(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013128
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】会計情報保管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240124BHJP
【FI】
G06Q40/00 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115091
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】522289127
【氏名又は名称】坂本 恒之
(71)【出願人】
【識別番号】522289150
【氏名又は名称】林 充之
(71)【出願人】
【識別番号】522288430
【氏名又は名称】榎本 恵一
(74)【代理人】
【識別番号】100138519
【弁理士】
【氏名又は名称】奥谷 雅子
(74)【代理人】
【識別番号】100210675
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 潤
(72)【発明者】
【氏名】坂本 恒之
(72)【発明者】
【氏名】林 充之
(72)【発明者】
【氏名】榎本 恵一
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB63
(57)【要約】 (修正有)
【課題】法人毎に異なる会計ソフトウェアを採用して財務会計管理を行っている場合に、会計ソフトウェアの種類に関わりなく法人の財務会計上のデータを簡単に共有でき、かつ、長期間のソフトウェアの仕様変更や会計事務所の変更にも耐えうる会計情報管理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】会計情報管理装置は、ユーザのクライアント端末との通信を可能とする通信部と、ユーザの会計ソフトにより作成されたユーザ情報及びユーザ会計情報を取得する会計情報取得部と、ユーザ情報及びユーザ会計情報から、保存ファイルを作成する保存ファイル生成部と、保存ファイルを記憶する保存ファイル記憶部と、ユーザのクライアント端末及び/又は利用可能な第三者のクライアント端末からの要求に応じて、保存ファイルから、要求のあったクライアント端末の表示機能に対応した会計情報を生成し出力する応答データ生成部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのクライアント端末との通信を可能とする通信部と、
1のユーザの会計ソフトにより作成されたユーザ情報およびユーザ会計情報を取得する会計情報取得部と、
ユーザ情報およびユーザ会計情報から、保存ファイルを作成する保存ファイル生成部と、
保存ファイルを記憶する保存ファイル記憶部と、
ユーザのクライアント端末および/または利用可能な第三者のクライアント端末からの要求に応じて、保存ファイルから、要求のあったクライアント端末の表示機能に対応した会計情報を生成し出力する応答データ生成部と、を備える会計情報管理装置。
【請求項2】
さらに、保存ファイル記憶部において、ファイルの保存期間を記憶する記憶部を備える、請求項1に記載の会計情報管理装置。
【請求項3】
さらに、保存ファイルにおける会計情報の検索部を備える、請求項1または2に記載の会計情報管理装置。
【請求項4】
保存ファイルが会計帳簿形式で作成される、請求項1に記載の会計情報管理装置。
【請求項5】
さらに、保存ファイルにおける一部または全部の会計情報を分析・統計処理する計算部を備える、会計情報管理装置。
【請求項6】
ユーザのクライアント端末との通信を行う工程と、
1のユーザの会計ソフトにより作成されたユーザ情報およびユーザ会計情報を取得する工程と、
クライアントの会計情報から、保存ファイルを作成する工程と、
保存ファイルを記憶する工程と、
ユーザのクライアント端末および/または利用可能な第三者のクライアント端末からの要求に応じて、保存ファイルから、要求のあったクライアント端末の表示機能に対応した会計情報を生成し出力する工程とを実行する、会計情報管理プログラム。
【請求項7】
さらに、保存ファイルを記憶する工程において、保存ファイルの保存期間を記憶する工程を備える、請求項1に記載の会計情報管理プログラム。
【請求項8】
さらに、保存ファイルにおける会計情報を検索する工程を備える、請求項6または7に記載の会計情報管理プログラム。
【請求項9】
さらに、保存ファイルを会計帳簿形式に変換する工程をさらに備える、請求項6に記載の会計情報管理装置。
【請求項10】
さらに、保存ファイルにおける一部または全部の会計情報を分析・統計処理する工程を備える、請求項6に記載の会計情報管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会計情報の保存・管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子取引情報の電子保存に関する要件が変更になり、国税の申告に関連して、作成した帳簿、作成したあるいは受領した書類の電子保存に関しては一定期間所定のデータ管理条件下にて保存しなければならなくなった。具体的には、7年間の保存義務が課せられ、欠損金が生じている場合等にはさらに長くなる場合もある。
【0003】
現在、企業および会計事務所では多数の商用およびオープンソースの会計ソフトが用いられている。基本的に会計ソフトウェアにおける勘定科目および補助科目はソフトごとに設定可能で、そのデータ形式もソフトウェアによって異なっている。そのため、ソフトウェアを異なるものに変更した場合には勘定科目、補助科目、仕訳情報の情報またはデータ形式が異なるため、会計ソフトを変更する場合、もしくは納税代理者の変更もしくはこの者が使用するソフトウェアが変更になる場合、コンバート用のソフトウェアを用いたりする必要があった。このような弊害を会計標準情報としてだれでも活用することができるようにするシステムなどが開発されている(特許文献1および特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6461400号
【特許文献2】特開2019-175429
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなソフトウェア間の仕様の違いがある中で、上記の法規制により所定の電子データを長期間保存する必要が生じている。ソフトウェアの仕様変更や使用するソフトウェアの変更、また担当する会計事務所、税理士等の税務申告代理人の変更などの諸事情が生じる可能性がある。このような場合には、会計保存義務のある税務申告者およびその代理申告者は、相互に電子データを変換する必要があり、その費用と労力が負担になっている。
【0006】
本発明は上記のような事情を鑑みてなされたものであり、企業または個人事業主における会計帳簿データをその者の会計ソフトで処理・保管する他に、これと独立したデータベースにこのようなデータを保管することにより、長期間における会計データの利用可能性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明の一実施態様は、
ユーザのクライアント端末との通信を可能とする通信部と、
1のユーザの会計ソフトにより作成されたユーザ情報およびユーザ会計情報を取得する会計情報取得部と、
ユーザ情報およびユーザ会計情報から、保存ファイルを作成する保存ファイル生成部と、
保存ファイルを記憶する保存ファイル記憶部と、
ユーザのクライアント端末および/または利用可能な第三者のクライアント端末からの要求に応じて、保存ファイルから、要求のあったクライアント端末の表示(印刷・ダウンロード)機能に対応した会計情報を生成し出力する応答データ生成部と、を備える会計情報管理装置、である。
【0008】
また、本発明の他の実施態様は、上記会計情報管理装置の保存ファイル記憶部において、ファイルの保存期間を記憶する記憶部を備える、会計情報管理装置である。
【0009】
また、本発明の他の実施態様は、保存ファイルにおける会計情報の検索部を備える、上記いずれかに記載の会計情報管理装置である。
【0010】
また、本発明の他の実施態様は、保存ファイルが会計帳簿形式で作成される、上記いずれかに記載の会計情報管理装置である。
【0011】
また、本発明の他の実施態様は、さらに、保存ファイルにおける一部または全部の会計情報を分析・統計処理する計算部を備える、上記いずれかに記載の会計情報管理装置である。
【0012】
また、本発明の他の実施態様は、ユーザのクライアント端末との通信を行う工程と、
1のユーザの会計ソフトにより作成されたユーザ情報およびユーザ会計情報を取得する工程と、
クライアントの会計情報から、保存ファイルを作成する工程と、
保存ファイルを記憶する工程と、
ユーザのクライアント端末および/または利用可能な第三者のクライアント端末からの要求に応じて、保存ファイルから、要求のあったクライアント端末の表示(印刷・ダウンロード)機能に対応した会計情報を生成し出力する工程とを実行する、会計情報管理プログラムである。
【0013】
また、本発明の他の実施態様は、さらに、保存ファイルを記憶する工程において、保存ファイルの保存期間を記憶する工程を備える、上記記載の会計情報管理プログラムである。
【0014】
また、本発明の他の実施態様は、さらに、保存ファイルにおける会計情報を検索する工程を備える、上記のいずれかに記載の会計情報管理プログラムである。
【0015】
また、本発明の他の実施態様は、さらに、保存ファイルを会計帳簿形式に変換する工程をさらに備える、上記いずれかに記載の会計情報管理装置である。
【0016】
また、本発明の他の実施態様は、さらに、保存ファイルにおける一部または全部の会計情報を分析・統計処理する工程を備える、上記いずれかに記載の会計情報管理装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザおける会計情報が、ユーザでの会計ソフトを変更した場合でも容易に変更後の会計ソフトに対応した形式で利用することができる。所定の第三者がユーザの会計情報を閲覧し利用することができるため、ユーザの会計を管理する者(顧問税理士事務所、会計事務所など)の変更においても当事者に過度の負担が生じることはない。
【0018】
さらに、本発明によれば、電子帳簿保存法に対応した会計情報が管理可能であるため、ユーザまたはユーザの会計を担当する者の同法対応に対する負荷が軽減される。
【0019】
また、本発明によれば、第三者が任意の会計期間におけるユーザの、売上、売掛金、現金、預金の動向を把握することができる。必要とされる期間でのユーザの会計情報を閲覧することができる。
【0020】
本発明によれば、ユーザの会計情報を保存ファイルで保管することができる。これはこのまま、閲覧および出力を要求する者に送信することが可能であるため、個別の会計ソフトで利用されている項目名称に関わらずに、当該会計情報を必要とする者のフォーマットに変換して利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の会計情報管理装置の構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の会計情報管理装置の機能ブロック図である。
【
図3】本発明の会計情報管理装置の構成ブロック図である。
【
図4】本発明の会計情報管理装置とユーザコンピュータおよび会計事務所コンピュータとの連携を示す概要図である。
【
図5】本発明の会計情報管理装置の他の役割と具体的なアウトプットを説明する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の会計情報管理装置は、本発明に係るプログラムがインストールされた媒体により実施される。例えばサーバプログラム等のプログラムをインストールすることでも生成され得る。このプログラムは電子メールで配信されてもよいし、所定のURLにアクセスしたうえでログインすることで入手できてもよいし、記録媒体に記録されてもよい。以下で説明する、本実施形態で上記プログラムがインストールされた装置によって実施される。
【0023】
本実施形態における、会計情報管理装置は一台の装置から構成されてもよいが、複数の装置から構成されてもよい。情報処理装置が複数の装置から構成される場合には、情報処理装置を構成する装置は異なる部屋又は異なる場所に設置されてもよく、情報処理装置の一部と情報処理装置の残部が遠隔地に配置されてもよい。
【0024】
本発明における会計情報とは、企業もしくは個人事業主における企業会計業務に関するものであれば特に限定されるものではない。すなわち、財務会計、管理会計、税務会計を含むがこれらの用途を特に限定する意図ではない。また本明細書において、「会計情報」とは国税関係帳簿情報および国税関係帳簿書類情報ならびにそれらに関するユーザ情報を含む。
【0025】
本発明における会計情報管理装置において保存される保存ファイルは、ユーザである企業もしくは個人事業主等の属性データおよび当該企業もしくは個人事業主等の会計情報を保存するものである。保存ファイルは、会計情報であることから、所謂、帳簿形式として保存されることが好ましい。このような帳簿としては、企業等が取引上その他営業上の財産に影響を及ぼすべき事項を記載した帳簿を意味するものであり特に限定する意図はない。一般的に、帳簿は主要簿と補助簿からなり、主要簿には総勘定元帳、仕訳帳が含まれ、補助簿には現金出納帳、預金出納帳、固定資産台帳、売掛張および買掛長が含まれる。また、本発明における会計帳簿データには、国税関係書類(貸借対照表、損益計算表、棚卸表、その他決算書類)含んでいてもよい。
【0026】
一般的に、主要簿に含まれる総勘定元帳とは、日々の取引を勘定科目ごとにまとめたものである。また、仕訳帳とは、取引を勘定科目に関係なく、すべての取引を日付順に記載した帳簿を意味する。一般的な会計ソフトにおいては、日々の取引を仕訳帳に入力し、そこから総勘定元帳が作成される流れが一般的である。本発明においては、このような流れで処理されたデータも利用することができる。
【0027】
一般的に、仕訳帳や総勘定元帳などの主要簿の記載事項は製品ごとにフォーマットが異なる。本発明において、クライアントごとの会計ソフトにおけるフォーマットは、保存ファイルとして一元的に管理することができる。
【0028】
一般的に、会計帳簿における補助簿とは、主要簿を補助するために作成される会計簿を意味する。主要簿では記載ができない取引内容の明細を記載したものである。補助簿の例としては、現金出納帳、仕入帳、売上帳、支払手形記入帳、売掛元帳などがある。これらについても製品ごとにフォーマットが決まっており、さらにはユーザにて一定程度カスタマイズが可能である。本発明において、補助簿に関するデータについても、共通ファイルとして保管が可能であるため、一元的に管理することができる。
【0029】
本発明の会計情報管理装置における通信部は、ユーザ情報およびユーザ会計情報、並びにユーザまたは所定の第三者のクライアント端末からのリクエストを受信する受信部と、後述する応答データ生成部で生成されたデータを送信する送信部とを備える。また、本発明における通信部は、複数の所定の第三者に対して保存ファイルから処理された会計情報を閲覧可能としてもよい。
【0030】
本発明において、ユーザ情報とは例えば、法人の名称、法人番号、住所、代表者、決算期等の法人に関する情報を含むがこれらに限定されない。さらに、当該法人の取引先(売掛先、買掛先)の名称、住所等の取引相手に関する情報を含んでいてもよい。
【0031】
本発明において、ユーザ会計情報とは、個別ユーザの会計情報を意味する。「会計情報」については前述の定義に準ずる。
【0032】
本発明における会計情報取得部とは、ユーザが使用する会計ソフトにより作成されたユーザ情報およびユーザ会計情報を、当該ユーザのクライアント端末から取得することができる構成を意味する。
【0033】
本発明における、「保存ファイル生成部」とは、会計情報取得部から取得された会計情報を、本発明における保存ファイル記憶部に格納するのに適したデータ形式に変換する構成を意味する。本発明において、「保存ファイル生成部」は、個別ユーザの会計ソフトから取得したユーザ会計情報の一部または全部に対応した、保存ファイルを生成する。本発明の一実施態様において、ユーザの会計ソフトからの会計情報における勘定科目に対して、保存ファイルにおける勘定科目として対応づけを行い、ついでユーザの会計情報における補助科目に対して、保存ファイルにおける補助科目の対応づけを行う。ユーザの会計情報における全ての会計情報を保存ファイルに対応づけした後に、これらの情報をユーザの会計情報における仕訳帳からのデータと対応させて、保存ファイルを生成することができる。本発明において、上記の処理順序は特段重要ではなく、保存ファイル生成部では、ユーザの会計ソフトにおける仕訳帳データから主要簿および補助簿に仕訳を先に行い、これを追って個別会計ソフトの主要簿および補助簿の科目に対応づけてもよい。保存ファイル生成部で生成された保存ファイルは、保存ファイル記憶部にて記憶される。
【0034】
本発明における、「保存ファイル記憶部」は、保存ファイル生成部で生成された保存ファイルを記憶する構成を備える。保存ファイルは、ユーザの会計ソフトにおけるデータ構造を有していても有していなくてもよい。本発明の目的からは、保存ファイルは、クライアントにおけるユーザの会計ソフトが変更になった場合であっても、引き続きクライアントの会計情報として、クライアントの会計ソフトに出力が可能なデータ構造で保存されることが好ましく、さらにはクライアントの会計ソフトからのデータを容易に変換することができる形式で保存されることが好ましい。また、同一のクライアントから本発明に係る装置に送信される会計情報が同一のソフトウェアで行われる必要もなく、そのため、本発明において、会計ソフトは同一ユーザにおいて異なるソフトウェアを指す場合も含む。
【0035】
本発明において、「クライアント端末」とは、ユーザおよび所定の第三者が会計ソフトウェアを実行する端末を意味する。具体的には、それぞれの会計ソフトウェアがインストールされたPC、タブレット、スマートフォンなどを意味する。
【0036】
本発明において、「応答データ生成部」とは、ユーザの会計ソフトからの要求に応じて、ユーザの会計ソフトまたは所定の第三者の会計ソフトにより読み取り可能な財務会計データを生成し出力する構成を意味する。本発明において、「会計ソフトにより読み取り可能な」とは一旦保存ファイルとしてデータベースに保存されているユーザの会計情報データを、要求元の個別会計ソフトの様式に合わせて出力できるように変換した状態を意味する。本発明においては、このような構成を取ることにより、同一クライアントからの同一種類のソフトウェアの要求に応じて本発明の会計帳簿保存サーバから、クライアントの要求に応じた会計データを出力するほかに、同一クライアントからの異なる種類のソフトウェアの要求に応じて本発明の会計帳簿保存サーバから、クライアントの要求に応じた会計データを出力することも可能となる。このような会計データの出力形式の一例としては、印刷、ダウンロードを含むがこれらに限定されない。
【0037】
本発明の会計情報管理装置は、ユーザもしくは所定の第三者が管理する会計管理システムの1つでもよいが、これらの会計管理システムから独立していることが好ましい。本発明における会計情報管理装置は、クラウド上に構築されてもよいし、独立してこれを運用する主体が管理する施設内に設置してもよい。本発明の目的を達成するために、本発明における会計情報管理装置は、ユーザおよび所定の第三者から独立して管理されることが好ましく、そうでありながら、ユーザおよび所定の第三者の会計管理システムとインターネット回線を通じて情報を送受信することができるものである。このような構成を取ることにより、ユーザおよび所定の第三者における会計管理環境が変化した場合にも、これらの会計情報の利便性を高めることができる。
【0038】
また、本発明の会計情報管理装置は、電子帳簿保存法に対応した要件を備えたデータ保存システムとすることが可能である。すなわち、本発明の保存ファイルに記憶さされたユーザの会計情報は、i)記録事項の訂正・削除を行った場合に、これらの事実および内容を確認できる電子計算処理システムを使用し、ii)通常の業務処理期間を経過した後に入力を行った場合には、その事実を確認できる電子計算処理システムを使用し、iii)電子化した帳簿の記録事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認できるように保存され、iv)システム関係書類(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等を)が備え付けられ、v)保存場所に、電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンタおよびこれらの操作マニュアルを備え付け、記録事項を画面および必要に応じて書面に整然とした形式および明瞭な状態で速やかに出力できるように構成されている。
【0039】
さらに、本発明の会計情報管理装置は、ユーザの取引年月日、取引金額、取引先により検索可能であり、日付または金額の範囲指定でも検索可能であり、2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により、検索できるように構成されている。また、本発明の会計情報管理装置は、税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしておことが可能となっている。これらの個別の手段については、当業者の知識の範囲内での改変にて対応可能である。
【0040】
本発明の他の目的において、本発明に係る電子帳簿保存システムは、更に企業会計情報を分析するデータベースにインターネットを通じて通信可能に構築してもよい。このようなデータベースを追加するにあたっては、クライアントの法人情報などをマスキングまたは必要に応じて企業を特定できる情報を削除して、企業動向の分析に活用することができる。このようにして取得した企業情報をデータ解析するための手段も本発明の範囲内である。
【0041】
また、本発明の他の目的において、クライアントは本発明の会計情報管理装置にアクセルすることにより、国税データを、現在使用している会計ソフトに変換して税務会計書類を容易に作成することができる。
【0042】
また、本発明の他の目的において、本発明の会計情報管理装置における保存ファイルにおけるユーザの会計情報は、金融機関における融資の審査、あるいは国の助成金申請やプロジェクトへの応募書類を容易に作成可能となる。
【0043】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0044】
図1を参照して、本実施形態として開示される会計情報管理装置20は、ユーザコンピュータ10、12および会計事務所コンピュータ14および16とインターネット30を介して通信可能に接続されている。本発明において、会計情報管理装置20の運用主体に承認されることにより、ユーザコンピュータもしくは会計事務所コンピュータは適宜追加することができる。ユーザコンピュータ10、12もしくは会計事務所コンピュータ14、16はそれぞれの会計ソフトにおいて、企業会計上の各種帳簿の作成をおこない、インターネット回線を通じて、会計情報管理装置20に個々の会計情報を提供する。会計情報管理装置20の運用主体はユーザまたは所定の第三者を管理するための法人認証基盤(ユーザ情報マスタ)を備え、本装置にアクセス可能な主体を承認、判断することができる。そのため、以下で詳述するように、当該ユーザまたは所定の第三者にて、会計ソフトを変更した場合であっても会計情報管理装置20を利用することで、所望の会計ソフトや管理環境を使用することができる。また、ユーザの会計業務を委託されて行う会計事務所コンピュータ14、16においても、ユーザの使用する会計ソフトの種類に左右されることなく、所望の会計ソフトまたは管理環境で業務を行うことができる。また、ユーザが会計業務を委託する会計事務所を変更した場合であっても、当該会計事務所が
図1に示す会計情報管理装置20に承認される限り、ユーザに特段の負担を有することなく会計業務を遂行することができる。
【0045】
すなわち、本発明における会計情報管理装置20は、個々のユーザまたは会計事務所が、それぞれ異なる会計ソフトを用いて会計の管理をしているような場合であっても、異なる会計ソフトウェアに係る法人の財務、会計の情報から必要な情報を抽出して、クライアントの求めに応じて必要な会計データを自動的に提供することができる。
【0046】
本実施形態における、会計情報管理装置20は、勘定科目の区分、分類に加えて、勘定補助科目も用意される。従前、勘定項目のみでは形式的な区分、分類に終始しており、個別具体的な法人に特有な区分、分類まで十分に拾いだせていない。本発明において、勘定科目と勘定補助科目の二つが組み合わされることにより、当初の勘定科目の情報のみでは把握しきれない詳細な情報についても補助科目の活用により、詳細な区分、分類が可能となる。そのため、本発明においては、これらの情報を活用して共通保存ファイルを構築するため、どのユーザまたは所定の第三者においても網羅的に会計帳簿データを保存することができる。
【0047】
また、電子帳簿保存法により、企業における会計データは所定の要件のもと電子的に作成され所定の期間(7年もしくは10年以上)保管することが義務付けられた。所定の期間を過ぎたデータについては当該法上の保存義務は課せられなくなるものの、廃棄も義務づけられていないため、本実施形態として開示される会計情報管理装置20のような形式にて会計情報を管理することで、同法の遵守が容易になる他、企業もしくは公の知的資産の一部として活用することも容易となる。このような一例として、
図1の18で示す公的機関への申請書類または報告書類への活用がある。
【0048】
図示しないものの、本発明における各種情報を蓄積するサーバも、インターネット回線20に接続される。図示の便宜上、ユーザコンピュータおよび会計事務所コンピュータの端末は2つとした。現実的には、インターネット回線20への接続個数は複数である。本発明におけるユーザとは、株式会社、合同会社、医療法人、農業法人、その他各種の事業体を含むがこれらに限定されない。個人事業主も本発明のユーザの範囲内である。
【0049】
ユーザコンピュータ10、12および会計事務所コンピュータ14、16は、会計情報管理装置20を運用しサービス提供を行う事業者と契約する顧客の法人の情報機器端末である。具体的には、パーソナルコンピュータ(PC)、メインフレーム、スマートフォン、タブレット等の像表可能な電子計算機である。そこで、ユーザコンピュータ14、16は、提携関係がある場合には、会計事務所コンピュータ14、16にアクセスして必要な情報の提供を行うことができる。また、ユーザコンピュータ10、12は、会計情報管理装置20にアクセスすることで、API(Appllication Programing Interface)を介して、会計情報管理装置20に提供することができる。
【0050】
上述するように、本発明における会計情報管理装置20は所定の情報管理手段を備えているため、このような場合には、ユーザコンピュータ10、12において電子帳簿保存法に定める情報管理手段を備えていない場合であっても、ユーザが現状のまま会計ソフトを使用することができる。
【0051】
図1に記載の態様では、本発明の会計情報管理装置20は独立したシステムとして記載しているが、クラウド上に当該装置を実行可能なプログラムを挙げておいて、ユーザコンピュータ10、12および/または会計事務所コンピュータ14、16がアクセス可能に構成してもよい。
【0052】
本発明における主たる目的ではないが、会計情報管理装置20は他のメインフレームに通信可能に結合していてもよい。例えば、
図1の18に示すような、行政当局が運用するメインフレームにおいて、会計情報管理装置20における蓄積された会計データを管理して、運用することもできる。例えば、業種別、期間別、項目別の企業動向データを作成することができる。その一実施態様として、ユーザが金融機関に融資を依頼する場合や、国のプロジェクトに応募する場合に必要となる企業の会計データを、ユーザや会計事務所が提出しなくても、事前に当局と共有することが可能となる。
【0053】
インターネット回線30に接続される会計情報管理装置20は、
図2の概要ブロック図に示されるように、ハードウェア的には、CPU21、ROM22、RAM23、入出力インターフェイス(I/F)24、記憶装置25、通信I/F26、入力装置27、及び表示装置28を備え、これらはバスで接続される。
【0054】
1又は複数のCPU21は、ROM22あるいは記憶装置25に記憶された処理プログラムを読み出し、RAM23をワーキングメモリとして用いて各種処理を実行する。各種処理には、ユーザコンピュータからのユーザ情報およびユーザ会計情報を会計情報管理装置20に規定する、データ形式への変換、データ蓄積時間の計算、タイムスタンプ、リクエストデータの受信及びリクエストデータの処理、出力データテーブルの作成処理などが含まれる。
【0055】
入出力I/F24は、入力装置27や表示装置28と接続され、データを入出力する。
【0056】
記憶装置25は、HDDやSSD等で構成され、各種データを記憶する。記憶装置25は、
図3における保存ファイル記憶部204を構成する。
【0057】
通信I/F27は、通信ネットワーク30を介して、
図1に例示するユーザコンピュータ10、12、会計事務所コンピュータ14、16とデータを送受信する。
【0058】
図1および
図2の各機能は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行することで実現される。このプログラムを格納する記録媒体は、例えば、CD、DVD、半導体メモリ、プログラマブルな理論回路などを用いることができる。また、このプログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワーク、放送等)を介して会計情報管理システム20の記憶装置25に供給されてもよい。
【0059】
次に
図3を参照して、通信部201は、図示しないが、受信部および送信部を有してもよい。受信部は
図1に例示するユーザコンピュータ10、12または会計事務所コンピュータ14、16からの会計情報を受信する。受信部における受信のタイミングは、本発明において特に限定されることを意図しないが、適宜設定することができる。それは、ユーザまたは会計事務所が会計情報管理装置に認証されるときに適宜設定することも可能である。例えば、1日、1週間、1か月、半年等の様々な期間が設定されてもよい。所定期間として1か月が指定された場合には、月次の残高試算表情報が含まれていてもよい。この場合には、本発明における会計情報管理装置を利用して、会計事務所コンピュータは、当該機関の送信部は、後述する応答データ生成部にて生成されたデータをユーザコンピュータ10、12または会計事務所コンピュータ14、16に送信する手段を有する。融資に関する審査を依頼する金融機関等の所定の第三者に個別会計情報を送信してもよい。あるいは、送信部はこのように生成されたデータを、他の連携するサーバに送信するように設定されていてもよい。
【0060】
通信部201は、電子メールを用いてユーザや所定の第三者と通信してもよいし、クラウドを介してユーザや所定の第三者と通信してもよい。
【0061】
会計情報取得部202は、ユーザコンピュータ10、12もしくは会計事務所コンピュータ14、16からの個別の会計ソフトウェアにより作成されたユーザ情報及びユーザにおける複数の会計情報を、会計ソフトウェアの種類に関わりなく取得する。ここにおいて、ユーザ情報は、例えば、法人の会社情報、決算期等を含む情報である。会社基本情報、取引先情報も含んでいてもよい。
【0062】
会社基本情報は、法人の名称、法人番号、住所、代表者、決算期等の法人に関する情報である。取引先情報とは、当該法人の取引先(売掛先、買掛先)の名称、住所当の取引相手に関する情報である。
【0063】
複数の会計情報は、税務上の申告書類である申告書の別表の記載様式(記載項目)に対応して法人の財務、会計の情報を含む。本発明の目的において、それぞれいくつかはマスタとして分類されていてもよい。具体的には、勘定項目マスタ、補助科目マスタ、仕訳伝票、元帳、試算表、固定資産台帳である。
【0064】
勘定項目マスタは、複式簿記における仕訳、財務諸表等に用いる表示金額の内容である。当該勘定科目マスタが勘定項目に相当する。仕訳伝票は、法人の個々の取引を借方、貸方の複式簿記により表現した、伝票とその集合である。元帳は、全てに勘定口座を設けて取引を仕訳帳から転記して各勘定別に記録した帳簿(総勘定元帳)である。試算表は、仕訳帳から元帳の各勘定口座への転記が正確であることを検証する集計表であり、合計試算表、残高試算表、合計残高試算表である。固定資産台帳は、法人が保有する不動産及び動産の固定資産の状況及び固定資産税の課税標準である固定資産の評価(例えば、減価償却の経緯)を明らかする台帳である。
【0065】
なお、実施形態とその説明においては、会計ソフトウェアの中に固定資産管理ソフトウェアを含んでいてもよい。ソフトウェアによっては、会計ソフトウェアと固定資産管理ソフトウェアが分けられる種類もある。この場合には、固定資産管理ソフトウェアに属する固定資産台帳は会計ソフトウェアから分けられ以降の処理が行われる。
【0066】
個々のユーザは、それぞれ独自の会計ソフトウェアを使用して法人情報および法人の会計情報を管理している。(図中の会計ソフトウェア直下の破線囲み参照)。一般的に公知の会計ソフトウェアは、単に経理処理の補助に留まるものであり、そのデータ管理形式は、各種の別表、法人情報とのデータの互換性が低い。本実施形態の会計帳簿保存システム1はAPI(アプリケーションプログラミングインターフェイス)の仕様を実装しているため、本発明の法人会計情報取得部202は、個々の法人においてそれぞれ使用されている会計ソフトウェアが複数種類存在するものとしても、各会計ソフトウェアの種類に関わりなく(個別の会計ソフトウェアの種類に対応して)、当該法人(納税者)の法人情報及び複数の会計情報を取得する。
【0067】
保存ファイル生成部は、ユーザコンピュータ10、12もしくは会計事務所コンピュータ14、16から取得された会計情報を、会計情報管理装置20にて設定されたデータ形式へ変換し保管する。好ましくは、所定の会計帳簿の形式に変換する。具体的には概して以下の流れとなる。
【0068】
a.会計情報管理装置20の会計情報取得部にはユーザである法人(会計データ提供者)の法人の情報、一定期間の法人の会計処理についての情報が集約する。ここでは、会計情報管理装置20のAPIの仕様により個別の情報の集約が実現される。
b.会計情報管理装置20は現在、法人が用いている会計ソフトと接続する。ここで、後述の承認情報、必要となるデータ領域の指定が行われる。
c.会計情報管理装置20は、設定情報の初期化を行う。ここでは、会計データを抽出するための勘定項目、適用の初期値が設定される。
d.会計情報管理装置20は、設定情報の確認と編集を行う。
e.会計情報管理装置20は、中間ファイルへのデータの取り込みを行う。ここでは、設定情報から会計データが抽出される。具体的には、会計年度の合計は、試算表から、取引の単位は元帳から、取引の組合せは仕訳伝票から、取引先情報は取引先マスタから抽出される。
f.会計情報管理装置20は、中間ファイルの確認と編集を行う。ここでは、債権、売掛金の回収不能の事由、株数、計算期間、寄付金の用途についての調製が行われる。
g.会計情報管理装置20は、保存ファイルを作成する。
h.会計情報管理装置20は、保存ファイルの確認と編集を行う。
【0069】
以上のステップにて作成された保存ファイルは、保存ファイル記憶部204にて格納される。保存ファイル記憶部204はいわゆるタイムスタンプ機能を有していてもよく、また、格納された日付を基準とした時計機能を有していてもよい。また、記憶部において所定の期間保存されたデータにアラートを付すことも可能である。このような機能を備えることにより、本発明の会計情報管理装置にて保存される会計情報データは、ユーザにおいて保存期間が明瞭になり、特に長期間の保管された会計情報を効率よく管理することができる。
【0070】
つぎに、応答データ生成部205について説明する。本発明の会計情報管理装置において、保存ファイルとして記憶された会計情報は、ユーザコンピュータ10、12または会計事務所コンピュータ14、16からの求めに応じて、これらから要求された会計情報を抽出して構成し、所定のデータ形式で出力することができる。
【0071】
抽出については、クライアントの要求に応じて、法人情報及び会計情報から抽出する。そして、個別の会計ソフトウェアに対応した記載様式情報を生成する。当該抽出により、クライアントのリクエストに応じた対象項目が具体的に、クライアントシステムにおいて認識される。例えば、クライアントリクエストの主体が法人であり、金融機関の融資を受ける場合、直近の残高試算表および過去3期分の決算書を、クライアント端末にある会計ソフトに対応した形式で出力可能なように送信する。
【0072】
次に、
図4を参照して、本発明の会計情報管理装置の他の態様を説明する。
図4において、会計情管理装置は、ユーザコンピュータ10および当該ユーザの会計業務の一部または全部を請負っている会計事務所コンピュータと通信可能に接続されている。例えば、ユーザコンピュータ10は会計事務所コンピュータ14のほかにバックアップとして、会計情報管理装置20にも会計情報を提供することで、ユーザコンピュータ10のユーザが会計事務所を
図4で示す16の会計事務所に切り替えた場合に、会計情報管理装置20から会計情報を会計事務所コンピュータ16に提供することにより、当該ユーザにおける会計業務は滞りなく引き継ぐことができる。
【0073】
次に、
図5を参照して、本発明における会計情報管理装置の具体的なアウトプットを説明する。
図5における会計システムは、
図1におけるユーザコンピュータ10、12または会計事務所コンピュータ14,16に相当する。
図5の会計システムにおいて、会計データべ―ス(DB)に格納されている会計帳簿データは、CSV等としてデータを連携することができ、会計システムが通常行っている会計処理業務のアウトプットを同様に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明により、ユーザや会計事務所がそれぞれ使用している会計ソフトに関係なく、一定のポータビリティーを持たせた会計情報データベースを構築することが可能となった。このようなデータベースを構築することは、長期間一定条件のもと会計帳簿データを保管するために有利であり、蓄積したデータを分析することで有効活用することも可能となる。
【符号の説明】
【0075】
10、12 ユーザコンピュータ
14、16 会計事務所コンピュータ
18 当局コンピュータ
20 会計情報管理装置
201 通信部
202 会計情報取得部
203 保存ファイル生成部
204 保存ファイル記憶部
205 応答データ生成部
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 入出力インターフェイス
25 記憶装置
26 通信インターフェイス
27 入力装置
28 表示装置
30 インターネット