0102】
図18では、現在実行中のジョブを中断してファームウェアの更新処理を実行する旨をメッセージM12として表示した例示である。なお、OKボタンB10は、複合機10のユーザによるファームウェアの更新の許諾を受付けるボタンである。また、キャンセルボタンB12は、複合機10のユーザによるファームウェアの更新の拒絶を受付けるボタンである。複合機10の制御部11は、ユーザによるOKボタンB10の選択を受付けると、ファームウェアの更新処理を継続して実行し、キャンセルボタンB12の選択を受付けると、ファームウェアの更新処理を中止し、ジョブを継続する。
【0103】
図19は、
図17のステップS52において、ジョブ終了時間が規定時間を超えると判定した場合に、ジョブを中断してファームウェアの更新処理を実行するか否かをユーザに対して問い合わせる問合せ画面M14の一構成例を説明する図である。
【0104】
複合機10の制御部11は、
図19で例示する問合せ画面M14を表示し、ジョブを中断してファームウェアの更新処理を実行するか否かを複合機10のユーザに対して事前に問い合わせることで、ユーザの意に反してファームウェアの更新処理を実行することを未然に防止することができる。
【0105】
以上のように、第2実施形態によれば、第1実施形態に係る効果に加え、実行中のジョブの終了時間が予め設定された規定時間を超える場合に、実行中のジョブを中断し、ファームウェアの更新処理を実行することができるため、ファームウェアの更新に関し、より柔軟なオペレーションを実施することができる。
【0106】
[3 変形例]
ファームウェアの更新処理を実行中の複合機10は、ジョブに関連する処理を実行することができないときがある。このような場合、複合機10の制御部11は、例えば、同一ネットワーク上に存在し、ユーザが所望するジョブを処理することが可能な処理能力を有する他の複合機をユーザに対して提案するメッセージM16を表示してもよい。
図20は、ファームウェアの更新処理を実行中に、ジョブを実行させたいユーザに対して利用可能な他の装置を提案する提案画面M16の一構成例を説明する図である。提案画面M16は、例えば、「現在、当機はファームウェアの更新中で使用できません。同一ネットワーク上で利用可能な装置を検索しますか?検索する場合は、OKボタンを選択してください。画面を消去する場合は、キャンセルボタンを選択してください。」等を表示内容とすることができる。このような構成とすることにより、複合機10がファームウェアの更新処理のためにジョブに関する処理を実行できない場合であっても、ユーザの生産性の低下を防止することができる。ユーザはネットワーク上の検索によって提案された他の装置を利用することにより、遅滞なく所望するジョブを実行することができる。
【0107】
本開示は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施の形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0108】
また、上述した実施形態は、説明の都合上、それぞれ別に説明している部分があるが、技術的に可能な範囲で組み合わせて実行してもよいことは勿論である。
【0109】
また、実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROM(Read Only Memory)やHDD等の記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
【0110】
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、CD(Compact Disc)、BD (Blu-ray(登録商標)Disc等))、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の何れであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本開示の機能が実現される場合もある。
【0111】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本開示に含まれるのは勿論である。
【0112】
また、上述した実施形態に用いた装置の各機能ブロック、又は諸特徴は、電気回路、例えば、集積回路あるいは複数の集積回路で実装、実行することも可能である。本明細書で述べた機能を実現するように設計された電気回路は、汎用用途プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲート又はトロンジスタロジック、ディスクリートハードウェア部品、又はこれらを組み合わせたものを含んでもよい。汎用用途プロセッサは、マイクロプロセッサでもよいし、従来型のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシンであってもよい。前述した電気回路は、デジタル回路で構成されていてもよいし、アナログ回路で構成されていてもよい。また、半導体技術の進歩により現在の集積回路に代替する集積回路化の技術が出現した場合、本開示の一以上の態様は当該技術による新たな集積回路を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0113】
10 複合機
11 制御部
13 表示部
15 操作入力部
17 画像入力部
19 画像形成部
21 通信部
23 検知部
25 記憶部
251 ジョブ制御プログラム
253 表示制御プログラム
255 ファームウェア更新プログラム
257 更新指示・装置状況判定プログラム
259 ファームウェア記憶領域
30 ファームウェア提供装置
31 制御部
33 表示部
35 操作入力部
37 通信部
39 記憶部
391 表示制御プログラム
393 ファームウェア提供プログラム
395 ファームウェア記憶領域
397 ファームウェア更新設定記憶領域