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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131283
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】タンクローリ
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/22 20060101AFI20240920BHJP
   F17C 9/00 20060101ALI20240920BHJP
   B65D 88/12 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B60P3/22 Z
F17C9/00 A
B65D88/12 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041459
(22)【出願日】2023-03-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年9月5日に株式会社ニヤクコーポレーション 日立事業所へ納入
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】笠 直亮
【テーマコード(参考)】
3E170
3E172
【Fターム(参考)】
3E170AA07
3E170AB29
3E170EA06
3E170SA02
3E170VA20
3E170WF10
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172BA06
3E172BB05
3E172BD04
3E172CA25
3E172DA90
3E172EA03
3E172EB03
3E172EB20
3E172GA14
3E172KA03
(57)【要約】
【課題】左右両側の加圧蒸発器を連結する配管に引張荷重や曲げ荷重などが生じ難いタンクローリを提供すること。
【解決手段】ブラケット30,40,50の左右一対の側部フレーム31,41,51は、シャシフレーム13にそれぞれ固定されて下方へ延びる。その側部フレーム31,41,51の下端部から左右方向外側へそれぞれ延びた左右一対の下部フレーム32,42,52に加圧蒸発器20の下面が固定される。左右一対の下部フレーム32,42,52同士が補強フレーム33,43,53で連結されるので、下部フレーム32,42,52に下支えされた加圧蒸発器20の上下の振動を低減しつつ、その振動を左右両側で同期させ易くできる。その結果、左右両側の加圧蒸発器20を連結する送出管17に引張荷重や曲げ荷重などを生じさせ難くできる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車輪により支持されるシャシフレームと、
そのシャシフレーム上に固定されるサブフレームと、
そのサブフレーム上に固定されるタンクと、
前記シャシフレームの左右方向の外側にそれぞれ配置されて互いに配管で連結された左右一対の加圧蒸発器と、
左右一対の前記加圧蒸発器をそれぞれ支持するブラケットと、を備え、
そのブラケットは、前記シャシフレーム又は前記サブフレームにそれぞれ固定されて下方へ延びる左右一対の側部フレームと、
その側部フレームの下端部から左右方向外側へそれぞれ延びて前記加圧蒸発器の下面が固定される左右一対の下部フレームと、
左右一対の前記下部フレーム同士を連結する補強フレームと、を備えることを特徴とするタンクローリ。
【請求項2】
前記シャシフレームは、前記シャシフレームの左右の端面をそれぞれ構成する左右一対のサイドメンバを備え、
前記ブラケットは、左右一対の前記サイドメンバからそれぞれ左右方向の内側かつ下方へ延びて前記補強フレームに連結される左右一対の筋交を備えることを特徴とする請求項1記載のタンクローリ。
【請求項3】
前記ブラケットは、前記加圧蒸発器の前後方向の複数か所を支持するように複数設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のタンクローリ。
【請求項4】
前記ブラケットは、前後方向に離れて3つ以上設けられ、
前後両側の前記ブラケットの前記下部フレーム及び前記補強フレームよりも、前後中央側の前記ブラケットの前記下部フレーム及び前記補強フレームが高剛性であることを特徴とする請求項3記載のタンクローリ。
【請求項5】
前記側部フレームの左右方向外側の面には、前記加圧蒸発器が固定されることを特徴とする請求項1記載のタンクローリ。
【請求項6】
前記ブラケットは、前記加圧蒸発器の前後方向の複数か所を支持するように複数設けられ、
前記加圧蒸発器は、複数の前記ブラケットが固定される枠体と、
その枠体内に取り付けられて互いに前後方向に離れた複数の支持部材と、
その支持部材に支持されて前記タンクから送り込まれた液化ガスを気化させるための蛇行管と、を備え、
前記シャシフレームは、前記シャシフレームの左右の端面をそれぞれ構成する左右一対のサイドメンバを備え、
前記タンクローリは、前記サイドメンバよりも下方に配置されて左右方向に延びるバンパーを有し、最も後方の前記支持部材と左右方向に重なる位置で前記サイドメンバの左右方向の外側に取り付けられる突入防止装置を備え、
最も後方の前記ブラケットの前記側部フレームは、前記サイドメンバと前記加圧蒸発器との間に配置されて、前記突入防止装置が取り付けられる位置よりも前方の前記サイドメンバ又は前記サブフレームに固定され、その固定位置から後方へ延ばした部分に前記加圧蒸発器が固定されることを特徴とする請求項5記載のタンクローリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクローリに関し、特に左右両側の加圧蒸発器を連結する配管に引張荷重や曲げ荷重などが生じ難いタンクローリに関する。
【背景技術】
【0002】
タンク内の液化ガスを加圧蒸発器に送出し、その液化ガスを蒸発気化させたガスの圧力を利用してタンク内の液化ガスを外部に払い出す技術が知られている。例えば特許文献1には、車体フレーム(シャシフレーム)の左右両側にそれぞれ加圧蒸発器の側面を固定する技術が記載されている。この左右両側の加圧蒸発器は、タンクに連結される配管で互いに連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-193690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、車両走行時の振動などに伴う加圧蒸発器の振動が左右両側で一致しないと、その左右両側の加圧蒸発器を連結する配管に引張荷重や曲げ荷重などが生じ、場合によってはその配管が曲がってしまうという問題点がある。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、左右両側の加圧蒸発器を連結する配管に引張荷重や曲げ荷重などが生じ難いタンクローリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明のタンクローリは、複数の車輪により支持されるシャシフレームと、そのシャシフレーム上に固定されるサブフレームと、そのサブフレーム上に固定されるタンクと、前記シャシフレームの左右方向の外側にそれぞれ配置されて互いに配管で連結された左右一対の加圧蒸発器と、左右一対の前記加圧蒸発器をそれぞれ支持するブラケットと、を備え、そのブラケットは、前記シャシフレーム又は前記サブフレームにそれぞれ固定されて下方へ延びる左右一対の側部フレームと、その側部フレームの下端部から左右方向外側へそれぞれ延びて前記加圧蒸発器の下面が固定される左右一対の下部フレームと、左右一対の前記下部フレーム同士を連結する補強フレームと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載のタンクローリによれば、ブラケットの左右一対の側部フレームは、シャシフレーム又はサブフレームにそれぞれ固定されて下方へ延びる。その側部フレームの下端部から左右方向外側へそれぞれ延びた左右一対の下部フレームに加圧蒸発器の下面が固定される。左右一対の下部フレーム同士が補強フレームで連結されるので、下部フレームに下支えされた加圧蒸発器の上下の振動を低減しつつ、その振動を左右両側で同期させ易くできる。その結果、左右両側の加圧蒸発器を連結する配管に引張荷重や曲げ荷重などを生じさせ難くできる。
【0008】
請求項2記載のタンクローリによれば、請求項1記載のタンクローリの奏する効果に加え、次の効果を奏する。シャシフレームは、シャシフレームの左右の端面をそれぞれ構成する左右一対のサイドメンバを備える。ブラケットは、左右一対のサイドメンバからそれぞれ左右方向の内側かつ下方へ延びて補強フレームに連結される左右一対の筋交を備える。左右両側の加圧蒸発器の振動によって補強フレームの中央部を上下に曲げようとする荷重が生じるが、その荷重に対する補強フレームの剛性を筋交で向上できる。この補強フレーム及び筋交によって、加圧蒸発器の上下の振動をより低減しつつ、その振動を左右両側でより同期させ易くできるため、加圧蒸発器を連結する配管に引張荷重や曲げ荷重などをより生じさせ難くできる。
【0009】
請求項3記載のタンクローリによれば、請求項1又は2に記載のタンクローリの奏する効果に加え、次の効果を奏する。ブラケットは、加圧蒸発器の前後方向の複数か所を支持するように複数設けられる。この複数のブラケットによって、加圧蒸発器が前後に傾くような振動を低減しつつ、その振動の位相を左右でずれ難くできる。その結果、左右両側の加圧蒸発器を連結する配管にねじり荷重を生じさせ難くできる。
【0010】
請求項4記載のタンクローリによれば、請求項3記載のタンクローリの奏する効果に加え、次の効果を奏する。ブラケットは、前後方向に離れて3つ以上設けられる。前後両側のブラケットの下部フレーム及び補強フレームに対し、前後中央側のブラケットの下部フレーム及び補強フレームには、加圧蒸発器から大きな荷重が加わり易い。その大きな荷重が加わり易い前後中央側の下部フレーム及び補強フレームを、前後両側の各フレームに対し高剛性とすることで、加圧蒸発器の上下方向の振動をより低減できる。その結果、左右両側の加圧蒸発器を連結する配管に引張荷重や曲げ荷重などを更に生じさせ難くできる。
【0011】
請求項5記載のタンクローリによれば、請求項1記載のタンクローリの奏する効果に加え、次の効果を奏する。側部フレームの左右方向外側の面には、加圧蒸発器が固定される。これにより、側部フレームと下部フレームとの角度が変化するような加圧蒸発器の振動を低減できる。よって、左右両側の加圧蒸発器を連結する配管に引張荷重や曲げ荷重などを更に生じさせ難くできる。
【0012】
請求項6記載のタンクローリによれば、請求項5記載のタンクローリの奏する効果に加え、次の効果を奏する。ブラケットは、加圧蒸発器の前後方向の複数か所を支持するように複数設けられる。シャシフレームの左右の端面がそれぞれ左右一対のサイドメンバにより構成される。また、タンクローリは、サイドメンバよりも下方に配置されて左右方向に延びるバンパーを有する突入防止装置を備える。これにより、タンクローリの後方に別の車両が追突した場合、その車両が、突入防止装置のバンパーに当たり、タンクローリの下に潜り込むことを抑制できる。
【0013】
加圧蒸発器は、複数のブラケットが固定される枠体と、その枠体内に取り付けられて互いに前後方向に離れた複数の支持部材と、その支持部材に支持されてタンクから送り込まれた液化ガスを気化させるための蛇行管と、を備える。最も後方の支持部材と左右方向に重なる位置で、サイドメンバの左右方向の外側に突入防止装置が取り付けられている。この突入防止装置と干渉しないように、最も後方のブラケットの側部フレームが、サイドメンバと加圧蒸発器との間に配置されつつ、突入防止装置が取り付けられる位置よりも前方のサイドメンバ又はサブフレームに固定される。その固定位置から側部フレームを後方へ延ばした部分に加圧蒸発器が固定されるので、加圧蒸発器の支持部材と、最も後方のブラケットとの前後方向のずれにより枠体に加わるせん断荷重を低減できる。よって、突入防止装置の近傍に設けた加圧蒸発器の耐久性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態におけるタンクローリの側面図である。
図2】タンクローリの部分拡大平面図である。
図3】サイドメンバ及びブラケットの部分拡大斜視図である。
図4図2のIV-IV線におけるタンクローリの部分拡大断面図である。
図5図2のV-V線におけるタンクローリの部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず図1を参照して、タンクローリ10の全体構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態におけるタンクローリ10の側面図である。なお、各図面の矢印U、矢印D、矢印L、矢印R、矢印F、矢印Bは、それぞれタンクローリ10の上方向、下方向、左方向、右方向、前方向、後方向を示している。
【0016】
図1に示す通り、タンクローリ10は、複数の車輪12を備え、液化ガス(例えば、LNG)を運搬する車両として構成される。複数の車輪12には、車体の骨格を形成するシャシフレーム13が支持される。
【0017】
シャシフレーム13は、車体の前後方向(図1の左右方向)に延びる左右一対のサイドメンバ13aと、一対のサイドメンバ13aを前後方向の複数か所で連結するクロスメンバ(図示せず)と、一対のサイドメンバ13aの後端に架け渡されるリヤバンパ13bと、を備える。一対のサイドメンバ13aは、互いに(左右方向の内側に)向かって開口する断面コ字状に形成され、シャシフレーム13の左右の端面をそれぞれ構成する。
【0018】
シャシフレーム13の後端部には、突入防止装置60が取り付けられる。突入防止装置60は、シャシフレーム13の下方に配置されて左右方向に延びるバンパー61と、そのバンパー61を一対のサイドメンバ13aに取り付けるための左右一対の固定フレーム62と、を備える。この突入防止装置60によれば、タンクローリ10の後方に別の車両が追突した場合、その車両が、バンパー61に当たり、タンクローリ10の下に潜り込むことを抑制できる。
【0019】
シャシフレーム13の前端部には運転席として構成されるキャブ14が配置される。キャブ14の後方側に位置するシャシフレーム13上には、左右一対のサブフレーム15を介してタンク16が支持(架装)される。タンク16がシャシフレーム13に支持される前(架装前)の状態においては、タンク16にサブフレーム15が溶接等により固定されている。図示しない固定具または溶接によってサブフレーム15をシャシフレーム13に固定することにより、シャシフレーム13にタンク16が架装される。
【0020】
タンク16は、液化ガスを積載するための円筒状のタンクである。タンク16の後面には送出管17が接続されており、この送出管17を介してタンク16に加圧蒸発器20が接続される。また、タンク16の後端部が箱状の機器室19によって覆われ、この機器室19を通って返送管18がタンク16に接続されている。機器室19の内部には、液化ガスの荷役作業時に操作される操作装置や計器類(いずれも図示せず)が設けられる。
【0021】
加圧蒸発器20は、送出管17を通してタンク16から送出される液化ガスを蒸発気化させ、その蒸発気化後のガスを返送管18を通してタンク16に返送し、タンク16内を加圧するための装置である。
【0022】
次に、図1及び図2を参照し、加圧蒸発器20について説明する。図2は、タンク16及びサブフレーム15を省略した状態におけるタンクローリ10の後方側の部分拡大平面図である。加圧蒸発器20は、一対のサイドメンバ13aに対し左右方向の外側にそれぞれ配置され、左右対称に設けられる。左右一対の加圧蒸発器20は、シャシフレーム13に固定された複数のブラケット30,40,50に支持される。このブラケット30,40,50も左右対称に形成される。
【0023】
加圧蒸発器20は、加圧蒸発器20の外郭を構成する直方体状の枠体21と、その枠体21内に収納される配管と、を主に備える。その配管には、入口ヘッダ22、蛇行管23及び出口ヘッダ24が含まれる。
【0024】
枠体21は、上下左右前後全ての面にそれぞれ内外を連通する開口部が形成されている。この開口部を通して枠体21の内外の外気が交換される。また、枠体21の上下両面は、それぞれ前側半分に対して後側半分が段差状に凹んでいる。この枠体21の上面の凹みは、加圧蒸発器20と機器室19との干渉を防止するためのものである。
【0025】
枠体21の下面の凹みは、タンクローリ10のデパーチャアングルを確保するためのものである。デパーチャアングルとは、側面視において、最も後方の車輪12の接地面からタンクローリ10の後下端(本実施形態ではバンパー61の下端)までの接線と平坦な路面との角度である。枠体21の下面の凹みによって、最後方の車輪12の接地面とバンパー61との接線よりも上方に加圧蒸発器20を収容でき、加圧蒸発器20によってデパーチャアングルが小さくなることを防止できる。
【0026】
なお、加圧蒸発器20をブラケットで吊り下げ支持する場合には、そのブラケットを、サイドメンバ13aやサブフレーム15から左右方向に張り出させる必要がある。そうすると、サイドメンバ13aの路面からの高さが低い車両では、加圧蒸発器20の下面が路面に近づき過ぎてデパーチャアングルを確保し難くなる。
【0027】
これに対し本実施形態では、詳しくは後述するが、加圧蒸発器20がブラケット30,40,50に下支えされる。これにより、サイドメンバ13aに対して、加圧蒸発器20の下面やブラケット30,40,50の下端の位置を比較的自由に設定できる。その結果、サイドメンバ13aの路面からの高さが低い車両であっても、デパーチャアングルを確保し易くできる。
【0028】
入口ヘッダ22は、枠体21の前後方向中央の下側に配置され、左右方向に延びる配管である。入口ヘッダ22の左右方向内側(車幅中心側)の端部には、継手22aを介して送出管17が接続される。よって、タンク16内の液化ガスは、この入口ヘッダ22を介して加圧蒸発器20に導入される。
【0029】
入口ヘッダ22には、左右に並ぶ複数の蛇行管23の一端が接続される。蛇行管23は、液化ガスを蒸発気化させるための配管であり、前後方向に延びて上下に並ぶ複数の直管と、その直管の端部同士を接続するU字管とから構成される。1本の蛇行管23は、加圧蒸発器20の下端側(一端側)から上端側(他端側)にかけて複数回蛇行を繰り返すようにして設けられる。
【0030】
複数の蛇行管23の各々の他端は、出口ヘッダ24に接続される。出口ヘッダ24は、枠体21の前後方向中央の上側に配置され、左右方向に延びる配管である。出口ヘッダ24の左右方向の中央部には、継手24aを介して返送管18の一端が接続される。
【0031】
このように構成された加圧蒸発器20においては、入口ヘッダ22から導入された液化ガスが蛇行管23を流れる際に外気との熱交換によって気化され、その気化したガスが出口ヘッダ24及び返送管18を介してタンク16に返送される。この液化ガスの蛇行管23への流入、及びその流入の停止に伴い、上記熱交換により蛇行管23が熱変形して前後方向に伸縮することがある。よって、その伸縮を許容するために、以下の通り蛇行管23の直管が複数の支持部材25に摺動可能な状態で支持されている。
【0032】
支持部材25は、左右方向に延びる板状体である。支持部材25の左右の両端が枠体21に固定される。支持部材25には、貫通孔(図示せず)が左右方向に複数並べて形成されており、それら複数の貫通孔の各々に蛇行管23の直管が摺動可能に挿入される。これにより、蛇行管23の伸縮が許容された状態で支持部材25に蛇行管23が支持される。
【0033】
支持部材25は、上下方向に複数並べて設けられ、それら複数の支持部材25は、連結棒(図示せず)によって互いに連結される。この連結棒で連結された1組の支持部材25が、枠体21の前端部、前後方向の中央部、後端部のそれぞれに配置されている。
【0034】
次に、図2から図4を参照して、加圧蒸発器20を支持するブラケット30,40,50について説明する。図3は、サイドメンバ13aの後側の一部およびブラケット30,40,50の部分拡大斜視図である。図4は、図2のIV-IV線におけるタンクローリ10の部分拡大断面図である。図3,4には、左側のサイドメンバ13aと、ブラケット30,40,50の左半分とが図示されている。図4では、加圧蒸発器20の断面において枠体21の内部の図示が省略され、サブフレーム15やタンク16の図示が省略されている。
【0035】
図2から図4に示す通り、ブラケット30は、左右一対の加圧蒸発器20の前端部であって最も前方の支持部材25の近傍を支持する部材である。ここで言う近傍とは、ブラケット30と支持部材25とが上下方向または左右方向に重なるか、それらの前後方向の距離がブラケット30の前後方向の寸法以下であることとする。この関係はブラケット40,50でも同様である。加圧蒸発器20の前側で、ブラケット30が支持部材25の近傍を支持することにより、支持部材25とブラケット30とが前後方向に離れることに起因して、枠体21にせん断荷重が付与されることを抑制できる。よって、加圧蒸発器20の耐久性を確保できる。
【0036】
ブラケット30は、左右一対の側部フレーム31と、左右一対の下部フレーム32と、補強フレーム33と、左右一対の筋交34と、を備える。一対の側部フレーム31は、一対のサイドメンバ13aの左右方向外側と、一対の加圧蒸発器20の左右方向内側との間にそれぞれ配置される部位である。側部フレーム31は、サイドメンバ13aに対し上下両側へ延びる。
【0037】
側部フレーム31は、左右方向内側(サイドメンバ13a側)の内側面部と、左右方向外側(加圧蒸発器20側)の外側面部と、内側面部および外側面部を連結する連結面部とによって、上下方向に垂直な断面が後方側に開口したコ字状に形成される。側部フレーム31を補強するために、側部フレーム31には、上下方向に垂直な平板状の補強板31aが溶接などにより接合される。補強板31aは、3枚が互いに上下方向に離隔して設けられる。
【0038】
側部フレーム31の内側面部は、サイドメンバ13aのうち左右方向外側の側面部に重ねられる。その互いに重ねられた内側面部およびサイドメンバ13aそれぞれに3つの貫通孔が上下に並んで形成され、その貫通孔にそれぞれ挿入した3本のボルト71と3個のナット72とによって、側部フレーム31がサイドメンバ13aに固定される。
【0039】
側部フレーム31の外側面部には、4つの貫通孔31bが上下に並んで形成される。その外側面部に加圧蒸発器20の枠体21の左右方向内側が重ねられ、枠体21には、貫通孔31bと連通する位置にボルト孔がそれぞれ設けられる。そのボルト孔および貫通孔31bにそれぞれ挿入した4本のボルト71と4個のナット72とによって、加圧蒸発器20が側部フレーム31に固定される。
【0040】
また、側部フレーム31における3枚のうち2枚の補強板31aが、サイドメンバ13aと左右方向に重なる位置にある。これにより、サイドメンバ13aと加圧蒸発器20との間で側部フレーム31に加わる左右方向の荷重に対し、側部フレーム31の強度を確保できる。
【0041】
側部フレーム31の内側面部の上端がサイドメンバ13aの上面と略同等の高さに設けられる一方、側部フレーム31の外側面部の上端が加圧蒸発器20の上面と略同等の高さに設けられる。側部フレーム31の連結面部の上端は、サブフレーム15やタンク16との干渉を避けつつ、内側面部と外側面部との上端の高さの差を吸収するために、サイドメンバ13aへ向かって下降傾斜する。
【0042】
一対の下部フレーム32は、一対の側部フレーム31の下端部から左右方向外側へ略直交するように延びる部位であり、側部フレーム31に溶接などにより接合される。一対の下部フレーム32は、それぞれ一対の加圧蒸発器20を下方から支持する。下部フレーム32は、左右方向に垂直な断面が後方側に開口したコ字状に形成される。
【0043】
下部フレーム32を補強するために、下部フレーム32には、左右方向に垂直な平板状の3枚の補強板32aが溶接などにより接合される。1枚の補強板32aが、下部フレーム32の左右方向外側の端部に配置される。2枚の補強板32aが、側部フレーム31の内側面部および外側面部の延長線上に配置される。これにより、側部フレーム31と下部フレーム32との接合部分の強度を確保できる。
【0044】
下部フレーム32の上面部の左右両端側にそれぞれ貫通孔32bが形成される。その上面部に加圧蒸発器20の枠体21の下面が重ねられ、枠体21には、貫通孔32bと連通する位置にボルト孔がそれぞれ設けられる。そのボルト孔および貫通孔32bにそれぞれ挿入した2本のボルト71と2個のナット72とによって、加圧蒸発器20の下面が下部フレーム32に固定される。
【0045】
補強フレーム33は、一対の下部フレーム32同士を連結する部位である。補強フレーム33は、下部フレーム32を左右方向内側に延長したコ字状の部位であり、一対の下部フレーム32と一体成形されている。また、下部フレーム32と同様に、補強フレーム33には、左右方向に垂直な平板状の2枚の補強板33aが溶接などにより接合される。
【0046】
一対の筋交34は、一対のサイドメンバ13aからそれぞれ左右方向の内側かつ下方へ延びて補強フレーム33に連結される部位である。筋交34は、自身の長手方向に垂直な断面が、互いに垂直な前面部と上面部とによってL字状に形成される。
【0047】
筋交34の上端には、サイドメンバ13aの側面部に重ねられる平板状の接続面部34aが溶接などにより接合される。この接続面部34aに設けた2つの貫通孔に、側部フレーム31をサイドメンバ13aに固定するための3本のボルト71のうち2本が挿入され、そのボルト71にナット72が取り付けられる。これにより、側部フレーム31と接続面部34aとでサイドメンバ13aを挟みつつ、ボルト71及びナット72によって、側部フレーム31と共に筋交34が、サイドメンバ13aに固定される。
【0048】
筋交34の下端は、補強フレーム33に溶接などにより接合される。この接合部分に補強フレーム33の補強板33aが配置されるので、補強フレーム33と筋交34との接合部分の強度を確保できる。
【0049】
側部フレーム31、下部フレーム32、補強フレーム33及び筋交34が互いに一体化され、サイドメンバ13aの側面部が側部フレーム31及び筋交34で左右両側から挟まれている。そのため、側部フレーム31及び筋交34とサイドメンバ13aとの固定が解除されたとしても、サイドメンバ13aの下面部にブラケット30が引っ掛かり、ブラケット30がサイドメンバ13aから脱落することを抑制できる。
【0050】
ブラケット30をサイドメンバ13aに取り付けるには、まず、サイドメンバ13aからリヤバンパ13bを外した状態で、ブラケット30をサイドメンバ13aの後端から挿入する。次いで、ブラケット30を所定の位置までスライドさせた後、ボルト71及びナット72によってブラケット30をサイドメンバ13aに固定する。最後にリヤバンパ13bをサイドメンバ13aに固定する。なお、例えば筋交34を着脱可能にし、リヤバンパ13bをサイドメンバ13aに固定した状態で、ブラケット30をサイドメンバ13aに固定できるようにしても良い。
【0051】
ブラケット40は、左右一対の加圧蒸発器20の前後方向の中央部を支持する部材であって前後方向中央の支持部材25の近傍を支持する部材である。これにより、加圧蒸発器20の中央部で、支持部材25とブラケット40とが前後方向に離れることに起因して、枠体21にせん断荷重が付与されることを抑制できる。よって、加圧蒸発器20の耐久性を確保できる。
【0052】
ブラケット40は、左右一対の側部フレーム41と、左右一対の下部フレーム42と、補強フレーム43と、左右一対の筋交44と、を備える。なお、ブラケット40の各部は、ブラケット30の各部と略同一に構成されているので、以下、ブラケット40の説明では、ブラケット30と共通する部分の説明を一部省略する。
【0053】
側部フレーム41は、側部フレーム31と同様に、複数のボルト71及びナット72によってサイドメンバ13a及び加圧蒸発器20にそれぞれ固定され、それらを連結する。側部フレーム41は、上下方向に垂直な断面が前方側に開口したコ字状に形成される。補強板31aと略同一な3枚の補強板41aによって、側部フレーム41が補強される。
【0054】
側部フレーム41は、側部フレーム31に対して、左右方向内側の内側面部および左右方向外側の外側面部の幅(前後方向寸法)が大きく形成されている。即ち、側部フレーム31よりも側部フレーム41が高剛性である。なお、側部フレーム41の外側面部の前側に貫通孔41bが形成されているので、前側に開口した側部フレーム41の内側からボルト71を貫通孔41bに挿入し易くできる。
【0055】
下部フレーム42は、下部フレーム32と同様に、側部フレーム41の下端部から左右方向外側へ略垂直に延び、加圧蒸発器20を下方から支持する。下部フレーム42は、左右方向に垂直な断面が矩形状に形成され、左右方向外側の端部が塞がれている。即ち、下部フレーム32よりも下部フレーム42が高剛性である。
【0056】
下部フレーム42の左右両端側には、取付部材42aがそれぞれ取り付けられる。取付部材42aは、下部フレーム42の前面部に重ねて接合される後面板部と、下部フレーム42の上面部の一部を前方へ延長するように設けられる上面板部と、を備える断面略L字状の部材である。取付部材42aの上面板部に貫通孔42bが形成される。
【0057】
取付部材42aの上面板部に加圧蒸発器20の枠体21の下面が重ねられ、枠体21には、貫通孔42bと連通する位置にボルト孔がそれぞれ設けられる。そのボルト孔および貫通孔42bに挿入したボルト71とナット72とによって、加圧蒸発器20の下面が下部フレーム42に固定される。
【0058】
補強フレーム43は、補強フレーム33と同様に、一対の下部フレーム42同士を連結する。補強フレーム43は、下部フレーム42を左右方向内側に延長した断面矩形状の部位であり、一対の下部フレーム42と一体成形されている。よって、補強フレーム33よりも補強フレーム43が高剛性である。
【0059】
筋交44は、サイドメンバ13aと補強フレーム43とを斜めに連結する部位である。筋交44は、筋交34に対し前後を反転した以外は、筋交34と同一に構成されている。
【0060】
ブラケット50は、左右一対の加圧蒸発器20の後端部を支持する部材である。ブラケット50は、左右一対の側部フレーム51と、左右一対の下部フレーム52と、補強フレーム53と、左右一対の筋交54と、を備える。なお、ブラケット50の各部は、ブラケット30の各部と略同一に構成されているので、以下、ブラケット50の説明では、ブラケット30と共通する部分の説明を一部省略する。
【0061】
側部フレーム51は、側部フレーム31と同様に、複数のボルト71及びナット72によってサイドメンバ13a及び加圧蒸発器20にそれぞれ固定され、それらを連結する。側部フレーム51は、上下方向に垂直な断面が前方側に開口したコ字状に形成される。補強板31aと略同一な2枚の補強板51aによって、側部フレーム51が補強される。
【0062】
側部フレーム51は、最も後方の支持部材25に近い位置で、突入防止装置60よりも前方のサイドメンバ13aに固定され、突入防止装置60と干渉しないように配置されている。これは、最も後方の支持部材25と左右方向に重なる位置で、サイドメンバ13aの左右方向の外側に突入防止装置60の固定フレーム62が取り付けられているからである。
【0063】
側部フレーム51は、最も後方の支持部材25に近い位置で加圧蒸発器20に側部フレーム51を固定するための延長部55を備える。延長部55は、側部フレーム51のコ字状部分の後面部に接合され、コ字状部分の左右方向外側の外側面部を上下方向に亘って後方へ延長する。延長部55は、突入防止装置60の固定フレーム62の一部と左右方向に重なり、後縁が最も後方の支持部材25まで延びる。
【0064】
側部フレーム51のコ字状部分の外側面部(加圧蒸発器20が接触する面)の上下両端側に2つの貫通孔57と、延長部55の上縁、下縁および後縁に5つの貫通孔58とが形成される。その外側面部および延長部55に加圧蒸発器20の枠体21の左右方向内側が重ねられ、枠体21には、貫通孔57,58と連通する位置にボルト孔がそれぞれ設けられる。これらのボルト孔および貫通孔57,58に挿入されたボルト71とナット72とによって、側部フレーム51に加圧蒸発器20の枠体21が固定される。
【0065】
このように、突入防止装置60と干渉しない位置でサイドメンバ13aに最も後方のブラケット50を固定しつつも、その固定位置から側部フレーム51を後方へ延ばした延長部55に、加圧蒸発器20の最も後方の支持部材25の近傍を固定できる。その結果、加圧蒸発器20の後側で、支持部材25とブラケット50との前後方向のずれにより枠体21に加わるせん断荷重を低減できる。よって、突入防止装置60の近傍に設けた加圧蒸発器20の耐久性を確保できる。
【0066】
下部フレーム52は、側部フレーム51のコ字状部分の下端部から左右方向外側へ略垂直に延び、加圧蒸発器20を下方から支持する部位である。補強フレーム53は、一対の下部フレーム52同士を連結する。筋交54は、サイドメンバ13aと補強フレーム53とを斜めに連結する部位である。
【0067】
これらの下部フレーム52、補強フレーム53及び筋交54は、それぞれ下部フレーム32、補強フレーム33及び筋交34に対し前後を反転した以外は、各々と同一に構成されている。下部フレーム52の補強板52a及び貫通孔52bが、下部フレーム32の補強板32a及び貫通孔32bに対応する。また、補強板33aに対応する補強板が補強フレーム53に設けられている。
【0068】
なお、下部フレーム52は、加圧蒸発器20を下方から支持するものであるので、下部フレーム52には側部フレーム51と比べて大きな荷重が付与され易い。そのため、下部フレーム52を側部フレーム51のように後方へ延長すると、ブラケット50が大型化し、デパーチャアングルが小さくなることがある。よって、下部フレーム52を後方へ延長せずに、側部フレーム51を後方へ延長することで、デパーチャアングルを確保しつつブラケット50の構造を簡素化でき、更に加圧蒸発器20の耐久性を確保できる。
【0069】
次に、図2等に加えて図5を参照して、ブラケット30,40,50の各部の効果について説明する。図5は、図2のV-V線におけるタンクローリ10の部分拡大断面図である。図5では、加圧蒸発器20の断面において枠体21の内部の図示が省略されている。
【0070】
図5に示す通り、左右一対の加圧蒸発器20は、送出管17によって互いに連結されている。具体的に送出管17は、タンク16の後面の左右方向中央に接続される第1配管17aを備える。第1配管17aは、タンク16から下方へ延びる。第1配管17aの下端には、T字状の継手17bを介して左右に分岐する一対の第2配管17cが接続される。
【0071】
左右一対の第2配管17cは、互いに左右対称に構成される。第2配管17cは、サイドメンバ13aよりも下方であって下部フレーム32,42及び補強フレーム33,43よりも上方に位置する。第2配管17cの左右方向外側の端部が、それぞれ継手22aを介して加圧蒸発器20の入口ヘッダ22に接続される。
【0072】
このように、左右一対の加圧蒸発器20が、タンク16に連結される送出管17によって互いに連結されている場合、車両走行時の振動などに伴う加圧蒸発器20の上下の振動が左右両側で一致しないと、送出管17に引張荷重や曲げ荷重などが生じ、場合によっては送出管17が曲がってしまうおそれがある。これに対し、ブラケット30,40,50は、加圧蒸発器20の振動を左右両側で一致させ易くするためのものである。
【0073】
ブラケット30,40,50では、左右一対の加圧蒸発器20の下面にそれぞれ固定される左右一対の下部フレーム32,42,52同士が、補強フレーム33,43,53で連結されている。これにより、補強フレーム33,43,53が無い場合と比べて下部フレーム32,42,52自体が変形や変位し難くなると共に、下部フレーム32,42,52の変形や変位が左右両側で同期し易くなる。その結果、下部フレーム32,42,52に下支えされた加圧蒸発器20の上下の振動を低減しつつ、その振動を左右両側で同期させ易くできる。よって、左右両側の加圧蒸発器20を連結する送出管17に引張荷重や曲げ荷重などを生じさせ難くできる。
【0074】
加圧蒸発器20が上下に振動する場合、下部フレーム32,42,52の下端部を支点に、側部フレーム31,41,51及び補強フレーム33,43,53が揺動しようとする。これにより、補強フレーム33,43,53の左右方向の中央部を上下に曲げようとする荷重が生じる。
【0075】
しかし本実施形態では、補強フレーム33,43,53とサイドメンバ13aとが筋交34,44,54によって斜めに連結されているので、上記荷重に対する補強フレーム33,43,53の剛性を向上できる。その結果、補強フレーム33,43,53及び筋交34,44,54によって、加圧蒸発器20の上下の振動をより低減しつつ、その振動を左右両側でより同期させ易くできる。よって、加圧蒸発器20を連結する送出管17に引張荷重や曲げ荷重などをより生じさせ難くできる。
【0076】
また、下部フレーム32,42,52だけでなく側部フレーム31,41,51にも加圧蒸発器20が固定されるので、側部フレーム31,41,51と下部フレーム32,42,52との角度が変化するような加圧蒸発器20の振動を低減できる。その結果、左右両側の加圧蒸発器20を連結する送出管17に引張荷重や曲げ荷重などを更に生じさせ難くできる。
【0077】
加圧蒸発器20は、ブラケット30,40,50によって前後方向の3か所が支持される。これにより、加圧蒸発器20が前後に傾くような振動を低減しつつ、その振動の位相を左右でずれ難くできる。その結果、左右両側の加圧蒸発器20を連結する送出管17にねじり荷重を生じさせ難くできる。
【0078】
また、前後両側のブラケット30,50の下部フレーム32,52及び補強フレーム33,53に対し、前後中央側のブラケット40の下部フレーム42及び補強フレーム43には、加圧蒸発器20から大きな荷重が加わり易い。その大きな荷重が加わり易い下部フレーム42及び補強フレーム43が、前後両側の各フレーム32,33,52,53に対し高剛性であるので、加圧蒸発器20の上下方向の振動をより低減できる。その結果、左右両側の加圧蒸発器20を連結する送出管17に引張荷重や曲げ荷重などを更に生じさせ難くできる。
【0079】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、タンク16は、円筒状に限らず楕円筒状や角筒状でも良い。また、各部を接合するボルト71及びナット72(貫通孔31b等)の数や、補強板31a等の数は、適宜変更しても良い。
【0080】
上記実施形態では、側部フレーム31,41,51がサイドメンバ13aに固定される場合を説明したが、これに限られるものではない。例えば、側部フレーム31,41,51をサブフレーム15に固定しても良い。また、側部フレーム31,41,51を加圧蒸発器20に固定しなくても良い。
【0081】
上記実施形態では、加圧蒸発器20をシャシフレーム13の後端側に配置する場合を説明したが、例えばシャシフレーム13の前端側や前後方向の中央部に加圧蒸発器20を配置しても良い。また、左右一対の加圧蒸発器20をタンクローリ10の前後に複数設けても良い。なお、加圧蒸発器20の配置に応じて、加圧蒸発器20とタンク16とを連結する送出管17や返送管18の配置を適宜変更しても良い。左右一対の加圧蒸発器20を連結する配管は、送出管17に限らずに返送管18であっても良く、その両方であっても良い。
【0082】
上記実施形態では、ブラケット30,40,50の各部が溶接により接合される場合について説明したが、その接合方法は溶接に限らない。例えば、ブラケット30,40,50の各部を、ボルト及びナットやリベット等の締結部材によって接合しても良い。また、ボルト71及びナット72で固定される部分を、リベット等の他の締結部材や溶接によって固定しても良い。
【0083】
下部フレーム32,42,52及び補強フレーム33,43,53が一体成形される場合に限らず、別々に形成した下部フレーム32,42,52と補強フレーム33,43,53とを、溶接や締結部材などで接合しても良い。また、ブラケット30,40,50の各部を一体成形しても良い。
【0084】
上記実施形態では、加圧蒸発器20が前後方向の3か所でブラケット30,40,50に支持される場合について説明したが、ブラケット30,40,50のうち1つ又は2つを省略しても良い。なお、ブラケット30,40,50のうちいずれか1つで加圧蒸発器20を支持する場合、そのブラケットを前後方向に延長したり、加圧蒸発器20をシャシフレーム13やサブフレーム15に直接または間接的に別途固定することが好ましい。また、加圧蒸発器20を前後方向の4か所以上で支持されるように、ブラケット30,40,50の数を増やしても良い。
【0085】
上記実施形態では、タンク16が支持されるシャシフレーム13の前端部にキャブ14が配置され、タンク16とキャブ14とが分離されないタンクローリ10について説明した。これに対し、タンク16とキャブ14とを分離可能なトレーラ型のタンクローリに本発明を適用しても良い。タンク16が支持されるトレーラ部分は、前輪を持たないために補助脚を展開して自立するセミトレーラでも良く、自立可能となる複数の車輪を持ったフルトレーラでも良い。
【0086】
上記実施形態では、側部フレーム31,41,51や下部フレーム32,42,52に加圧蒸発器20の枠体21が直接重ねられる場合について説明したが、それらの間に、振動などの伝達を防ぐためのライナを挟んでも良い。
【符号の説明】
【0087】
10 タンクローリ
12 車輪
13 シャシフレーム
13a サイドメンバ
16 タンク
17 送出管(配管)
20 加圧蒸発器
21 枠体
23 蛇行管
25 支持部材
30,40,50 ブラケット
31,41,51 側部フレーム
32,42,52 下部フレーム
33,43,53 補強フレーム
34,44,54 筋交
60 突入防止装置
61 バンパー
図1
図2
図3
図4
図5