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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131277
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041450
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 翔
(72)【発明者】
【氏名】藤木 和義
(72)【発明者】
【氏名】二階堂 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】森 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】岡田 康一
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353BB10
5E353EE02
5E353EE88
5E353GG01
5E353HH30
5E353JJ21
5E353JJ48
5E353KK02
5E353KK03
5E353KK21
5E353LL04
5E353LL06
5E353QQ11
5E353QQ30
(57)【要約】
【課題】内蔵する発熱部品の発熱によって発生する不具合を防止することができる部品実装装置を提供する。
【解決手段】部品を基板に装着する部品実装装置は、所定の動作を実行する発熱部品(撮像部品23、通信部品27)と、発熱部品に電力を供給する電源手段28と、発熱部品を制御する制御手段30と、を備える。制御手段30は、発熱部品の動作時に電源手段28から電力を供給させ、動作が終了した後に電源手段28からの電力の供給を遮断させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を基板に装着する部品実装装置であって、
所定の動作を実行する発熱部品と、
前記発熱部品に電力を供給する電源手段と、
前記発熱部品を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記発熱部品の動作時に前記電源手段から電力を供給させ、前記動作が終了した後に前記電源手段からの電力の供給を遮断させる、部品実装装置。
【請求項2】
前記発熱部品は、撮像素子を含む部品であり、
前記動作は、前記部品を撮像する撮像動作である、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記発熱部品は、通信用のインターフェースを含む部品であり、
前記動作は、信号を変換する動作である、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記制御手段は、イネーブル信号を送信することによって前記電源手段から電力を供給させる、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記電源手段は、前記発熱部品に電力を供給する複数の電源と、前記複数の電源から前記発熱部品に供給する電力を開閉する複数のスイッチを含み、
前記制御手段は、前記複数のスイッチに複数のイネーブル信号を送信する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記部品実装装置は、複数の発熱部品を備えており、
前記複数の電源は、前記複数の発熱部品に電力を供給する、請求項5に記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に部品を装着する部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置は、部品供給部が供給する部品をノズルで取り出して基板に実装する。このような部品実装装置には、ノズルが保持する部品の位置を撮像するカメラを備えるものが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、FA機器(部品実装装置)が備えるカメラであって、発熱量が大きなイメージセンサと、カメラを冷却する冷却ファンを有し、イメージセンサ温度情報イベントをトレースログとして記録するカメラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-29254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、冷却ファンによってイメージセンサ(発熱部品)の温度上昇を制御することができるものの、カメラに冷却ファンを設置するためのスペースが必要となり、また、冷却ファンに溜まる埃が不具合を引き起こすおそれもあるという課題があった。
【0005】
そこで本発明は、内蔵する発熱部品の発熱によって発生する不具合を防止することができる部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品実装装置は、部品を基板に装着する部品実装装置であって、所定の動作を実行する発熱部品と、前記発熱部品に電力を供給する電源手段と、前記発熱部品を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記発熱部品の動作時に前記電源手段から電力を供給させ、前記動作が終了した後に前記電源手段からの電力の供給を遮断させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、内蔵する発熱部品の発熱によって発生する不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の平面図
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の構成説明図
図3】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える部品認識カメラの主要構成の説明図
図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える部品認識カメラの構成を示すブロック図
図5】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える部品認識カメラによる実装ヘッドが保持する部品の撮像の説明図
図6】本発明の一実施の形態の部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
図7】本発明の一実施の形態の部品実装方法のフロー図
図8】本発明の一実施の形態の部品認識カメラ起動方法のフロー図
図9】本発明の一実施の形態の部品認識カメラ切断方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装装置、部品認識カメラの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸として、基板搬送方向のX軸(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY軸(図1における上下方向)が示される。図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ軸(図2における上下方向)が示される。
【0010】
まず図1図2を参照して、部品実装装置1の構成を説明する。なお図2は、図1における部品実装装置1の一部を模式的に示している。部品実装装置1は、部品供給部から供給された部品を基板に装着する部品実装作業を実行する機能を有する。基台1aの中央には、基板搬送機構2がX軸に沿って配置されている。基板搬送機構2は、上流から搬送された基板3を、実装作業位置に搬入して位置決めして保持する。また、基板搬送機構2は、部品実装作業が完了した基板3を下流に搬出する。
【0011】
基板搬送機構2の両側(Y軸の前後方向)には、部品供給部4が配置されている。それぞれの部品供給部4には、複数のテープフィーダ5がX軸に沿って並列に装着されている。テープフィーダ5は、部品Dを格納するポケットが形成された部品テープを部品供給部4の外側から基板搬送機構2に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、以下に説明する実装ヘッドによって部品Dが取り出される部品供給位置5aに部品Dを供給する。
【0012】
図1図2において、基台1a上面においてX軸方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル6がY軸に沿って配置されている。Y軸テーブル6には、同様にリニア駆動機構を備えたビーム7が、Y軸に沿って移動自在に結合されている。ビーム7はX軸に沿って配置されている。ビーム7には、プレート7aがX軸に沿って移動自在に装着されている。プレート7aには、実装ヘッド8が装着されている。実装ヘッド8は、部品Dを吸着して昇降可能な吸着ユニット8aを備えている。吸着ユニット8aの下端部には、部品Dを吸着して保持するノズル8bが装着されている。
【0013】
図1において、Y軸テーブル6およびビーム7は、実装ヘッド8をX軸方向、Y軸方向に移動させるヘッド移動機構9を構成する。ヘッド移動機構9および実装ヘッド8は、部品供給部4に配置されたテープフィーダ5の部品供給位置5aから部品Dをノズル8bによって吸着して取り出して、基板搬送機構2に位置決めされた基板3の実装位置に装着する実装ターンを実行する。すなわち、Y軸テーブル6、ビーム7および実装ヘッド8は、テープフィーダ5の部品供給位置5aに供給される部品Dをノズル8bで保持して基板3に装着する部品実装手段を構成する。
【0014】
図1図2において、部品供給部4と基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ20が配置されている。部品供給部4から部品Dを取り出した実装ヘッド8が部品認識カメラ20の上方を移動する際に、部品認識カメラ20は実装ヘッド8に保持された状態の部品Dを撮像する。撮像結果からは、部品Dの保持姿勢が認識される。実装ヘッド8が取り付けられたプレート7aには基板認識カメラ10が取り付けられている。基板認識カメラ10は、実装ヘッド8と一体的に移動する。
【0015】
実装ヘッド8が移動することにより、基板認識カメラ10は基板搬送機構2に位置決めされた基板3の上方に移動し、基板3に設けられた基板マーク3aを撮像する。撮像結果からは、基板3の位置が認識される。実装ヘッド8による基板3への部品実装動作においては、部品認識カメラ20による部品Dの認識結果と、基板認識カメラ10による基板位置の認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0016】
図2において、部品供給部4にはフィーダベース11aに予め複数のテープフィーダ5が装着された状態の台車11がセットされる。台車11には、部品Dを保持した部品テープ12を巻回状態で収納するテープリール13が保持されている。テープリール13から引き出された部品テープ12は、テープフィーダ5によって部品供給位置5aまでピッチ送りされる。
【0017】
図1において、部品実装装置1の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル14が設置されている。タッチパネル14は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品実装装置1の操作を行う。
【0018】
次に図3を参照して、部品認識カメラ20の主要構成について説明する。部品認識カメラ20の筐体21の内部の底21aには、2次元CMOSセンサなどの撮像素子22を含む撮像部品23が設置されている。筐体21内において、撮像部品23の上方にはレンズ24が設置されている。レンズ24の上方には、照明部25が設置されている。筐体21の上部21bには、筐体21の一部を切り欠いて透明部材26が設置されている。透明部材26は、光を透過する板状のガラスなどで形成されている。
【0019】
図3において、照明部25は、側射照明部25a、同軸照明部25b、ハーフミラー25cを備えている。側射照明部25aは、複数のLEDチップなどを備えて構成されており、下斜め方向から部品認識高さHaに位置する撮像対象物(部品Dなど)を照明する光を側射照射する。同軸照明部25bは複数のLEDチップなどを備えて構成されており、側射照明部25aの下方に配置されている。
【0020】
ハーフミラー25cは、撮像素子22の光軸Pが通過する位置に配置されており、同軸照明部25bから照射された光をハーフミラー25cの上方の部品認識高さHaに位置する撮像対象物(部品Dなど)の方向に反射させる。すなわち、同軸照明部25bとハーフミラー25cは、撮像素子22の光軸Pと同軸方向から撮像対象物を同軸照明する。照明部25は、撮像する対象の材質等に応じて、側射照明部25aによる側射照射と同軸照明部25bによる同軸照明を切り替えて、もしくは組み合わせて照明する。
【0021】
次に図4を参照して、部品認識カメラ20の電源系、制御系を含む構成について説明する。部品認識カメラ20は、撮像素子22を含む撮像部品23が出力する信号を受信し、部品実装装置1が備える制御装置40の画像処理部42(図6)に送信する信号に変換する機能を有する通信部品27を備えている。通信部品27は、例えば、撮像部品23が出力するsub-LVDS信号を受信し、長距離伝送が可能なLVDS信号に変換して出力する機能を有するバッファICである。すなわち、通信部品27は、通信用のインターフェースを備えている。
【0022】
撮像部品23と通信部品27は、動作中の消費電力が高くて発熱量が大きな発熱部品である。すなわち、撮像部品23は、撮像素子22を含み、部品Dを撮像する撮像動作を行う発熱部品である。また、通信部品27は、通信用のインターフェースを含み、信号を変換する動作を行う発熱部品である。
【0023】
図4において、部品認識カメラ20は、撮像部品23と通信部品27に電力を供給する電源手段28を備えている。また、部品認識カメラ20は、側射照明部25aと同軸照明部25bに光を照射させるための駆動電流を供給する照明駆動部29を備えている。側射照明部25aと同軸照明部25bは、照明駆動部29が供給する照射電流によって所定の照度の光を照射する。さらに、部品認識カメラ20は、撮像部品23、通信部品27、電源手段28、照明駆動部29を制御する制御手段30を備えている。電源手段28、照明駆動部29、制御手段30には、部品認識カメラ20の外部に設置されている装置電源31から電力が供給される。
【0024】
電源手段28は、装置電源31から供給される電力を撮像部品23に供給する電力に変換する第1電源32、第2電源33、第3電源34を備えている。第1電源32、第2電源33、第3電源34は、供給する電圧が異なる。第1電源32、第2電源33、第3電源34が供給する電力は、第1スイッチ36、第2スイッチ37、第3スイッチ38を介して撮像部品23に供給される。また、電源手段28は、装置電源31から供給される電力を通信部品27に供給する電力に変換する第4電源35を備えている。第4電源35が供給する電力は、第4スイッチ39を介して通信部品27に供給される。
【0025】
図4において、制御手段30は、第1スイッチ36、第2スイッチ37、第3スイッチ38を制御する信号をそれぞれ出力する第1ターミナルT1、第2ターミナルT2、第3ターミナルT3を備えている。第1スイッチ36、第2スイッチ37、第3スイッチ38は、第1ターミナルT1、第2ターミナルT2、第3ターミナルT3にそれぞれ接続されている。また、第4スイッチ39は、第3ターミナルT3に接続されている。すなわち、第3スイッチ38と第4スイッチ39は、第3ターミナルT3が出力する信号によって、同時に制御される。なお、制御手段30が、第4スイッチ39のみを制御するターミナルを備える構成であってもよい。
【0026】
制御手段30が第1ターミナルT1~第3ターミナルT3からイネーブル信号(オン信号)を出力させると、第1スイッチ36~第4スイッチ39がオン状態となり、第1電源32~第4電源35から撮像部品23と通信部品27に電力が供給される。また、制御手段30が第1ターミナルT1~第3ターミナルT3からディスエーブル信号(オフ信号)を出力させると、第1スイッチ36~第4スイッチ39がオフ状態となり、第1電源32~第4電源35から撮像部品23と通信部品27に供給される電力が遮断(切断)される。
【0027】
なお、撮像部品23に供給される電源の電圧は3つ、通信部品27に供給される電源の電圧は1つに限定されることはなく、撮像部品23と通信部品27の仕様に応じて適宜変更される。また、同じ電源から撮像部品23と通信部品27に電力を供給してもよい。
【0028】
このように、電源手段28は、発熱部品(撮像部品23、通信部品27)に電力を供給する複数の電源(第1電源32~第4電源35)と、複数の電源から発熱部品に供給する電力を開閉する複数のスイッチ(第1スイッチ36~第4スイッチ39)を含む。そして、制御手段30は、複数のスイッチに複数のイネーブル信号を送信し、イネーブル信号を送信することによって電源手段から電力を供給させる。すなわち、部品実装装置1は、複数の発熱部品を備えており、複数の電源は、複数の発熱部品に電力を供給する。
【0029】
図4において、制御手段30は、複数のスイッチ(第1スイッチ36~第2スイッチ37)に対して複数のターミナル(第1ターミナルT1~第2ターミナルT2)から複数のイネーブル信号を1つずつ送信し、複数の電源(第1電源32~第2電源33)から発熱部品(撮像部品23)に電源を供給させる。また、制御手段30は、複数のスイッチ(第3スイッチ38~第4スイッチ39)に対して1つのターミナル(第3ターミナルT3)から1つのイネーブル信号を送信し、複数の電源(第3電源34~第4電源35)から複数の発熱部品(撮像部品23、通信部品27)に電源を供給させる。
【0030】
図4において、制御手段30は、撮像部品23、通信部品27、照明駆動部29を制御する信号をそれぞれ出力する第4ターミナルT4、第5ターミナルT5、第6ターミナルT6を備えている。第4ターミナルT4、第5ターミナルT5、第6ターミナルT6は、撮像部品23、通信部品27、照明駆動部29にそれぞれ接続されている。これにより、撮像部品23、通信部品27、照明駆動部29は、制御手段30によって制御される。また、制御手段30は、部品実装装置1の制御装置40と接続され、相互に命令や情報を通信する第7ターミナルT7を備えている。
【0031】
制御手段30は、制御装置40から部品認識カメラ20の起動命令を受信すると、後述する所定の順序とタイミングで第1スイッチ36~第4スイッチ39をオン状態として、撮像部品23と通信部品27に第1電源32~第4電源35から電力を供給させる。また、所定の順序とタイミングで第4ターミナルT4と第5ターミナルT5からリセット信号を送信し、撮像部品23と通信部品27を起動させる。また、制御手段30は、制御装置40から部品認識カメラ20の切断命令を受信すると、後述する所定の順序とタイミングで第1スイッチ36~第4スイッチ39をオフ状態として、撮像部品23と通信部品27に第1電源32~第4電源35から供給する電力を遮断させる。
【0032】
次に図3図5を参照して、部品認識カメラ20による部品Dの撮像について説明する。まず、ノズル8bによってテープフィーダ5から部品Dを取り出して保持した実装ヘッド8は、部品認識カメラ20の前まで移動する(矢印b1)。次いで部品Dの下面Daを部品認識高さHaに位置させて、部品Dが部品認識カメラ20の撮像素子22の光軸Pの上を通過するようにX軸に沿って移動させる(矢印a、矢印b2)。この間、照明部25が部品Dを照明し、撮像素子22が撮像した撮像結果は部品実装装置1が備える制御装置40の画像処理部42に送信される。その後、実装ヘッド8は基板3の上方に移動し(矢印b3)、実装位置に部品Dを実装する。
【0033】
部品認識カメラ20は、実装ヘッド8が部品認識カメラ20の前まで移動して、撮像素子22の光軸Pの上への移動を開始する前、すなわち、部品撮像開始前までに、起動状態となるように制御装置40と制御手段30によって制御される。また、部品認識カメラ20は、部品撮像終了後に、切断状態となるように制御装置40と制御手段30によって制御される。このように、内蔵する発熱部品(撮像部品23、通信部品27)に電力を供給する時間を発熱部品の動作時に限定することにより、発熱部品から発生する熱量を大幅に削減することができる。これによって、冷却ファンを使用することなく発熱部品の発熱に起因する熱暴走や故障、光軸Pのずれなどの不具合を防止することができる。
【0034】
次に図6を参照して、部品実装装置1の制御系の構成について説明する。部品実装装置1は、制御装置40、基板搬送機構2、テープフィーダ5、実装ヘッド8、ヘッド移動機構9、部品認識カメラ20、基板認識カメラ10、タッチパネル14を備えている。制御装置40は、実装動作処理部41、画像処理部42、実装記憶部43を備えている。実装記憶部43は記憶装置であり、実装データ44、撮像結果データ45などが記憶されている。
【0035】
実装データ44には、基板3の種類(基板種)毎に、基板3のサイズ、実装される部品Dの種類と実装位置(XY座標)など、部品実装作業に必要な情報が記憶されている。また、実装データ44には、部品Dの種類毎に部品認識カメラ20が部品Dを撮像する際の側射照明部25aと同軸照明部25bの照度などの撮像条件が記憶されている。
【0036】
図6において、実装動作処理部41は、実装データ44に基づいて部品実装装置1の各部を制御して、テープフィーダ5が供給する部品を実装ヘッド8のノズル8bで保持して、部品認識カメラ20でノズル8bが保持した部品Dを撮像し、撮像画像からノズル8bが保持する部品Dの位置ずれを検出し、実装作業位置に保持された基板3に装着する部品実装作業を制御する。その際、実装動作処理部41は、検出されたノズル8bに対する部品Dの位置ずれを補正して、基板3に装着させる。
【0037】
また、実装動作処理部41は、部品実装作業において、所定のタイミングで部品認識カメラ20の制御手段30に起動命令と撮像条件を送信して、部品認識カメラ20を起動させて部品認識カメラ20にノズル8bが保持した部品Dを撮像させる。また、実装動作処理部41は、部品Dの撮像後の所定のタイミングで部品認識カメラ20の制御手段30に切断命令を送信し、部品認識カメラ20の発熱部品(撮像部品23、通信部品27)への電力の供給を遮断させる。
【0038】
図6において、画像処理部42は、部品認識カメラ20において撮像部品23が部品Dを撮像して通信部品27から送信された信号を画像処理して、撮像結果データ45として実装記憶部43に記憶させる。
【0039】
次に図7のフローに沿って、図5を参照しながら部品実装装置1による部品実装方法について説明する。ここでは、1枚の基板3に所定の部品Dを装着するフローについて説明する。まず、実装動作処理部41は、基板搬送機構2を制御して、基板3を実装作業位置に搬入させて保持させる(ST1:基板搬入工程)。次いで実装動作処理部41は、テープフィーダ5、実装ヘッド8、ヘッド移動機構9を制御して、ノズル8bによってテープフィーダ5から部品Dを取り出させる(ST2:部品取出し工程)。
【0040】
次いで実装動作処理部41は、部品認識カメラ20の制御手段30に対して起動命令を送信させる(ST3:部品認識カメラ起動工程)。次いで実装動作処理部41は、ヘッド移動機構9を制御して、部品Dを保持する実装ヘッド8を部品認識カメラ20の手前まで移動させる(ST4:第1移動工程)(図5の矢印b1)。次いで実装動作処理部41は、ヘッド移動機構9と部品認識カメラ20を制御して、実装ヘッド8を移動させながら(図5の矢印b2)撮像部品23に部品Dを撮像させる(ST5:部品撮像工程)。撮像結果は通信部品27から画像処理部42に送信され、撮像結果データ45として記憶される。
【0041】
なお、部品認識カメラ起動工程(ST3)の開始のタイミングは、第1移動工程(ST4)の開始のタイミングよりも後であってもよい。すなわち、部品撮像工程(ST5)の開始前までに部品認識カメラ起動工程(ST3)が完了できるタイミングで、実装動作処理部41は、制御手段30に対して起動命令を送信していればよい。
【0042】
図7において、実装ヘッド8が保持する全ての部品Dの撮像が完了すると、実装動作処理部41は、部品認識カメラ20の制御手段30に対して切断命令を送信させる(ST6:部品認識カメラ切断工程)。次いで実装動作処理部41は、ヘッド移動機構9を制御して、部品Dを保持する実装ヘッド8を基板3の上方まで移動させる(ST7:第2移動工程)(図5の矢印b3)。次いで実装動作処理部41は、実装ヘッド8、ヘッド移動機構9を制御して、実装位置に部品Dを装着させる(ST8:部品装着工程)。部品装着工程(ST8)では、撮像画像から検出された部品Dの位置ずれに基づいて、装着位置が補正される。
【0043】
未装着の部品Dがある場合は(ST9においてNo)、次の実装ターン(ST2~ST8)が実行される。全ての部品Dを基板3に装着すると(ST9においてYes)、実装動作処理部41は、基板搬送機構2を制御して、基板3を実装作業位置から搬出させる(ST10:基板搬出工程)。
【0044】
次に図8のフローに沿って、図4を参照しながら部品認識カメラ20の起動方法(部品認識カメラ起動工程(ST3))について説明する。制御装置40から起動命令を受信すると、制御手段30は、第1ターミナルT1からイネーブル信号を送信させる(ST11)。これによって、第1スイッチ36がオン状態となり、第1電源32から撮像部品23に電力が供給される。次いで制御手段30は、第4ターミナルT4からリセット信号を送信させる(ST12)。これにより、撮像部品23がリセット(初期化)される。
【0045】
次いで制御手段30は、第2ターミナルT2からイネーブル信号を送信させる(ST13)。これによって、第2スイッチ37がオン状態となり、第2電源33から撮像部品23に電力が供給される。次いで制御手段30は、第3ターミナルT3からイネーブル信号を送信させる(ST14)。これによって、第3スイッチ38と第4スイッチ39がオン状態となり、第3電源34から撮像部品23に電力が供給され、第4電源35から通信部品27に電力が供給される。次いで制御手段30は、第5ターミナルT5からリセット信号を送信させる(ST15)。これにより、通信部品27がリセット(初期化)される。
【0046】
図8において、通信部品27がリセットされると、部品認識カメラ20の起動が完了し、部品認識カメラ20は撮像可能な状態となる。なお、(ST11)から(ST15)までの各工程は、予め定められた間隔により実行される。このように、所定の順序とタイミングで撮像部品23と通信部品27に電力を供給してリセットすることで、電力投入時の突入電流やラッチアップ等による撮像部品23、通信部品27の破壊を防止して、部品認識カメラ20を確実に起動することができる。
【0047】
次に図9のフローに沿って、図4を参照しながら部品認識カメラ20の切断方法(部品認識カメラ切断工程(ST6))について説明する。制御装置40から切断命令を受信すると、制御手段30は、第3ターミナルT3からディスエーブル信号を送信させる(ST21)。これによって、第3スイッチ38と第4スイッチ39がオフ状態となり、第3電源34から撮像部品23への電力の供給が遮断され、第4電源35から通信部品27への電力の供給が遮断される。
【0048】
次いで制御手段30は、第2ターミナルT2からディスエーブル信号を送信させる(ST22)。これによって、第2スイッチ37がオフ状態となり、第2電源33から撮像部品23への電力の供給が遮断される。次いで制御手段30は、第1ターミナルT1からディスエーブル信号を送信させる(ST23)。これによって、第1スイッチ36がオフ状態となり、第1電源32から撮像部品23への電力の供給が遮断される。
【0049】
図8において、第1電源32から撮像部品23への電力の供給が遮断されると、部品認識カメラ20の切断が完了する。これによって、発熱部品(撮像部品23、通信部品27)への電力の供給が遮断されて、発熱部品からの発熱が抑制される。なお、(ST21)から(ST23)までの各工程は、予め定められた間隔により実行される。このように、所定の順序とタイミングで撮像部品23と通信部品27への電力の供給を遮断することで、撮像部品23と通信部品27から安全に放電し、電力遮断時の撮像部品23、通信部品27の破壊を防止して、確実に切断することができる。
【0050】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装装置1は、所定の動作を実行する発熱部品(撮像部品23、通信部品27)と、発熱部品に電力を供給する電源手段28と、発熱部品を制御する制御手段30と、を備える。制御手段30は、発熱部品の動作時に電源手段28から電力を供給させ(ST3)、動作が終了した後に電源手段28からの電力の供給を遮断させる(ST6)。これによって、内蔵する発熱部品の発熱によって発生する不具合を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の部品実装装置は、内蔵する発熱部品の発熱によって発生する不具合を防止することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 部品実装装置
3 基板
22 撮像素子
23 撮像部品(発熱部品)
27 通信部品(発熱部品)
28 電源手段
30 制御手段
32 第1電源(電源)
33 第2電源(電源)
34 第3電源(電源)
35 第4電源(電源)
36 第1スイッチ(スイッチ)
37 第2スイッチ(スイッチ)
38 第3スイッチ(スイッチ)
39 第4スイッチ(スイッチ)
D 部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9