(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131242
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】マスト構造体、物品搬送装置及びマスト構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B66F 9/07 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B66F9/07 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041378
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】川島 智彦
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA04
3F333AB08
3F333AE02
3F333BA03
3F333BD05
3F333CA06
3F333CA12
3F333DA03
3F333DB04
(57)【要約】
【課題】マスト構造体の再組立てを素早く再現性良く行うことが可能なマスト構造体を提供する。
【解決手段】マスト構造体(10)は、マスト(20)と、ガイドレールと、連結プレート(6)と、位置決めプレート(7)と、を備えている。マスト(20)は、上マスト(21)と、下マスト(22)とに分割して構成される。ガイドレールは、マストに沿って昇降する昇降体を案内する。連結プレート(6)には、嵌合部(60)が設けられている。位置決めプレート(7)には、連結プレート(6)の嵌合部(60)と嵌合する被嵌合部(70)が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上マストと、前記上マストの下側に配置される下マストとに分割して構成されるマストと、
前記マストに沿って昇降する昇降体を案内するガイドレールであって、前記上マストに敷設される上ガイドレールと、前記下マストに敷設される下ガイドレールとに分割して構成されるガイドレールと、
前記上マスト及び前記下マストのそれぞれに固定され、前記上マストと前記下マストとを連結するための連結プレートと、
を備え、
前記連結プレートには、嵌合部が設けられており、
前記下マストに取り付けられる位置決めプレートであって、前記上マストと前記下マストとが連結した状態で前記連結プレートの前記嵌合部と嵌合する被嵌合部が設けられた位置決めプレートを、更に備えることを特徴とするマスト構造体。
【請求項2】
前記嵌合部は、前記連結プレートの下側の側面に形成された切欠部であり、
前記被嵌合部は、前記位置決めプレートの上側の側面に設けられた突出部であることを特徴とする請求項1に記載のマスト構造体。
【請求項3】
前記連結プレートと前記上マストに連通する第1連通孔と、前記第1連通孔に挿通される第1ピンと、
前記位置決めプレートと前記下マストに連通する第2連通孔と、前記第2連通孔に挿通される第2ピンと、を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のマスト構造体。
【請求項4】
前記連結プレートは、前記マスト側に突出した凸部を有し、
前記マストは、前記凸部と係合する凹部を有していることを特徴とする請求項1に記載のマスト構造体。
【請求項5】
前記凸部は、上下方向に沿って延びていることを特徴とする請求項4に記載のマスト構造体。
【請求項6】
前記凸部は、上下方向に所定の間隔をあけて、複数配置されていることを特徴とする請求項4に記載のマスト構造体。
【請求項7】
前記連結プレートは、前記上マスト及び前記下マストにボルト締結により固定され、
前記位置決めプレートは、前記下マストにボルト締結により固定されることを特徴とする請求項1に記載のマスト構造体。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のマスト構造体と、
前記マスト構造体の上端部に架設される連結部と、
走行経路に沿って走行するための走行部と、
前記マスト構造体に支持され、物品を把持し得る前記昇降体と、
を備えたことを特徴とする物品搬送装置。
【請求項9】
上マストと、前記上マストの下側に配置される下マストとに分割して構成されるマストと、前記マストに沿って昇降する昇降体を案内するガイドレールであって、上ガイドレールと、下ガイドレールとに分割して構成されるガイドレールと、を備えるマスト構造体の製造方法であって、
仮組立ステップと、解体ステップと、再組立ステップとを備え、
前記仮組立ステップは、
前記上マストと前記下マストとに跨るように、連結プレートをボルト締結により前記上マスト及び前記下マストに固定して前記マストを組み立てる工程と、
前記上マストに前記上ガイドレールを敷設する工程と、
前記下マストに前記下ガイドレールを敷設する工程と、
前記マストが組み立てられた状態で、前記上マストに敷設された前記上ガイドレールと、前記下マストに敷設された前記下ガイドレールとの相対位置を調整した後、前記連結プレートの嵌合部に位置決めプレートの被嵌合部を嵌合させた状態で、前記位置決めプレートを前記下マストに取り付ける工程と、
前記連結プレートと前記上マストに連通する第1連通孔に、第1ピンを挿通する第1位置決め工程と、
前記位置決めプレートと前記下マストに連通する第2連通孔に、第2ピンを挿通する第2位置決め工程と、を含み、
前記解体ステップは、
前記下マストへの前記連結プレートのボルト締結を解除して、前記上マストと前記下マストとを分割する工程を含み、
前記再組立ステップは、
前記連結プレートの前記嵌合部に前記位置決めプレートの前記被嵌合部を嵌合させた状態で、前記下マストに前記連結プレートをボルト締結により固定して、前記マストの再組立を行う工程を含む、マスト構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスト構造体、物品搬送装置、及びマスト構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、分割可能なマストを備えた物品搬送装置がある。例えば、特許文献1には、上部ポストと下部ポストとに分割可能なポストを備えた出し入れ装置について記載されている。特許文献1の出し入れ装置は、上部ポストの下端に上部フランジを取付け、下部ポストの上端に下部フランジを取付けた上で、上部ポストの上部フランジと下部ポストの下部フランジを連結させることで、上部ポストと下部ポストとを連結させて組み立てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のポストでは、上部ポストと下部ポストとの連結に手間が掛かるという課題がある。
【0005】
本発明の一態様は、マストの再組立てを素早く再現性良く行うことが可能なマスト構造体、物品搬送装置、及びマスト構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るマスト構造体は、上マストと、前記上マストの下側に配置される下マストとに分割して構成されるマストと、前記マストに沿って昇降する昇降体を案内するガイドレールであって、前記上マストに敷設される上ガイドレールと、前記下マストに敷設される下ガイドレールとに分割して構成されるガイドレールと、前記上マスト及び前記下マストのそれぞれに固定され、前記上マストと前記下マストとを連結するための連結プレートと、を備えている。前記連結プレートには、嵌合部が設けられている。前記下マストに取り付けられる位置決めプレートであって、前記上マストと前記下マストとが連結した状態で前記連結プレートの前記嵌合部と嵌合する被嵌合部が設けられた位置決めプレートを、更に備える。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るマスト構造体の製造方法は、上マストと、前記上マストの下側に配置される下マストとに分割して構成されるマストと、前記マストに沿って昇降する昇降体を案内するガイドレールであって、上ガイドレールと、下ガイドレールとに分割して構成されるガイドレールと、を備えるマスト構造体の製造方法であって、仮組立ステップと、解体ステップと、再組立ステップとを備えている。
【0008】
前記仮組立ステップは、前記上マストと前記下マストとに跨るように、連結プレートをボルト締結により前記上マスト及び前記下マストに固定して前記マストを組み立てる工程と、前記上マストに前記上ガイドレールを敷設する工程と、前記下マストに前記下ガイドレールを敷設する工程と、前記マストが組み立てられた状態で、前記上マストに敷設された前記上ガイドレールと、前記下マストに敷設された前記下ガイドレールとの相対位置を調整した後、前記連結プレートの嵌合部に位置決めプレートの被嵌合部を嵌合させた状態で、前記位置決めプレートを前記下マストに取り付ける工程と、前記連結プレートと前記上マストに連通する前記第1連通孔に、前記第1ピンを挿通する第1位置決め工程と、前記位置決めプレートと前記下マストに連通する前記第2連通孔に、前記第2ピンを挿通する第2位置決め工程と、を含む。前記解体ステップは、前記下マストへの前記連結プレートのボルト締結を解除して、前記上マストと前記下マストとを分割する工程を含む。前記再組立ステップは、前記連結プレートの前記嵌合部に前記位置決めプレートの前記被嵌合部を嵌合させた状態で、前記下マストに前記連結プレートをボルト締結により固定して、前記マストの再組立を行う工程を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、マスト構造体の再組立てを素早く再現性良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るスタッカークレーンの全体構成を示す図である。
【
図2】実施形態に係るマストに連結された状態の第1連結プレート及び位置決めプレートの斜視図である。
【
図3】実施形態に係る第1連結プレート及び位置決めプレートの正面図である。
【
図4】実施形態に係る第2連結プレートの正面図である。
【
図5】実施形態に係る第3連結プレートの正面図である。
【
図6】実施形態に係る上マスト及び上ガイドレールの断面図である。
【
図7】実施形態に係る下マスト及び下ガイドレールの断面図である。
【
図8】実施形態に係るマストの凹部に係合する第1連結プレートの凸部の様子を示す断面図である。
【
図9】実施形態に係るマスト構造体の製造方法の流れを示すフローチャートである。
【
図10】
図9の解体ステップにおける上マストを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態1に係るスタッカークレーン1について、
図1~
図10を参照して説明する。
【0012】
[スタッカークレーン]
図1は、実施形態1に係るスタッカークレーン1の全体構成を示す図である。
図1に示すように、スタッカークレーン1は、マスト構造体10と、連結部30と、昇降体40と、走行部50と、を備えている。マスト構造体10は、一対のマスト20と、第1連結プレート6と、第2連結プレート6A(
図4参照)と、第3連結プレート6B(
図5参照)と、位置決めプレート7と、ガイドレール9(
図6参照)と、を有している。スタッカークレーン1は、物品搬送装置の一例である。
【0013】
一対のマスト20は、走行部50の上部に、走行方向(
図1のX方向)に離間して、上下方向(
図1のZ方向)に沿って立設されている。各マスト20は、上下に長尺な中空部材により形成されている。各マスト20は、上マスト21と、下マスト22とに分割可能に構成されている。下マスト22は、上マスト21の下側に配置される。
【0014】
連結部30は、マスト構造体10の上端部に架設されている。具体的には、連結部30は、一対のマスト20の各上マスト21のそれぞれの上端部同士を接続している。昇降体40は、一対のマスト20に支持され、マスト20に沿って昇降する。昇降体40は、物品Gを把持し得るように構成されている。
【0015】
昇降体40は、移載装置41と、ガイドブロック42と、一対のアップライト部43と、物品載置部44とを有している。移載装置41は、移載対象箇所との間で搬送対象の物品Gを移載する。移載対象箇所としては、例えば、走行経路Rから平面視でX方向と直交する
図2のY方向に離間した位置に設けられた物品収納棚や、コンベヤ等の搬送装置との授受箇所等がある。物品載置部44は、物品Gを載置するための部材であり、一対のアップライト部43の下端部同士を接続している。
【0016】
一対のアップライト部43は、一対のマスト20の並び方向に離間して配置されている。各アップライト部43の上端及び下端には、ベルトBが接続されている。昇降体40は、ベルトBが昇降モータM2により巻回作動することで、ガイドブロック42がガイドレール9(
図6参照)に案内された状態で、マスト20に沿って昇降する。なお、昇降体40のマスト20側の側面にガイドローラを設け、ガイドローラがガイドレール9に案内されることで、昇降体40がマスト20に沿って昇降する構成としてもよい。また、ベルトBの代わりに、チェーンを用いてもよい。
【0017】
各マスト20には、上マスト21と下マスト22との連結部分に、第1連結プレート6、第2連結プレート6A、第3連結プレート6B、及び位置決めプレート7がそれぞれ取り付けられている。具体的には、第1連結プレート6、第2連結プレート6A、及び第3連結プレート6Bは、上マスト21及び下マスト22のそれぞれに固定され、上マスト21と下マスト22とを連結する。位置決めプレート7は、下マスト22に取り付けられている。
【0018】
走行部50は、走行経路Rに沿って走行する。走行部50は、走行経路R上を転動する走行輪W1,W2を支持する。走行輪W1は、走行部50の前端部に設けられ、走行モータM1により駆動される。走行輪W2は、走行部50の後端部に遊転自在に設けられている。
【0019】
[連結プレート及び位置決めプレート]
次に、第1連結プレート6、第2連結プレート6A、第3連結プレート6B、及び位置決めプレート7について、
図2~
図5を参照して詳しく説明する。
【0020】
図2は、マスト20に連結された状態の第1連結プレート6、第2連結プレート6A及び位置決めプレート7の斜視図である。
図2に示すように、第1連結プレート6の下側の側面には、矩形状の切欠部60が形成されている。切欠部60は、嵌合部に相当する。
【0021】
また、位置決めプレート7の上側の側面には、矩形状の突出部70が設けられている。突出部70は、上マスト21と下マスト22とが連結した状態で、第1連結プレート6の切欠部60と嵌合する被嵌合部に相当する。
【0022】
更に、第1連結プレート6が配置されたマスト20の側面と隣接する側面には、第2連結プレート6Aが固定されている。第2連結プレート6Aは、矩形板状の部材である。
【0023】
図3は、第1連結プレート6及び位置決めプレート7の正面図である。
図3に示すように、第1連結プレート6は、矩形板状の部材であり、複数の第1貫通孔61と、複数の第1連通孔62とを有している。第1貫通孔61には、ボルト81が挿通される。第1連通孔62には、第1ピン83が挿通される。第1ピン83は、スプリングピン等からなる。第1連結プレート6の幅方向、即ち
図1のX方向の長さd1は、マスト20の外径Dよりも短くなっている。
【0024】
位置決めプレート7は、複数の第2貫通孔71と、複数の第2連通孔72とを有している。第2貫通孔71には、ボルト82が挿通される。第2連通孔72には、第2ピン84が挿通される。第2ピン84は、スプリングピン等からなる。
【0025】
図4は、第2連結プレート6Aの正面図である。
図5は、第3連結プレート6Bの正面図である。
図4に示すように、第2連結プレート6Aは、複数の第1貫通孔61Aと、複数の第1連通孔62Aとを有している。第1貫通孔61Aには、ボルト81が挿通される。第1連通孔62Aには、第1ピン83が挿通される。第2連結プレート6Aの幅方向の長さd2は、第1連結プレート6の幅方向の長さd1よりも短くなっている。
【0026】
図5に示すように、第3連結プレート6Bは、矩形板状の部材であり、複数の第1貫通孔61Bと、複数の第1連通孔62Bとを有している。第3連結プレート6Bの幅方向の長さd3は、第1連結プレート6の幅方向の長さd1及び第2連結プレート6Aの幅方向の長さd2よりも短くなっている。
【0027】
第1貫通孔61Bには、ボルト81が挿通される。第1連通孔62Bには、第1ピン83が挿通される。第3連結プレート6Bは、第1連結プレート6が固定されたマスト20の側面と隣接する側面に、ボルト81Bにより固定されている(
図6参照)。
【0028】
図6は、上マスト21及び上ガイドレール91の断面図である。
図7は、下マスト22及び下ガイドレール92の断面図である。
図6及び
図7に示すガイドレール9は、マスト20に沿って昇降する昇降体40を案内するものである。ガイドレール9には、ガイドブロック42を介して、昇降体40が上下方向に移動可能に配置される。
【0029】
ガイドレール9は、上ガイドレール91と、下ガイドレール92とに分割して構成される。上ガイドレール91は、
図6に示すように、上マスト21に敷設され、ボルト85により固定されている。上ガイドレール91は、上マスト21の延在方向(
図1のZ方向)に沿って延びている。
【0030】
また、下ガイドレール92は、
図7に示すように、下マスト22に敷設され、ボルト86により固定されている。下ガイドレール92は、下マスト22の延在方向(
図1のZ方向)に沿って延びている。
【0031】
図8は、マスト20の凹部23に係合する第1連結プレート6の凸部63の様子を示す断面図である。
図8に示すように、第1連結プレート6は、上マスト21側に突出した凸部63を有している。凸部63は、第1連結プレート6の延在方向、即ち
図3の上下方向に沿って延びている。
【0032】
マスト20には、第1連結プレート6の凸部63と係合する凹部23が設けられている。凹部23は、第1連結プレート6の延在方向、即ち
図1のZ方向に沿って延びるように設けられている。これにより、マスト20と第1連結プレート6との位置決めを容易に行うことができる。
【0033】
〔マスト構造体の製造方法〕
次に、マスト構造体10の製造方法について、
図9及び
図10を参照して説明する。
図9は、マスト構造体10の製造方法の流れを示すフローチャートである。
【0034】
図9に示すように、本実施形態のマスト構造体10の製造方法では、仮組立ステップ(S1)と、解体ステップ(S2)と、再組立ステップ(S3)とが順に行われる。
【0035】
仮組立ステップS1は、作業員により、スタッカークレーン1の製造工場内で実施される。仮組立ステップS1では、まず、マスト組立工程が行われる。マスト組立工程では、上マスト21の下面と下マスト22の上面とを当接させた状態で、第1連結プレート6を上マスト21と下マスト22とに跨るように配置する。
【0036】
次に、
図6に示すように、第1連結プレート6の各第1貫通孔61、上マスト21の各貫通孔21a及び下マスト22の各貫通孔22aに、ボルト81を挿通して、第1連結プレート6をボルト締結により上マスト21及び下マスト22に固定する。このとき、第1連結プレート6の凸部63を、マスト20の凹部23に係合させることにより、第1連結プレート6のマスト20への固定作業を効率的に行うことができる。
【0037】
また、第2連結プレート6Aの各第1貫通孔61A、上マスト21の各貫通孔21a及び下マスト22の各貫通孔22aに、ボルト81を挿通して、第2連結プレート6Aをボルト締結により上マスト21及び下マスト22に固定する。
【0038】
また、第3連結プレート6Bの各第1貫通孔61B、上マスト21の各貫通孔21a及び下マスト22の各貫通孔22aに、ボルト81を挿通して、第3連結プレート6Bをボルト締結により上マスト21及び下マスト22に固定する。このようにして、上マスト21と下マスト22とを、ゆがみ等がないように微調整してマスト20を組み立てる。
【0039】
マスト組立工程の後、上ガイドレール敷設工程及び下ガイドレール敷設工程が行われる。上ガイドレール敷設工程では、上ガイドレール91を上マスト21に敷設する。下ガイドレール敷設工程では、下ガイドレール92を下マスト22に敷設する。
【0040】
上ガイドレール敷設工程及び下ガイドレール敷設工程の後、調整工程が行われる。調整工程では、マスト20が組み立てられた状態で、上マスト21に敷設された上ガイドレール91と、下マスト22に敷設された下ガイドレール92との相対位置の調整を行う。この調整が完了すると、上ガイドレール91を上マスト21にボルト85により固定すると共に、下ガイドレール92を下マスト22にボルト86により固定する。
【0041】
調整工程の後、位置決めプレート取付工程が行われる。位置決めプレート取付工程では、第1連結プレート6の切欠部60に、位置決めプレート7の突出部70を嵌合させた状態で、位置決めプレート7をボルト82により下マスト22に取り付ける。これにより、位置決めプレート7を下マスト22に確実に固定できる。
【0042】
次に、上マスト21において、第1連結プレート6の各第1連通孔62に対応した位置に、それぞれ第1連通孔(図示省略)を設ける。そして、第1位置決め工程において、第1連結プレート6の各第1連通孔62及び上マスト21の各第1連通孔に、それぞれ第1ピン83を挿通させる。
【0043】
また、第2連結プレート6Aの第1連通孔62A、及び上マスト21の第1連通孔(図示省略)に、それぞれ第1ピン83を挿通させる。また、第3連結プレート6Bの第1連通孔62B、及び上マスト21の第1連通孔(図示省略)に、それぞれ第1ピン83を挿通させる。
【0044】
第1位置決め工程の後、第2位置決め工程が行われる。第2位置決め工程では、位置決めプレート7の各第2連通孔72、及び下マスト22の各第2連通孔(図示省略)に、それぞれ第2ピン84を挿通させる。
【0045】
以上説明した仮組立ステップS1において、マスト20が適切に組み立てられ、上ガイドレール91と下ガイドレール92との相対位置が調整された状態における、第1連結プレート6、第2連結プレート6A、第3連結プレート6B及び位置決めプレート7のマスト20への取り付け位置を決めることができる。
【0046】
仮組立ステップS1の後、スタッカークレーン1の試運転を行う。当該試運転が完了すると、解体ステップS2が行われる。解体ステップS2では、まず、下マスト22と第1連結プレート6とを固定するボルト81、下マスト22と第2連結プレート6Aとを固定するボルト81A、及び、下マスト22と第3連結プレート6Bとを固定するボルト81Bを緩める。このようにして、下マスト22への第1連結プレート6、第2連結プレート6A、及び第3連結プレート6Bのボルト締結を解除する。
【0047】
このとき、下マスト22と位置決めプレート7とを固定するボルト82は緩めないものとする。これにより、下マスト22における位置決めプレート7の配置位置を、適切な位置に維持できる。
【0048】
そして、下マスト22を下側にスライドさせることにより、
図10に示すように、上マスト21と下マスト22とを分割する工程を行う。このとき、第1連結プレート6、第2連結プレート6A、及び第3連結プレート6Bは、上マスト21に取り付けたままにする。
【0049】
このように、解体ステップS2において、上マスト21と下マスト22とを分割することにより、スタッカークレーン1が使用される自動倉庫等が配置された現場へ、マスト構造体10を容易に搬送することができる。
【0050】
解体ステップS2の後、再組立ステップS3が行われる。再組立ステップS3では、上記現場でマスト構造体10の再組立てを行う工程を行う。具体的には、まず、下マスト22を上マスト21側へ移動させて、上マスト21の下面に下マスト22の上面を当接させる。
【0051】
その後、第1連結プレート6の切欠部60に、位置決めプレート7の突出部70を嵌合させる。これにより、上マスト21と下マスト22の位置決めを精度良く行うことができる。
【0052】
そして、当該嵌合状態で、下マスト22に第1連結プレート6をボルト81により固定し、下マスト22に第2連結プレート6Aをボルト81Aにより固定し、下マスト22に第3連結プレート6Bをボルト81Bにより固定する。これにより、第1連結プレート6を上マスト21及び下マスト22に確実に固定できる。
【0053】
次に、上マスト21に敷設された上ガイドレール91と、下マスト22に敷設された下ガイドレール92との相対位置の確認を行う。本発明によれば、マスト20の再組立てを再現性良く行うことが可能となっているが、もし上ガイドレール91と下ガイドレール92との相対位置にずれが生じている場合には、当該相対位置の調整を行う。
【0054】
上記相対位置がずれていないことが確認された場合、上マスト21に上ガイドレール91をボルト85により固定すると共に、下マスト22に下ガイドレール92をボルト86により固定する。以上のようにして、上記現場でマスト20を効率良く適切に再組立てすることができる。
【0055】
以上説明した実施形態1のスタッカークレーン1によれば、
図2に示すように、第1連結プレート6の切欠部60に、位置決めプレート7の突出部70を嵌合させることにより、上マスト21と下マスト22の位置決めを精度良く行うことができる。これにより、現場でのマスト20の再組立てを素早く再現性良く行うことができる。従って、再組立て時において、昇降体40のガイドレール9に沿ったスムーズな昇降を、容易に再現させることが可能となる。
【0056】
特に、第1連結プレート6の幅方向の長さd1は、マスト20の外径Dよりも短くなっているので、マスト20の外径Dを大きくすることなく、上マスト21及び下マスト22を連結することができる。
【0057】
また、第1連結プレート6の各第1連通孔62及び上マスト21の各第1連通孔に、それぞれ第1ピン83が挿通されていると共に、位置決めプレート7の各第2連通孔72及び下マスト22の各第2連通孔に、それぞれ第2ピン84が挿通されている。これにより、第1連結プレート6の上マスト21に対する位置ずれ、及び、位置決めプレート7の下マスト22に対する位置ずれを防止できる。
【0058】
〔その他の実施形態〕
上記した実施形態では、第1連結プレート6に、嵌合部として切欠部60が設けられ、位置決めプレート7に、被嵌合部として突出部70が設けられているものとしたが、これに限定されない。例えば、第1連結プレート6に突出部が設けられ、位置決めプレート7に切欠部が設けられていてもよい。
【0059】
上記した実施形態のスタッカークレーン1は、1つのマスト20に対して、第1連結プレート6と位置決めプレート7の対が2つあるものとしたが、これに限定されない。スタッカークレーン1は、連結プレートと位置決めプレートの対が、少なくとも1つ以上あればよい。
【0060】
また、スタッカークレーン1は、2つの第1連結プレート6と、2つの第2連結プレート6Aと、2つの第3連結プレート6Bとの6つの連結プレートを有しているものとしたが、少なくとも1つ以上の連結プレートを有していればよい。
【0061】
また、上記した実施形態では、第1連結プレート6の凸部63は、上下方向に沿って延びているものとしたが、これに限らず、第1連結プレート6に、上下方向に所定の間隔をあけて、複数の凸部が設けられていてもよい。この場合、マスト20には、第1連結プレート6の凸部63と係合する複数の凹部が形成されていればよい。この構成によれば、第1連結プレート6のマスト20への再組立てを効率良く行うことができる。
【0062】
また、上記した実施形態では、スタッカークレーン1は、一対のマスト20を備えているものとしたが、これに限定されない。スタッカークレーン1は、少なくとも1つのマスト20を備えていればよく、1つのマスト20だけを備えていてもよい。
【0063】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 スタッカークレーン
6 第1連結プレート
6A 第2連結プレート
6B 第3連結プレート
7 位置決めプレート
10 マスト構造体
20 マスト
21 上マスト
22 下マスト
30 連結部
40 昇降体
50 走行部
60 切欠部(嵌合部)
61、61A、61B 第1貫通孔
62、62A、62B 第1連通孔
70 突出部(被嵌合部)
71 第2貫通孔
72 第2連通孔
83 第1ピン
84 第2ピン
9 ガイドレール
91 上ガイドレール
92 下ガイドレール
S1 仮組立ステップ
S2 解体ステップ
S3 再組立ステップ