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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013126
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】超音波式の漏れ検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/06 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
G01M3/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115089
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】591062571
【氏名又は名称】中道鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中道 武雄
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA25
2G067DD15
(57)【要約】
【課題】検査液槽の内部を浮上する気泡の位置を正確に特定して、被検査物の漏れ位置を確実に特定する。
【解決手段】超音波式の漏れ検査装置は、被検査物Wを検査液Lに水没させる検査液槽1と、検査液槽1の検査液Lに超音波振動を放射する送信部2と、送信部2で検査液Lに放射される超音波振動を受信する受信部3と、受信部3の受信信号で検査液L中の気泡Bを検出するコントローラ30とを備え、送信部2は、第1の周壁11の内側に水平方向に所定の間隔で横並びに配置されてなる複数の超音波振動子4を備え、受信部3は、第2の周壁12の内側に水平方向に所定の間隔で横並びに配置されてなる複数の超音波センサ5を備え、検査液槽1は、検査液Lを上昇させる上昇流で気泡Bを強制的に浮上させる上昇機構20の加温器22を備え、コントローラ30が、各々の超音波センサ5が検出する受信信号で、検査液Lの上昇流で加速されて浮上する気泡Bを検出して被検査物Wの漏れと、漏れ位置を検出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査液中に水没された被検査物から漏れ出て検査液中を浮上する気泡を検出して、
前記被検査物の漏れを検出する超音波式の漏れ検査装置であって、
前記被検査物を検査液に水没させる検査液槽と、
前記検査液槽の検査液に超音波振動を放射する送信部と、
前記送信部で検査液に放射される超音波振動を受信する受信部と、
前記受信部の受信信号で検査液中の気泡を検出するコントローラとを備え、
前記検査液槽は、
互いに対向位置に配置されてなる第1の周壁と第2の周壁を備え、
前記送信部は、
前記第1の周壁の内側に水平方向に所定の間隔で横並びに配置されてなる複数の超音波振動子を備え、
前記受信部は、
前記第2の周壁の内側に水平方向に所定の間隔で横並びに配置されてなる複数の超音波センサを備え、
前記検査液槽は、
検査液を上昇させる上昇流で検査液中の気泡を強制的に浮上させる上昇機構を備え、
前記上昇機構が、検査液を加温して上昇流を発生させる加温器を備え、
前記コントローラが、
各々の前記超音波センサが検出する受信信号で、
検査液の上昇流で加速されて浮上する気泡を検出して前記被検査物の漏れと、漏れ位置を検出することを特徴とする超音波式の漏れ検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波式の漏れ検査装置であって、
前記上昇機構の前記加温器が、
前記第1の周壁と前記第2の周壁の間の中央領域で検査液を加温して上昇流を発生させる超音波式の漏れ検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の超音波式の漏れ検査装置であって、
前記上昇機構の前記加温器が、
検査液中に配置されてなる超音波式の漏れ検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の超音波式の漏れ検査装置であって、
前記上昇機構の前記加温器が、
前記検査液槽の底板を加温する超音波式の漏れ検査装置。
【請求項5】
請求項1に記載の超音波式の漏れ検査装置であって、
前記加温器が電気ヒーターである超音波式の漏れ検査装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の超音波式の漏れ検査装置であって、
前記送信部は、
複数の超音波振動子を複数のブロックに分割して、
隣接するブロックの超音波振動子が異なる周波数の超音波振動を放射する超音波式の漏れ検査装置。
【請求項7】
請求項6に記載の超音波式の漏れ検査装置であって、
前記送信部が、
各々のブロックにひとつの超音波振動子を配置してなることを特徴とする超音波式の漏れ検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用して液中を浮上する気泡を検出して被検査物の漏れと漏れ位置を検査する装置に関し、とくに、内部に中空部のある被検査物のクラックやピンホール等の漏れ位置を検出するのに最適な超音波式の漏れ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、液中を浮上する微細な気泡を検出することで、ガソリンタンクやマフラー等のように、内部を密閉構造の中空部とする部品のピンホールやクラック等を検査する装置を開発した(特許文献1参照)。この検査装置は、被検査物の開口部を密閉して水等の検査液に水没し、被検査物の内部に空気を圧入して、ピンホールなどの微細な隙間からの空気漏れで発生する気泡を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-143939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者が先に開発した超音波式の漏れ検査装置900を、図17の斜視図に示す。この検査装置900は、検査液L中に被検査物Wを水没させた状態で、被検査物Wに加圧空気を圧入して、ピンホールや亀裂で発生する隙間から漏れ出る気泡Bの有無を検出して被検査物Wの漏れを検査する。この図の検査装置900は、被検査物Wを検査液Lに水没させる検査液槽1と、検査液槽1の内側に配置されて検査液槽1の対向面に向かって超音波振動を放射する送信部2と、検査液槽1の内側に配置されて送信部2が放射する超音波振動を受信する受信部3と、受信部3から受信信号が入力されて、入力される受信信号で気泡Bを検出するコントローラ30とを備えている。
【0005】
送信部2は、検査液槽1の内側に水平方向に配置している複数の超音波振動子4を備え、受信部3は、検査液槽1の内側に横並びに配置してなる複数の超音波センサ5を備えている。送信部2は複数の超音波振動子4を複数のブロック2Xに分割して、隣接するブロック2Xの超音波振動子4が異なる周波数の超音波振動を放射する。各々の超音波振動子4が水平方向に放射する超音波振動は、気泡に反射されて反射波が超音波センサ5に受信される。コントローラ30は、受信部3が受信する気泡の反射波で、検査液L中を浮上する気泡Bを検出する。コントローラ30は、受信信号を演算して、浮上する気泡Bを検出できる。コントローラ30は、例えばドップラー効果で、浮上する気泡が反射する反射波の周波数偏移を検出して気泡を検出できる。
【0006】
図17の超音波霧化装置900は、複数の超音波振動子4と複数の超音波センサ5を横並びに対向して配置して、超音波センサ5は対向位置に配置している超音波振動子4が放射する超音波振動の気泡Bの反射波を検出する。この超音波霧化装置900は、超音波振動を放射する領域を水平方向に複数の検出ゾーンに区画して、各々の検出ゾーンに対向して超音波振動子4と超音波センサ5を配置して、気泡Bを検出する検出ゾーンを特定して、被検査物Wが気泡Bを出す領域を特定できる。被検査物Wのピンホールから検査液L中に出た気泡Bは、特定の検出ゾーンを浮上する。しかしながら、気泡は粒径が小さくなるに従って浮力が小さくなって浮上速度が遅くなるので、検査液Lの局所的な変動で隣の検出ゾーンに移動することがある。検査液槽1の検査液Lを、完全な静置状態に保持して、気泡Bを上向きに移動し、また隣の検出ゾーンに移動することを防止できるが、現実の使用状態において、検査液Lを完全な静置状態に保持すこと現実には不可能である。したがって、検査液槽1を水平方向に複数の検出ゾーンに分割して、各々の検出ゾーンを浮上する気泡を検出する装置は、気泡が隣の検出ゾーンに移動すると、漏れ位置を正確に特定できなくなる欠点がある。
【0007】
本発明は、従来の以上の欠点を解消することを目的に開発されたもので、本発明の一目的は、検査液を浮上する気泡から被検査物のピンホールやクラック等の漏れを検出することに加えて、さらに漏れ位置をも正確に特定できる超音波式の漏れ検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様に係る超音波式の漏れ検査装置は、検査液中に水没された被検査物から漏れ出て検査液中を浮上する気泡を検出して、被検査物の漏れを検出する。超音波式の漏れ検査装置は、被検査物を検査液に水没させる検査液槽と、検査液槽の検査液に超音波振動を放射する送信部と、送信部で検査液に放射される超音波振動を受信する受信部と、受信部の受信信号で検査液中の気泡を検出するコントローラとを備えている。検査液槽は、互いに対向位置に配置されてなる第1の周壁と第2の周壁を備え、送信部は、第1の周壁の内側に水平方向に所定の間隔で横並びに配置されてなる複数の超音波振動子を備え、受信部は、第2の周壁の内側に水平方向に所定の間隔で横並びに配置されてなる複数の超音波センサを備え、検査液槽は、検査液を上昇させる上昇流で検査液中の気泡を強制的に浮上させる上昇機構を備え、上昇機構が、検査液を加温して上昇流を発生させる加温器を備え、コントローラが、各々の超音波センサが検出する受信信号で、検査液の上昇流で加速されて浮上する気泡を検出して被検査物の漏れと、漏れ位置を検出する。
【発明の効果】
【0009】
以上の超音波式の漏れ検査装置は、検査液槽の内部を浮上する気泡の位置を正確に特定して、被検査物の漏れ位置を正確に特定できる特長がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る超音波式の漏れ検査装置の概略斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る超音波式の漏れ検査装置の垂直横断面図である。
図3】上昇流が循環する例を示す超音波式の漏れ検査装置の垂直横断面図である。
図4】加温器の配置の他の一例を示す垂直横断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る超音波式の漏れ検査装置の模式水平断面図である。
図6】超音波振動子から放射される送信ビームの模式図である。
図7】超音波振動部の一例を示す平面図である。
図8】超音波振動部の他の一例を示す平面図である。
図9】気泡がない場合の反射波のスペクトルを示すグラフである。
図10】小さな気泡が1個ある場合の反射波のスペクトルを示すグラフである。
図11】小さな気泡が複数個ある場合の反射波のスペクトルを示すグラフである。
図12】大きな気泡が1個ある場合の反射波のスペクトルを示すグラフである。
図13】大きな気泡が複数個ある場合の反射波のスペクトルを示すグラフである。
図14】気泡がない場合の直接波の振幅波形を示すグラフである。
図15】気泡がある場合の直接波の振幅波形を示すグラフである。
図16】検査液をオーバーフローさせる排液部の一例を示す垂直横断面図である。
図17】従来の検査装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0012】
本発明の一実施態様に係る超音波式の漏れ検査装置は、検査液中に水没された被検査物から漏れ出て検査液中を浮上する気泡を検出して、被検査物の漏れを検出する。超音波式の漏れ検査装置は、被検査物を検査液に水没させる検査液槽と、検査液槽の検査液に超音波振動を放射する送信部と、送信部で検査液に放射される超音波振動を受信する受信部と、受信部の受信信号で検査液中の気泡を検出するコントローラとを備えている。検査液槽は、互いに対向位置に配置されてなる第1の周壁と第2の周壁を備え、送信部は、第1の周壁の内側に水平方向に所定の間隔で横並びに配置されてなる複数の超音波振動子を備え、受信部は、第2の周壁の内側に水平方向に所定の間隔で横並びに配置されてなる複数の超音波センサを備え、検査液槽は、検査液を上昇させて、上昇する検査液で気泡を強制的に浮上させる上昇機構を備え、上昇機構は検査液を加温する加温器を備え、コントローラは、各々の超音波センサが検出する受信信号で、検査液を浮上する気泡を検出して被検査物の漏れと、漏れ位置を検出する。本発明において、検査液の上昇とは、検査液を下位からから上位に移動させることを示し、検査液を上方向に流動させることを含む。
【0013】
以上の超音波式の漏れ検査装置は、検査液中を浮上する気泡を検出して、被検査物の漏れを検出できると共に、検査液中を浮上する気泡の位置を正確に検出して、被検査物の漏れ位置も正確に特定できる特長がある。とくに、微細な気泡を上昇する検査液で強制的に上昇させるので、検査液の上昇する上昇領域に被検査物を配置して、被検査物から排出される気泡で被検査物の微細なクラックやピンホールなどを確実に検出できる特長がある。被検査物の漏れ検査は、漏れの検査に加えて、漏れ位置を正確に特定することで、クラックやピンホールの補修を簡単かつ容易に、しかも速やかにできる。したがって、漏れ位置の正確な特定、とくに微細な漏れ位置の特定はとくに重要である。それは、検査液槽から取り出して、目視して漏れ位置を特定するのに手間がかかり、とくに、微細な漏れ位置の目視による特定は極めて手間がかかって簡単でないからである。漏れ位置が特定された被検査物は、漏れの原因となるクラックやピンホールを補修して有効使用できるので、漏れと、漏れ位置の正確な検出は、補修可能な被検査物において経済効果も極めて大きい。
【0014】
さらに、以上の超音波式の漏れ検査装置は、検査液を加温し、加温して発生する検査液の上昇流を利用して、気泡をスムーズに浮上させるので、気泡が上昇する領域において検査液を攪拌することなく、気泡を検査液の上昇流で速やかに上昇できる。このため、気泡の状態、すなわち気泡の超音波振動に対する物性を変動させることなく、気泡を速やかに上昇できるので、微細な気泡を超音波振動で確実に検出しながら、その検出位置をも正確に判定できる特長がある。
【0015】
さらに、以上の超音波式の漏れ検査装置は、検査液を加温して発生する上昇流で気泡を速やかに浮上させることで、検査時間を短縮できる特長も実現する。それは、気泡を上昇流で加速して浮上させることで、上昇速度の遅い微細な気泡をも速やかに浮上できるからである。漏れ検査装置は被検査物を検査液中に水没させて、クラックから排出される気泡を検出するが、被検査物を水没させる際に生じる検査液の攪拌、不規則な流れ、すなわち乱流が発生し、この乱流が気泡の浮上方向を不規則にずらし、また気泡の浮上を不安定にするなど影響を与え、検査精度を低下させる原因となる。さらに、被検査物の水没による検査液の乱流は、さらに検査液槽の周壁、底板、水面に反射し、また複数の波が重なり合う部分で強め合ったり弱め合ったり波の干渉が生じ、流動方向、速さ、量などが変化して一様でない複雑な流動状態となり、気泡が反射する超音波を検出して気泡の有無を検出する検出信号のノイズ成分を増加させる原因となる。さらにまた、漏れ検査装置が被検査物を水没後に、検査液中で被検査物を移動または/及び姿勢を変更して被検査物の外表面に付着する気泡を除去する場合、異なる姿勢や位置で漏れ検査する場合などにおいて、さらなる検査液の流動が生じ、さらに複雑な流動状態となる。これらの検査液の流動が収まるまで、検査開始を遅らせることで相対的にその影響を小さくできるが、それでは検査時間がその分長くなり、製造ラインにおいて制限された時間内に検査を完了できない。正確な漏れ検出検査及び検査時間の短縮の両方を満たすことは困難である。以上の検査装置は、上昇機構の加温器で検査液を加温して上昇流を発生させて、この上昇流で気泡の上昇速度を加速して速やかに浮上できる。したがって、被検査物を水没して発生する検査液の不規則な乱流による影響を抑制し、気泡浮上を早期に安定化して速やかに上昇できる。したがって、以上の検査装置は、被検査物を水没して発生する検査液の不規則な流動に起因する検査精度の低下を抑制しながら、水没後に被検査物から検査液中に排出される気泡を速やかに検出して、水没後の検査時間を短縮できる。
【0016】
本発明の他の実施態様に係る超音波式の漏れ検査装置は、第1の周壁と第2の周壁の間の中央領域に配置される上昇機構の加温器が、検査液を加温して上昇流を発生させることができる。以上の超音波式の漏れ検査装置は、検査液の中央領域で検査液に上昇流を発生させるので、被検査物を検査液槽の中央部に配置して、漏れを正確に検出できる特長がある。第1の周壁と第2の周壁の間の中央領域において、周壁付近の内面領域の検査液の影響を小さくできる。また中央領域において、送信部の超音波振動子及び受信部の超音波センサの配置姿勢及び位置により、受信ビームと送信ビームが重なる領域の検出範囲を広い領域にできる。
【0017】
本発明の他の実施態様に係る超音波式の漏れ検査装置は、上昇機構の加温器を、検査液中に配置することができる。以上の超音波式の漏れ検査装置は、加温器が検査液を加温するので、検査液を効率よく加温して上昇流を発生できる。したがって、加温器を加温するエネルギーを少なくして、効率よく上昇流を発生できる特長がある。
【0018】
本発明の他の実施態様に係る超音波式の漏れ検査装置は、上昇機構の加温器で、検査液槽の底板を加温し、底板を介して検査液を加温することができる。以上の超音波式の漏れ検査装置は、加温器が底板を加温して検査液を加温するので、底板が熱エネルギーを拡散して広い面積で検査液を加温できる。広い面積で加温された底板は、検査液の上昇流を広い範囲で発生して、被検査物の水没位置を拡大しながら、漏れを検出できる特長がある。
【0019】
本発明の他の実施態様に係る超音波式の漏れ検査装置は、加温器を電気ヒーターとすることができる。以上の超音波式の漏れ検査装置は、簡単な構造で加温器の供給電力を制御して、加温器の温度を最適値にコントロールできる。したがつて、加温器が検査液を上昇流とするエネルギーを簡単に最適値に設定できる特長がある。
【0020】
本発明の他の実施態様に係る超音波式の漏れ検査装置は、送信部が、複数の超音波振動子を複数のブロックに分割して、隣接するブロックの超音波振動子が異なる周波数の超音波振動を放射することができる。
【0021】
以上の超音波式の漏れ検査装置は、隣接するブロックの超音波振動子が異なる周波数の超音波振動を放射するので、漏れ位置をより正確に検出できる特長がある。それは、超音波センサが受信する受信信号の周波数で、気泡が上昇している検出ゾーンを特定できるからである。各々の超音波振動子は、指向性で特定される鋭い送信ビームの超音波振動を検査液に放射する。したがって、各ブロックの超音波振動子から異なる周波数の送信ビームが放射される。複数のブロックから平行に放射される送信ビームは、隣の送信ビームとの周波数が異なる。気泡が発生して何れかの送信ビームを通過すると、通過する送信ビームの超音波振動に励起されて反射波を放射する。気泡の反射波は、励起された超音波振動に近い周波数となるので、コントローラは、超音波センサが受信する超音波の受信信号の周波数から、どの位置の送信ビームを通過したかを判定できる。したがって、コントローラは、反射波の周波数から送信ビームの位置、すなわち、超音波振動子の位置を特定できるので、気泡の位置を確実に特定できる。
【0022】
気泡の位置は、どこに配置している超音波センサが気泡の反射波を受信したかで判定できる。ただ、超音波振動に励起された気泡は周囲に反射波を放射し、さらに、放射された反射波が検査液中で反射や干渉して超音波センサに受信されるので、超音波センサが受信する反射波の強度のみでは、気泡の位置検出に誤差が発生しやすい。以上の超音波式の漏れ検査装置は、気泡の反射波を検出して位置を判定するが、気泡が通過する送信ビームに超音波振動を放射した超音波振動子を特定するので、気泡の位置を極めて高い精度で判定できる特徴がある。
【0023】
本発明の他の実施態様に係る超音波式の漏れ検査装置は、送信部が、各々のブロックにひとつの超音波振動子を配置してなる。以上の超音波式の漏れ検査装置は、隣接する超音波振動子が異なる周波数の超音波振動を放射するので、検出ゾーンを狭い領域に設定して、漏れ位置をより高い精度で判定できる特長がある。
(実施の形態1)
【0024】
本発明の実施の形態1に係る超音波式の漏れ検査装置100を図1図5に示す。図1は超音波式の漏れ検査装置100の概略斜視図を、図2は漏れ検査装置100の垂直横断面図を、図3は上昇流が循環する例の垂直横断面図を、図4は加温器の配置の他の一例を示す垂直横断面図を、図5は漏れ検査装置100の模式水平断面図をそれぞれ示している。これらの図に示す超音波式の漏れ検査装置100は、被検査物Wを入れて検査液Lに水没させる検査液槽1と、検査液槽1の内側に配置されて検査液槽1の対向面に向かって超音波振動を放射する送信部2と、検査液槽1の内側に配置されて送信部2が放射する超音波振動を受信する受信部3と、送信部2と受信部3に接続しているコントローラ30とを備える。検査液槽1は、検査液Lを上下方向に上昇させて、気泡Bを強制的に浮上させる上昇機構20を備える。
(検査液槽1)
【0025】
図1に示す検査液槽1は、上方の開口部を四角形とする直方体形状であって、底板15の周囲に周壁10を設けている。周壁10は、第1の周壁11ないし第4の周壁14からなり、第1の周壁11と第2の周壁12を対向位置に配置して対向壁とし、第3の周壁13と第4の周壁14を対向位置に配置して対向壁とする。図1の検査液槽1は、上方開口部を長方形とする細長い直方体である。この検査液槽1は、第1の周壁11と第2の周壁12を、平面視における長手方向の両側に設けた側面板とし、第3の周壁13と第4の周壁14を長手方向の両端に設けた端面板としている。検査液槽1は、送信壁6と受信壁7を対向して配置しており、送信部2を送信壁6の内面に配置して、受信部3を受信壁7の内面に配置している。図の検査液槽1は、第1の周壁11を送信壁6として送信部2を配置し、第2の周壁12を受信壁7として受信部3を配置している。送信部2と受信部3は、周壁10の内面で、かつ液面レベルよりも下に配置される。送信部2は、浮上する気泡Bに超音波を放射し、受信部3は気泡Bからの反射波を受信する位置に配置される。
【0026】
検査液槽1は、図2の断面図視において、第1の周壁11と第2の周壁12、底板15に囲まれる。中央領域8は、第1の周壁11と第2の周壁12の間に位置し、少なくとも両側の内面領域9以外の領域である。内面領域9は、第1の周壁11または第2の周壁12の内側に面する範囲を含む領域である。図2の検査液槽1は、中央領域8を真ん中、内面領域9をその両側に配置する。図の中央領域8は、第1の周壁11と第2の周壁12の間に配置される被検査物Wの中央線を含む領域とする。中央領域8は、被検査物Wを配置する領域として便利に使用できる。中央領域8は、好ましくは被検査物Wの横幅を含む領域とする。ただし、中央領域及び内面領域の範囲、幅、各々の領域の境界は明確に画一的に定まるものではなく、被検査物の幅、形状、サイズ、検査液槽の横幅、上昇機構の種類、構造、配置、検査液の上昇などに合わせて適切に定められる。中央領域と内面領域のいずれにも属さない領域が両領域の間に存在してもよい。
【0027】
図に示す被検査物Wは、検査液槽1の底面に配置されるが、これに限定されない。図示しないが、例えば、検査装置は、被検査物を検査液槽の底面から離隔した位置に配置できる。また、検査装置は、被検査物を検査液中に水没させる機構を備えることができる。この検査装置は、被検査物を検査液中に水没させる機構で水没させた被検査物を検査液槽内の所定の位置及び姿勢に配置できる。
(上昇機構20)
【0028】
上昇機構20は、検査液Lを加温して上昇流とする加温器22を備える。加温器22は、検査液槽1内の所定の位置に配置され、検査液Lを加温して上昇流を発生させる。図2の超音波式の漏れ検査装置100は、被検査物Wを中央領域8に配置している。この超音波式の漏れ検査装置100は、上昇機構20の加温器22が中央領域8内において検査液Lに上昇流を発生させて、気泡Bを加速して浮上させ、漏れに起因する気泡Bを検出して被検査物Wの漏れの有無と、漏れ位置を正確に特定する。被検査物Wのピンホール、クラックなどの微細な隙間から漏れ出る気泡Bは、隙間が小さくなるに従って、微細な粒径となる。検査液槽1内には、被検査物Wの隙間から漏れ出て真上にスムーズに浮上する粒径の大きい気泡Bと、粒径が小さくて浮上速度が遅い気泡Bがある。浮上速度が遅い微細な気泡Bは、検査液Lの局所的な変動の影響を受けて、隣の検出ゾーンに移動する確率が高くなる。
【0029】
上昇機構20の加温器22は、被検査物Wが配置される中央領域8内の検査液Lを上昇流として、粒径の小さな気泡Bを加速して強制的に浮上させる。上昇機構20の加温器22は、中央領域8の上昇流で気泡Bの上昇速度を加速することで、気泡の反射波の周波数偏移を検出するドップラー効果による検出精度を向上し、また微細な気泡Bが隣の検出ゾーンに移動することを抑制して、微細な気泡の検出位置の精度を向上できる。この上昇機構20の加温器22を備える超音波式の漏れ検査装置100は、とくに微細な気泡Bを検査液Lの上昇流で加速して強制的に上昇させ、隣接する検出ゾーンへの位置ずれを抑制して、被検査物Wの微細なクラックやピンホールなどを、位置ずれなく正確に検出できる。
【0030】
上昇機構20の加温器22は、少なくとも被検査物Wが配置される領域の検査液Lを上昇流として、気泡の浮上を加速して気泡を強制的に浮上させる。図2の上昇機構20の加温器22は、少なくとも中央領域8の一部の領域の検査液Lを上昇流とする。中央領域8の上昇流は、被検査物Wのサイズ、形状、両側の周壁10までの距離などに応じて適切な範囲とする。上昇流が被検査物Wを覆う面を検査液Lがなぞって上昇することで被検査物Wの立体的範囲をカバーできる。上昇流が生じる範囲を被検査物Wの横幅より広い範囲とすることで、余裕を持って被検査物Wの立体的範囲をカバーできる。加温器22で加温する範囲を、中央領域8またはその一部の範囲、領域に限定できる。加温器22で加温する範囲を狭くすることで、加温器22のサイズを小さく、個数を少なくでき、加温器のコストを抑えることができる。図示しないが、上昇機構は、中央領域より広い範囲、すなわち中央領域以外の領域でも検査液を上昇させることができる。例えば、検査液槽の底板を全面的に加温して、また被検査物より下の検査液槽の下層部の検査液を中央領域より広い範囲で加温して検査液を上昇させることができる。加温器22で加温する範囲を広くすることで、被検査物の形状、サイズなど検査装置が対応できる範囲を広くできる。
【0031】
図1及び図2に示す上昇機構20は、加温器22で検査液Lを加温して上昇流を発生させる。加温器22は、直接または間接的に検査液Lを加温する機器である。上昇機構20の加温器22は、電気ヒーターが適している。電気ヒーターは温度調整や制御が容易で便利に利用でき、所定の位置で所定の検査液の上昇流を発生できる。ただし、加温器は電気ヒーターに限定されることなく、検査液を加温して上昇流を発生できるものであれば制限なく利用可能であるので、加温器の構造、構成、態様などは限定されない。加温器は、現に販売されている製品たとえば、加熱蒸気を内部に循環して加温する蒸気ヒーター等が使用でき、さらに今後開発される加温器も含まれる。
【0032】
図2の超音波式の漏れ検査装置100は、上昇機構20の加温器22で底板15を介して検査液Lを加温する。この加温器22は、検査液槽15の中央領域で底板15を加温して上昇流を発生させる。加温された検査液Lは、膨張して密度が小さくなって上昇流となる。図2において、底板15で加温された検査液Lは、中央領域8において矢印Bで示すように上昇流となって、気泡Bを加速して強制的に浮上させる。
【0033】
加温器22は、図2及び図3に示すように、底板15を介して検査液Lを加温し、あるいは図4に示すように、底板15の内部に配置されて検査液Lを直接に加温して、被検査物W付近の検査液Lを上昇流として気泡Bを速やかに浮上させる。加温器22は、被検査物の形状、配置などに応じて設けられ、加温温度と共に、加温器22形状、加温面積、配置、検査液と接触態様、被検査物との距離、加温方法など加温態様により、加温する検査液の範囲、検査液を上昇させる範囲、位置、上昇速度を規定調整できる。加温器22が加温する検査液Lの範囲、面積などを規定することで、検査液槽1内の特定の位置、範囲に所定の上昇を生じさせることができる。したがって、加温器22は、中央領域8のうち被検査物Wの隙間から気泡Bが発生し得る範囲、発生した気泡Bが存在し得る範囲をカバーして検査液Lを上昇流とすることができる。
【0034】
さらに図3に示すように、中央領域8において上昇流となる検査液Lは、検査液槽1の内面領域9で下降流となって上下に対流する。温められた検査液Lは中央領域8で上昇し、内面領域9では検査液槽1の周壁10で冷却されて下降流となる。検査液槽1内において、加温器22で温められた検査液Lは上昇流となり、液面付近に浮上して幅方向に広がる。図3の断面図視において、検査液Lは、左右両側の第1の周壁11及び第2の周壁12に向かって移動し、さらに各々の第1及び第2の周壁11、12の内側の内面領域9で降下し、底面付近に沈下した検査液Lが中央領域8に移動して、再び加温器22に加温されて上昇する。図で示す矢印のように、検査液槽1内に検査液Lの上昇流が生じ、この上昇流は第1及び第2の周壁11、12の間の中央を通る中央線を対称軸として、線対称的に中央領域8の上昇流と内面領域9の下降流で検査液Lがループ状に検査液槽1内を対流して、上昇流が浮上する気泡を加速して強制的に上昇させることができる。
【0035】
加温器22は、縦長い矩形状、または線状の形状とし、もしくは縦長い矩形状、または線状に配列することで、上昇流を所定の位置、範囲に生じさせることができる。図2の検査装置は、被検査物Wを検査液槽1の底面の中央領域8に配置して漏れを検査するので、加温器22は、被検査物Wの下に配置される。図の検査装置は、検査液槽1の底板15の外側面に加温器22を配置して、底板15を介して被検査物W付近の下層部の検査液Lを加温する。中央領域8に加温器22を設けて、中央領域8で温められた検査液Lが上昇流となって、浮上する気泡を加速して上昇させる。
【0036】
電気ヒーターの加温器22は、供給電力を制御して発熱量をコントロールして、検査液Lの上昇流を制御できる。電気ヒーターの加温器22は、微細な気泡Bを検出できるように、上昇流の上昇速度を設定して気泡の検査精度を向上できる。ヒーターの加温器22は、設定温度に制御して上昇流を制御して、微細な気泡Bを加速して浮上させ、また隣の検出ゾーンへの移動を抑制して、浮上する気泡から被検査物Wの漏れを検出し、さらに浮上する気泡の位置から漏れの位置を正確に検出ができる。電気ヒーターの加温器22は、サーモスタットなどにより設定温度に維持して安定に上昇流を発生できる。加温器22の設定温度は、検査液全体の温度、加温される検査液との温度差、検査液の種類、量、水槽容量、底板の厚み、材質、検査時間などに応じて、最適の設定値に調整される。検査液Lを加温して上昇させるためには、周辺の検査液Lとの温度差が必要である。例えば、加温する時間が長い場合などは、加温器22で検査液Lが加温され上昇が循環して検査液槽1内の検査液L全体の温度が徐々に上昇することも考慮し、検査液Lの温度、とくに中央領域8の低層部の検査液Lの温度及び温度変化を把握しながら、設定温度を定め、あるいは温度変化に対応させて設定温度を上昇させる制御を行うものとする。
【0037】
加温器22は、被検査物Wから出る気泡Bを強制的に浮上できる位置に配置されることが好ましい。ピンホールから噴出される気泡Bは、検査液Lに加温されて膨張する。膨張した気泡Bは浮力が増加して浮上速度が速くなる。このことは、検査液Lの上昇流が浮上速度を速くすることと相乗して、さらに気泡Bの浮上速度を速くできる。とくに、被検査物Wに圧入された加圧空気がピンホールなどから噴出されると、気泡Bは断熱膨張して温度が低下するが、噴出された気泡Bは検査液Lに加温されて膨張し、大粒になって浮力が増加する。このため、被検査物Wから噴出された気泡Bは、断熱膨張で温度が低下しても、加温された検査液Lで加温されて浮上速度の低下が防止される。このため、被検査物Wから噴出される気泡Bは、対流する検査液Lに加温されて浮上速度が低下することなく、速やかに浮上して検出される。
【0038】
図2の加温器22は、検査液槽1の底板15の外側に設けられて検査液Lを加温するので、加温器22の設置、交換、メンテナンスなどを容易にできる。図4の加温器22は、被検査物Wの下で、かつ、検査液槽1の底板15の内側に設けて、検査液Lを直接加温する。検査液L中に設ける電気ヒーターの加温器22は、防水構造として、検査液中に配置できる。液中に配置する加温器22は、直接接する液体を効率よく加温でき、加温される液体温度をより細かく制御できる。ただし、図示しないが、加温器22は、被検査物から排出される気泡を浮上できる上昇流を発生できる位置、例えば、被検査物の両側または片側、もしくは上に配置することもでき、これらを組み合わせることもできる。加温器22は、1又は複数設けることができる。被検査物の上に配置する加温器は、加温して上昇させる検査液が、加温器よりも下方の検査液を強制的に引き上げるので、被検査物を上昇流の領域に配置して、気泡を強制的に上昇できる。
【0039】
加温器22は、被検査物Wの下に設けることが好ましいが、検査液Lを加温して発生する上昇流で被検査物Wから排出される気泡Bを強制的に浮上できる全ての位置に配置することができる。したがって、加温器22は、被検査物Wの近傍に配置することが好ましい。被検査物Wの近傍に配置された温器22は、被検査物Wの近傍で検査液Lを加温して、被検査物Wから排出される気泡Bを上昇流で浮上できるからである。加温器は、好ましくは被検査物の下方に配置されるが、加温器は、被検査物の上に配置することもできる。この加温器は、加温された検査液を上昇流とし、この上昇流が加温器よりも下の検査液を引き上げて、被検査物から排出される気泡を強制的に浮上できるからである。
【0040】
加温器22は、検査液Lを加温して、検査液Lを上昇させて気泡Bを速やかに浮上させるので、気泡Bの周囲の検査液Lを攪拌することなく、気泡Bの周囲の検査液Lを気泡Bと一緒に一体的に上昇できる。このため、気泡の音響インピーダンスを変化することなく、すなわち気泡の超音波振動に対する物性を変動させることなく、気泡Bを速やかに上昇できるので、微細な気泡Bを超音波振動で確実に検出しながら、その検出位置をも正確に判定できる。
【0041】
また図示しないが、検査液槽の内側の周壁と底板の結合部をなだらかな曲面とするなど、略円状の上昇を阻害することなくスムーズに流れるようできる。同様に、周壁の内側の液面レベル付近に上昇をスムーズに案内するガイド部などを設けることもできる。また上昇流の範囲を規定するための仕切り板、上昇流を案内するガイドなどを設けることもできる。
【0042】
以上の図2及び図3の加温器22で検査液Lを加温する上昇機構20は、検査液槽1内の検査液Lを中央領域8で上方向に上昇させて、浮上速度の遅い気泡、さらに自力でほとんど浮上しない微細な粒径の気泡、検査液Lの局所的な変動の影響を受ける気泡などを強制的に上昇させ、また気泡が隣の検出ゾーンなど検出範囲外に移動するのを抑制できる。したがって、加温器22で中央領域8の検査液Lを加温して上昇流として気泡Bを浮上させる超音波式の漏れ検査装置100は、検査液槽1の内部を浮上する気泡Bの位置を正確に特定して、被検査物Wの漏れ位置を正確に特定できる。
(送信部2)
【0043】
送信部2は、複数の超音波振動子4を所定の間隔で水平方向に横並びに配置している。各々の超音波振動子4は、図1の矢印Aで示す方向に超音波振動を放射する。超音波振動子4から放射される超音波は、検査液L中を直進する。超音波振動子4は、指向性で特定されるビームで超音波振動を放射する。超音波振動子4が超音波振動を放射する送信ビームを図6に示している。この図に示すように、超音波振動子4は、送信ビームの中心軸4xに最も強く超音波振動を放射して、その周囲にも超音波振動を放射する。送信ビームの放射角は超音波振動子4の指向性で特定される。超音波振動子4の指向性は、周波数やホーンの形状等で調整できるが、一般的には送信ビームの半値角(θ)は約8~30度である。半値角(θ)は、超音波振動の強さが1/2に半減する角度で、指向性を表す指標のひとつである。半値角(θ)は、角度をずらして超音波振動の強度を測定して、信号レベルが中心軸4xの1/2に低下する角度である。したがって、超音波振動子4は、半値角(θ)の内側において超音波振動の強さを、送信ビーム中心軸4xの1/2以上にできる。
【0044】
超音波振動子4は、送信ビームの半値角(θ)を小さくして、すなわち超音波振動を狭く収束して、遠い距離まで強い強度に放射できる。半値角(θ)の小さい超音波振動子4は、離れた位置の超音波振動を強くできるので、超音波振動子4から離れた位置の気泡を検出できる。しかしながら、半値角(θ)の狭い超音波振動子4は、狭い領域に特定して超音波振動を放射するので、気泡を検出できる検出範囲が狭くなる。
【0045】
送信部2は、複数の超音波振動子4を、超音波の放射方向、すなわち送信ビームの中心軸4xを平行とする姿勢で、所定の間隔で水平方向に横並びに配置して、複数列の送信ビームを放射する。送信部2は、複数の超音波振動子4で超音波を放射して、水平面内で横並びに複数列の送信ビームを平行に放射して、検査液Lを浮上する気泡Bを検出する超音波放射面を構成する。超音波振動子4の間隔は、超音波放射面にほぼ均一に超音波を放射する間隔に設定される。超音波振動子4の間隔が広すぎると、超音波振動子4の間の超音波振動が弱くなって、この領域を浮上する気泡Bを確実に検出できなくなる。超音波振動子4の間隔を狭くして、超音波放射面の全体を充分な強度の超音波振動にできるが、超音波振動子4の個数が多くなった部品コストが高くなる。したがって、超音波振動子4の間隔は、超音波放射面をほぼ均一な超音波振動としながら、できる限り超音波振動子4の個数を少なくするように、たとえば、1cmよりも広く、5cmよりも狭くする。
【0046】
超音波振動子4は、送信ビームの半値角(θ)で超音波振動を放射する角度が特定されるので、送信部2に配置される複数の超音波振動子4は、送信ビームの半値角(θ)で隣接する超音波振動子4の間隔を最適値に調整し、半値角(θ)の大きい超音波振動子4は間隔を広く、半値角(θ)の小さい超音波振動子4は間隔を狭くする。このことから、超音波振動子4の間隔は、前述した範囲には特定されず、超音波振動子4の特性、検査する精度などを考慮して最適値に設定される。
【0047】
送信部2は、図7に示すように、複数の超音波振動子4を複数のブロック2Xに分割しており、隣接するブロック2Xの超音波振動子4が異なる周波数の超音波振動を放射する。送信部2は、好ましくは、各々のブロック2Xにひとつの超音波振動子4を配置し、すなわち、ひとつの超音波振動子4でひとつのブロック2Xを構成して、隣接する超音波振動子4が異なる周波数の超音波振動を放射する。この漏れ検査装置100は、超音波放射面に周波数が異なる複数列の送信ビームを放射して、周波数が異なる送信ビームのピッチを狭くして、気泡Bの位置をより高い分解能で特定できる。ただし、送信部2は、図8に示すように、各々のブロック2Xに複数の超音波振動子4を配置して、複数の超音波振動子4でひとつのブロック2Xを構成することもできる。
【0048】
隣接するブロック2Xが放射する周波数差を大きくして、どこの超音波振動子4からの超音波を受信したかを確実に識別できるが、超音波振動子4は、共振周波数からずれると超音波の放射効率が低下するので、隣接するブロック2Xが放射する超音波振動の周波数差は、好ましくは、超音波振動子4の共振周波数の10%以下とする。超音波振動子4は、放射する超音波振動の周波数を、好ましくは1MHzないし3MHz、たとえば、1MHz又は2MHzとするので、ブロック2Xが放射する超音波振動の周波数差は、たとえば30Hzよりも大きく、200kHzよりも小さい範囲とする。この漏れ検査装置100は、全ての送信部2を、同じ共振周波数の超音波振動子4を使用して、隣接するブロック2Xの超音波振動子4の周波数を異なる周波数にできる。
【0049】
送信部2は、たとえば、隣接するブロック2Xの超音波振動子4が放射する超音波振動の周波数を、ブロック2Xの配列方向に、交互に高くなり、かつ低くなる周波数とすることで、全体の周波数範囲を狭くしながら、隣のブロック2Xの超音波振動子4は異なる周波数の超音波を放射できる。たとえば、図7に示すように、共振周波数を2MHzとする15個の超音波振動子4を横並びに配置して、以下の周波数の超音波振動を放射して、隣接する超音波振動子4が異なる周波数の超音波を放射することができる。
【0050】
第1番目の超音波振動子が放射する超音波振動の周波数……2015kHz
(周波数差70Hz低下)
第2番目の超音波振動子が放射する超音波振動の周波数……1945kHz
(周波数差75Hz上昇)
第3番目の超音波振動子が放射する超音波振動の周波数……2020kHz
(周波数差70Hz低下)
第4番目の超音波振動子が放射する超音波振動の周波数……1950kHz
(周波数差75Hz上昇)
第5番目の超音波振動子が放射する超音波振動の周波数……2025kHz
(周波数差70Hz低下)
第6番目の超音波振動子が放射する超音波振動の周波数……1955kHz
(周波数差75Hz上昇)
第7番目の超音波振動子が放射する超音波振動の周波数……2030kHz
(周波数差70Hz低下)
第8番目の超音波振動子が放射する超音波振動の周波数……1960kHz
(周波数差75Hz上昇)
第9番目の超音波振動子が放射する超音波振動の周波数……2035kHz
(周波数差70Hz低下)
第10番目の超音波振動子が放射する超音波振動の周波数…1965kHz
(周波数差75Hz上昇)
第11番目の超音波振動子が放射する超音波振動の周波数…2040kHz
(周波数差70Hz低下)
第12番目の超音波振動子が放射する超音波振動の周波数…1970kHz
(周波数差75Hz上昇)
第13番目の超音波振動子が放射する超音波振動の周波数…2045kHz
(周波数差70Hz)
第14番目の超音波振動子が放射する超音波振動の周波数…1975kHz
(周波数差75Hz上昇)
第15番目の超音波振動子が放射する超音波振動の周波数…2050kHz
【0051】
各ブロック2Xの超音波振動の周波数を以上に設定する送信部2は、隣のブロック2Xとの周波数差が70Hz、又は75Hzと大きくして、気泡Bがどのブロック2Xの超音波振動に励起されたかを正確に判定して、気泡Bの位置を正確に特定できる。また、以上の送信部2は、ブロック2Xの配列方向に、ブロック2Xの超音波振動子4が放射する超音波の周波数を交互に高く、また低くして、奇数番のブロック2Xから偶数番のブロック2Xには周波数を低くして、偶数番のブロック2Xから奇数番のブロック2Xには周波数を高くして、隣のブロック2Xの超音波振動差を70Hz、又は75Hzと大きくしながら、全体の周波数幅を、最低周波数の1945kHzから最高周波数の2050kHzとして、共振周波数の2MHzに対して-2.75%~+2.5%と10%以下の範囲に設定している。
【0052】
さらに、以上のように、送信部2が、全てのブロック2Xの超音波振動子4の放射超音波の周波数を異なる周波数に設定する漏れ検査装置100は、受信部3が受信する周波数で送信ビームを特定して、気泡Bの位置を正確に検出できる特徴がある。また、各々のブロック2Xの超音波振動子4の周波数が、特定周波数の高調波とならない周波数に設定することで、受信部3が受信する周波数で送信ビームを誤り無く判定できる特徴もある。
(受信部3)
【0053】
受信部3は、複数の超音波センサ5を水平方向に横並びに配置している。超音波センサ5は、超音波振動の入射角で受信感度が変化し、受信ビームの中心軸5xの方向から入射する超音波振動の感度が最大となる。送信部2は、複数の超音波振動子4を水平方向に並べて配置している。超音波振動子4は、送信ビームの中心軸4xの方向に最も強く超音波振動を放射する。図5の模式水平断面図に示すように、超音波センサ5と超音波振動子4は水平面内において対向位置に配置されて、対向位置にある超音波振動子4の超音波振動に励起された気泡Bの反射波を超音波センサ5で受信する。この構造の漏れ検査装置100は、対向位置にある超音波振動子4からの超音波振動を対向位置の超音波センサ5で受信するので、対向位置にある超音波振動子4との間を浮上する気泡Bからの反射波を超音波センサ5が高い感度で受信できる。
【0054】
超音波式の漏れ検査装置100において、直接波の受信レベルを低くして、反射波の受信レベルを高くすることは、微細な気泡の検出に有効である。超音波センサ5が、受信感度を高くして低レベルの反射波を受信できるからである。漏れ検査装置100は、直接波と反射波の両方を検出して気泡Bを検出し、あるいはドップラー効果で反射波の周波数が変化したことを検出して気泡Bを検出できるが、直接波と反射波の両方を検出する装置においては、直接波は信号レベルが高いので、超音波センサ5を受信ビームの中心軸5xからずらした位置に配置して、超音波センサ5が検出する直接波の信号レベルを低くしても、直接波は充分な信号レベルで受信できる。反射波は、直接波に比べて信号レベルが低いので、いかに高感度に検出できるかは、いずれの方式の漏れ検査装置においても微細な気泡の検出において極めて重要である。
【0055】
このことから、微弱な信号レベルの反射波を確実に安定して検出することは、漏れ検査装置において極めて重要である。ただ、微細な気泡が反射する超音波の信号レベルは極めて低いので、超音波センサ5は、極めて高い感度で低レベルの反射波を安定して受信する高感度、ローノイズ特性が要求される。超音波センサ5は、低レベルの反射波を検出するが、超音波センサ5は、反射波のみでなく、超音波振動子4が検査液Lに放射する直接波も検出する。直接波は、反射波に比較して信号レベルが高いので、低感度の超音波センサ5で検出できるが、低感度の超音波センサ5では低レベルの反射波を確実に安定して検出できない。さらに、反射波は直接波に対して周波数が変化しているが、その割合は極めて少なく、反射波と直接波の周波数差は極めて小さい。周波数が近似し、かつ信号レベルが極めて低い反射波を確実に検出するために、低レベルの反射波が効率よく超音波センサ5に受信され、高レベルの直接波の信号レベルを低くするために、超音波センサ5は超音波振動子4の直接波を受信しない位置に配置される。
【0056】
このことを実現するために、図2に示す超音波式の漏れ検査装置100は、超音波振動子4が超音波を放射する中心軸4x上に超音波センサ5を配置しないで、放射される超音波振動の中心軸4xからずれた位置に超音波センサ5を配置している。超音波センサ5は超音波振動が放射される中心軸4x上に配置されると、気泡Bで反射されない超音波振動である直接波が超音波センサ5に入射されるからである。超音波放射の中心軸4xに配置されない超音波センサ5は、直接波の入力レベルが低下して、反射波を高い感度で受信できる。
【0057】
受信部3は、低レベルの反射波を検出して気泡Bを検出するが、微細な気泡Bによる反射波の信号レベルは極めて低い。低レベルの反射波を検出する受信部3は、ノイズレベルを低くして、低レベルの反射波を高いS/N比で安定して検出できるかが、微細な気泡Bを安定して検出できる検出能力に影響を与える。検査液L中に超音波振動を放射する漏れ検査装置100は、検査液Lに放射された超音波振動があらゆる面に衝突して反射され、拡散されて、超音波振動子4から超音波センサ5までの距離が変化して位相のずれた超音波が互いに干渉してノイズ成分となって超音波センサ5に受信される。ノイズ成分は、高感度に反射波を受信する受信部3のS/N比を低下させて、実質的に受信できる反射波の最低レベルを高くする原因となる。受信部3が受信できる反射波の最低レベルは、検出できる気泡Bの大きさに影響を与える。したがって、より微細な気泡Bを検出するために、超音波センサ5が検出するノイズ成分を低くして、より低レベルの反射波を安定して確実に受信することが大切である。
【0058】
受信部3は、検査液L中を浮上する気泡Bの反射波を高感度に受信する位置と姿勢に配置される。受信部3は、複数の超音波センサ5を備え、超音波センサ5を所定の間隔で水平方向に並べている。受信部3は複数の超音波センサ5を、送信部2は複数の超音波振動子4を水平方向に並べて配置している。受信部3は複数の超音波センサ5を水平方向に並べて配置しているが、送信部2の超音波振動子4と、受信部3の超音波センサ5は同じ個数として、水平面内において、すなわち平面視において、超音波振動子4の対向位置に超音波センサ5を配置して、各々の超音波センサ5は、対向位置にある超音波振動子4からの超音波振動、すなわち対向位置にある超音波振動子4からの直接波と気泡Bの反射波を受信する。
【0059】
超音波センサ5も、超音波振動子4と同様に鋭い指向性があり、さらに受信ビームの半値角(θ)を狭くして受信感度を高くできる。受信感度の高い超音波センサ5は、気泡Bからの微弱な反射波を受信できるので、超音波センサ5は、受信ビームの半値角(θ)を狭く、たとえば8度ないし30度とする。超音波センサ5の半値角(θ)は、受信する超音波振動の周波数やホーンで調整できる。超音波センサ5は、半値角(θ)の内側にある気泡Bからの反射波を、送信ビームの中心軸4xに対して1/2以上の信号レベルで受信できる。
【0060】
受信部3は、超音波振動子4からの直接波の信号レベルを低くするために、送信ビームの中心軸4xからずれた位置に超音波センサ5を配置している。直接波は気泡Bの反射波に比較して信号レベルが高いので、送信ビームの中心軸4xから離れた位置に配置して、超音波振動子4の直接波を充分な信号レベルで受信できる。超音波センサ5は、送信ビームの中心軸4xに接近して配置するほど、直接波の信号レベルが高くなり、送信ビームの中心軸4xから離れるにしたがって、直接波の信号レベルが低くなる。受信壁7に超音波センサ5を配置する位置は、すなわち、超音波センサ5の中心と送信ビームの中心軸4xとの変位間隔(d)は、送信ビームと受信ビームの半値角(θ)を考慮して最適値に設定されるが、好ましくは5mm以上であって50mm以下に設定される。受信ビームの半値角(θ)が広い超音波センサ5は、変位間隔(d)を大きくして、検査液槽1中を浮上する気泡Bの水平面内における検出範囲を広くできる。
【0061】
図2は、超音波センサ5が、検査液槽1中を浮上する気泡Bを検出する範囲を示している。この受信部3は、超音波センサ5の位置を、送信ビームの中心軸4xから半値角(θ)の範囲に配置している。この超音波センサ5は、直接波の信号レベルを送信ビームの中心軸4xに対して1/2以上の信号レベルで受信できる。超音波センサ5の位置を、送信ビームの半値角(θ)の内側に配置する漏れ検査装置は、直接波の信号レベルを高くできるので、気泡Bの検出に直接波と反射波の両方を利用する方式に適している。漏れ検査装置は、ドップラー効果で反射波の周波数が変化することを検出して気泡Bを検出することもできるので、この漏れ検査装置は、直接波を高い信号レベルで検出する必要がないので、超音波センサ5の位置を送信ビームの半値角(θ)の外側に配置することもできる。反射波のドップラー効果から気泡Bを検出する漏れ検査装置においても、超音波センサ5の位置を送信ビームの半値角(θ)の内側に配置することで、気泡Bからの反射波の信号レベルを高くできる。送信ビームの半値角(θ)の内側にある気泡Bは、超音波振動子4から放射される超音波振動が強いので、気泡Bからの反射波も強くなるからである。したがって、超音波センサ5は、好ましくは、送信ビームの半値角(θ)の内側に配置される。
【0062】
図2の漏れ検査装置100は、受信ビームの中心軸5xと送信ビームの中心軸4xが検査液槽1内において交差する姿勢に、超音波センサ5を配置している。この図の漏れ検査装置100は、受信ビームの中心軸5xが送信ビームの中心軸4xの中央部で交差する姿勢に超音波センサ5を配置している。この姿勢に配置される超音波センサ5は、受信ビームの両側に広がる領域を検出範囲として気泡Bを広い領域で広くできる。好ましくは、検査液槽1中における受信ビームと送信ビームの交差点Xは、送信ビームの中心軸4xの中央よりも受信壁7に変位した位置とする。受信ビームが、送信壁6から受信壁7に向かって次第に広がって、中央部よりも受信壁7側において、半値角内の領域が広くなるからである。
【0063】
図2に示す漏れ検査装置100は、送信ビームと受信ビームとが重なる領域(図において薄墨を付した領域)において、気泡Bは、送信ビームの中心軸4xの1/2以上の強さの超音波振動で励起され、かつ受信ビームの中心軸5xの1/2以上の信号レベルで反射波を受信できる。したがって、送信ビームと受信ビームの交差する領域を浮上する気泡Bは、充分な超音波振動レベルで励起され、かつ気泡Bが放射する反射波が充分な信号レベルで超音波センサ5に受信される。気泡Bが超音波振動に励起されるエネルギーは、超音波振動子4から離れるにしたがって低下するが、気泡Bからの反射波は超音波センサ5に接近するにしたがって強くなるので、超音波センサ5は、送信ビームと受信ビームとが重なる領域を浮上する気泡Bからの反射波を充分な信号レベルで受信できる。超音波振動子4から離れて超音波センサ5に接近する領域を浮上する気泡Bは、超音波振動のエネルギーは低下するが超音波センサ5の受信感度が高くなり、超音波センサ5から離れて超音波振動子4に接近する領域を浮上する気泡Bは、超音波センサ5の受信感度は低下するが、励起される超音波振動のエネルギーが強くなって、気泡Bの反射波が強くなるので、超音波センサ5は充分な信号レベルで反射波を受信できる。
【0064】
以上の漏れ検査装置100は、以下の状態で使用されて被検査物の漏れを検出する。検査液槽1に充填された検査液Lに被検査物Wを水没させる。被検査物Wは、浮上する気泡Bの反射波を受信部3で受信できるように、送信部2と受信部3を配置した水平面よりも低い位置まで被検査物Wを水没させ、被検査物Wから漏れ出る気泡Bが送信部2と受信部3の間を通過するようにしている。
【0065】
また、送信部2及び受信部3は、コントローラ30と接続される。コントローラ30は、受信部3で受信した超音波を検出して気泡Bの有無を検出する気泡検出部(図示せず)を備える。コントローラ30は、外付けのコンピュータ等の外部機器とすることもできるが、超音波式の漏れ検査装置100自体にコントローラ30を組み込むことにより、外部機器を付加することなく気泡検出やその位置、量の検出を実現できる。コントローラ30には、受信部3が検出した直接波と反射波、又は反射波の周波数変化から、浮上する気泡Bを検出して表示する表示部(図示せず)を備える。表示部はCRTや液晶パネル等とすることができる。またコントローラ等の部材を操作するための操作パネルやコンソール、キーボード等の入力デバイスを必要に応じて設ける。
【0066】
さらに、検査液槽1内には、検査液Lに水没された被検査物Wの内部に圧縮空気を供給するためのエアー配管31を備える。これにより、被検査物Wに圧縮空気を送出して、被検査物Wに小孔や亀裂が存在する場合に小孔や亀裂、隙間から気泡Bの漏れを生じさせる。気泡Bは検査液槽1内の検査液L中を上昇し、検査液Lの液面に到達して破消する。超音波振動子4から放射する超音波振動は、気泡Bを励起して反射波を放射する。受信部3は、気泡Bの反射波と、超音波振動子4からの直接波を受信する。コントローラ30は、反射波と直接波の両方で、あるいは反射波で気泡Bを検出して、気密漏れを判定する。さらに、コントローラ30は、気泡Bの位置、発生量なども検出する。
【0067】
隣接して横並びに配置している複数の超音波振動子4は、異なる周波数の超音波を放射して、複数の超音波振動子4と対向位置にある超音波センサ5とをペアとして直接波と反射波を検出する。
【0068】
被検査物Wは、気密性や亀裂、小孔の発生を検出したい部材であり、検査液Lに水没可能なあらゆる部材が対象となる。例えば、燃料タンク、車両用触媒コンバータ、マフラー等である。また検査液Lは、被検査物Wに腐食等の損傷を与えない、あるいはその影響の少ない液体が選択され、例えば水等である。検査液Lは防錆剤の水溶液を使用することが望ましく、また必要に応じて気泡流動や超音波伝搬を考慮した粘度、温度に調整する。
【0069】
超音波振動子4は、MHzオーダーの超音波を送信する。検査液Lでの減衰を考慮して、好ましくは1MHz以上20MHz以下、さらに好ましくは1MHz~5MHzの超音波を使用し、信号処理回路の容易さ等から1MHzから2MHzが望ましい。超音波は気泡Bに当たるとその90%以上を反射するので、超音波センサ5は反射波を検出できる。また気泡Bが検査液L中を上昇する際には、検査液Lに上昇を阻まれ、螺旋運動や振り子運動、表面形状の変化等の揺動を伴って浮上するので、MHzオーダーの超音波を水平方向から放射するとその反射波は揺動に伴う周波数偏移を生じる。周波数偏移は周波数の変化量、言い換えれば振動数の変化量であり、通常ヘルツ(Hz)で表わされる。さらに超音波は回折し、重畳するので、気泡の後方でも観測される。このように気泡の揺動に応じて、直接波及び反射波の周波数偏移の量が異なる。したがって、これらを検出することで気泡を検出して、被検査物Wの気密性や漏れ量等を検出できる。
【0070】
送信部2と受信部3とを検査液槽1の対向位置に配置する漏れ検査装置100は、送信部2が受信部3に向かって超音波を放射して、直接波と反射波を超音波センサ5で受信する。直接波と反射波は、異なる性質を有するため、これらを併用して検出する漏れ検査装置は、誤検出を防止して精度よく気泡の性質を特定できる。一般に直接波は気泡の量が多い場合の検出に好適であり、一方反射波は気泡の量が少ない場合に好適である。また反射波は、小さな気泡が複数個あるときは複数の任意の周波数に顕著な変化を生じ、大きな気泡が複数個あるとき周波数のパワースペクトルが幅広く持ち上がり、気泡の大きさと数に相関を示す。さらに小さな気泡が1個あるときは幅の狭い急峻な波形を示し、大きな気泡が1個あるときは幅広の波形を示して、気泡の大きさと周波数のパワースペクトルに相関を示す。一方、直接波は気泡があるとき振幅が減少する。
【0071】
気泡の状態を検出する方法を、図9図13に基づいて説明する。まず、図を気泡がないときの反射波の受信信号とする。このように、気泡がない場合は超音波の放射波の周波数とほぼ同じ位置にピークが表れる。
【0072】
検査液L内を浮上する気泡Bは検査液Lの粘性によって気泡Bの大きさに係わる異なった揺動を示す。例えば、小さい気泡の揺動は水平方向の軌跡の変化が支配的であるためその周波数のパワースペクトルは裾野の狭い鋭い波形となり、大きい気泡の揺動は水平方向の軌跡の変化と気泡の表面形状の歪みの双方が支配的となるためその周波数のパワースペクトルは裾野の広い波形となるので、揺動に伴って生じる反射波及び直接波の周波数のパワースペクトルの形状は気泡の大きさに係わりを持った形状となり、この周波数のパワースペクトルの面積は気泡の量つまり気泡の大きさに相当する。検査液Lを使用した超音波式の漏れ検査装置100の気泡検出部において、送信周波数を除くピーク周波数のパワースペクトル値とこのピーク周波数から一定の幅の1つ以上の周波数でのパワースペクトル値との差を算出することにより、周波数のパワースペクトルの形状つまり周波数のパワースペクトルの面積を求めることができ、気泡の大きさ、すなわち気泡の体積、言い換えれば漏れ量が検出できる。さらに、漏れ位置は気泡の位置から検出されるが、気泡の位置は、超音波センサ5が受信する周波数から特定される。
【0073】
さらに、反射波は、同一の小孔や亀裂の位置からの漏れに伴う気泡が1個の場合には気泡の揺動に伴う周波数のパワースペクトルが、超音波振動子4が放射する超音波の周波数によるピークを除き唯一のピークを有するが、気泡が複数の場合にはそれぞれの気泡が少し異なった揺動を示すために一定の範囲内に複数のピークを有するような周波数のパワースペクトル波形となり、実際にはこれらのピークを有する周波数のパワースペクトルの重畳により複数のピークを有し且つ周波数のパワースペクトルの裾野が幅広く持ち上がるような波形を示すこととなる。検査液Lを使用した超音波式の漏れ検査装置100の気泡検出部において一定の周波数範囲内の周波数のパワースペクトルの変化量を計測することにより気泡の総量すなわち漏れ量を算出することができ、ピークの数を求めることにより気泡の数が検出できる。
【0074】
反射波について、以上をまとめると、微少気泡が1個のときの反射波は、図10に示すように主ピークから離れた周波数で小ピークが見られ、例えば放射波の主ピークよりも高い周波数に半値幅の狭い小ピークが検出される。一方、微小気泡が複数個あるときの反射波は、図11に示すように、主ピークから離れた位置に複数の小ピークが見られる。ここでは放射波である主ピークの近傍で複数の小ピークが検出される。さらに大きな気泡が1個あるときの反射波は、図12に示すように幅広の小ピークが観察される。また大きな気泡が複数個あるときの反射波は、図13に示すように幅広の小ピークが複数形成される結果、スペクトル全体がブロードに嵩上げされる状態となる。このように反射波は気泡の大きさ及び数と相関しており、このような差異を用いることで、気泡量すなわち漏れ量を換算できる。また、主ピークは超音波振動子4が放射する周波数であるので、主ピークの周波数からどこの超音波振動子4が放射したか、言い換えると、どこの超音波振動子4が放射した送信ビーム上に気泡があるかを判定できる。
【0075】
また、漏れ検査装置100は、超音波を気泡に放射して気泡の揺動を能動的に生じさせ、この変化を受信信号の位相・周波数変化等として検出することで、高精度な気泡検出を図ることができる。例えば、気泡が検査液L中を上昇する際には、検査液Lの粘性に伴う抵抗力によって上昇を阻まれ、その結果として検査液Lの流動や地球の自転等の微少な影響を伴って螺旋運動や振り子運動、表面形状の変化等の揺動を生じる。これらの揺動は気泡の大きさと相関関係を有しているが、些細な力学的影響により変化を生じるため現実的には再現性が低い。しかし、比較的パワーの大きい超音波を水平方向から気泡に放射することで、気泡の大きさに係わる固有の揺動を誘導することができ、気泡の大きさに相関関係を有する揺動の再現性を高めることができる。例えば、大きな気泡においては超音波を水平方向から受けたとしても表面の形状が変化するだけで気泡の水平位置はほとんど変化しない、一方、小さな気泡においては超音波を水平方向から受けると放射方向に相対的な位置の移動を生じる。これにより反射波と直接波に気泡の大きさに相関関係を有する位相及び周波数の変化を能動的に生じさせると共に、特徴が発散しがちな揺動を気泡の大きさに係わる特定の揺動に収束させ、安定した気泡量の算出が可能となる。
【0076】
このように、スペクトル波形の主ピークから送信ビームを特定して、小ピークを観察することで、気泡の数及び大きさを把握することができる。スペクトル波形の観察は、演算処理により定量的に処理することができる。例えばスペクトルのピーク位置や半値幅、平均値等を演算し、所定の基準値や閾値と比較することでこれらの判定を自動化することが可能となる。この演算及び判定は、コントローラ30で行う。
【0077】
本実施の形態では、超音波の直接波の振幅減衰あるいは位相の変化を検出して、気泡の有無と位置を検出することができる。この原理を図14及び図15に基づいて説明する。超音波は進行に伴って減衰する性質を有する。検査液Lを透過する直接波の振幅は、気泡のある場合に顕著に減衰し、流動や浮遊物によっては振幅の減衰は顕著でない。これは、音響インピーダンスの違いから検査液L中の気泡Bが超音波を90%以上反射するのに対して、検査液Lの流動ではほぼ0%、浮遊物の多くは親水性であるため遙かに低い反射となり、十分区別できる程度の相違が見られる。
【0078】
図14に示すように、気泡がない場合は、超音波センサ5が受信する直接波の気泡による減衰が少なく、信号レベルの振幅が大きくなる。一方、気泡がある場合は、気泡によって超音波振動が減衰し、図15に示すように超音波センサ5が受信する直接波の振幅が小さくなる。よって、振幅の変化量を検出することで、気泡の有無を検出できる。このような振幅の変化は比較的顕著であるため、直接波を利用して気泡の有無を確実に検出でき、反射波で気泡の変化が誤検出されても、直接波の減衰の変化量から気泡の有無が判定できるので、このような誤検出を回避でき、信頼性の高い安定した気泡検出が図られる。また、超音波センサ5が受信する超音波のスペクトルの小ピークから、気泡Bが励起された超音波の周波数を特定して、気泡Bがどこのブロック2Xの超音波振動子4から放射された送信ビームに位置するかを検出して、気泡Bの位置を判定できる。
【0079】
また、本実施の形態では、一般的に被検査物W内に供給する気体として空気を用いる為、ヘリウムガス拡散式に比べるとランニングコストが安く、水素ガス拡散式では困難な水素吸脱性部品であるアルミや炭素繊維等の材料が使われている被検査物Wにも適用可能である。
【0080】
以上の超音波式の漏れ検査装置100は、検査液槽1に貯留された検査液Lに被検査物Wを水没させた状態で、送信部2から検査液Lに超音波振動を放射し、気泡Bで励起された信号を受信部3で受信することにより、気泡Bを検出している。このため、超音波式の漏れ検査装置100は、検査液槽1の内部に所定量の検査液Lを貯留できる構造としている。ここで、検査液槽1に貯留される検査液Lは、被検査物Wを水没させる際の流動によって、あるいは、放射される超音波振動の直接波や反射波の振動によって、あるいはまた、検査液L中を浮上する気泡Bが液面近くではじける際の衝撃等によって、液面が波立つ場合がある。液面で発生する波は、検査液L中を伝わる超音波を乱反射させる原因となり、これによりノイズが発生して超音波センサの受信感度が低下するおそれがある。したがって、この種の超音波式の漏れ検査装置にとって、検査液槽1に貯留された検査液Lの液面が波立つことは決して好ましい状態ではない。このように、検査液Lの液面が波立つのを防止するために、超音波式の漏れ検査装置100は、以下に示す構造とすることもできる。
【0081】
図16に示す超音波式の漏れ検査装置100は、検査液槽1に貯留される検査液Lをオーバーフローさせて排液することにより、検査液Lの液面が波立つのを防止している。図の超音波式の漏れ検査装置100は、検査液槽1に貯留される検査液Lをオーバーフローさせるために、検査液槽1に設けた排液部16と、検査液槽1に検査液Lを供給する給液部17とを備えている。
【0082】
検査液槽1に形成される排液部16は、たとえば、特定の周壁を他の周壁よりも低く形成することによって構成することができる。図16に示す検査液槽1は、平面視において長方形状の4辺を構成する周壁10のうち、1辺である第2の周壁12(図において右側)を他の3辺の周壁10よりも低く形成して、検査液槽1内の検査液Lをオーバーフローさせる排液部16としている。この排液部16は、第2の周壁12の上端縁が水平姿勢となるようにカットして形成されており、検査液槽1に貯留される検査液Lの液面を均一にオーバーフローさせて排液できるようにしている。とくに、検査液槽1に形成される排液部16は、検査液Lをオーバーフローさせる周壁の全長にわたって設けることで、液面付近の検査液Lを、排液部16となる周壁全体から均一にオーバーフローさせて排液できる。ただし、図示しないが、排液部は、特定の周壁だけ、または特定の周壁の一部だけを低く形成して設けることもできる。
【0083】
さらに、検査液槽は、図示しないが、平面視において長方形状の4辺を構成する周壁のうち、2辺の周壁を他の2辺の周壁よりも低く形成して排液部とすることも、3辺の周壁を他の1辺の周壁よりも低く形成して排液部とすることもできる。とくに、長方形を構成する4辺のうち、対向する2辺の例えば第1及び第2の周壁を他の2辺の周壁よりも低く形成して排液部を設ける構造は、液面近くの検査液を検査液槽の両側方向にオーバーフローさせてスムーズに排液できる。さらに、検査液槽は、必ずしもいずれかの周壁を他の周壁よりも低く形成する必要はなく、全ての周壁を同じ高さとして、周壁の全周の上端を排液部として周壁全体からオーバーフローさせて排液することもできる。
【0084】
以上のように、検査液槽1に貯留される検査液Lをオーバーフローさせる超音波式の漏れ検査装置100は、液面近くの検査液Lを、図16の矢印で示すように排液部16に流動させてオーバーフローさせるので、検査液Lの液面が継続的に波立つのを有効に防止でき、液面に発生する波による悪影響を効果的に抑制防止してノイズを低減できる。
【0085】
給液部17は、検査液Lを連続して検査液槽1に供給して、過剰となる検査液Lを検査液槽1からオーバーフローさせる。このような給液部17として、たとえば、給液ポンプや、高低差による圧力を利用した給液機構が使用できる。とくに、検査液Lを水とする場合においては、給液部17を水道として、蛇口や給水栓から供給される水道水を検査液槽1に給水することもできる。以上の給液部17は、検査液槽1に連続供給する検査液Lの供給量を調整することで検査液槽1からのオーバーフロー量を調整できる。給液部17は、検査液槽1に貯留される検査液Lの液面が波立つのを抑制できるオーバーフロー量となるように、検査液Lの供給量を調整する。
【0086】
図16に示す検査液槽1は、給液部17から検査液Lが供給される供給部18を、検査液槽1の上部に配置している。この構造は、液面に近い位置に検査液Lを供給することで、検査液槽1内の検査液L全体を流動させることなく、液面近くの検査液Lのみを流動させることで、効率よくオーバーフローして配液できる。この漏れ検査装置は、検査液槽1の内部における検査液Lの流動を抑制することで、検査液L中を上昇する気泡Bへの影響を低減しながら、気泡Bを正確に検出できる。図示しないが、供給部を検査液槽の上部の中央領域に、排液部を両側の第1及び第2の周壁に配置して、液面付近の検査液を中央領域から左右両側の内面領域に流動させてオーバーフローさせることで、略円状の上昇を阻害することなく、とくに上層の検査液の中央領域から左右両側の内面領域への上昇を促すことができる。
【0087】
さらに、検査液槽は、図示しないが、給液部から検査液が供給される供給部を、検査液槽の底部に配置することもできる。この構造は、検査液槽の底部に配置される供給部から供給される検査液を、検査液槽の上部に流動させながらオーバーフローさせて排液できるので、検査液を経時的に新しいものに交換しながら検査できる。たとえば、汚れた被検査物を検査する場合等においては、検査液中の汚れ成分を排出することで、検査液を清澄にしながら検査を継続できる。このため、検査液中を浮遊する汚れ成分による、誤検出やノイズの発生を有効に抑制防止しながら検査できる。
【0088】
以上、実施形態1に係る超音波式の漏れ検査装置100について記載した内容は、矛盾抵触しない限り、以下の実施形態に妥当する。またその逆も成り立つ。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の超音波式の漏れ検査装置は、超音波計測センサで気泡を検出する水没式空気漏れ検査装置に好適に適用できる。また検査対象としては、鋳物、エンジンブロック、ミッションケース、ショックアブソーバ、燃料パイプ、燃料タンク等の自動車部品、電気機器部品、ガス・水道器具、食品・薬品、医療器具等が挙げられる。例えば車両用触媒コンバータの空気漏れ検査や、密封充填の包装容器のピンホール等シール不良の検出に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0090】
100、900…超音波式の漏れ検査装置
1…検査液槽
2…送信部
2X…ブロック
3…受信部
4…超音波振動子
4x…中心軸
5…超音波センサ
5x…中心軸
6…送信壁
7…受信壁
8…中央領域
9…内面領域
10…周壁
11…第1の周壁
12…第2の周壁
13…第3の周壁
14…第4の周壁
15…底板
16…排液部
17…給液部
18…供給部
20…上昇機構
22…加温器
30…コントローラ
L…検査液
W…被検査物
B…気泡
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17