(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131264
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20240920BHJP
F28F 3/00 20060101ALI20240920BHJP
F28D 1/053 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F28F9/02 301J
F28F3/00 311
F28D1/053 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041426
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000138521
【氏名又は名称】株式会社ユタカ技研
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 こずえ
(72)【発明者】
【氏名】近藤 稔広
(72)【発明者】
【氏名】野田 亮司
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA11
3L103BB43
3L103CC02
3L103CC27
3L103DD12
3L103DD55
3L103DD58
(57)【要約】
【課題】端部の耐圧強度が高い熱交換ユニットを備えた熱交換器を提供すること。
【解決手段】熱交換ユニット(20)の端部(50)は、第1板材(30)に形成された底部(51)と、第2板材(40)に形成され底部(51)に対して間隔(D1)を空けて設けられた天板部(53)と、を有している。熱交換ユニット(20)の端部(50)の内部には、間隔(D1)が広がらないように、底部(51)及び天板部(53)に接合されて端部(50)を補強可能な補強部(70)が設けられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の熱交換ユニットが層状に配置されて構成され、
前記熱交換ユニットは、第1板材及び第2板材が重ね合わせて構成され、
周囲を流れる第1流体と、内部を流れる第2流体との間で熱交換を行う複数の熱交換部と、
各々の前記熱交換部の入口と連通し前記第2流体が各々の前記熱交換部の前記入口へ分岐可能、又は、各々の前記熱交換部の出口と連通し前記熱交換部の前記出口を通過した前記第2流体が合流可能な、ユニット端部を有する、熱交換器において、
前記ユニット端部は、前記第1板材に形成された底部と、前記第2板材に形成され前記底部に対して間隔を空けて設けられた天板部と、を有し、
前記ユニット端部の内部には、前記間隔が広がらないように、前記底部及び前記天板部に接合されて前記ユニット端部を補強可能な補強部が設けられている、熱交換器。
【請求項2】
前記補強部は、前記天板部側に位置している天板部側部材と、前記底部側に位置している底部側部材と、を備え、
前記天板部側部材は、前記天板部に接合されている上接合部と、前記上接合部から前記底部へ向かって延びている上壁部と、を有し、
前記天板部側部材の前記上壁部と、前記底部側部材とは、重ね合わされて接合されている、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記底部側部材は、前記底部に接合されている下接合部と、
前記下接合部から前記天板部側へ向かって延びていると共に複数の前記熱交換部が並んでいる方向に沿って断続的に設けられた複数の第1断続壁部と、
前記下接合部から前記天板部側へ向かって延びていると共に複数の前記熱交換部が並んでいる方向に沿って断続的に設けられた複数の第2断続壁部と、
を有し、
前記第1断続壁部と、前記第2断続壁部とは、交互に並び、
前記第1断続壁部は、前記上壁部の一方の面に接合され、
前記第2断続壁部は、前記上壁部の他方の面に接合されている、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1断続壁部は、前記第1断続壁部の先端に向かうに連れて前記上壁部から離れるように曲がっており、
前記第2断続壁部は、前記第2断続壁部の先端に向かうに連れて前記上壁部から離れるように曲がっている、いる請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記底部側に位置している第2底部側部材を備え、
前記底部側部材は、前記底部に接合されている第1下接合部と、前記第1下接合部から前記天板部側へ向かって延びている第1下壁部と、を有し、
前記第2底部側部材は、前記第1下接合部に接合されている第2下接合部と、前記第2下接合部から前記天板部側へ向かって延びている第2下壁部と、を有し、
前記第1下壁部は、前記上壁部の一方の面に接合され、前記第2下壁部は、前記上壁部の他方の面に接合されている、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第1下壁部は、前記第1下壁部の先端に向かうに連れて前記上壁部から離れるように曲がっており、
前記第2下壁部は、前記第2下壁部の先端に向かうに連れて前記上壁部から離れるように曲がっている、請求項5に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記天板部側部材の前記上壁部は、前記第2流体が通過可能な通過部を有している、請求項2~請求項6のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記補強部は、前記底部に接合されている下接合部と、前記天板部に接合されている上接合部と、前記下接合部から前記上接合部に亘り形成されている中間壁部とが、一体となり構成されている、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記中間壁部は、上下方向に対して斜めに延びている、請求項8に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記中間壁部は、前記第2流体が通過可能な通過部を有している、請求項8又は請求項9に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚の板材から構成された熱交換ユニットを備えた熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器には、複数の熱交換ユニットが層状に配置されて構成されているものがある。このような熱交換器に関する技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された熱交換器は、複数の熱交換ユニットを備えている。各々の熱交換ユニットは、2枚の板材が重ね合わせて構成されており、内部に水が流れる流路を備えている。
【0004】
詳細には、熱交換ユニットは、周囲を流れる燃焼ガスと、内部を流れる水との間で熱交換を行う複数の熱交換部と、各々の熱交換部の入口と連通し水が各々の熱交換部の入口へ分岐可能な分岐部(ユニット端部)と、各々の熱交換部の出口と連通し熱交換部を通過した第2流体が合流可能な合流部(ユニット端部)と、を有する。各々の熱交換部は直線状の筒状であり、熱交換ユニットの幅方向に並んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
隣り合う熱交換部同士の間の部位は接合されており強度が高い。一方、分岐部(ユニット端部)は、幅方向に並んだ複数の熱交換部の入口と連通する必要があるため、分岐部の内部の空間は所定の広さの空間となる。このような広い空間に水が充填されている場合、2枚の板材の間隔を広げる方向に力が加わるため、改善の余地がある。
【0007】
本発明は、端部の耐圧強度が高い熱交換ユニットを備えた熱交換器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1に、複数の熱交換ユニットが層状に配置されて構成され、
前記熱交換ユニットは、第1板材及び第2板材が重ね合わせて構成され、
周囲を流れる第1流体と、内部を流れる第2流体との間で熱交換を行う複数の熱交換部と、
各々の前記熱交換部の入口と連通し前記第2流体が各々の前記熱交換部の前記入口へ分岐可能、又は、各々の前記熱交換部の出口と連通し前記熱交換部の前記出口を通過した前記第2流体が合流可能な、ユニット端部を有する、熱交換器において、
前記ユニット端部は、前記第1板材に形成された底部と、前記第2板材に形成され前記底部に対して間隔を空けて設けられた天板部と、を有し、
前記ユニット端部の内部には、前記間隔が広がらないように、前記底部及び前記天板部に接合されて前記ユニット端部を補強可能な補強部が設けられている、熱交換器が提供される。
【0009】
第2に、好ましくは、第1に記載の熱交換器であって、
前記補強部は、前記天板部側に位置している天板部側部材と、前記底部側に位置している底部側部材と、を備え、
前記天板部側部材は、前記天板部に接合されている上接合部と、前記上接合部から前記底部へ向かって延びている上壁部と、を有し、
前記天板部側部材の前記上壁部と、前記底部側部材とは、重ね合わされて接合されている。
【0010】
第3に、好ましくは、第2に記載の熱交換器であって、
前記底部側部材は、前記底部に接合されている下接合部と、
前記下接合部から前記天板部側へ向かって延びていると共に複数の前記熱交換部が並んでいる方向に沿って断続的に設けられた複数の第1断続壁部と、
前記下接合部から前記天板部側へ向かって延びていると共に複数の前記熱交換部が並んでいる方向に沿って断続的に設けられた複数の第2断続壁部と、
を有し、
前記第1断続壁部と、前記第2断続壁部とは、交互に並び、
前記第1断続壁部は、前記上壁部の一方の面に接合され、
前記第2断続壁部は、前記上壁部の他方の面に接合されている。
【0011】
第4に、好ましくは、第3に記載の熱交換器であって、
前記第1断続壁部は、前記第1断続壁部の先端に向かうに連れて前記上壁部から離れるように曲がっており、
前記第2断続壁部は、前記第2断続壁部の先端に向かうに連れて前記上壁部から離れるように曲がっている。
【0012】
第5に、好ましくは、第2に記載の熱交換器であって、
前記底部側に位置している第2底部側部材を備え、
前記底部側部材は、前記底部に接合されている第1下接合部と、前記第1下接合部から前記天板部側へ向かって延びている第1下壁部と、を有し、
前記第2底部側部材は、前記第1下接合部に接合されている第2下接合部と、前記第2下接合部から前記天板部側へ向かって延びている第2下壁部と、を有し、
前記第1下壁部は、前記上壁部の一方の面に接合され、前記第2下壁部は、前記上壁部の他方の面に接合されている。
【0013】
第6に、好ましくは、第5に記載の熱交換器であって、
前記第1下壁部は、前記第1下壁部の先端に向かうに連れて前記上壁部から離れるように曲がっており、
前記第2下壁部は、前記第2下壁部の先端に向かうに連れて前記上壁部から離れるように曲がっている。
【0014】
第7に、好ましくは、第2~第6のいずれかに記載の熱交換器であって、
前記天板部側部材の前記上壁部は、前記第2流体が通過可能な通過部を有している。
【0015】
第8に、好ましくは、第1に記載の熱交換器であって、
前記補強部は、前記底部に接合されている下接合部と、前記天板部に接合されている上接合部と、前記下接合部から前記上接合部に亘り形成されている中間壁部とが、一体となり構成されている。
【0016】
第9に、好ましくは、第8に記載の熱交換器であって、
前記中間壁部は、上下方向に対して斜めに延びている。
【0017】
第10に、好ましくは、第8又は第9に記載の熱交換器であって、
前記中間壁部は、前記第2流体が通過可能な通過部を有している。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、端部の耐圧強度が高い熱交換ユニットを備えた熱交換器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1Aは、実施例1による熱交換器を備えた給湯器の斜視図である。
図1Bは、
図1Aに示された給湯器の分解斜視図である。
【
図2】
図1Bに示された熱交換器を構成する熱交換ユニットの斜視図である。
【
図3】幅方向についての熱交換器の一部の断面図である。
【
図4】長さ方向について熱交換器の一部の断面図である。
【
図7】
図7Aは、実施例2による熱交換器を構成する熱交換器ユニットにおける、合流部補強部の断面図である。
図7Bは、合流部補強部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図に基づいて実施例を説明する。図中Upは上、Dnは下を示している。
【0021】
<実施例1>
図1Aを参照する。給湯器の加熱部10は、燃焼ガス(第1流体)を発生させるバーナ11と、バーナ11の直上に設けられ燃焼ガスの熱により水(第2流体)を温める本体部12と、からなる。
【0022】
図1Bを参照する。本体部12は、全体として直方体状を呈しており水と燃焼ガスとの熱交換を行う熱交換器13と、熱交換器13を下方から支持する支持プレート14と、熱交換器13の上方を覆うことが可能なカバー部15と、からなる。
【0023】
支持プレート14は枠体の形状を呈しており、枠の内部は燃焼ガスが導入されるガス導入口14aとなっている。さらに支持プレート14は、熱交換器13と接続可能であり温められた水を供給可能な給湯部14bと、燃焼ガスから生成された凝縮水を排出可能な凝縮水排出部14cと、を有している。
【0024】
カバー部15は、熱交換器20の上方を覆っている天板プレート16と、天板プレート16に設けられ水を熱交換器13に導入可能な水導入管17と、天板プレート16の上面に設けられ熱交換器20を通過した燃焼ガスが排気されるガス排気口を有するフード18と、を備えている。
【0025】
図2~
図4を参照する。熱交換器13は、複数の熱交換ユニット20が上下方向に層状に配置されることにより構成されている。なお、
図2には単一の熱交換ユニット20が示され、
図3及び
図4には上下方向に隣り合う複数の熱交換ユニット20の一部が示されている。
【0026】
(熱交換ユニット)
各々の熱交換ユニット20は、第1板材30と、第1板材30の上方に重ね合わされている第2板材40と、を備えている。第1板材30及び第2板材40は矩形状である。矩形のなかの1つの辺が延びる方向を長さ方向Lとし、長さ方向Lと直交する方向を幅方向Wとする。
【0027】
第1板材30の周縁31は、上方へ向かって折り曲げられている。第2板材40の周縁41は、上方へ向かって折り曲げられている。第1板材30の周縁31の上端31aと、第2板材40の周縁41の下端41aは重ね合わされて接合(例えば、溶接やロウ付け)されている。
【0028】
(流路部)
熱交換ユニット20は、第1板材30及び第2板材40が互いに離れていることにより水が流れることが可能な流路を内部に有する流路部21を備えている。流路部21は、周囲を流れる燃焼ガスと内部を流れる水との間で熱交換を行う複数の熱交換部22と、各々の熱交換部22の入口22aと連通し水が各々の熱交換部22の入口22aへ分岐可能な分岐部50と、各々の熱交換部22の出口22bと連通し熱交換部22を通過した水が合流可能な合流部60と、を備えている。
【0029】
(熱交換部)
図3を参照する。複数の熱交換部22は幅方向Wに並んでいる。各々の熱交換部22は、第1板材30に形成された第1流路壁部32と、第2板材40に形成された第2流路壁部42と、から構成されている。
【0030】
(熱交換部の断面形状)
第1板材30と第2板材40とが上下方向に互いに重なり合っている面を基準面Sとする。第1流路壁部32は、基準面Sよりも下方へ凹んでいる。第2流路壁部42は、基準面Sよりも上方へ凹んでいる。即ち、熱交換部22の断面は筒状である。なお、熱交換部22の断面形状は多角形などでもよい。さらに、第1流路壁部32又は第2流路壁部42のいずれか一方は、平板状としてもよい(D字形状)。また、各々の熱交換部22は、長さ方向Lに沿った直線状であるが、分岐部50と合流部60とを連通させる限り、その形状は問わない。例えば、蛇行していてもよい。
【0031】
(平板接合部)
さらに熱交換ユニット20は、幅方向Wに隣り合う熱交換部22の間に位置していると共に第1板材30と第2板材40とが互いに上下方向に重なり合っている複数の平板接合部23を有している。複数の平板接合部23のうちの一部は、上下方向に貫通した貫通孔24を有している。貫通孔24を通過する燃焼ガスと、熱交換部22の内部を流れる水との間で熱交換が行われる。
【0032】
(分岐部)
図2及び
図4を参照する。分岐部50は、熱交換ユニット20の長さ方向Lの一端において幅方向W全体に亘り設けられている。分岐部50は、第1板材30に形成され幅方向W全体に亘り設けられている分岐部底部51と、第2板材40に形成され分岐部底部51に対して間隔を空けて設けられた分岐部天板部53と、を備えている。分岐部天板部53は、水を導入可能な複数の導入孔52を有している。
【0033】
(合流部)
合流部60は、熱交換ユニット20の長さ方向Lの他端(分岐部50の反対側)において幅方向W全体に亘り設けられている。合流部60は、第1板材30に形成され幅方向W全体に亘り設けられている合流部底部61と、第2板材40に形成され合流部底部61に対して間隔を空けて設けられた合流部天板部63と、を備えている。合流部底部61は、水を排出可能な複数の排出孔62を有している。
【0034】
(熱交換ユニット同士の接合)
図4を参照する。互いに上下方向に隣り合う熱交換ユニット20のなかで、上に位置する熱交換ユニット20を上ユニット20とし、下に位置する熱交換ユニット20を下ユニット20とする。上ユニット20の合流部底部61と、下ユニット20の分岐部天板部53とは互いに接合されている。下ユニット20の合流部天板部63と、上ユニット20の分岐部底部51とは互いに接合されている。上ユニット20の排出孔62と、下ユニット20の導入孔52とは連通している。即ち、水は蛇行しならが上方から下方へ流れる。下ユニット20の第2板材40の周縁41と、上ユニット20の第1板材30の周縁31とは互いに接合されている。
【0035】
(分岐部補強部)
図5A及び
図5Bを参照する。分岐部50の内部には、分岐部50を補強している分岐部補強部70が設けられている。分岐部補強部70は、分岐部底部51と分岐部天板部53との間隔D1が広がらないように、分岐部底部51及び分岐部天板部53に接合されている。
【0036】
分岐部補強部70は、合流部天板部53側に位置する天板部側部材71と、合流部底部51側に位置する底部側部材75と、を備えている。天板部側部材71及び底部側部材75は、プレス加工された金属製の板材であり、例えば、第1板材30及び第2板材40と同一の素材である。
【0037】
(天板部側部材)
天板部側部材71は、分岐部天板部53に接合されている分岐部上接合部72と、分岐部上接合部72の端部72a(長さ方向Lを基準とする)から下方へ延びている上壁部73と、を有している。
【0038】
上壁部73は、水が通過可能な複数の水通過部74を有している。水通過部74は、例えば真円状の貫通孔である。水通過部74の数・位置・形状は適宜変更できる。水通過部74は、例えば、切り欠きでもよい。なお、水通過部74は、後述する第1断続壁部77又は第2断続壁部78に形成してもよい。
【0039】
(底部側部材)
底部側部材75は、分岐部上接合部72の下方に位置していると共に合流部底部51に接合されている分岐部下接合部76と、分岐部下接合部76の端部76a(長さ方向Lを基準)から上方へ延びていると共に複数の熱交換部22が並んでいる方向(幅方向W)に沿って断続的に設けられた複数の第1断続壁部77と、分岐部下接合部76の端部76aから上方へ延びていると共に複数の熱交換部22が並んでいる方向(幅方向W)に沿って断続的に設けられた複数の第2断続壁部78と、を有している。
【0040】
第1断続壁部77と第2断続壁部78は、幅方向Wに交互に並んでいる。第1断続壁部77は、上壁部73の一方の面73aに重ね合わされて接合されている。第2断続壁部78は、上壁部73の他方の面73bに重ね合わされて接合されている。
【0041】
第1断続壁部77は、先端77aに向かうに連れて上壁部73から離れるように曲がっている。第2断続壁部78は、先端78aに向かうに連れて上壁部73から離れるように曲がっている。
【0042】
(合流部補強部)
図6A及び
図6Bを参照する。合流部60の内部には、合流部60を補強している合流部補強部80が設けられている。合流部補強部80は、合流部底部61と合流部天板部63との間隔D2が広がらないように、合流部底部61及び合流部天板部63に接合されている。合流部補強部80は、プレス加工された金属製の板材であり、その素材は、例えば、第1板材30及び第2板材40と同一である。
【0043】
(上接合部、中間壁部、下接合部)
合流部補強部80は、合流部天板部63に接合されている合流部上接合部81と、合流部底部61に接合されている合流部下接合部82と、合流部上接合部81の端部81a(長さ方向Lを基準)から合流部下接合部82の端部82a(長さ方向Lを基準)に亘り設けられた中間壁部83と、が一体となり構成されている。
【0044】
中間壁部83は、水が通過可能な複数の水通過部84を有している。水通過部84は、例えば真円状の貫通孔である。水通過部84の数・位置・形状は適宜変更できる。また、中間壁部83の縁に切り欠きを形成してもよい。
【0045】
幅方向Wに沿って見て(
図6A参照)、合流部補強部80は略Z字状である。即ち、中間壁部83は上下方向に対して斜めに延びている。合流部上接合部81と、合流部下接合部82とは、上下方向について互いの一部が重なっている。
【0046】
合流部下接合部82は、端部82aと反対側へ突出した複数の突出部82bを有している。突出部82は、隣り合う排出孔62,62の間に位置している。なお、分岐部補強部70(
図5B参照)の合流部天板部材71に突出部82のような突出した部位を設けても良い。
【0047】
(第1の効果)
図2~
図4を参照する。熱交換ユニット20は、第1板材30及び第2板材40が互いに離れており水が流れることが可能な流路を内部に有する流路部21を備えている。流路部21は、周囲を流れる燃焼ガスと内部を流れる水との間で熱交換を行う複数の熱交換部22と、各々の熱交換部22の入口22aと連通し水が各々の熱交換部22の入口22aへ分岐可能な分岐部50と、各々の熱交換部22の出口22bと連通し熱交換部22を通過した水が合流可能な合流部60と、を備えている。
【0048】
図5A及び
図5Bを参照する。分岐部50は、第1板材30に形成され幅方向W全体に亘り設けられている分岐部底部51と、第2板材40に形成され分岐部底部51に対して間隔を空けて設けられた分岐部天板部53と、を備えている。分岐部50の内部には、間隔D1が広がらないように、分岐部底部51及び分岐部天板部53に接合されて分岐部50を補強可能な分岐部補強部70が設けられている。そのため、分岐部50(ユニット端部)の耐圧強度が高い熱交換ユニット20を備えた熱交換器13を提供できる。後述する合流部補強部80と、実施例2の合流部補強部90も同様の効果を有する。
【0049】
(第2の効果)
分岐部補強部70は、分岐部天板部側53に位置する天板部側部材71と、分岐部底部51側に位置する底部側部材75と、を備えている。天板部側部材71の上壁部73と、底部側部材75とは、重ね合わされて接合されている。天板部側部材71と、分岐部底部51との間隔D1にばらつきがある場合であっても、天板部側部材71と、底部側部材75とが、重ね合わされて接合されているため、間隔D1のばらつきを吸収できる。後述する合流部補強部80と、実施例2の合流部補強部90も同様の効果を有する。
【0050】
(第3の効果)
底部側部材75は、分岐部底部51に接合されている分岐部下接合部76と、分岐部下接合部76から分岐部天板部53側へ向かって延びていると共に複数の熱交換部22(
図2参照)が並んでいる方向(幅方向W)に沿って断続的に設けられた複数の第1断続壁部77と、分岐部下接合部76から分岐部天板部53側へ向かって延びていると共に複数の熱交換部22が並んでいる方向に沿って断続的に設けられた複数の第2断続壁部78と、を有している。
【0051】
第1断続壁部77と、第2断続壁部78とは、交互に並んでいる。第1断続壁部77は、上壁部73の一方の面73aに接合されている。第2断続壁部78は、上壁部73の他方の面73bに接合されている。即ち、天板部側部材71の上壁部73の両面73a,73bに底部側部材75が接合されており、分岐部補強部70の強度は高い。さらに、後述する実施例2の合流部補強部90と比較すると、部品点数が少ない。
【0052】
(第4の効果)
第1断続壁部77は、先端77aに向かうに連れて上壁部73から離れるように曲がっている。第2断続壁部78は、先端78aに向かうに連れて上壁部73から離れるように曲がっている。そのため、第1板材30と第2板材40とを重ね合わせる際に、第1断続壁部77の先端77aと、第2断続壁部78の先端78aは、天板部側部材71の上壁部73のガイドとなる。なお、第1断続壁部77又は第2断続壁部78に対する上壁部73の位置が所定の位置から外れている場合、第1板材30と第2板材40とを重ね合わせることができないため、不良品の発生を防止できる。第5の効果~第7の効果は実施例2にて説明する。
【0053】
(第8の効果)
図6A及び
図6Bを説明する。合流部60は、第1板材30に形成され幅方向W全体に亘り設けられている合流部底部61と、第2板材40に形成され合流部底部61に対して間隔を空けて設けられた合流部天板部63と、を備えている。
【0054】
合流部60の内部には、合流部60を補強している合流部補強部80が設けられている。合流部補強部80は、合流部底部61と合流部天板部63との間隔D2が広がらないように、合流部底部61及び合流部天板部63に接合されている。
【0055】
合流部補強部80は、合流部天板部63に接合されている合流部上接合部81と、合流部底部61に接合されている合流部下接合部82と、合流部上接合部81の端部81aから合流部下接合部82の端部82aに亘り設けられた中間壁部83と、が一体となり構成されている。合流部天板部63と合流部底部61との間隔D2に合わせて、合流部補強部80自体が変形することにより、間隔D2のばらつきを吸収できる。
【0056】
(第9の効果)
中間壁部83は、上下方向に対して斜めに延びている。中間壁部83は上下方向に沿って延びていても良いが、上下方向に延びている場合と比較すると、合流部補強部80は変形しやすくなる。
【0057】
<実施例2>
図7A及び7Bを参照する。実施例2による熱交換器13Aの熱交換ユニット20Aについて説明する。この熱交換ユニット20Aの合流部60の内部には、合流部60を補強している合流部補強部90が設けられている。合流部補強部90は、合流部底部61と合流部天板部63との間隔D2が広がらないように、合流部底部61及び合流部天板部63に接合されている。
【0058】
合流部補強部90は、合流部天板部63側に位置する天板部側部材91と、合流部底部61側に位置する第1底部側部材94及び第2底部側部材97と、を備えている。これらの部材は、いずれもプレス加工された金属製の板材であり、その素材は例えば第1板材30及び第2板材40と同一である。
【0059】
天板部側部材91は、合流部天板部63に接合されている合流部上接合部92と、合流部上接合部92の端部92a(長さ方向Lを基準)から下方へ延びている上壁部93と、を有している。
【0060】
第1底部側部材94は、合流部底部61に接合されている第1下接合部95と、第1下接合部95の端部95aから上方へ延びている第1下壁部96と、を有している。
【0061】
第2底部側部材97は、第1下接合部95の上面に接合されている第2下接合部98と、第2下接合部98の端部98aから上方へ延びている第2下壁部99と、を有している。
【0062】
(第5の効果)
第1下壁部96は、上壁部93の一方の面93bに接合されている。第2下壁部99は、上壁部93の他方の面93cに接合されている。即ち、第1下壁部96と第2下壁部99とは、上壁部93の両面93b,93cを挟んでおり、合流部補強部90の強度は高い。なお、図示はしないが、L字状の底部側部材を2つ準備し、上壁部93を中心に対称となるように上壁部93を挟み込んでも良い。このような構成と比較すると、底部側部材の長さ方向Lの寸法を短くすることができる。
【0063】
(第6の効果)
第1下壁部96は、先端96aに向かうに連れて、上壁部93から離れるように曲がっている。第2下壁部99は、先端99aに向かうに連れて上壁部93から離れるように曲がっている。そのため、第1板材30と第2板材40とを重ね合わせる際に、第1下壁部96の先端96aと、第2下壁部99の先端99aは、天板部側部材91の上壁部93のガイドとなる。なお、第1下壁部96又は第2下壁部99に対する上壁部93の位置が所定の位置から外れている場合、第1板材30と第2板材40とを重ね合わせることができないため、不良品の発生を防止できる。
【0064】
(第7の効果)
天板部側部材91の上壁部93は、水が通過可能な複数の水通過部93aを有している。そのため、合流部60の内部において、水の流れがスムーズとなる。実施例1の合流部補強部70の水通過部74(
図5A参照)及び分岐部補強部80の水通過部84(
図6A参照)もこの効果を有する。なお、水通過部93aは、第1下壁部96又は第2下壁部99に形成してもよい。
【0065】
なお、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。さらに、各々の実施例を構成する要素は適宜組み合わせることができる。実施例1及び実施例2では、分岐部50又は合流部60の内部にて、単一の補強部70,80,90を幅方向W全体に亘り設けられているが、例えば、複数の補強部を幅方向Wに並べても良い。実施例1,2で説明した補強部70,80,90のいずれかを選択し、分岐部50又は合流部60の内部に適宜配置できる。底部側部材75と、天板部側部材91は、入れ替えても良い。
【符号の説明】
【0066】
13,13A…熱交換器
20,20A…熱交換ユニット
22…熱交換部、22a…入口、22b…出口
30…第1板材
40…第2板材
50…分岐部(ユニット端部)
51…分岐部底部
53…分岐部天板部
60…合流部(ユニット端部)
61…合流部底部
63…合流部天板部
70…分岐部補強部
71…天板部側部材
72…分岐部上接合部、72a…端部
73…上壁部、73a…上流側面、73b…下流側面
74…水通過部
75…底部側部材
76…底部下接合部、76a…端部
77…第1断続壁部、77a…先端
78…第2断続壁部、78a…先端
80…合流部補強部
81…合流部上接合部、81a…端部
82…合流部下接合部、82a…端部
83…中間壁部
84…水通過部
90…合流部補強部
91…天板部側部材
92…天板部上接合部、92a…端部
93…上壁部、93a…水通過部、93b…一方の面、93c…他方の面
94…第1底部側部材
95…第1下接合部
96…第1下壁部、96a…先端
97…第2底部側部材
98…第2下接合部
99…第2下壁部、99a…先端
D1…間隔
D2…間隔