(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131265
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 17/00 20060101AFI20240920BHJP
F28F 3/00 20060101ALI20240920BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F28F17/00 501A
F28F3/00 311
F28D9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041427
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000138521
【氏名又は名称】株式会社ユタカ技研
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 こずえ
(72)【発明者】
【氏名】近藤 稔広
(72)【発明者】
【氏名】野田 亮司
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA22
3L103BB43
3L103CC02
3L103CC27
3L103DD15
3L103DD57
3L103DD58
3L103DD61
(57)【要約】
【課題】凝縮水のバーナへの滴下を抑制できる熱交換器を提供すること。
【解決手段】
熱交換器(10)は、複数の熱交換ユニット(20)が層状に配置されて構成されている。熱交換ユニット(20)は、第1板材(30)及び第2板材(40)が重ね合わせて構成されている。第2板材(40)の上面(40a)は、長さ方向が水平面(H)に対して傾いており、かつ、幅方向が水平に設定されている。第2板材(40)の上面(40a)は、上面(40a)を流れる凝縮水を受けることが可能な第1凝縮水受け部(71)を有している。第1凝縮水受け部(71)は、第1板材(30)及び第2板材(40)を貫通し凝縮水が通過可能な少なくとも1つの凝縮水通過孔(77)を有している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の熱交換ユニットが層状に配置されて構成され、
前記熱交換ユニットは、第1板材及び第2板材が重ね合わせて構成され、
周囲を流れる第1流体と、内部を流れる第2流体との間で熱交換を行う複数の熱交換部と、
各々の前記熱交換部の入口と連通し第2流体が各々の前記熱交換部の入口へ分岐可能な分岐部と、
各々の前記熱交換部の出口と連通し前記熱交換部の出口を通過した第2流体が合流可能な合流部と、を有する熱交換器において、
前記分岐部から前記合流部へ向かう方向を長さ方向とし、前記分岐部及び前記合流部が延びている方向を幅方向とすると、
前記第2板材の上面は、長さ方向が水平面に対して傾いており、
前記第2板材の上面は、幅方向が水平に設定されており、
前記第2板材の上面は、前記第2板材の上面を流れる凝縮水を受けることが可能な第1凝縮水受け部を有し、
前記第1凝縮水受け部は、前記第1板材及び前記第2板材を貫通し凝縮水が通過可能な少なくとも1つの凝縮水通過孔を有している、熱交換器。
【請求項2】
前記凝縮水通過孔は2つ形成され、
前記第1凝縮水受け部の幅方向の両端に位置している、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
各々の前記熱交換ユニットは、長さ方向全体に亘って前記第1板材及び前記第2板材を貫通している複数の通気孔を有し、
前記複数の熱交換ユニットのうち、上下に隣り合うユニットを上ユニット及び下ユニットとすると、
前記上ユニットの前記通気孔と、前記下ユニットの前記通気孔とは、幅方向を基準として互いにオフセットしている、請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記分岐部は、前記第1板材に形成され前記分岐部の底である分岐部底部と、前記第2板材に形成され分岐部底部に対して間隔を空けて設けられた分岐部天板部と、を有し、
前記合流部は、前記第1板材に形成され前記合流部の底である合流部底部と、前記第2板材に形成され合流部底部に対して間隔を空けて設けられた合流部天板部と、を有し、
前記合流部天板部は、前記合流部天板部を貫通した天板部貫通孔を有し、
前記分岐部底部は、分岐部底部を貫通した底部貫通孔を有し、
前記底部貫通孔と、前記天板部貫通孔とは、互いに重なっていることにより分岐部底部に溜まった水を抜く水抜き孔を構成している、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記分岐部天板部は、水を導入可能な導入孔を有し、
幅方向の位置を基準として、前記導入孔と、前記水抜き孔とは、互いにオフセットしている、請求項4に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記複数の熱交換ユニットの中で、最も下に位置する前記熱交換ユニットは、支持プレートにより支持され、
前記支持プレートは、最も下に位置する前記熱交換ユニットの凝縮水通過孔を通過した凝縮水を受けることが可能な第2凝縮水受け部を有し、
前記第2凝縮水受け部は、凝縮水を外部へ排出可能な外部排出孔を有している、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記第2凝縮水受け部の底部は、排出孔へ向かって傾いている傾斜部を有している、請求項6に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚の板材から構成された熱交換ユニットを備えた熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器には、複数の熱交換ユニットが層状に配置されて構成されているものがある。このような熱交換器に関する技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された熱交換器は、複数の熱交換ユニットを備えている。各々の熱交換ユニットは、2枚の板材が重ね合わせて構成されており、内部に水が流れる流路を備えている。
【0004】
詳細には、熱交換ユニットは、周囲を流れる燃焼ガスと、内部を流れる水との間で熱交換を行う複数の熱交換部と、各々の熱交換部の入口と連通し水が各々の熱交換部の入口へ分岐可能な分岐部と、各々の熱交換部の出口と連通し熱交換部を通過した第2流体が合流可能な合流部と、を有する。各々の熱交換部は直線状の筒状であり、熱交換ユニットの幅方向に並んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
各々の熱交換ユニットは、熱交換ユニットの周囲を燃焼ガスが通過できるようなガス通気孔を有している。一方で、このガス通気孔は熱交換器の内部で生成される凝縮水が通過可能な孔となる。凝縮水がガス通気孔を通じてバーナへ滴下すると、熱交換の効率が低下するため改善の余地がある。
【0007】
本発明は、凝縮水のバーナへの滴下を抑制できる熱交換器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1に、複数の熱交換ユニットが層状に配置されて構成され、
前記熱交換ユニットは、第1板材及び第2板材が重ね合わせて構成され、
周囲を流れる第1流体と、内部を流れる第2流体との間で熱交換を行う複数の熱交換部と、
各々の前記熱交換部の入口と連通し第2流体が各々の前記熱交換部の入口へ分岐可能な分岐部と、
各々の前記熱交換部の出口と連通し前記熱交換部の出口を通過した第2流体が合流可能な合流部と、を有する熱交換器において、
前記分岐部から前記合流部へ向かう方向を長さ方向とし、前記分岐部及び前記合流部が延びている方向を幅方向とすると、
前記第2板材の上面は、長さ方向が水平面に対して傾いており、
前記第2板材の上面は、幅方向が水平に設定されており、
前記第2板材の上面は、前記第2板材の上面を流れる凝縮水を受けることが可能な第1凝縮水受け部を有し、
前記第1凝縮水受け部は、前記第1板材及び前記第2板材を貫通し凝縮水が通過可能な少なくとも1つの凝縮水通過孔を有している、熱交換器が提供される。
【0009】
第2に、好ましくは、第1に記載の熱交換器であって、
前記凝縮水通過孔は2つ形成され、
前記第1凝縮水受け部の幅方向の両端に位置している。
【0010】
第3に、好ましくは、第1又は第2に記載の熱交換器であって、
各々の前記熱交換ユニットは、長さ方向全体に亘って前記第1板材及び前記第2板材を貫通している複数の通気孔を有し、
前記複数の熱交換ユニットのうち、上下に隣り合うユニットを上ユニット及び下ユニットとすると、
前記上ユニットの前記通気孔と、前記下ユニットの前記通気孔とは、幅方向を基準として互いにオフセットしている。
【0011】
第4に、好ましくは、第1に記載の熱交換器であって、
前記分岐部は、前記第1板材に形成され前記分岐部の底である分岐部底部と、前記第2板材に形成され分岐部底部に対して間隔を空けて設けられた分岐部天板部と、を有し、
前記合流部は、前記第1板材に形成され前記合流部の底である合流部底部と、前記第2板材に形成され合流部底部に対して間隔を空けて設けられた合流部天板部と、を有し、
前記合流部天板部は、前記合流部天板部を貫通した天板部貫通孔を有し、
前記分岐部底部は、分岐部底部を貫通した底部貫通孔を有し、
前記底部貫通孔と、前記天板部貫通孔とは、互いに重なっていることにより分岐部底部に溜まった水を抜く水抜き孔を構成している。
【0012】
第5に、好ましくは、第2に記載の熱交換器であって、
前記分岐部天板部は、水を導入可能な導入孔を有し、
幅方向の位置を基準として、前記導入孔と、前記水抜き孔とは、互いにオフセットしている。
【0013】
第6に、好ましくは、第1に記載の熱交換器であって、
前記複数の熱交換ユニットの中で、最も下に位置する前記熱交換ユニットは、支持プレートにより支持され、
前記支持プレートは、最も下に位置する前記熱交換ユニットの凝縮水通過孔を通過した凝縮水を受けることが可能な第2凝縮水受け部を有し、
前記第2凝縮水受け部は、凝縮水を外部へ排出可能な外部排出孔を有している。
【0014】
第7に、好ましくは、第6に記載の熱交換器であって、
前記第2凝縮水受け部の底部は、排出孔へ向かって傾いている傾斜部を有している。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、凝縮水のバーナへの滴下を抑制できる熱交換器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1Aは、実施例1による熱交換器を備えた給湯器の斜視図である。
図1Bは、
図1Aに示された給湯器の分解斜視図である。
【
図2】
図1Bに示された熱交換器を構成する熱交換ユニットの斜視図である。
【
図4】長さ方向について熱交換器の一部の断面図である。
【
図5】
図5Aは、第2板材に形成された第1凝縮水受け部と、第1凝縮水受け部に形成された凝縮水通過孔の斜視図である。
図5Bは、
図5Aの5B-5B線断面図である。
図5Cは、
図5Aの5C-5C線断面図である。
【
図6】
図6Aは、熱交換ユニットの前側の端部を後方から前方へ向かって見た断面図である。
図6Bは、
図6Aの6B-6B線断面図である。
【
図7】
図7Aは、支持プレートの斜視図である。
図7Bは、最も下に位置する熱交換ユニットと、支持プレートの断面図である。
【
図8】
図8Aは、実施例2による熱交換器の分岐部の断面図である。
図8Bは、分岐部の内部を補強する補強部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図に基づいて実施例を説明する。図中Frは前、Rrは後、Leは左、Riは右、Upは上、Dnは下を示している。
【0018】
<実施例1>
図1Aを参照する。給湯器の加熱部10は、燃焼ガス(第1流体)を発生させるバーナ11と、バーナ11の直上に設けられ燃焼ガスの熱により水(第2流体)を温める本体部12と、からなる。
【0019】
図1Bを参照する。本体部12は、全体として直方体状を呈しており水と燃焼ガスとの熱交換を行う熱交換器13と、熱交換器13を下方から支持する支持プレート80と、支持プレート80とバーナ11とを接続しガス導入口19aを有する枠状の接続部材19と、熱交換器13の上方を覆うことが可能なカバー部15と、を備えている。
【0020】
カバー部15は、熱交換器20の上方を覆っている天板プレート16と、天板プレート16に設けられ水を熱交換器13に導入可能な水導入管17と、天板プレート16の上面に設けられ熱交換器20を通過した燃焼ガスが排気されるガス排気口を有するフード18と、を備えている。
【0021】
図2~
図4を参照する。熱交換器13は、複数の熱交換ユニット20が上下方向に層状に配置されることにより構成されている。なお、
図2には単一の熱交換ユニット20が示され、
図3及び
図4には上下方向に隣り合う複数の熱交換ユニット20の一部が示されている。
【0022】
(熱交換ユニット)
各々の熱交換ユニット20は、第1板材30と、第1板材30の上方に重ね合わされている第2板材40と、を備えている。第1板材30及び第2板材40は矩形状である。矩形のなかの1つの辺が延びる方向を長さ方向L(前後方向)とし、長さ方向Lと直交する辺が延びる方向を幅方向W(左右方向)とする。
【0023】
第1板材30の周縁31は、上方へ向かって折り曲げられている。第2板材40の周縁41は、上方へ向かって折り曲げられている。第1板材30の周縁31の上端31aと、第2板材40の周縁41の下端41aは重ね合わされて接合されている。
【0024】
(流路部)
熱交換ユニット20は、第1板材30及び第2板材40が互いに離れていることにより水が流れることが可能な流路を内部に有する流路部21を備えている。流路部21は、周囲を流れる燃焼ガスと内部を流れる水との間で熱交換を行う複数の熱交換部22と、各々の熱交換部22の入口22aと連通し水が各々の熱交換部22の入口22aへ分岐可能な分岐部50と、各々の熱交換部22の出口22bと連通し熱交換部22を通過した水が合流可能な合流部60と、を備えている。
【0025】
(熱交換部)
図3を参照する。複数の熱交換部22は幅方向Wに並んでいる。各々の熱交換部22は、第1板材30に形成された第1流路壁部32と、第2板材40に形成された第2流路壁部42と、から構成されている。
【0026】
(熱交換部の断面形状)
第1板材30と第2板材40とが上下方向に互いに重なり合っている面を基準面Sとする。第1流路壁部32は、基準面Sよりも下方へ凹んでいる。第2流路壁部42は、基準面Sよりも上方へ凹んでいる。即ち、熱交換部22の断面は筒状である。なお、熱交換部22の断面形状は多角形などでもよい。さらに、第1流路壁部32又は第2流路壁部42のいずれか一方は、平板状としてもよい(D字形状)。また、各々の熱交換部22は、長さ方向Lに沿った直線状であるが、分岐部50と合流部60とを連通させる限り、その形状は問わない。例えば、蛇行していてもよい。
【0027】
(平板接合部)
さらに熱交換ユニット20は、幅方向Wに隣り合う熱交換部22の間に位置していると共に第1板材30と第2板材40とが互いに上下方向に重なり合っている複数の平板接合部23を有している。各々の平板接合部23のうち、第1板材30側の部位を第1平板部33とし、第2板材40側の部位を第2平板部43と、する。
【0028】
(ガス通気孔)
複数の平板接合部23のうちの一部は、上下方向に貫通し燃焼ガスが通過可能なガス通気孔24を有している。ガス通気孔24を通過する燃焼ガスと、熱交換部22の内部を流れる水との間で熱交換が行われる。
【0029】
(分岐部)
図2及び
図4を参照する。分岐部50は、熱交換ユニット20の長さ方向Lの一端において幅方向W全体に亘り設けられている。分岐部50は、第1板材30に形成され幅方向W全体に亘り設けられている分岐部底部51と、第2板材40に形成され分岐部底部51に対して間隔を空けて設けられた分岐部天板部53と、を備えている。分岐部天板部53は、水を導入可能な複数の導入孔52を有している。
【0030】
(合流部)
合流部60は、熱交換ユニット20の長さ方向Lの他端(分岐部50の反対側)において幅方向W全体に亘り設けられている。合流部60は、第1板材30に形成され幅方向W全体に亘り設けられている合流部底部61と、第2板材40に形成され合流部底部61に対して間隔を空けて設けられた合流部天板部63と、を備えている。合流部底部61は、水を排出可能な複数の排出孔62を有している。
【0031】
(熱交換ユニット同士の接合)
図4を参照する。互いに上下方向に隣り合う熱交換ユニット20のなかで、上に位置する熱交換ユニット20を上ユニット20とし、下に位置する熱交換ユニット20を下ユニット20とする。上ユニット20の合流部底部61と、下ユニット20の分岐部天板部53とは互いに接合されている。上ユニット20の合流部天板部63と、上ユニット20の分岐部底部51とは互いに接合されている。上ユニット20の排出孔62と、下ユニット20の導入孔52とは連通している。即ち、水は蛇行しならが上方から下方へ流れる。下ユニット20の第2板材40の周縁41と、上ユニット20の第1板材30の周縁31とは互いに接合されている。
【0032】
図3Aを参照する。幅方向W(左右方向)を基準として、上ユニット20のガス通気孔24と、下ユニット20のガス通気孔24とは、互いにオフセットしている(上下方向について互いに重なっていない)。
【0033】
(第1凝縮水受け部)
図2及び
図5Aを参照する。第2板材40の上面40aは、上面40aを流れる凝縮水を受けることが可能な第1凝縮水受け部71を有している。第1凝縮水受け部71は、合流部天板部63と複数の第1流路壁部42との間に位置し、幅方向W(左右方向)全体に亘り溝状に形成されている。
【0034】
図5Bを参照する。第1凝縮水受け部71は、第2平板部43と連なっている底部72と、底部72の前縁から上方へ延びて合流部天板部63に連なっている壁部73と、を有している。なお、底部72の上面72aと第2平板部43の上面43aとは同一平面上に位置しているが、底部72の上面72aは、第2平板部43の上面43aよりも低い位置にあってもよい(底部72を凹ませても良い)。
【0035】
(凝縮水通過孔)
図2及び
図5Aを参照する。第2板材40は、底部72の両端(底部72の左端部、底部72の右端部)に、底部72よりも凹んでいる2つの凹部74,74を有している。凹部74の内周面75は底部76に向かうに連れて縮径している。
図3Bを参照する。凹部74の底部76は、第1板材30に接合されている。凹部74の底部76は、第1板材30及び第2板材40を貫通し凝縮水が通過可能な凝縮水通過孔77を有している。なお、凝縮水通過孔77は1つ又は3つ以上でもよい。凝縮水通過孔77の位置も適宜変更できる。
【0036】
(水抜き孔)
図6Bを参照する。分岐部底部51は分岐部底部51を貫通した底部貫通孔54を有している。合流部天板部63は合流部天板部63を貫通した天板部貫通孔64を有している。底部貫通孔54と、天板部貫通孔64とは、互いに重なっていることにより分岐部底部51に溜まった水を抜く水抜き孔25を構成している。
図6Aを参照する。幅方向(左右方向)を基準として、水抜き孔25は、分岐部50の全ての導入孔52に対してオフセットしている(水抜き孔25は、いずれの導入孔52に対しても上下方向に重なっていない)。
【0037】
(支持プレート)
図7A及び
図7Bを参照する。支持プレート80は、枠体の形状を呈しており、枠の内部は燃焼ガスを導入可能なガス導入口80aとなっている。支持プレート80は、最も下に位置する熱交換ユニット20の分岐部底部51を支持可能な分岐部支持部81を有している。分岐部支持部81は、分岐部50の底部貫通孔54(
図2参照)を塞いでいる。
【0038】
支持プレート80は、合流部底部72を支持可能な合流部支持部82を有している。合流部支持部82は、最も右側に位置する排出孔62(
図2参照)を除いて、3つの排出孔62を塞いでいる。合流部支持部82は、最も右側に位置し合流部支持部82に塞がれない排出孔62と重なる支持プレート排出孔83を有している。支持プレート排出孔83には、熱交換後の水を供給可能な給湯部84(
図1参照)を取付可能である。
【0039】
(第2凝縮水受け部)
支持プレート80は、最も下に位置する熱交換ユニット20の凝縮水通過孔77を通過した凝縮水を受けることが可能な第2凝縮水受け部85を有している。第2凝縮水受け部85は、合流部支持部82の隣に位置し幅方向全体に亘り溝状に形成されている。
【0040】
第2凝縮水受け部85の底部86は、凝縮水を外部に排出可能な外部排出孔89を有している。外部排出孔89は、幅方向(左右方向)を基準として底部86の中央に位置している。底部86は、外部排出孔89を中心として幅方向に延びている平坦部87と、平坦部87の両端からさらに延びている2つの傾斜部88,88と、を有している。各々の傾斜部88は、外部排出孔89へ向かって凝縮水が流れるように傾斜している。傾斜部88の上方には、凝縮水通過孔77が位置している。なお、平坦部87を設けず、傾斜部88,88のみを設けても良い。
【0041】
(第1の効果)
図1A,
図2,及び
図4を参照する。本体部12は、水平面Hに対して傾いている。詳細には、第2板材40の上面40aは、長さ方向(前後方向)が水平面Hに対して傾き、幅方向が水平に設定されている。そのため、熱交換器の内部で生成されて第2板材40の上面40aに付着した凝縮水は、前方へ向かって流れる。
【0042】
図2及び
図5を参照する。第2板材40の上面40aは、第2板材40の上面40aを流れる凝縮水を受けることが可能な第1凝縮水受け部71を有している。第1凝縮水受け部71は、第1板材30及び第2板材40を貫通し凝縮水が通過可能な凝縮水通過孔77を有している。即ち、熱交換ユニット20は、凝縮水を長さ方向の一端に溜めて下方へ排出できる。凝縮水のバーナ11への滴下を抑制できる熱交換器13を提供できる。
【0043】
(第2の効果)
凝縮水通過孔77は2つ形成され、第1凝縮水受け部71の幅方向の両端に位置している。上記の通り、第2板材40の上面40aは、幅方向が水平に設定されているが、板材自体の寸法誤差などにより幅方向が水平でない場合(左側又は右側が下がった場合)において、第1凝縮水受け部71に溜まった凝縮水を凝縮水通過孔77からより確実に排出できる。
【0044】
(第3の効果)
図2を参照する。各々の熱交換ユニット20は、長さ方向全体に亘って第1板材30及び第2板材40を貫通している複数のガス通気孔24を有している。
図3Aを参照する。上ユニット20のガス通気孔24と、下ユニット20のガス通気孔24とは幅方向を基準として互いにオフセットしている。即ち、上ユニット20のガス通気孔24と、下ユニット20のガス通気孔24は上下方向に重なっていない。上ユニット20のガス通気孔24から下方へ凝縮水が滴下した場合に、下ユニット20が凝縮水を受けることができる。凝縮水がバーナ11へ滴下することを抑制できる。
【0045】
(第4の効果)
図6Aを参照する。分岐部50は、第1板材30に形成された分岐部50の底である分岐部底部51と、第2板材40に形成され分岐部底部51に対して間隔を空けて設けられた分岐部天板部53と、を有している。合流部60は、第1板材30に形成された合流部の底である合流部底部61と、第2板材40に形成され合流部底部61に対して間隔を空けて設けられた合流部天板部63と、を有している。
【0046】
合流部天板部63は合流部天板部63を貫通した天板部貫通孔64を有している。分岐部底部51は分岐部底部51を貫通した底部貫通孔54を有している。底部貫通孔54と、天板部貫通孔64とは、互いに重なっていることにより分岐部底部51に溜まった水を抜く水抜き孔25を構成している。
【0047】
熱交換器13が前側に傾いているため、分岐部底部51には水が溜まりやすくなる。熱交換器13の内部に残った水は、冬季に凍結して体積が増加し、熱交換ユニット20に負荷を与えるおそれがある。分岐部底部51に水抜き孔25を設けることにより、水の凍結による熱交換ユニット20への負荷を防止できる。
【0048】
なお、水抜き孔25を設けた場合であっても、分岐部50に水が残る場合もある。水が凍結した際の体積の増加(約10%程度)を考慮して、残った水が凍結した際に、凍結した氷が分岐部50の内部の空間を埋めないように、水抜き孔25の位置を設定することが好ましい。
【0049】
また、合流部底部61は、水を排出可能な複数の排出孔62を有しているが、これらの複数の排出孔62に加えて、合流部底部61に水抜き孔25を設けても良い。
【0050】
(第5の効果)
図6Bを参照する。分岐部底部51に水抜き孔25を設けることにより、流路部21の内部を水が流れる際に、上ユニット20の分岐部50から熱交換部22の入口22aへ向かって流れる水の一部は、水抜き孔25を通過して、下ユニット20の合流部60へ直接流れ込んでしまう。
図6Aを参照する。分岐部天板部53は、水を導入可能な導入孔52を有している。幅方向の位置を基準として、複数の導入孔52と、水抜き孔25とは、互いにオフセットしている。水抜き孔25の位置を導入孔52の真下に設定した場合と比較すると、上ユニット20の分岐部50から下ユニット20の合流部60へ直接流れ込むことによる熱交換の効率の低下の抑制できる。
【0051】
(第6の効果)
図7A及び
図7Bを参照する。最も下に位置する熱交換ユニット20は、支持プレート80により支持されている。支持プレート80は、最も下に位置する熱交換ユニット20の凝縮水通過孔77を通過した凝縮水を受けることが可能な第2凝縮水受け部85を有している。第2凝縮水受け部85は、凝縮水を外部へ排出可能な外部排出孔89を有している。そのため、熱交換器13の内部で生成された凝縮水を外部へ排出できる。
【0052】
(第7の効果)
第2凝縮水受け部85の底部86は、外部排出孔89へ向かって傾いている傾斜部88を有している。底部86全体が平坦となるように設定してもよいが、底部86全体を平坦とする場合と比較すると、凝縮水を外部へより排出しやすくなる。
【0053】
(補強部)
図8A及び
図8Bを参照する。実施例2による熱交換器13Aの熱交換ユニット20Aは、その分岐部50の内部に分岐部50を補強する補強部90が設けられている。補強部90は、複数の熱交換ユニット20のうち、分岐部50が前側に位置している熱交換ユニットのみに設けられている(全ての熱交換ユニット20の分岐部50に設けても良い)。補強部90は、分岐部底部51と分岐部天板部53との間隔が広がらないように、分岐部底部51及び分岐部天板部53に接合されている。補強部90は、プレス加工された金属製の板材であり、その素材は、例えば、第1板材30及び第2板材40と同一である。
【0054】
補強部90は、分岐部天板部53に接合されている上接合部91と、分岐部底部51に接合されている下接合部92と、上接合部91の端部から下接合部92の端部に亘り設けられた中間壁部93と、が一体となり構成されている。なお、補強部90は、複数の部材から構成されていてもよい。
【0055】
中間壁部93は、水が通過可能な複数の水通過部94を有している。水通過部94は、例えば真円状の貫通孔である。水通過部94の数・位置・形状は適宜変更できる。また、中間壁部93の縁に切り欠きを形成してもよい。
【0056】
補強部90は、分岐部50の内部を前側の第1空間S1と後側の第2空間S2とに仕切っている。分岐部50は、第1空間S1に溜まった水を抜くことが可能な第1水抜き孔25と、第2空間S2に溜まった水を抜くことが可能な第2水抜き孔26と、を有している。第2水抜き孔26は、分岐部底部51を貫通している第2底部貫通孔55と、合流部天板部63を貫通している第2天板部貫通孔65とが、互いに重なっていることにより構成されている。
【0057】
なお、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。さらに、各々の実施例を構成する要素は適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0058】
13,13A…熱交換器
20,20A…熱交換ユニット(上ユニット、下ユニット)
22…熱交換部、22a…入口、22b…出口
24…ガス通気孔(通気孔)
25…水抜き孔(第1水抜き孔)
26…第2水抜き孔
30…第1板材
40…第2板材
50…分岐部
51…分岐部底部
53…分岐部天板部
54…底部貫通孔
55…第2底部貫通孔
60…合流部
61…合流部底部
63…合流部天板部
64…天板部貫通孔
65…第2天板部貫通孔
71…第1凝縮水受け部
77…凝縮水通過孔
80…支持プレート
85…第2凝縮水受け部
86…第2凝縮水受け部の底部
88…傾斜部
89…外部排出孔