IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機ホーム機器株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131286
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/12 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H05B6/12 313
H05B6/12 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041462
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 匡薫
(72)【発明者】
【氏名】川田 幸男
【テーマコード(参考)】
3K151
【Fターム(参考)】
3K151AA01
3K151BA52
3K151BA53
3K151BA55
3K151BA56
(57)【要約】
【課題】左右に加熱口を有し、統合表示部で調理情報を表示させることが可能で、ユーザーに使い勝手の良い加熱調理器を提供する。
【解決手段】左加熱口と右加熱口に共通して使用される統合表示部は、1つの表示エリアの中が、左エリアと、右エリアとに区画されて表示する機能を有し、入力操作部は統合表示部の手前に配置され、入力操作部には、左エリアの手前に位置している左共用キーと、右エリアの手前に位置している右共用キー、とを有しており、左共用キーよりも更に手前には左加熱口を選択する左切入キーを配置し、右共用キーよりも更に手前には右加熱口を選択する右切入キーを配置した。左エリア又は右エリアにおいて、左共用キー又は右共用キーにより選択した1つの調理モードの識別情報が表示されている状態で、左切入キー又は右切入キーを操作すれば、識別情報に対応した調理の開始が決定できる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左加熱口と右加熱口と、
前記左加熱口と前記右加熱口に共通して使用される統合表示部と、を備え、
前記統合表示部は、1つの表示エリアの中を、前記左加熱口用の左エリアと、前記右加熱口用の右エリアと、に分割して表示する機能を有し、
入力操作部が、前記統合表示部の手前に配置され、
前記入力操作部には、後方操作部と前方操作部とを有し、
前記後方操作部には、前記左エリアの手前にある左共用キーと、前記右エリアの手前にある右共用キー、とを有し、
前記前方操作部には、前記左共用キーよりも更に手前に位置し、前記左加熱口を選択する左切入キーと、前記右共用キーよりも更に手前に位置し、前記右加熱口を選択する右切入キーと、を有し、
前記左エリア又は前記右エリアの何れかに、複数の調理モードの内から、 前記左共用キー又は前記右共用キーにより選択した1つの調理モードの識別情報が表示されている状態で、前記左切入キー又は前記右切入キーを操作すれば、前記左加熱口又は前記右加熱口において前記識別情報に対応した調理が実行できること、
を特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記左共用キー又は前記右共用キーを操作する動作に応じて、前記識別情報と、別の調理モードの識別情報と、を前記左エリア又は前記右エリアにおいて、同時に表示させることができる、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記左共用キーと前記右共用キーは、それぞれが1対のキーを有し、それらキーは、複数の前記識別情報を、規定の順序で表示させるアップキーと、前記規定の順序と反対の順序で表示させるダウンキー、の組み合わせで構成していることを特徴とする請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記左加熱口と前記右加熱口との間に位置する中央加熱口、を更に有し、
前記統合表示部は、前記左エリアと、前記右エリアとの間に、前記中央加熱口用の中央エリアを表示する機能を有していること、を特徴とする請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記後方操作部には、前記中央エリアの手前に中央共用キー、更に配置しており、
前記前方操作部には、前記中央共用キーよりも更に手前に、前記中央加熱口を選択するための、中央左切入キーを配置していること、を特徴とする請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
被加熱物を載置する平板状のトッププレートの範囲内に、前記左加熱口と前記右加熱口を配置しており、
前記左加熱口と前記右加熱口の前方位置に、当該加熱口毎に専用の火力表示部を配置し、火力以外の制御条件に関する情報は、前記統合表示部に表示すること、を特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項7】
外部と無線通信する通信部と、
報知手段と、
前記通信部を介して取得したレシピデータを使用して調理を実行し、かつ、前記統合表示部を制御する制御装置と、を更に有し、
前記制御装置は、
(1)前記通信部から特定の調理メニューに対応する識別情報を取得した場合、前記統合報知部で報知する報知ステップと、
(2)前記入力操作部において、前記レシピデータの取得のための操作を受け付け、前記レシピデータの受信に備える受信待機ステップと、
を順次実行すること、を特徴とする特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記制御装置は、前記報知ステップと前記受信待機ステップとの間で、前記入力操作部において、前記レシピデータの取得のために特定の入力キーの操作を受けると、前記通信部から選択情報を発信すること、を特徴とする請求項7に記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記左加熱口と前記右加熱口における加熱動作を実行する第1の加熱手段と、
加熱室の内部で加熱調理する第2の加熱手段と、
前記第1の加熱手段と前記第2の加熱手段とを制御する制御装置と、を更に備え、
前記制御装置は、前記第1の加熱手段と前記第2の加熱手段に関する複数のメイン調理モードと、前記左加熱口、前記右加熱口及び前記加熱室で実行する複数のサブ調理モードと、を有し、
前記左共用キー又は前記右共用キーにより選択する前記調理モードは、前記サブ調理モードである、ことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項10】
左加熱口と右加熱口と、
前記左加熱口と前記右加熱口の動作に関する情報を表示する統合表示部と、
加熱動作を制御する制御装置と、を備え、
前記統合表示部は、1つの表示エリアの中を、前記左加熱口用の左エリアと、前記右加熱口用の右エリアと、に分割して表示する機能を有し、
前記制御装置22は、
前記左エリアと、前記右エリアの何れかに、複数の調理モードの内から、1つの調理モードの識別情報を表示するステップS1と、
前記左エリアに対応している左共用キー又は前記右エリアに対応している右共用キーの、何れか1つの操作を受け付けるステップS2と、
前記ステップS2の操作を受けて、前記識別情報と異なる識別情報を表示するステップS3と、
前記ステップS3の後で、前記ステップS2で操作した前記左共用キー又は前記右共用キーの、何れか一方に対応した前記左加熱口を選択する左切入キー又は前記右加熱口を選択する右切入キーの、入力操作を受け付けるステップS4と、
を順次実行すること、
を特徴とする加熱調理器。
【請求項11】
左加熱口と右加熱口と、
前記左加熱口と右加熱口の動作に関する情報を表示する統合表示部と、
加熱動作を制御する制御装置と、を備え、
前記統合表示部は、1つの表示エリアの中を、前記左加熱口用の左エリアと、前記右加熱口用の右エリアと、に分割して表示する機能を有し、
前記制御装置は、
前記左エリアと、前記右エリアの何れかに、複数の調理モードの内から、1つの調理モードの識別情報を表示するステップS1と、
前記左エリアに対応している左共用キー又は前記右エリアに対応している右共用キーの、何れか1つの操作を受け付けるステップS2と、
前記ステップS2の操作を受けて、前記識別情報と異なる識別情報を表示するステップS3と、
前記ステップS3の後で、前記ステップS2で操作した前記左共用キー又は前記右共用キーの、何れか一方に対応した前記左加熱口を選択する左切入キー又は前記右加熱口を選択する右切入キーの操作を、それぞれ受け付けるステップS4と、
デフォルト設定の火力で加熱動作を開始させるステップS5と、
前記ステップS5で開始した前記火力を前記左共用キー又は前記右共用キーの操作を受けて別の火力に変更するステップS6と、
を順次実行すること、を特徴とする加熱調理器。
【請求項12】
前記左共用キー又は前記右共用キーを操作する動作に応じて、1つの調理モードの前記識別情報と、別の調理モードの識別情報とを、前記左エリア又は前記右エリアにおいて、同時に表示させる、請求項10又は11に記載の加熱調理器。
【請求項13】
前記左共用キーと前記右共用キーは、それぞれが1対のキーを有し、それらキーは、前記識別情報を、規定の順序で表示させるアップキーと、前記規定の順序と反対の順序で表示させるダウンキー、の組み合わせで構成していることを特徴とする、請求項10又は11に記載の加熱調理器。
【請求項14】
前記左加熱口と前記右加熱口との間には中央加熱口、を更に有し、
前記統合表示部は、前記左エリアと、前記右エリアとの間に、前記中央加熱口用の中央エリアを表示する機能を有していること、を特徴とする請求項10に記載の加熱調理器。
【請求項15】
前記左加熱口と前記右加熱口との間には中央加熱口を、更に有し、
前記統合表示部は、前記左エリアと、前記右エリアとの間に、前記中央加熱口用の中央エリアを表示する機能を有していること、を特徴とする請求項11に記載の加熱調理器。
【請求項16】
左加熱口と右加熱口と、
前記左加熱口と前記右加熱口に共通して使用される統合表示部と、を備え、
前記統合表示部は、1つの表示エリアの中を、前記左加熱口用の左後方エリアと、前記右加熱口用の右後方エリアと、前記左後方エリアの手前にある左前方エリアと前記右後方エリアの手前にある右前方エリアと、に分割して表示する機能を有し、
前記左後方エリアの中にはタッチ式で入力が可能な左共用キーを配置し、前記右後方エリアの中にはタッチ式で入力が可能な右共用キーを配置し、
入力操作部が、前記統合表示部の手前に配置され、
前記入力操作部には、前記左共用キーよりも更に手前に、前記左加熱口を選択する左切入キーと、前記右共用キーよりも更に手前に、前記右加熱口を選択する右切入キーと、をそれぞれ配置し、
前記左後方エリア又は前記右後方エリアの何れかに、複数の調理モードの内から選択した1つの調理モードの識別情報が表示されている状態で、前記左切入キー又は前記右切入キーを操作すれば、前記左加熱口又は前記右加熱口の選択と、前記識別情報に対応した調理の開始を決定できること、
を特徴とする加熱調理器。
【請求項17】
前記左共用キー又は前記右共用キーを操作する動作に応じて、前記識別情報と、別の調理モードの識別情報とを、前記左エリア又は前記右エリアにおいて同時に表示させる、請求項16に記載の加熱調理器。
【請求項18】
前記左共用キーと前記右共用キーは、それぞれが1対のキーを有し、それらキーは、前記識別情報を、規定の順序で表示させるアップキーと、前記規定の順序と反対の順序で表示させるダウンキー、との組み合わせで構成していること、を特徴とする請求項16に記載の加熱調理器。
【請求項19】
前記左加熱口と前記右加熱口との間に中央加熱口を、更に有し、
前記統合表示部は、前記左エリアと、前記右エリアとの間に、前記中央加熱口用の中央エリアを表示する機能を有していること、を特徴とする請求項16に記載の加熱調理器。
【請求項20】
前記後方操作部には、前記中央エリアの手前に中央共用キーを、更に配置しており、
前記前方操作部には、前記中央共用キーよりも更に手前に、前記中央加熱口を選択するための、中央左切入キーを配置していること、を特徴とする請求項19に記載の加熱調理器。
【請求項21】
被加熱物を載置する平板状のトッププレートの範囲内に、前記左加熱口と前記右加熱口とを配置しており、
前記左加熱口と前記右加熱口の前方に、当該加熱口毎に専用の火力表示部を配置し、火力以外の制御条件に関する情報は前記統合表示部に表示すること、を特徴とする請求項19に記載の加熱調理器。
【請求項22】
前記左加熱口と前記右加熱口における加熱動作を実行する第1の加熱手段と、
加熱室の内部で加熱調理する第2の加熱手段と、
前記第1の加熱手段と前記第2の加熱手段とを制御する制御装置と、を更に備え、
前記制御装置は、前記第1の加熱手段と前記第2の加熱手段に関する複数のメイン調理モードと、前記左加熱口、前記右加熱口及び前記加熱室で実行する複数のサブ調理モードと、を有し、
前記調理モードは、前記サブ調理モードである、ことを特徴とする請求項16に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数個所に置かれた鍋等の被加熱物を加熱できる加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加熱調理器は、使用される環境から見て、大きく分けて3種類ある。
その内の1つは、キッチンカウンター等の厨房家具の中に設置される、所謂「ビルトイン式(組込式)」である。2つ目は、厨房家具の所定の位置に、ガス台(「ガス燃焼式テーブル」ともいう)等のように置かれて使用される「据置式」である。3つ目は、食卓等の上の任意の位置に置かれて使用される、小型で可搬式の「卓上式」である。
【0003】
「ビルトイン式」の加熱調理器は、複数種類の加熱源を備えたタイプが多く存在し、各種調理に対応できるものとして人気がある。しかし、厨房家具の中に設置されるため、一般的な厨房家具の規格に合わせて外形寸法を設計しなければならず、「据置式」や「卓上式」のものに比較して設計の自由度は格段に少なく、実用的な製品にするための難易度は高い。
【0004】
代表的なビルトイン式加熱調理器として、本体の上部に複数個の加熱口を配置して、当該加熱口で誘導加熱を行い、また本体内部にはグリル庫(「オーブン室」又は「加熱室」ともいうが、以下、統一的に「加熱室」という)を具備し、その加熱室においてマイクロ波加熱源からのマイクロ波を導入して加熱調理する構成のものがある(例えば、特許文献1参照)。また、加熱室において電気ヒータ(グリルヒータ)からの輻射熱で加熱調理する構成のものがある(例えば、特許文献2及び3参照)。これらのように、加熱原理の異なる複数の加熱源を備えたものを、複合型加熱調理器と呼んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-117570号公報(第1頁、図29
【特許文献2】特許第5661109号公報(第1頁、図4
【特許文献3】特開2011-252699号公報(第1頁、図6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1及び2で提案されているように、複合型加熱調理器の場合、加熱手段や入力操作部が複数に増え、1つの調理条件をユーザーが個々に設定する作業は、より複雑になる。特に、加熱口が複数個ある場合には、加熱口毎に表示部を設け、当該表示部を見ながら火力等の加熱条件を入力したり、希望する調理モード、調理メニュー等を入力したりする操作を必要とするため、ユーザー側で操作すべき入力キーの確認や入力操作が増え、かつ、複雑にならざるを得ない。
そこで、特許文献3に示されたように、1つの表示部(液晶表示画面等)を設けて、複数の加熱口や加熱手段の選択、あるいは制御条件の入力等を、その1つの表示画面を利用して集中的に行うことが提案されている。
しかしながら、1つの表示部(液晶表示画面等)を、異なった加熱口や加熱手段に共通的に利用する場合には、ユーザーが目的とする加熱口や加熱手段との対応関係について、誤解や視覚的な迷いを生じないように表示内容を工夫する必要がある。しかしながら、上記特許文献3では、このような課題に対する対策が未だ十分でない。
【0007】
本開示の目的は、ユーザーの操作性を改善することによって、複数の加熱口を利用して各種の調理を実行することができる、利便性の高い加熱調理器を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の開示に関する加熱調理器は、
左加熱口と右加熱口と、
前記左加熱口と前記右加熱口に共通して使用される統合表示部と、を備え、
前記統合表示部は、1つの表示エリアの中を、前記左加熱口用の左エリアと、前記右加熱口用の右エリアと、に分割して表示する機能を有し、
入力操作部が、前記統合表示部の手前に配置され、
前記入力操作部には、後方操作部と前方操作部とを有し、
前記後方操作部には、前記左エリアの手前にある左共用キーと、前記右エリアの手前にある右共用キー、とを有し、
前記前方操作部には、前記左共用キーよりも更に手前に位置し、前記左加熱口を選択する左切入キーと、前記右共用キーよりも更に手前に位置し、前記右加熱口を選択する右切入キーと、を有し、
前記左エリア又は前記右エリアの何れかに、複数の調理モードの内から、 前記左共用キー又は前記右共用キーにより選択した1つの調理モードの識別情報が表示されている状態で、前記左切入キー又は前記右切入キーを操作すれば、前記左加熱口又は前記右加熱口において前記識別情報に対応した調理が実行できること、
を特徴とする構成である。
【0009】
第2の開示に関する加熱調理器は、
左加熱口と右加熱口と、
前記左加熱口と前記右加熱口の動作に関する情報を表示する統合表示部と、
加熱動作を制御する制御装置と、を備え、
前記統合表示部は、1つの表示エリアの中を、前記左加熱口用の左エリアと、前記右加熱口用の右エリアと、に分割して表示する機能を有し、
前記制御装置は、
前記左エリアと、前記右エリアの何れかに、複数の調理モードの内から、1つの調理モードの識別情報を表示するステップS1と、
前記左エリアに対応している左共用キー又は前記右エリアに対応している右共用キーの、何れか1つの操作を受け付けるステップS2と、
前記ステップS2の操作を受けて、前記識別情報と異なる識別情報を表示するステップS3と、
前記ステップS3の後で、前記ステップS2で操作した前記左共用キー又は前記右共用キーの、何れか一方に対応した前記左加熱口を選択する左切入キー又は前記右加熱口を選択する右切入キーの、入力操作を受け付けるステップS4と、
を順次実行すること、
を特徴とする構成である。
【0010】
第3の開示に関する加熱調理器は、
左加熱口と右加熱口と、
前記左加熱口と右加熱口の動作に関する情報を表示する統合表示部と、
加熱動作を制御する制御装置と、を備え、
前記統合表示部は、1つの表示エリアの中を、前記左加熱口用の左エリアと、前記右加熱口用の右エリアと、に分割して表示する機能を有し、
前記制御装置は、
前記左エリアと、前記右エリアの何れかに、複数の調理モードの内から、1つの調理モードの識別情報を表示するステップS1と、
前記左エリアに対応している左共用キー又は前記右エリアに対応している右共用キーの、何れか1つの操作を受け付けるステップS2と、
前記ステップS2の操作を受けて、前記識別情報と異なる識別情報を表示するステップS3と、
前記ステップS3の後で、前記ステップS2で操作した前記左共用キー又は前記右共用キーの、何れか一方に対応した前記左加熱口を選択する左切入キー又は前記右加熱口を選択する右切入キーの操作を、それぞれ受け付けるステップS4と、
デフォルト設定の火力で加熱動作を開始させるステップS5と、
前記ステップS5で開始した前記火力を前記左共用キー又は前記右共用キーの操作を受けて別の火力に変更するステップS6と、
を順次実行すること、を特徴とする構成である。
【0011】
第4の開示に関する加熱調理器は、
左加熱口と右加熱口と、
前記左加熱口と前記右加熱口に共通して使用される統合表示部と、を備え、
前記統合表示部は、1つの表示エリアの中を、前記左加熱口用の左後方エリアと、前記右加熱口用の右後方エリアと、前記左後方エリアの手前にある左前方エリアと前記右後方エリアの手前にある右前方エリアと、に分割して表示する機能を有し、
前記左後方エリアの中にはタッチ式で入力が可能な左共用キーを配置し、前記右後方エリアの中にはタッチ式で入力が可能な右共用キーを配置し、
入力操作部が、前記統合表示部の手前に配置され、
前記入力操作部には、前記左共用キーよりも更に手前に、前記左加熱口を選択する左切入キーと、前記右共用キーよりも更に手前に、前記右加熱口を選択する右切入キーと、をそれぞれ配置し、
前記左後方エリア又は前記右後方エリアの何れかに、複数の調理モードの内から選択した1つの調理モードの識別情報が表示されている状態で、前記左切入キー又は前記右切入キーを操作すれば、前記左加熱口又は前記右加熱口の選択と、前記識別情報に対応した調理の開始を決定できること、
を特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、各種の加熱調理に幅広く対応でき、ユーザーの入力操作の効率化や入力負荷の軽減に貢献する加熱調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施の形態1を示した加熱調理器を含む、加熱調理システムの構成図1
図2図1に示した加熱調理器の、設置状態を斜視図で示す、加熱調理システムの構成図2
図3図1に示した加熱調理器の平面図と正面図。
図4図1に示した加熱調理器の、X-X線における縦断面図。
図5図1に示した加熱調理器の機能的構成を示すブロック図。
図6図1に示した加熱調理器の統合表示部、中央操作部(後方操作部・前方操作部)及び右操作部を拡大した平面図。
図7図6に示した統合表示部と中央操作部(後方操作部・前方操作部)を拡大した平面図。
図8図6に示した中央操作部の入力操作ステップを示す説明図。
図9図6に示した統合表示部、中央操作部(後方操作部・前方操作部)、右操作部及び右火力表示部の、表示状態と入力操作とを示す説明図1
図10図6に示した統合表示部、中央操作部(後方操作部・前方操作部)、右操作部及び右火力表示部の、表示状態と入力操作とを示す説明図2
図11図6に示した統合表示部、中央操作部(後方操作部・前方操作部)、右操作部及び右火力表示部の、表示状態と入力操作とを示す説明図3
図12図6に示した右火力表示部における表示動作の変遷を示した拡大説明図。
図13図6に示した統合表示部、中央操作部(後方操作部・前方操作部)、右操作部及び右火力表示部の、表示状態と入力操作とを示す説明図4
図14図6に示した統合表示部、中央操作部(後方操作部・前方操作部)、右操作部及び右火力表示部の、表示状態と入力操作とを示す説明図5
図15図6に示した統合表示部、中央操作部(後方操作部・前方操作部)、右操作部及び右火力表示部の、表示状態と入力操作とを示す説明図6
図16図6に示した統合表示部、中央操作部(後方操作部・前方操作部)、右操作部及び右火力表示部の、表示状態と入力操作とを示す説明図7
図17図1に示した加熱調理器の、中央操作部によって選択できるサブ調理モードの種類全体を示した説明図。
図18図1に示した加熱調理器の中央加熱口を使用する場合の統合表示部と中央操作部(後方操作部・前方操作部)の、表示状態と入力操作とを示す説明図1
図19】中央加熱口を使用する場合の、表示状態と入力操作とを示す説明図2
図20図1に示した加熱調理器の加熱室(グリル庫)を使用して、1つのサブ調理モード(切り身)を選択する場合の、統合表示部と中央操作部(後方操作部・前方操作部)の、表示状態と入力操作とを示す説明図1
図21図20に示したサブ調理モードの、加熱動作開始のための入力場面を示す説明図1
図22図20に示したサブ調理モードの、火力の入力場面を示す説明図2
図23図1に示した加熱調理器の加熱室(グリル庫)を使用して、別のサブ調理モード(オーブン加熱)を選択する場合の、統合表示部と中央操作部(後方操作部・前方操作部)の、表示状態と入力操作とを示す説明図。
図24図23に示した1つのサブ調理モード(オーブン加熱)の、設定温度の入力操作を示す説明図。
図25図1に示した加熱調理器の、加熱室(グリル庫)を使用したサブ調理モードの種類全体を示した説明図。
図26図1に示した加熱調理器の起動時の動作を示すフローチャート1。
図27】実施の形態2を示す加熱調理器の、統合表示部と中央操作部(後方操作部・前方操作部)の、表示状態と入力操作とを示す説明図1
図28】実施の形態2を示す加熱調理器1の、統合表示部と中央操作部(後方操作部・前方操作部)の、表示状態と入力操作とを示す説明図2
図29図28に示した加熱調理器において、外部からレシピデータを取得する動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示に係る加熱調理器について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を用いるが、これらは説明のためのものにすぎない。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は相当するものであり、これらは明細書の全文において共通している。
【0015】
更に、以下の説明では、複数種類の加熱手段を備えた複合加熱調理器についても、単に「加熱調理器」という。
以下の説明で「トッププレートの上に載置された被加熱物」という場合は、後述するトッププレート3の上面に鍋等の被加熱物を直接載せて(第1の加熱手段HM1により)加熱する場合と、ガス燃焼器(バーナー)等のように、トッププレートの上方に配置された五徳等の支持部材の上に被加熱物を載せて加熱する場合の、両方を含む意味である。つまり、第1の加熱手段HM1とは、誘導加熱手段に限定されない。
【0016】
実施の形態1において、「第2の加熱手段」HM2とは、後述する加熱室6の内部に収容した被調理物を加熱するための加熱源をいう。輻射熱や蒸気を利用したものでも良い。
実施の形態1では、第2の加熱手段HM2としてマイクロ波加熱源を有している。マイクロ波加熱源は、マグネトロンを使用しているが、半導体素子を利用したマイクロ波発振器等、マイクロ波発振原理や方式に制限はない。また加熱源を複数個備えても良い。
【0017】
この実施の形態1において「第3の加熱手段」HM3とは、前記第1の加熱手段HM1と前記第2の加熱手段HM2との差異を示すために、「第3」という用語を使用しているが、優劣関係を意味していない。
また、実施の形態1では、輻射式電熱源(シーズヒーター、マイカヒーター、カーボンヒーター、セラミックヒーター、赤外線ヒーター、ラジアント・ヒーター等)を用いた加熱源を使用しているが、他の形態や方式で発熱する加熱源であっても良い。
【0018】
第3の加熱手段HM3は、1つの加熱室6において加熱調理ができるものをいう。電気ヒーター等から構成した加熱源とガス燃焼器(バーナー)のように、異なる加熱原理を有する複数の加熱源を併用する形態でも良い。また加熱室6を加熱する加熱源として、誘導加熱源を使用しても良い。高温の蒸気(過加熱蒸気など)を供給する蒸気発生器(ボイラー)(図示せず)でも良い。
【0019】
更に、第3の加熱手段HM3は、加熱室6の壁面を、その外側から加熱する加熱源や、加熱室6の内部空間に設置し、当該内部空間の雰囲気を高温にする加熱源の、何れでも良い。
また、誘導加熱方式で高温になる発熱部材を加熱室に配置し、この発熱部材で加熱室6の壁面を外側から加熱する形態でも良い。更には、加熱室6の外部に熱源を有し、当該加熱室6の内部に高温の空気や蒸気を供給する形態であっても良い。
【0020】
この実施の形態1でいう誘導加熱コイル(IHコイル)の代表的なものとして、0.1mm~0.3mm程度の細い銅線やアルミ線を30本程度束にして、この束を複数本撚りながら渦巻状に巻いて構成したものがある。あるいは、0.05mm程度のものを1000本~1500本程度巻いて構成したものもある。また、平板状の導電材料で、環状に形成した環状導電体で構成する提案もある。これら何れの形態のものも第1の加熱手段HM1(誘導加熱源)の主要部となる「IHコイル」に相当する。
【0021】
以下の説明において、「調理モード」とは、加熱手段の数を基準にして加熱調理形態を大別した場合の分類の呼称であり、この実施の形態では、3つの調理モードがある。
すなわち、後述する連携調理モードKM1と、複合調理モードKM2と、単独調理モードKM3の、3種類である(これら3つを、「メイン調理モード」と総称する)。
以下の説明において、「サブ調理モード」とは、前記連携調理モードKM1と、複合調理モードKM2と、単独調理モードKM3のそれぞれに属した下位の分類の呼称であり、第1の加熱手段HM1~第3の加熱手段HM3を実際に駆動する制御形態で分類した呼称である。例えば、(誘導加熱やマイクロ波加熱の何れか一方だけの)単独調理モードKM3に属する「加熱」や「保温」は、サブ調理モードの1種である。詳しくは、図17図25で説明する。
以下の説明で、特に混乱を招かない限り、前記「調理モード」には、前記メイン調理モードとサブ調理モードの両者を含む。
【0022】
以下の説明において、「連携調理」とは、1つの被調理物(食品、肉、野菜等を含む)に対する加熱場所が異なり、かつ独立して加熱動作条件(例えば、火力や温度、加熱時間)が設定可能な2つ以上の加熱源を使用して行う調理をいう。この調理形態を「連携調理モード」KM1という。
【0023】
前記「連携調理」は、複数の加熱手段を、時間差を置いて使用する場合が該当する。例えば1つの調理を完成させる過程で、マイクロ波加熱源で予備加熱したあと、被調理物を別の場所に移し、移動後の場所で、誘導加熱して完成させる調理の場合は、ここでいう「連携調理」の一種である。
【0024】
また、加熱室6の内部で被調理物を、ガス燃焼器(バーナー)によって加熱し、その後、当該被調理物をトッププレート3の上に移動し、ガス燃焼器(バーナー)や誘導加熱源で加熱して、調理の完成度を上げるという形態も「連携調理」の一種である。
【0025】
「音声入力モード」とは、ユーザー(使用者)が入力用のスイッチ(入力キー)のボタンや操作面に触れたり、押したりする動作をせずに、発声によって入力する制御形態をいう。
以下の説明では、「音声入力モード」の種類には、加熱調理器1に直接音声で入力する「音声入力モード1」と、スマートスピーカ等の外部入力機器を通じて、外部サーバー等の外部情報処理機器経由で音声信号を入力する「音声入力モード2」がある。
【0026】
以下の説明では、「設定情報」とは、後述するレシピデータCDによる(加熱手段の)制御内容を、加熱調理器1に与えて、設定する情報である。
後述するように、連携調理モードKM1では、少なくとも調理工程1と調理工程2を有する。説明の都合上で、前記調理工程1のための前記設定情報を「設定情報A」と呼び、前記調理工程2のための前記設定情報を「設定情報B」と呼ぶ場合がある。
【0027】
以下の説明で、「レシピデータ」CDとは、1つの被調理物を加熱調理するために、加熱調理器1の制御で使用されるデータをいう。
レシピデータCDの1つの形態は、加熱手段を特定したデータ、加熱工程や順番を規定したデータ、加熱時の制御条件(火力や目標温度、加熱調理時間等を含むが、これらに限定されない)を、全て含んだ命令であり、また、その命令を実現するためのコンピュータプログラムである。
【0028】
前記レシピデータCDの他の1つの形態は、加熱手段を特定したデータ、調理工程やその順番、数等を規定したデータを含まず、調理メニュー(例えば、ハンバーグ)を実行するための一部のデータだけを含んだものである。
例えば、後述する連携調理モードKM1で加熱調理する場合、1つの調理メニューを実行する加熱手段固有の情報(加熱手段の属性を示す情報や加熱口4の情報等を含む)、調理工程の情報、駆動する加熱手段の順番を示す情報等は含まないものをいう。
この場合、加熱能力や加熱時間等の制御条件を決める指令やデータ等(以下、「コマンド」又は「コマンドデータ」という)が主体になったデータとなる。このケースの場合、加熱調理器1で保有しているレシピデータCDが、例えば1人前の被調理物を前提に構成されたものであった場合、外部からのコマンドによって、加熱調理器側で2人前又は4人前等に対応するように、内蔵のプログラムによって制御条件(例えば、加熱時間という1つのパラメータ)を変更することで対応しても良い。
【0029】
更に、前記レシピデータCDの内、以下の説明では、前記連携調理モードKM1のレシピデータCDが、例えば、調理工程1に関するデータと調理工程2に関するデータの、2つで構成されている場合を主体に述べる。
例えば、前記第1の加熱手段HM1を調理工程1で使用するケースでは、調理工程1で使用する調理工程1の動作内容を設定する第1部分M1と、前記第2の加熱手段HM2を使用する調理工程2を設定する第2部分M2の、2段階に分けて加熱調理器1がレシピデータCDを取得する。
すなわち、前記第1の加熱手段HM1を使用する調理工程1を設定する第1部分M1と、前記第2の加熱手段HM2を使用する調理工程2を設定する第2部分M2の、2つから構成されている。なお、前記第2の加熱手段HM1を調理工程1で使用するケースでも、調理工程1と調理工程2のそれぞれの設定情報は、別々に加熱調理器1が取得する。なお、前記第1部分M1は前記「設定情報A」に対応し、前記第2部分M2は、前記「設定情報B」に対応している。
【0030】
以下の実施の形態においては、上記したようなレシピデータCDの形態について、特に区別して説明しない。また、連携調理モードKM1の場合は、調理工程が2つの事例について説明するが、調理工程が3つ以上であっても良い。
【0031】
以下の実施の形態でいう「表示画面」とは、液晶表示素子(液晶パネル)による液晶表示画面や、その他発光方式(有機ELパネル等)による表示画面を含む。
また、表示画面の中に自動的に立ち上がる「ポップアップ画面」を含んでいる。「ポップアップ」とは、インターネットブラウザー(「Web ブラウザー」ともいう)の画面上で、自動的に立ち上がった(起動して表示開始する)別のウィンドウーのことである。
例えば、後述する通信端末200の端末側表示部(表示画面)216において、第1画面216Aや第2画面216B等が表示されるが、それらをポップアップ画面で構成しても良い。
【0032】
実施の形態1.
(1.加熱調理システムの構成)
本開示に係る実施の形態1は、図1図26に記載している。
図1について説明する。
本実施形態1の加熱調理システムは、加熱調理器1と、この加熱調理器1との間で、双方向の無線通信を行う機能を有したスマートフォン200(高機能通信端末器とも呼ぶが、以下の説明では、統一的に「通信端末」と呼ぶ)と、情報処理手段の1種であるクラウドサーバー300と、を備えて構成されている。なお、通信端末200は、スマートフォン以外でも良く、例えば通信機能付きタブレット端末器やパーソナルコンピュータ等でも良い。これら機器も含めて、この実施の形態1では統一的に、通信端末200と呼んでいる。
【0033】
通信端末200は、加熱調理器1が使用される家屋(図示せず)に設置されている無線ルーター201(図2)との間でWiFi(登録商標)等の通信方式による無線通信202WFを行う。
【0034】
加熱調理器1は、通信端末200との無線通信330によって、少なくともレシピデータCD1を取得できる。なお、後述するクラウドサーバー300経由で加熱調理器1が取得したレシピデータCD2については、後で説明する。
前記通信端末200は、加熱調理器1との間で、Bluetooth(登録商標)等の通信方式による無線通信202BTを行う(図2参照)。
【0035】
通信端末200は、前記無線ルーター201(図2)とインターネット等のネットワークNWを介して外部空間にあるクラウドサーバー300にアクセスする。クラウドサーバー300には、少なくとも1つのレシピデータ提供サーバー301がある。
【0036】
レシピデータ提供サーバー301には、種々の調理を実行するレシピのデータが保持されたレシピDB(データベース)302が備えられ、通信端末200は、レシピデータ提供サーバー301により運用されるレシピ提供サイトにアクセスして、レシピDB302から種々のレシピデータCD1を取得(ダウンロード)する。
【0037】
前記レシピデータCD1は、後で詳しく説明するが、特定の被調理物(例えば「ハンバーグ」)を加熱調理器1で実行できるように、加熱手段や制御条件(火力や加熱時間、温度等の少なくとも何れか1つを含むが、これに限定されない)を指定する命令(指令データ)が含まれている。但し、前述したように特定の調理メニューを実行するための、1つのレシピデータCD1を識別する固有のデータだけであっても良い。
【0038】
以下の説明では、レシピデータについて、CD1、CD2等の符号を付けて説明する場合があるが、この符号によってレシピデータの内容が、必ずしも異なるものではなく、同一の場合もある。それら符号(CD1、CD2)は、レシピデータの発信主体を基準に付して、理解を容易にするためである。なお、レシピデータについて、統一的に参照符号を用いる場合には、「CD」を用いる。
【0039】
図1に示した加熱調理器1は、当該加熱調理器1の上面を覆うトッププレート3(図2以降で説明する)の下方に配置された第1の加熱手段HM1と、当該加熱調理器1の内部に形成された加熱室6(図3参照)内部にマイクロ波を供給する第2の加熱手段HM2と、前記加熱室6の内部又は外部にあって、当該加熱室6の内部空間の温度を上げて加熱する第3の加熱手段HM3と、を備えている。
【0040】
前記トッププレート3の上面を「第1の場所」と定義すれば、この第1の場所に置いた被加熱物(磁性金属製の鍋、フライパン等)を加熱するため、前記第1の加熱手段HM1は、誘導加熱手段が使用される。あるいは、磁性金属製や非磁性金属製の鍋を加熱するガスバーナを備えた、ガス燃焼装置が前記第1の加熱手段HM1に相当する。
【0041】
前記第1の場所と離れた場所にある閉鎖空間を「第2の場所」と定義すれば、前記加熱室6(図3参照)の内部が、当該第2の場所となる。
【0042】
前記加熱調理器1は、3つの調理モード(メイン調理モード)を有している。
1つ目の調理モードは、前記した連携調理モードKM1である。
2つ目の調理モードは、複合調理モードKM2である。
3つ目の調理モードは、単独調理モードKM1である。
【0043】
単独調理モードKM3は、前記第1の加熱手段HM1と前記第2の加熱手段HM2とを、それぞれ単独で(独立して)駆動する調理形態である。
【0044】
前記複合調理モードKM2とは、1つの被調理物を調理する方法として、前記第2の加熱手段HM2と前記第3の加熱手段HM3とを、同時に駆動し、あるいは何れか一方を先に動作させ、他方を後から自動的に駆動開始する調理形態である。前記第2の加熱手段HM2と前記第3の加熱手段HM3を同時に動作している場合でも、その両方の加熱終了時期が同じ場合と、異なる場合の何れも、前記「複合調理モード」KM2に属する1つの運転パターンである。
【0045】
前記複合調理モードKM2では、前記第2の加熱手段HM2と前記第3の加熱手段HM3を最初から同時に駆動するパターン(RG制御モード1)と、前記第2の加熱手段HM2の後で、前記第3の加熱手段HM3の駆動を開始するパターン(RG制御モード2)と、前記第3の加熱手段HM3を最初に駆動し、その後自動的に前記第2の加熱手段HM3の駆動に切り替わるパターン(RG制御モード3)と、を少なくとも有している。これらRG制御モード1~RG制御モード3において、各加熱手段の切り替えは、加熱室6(図3参照)で加熱調理を開始すると、自動的に行われる。
【0046】
前記複合調理モードKM2は、前記連携調理モードKM1とは異なり、特定の被調理物(例:ハンバーグ)に対応した「調理メニュー」を有していない。すなわち、前記第2の加熱手段HM2と前記第3の加熱手段HM3を駆動するパターン別の「制御メニュー」を用意している。1つの制御パターンで、複数の被調理物(例えば、肉の解凍や、野菜等を茹でること)に対応できる。
【0047】
例えば、「制御メニュー」の1つが、前記「RG制御モード1」である。RG制御モード(RG複合調理モード)では、色々な調理物の調理ができる。「制御メニュー」の1つの、例えば前記「RG制御モード1」は、その制御モードを規定するレシピデータで制御されるが、特定の被調理物毎に設定したものではない。
このRG制御モード1~3は、何れも前記した「サブ調理モード」の一種である。
【0048】
以上の説明から分かるように、2つ以上の加熱源(第2の加熱手段HM2と前記第3の加熱手段HM3)を予め決めたシーケンスで動作させる運転パターンが、複数の「制御メニュー」を有する、前記複合調理モードKM2である。
【0049】
これに対し、加熱室6の内部と、トッププレート3の上方の、それぞれの場所に置いた被調理物を予め決めた順番で加熱調理する、(特定の被調理物に対応した)レシピデータが適用されるものが、「連携調理メニュー」を有する連携調理モードKM1である。
つまり、複合調理モードKM2と連携調理モードKM1では、レシピデータの内容が異なる。
【0050】
以下の説明では、加熱源の駆動(通電)パターンのように制御形態の種類を示す場合に「制御メニュー」と呼ぶ。例えば「解凍」は制御メニューの1つである。
一方、加熱調理可能な被調理物、料理名等を特定する場合には「調理メニュー」と呼ぶ。例えば「ハンバーグ」は調理メニューの1つである。
「ハンバーグ」は、第1の加熱手段HM1を調理工程1で使用し、この後、被調理物(ハンバーグ)を加熱室6に移して、加熱室6を使用して第2の加熱手段HM2を使用して調理工程2を実行する加熱方法を規定しているので、連携調理モードKM1の調理メニューの1種である。
【0051】
前記加熱調理器1は、前記第1の加熱手段HM1と前記第2の加熱手段HM2とが、ユーザー(使用者)の操作に依存して確定する時間差で駆動される連携調理モードKM1の実行機能を有している。言い換えると、調理工程1と調理工程2の間には、ユーザーの操作タイミングによって変化する「加熱休止期間」(「移行期間」ともいう)が存在する。
【0052】
前記連携調理モードKM1では、前記第1の加熱手段HM1で調理工程1を実施するパターンと、前記第2の加熱手段HM2で調理工程1を実施するパターンと、を有する。
例えば、第1の加熱手段HM1による調理工程1を終えて調理工程2に移るため、被調理物を前記加熱室6に移動させ、その後、前記第2の加熱手段HM2の駆動を開始するため、この調理工程1と調理工程2の間には、加熱動作を行わない「加熱休止期間」(移行期間TR)が存在する。
【0053】
この連携調理モードKM1では、特定の被調理物(例:ハンバーグやローストビーフ、グラタン)毎に、前記レシピデータCDが用意される。
前記レシピデータCDは、使用する加熱手段と、その加熱手段を駆動する順番、及び加熱手段の制御条件(火力や加熱時間、温度等の少なくとも何れか1つを含む)が、調理工程1(第1部分M1)と調理工程2(第2部分M2)別に、それぞれ指定されている。つまり、調理工程1の設定情報Aと、調理工程2の設定情報Bとが、それぞれ加熱調理器1に送信される。
【0054】
前記レシピデータCDは、前記加熱調理器1と前記レシピDB302の双方に格納されている。レシピDBにあるレシピデータCDの種類と、前記加熱調理器1で保有している前記レシピデータCDの種類は、同一である必要はない。例えば、前記レシピDB302には、新しい連携調理モードKM1のレシピデータCDが順次追加され、また複合調理メニューの前記レシピデータCDが、順次蓄積されていく形態でも良い。
【0055】
以下の説明では、加熱調理器1に最初から格納(記憶保持)されている調理メニューを「基本メニュー」と呼ぶ。連携調理モードKM1では、合計8つの基本メニューを有している。
これに対し、ユーザーが、通信端末200を使用してレシピデータ提供サーバー301からレシピデータCDを取得し、加熱調理器1に提供した場合、その調理メニューは「追加メニュー」という。
【0056】
加熱調理器1が、前記通信端末200から前記連携調理モードKM1を実行するための前記レシピデータCDを取得する場合、当該データは、ユーザーが前記通信端末200において選択した1つの調理メニュー単位である。言い換えると、1種類の調理単位である。これは、連携調理モードKM1に限らず、複合調理モードKM2、単独調理モードKM3にも共通である。
【0057】
つまり、加熱調理器1では、例えば、複合調理モードKM2において「あたため」という制御メニューを選択できるが、前記通信端末200から加熱調理器1に提供されるレシピデータCDは、そのような制御メニュー単位ではなく、前述した「調理メニュー」単位である。
従って、マイクロ波加熱等の制御メニューの中に、後述する「あたため」、「レンジ手動」、「葉菜下ゆで」、「根菜下ゆで」、「肉解凍」等の、各種制御メニューが「サブ調理モード」として用意してあるが、このような制御メニュー単位では、通信端末200はレシピデータCDを提供しない。例えば解凍の場合には、被加熱物を特定した「〇〇の解凍」というレシピデータ(識別情報を含む)で通信端末200から提供される。
【0058】
以上のように、通信端末200は、レシピデータ提供サーバー301に、希望する被調理物のレシピデータCDを提供するように求め、希望するレシピに対応したレシピデータCD1をダウンロードする(図1参照)。
【0059】
通信端末200は、レシピデータ提供サーバー301で生成され、当該サーバー301から取得した、1つのレシピに対応したレシピデータCD2を、加熱調理器1に送信することができる(図1参照)。
加熱調理器1のユーザーは、このようなレシピデータ取得機能を利用するために、レシピ提供サイト(レシピデータ提供サーバー301)にアクセスしてレシピ選択用のアプリケーション(以下、「レシピ選択アプリ」という)を、通信端末200にインストールする。
【0060】
前記ユーザーは、レシピ選択アプリをインストールしたときに、初期設定として加熱調理器の機種名等の「機器識別情報」(後述する)を登録する操作を行う。この登録により、加熱調理器1の定格仕様(各加熱手段HM1~HM3の加熱能力等)に対応したレシピデータCDを、レシピ提供サイト(レシピデータ提供サーバー301)から取得することができる。
【0061】
また、前記ユーザーは、レシピ選択アプリにより、通信端末200と加熱調理器1のペアリングを行って、通信端末200と加熱調理器1との間の、直接的な無線通信202BTを確立する。なお、この無線通信202BTは、近接無線通信(NFC)方式を用いたものでも良い。
【0062】
図2に示している202WFは、通信端末200と無線ルーター201との間の無線通信を示す。通信端末200と加熱調理器1との間の無線通信202BTの通信方式は、近距離の無線通信規格の1つになっているBluetooth(ブルートゥース)(登録商標)を使用している。また、通信端末200と無線ルーター201との間の無線通信202WFは、WiFi(登録商標)等の無線LANによる通信方式を使用している。
【0063】
なお、図1には図示していないが、この実施の形態1の加熱調理システムにおいては、ユーザーが作成した(1つのレシピに対応した)レシピデータCDを、通信端末200で、レシピ提供サイト(レシピデータ提供サーバー301)に送信して、前記レシピDB302に一旦格納させ、その後、加熱調理器1向けに提供するようにしても良い。つまり、加熱調理器1が設置された家屋から遠く離れた場所(例えば、外出先)に通信端末200が存在している場合でも、当該通信端末200のレシピデータCDを、レシピデータ提供サーバー301に保存しておけるので便利である。
【0064】
なお、加熱調理器1と、前記クラウドサーバー300との間は、無線ルーター201(図2参照)を介在させても良い。
以下の説明では、前記したインターネット回線等のネットワークNWを説明する場合には、統一的な符号として「NW」を使用する。
【0065】
加熱調理器1の「機器識別情報」とは、加熱調理器1を特定するための固有の情報である。具体的には、情報通信を行う場合に必要となる重要な情報であり、MACアドレス、加熱調理器1の製造者名、型名(モデル名)、形式記号、形式番号、製造番号等である。
【0066】
前記クラウドサーバー300は、加熱調理器1の運転や停止、待機状態等の現在状況に関する情報を、前記ネットワークNW経由で取得する機能を有する。
前記クラウドサーバー300は、前記機器識別情報を利用して目的の加熱調理器1と接続される。
【0067】
前記クラウドサーバー300の内部には、レシピデータベース302の他に、情報提供サーバー(図示せず)を有しており、加熱調理器1や通信端末200に対して、有益な情報を発信する。加熱調理器1は、通信端末200との無線通信とは別に、前記クラウドサーバー300との間で定期的(例えば、5分又は10分間隔で反復的)に無線通信を行う処理を実行している。そして、当該定期的通信の途中段階で、加熱調理器1側の「状態情報」(後述する)の中に何らかの異常があると発見・判定した場合、それをトリガーとして、その都度クラウドサーバー300に報知や照会を行って、適切な運転状態の維持のための情報を取得する処理を行う。異常がなければ、上記定期的通信を繰り返し実行する処理に自動的に復帰し、このような処理を、後述する主電源スイッチ20(図5参照)を開放するまで継続する。これについては後で詳しく説明する。
【0068】
情報提供サーバー(図示せず)は、例えば、特定地域の地震情報提供機関や電力会社等の外部機関が設置したサーバーでも良いし、加熱調理器1を製造又は販売したメーカや販売会社等が用意したサーバーでも良い。
【0069】
前記クラウドサーバー300には、加熱調理器1を遠隔制御することができるようにした制御用アプリケーション・ソフトウェアが格納・記憶されている。後で詳しく述べる通信端末200からは、クラウドサーバー300にアクセスして、制御用アプリケーション・ソフトウェアをダウンロード(読み込み)することにより、前記した遠隔制御を実現することができる。
【0070】
本実施の形態1における通信端末200は、加熱調理器1の入出力部に数センチメートル程度接近(又は接触させても良い)した状態で、近距離通信で信号の授受をする機能を備えている。なお、この近距離通信とは、Near Field Communication(略称:NFC)として知られている無線通信の国際規格技術のことである。
【0071】
このNFCの通信では、誘導加熱調理器1側に、いわゆる無線タグ(NFCタグ)が埋め込まれている。
一方、通信端末200側から制御データを加熱調理器1のNFC記憶部へ送り、加熱調理器1を、前記制御データに従って制御することもできる。
【0072】
次に図2について説明する。
400は、加熱調理器1等を設置したキッチン家具である。400Dは、キッチン家具400に設置した水道の給水口である。
201は、加熱調理器1と無線通信が可能な無線ルーターである。この無線ルーター201は、インターネット等のネットワークNWのアクセスポイントでもある。
【0073】
203は、キッチン(居住空間)500(図示せず)の内部空間、特に加熱調理器1の前方の所定範囲(例えば、2m以内)に人が居ないかどうかを監視する人感知センサーを備えた監視装置である。この監視装置203は、キッチン500内部を常時又は短時間間隔(例えば、5秒間隔)で繰り返しチェックし、人の有無を示す信号をクラウドサーバー300や加熱調理器1に発信する。例えば、前記無線ルーター201に対して監視結果の信号を送信し、クラウドサーバー300に提供しても良い。加熱調理器1からクラウドサーバー300が起動信号を受けた場合、当該加熱調理器1が運転を終了するまで監視信号を継続的に提供し、特定条件が満たされるかどうかの判定を加熱調理器1が行う場合、その判定の基礎データの1つに利用されるようにしている。
【0074】
加熱調理器1は、中空で箱形形状の本体2と、この本体2の上面全体を覆うトッププレート3とによって外郭が構成されている。
前記トッププレート3の上に、(磁性金属製の鍋等の)被加熱物を載置し、IHコイル9(図3図4に示す符号9C、9L、9R)によって誘導加熱する。すなわち、トッププレート3には、左加熱口4Lと右加熱口4R及び中央加熱口4Cから構成された加熱口4を有している。
【0075】
前記トッププレート3の奥側(後方側)には、排気口カバー5が設けられている。排気口カバー5は、小さな貫通孔を無数に形成したパンチングメタル又は格子状の金属部材で構成されていて、全体に亘って通気性があり、通気抵抗が少ない。加熱調理器1の本体2の内部から放出される排気は、排気口カバー5を通過して加熱調理器1の外へ出る。
【0076】
加熱調理器1の本体2の前面には、本体2の内部に配置される加熱室6(図3参照)の前面開口部を開閉するドア(加熱扉)7が設けられている。ドア7には、これを開閉するための取手8が設けられている。
【0077】
(2.加熱調理器の詳細構成)
次に、前記加熱調理器1の具体的な構成について、図3図6を参照しながら説明する。
図3について説明する。図3(A)は、加熱調理器1の平面図である。図3(B)は、加熱調理器1の正面図である。
この図3では、図2で説明したキッチン家具400は図示していない。加熱調理器1は、上部に調理台を備えたキッチン家具(厨房家具)400に組み込まれて使用されるビルトイン型(組込み型)のIHクッキングヒーターである。
加熱調理器1は、本体2と、本体2の上に設置されたトッププレート3とを有する。
トッププレート3は、キッチン家具400の天面を構成するキッチン天板の上に露出している。
【0078】
トッププレート3は、例えば、耐熱性の高い結晶化ガラス板と、そのガラス板を周囲から囲むように取り付けられた金属の枠体とにより構成される。トッププレート3の上面には、前記左加熱口4Lと、右加熱口4Rと、中央加熱口4Cの、3つの加熱口4が設けられている。
【0079】
左加熱口4Lと右加熱口4Rと中央加熱口4Cは、鍋またはフライパンなどの金属製調理容器(第1の加熱手段HM1に関する「被加熱物」Nともいう)が載置されて加熱される場所である。前記トッププレート3の上面には、前記左加熱口4Lと右加熱口4Rと中央加熱口4Cにそれぞれ対応して、前記被加熱物を載置する位置の目安となる案内マーク(図示せず)が、印刷で描かれている。
【0080】
前記3つの加熱口4L、4C、4Rと後述する加熱室6を総称して「加熱部」という場合があり、その場合、参照符号はHPを用いる。
【0081】
加熱調理器1を上方から見た場合、トッププレート3の左右中心部を貫通する前後方向の中心線CL(図6参照)の真上に、前記中央加熱口4CのIHコイル9Cが配置されている。
前記中心線CLの上には、更に中央火力表示部16Mと、統合表示部15と、中央操作部17が、それぞれ一直線上に並ぶように配置されている。
図3(B)において、7は、本体2の内部に形成されている加熱室6(図示せず)の前方開口部を開閉自在に覆うドアである。このドア7の上端部には取手8が設けてある。ドア7の中央部には、透明な耐熱性ガラスと、マイクロ波遮蔽用の無数の貫通孔が形成された金属遮蔽板(図示せず)とで覆われた、覗き窓7Wが形成されている。
【0082】
前記統合表示部15は、横に長い液晶表示画面を有している。前記左火力表示部16L、中央火力表示部16M及び右火力表示部17Rは、それぞれ複数個の発光素子(LED等)によって火力レベルを表示するものであり、表示画面は備えていない。詳しくは後で説明する。
【0083】
次に、図4について説明する。図4は、図3におけるX-X線における縦断面図である。
19Sは、本体2の内部空間を、上下2つに仕切る金属製の仕切板である。この仕切板19Sよりも上方にあるのが、第1の加熱手段HM1の(第1の)設置空間19Aである。また、仕切板19Sより下方にあり、加熱室6等を収容しているのが、(第2の)設置空間19Bである。
【0084】
設置空間19Aには、3つの前記加熱口4L、4R、4Cに対応した(直下の)位置に、前記IHコイル9(9C、9L、9R)が収容されている。
つまり、右加熱口4Rの下方には右誘導加熱手段としての右IHコイル9Rが、また、中央加熱口4Cの下方には中央誘導加熱手段としての中央IHコイル9Cが、それぞれ設けられている。左加熱口4Lの下方には、左誘導加熱手段としての左IHコイル9Lが設置されている。
【0085】
前記IHコイル9C、9L、9Rと、それらの駆動回路(インバーター回路等の高周波電源供給回路をいう。図示していない)を含めて、以下の説明では、特に矛盾が起こらない限り、第1の加熱手段HM1と呼ぶ。
【0086】
IHコイル9C、9L、9Rの近傍にはトッププレート3や調理容器(被加熱物N)の温度を検知するために、複数個の温度センサー(図示せず)からなる温度センサー群30(図5参照)が搭載されている。温度センサー群を構成する温度センサー30A(図示せず)の1つには、サーミスタのような接触式の温度センサーが使用されている。また、他の温度センサー30B(図示せず)には、赤外線センサーのような非接触温度センサーが使用されている。
【0087】
本体2の内部の設置空間19Bにある加熱室6は、周囲がステンレス等の金属壁で構成されており、この加熱室6内に収容される被調理物(食品、食材)を加熱するための空間である。
【0088】
前記被調理物は、耐熱性プラスチック容器や磁器製、耐熱ガラス製の皿に載せられ、又は容器の中に入れられて加熱室6に置かれる場合があり、その場合、それら皿や容器は「被加熱容器」と呼ぶ場合がある。但し、それら容器は前記IHコイル9C、9L、9Rでは誘導加熱されないので、仮にトッププレート3の加熱口4に置いても、前記IHコイル9C、9L、9Rの「被加熱物」Nとは呼ばない。
【0089】
前記加熱室6の前面には、被調理物を出し入れするための横長(長方形)の開口(図示せず)が形成されている。加熱室6の前面にある前記開口は、前記ドア7により開閉自在に覆われている。ドア7は、本体2によってヒンジおよびアーム(図示せず)を介して回動自在に支持されている。これにより、ドア7は、その下端部を支点(回動中心)として前方に水平位置まで開く構成となっている。なお、ドア7は、スライドレール(図示せず)によって、被加熱容器を下方から支持する支持部材(棚等の構造物をいう。図示せず)と一体的に前方へ引き出されてもよい。
【0090】
ドア7には、このドア7の開閉を検知するための開閉検知部10が設けられる。開閉検知部10は、例えばマイクロスイッチまたは赤外線センサーである。加熱室6の後方には、加熱室6内に収容される被調理物を加熱するマイクロ波発振器11が設けられている。このマイクロ波発振器11は、例えば、マグネトロンから構成されており、加熱室6内にマイクロ波を照射することで、加熱室の中に置かれた被調理物を加熱する、いわゆるレンジ加熱を行う。
【0091】
前記マイクロ波発振器11とその駆動回路(インバーター回路等の高周波電源供給回路をいう。図示せず)を含めた加熱手段は、第2の加熱手段HM2と呼ぶ場合がある。
【0092】
前記加熱室6には、被調理物を上下から加熱をする上側輻射熱加熱手段12a、及び下側輻射熱加熱手段12bが設けられている。上側輻射熱加熱手段12aは加熱室6の外側又は内側の天井壁面に、下側輻射熱加熱手段12bは加熱室6の内側又は外側壁面に配置されており、共に、シーズヒーターで形成されている。
【0093】
上側輻射熱加熱手段12aと下側輻射熱加熱手段12bは、シーズヒーター以外の他の種類の輻射熱加熱手段でも良い。例えば、マイカヒーターやカーボンヒーター等を加熱室6の外側に設置しても良い。図4では、上側輻射熱加熱手段12aと下側輻射熱加熱手段12bを、何れも加熱室6の外側壁面に密着するように設置した例を示している。
【0094】
前記上側輻射熱加熱手段12aと下側輻射熱加熱手段12b、及びそれらの駆動回路(図示せず)を含めた加熱手段は、第3の加熱手段HM3と呼ぶ場合がある。なお、上側輻射熱加熱手段12aと下側輻射熱加熱手段12bを総称して「輻射熱加熱手段」と呼ぶ場合があり、その場合の符号は「12」を使用する。
【0095】
前記加熱室6には、加熱室6内の被調理物の温度を非接触で検知するため、非接触式温度センサーとして、赤外線センサー13が設けられている。この赤外線センサー13によって検知される温度範囲は、例えば-20℃~100℃に設定される。これにより、被調理物の加熱度合を、例えば1℃刻みで精度良く、リアルタイムで検出することができる。この赤外線センサー13も、前記温度センサー群30(図5参照)の中の1つのセンサーを構成している。
【0096】
加熱室6には、加熱室6内部の雰囲気温度または加熱室6の壁面温度を検知する室内温度センサーである接触式温度センサー(例えば、サーミスタセンサー)14も設けられている。
【0097】
前記サーミスタセンサー14は、温度の変化を電気抵抗の変化で捉えて温度を検知するという特性から、検知できる温度の上限値は、250℃程度である。このサーミスタセンサー14も、温度センサー群30の中の1つのセンサーを構成している。なお、このサーミスタセンサー14は、図4に示したように加熱室6の底面近傍と天井面近傍の、2個所に設置しても良い。
【0098】
次に図5について説明する。
図5は、加熱調理器1の主要な機能を示した制御ブロック図である。
図5に示すように、加熱調理器1は、加熱調理器1の全体を統合制御する制御装置22を備える。
【0099】
前記制御装置22は、加熱調理器1を構成する各部の動作を制御する制御回路などの電子部品が実装された電子回路基板で形成されている。制御装置22は、中央操作部17と右操作部18を通じた入力信号、ならびにトッププレート3上の被加熱物の温度に基づき、左IHコイル9L、右IHコイル9R、中央IHコイル9Cの駆動条件を、それぞれ個別に制御する。
【0100】
前記制御装置22は、中央操作部17からの入力指令と、トッププレート3上の被加熱物の温度、および赤外線センサー13、サーミスタセンサー14の検出結果に基づき、中央IHコイル9C、マイクロ波加熱手段11、上側輻射熱加熱手段12a、下側輻射熱加熱手段12bの駆動条件を、それぞれ個別に制御する。
【0101】
また、制御装置22は、中央操作部17と右操作部18の入力指令に基いて、左火力表示部16L、中央火力表示部16M及び右火力表示部16Rにおいて、入力された火力値の表示を、それぞれ個別に行う。
【0102】
さらに、制御装置22は、開閉検知部10からのドア7の開放信号と閉鎖信号とに基づいて、統合表示部15において、ドア7の開放と閉鎖の状態を表示する。
【0103】
制御装置22は、加熱調理器1の制御に用いられる各種プログラムおよびパラメータ等のデータ(以下、これらを総称して「制御データ」と呼ぶ)と、統合表示部15及び各火力表示部16L、16M、16Rに表示される表示制御用データ(以下、「表示条件データ」と呼ぶ)とを、記憶する記憶装置21を有する。また、制御装置22は、音声報知部49を必要に応じて起動し、ユーザーに対して加熱調理器1の動作状況を音声で伝える。
【0104】
制御装置22は、後述する加熱制御部23の加熱調理制御に用いられる各種プログラムおよびパラメータ等の情報を、一定のフォーマットに纏めたデータを、前記記憶装置21のレシピデータ記憶部21Aに記憶させている。このデータが、前述したレシピデータCDである。後で説明するが、加熱調理器1では、連携調理モードKM1の実行のために、合計8つの調理メニュー(前記した「基本メニュー」)のそれぞれに対応したレシピデータCDが、最初から用意されている。前述した追加メニューも、このレシピデータ記憶部21Aに追加的に記憶させることができる。
【0105】
前記基本メニューに対応する前記設定情報(設定情報A、設定情報Bを含む)は、以下の説明では「設定情報X」と呼び、前記追加メニューに対応する前記設定情報は、「設定情報Y」と呼んで区別する場合がある。すなわち、ユーザーが通信端末200等から取得できた追加メニューに対応する前記設定情報Yは、レシピデータ記憶部21Aに記憶させることができる。このため、設定情報Yを取得すれば、それに応じてレシピデータ記憶部21Aの中に保有させておける設定情報Yの数が増える。つまり、調理に実施できる調理メニューの種類を増やすことができる。
【0106】
前記「追加メニュー」に係るレシピデータCDと前記「表示条件データ」とは、加熱調理器1が通信端末200等の外部機器から、個々の調理メニュー毎に、しかも複数の調理工程がある場合は、その調理工程毎に取得することができる。
【0107】
23は、加熱調理器1の全体の加熱動作を統合制御する加熱制御部であり、マイクロコンピュータを主体に構成されている。
24は、データ取得部であり、通信部25を介して、通信端末200やクラウドサーバー300から、前記レシピデータCDを取得することが可能である。また、前記通信部25を介して、通信端末200やクラウドサーバー300から、前記表示条件データを取得する場合もある。
【0108】
前記通信部25は、外部と無線で通信を行うものであり、図1図2に示したように、通信端末200と無線通信330(330BT)を行う機能を有している。または、ネットワークNWを介してクラウドサーバー300と無線通信する機能を有している。
前記通信部25は、後述するように少なくとも2つに通信方式に対応した第1通信部25A(図示せず)と第2通信部25B(図示せず)と、を有している。
第1通信部25Aは、通信端末200との間の通信方式が、Bluetooth(ブルートゥース)(登録商標)であるため、この通信方式に対応している。また、第2通信部25B(図示せず)は、無線ルーター201(図2参照)との間の通信方式が、WiFi(登録商標)等の無線LANによる通信方式を使用しているので、この通信方式に対応した機能を有している。
【0109】
26は、許可条件判定部であり、連携調理モードKM1や複合調理モードKM2による調理を許可するかどうかの判定処理を行う。
27は、電源回路であり、前記制御装置22に対して一定電圧の電力を供給する。20は、この電源回路27に挿入された主電源スイッチであり、ユーザーにより開閉される操作ボタン20Aを有している。
連携調理モードKM1に関する前記レシピデータCDについては、後述するように調理工程1を設定する第1部分M1を受信する段階で、前記許可条件判定部26が調理の許可を判定し、その段階で許可されない場合には、調理工程1が実行できず、また調理工程2の第2部分M2の取得工程には進まない。
【0110】
28は、前記レシピデータCDの取得を制限する制限部である。
制限部28は、前記連携調理モードKM1の調理を開始する前の待機期間中(つまり、後述する「調理工程1」の前)に、前記データ取得部24が前記通信部25を介して前記レシピデータCDの取得を制限する機能を有する。
【0111】
更に、前記制限部28は、外部から取得したレシピデータCDに基づいて、1つの調理メニューの調理工程が終了するまでの間、前記通信部25から新たなレシピデータCDを取得することを制限する機能を有する。
なお、制限部28は、制御装置22を構成するコンピュータ(図示せず)の1つの制御プログラムで実現されても良く、制御装置22とハードウエア上で別に構成されることは、必ずしも必須ではない。
【0112】
図5に示しているように、前記右操作部18には、音声入力モードの選択用入力キー29を有している。
31は、前記音声入力モードが選択されている期間中、ユーザーが発する音声をマイク(図示せず)で受けて所定の音声信号に変換する音声信号受信部である。
【0113】
一方、制御装置22には、前記音声信号受信部31からの音声信号を受けて、音声の内容を解析する音声信号解析部32を備えている。音声信号解析部32は、記憶装置21の中にある音声データベースの情報と比較し、音声信号受信部31で受信した音声の内容を解析し、加熱制御部23に解析結果を伝達する。
【0114】
33は、入力処理部である。この入力処理部33は、右操作部18の入力キー29からの入力信号を受けて、自身の入力受付モードを「音声入力モード1」に切り替える。また、入力信号解析部34を制御する。更に、音声信号解析部32からの解析結果を受けて、前記加熱制御部23に制御用データを送信する。
【0115】
図5において、35は、人感知センサーである。この人感知センサー35には、超音波又は赤外線信号を加熱調理器1の前方に放射して、その反射波を受信する受信部(図示せず)も有している。なお、前記受信部が受信した信号の処理専用回路は設けておらず、制御装置22によって受信信号が解析され、人がいるかどうかの判定が行われる。
人感知センサー35として赤外線センサーを用いた場合、加熱調理器1の前方方向に向けて前記赤外線センサーが設置され、加熱調理器1から所定範囲内に存在する熱源から放射される赤外線を検出する。つまり、赤外線は、赤外線センサー35側から放射しなくとも、ユーザーが発する赤外線を検知することができるので、制御装置22は、当該赤外線センサー(人感知センサー)35からの検知信号を受けて、ユーザーが所定範囲に居るかどうかを判定できる。なお、この人感知センサー35の人検知判定は、通常は一定時間(例えば、5秒間隔)で繰り返し行われるが、当該判定間隔は、連携調理モードKM1の場合には、後述する「加熱休止期間」では長く設定しても良い。
【0116】
図5に破線の枠で示しているように、前記音声報知部49と統合表示部15等を総称して「報知部」と呼ぶ場合があり、この場合は符号として、40を用いる。
前記中央火力表示部16Mは、左火力表示部16L及び右火力表示部16Rに、LED等から構成された多数の発光素子37A(図示せず)が配置されている。前記発光素子37Aは、発光色の異なる2つ以上の発光素子を規則的に配置しており、それら複数の発光素子の発光状態によって、ユーザーに対しては発光色が変化したような視覚効果がある。これについては、図9図12で説明する。
【0117】
前記入力信号解析部34は、中央操作部17と右操作部18から送信された、それぞれの入力信号を個別に解析する。従って、例えば前記入力キー29から、前記音声入力モード切替指令を受け付けたかどうかを判定する判別機能がある。そして、当該入力モード切替指令を受け付けたことを判別すると、入力モードを「タッチ入力モード」から「音声入力モード」に切り替えるための切替指令を発する。
【0118】
前記中央操作部17は、図6図7で詳しく説明するように、前方操作部17Fと、後方操作部17Bの2つの部分から構成されている。
図5に示しているように、この加熱調理器1の入力操作部36は、前記前方操作部17Fと、後方操作部17B及び右操作部18の、3つの操作部から構成されている。
37は、発光制御部であり、後述する主電源投入表示部38を、主電源が投入されている期間中において下方から赤色光で照らして、電源投入の有無を表示する。
【0119】
39は、計時回路であり、加熱調理を開始した時点からの経過時間を計測し、1秒単位で計測結果を報知する機能を有している。なお、この計時回路は、制御装置22の一部を構成するマイクロコンピュータのソフトウエアによって実現しても良く、ハードウエア上で個別に構成された(専用の)時計回路でなくとも良い。
【0120】
次に図6について説明する。
図6は、加熱調理器1の統合表示部15、中央操作部17(後方操作部17B、前方操作部17F)及び右操作部18を拡大した平面図である。
加熱調理器1を上方から見た場合、トッププレート3の左右中心部を貫通する前後方向の中心線CLの真上に、前記中央加熱口4CのIHコイル9Cの中心が位置している。
前記中心線CLの真上に、前記中央加熱口4CのIHコイル9Cと、中央火力表示部16M、統合表示部15及び中央操作部17が、それぞれ(前後方向に)直線的に並ぶように配置されている。
前記中心線CLの真上に、中央操作部17Mが配置され、この中央操作部17Mを挟んで左右に左操作部17Lと右操作部17Rが配置されている。
【0121】
統合表示部15の右側方向の近傍位置には、右火力表示部16Rが配置されている。
前方操作部17Fの前方端縁を真横に横切るような左右方向の基準線(直線)BLに沿って、その前方操作部17Fの右側に少し離れて右操作部18が配置されている。
右操作部18の最も右端部には、前記主電源スイッチ20の操作ボタン20Aが配置され、その左側近傍には、前記入力キー29が配置されている。
【0122】
前記統合表示部15は、ハードウエア上は1枚の液晶ディスプレイであるが、図6に示すように左側の第1表示エリア15L、左右中央の第2表示エリア15M及び右側の第3表示エリア15Rの3つの表示エリアを有し、これらの表示エリアごとに異なる表示を行うこともできる。
3つの表示エリア15L、15M、15Rは、図6に示すように、境界線が必ずしも見える訳ではないが、細い仕切り線を表示して個々の表示エリアの境界を視覚上で明確にしても良い。また、3つの表示エリア15L、15M、15Rの背景色を互いに異ならせても良い。
【0123】
また、3つの表示エリア15L、15M、15Rは、表示の場面に応じて適宜連携して1つの(広い面積の)表示エリアになり、1つ又は複数の目的の表示を行う場合もある。なお、以下の説明では、第1表示エリア15Lは、第1エリア(左エリア)15Lと呼ぶ。第2表示エリア15Mは、第2エリア(中央エリア)15Mと呼ぶ。第3表示エリア15Rは、第3エリア(右エリア)15Rと呼ぶ。
【0124】
前記第1~第3エリア15L、15M、15Rは、基本的には図6に示すように有効表示面積が同一となるように表示される。つまり、第1エリア15Lの横幅寸法W1と、第2エリア15Mの横幅寸法W2と、第3エリア15Rの横幅寸法W3の、3者は同一寸法である。
この実施の形態1では、前記第1~第3エリア15L、15M、15Rは、境界線15Sによって分割されているように図示しているが、実際の表示画面ではそのような境界線15Sを表示しなくとも良い。つまり、ユーザーが前記第1~第3エリア15L、15M、15Rの個々の(平面視での)範囲を厳密に視認できなくとも良い。
【0125】
前記第1エリア15Lは、基本的には左加熱口4Lで行う調理のために、各種制御情報や調理モード(サブ調理モードの情報を含む)等を表示する。
同様に、前記第3エリア15Rは、基本的には右加熱口4Rで行う調理のために、各種制御情報や調理モード等を表示する。
第2エリア15Mは、基本的には中央加熱口4Cで行う調理と、前記加熱室6で行う調理のために、各種制御情報や調理モード(サブ調理モードの情報を含む)等を表示する。但し、この第2エリア15Mでは、中央加熱口4Cで行う調理と、前記加熱室6で行う調理のための情報は、同時に表示することはない。加熱室6の加熱手段(第2の加熱手段HM2等)と、中央加熱口4Cの加熱手段であるIHコイル9Cは、排他的に使用されるように前記制御装置22によって統合的に制御される。
【0126】
左加熱口4Lで行う調理のための左操作部17Lは、左IHコイル9Lによる加熱調理の開始・停止操作をする左切入スイッチ41Lと、左IHコイル9Lによる制御条件(加熱調理時の火力や加熱時間等)を設定することができ、かつ、サブ調理モードを選択することができる、左右1対の左共用スイッチ42Lと、を備えている。
【0127】
右加熱口4Rで行う調理のための右操作部17Rは、右IHコイル9Rによる加熱調理の開始・停止操作をする右切入スイッチ41Rと、右IHコイル9Rによる制御条件(加熱調理時の火力や加熱時間等)を設定することができ、かつ、サブ調理モードを選択することができる、左右1対の右共用スイッチ42Rと、を備えている。
【0128】
加熱室6と中央加熱口4Cで行う調理のために共用される中央操作部17Mは、中央コイル9Cによる加熱調理の開始・停止操作をする中央切入スイッチ41Mと、中央IHコイル9Cによる制御条件(加熱調理時の火力や加熱時間等)を設定することができ、かつ、サブ調理モードを選択することができる、左右1対の中央共用スイッ チ42Mと、を備えている。
前記中央共用スイッチ42Mは、加熱室6の加熱手段(第2の加熱手段HM2と第3の加熱手段HM3)の制御条件(加熱調理時の火力や加熱時間等)を設定することができる。
【0129】
前記左切入スイッチ41L、中央切入スイッチ41M及び右切入スイッチ41Rは、以下の説明では、左切入キー41L、中央切入キー41M及び右切入キー41Rと呼ぶ。
また、前記左共用スイッチ42L、中央共用スイッチ42M及び右共用スイッチ42Rは、以下の説明では、左共用キー42L、中央共用キー42M及び右共用キー42Rと呼ぶ。
【0130】
図6に示しているように、左操作部17Lを構成する左切入キー41Lと、左共用キー42Lは、操作入力の対象である左IHコイル9Lとの対応関係が明確になるように、第1エリア15Lの横幅寸法W1の範囲内で、当該第1エリア15Lの前方の近傍位置に配置されている。
【0131】
同様に、右操作部17Rを構成する右切入キー41Rと、右共用キー42Rは、操作入力の対象である右IHコイル9Rとの対応関係が明確になるように、第3エリア15Rの横幅寸法W3の範囲内で、当該第3エリア15Rの前方の近傍位置に配置されている。
【0132】
更に、中央操作部17Mを構成する中央切入キー41Mと、中央共用キー42Mは、操作入力の対象である中央IHコイル9C及び加熱室6との対応関係が明確になるように、第2エリア15Mの横幅寸法W2の範囲内で、当該第2エリア15Mの前方の近傍位置に配置されている。
【0133】
前記右操作部18は、手動操作を行うための各種スイッチ(入力キー)が配置されている。
43は、タイマースイッチであり、ユーザーが設定した所望の時間経過後に、第1~第3の加熱手段HM1~HM3の何れかの加熱調理を自動的に停止させることができる。このため、例えば、加熱室6の加熱調理を設定時間経過時点で、自動停止させることができる。
44は、このタイマースイッチ43の設定時間の変更を行うための、設定キーであり、押圧操作やタッチ操作に応じて当該設定時間を長くすることができる設定キーと、逆に、押圧操作やタッチ操作に応じて前記設定時間を短くすることができる設定キーの、2つを有し、左右に隣接して配置している。
【0134】
45は、各種の機能設定を行うための機能設定キーである。例えば、加熱調理器1全体の各種動作や表示等を、ユーザーの希望通りに設定できるようにするためのものである。
前記機能設定キー45を押すと、前記制御装置22は「機能設定モード」に切り替わり、統合表示部15の表示画面に以下のような「機能設定メニュー」を表示する。
(1)チャイルドロック設定(各種入力キーの操作無効化設定)。
(2)換気装置の連動モード設定(加熱調理器1の動作に連動して換気装置運転)。
(3)お掃除ガイド設定(加熱室6と排気口カバー5の清掃時期自動報知機能設定)。
(4)ピークカット設定(最大消費電力を、5700W、5000W、4800W及び4000Wの4段階から1つ選択)。
(5)音声ガイドの音声設定。
(6)音声ガイドの音量設定。
(7)加熱室6からの被調理物、調理器具等の出し忘れを防止する設定(音声報知部49と統合表示部15における警報の要否)。
(8)HEMS登録設定(家庭用電力制御装置による電力使用制限機能に関する設定)。
(9)タイマー調理の時間単位(1分単位設定を、5分や30分単位へ変更)設定。
(10)初心者モードと通常(習熟者)モードの切り替え。
(11)連携調理モードKM1の各調理メニュー(例えば、「ハンバーグ」)の表示優先度(デフォルト表示にすべき具体的な調理メニュー)の設定。
(12)複合調理モードKM2の各制御メニュー(例えば、「レンジグリル」、「葉菜下ゆで」)の表示優先度(デフォルト表示にすべき具体的な制御メニュー)の設定。
(13)主電源スイッチ20の「ON」の後、加熱室6のドア7が開けられた場合、自動的に統合表示部15に表示する調理モードの設定(連携調理モードKM1と複合調理モードKM2の2者の間の、表示優先度など)。
【0135】
FGは、ユーザーの指先を示している。
図6に示したように、ユーザーは、例えば右加熱口4Rを使用したい場合には、右操作部17Rの範囲で入力操作を行い、また、右加熱口4Rの調理に関する制御条件や調理モードの入力結果や、加熱調理の進捗状況等は、基本的に第3エリア15Rに表示される情報によって、リアルタイムで知ることができる。
【0136】
前述した6つ(1対ずつ3組)の共用キー42L、42M、42Rと、3組の切入キー41L、41M、41Rは、押しボタン式の入力キー(スイッチ)でも良いし、ユーザーが指先FGで軽く触れた時の静電容量の変化を利用して入力できる静電容量方式等の、タッチ式キーで構成しても良い。
【0137】
次に図7について説明する。
図7は、統合表示部15と中央操作部17(後方操作部17B・前方操作部17F)を拡大した平面図である。
統合表示部15の前方側に、後方操作部17Bが配置され、この後方操作部17Bよりも更に前方に隣接して前方操作部17Fが配置されている。
【0138】
統合表示部15は、加熱調理器1全体の情報および警報情報を表示するものであり、液晶ディスプレイにより構成される。
図7に示しているように、統合表示部15の表示画面の内、第1エリア15Lには、誘導加熱手段(第1の加熱手段)HM1を使用した左加熱口4Lを使用時に、ユーザーが設定した誘導加熱火力値が、1~9までの9段階で表示される。48は、その火力表示部である。これは、火力値そのものや火力レベルの大小を表示する部分である。
63は、ユーザーが設定した加熱時間の「残り時間」を示す残存時間表示部である。この図7では、火力は第7段階(例えば、2500W)であり、残存時間は7分間であることが分かる。
【0139】
図7に示しているように、統合表示部15の第2エリア15Mには、マイクロ波加熱手段(第2の加熱手段)HM2及び輻射熱加熱手段(第3の加熱手段)HM3の少なくとも何れか一方を使用した、サブ調理モードの識別情報46を表示することができる。
更に、第2エリア15Mには、第1の加熱手段HM1の内、中央加熱口4Cに対応した中央IHコイル9Cを使用した加熱調理の情報も表示することができる。47は、その中央IHコイル9Cを使用した調理(単独調理モードKM3)を示す加熱源表示部である。
【0140】
46は、第1エリア15Lや第2エリア15M、第3エリア15Rの中の、所定の位置、すなわち、「前後方向の中央部」に表示されるサブ調理モードの識別情報である。図7では、加熱室6を使用した調理の1種である「姿焼き」というサブ調理モードを特定するための、名称や略称、記号等の識別情報46が表示されている。但し、図7に示した第3エリア15Rのように、「揚げ物」という1つのサブ調理モードの調理の開始が、右切入りキー41Rで決定された場合には、識別情報46の表示位置は、前記「前後方向の中央部」よりも後方に変化する。また、1つの表示エリア(例えば、第1エリア15L)には、識別情報46だけが表示され、後述する識別情報46Aと、同時に表示されることはなくなる(識別情報46Aの表示は消える)。
【0141】
3つの前記エリア15L、15M、15Rには、加熱手段(第1の加熱手段HM1~第3の加熱手段HM3)の選択を取り消すための、取り消し表示部46Cも、それぞれ表示される場合がある。なお、前記加熱源表示部47が「中央IH」と表示している位置、すなわち、第2エリア15Mの前後方向の中央部に表示された情報で特定されるサブ調理モードや加熱手段が、実際の調理で選択される。つまり、図7に示した状態では、中央IHコイル9Cを使用した加熱調理を選択する状態であることが分かる。
【0142】
図7に示しているように、統合表示部15の第3エリア15Rには、第1の加熱手段HM1の右加熱口4Rに対応した、右IHコイル9Rを使用した加熱調理の情報を表示することができる。
46Aは、その右IHコイル9Rを使用した(単独調理モードKM3に属した)サブ調理モードの内、次の候補を特定するための、名称や略称、記号等の固有の識別情報である。この図7の例では、サブ調理モードの候補を示す識別情報46Aは、「揚げ物」である。サブ調理モードの識別情報46Aは、3つの前記エリア15L、15M、15Rの前後方向の中央部に表示された時点で、識別情報(サブ調理モード表示部)46と呼称が変化する。
【0143】
前記識別情報46は、第3エリア15Rや第1エリア15L、第2エリア15Mの、それぞれに中央部に1つずつ表示される。但し、図7に示した第3エリア15Rのように、「揚げ物」という1つのサブ調理モードの調理の開始が、右切入りキー41Rで決定された場合には、識別情報46の表示位置は、後方に変化する。
【0144】
1つの識別情報46のサブ調理モードが、共用キー42L、42M、42Rの入力操作によって、3つの前記エリア15L、15M、15Rの前後方向の中央部に表示された時点で、その識別情報46の調理モードを、実行すべき調理モードに決定することができる。その決定は、3つの切入りキー41L、41M、41Rによって行う。
【0145】
50は、設定温度表示部である。この設定温度表示部50の1つの例は、ユーザーが設定した予熱工程の目標加熱温度を示すものである。この図7では、180℃で「揚げ物」を行う状態であることが分かる。フライパンや天ぷら鍋等の被加熱物の底面が、180℃になると予熱完了となる。
図7に示しているように、統合表示部15の第3エリア15Rには、第1の加熱手段HM1の右加熱口4Rに対応した、右IHコイル9Rを使用した加熱調理の情報を表示することができる。
【0146】
前述した後方操作部17Bには、6つ(1対ずつ3組)の左共用キー42L、42M、42Rが配置されている。第1エリア15Lに対応した(左右)1組の左共用キー42Lは、制御条件(火力や温度、加熱時間等)の設定に使用される。
例えば、右側の左共用キー42Lを1回押すたびに、設定火力が1段階ずつ上位火力になる。逆に左の左共用キー42Lを1回押すたびに、設定火力が1段階ずつ下位の火力になる。言い換えると、これら1対の左共用キー42Lは、全体としてアップダウンキーであるため、第1エリア15Lに表示された火力レベルや加熱時間、温度等のパラメータを、一定の順番で第1エリア15Lに表示させることができる。また、複数の調理モード(図17で詳しく説明する)も、一定の順序で1つずつ第1エリア15Lの前後方向中央部へ表示させることができる機能がある。
【0147】
第2エリア15Mに対応した(左右)1組の中央共用キー42Mと、第3エリア15Rに対応した(左右)1組の右共用キー42Rについても、前記左共用キー42Lと同様に、アップダウンキーである。このため、制御条件(火力や温度、加熱時間等)の設定に使用されるし、前記調理モードの選択にも使用される。
前述した3組の切入キー41L、41M、41Rは、それぞれ前記左操作部17L、中央操作部17M及び右操作部17Rの前方側近傍に配置されている。
【0148】
前述した3組の切入キー41L、41M、41Rは、各加熱手段を選択した状態(ON状態)と、各加熱手段を選択していない状態(OFF状態)とを、それら切入キー41L、41M、41R自体を見て識別できるように、それぞれの切入キー41L、41M、41Rの、下方には発光ダイオード(LED)等の発光素子37A(図示せず)を配置している。それら発光素子は、図5で説明した発光制御部37によって発光動作が制御される。
【0149】
また、前述した3組の共用キー42L、42M、42Rについても、入力機能が有効である場合と、無効である場合を視覚的に認識できるように、それら各共用キー42L、42M、42Rの下方には発光素子37A(図示せず)を配置し、前記発光制御部37によって発光動作を制御するように構成しても良い。
【0150】
次に、図8について説明する。
図8は、中央操作部17の入力操作ステップを示す説明図である。なお、説明を簡略化するために、この図8では、統合表示部15は、第1エリア15Lと第3エリア15Rの2つの場合で説明する。
最初に主電源スイッチ20をONにすると、制御装置22は統合表示部15を起動する。最初のステップS1では、特定の調理モードを表示させない「待機時初期画面」を表示させることが基本である。しかしながら、この図8では説明の都合上、第1エリア15Lと第3エリア15Rには、1つのサブ調理モードとしてデフォルト表示に指定してある「保温」のサブ調理モードの識別情報46を表示した例で説明する。
【0151】
次のステップS2では、ユーザーが右加熱口4Rを使用することを意図した場合、右加熱口4Rに対応した第3エリア15Rに表示されている前記「保温」のサブ調理モードを、右共用キー42Rで変更できる。右加熱口4Rのサブ調理モードは、図17で説明するが、4つのサブ調理モードを有している。そして、左側にある右共用キー42Rを押すと、「保温」の次に規定されている「加熱」というサブ調理モードに変更できる。このように第3エリア15Rの表示内容が変更された状態が、ステップS3である。
【0152】
次に、ステップS3のように、第3エリア15Rの中央部に「加熱」というサブ調理モードの識別情報46を表示させたまま、右切入キー41Rを押すと(ステップS4)、右加熱口4Rの使用が確定し、サブ調理モード(「加熱」)の加熱動作の開始が確定する。
この場合の加熱動作は、誘導加熱動作であるが、デフォルト設定された所定の火力、例えば、火力6(例えば、2000W)で誘導加熱が開始される。
当該加熱動作開始から一定時間内は、火力値の変更が可能であるので、ユーザーは、右共用キー42Rを押せば、デフォルト火力を上げることも、逆に下げることもできる(ステップS6)。
【0153】
次に、図9について説明する。
図9は、統合表示部15、中央操作部(後方操作部・前方操作部)17、右操作部18及び右火力表示部16Rの、表示状態と入力操作とを示す説明図1である。
この図9は、図8のステップS5の段階から加熱動作を開始した直後の状態を示している。
【0154】
図9において、53Rは、制御条件が変更可能であることを示す変更マークであり、第1エリア15Lと第2エリア15Mでも表示される場合があり、その場合の符号は、53Lと53Mを用いる。
この図9では、右加熱口4Rでの誘導加熱の火力レベルが(9段階の内の)「第6段階」であることを示している。この状態で前記変更マーク53Rが表示されている場合、図9に示すように1対の右共用キー42Rの内、右にある共用キー42Rを押すと、1段階上の火力7に変更でき、逆に左にある共用キー42Rを1回押すと、1段階下の火力5に変更できる。2回押すと2段階火力を上げること又は逆に下げることができる。
【0155】
前記3つの火力表示部16L、16M、16Rの火力表示は、一列状態に並べたLED等の発光素子16REで行う構成になっている。
右火力表示部16Rは、この図9に示すように少なくとも9組(18個)並んだ発光素子16REの発光有無とその発光色によって火力の大きさが9段階に表示される。
例えば、それぞれの発光素子は、青色発光のLED1個と赤色発光のLED1個の計2個を1組に並べられ、それらが合計9組配置されている。
そのため、例えば、火力6は、赤色に発光する6つの発光素子16REによる発光域55と、青色に発光した3つの発光素子16REのグループ(集合体)による発光域56によって表示される。ユーザーから見た場合、赤色発光部が6個並んで表示されることで、火力6であることが容易に分かる。前記発光素子16REは、前記発光制御部37によって発光動作が制御される。
【0156】
更に、左火力表示部16Lには、同様に2色(赤、青)発光する、9組(18個)の発光素子16LE(図示せず)の発光有無とその発光色によって火力の大きさが9段階に表示される。
更に、中央火力表示部16Mは、直線的に並んだ5組の発光素子16ME(5組の赤色発光素子5個と青色発光素子5個)(図18図19参照)の発光有無と、その発光色によって火力の大きさが5段階(火力5段階:1500Wまで)に表示される。
前記発光素子16LEは、前記発光制御部37によって発光動作が制御される。
【0157】
次に、図10について説明する。
図10は、統合表示部15、中央操作部(後方操作部・前方操作部)17、右操作部18及び右火力表示部16Rの、表示状態と入力操作とを示す説明図2である。
この図10(A)では、図9に示した加熱動作を開始した直後の状態を示し、図10(B)では、加熱動作を停止させた直後の状態を示している。
【0158】
火力レベル6で右加熱口4Rにおいて誘導加熱を行っている段階は、図10(A)に示す通りであり、右火力表示部16Rでは「火力6」を表示している。
この段階で、右切入キー41Rを押すと、右IHコイル9Rに駆動は停止し、誘導加熱動作が即時停止する。そして、第3エリア15Rには、トッププレート3の温度が高温、例えば50℃以上である場合には、高温注意表示情報54が表示される。そして、50℃未満に温度が下がるまでその注意表示が継続する。
【0159】
次に、図11について説明する。
図11は、統合表示部15、中央操作部(後方操作部・前方操作部)17、右操作部18及び右火力表示部16Rの、表示状態と入力操作とを示す説明図3である。
図11(A)に示すようにサブ調理モードの1つの「加熱」の識別情報(サブ調理モード表示部)46を、右共用キー42Rで選択した状態から、図8のステップS4で説明したように右切入キー41Rを押さずに、左側の右共用キー42Rを押した場合について説明する。
この場合は、図11(B)に示すように第3エリア15Rには、前記「加熱」の識別情報(サブ調理モード表示部)46に代わり、「揚げ物」の識別情報46が表示される。
右火力表示部16Rは、まだ加熱動作開始前であるので、火力表示を行っていない。青色に発光した9つの発光素子16REのグループ(集合体)による発光域56によって、加熱開始指令を待っている「スタンバイ状態」であることを表示している。
【0160】
次に、図12について説明する。
図12は、右火力表示部16Rにおける表示動作の変遷を示した拡大説明図である。左火力表示部16Lにおける表示動作も同じである。
右火力表示部16Rと左火力表示部16Lは、火力の大きさを最大9段階で表示できるが、図12に示すように予熱工程の進捗度合いも段階的に表示できる。以下、右火力表示部16Rに限定して、予熱工程の進捗度合いの表示動作を説明する。
【0161】
図12に示すように、予熱工程の進捗は、予熱工程1~予熱完了の5段階で表示できる。当該進捗度合いは、被加熱物の温度上昇を制御装置22が検知して、その温度上昇に伴って予熱工程1~予熱完了までの段階であると判定する。
【0162】
予熱工程が開始されると、右火力表示部16Rには図12のように予熱工程の進捗が、発光素子16REの点灯によって表示される。右加熱口4RのIHコイル9Rの火力は、ここでは表示されない。予熱時の火力は、加熱制御部23によって自動的に決定される。
【0163】
図12に示すように、予熱段階1では、赤色に発光する1つの発光素子16REによる発光域55と、青色に発光した3つの発光素子群16REによる発光域56とによって、予熱の進捗度合いが表示される。
予熱段階2は、赤色に発光する1つの発光素子16REと、それと隣接した1つの発光素子が青色に発光することにより、紫色の発光域57が初めて出現する。
この紫色の発光域57は、予熱段階3、予熱段階4と進むに伴って段階的に右横方向に増える。そして、予熱完了段階では、紫色の発光域57だけが横に長く帯状に現れた状態となり、予熱工程の完了を表示する。
以上のように、紫色の発光域57の変化、大きさによって、ユーザーは予熱動作の進捗を知ることができる。
【0164】
次に、図13について説明する。
図13は、統合表示部15、中央操作部(後方操作部・前方操作部)17、右操作部18及び右火力表示部16Rの、表示状態と入力操作とを示す説明図4である。
サブ調理モードとして「揚げ物」を選択した図11(B)の状態から、右切入キー41Rを操作すると、この図13に示すように、加熱動作を開始する場面に進む。揚げ物の設定温度(食用油の目標温度)は、180℃に設定された状態で加熱動作が開始される。
右火力表示部16Rは、赤色の表示領域55と、青色の表示領域56の表示になる。
50は、図7で説明した設定温度表示部である。この図13では。設定温度が180℃であることを示している。
【0165】
次に、図14について説明する。
図14は、統合表示部15、中央操作部(後方操作部・前方操作部)17、右操作部18及び右火力表示部16Rの、表示状態と入力操作とを示す説明図5である。
サブ調理モードとして「揚げ物」を選択し、加熱動作開始した図13に示す状態から、1対の右共用キー42Rの1つ(右側)を操作すると、この図14に示すように、前記設定温度の「180℃」を「190℃」に上げる状態に変わる。このように、揚げ物の設定温度は加熱動作を開始した後で、一定の範囲(例えば、140℃~200℃の範囲)で、10℃刻みで設定できる。1対の右共用キー42Rの1つを操作する都度、10℃ずつ変更できるようになっている。
この場合でも、右火力表示部16Rは、図13に示した状態と変化はなく、赤色の表示領域55と、青色の表示領域56とによる表示が維持されたままとなる。
【0166】
次に、図15について説明する。
図15は、統合表示部15、中央操作部(後方操作部・前方操作部)17、右操作部18及び右火力表示部16Rの、表示状態と入力操作とを示す説明図6である。
この図15は、右加熱口4Rを最初に選択し、かつ、サブ調理モードを選択する場面を示している。
第3エリア15Rには、図8のステップS3のように、1つのサブ調理モード「加熱」が表示されても、左側の右共用キー42Rを1回押すと、「保温」に変更できる。つまり、図15に示すように第3エリア15Rには、前記「加熱」の識別情報(調理モード表示部)46に代わり、「保温」の識別情報(サブ調理モード表示部)46が表示される。この場合、右火力表示部16Rの表示内容は、図11に示した状態と変化はなく、青色の表示領域56だけの表示になる。従って、火力の大きさをこの右火力表示部16Rで確認することはできないし、また、その必要もない。なお、調理モードが「保温」の場合は、右IHコイル9Rは、例えば最大火力が150Wに自動的に設定される。
【0167】
次に、図16について説明する。
図16は、統合表示部15、中央操作部(後方操作部・前方操作部)17、右操作部18及び右火力表示部16Rの、表示状態と入力操作とを示す説明図7である。
この図16は、図15に示したサブ調理モードが「保温」の状態から、右側の右共用キー42Rを1回押すと、「取り消し」に変更できる。つまり、図16に示すように第3エリア15Rには、前記「保温」の識別情報(調理モード表示部)46に代わり、全てのサブ調理モードの設定を取り消すことを表示する取消表示部46Cが表示される。この場合、右火力表示部16Rの表示内容は、赤色の表示領域55も、青色の表示領域56もなく、起動前の状態に戻る。
【0168】
次に、図17について説明する。
図17は、中央操作部15によって選択できるサブ調理モードの種類全体を示した説明図である。第1エリア15Lと第3エリア15Rには、この図17に示した4つの識別情報(サブ調理モード表示部)46と取消表示部46Cとが、正方向と逆方向の順番で順次表示される。
1対の前記右共用キー42Rの内、右側にある右共用キー42Rを押した場合、この図17の正方向R1に、順次サブ調理モードを選択できる。逆に、右共用キー42Rの内、左側の右共用キー42Rを押した場合、この図17の逆方向R2に順次調理モードを選択できる。つまり、右共用キー42Rの内、左側の右共用キー42Rを押した場合、1回押す都度、サブ調理モードは「保温」から「加熱」に代わり、更に「揚げ物」、「焼き物」と変わり、更に1回押すと、取消表示部46Cが表示される(図16参照)。
【0169】
次に、図18について説明する。
図18は、中央加熱口4Cを使用する場合の統合表示部15と中央操作部(後方操作部・前方操作部)17の、表示状態と入力操作とを示す説明図1である。
図18(A)は、加熱室6を使用したサブ調理モードとして、「姿焼き」の識別情報(サブ調理モード表示部)46を第2エリア15Mの前後方向中央部に表示させた例である。
図18(B)は、中央IHコイル9Cを使用した調理(単独調理モードKM3)を示した加熱源表示部47を、第2エリア15Mの前後方向中央部に表示させた例である。
【0170】
図18(A)に示す状態において、1対の前記中央共用キー42Mの内、右側にある中央共用キー42Mを押した場合、この図18(A)の「姿焼き」の識別情報(サブ調理モード表示部)46は、中央加熱口4Cを選択できる加熱源表示部47の表示に変更される。逆に、1対の中央共用キー42Mの内、左側の中央共用キー42Mを押した場合、加熱室6を使用する「切り身」の識別情報(サブ調理モード表示部)46を、第2エリア15Mの中央部に表示させることができる。
【0171】
図18(B)に示す状態において、1対の前記中央共用キー42Mの内、右側にある中央共用キー42Mを押した場合、この図18(B)の第2エリア15Mの表示は、「中央IH」の加熱源表示部47が中央部に表示された表示内容に変更できる。つまり、中央IHコイル9Cを選択できる状態に変更できる。仮に、逆に、1対の中央共用キー42Mの内、左側の中央共用キー42Mを押した場合、図18(B)における加熱源表示部47の表示位置には、加熱室6を使用する「姿焼き」の識別情報(サブ調理モード表示部)46が表示される。
【0172】
第2エリア15Mの中央部に、「中央IH」の加熱源表示部47が表示されると同時に、中央火力表示部16Mには、直線的に並んだ5組の発光素子16ME(5組の赤色発光素子5個と青色発光素子5個)の内、青色の発光素子16MEが発光して、中央加熱口4Cの加熱動作開始に備えた状態となる。なお、このように青色の発光素子16MEが発光した時点では、まだ中央IHコイル9Cは実際の誘導加熱動作は開始していない。
【0173】
次に、図19について説明する。
図19は、中央加熱口4Cを使用する場合の、統合表示部15と中央火力表示部16Mにおける、表示状態と入力操作の状態を示す説明図であり、図18(B)の表示状態で加熱動作を開始した場合を示している。
【0174】
図18(B)の表示状態で、中央切入スイッチ41Mを図19に示したように押すと、中央IHコイル9Cの加熱動作開始が確定する。そして、第2エリア15Mには、制御条件の1つである火力の大きさが、デフォルト設定条件で最初に表示される。ここで、デフォルト設定条件は、例えば、「火力2」であり、500Wに設定されて誘導加熱が開始される。そのように火力表示部48に表示された火力で誘導加熱動作が開始される。
中央加熱表示部16においては、2つの発光素子16MEの発光により、赤色の表示領域55が表示され、また、3つの発光素子16MEは青色の表示領域56を表示する。これにより、赤色の表示領域55によって「火力2」の状態であることをユーザーが明瞭に認識できる。
【0175】
次に、図20について説明する。
図20(A)は、図18(B)の表示状態で、1対の中央共用キー42Mの内、左側の中央共用キー42Mを押した場合の状態を示す説明図である。統合表示部15と中央火力表示部16Mにおける、表示状態と入力操作の状態を示している。
この図20(A)に示したように、第2エリア15Mの中央部に表示されていた加熱源表示部47に代わり、加熱室6を使用する「姿焼き」の識別情報(サブ調理モード表示部)46が表示される。
【0176】
図20(A)の表示状態で、1対の中央共用キー42Mの内、左側の中央共用キー42Mを、更に1回押した場合は、図20(B)の状態に変化する。すなわち、図20(B)に示したように、第2エリア15Mの中央部に表示されていた「姿焼き」の識別情報(サブ調理モード表示部)46が後方位置に移動した形になり、第2エリア15Mの中央部には、「切り身」の識別情報(調理モード表示部)46が表示される。
図20(A)(B)のような加熱室6を使用する調理は、中央加熱口4Cを使用する調理と同時に選択することはできない。すなわち、加熱室6を使用する調理と、中央加熱口4Cを使用する調理とは、互いに排他的関係にあり、それらの何れか一方しか選択できない。
【0177】
次に、図21について説明する。
図21(A)は、加熱室6を使用したサブ調理モードの、加熱動作開始のための入力操作を示す説明図である。具体的には、第2エリア15Mの中に適宜タイミングで現れる補助表示部60の表示動作の変化を示す模式図である。
前記補助表示部60は、加熱動作が開始された以降の、火力レベルの大きさや、設定温度の高低等を表示するものである。
図21(A)に示すように、加熱室6における火力の大きさは、5段階の棒グラフ形態で表示される。赤色表示部61の位置が右方向に表示されるに伴って、火力1~火力5まで順次火力値が大きいことを示す。なお、ここでいう火力とは、上側輻射熱加熱手段12aと、下側輻射熱加熱手段12bとの駆動条件をいう。つまり、第3の加熱手段HM3の加熱能力をいい、マイクロ波加熱手段11(第2の加熱手段HM2)のマイクロ波出力を表示するものではない。
また、設定温度の高低は、赤色表示部61の位置が右方向に表示されるに伴って、高い温度に設定されていることを示す。
【0178】
図21(B)は、加熱室6を使用したサブ調理モードとして、「切り身」の調理を開始する場面を示したものである。
図20(B)に示した状態で、中央切入スイッチ41Mを図21(B)に示したように押すと、加熱室6の第3の加熱手段HM3による加熱動作が確定する。
そして、第2エリア15Mの表示は、この図21(B)に示したように、後方位置に「切り身」のサブ調理モードを示すために、識別情報(サブ調理モード表示部)46が表示される。
53Mは、前記変更マーク53R(図13参照)と同様な変更マークであり、第2エリア15Mの調理に関して、火力や温度、加熱時間等の制御条件が変更可能であることを示すものである。
【0179】
62は、図21(B)に示したように、1つのサブ調理モードの調理が確定した場合、当該サブ調理モードの加熱条件を特定の用語で示す加熱強度情報である。この図21(B)に示した「切り身」のサブ調理モードでは、加熱強度情報は例えば5種類あり、加熱強度の弱い方から順に、「弱め」、「やや弱め」、「標準」、「やや強め」、「強め」の表示が使用される。なお、加熱強度情報は、これ以外でも良く、例えば3種類又は6種類以上であっても良い。例えば、3種類の場合の加熱強度は、例えば、「弱め」、「標準」、「強め」の表示を使用すれば良い。
【0180】
図22は、加熱室6を使用した1つのサブ調理モード(切り身)の場合の、火力の入力操作を示す説明図である。
図21(B)の状態は、加熱強度が「標準」であるので、まだ加熱強度を上げることも、逆に下げることも可能である。そのため、変更マーク53Mは、前記加熱強度情報62の左右両側に、それぞれ表示されていた。
ユーザーが、図21(B)の加熱強度「標準」から、更に加熱強度を上げた場合の例が、図22である。1対の中央共用キー42Mの内、右側の中央共用キー42Mを図22に示すように押せば、加熱強度情報62を「標準」から「強め」へ変更することができる。
この図22の状態では、更に加熱強度を上げることは不可能であるので、変形マーク53Mは、加熱強度情報62の左側だけに表示される。
【0181】
図23について説明する
図20(B)に示した「切り身」のサブ調理モードの状態で、1対の中央共用キー42Mの内、右側の中央共用キー42Mを1回押せば、「切り身」を「グリル」に変更できる。更に、右側の中央共用キー42Mを1回押せば、「グリル」を「オーブン」に変更できる。
図23(A)に示した状態で、中央切入スイッチ41Mを押すと、加熱室6の第3の加熱手段HM3による、オーブン加熱のサブ調理モードによる加熱動作が確定する。
そして、第2エリア15Mの表示は、この図23(B)に示したように、後方位置には、サブ調理モード「オーブン」を示すために、加熱源表示部47が表示される。
【0182】
50は、設定温度表示部である。この設定温度表示部50の1つの例は、ユーザーが設定したオーブン予熱工程の目標加熱温度が「180℃」であることを示すものである。
つまり、この23(B)の状態では、180℃で「オーブン」を行う状態であることが分かる。加熱室6は、加熱制御部23(図5参照)と温度センサー群30とにより、加熱室6の内部の雰囲気温度が、180℃になるまで第3の加熱制御手段HM3により一気に加熱される。そして180℃になった段階で、予熱完了となる。なお、予熱が完了すると、報知手段40の音声報知部49や統合表示部15によって報知される。そして、その設定温度(例:180℃)を維持するために、一定の時間だけ第3の加熱制御手段HM3の通電が加熱制御部23によって自動的に制御される。
【0183】
図24について説明する
図24(B)に示したサブ調理モードの状態で、1対の中央共用キー42Mの内、左側の中央共用キー42Mを1回押せば、前記した設定温度(180℃)を下げることができる。1回中央共用キー42Mを押す都度、10℃だけ温度を下げることができる。図24(A)は、このようにして170℃に変更した場面を示している。なお、図23(B)と図24の何れの状態でも、前記変更マーク53Mは、前記設定温度表示部50の左右両側に、それぞれ表示されているので、設定温度を上げることも、逆に下げることも可能である。
【0184】
図25について説明する
図25は、加熱調理器1の、中央操作部17によって選択できる加熱室6を使用したサブ調理モードの種類全体を示した説明図である。
この図25から明らかなように、サブ調理モードは、全部で5つある。すなわち、「中央IH」、「姿焼き」、「切り身」、「グリル」及び「オーブン」である。これら5つのサブ調理モードを識別できるように前記サブ調理モード表示部46が、前記第2エリア15Mに表示される。
また、この図25に示したように、1つの取消表示部46Cと、前記識別情報(サブ調理モード表示部)46及び加熱源表示部47は、正方向R1と逆方向R2の順番で、前記第2エリア15Mの範囲に順次表示される。
【0185】
次に、図26について説明する。
図26は、加熱調理器1の起動時の動作を示すフローチャート1である。
図8で説明したように、最初に右操作部18の右端部にある主電源スイッチ20の操作用ボタン(キー)20Aを(一定時間以上継続して)押し続けると、主電源スイッチ20が閉じられて電源回路27に商用電源が印加される。なお、電源回路27がONの状態において、再び操作用ボタン20Aを、例えば数秒間押し続けることにより、電源回路27はOFFとなる。
【0186】
図26に示した動作は、制御装置22の基本動作プログラムに規定されている。
最初に、前記主電源スイッチ20の操作ボタン20Aが押された場合(ST1)、電源回路27に商用電源を印加する。
次のステップST2では、加熱制御部23が、異常の有無を判定(以下、「初期自己チェック」という)する。また、このステップST2の段階で、前記通信端末200又はクラウドサーバー300に対して、加熱調理器1から起動情報を送信するような設定になっていた場合、この段階で通信部25から起動情報(運転状態データ)を無線で送信する。なお、前記初期自己チェックの結果、異常があった場合には、異常検知の情報が起動情報に含めて外部へ送信される場合がある。
【0187】
次のステップST3では、前記初期自己チェックの結果、異常がない場合には、統合表示部15を起動する。統合表示部15では、第1エリア15L~第3エリア15Rまでの全ての表示画面が起動され、それら第1エリア15L~第3エリア15Rの表示画面は、「待機時初期画面」になる。ここでいう待機時初期画面には、「調理を開始できること」や「使用上の注意事項」等を表示した案内画面のことであり、前記第1エリア15L~第3エリア15Rの個々に表示しても良いが、3つの表示エリアを1つに結合させて広い表示エリアにしたまま、注意事項等を表示しても良い。なお、この段階で、加熱制御部23は、この加熱調理器1の総電力消費量の上限値について、入力操作部36から設定指令を受けているかどうかも確認する。
【0188】
ステップST3の段階では、音声報知部22によっても、加熱手段の選択を促すための報知と、音声ガイドを行う。
次のステップST4では、統合表示部15において、ユーザーへ入力操作を促す表示を行う。すなわち、使用する加熱手段の選択や調理モードの選択を求める情報(以下、「初期入力推奨情報」という)の表示を行う。なお、初期入力推奨情報の表示の次の段階で図8に示したように、第1エリア15L~第3エリア15Rの全てにおいて、調理モードのデフォルト表示として「保温」を示す前記調理モード表示部46を表示しても良い。あるいは、第2エリア15Mには「中央IH」という加熱源表示部47を表示しても良い。
【0189】
そして、後方操作部17Bに配置された3対の入力キーの操作の有無をチェックする。すなわち、左共用キー42L、中央共用キー42M及び右共用キー42Rの中の何れが操作されたかどうかを判別する(ST5)。例えば、図8で説明したステップS2のように、右共用キー42Rが操作された場合は、ステップST5は「Yes」となり、ステップST6に進む。
【0190】
なお、ステップST5では、最新の入力操作をチェックする。例えば、右共用キー42Rが押され、それに続いて、右切入キー41Rが押される前に、左共用キー42L又は中央共用キー42Mが操作されたかどうかを判別する。3つの加熱手段HM1~HM3の選択は、3つの切入スイッチ41L、41M、41Rを押した時点で確定するため、これら確定前に、3対の前記共用キー42L、42M、42Rの何れかを押せば、それら共用キーに対応した加熱手段が選択できる。
【0191】
ステップST6では、許可条件判定部26が「許可条件」を満たすかどうかについてチェックをする。例えば、「連携調理モード」KM1で使用される加熱源の使用状態をチェックする。既に右加熱口4Rの右IHコイル9Rが別の調理で加熱動作中の場合には、許可条件の判定は「使用不可」、すなわち、「No」判定となる。
この図26の場合は、主電源スイッチ20をONにした直後であるので、別の調理で先に使用されていることはあり得ないため、「使用可」、すなわち、「Yes」判定となる
【0192】
図26において、ステップST6は、「許可条件1」を判定する段階である。
ここで「許可条件1」とは、
(1)加熱調理器1で使用できる最大使用電力の上限値を規定している「ピークカット値」が、5000W以上であること、
(2)外部のクラウドサーバー300又は通信端末200から、通信部25経由で制御装置22が受信した電力削減指令信号がある場合、その削減指令のピークカット値が5000W以上であること、
の2つであり、この2つを満たせば、ステップST6は「Yes」判定になる。
【0193】
次のステップST7における「許可条件2」とは、以下の4つである。
(1)第1の加熱手段HM1において、中央加熱口4Cが加熱動作中ではない。
(2)第2の加熱手段HM2又は第3の加熱手段HM3の、一方又は両方が加熱動作中ではない。
【0194】
(3)第1の加熱手段HM1において、右加熱口4Rと左加熱口4Lの両方とも加熱動作に使用されていない(又は、一方だけが加熱動作に使用中である)。つまり、左IHコイル9Lと右IHコイル9Rの両方とも、加熱動作に使用されていない。
(4)トッププレート3と加熱室6の最新の温度が制限値(例えば、50℃)を超えるような高温ではないこと。
【0195】
以上の4つを満たせば、ステップST7は「Yes」判定となる。そして、ステップST9に進む。つまり、図8のステップS4で説明したように、3つの加熱口や加熱室6の選択が確定し、調理開始のステップに進むことができる。すなわち、ステップST9において、例えば、図9で説明したように、右加熱口4Rを使用した誘導加熱の調理工程に進むことができ、第1エリア15Rには、火力等の制御条件(火力表示部48)が表示される。
【0196】
前記ステップST6とST7で「No」の判定になった場合は、ステップST8に進み、選択した調理モードは選択できないことを前記統合表示部15と音声報知部22の、少なくとも何れか一方によってユーザーへ知らせる。そして、別の加熱手段やメイン調理モードを選択することを求める。例えば、連携調理モードKM1から単独調理モードKM3に変更しない限り、許可条件が満たされないことをユーザーへ報知する。
【0197】
なお、この実施の形態1では、前記中央操作部17Mで選択できる複合調理モードKM2には、中央IHコイル9Cによる単独調理モードKM3の1つの調理メニューとして、例えば「炊飯」や「保温」というサブ調理モードのメニューも例外的に含んでいる。例えば、図25で説明した「中央IH」という加熱源表示部47を選択すれば、その直後に、「炊飯」と「保温」というサブ調理モードの識別情報46が、順次表示される。
【0198】
主電源スイッチ20の「ON」の後、加熱室6のドア7が開けられた場合、このドア7の開放を制御装置22が検知する。
ユーザーが加熱室6を使用する調理を行うものと推定し、前記初期待機画面においては、図18図24に示したように第2エリア15Mに、識別情報(サブ調理モード表示部)46や加熱源表示部47を、自動的に表示させる機能がある。
つまり、主電源スイッチ20が「ON」になった直後、統合表示部15の表示画面は、前述した「待機時初期画面」が表示される。この後、ドア7が開放された直後には、後方操作部17Bにある1対(2個)の共用スイッチ42Mの、操作部の1つが操作されなくとも、自動的に第2エリア15Mだけに、識別情報(サブ調理モード表示部)46や加熱源表示部47が表示される。
【0199】
前記統合表示部15の表示画面は、左加熱口4Lの左IHコイル9Lと右加熱口4Rの右IHコイル9Rが、何れも調理に使用されている場合、第1エリア15Lと第3エリア15Rの双方において、識別情報(サブ調理モード表示部)46や設定温度表示部50、火力表示部48等が表示される。
また、第1エリア15L~第3エリア15Rでは、加熱動作を終えた後には、図10(B)で説明したような高温注意表示情報54が自動的に表示される。
【0200】
実施の形態1の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態1では、以下の通り第1の開示に関する加熱調理器1を開示していた。
すなわち、第1の開示に関する加熱調理器1の1つの形態は、
左加熱口4Lと右加熱口4Rと、
前記左加熱口4Lと右加熱口4Rにそれぞれ対応している複数の加熱部(IHコイル9L、9R)と、
複数の前記加熱部に共通して使用され、当該加熱部の動作に関係する情報(例えば、火力等の制御条件)を表示する統合表示部15と、を備え、
前記統合表示部15は、1つの表示エリアの中が、前記左加熱口4L用の左エリア(第1エリア)15Lと、前記右加熱口4R用の右エリア(第3エリア)15Rと、に分割(区画)されて表示する機能を有し、
入力操作部36が、前記統合表示部15の手前に配置され、
前記入力操作部36には、後方操作部17Bと前方操作部17Fとを有し、
前記後方操作部17Bには、前記左エリア15Lの手前に位置している左共用キー42Lと、前記右エリア15Rの手前に位置している右共用キー42R、とが配置されており、
前記前方操作部17Fには、前記左共用キー42Lよりも更に手前に位置し、前記左加熱口4Lを選択する左切入キー41Lと、前記右共用キー42Rよりも更に手前に位置し、前記右加熱口4Rを選択する右切入キー41Rと、を有し、
前記左エリア15L又は前記右エリア15Rの何れかに、複数のサブ調理モード(例:揚げ物、焼き物、保温)の内から、 前記左共用キー42L又は前記右共用キー42Rにより選択した1つのサブ調理モードの識別情報(調理モード表示部)46が表示されている状態で、前記左切入キー15L又は前記右切入キー41Rを操作すれば、前記左加熱口4L又は前記右加熱口4Rの選択と、前記識別情報46に対応した調理の開始を決定できること、
を特徴とする構成である。
【0201】
この構成であるから、複数の加熱口において各種の加熱調理に幅広く対応でき、ユーザーの入力操作の効率化や入力負荷の軽減に貢献する加熱調理器1を提供することができる。
【0202】
更に、上記した実施の形態1の構成の加熱調理器1によれば、1つの統合表示部15を中心として、少なくとも左右の加熱口4L、4Rの選択と、サブ調理モードの選択が、前記統合表示部15の左エリア(第1エリア)15Lと、右エリア(第3エリア)15Rの前方において集中して行える。
このため、ユーザーは選択すべき2つの(左右)加熱口4L、4Rと、サブ調理モードや制御条件(火力や設定温度等)を入力する各種入力スイッチ類(左共用キー41L、右共用キー41R、左切入キー42L、右切入キー42R)の対応関係について、正しく認識でき、誤操作を防止することが期待できる。そのため、ユーザーにとって使い勝手の良い加熱調理器1を提供することができる。
【0203】
更に、実施の形態1の加熱調理器1では、
前記左共用キー42L又は前記右共用キー42Rを操作する動作に応じて、前記サブ調理モードの中から1つの調理モードの前記識別情報(調理モード表示部)46と、次の選択候補となる別のサブ調理モードの前記識別情報(サブ調理モード表示部)46Aとを、前記左エリア15L又は前記右エリア15Rにおいて、同時に表示させることができる構成であった。
【0204】
この構成であるから、左共用キー42L又は前記右共用キー42Rを操作して調理モードを選択する際に、目的とする調理モードを簡単に選択することができる。
【0205】
更に、実施の形態1の加熱調理器1では、
前記左共用キー42L又は前記右共用キー42Rは、それぞれが1対のキーを有し、それらキーの何れか一方は、複数の前記識別情報46を、規定の順序(正方向R1)で表示させるアップキーであり、他方の前記キーは、前記規定の順序と反対の順序(逆方向R2)で表示させるダウンキーであること、を特徴とする構成であった。
【0206】
この構成であるから、左共用キー42L又は前記右共用キー42Rを操作して調理モードを選択する際に、目的とする調理モードを簡単に選択することができる。
【0207】
更に、実施の形態1の加熱調理器1では、
前記左加熱口4Lと前記右加熱口4Rとの間に中央加熱口4Cを、更に設け、
前記統合表示部15は、前記左エリア15Lと、前記右エリア15Rとの間に、前記中央加熱口4C用の中央エリア15Mを表示する機能を有していること、を特徴とする構成であった。
【0208】
この構成であるから、3つの加熱口4L、4C、4Rを備えた加熱調理器1となるので、同時に使用できる被加熱物(鍋など)が増え、使い勝手が向上する。
【0209】
更に、実施の形態1の加熱調理器1では、
前記後方操作部17Bには、前記中央エリア15Mの手前に中央共用キー(スイッチ)42M、更に配置しており、
前記前方操作部17Fには、前記中央共用キー(スイッチ)42Mよりも更に手前に、前記中央加熱口4C(中央IHコイル9C)を選択するための、中央左切入キー(スイッチ)41Mを配置していること、を特徴とする構成であった。
【0210】
この構成であるから、3つの加熱口4L、4C、4Rを備えた加熱調理器1となるので、同時に使用できる被加熱物(鍋など)が増え、使い勝手が向上するとともに、ユーザーは選択すべき3つの(左、中央、右)加熱口4L、4C、4Rと、サブ調理モードや制御条件(火力や設定温度等)を入力する各種入力スイッチ類(左共用キー41L、中央共用キー41M、右共用キー41R、左切入キー42L、中央切入キー42M、右切入キー42R)の対応関係について、正しく認識でき、誤操作を防止することが期待できる。そのため、この面でも使い勝手の良い加熱調理器1を実現することができる。
【0211】
更に、この実施の形態1では、以下の通り第2の開示に関する加熱調理器1を開示していた。
すなわち、第2の開示に関する加熱調理器1の1つの形態は、
左加熱口4Lと右加熱口4Rと、
前記左加熱口4Lと前記右加熱口4Rにそれぞれ対応している加熱部(IHコイル9L、9R)と、
前記加熱部の動作に関する情報を表示する統合表示部15と、
前記加熱部を制御する制御装置22と、を備え、
前記統合表示部15は、1つの表示エリアの中が、前記左加熱口4L用の左エリア15Lと、前記右加熱口4R用の右エリア15Rと、に分割(区画)されて表示する機能を有し、
前記制御装置22は、
前記左エリア15Lと、前記右エリア15Rの何れかに、複数のサブ調理モード(例:揚げ物、焼き物、保温)の内から、1つのサブ調理モードの識別情報(調理モード表示部)46を表示するステップS1(図8参照)と、
前記左エリア15Lに対応している左共用キー42L又は前記右エリア15Rに対応している右共用キー42Rの、何れか1つの操作を受け付けるステップS2(図8参照)と、
前記ステップS2の操作を受けて、前記識別情報(サブ調理モード表示部)46と異なる識別情報を表示するステップS3(図8参照)と、
前記ステップS3の後で、前記ステップS2で操作した左共用キー42L又は前記右共用キー42Rの、何れか一方に対応した左加熱口4Lを選択する左切入キー42L又は前記右加熱口4Rを選択する右切入キー42Rの操作を受け付けるステップS4(図8参照)と、
を順次実行すること、を特徴とする構成である。
【0212】
この構成であるから、複数の加熱口において各種の加熱調理に幅広く対応でき、ユーザーの入力操作の効率化や入力負荷の軽減に貢献する加熱調理器1を提供することができる。
【0213】
更に、上記した実施の形態1の構成の加熱調理器1によれば、1つの統合表示部15を中心として、少なくとも左右の加熱口4L、4Rの選択と、サブ調理モードの選択が、前記統合表示部15の左エリア(第1エリア)15Lと、右エリア(第3エリア)15Rの前方において集中して行える。
このため、ユーザーは、統合表示部15の左エリア15L又は右エリア15Rに対して、その前方にある共用キー(スイッチ)41L、42Rを操作してサブ調理モードを選択した上で、加熱動作の開始を、左切入キー41L又は右切入キー41Rによって決定できる。このため、サブ調理モードの選択と、左右に離れた加熱口4L、4Rの選択とを、1つの統合表示部15の前方に位置している左右の共用キー42L、42Rと、左右の切入キー41L、41Rとによって、効率良く行うことができる。そのため、ユーザーにとって使い勝手の良い加熱調理器1を提供することができる。
【0214】
更に、この実施の形態1では、以下の通り第3の開示に関する加熱調理器1を開示していた。
すなわち、第3の開示に関する加熱調理器1の1つの形態は、
左加熱口4Lと右加熱口4Rと、
前記左加熱口4Lと前記右加熱口4Rにそれぞれ対応している加熱部(IHコイル9L、9R)と、
前記加熱部の動作に関する情報を表示する統合表示部15と、
前記加熱部を制御する制御装置22と、を備え、
前記統合表示部15は、1つの表示エリアの中が、前記左加熱口4L用の左エリア15Lと、前記右加熱口4R用の右エリア15Rと、に区画されて表示する機能を有し、
前記制御装置22は、
前記左エリア15Lと、前記右エリア15Rの何れかに、複数のサブ調理モード(例:揚げ物、焼き物、保温)の内から、1つのサブ調理モードの識別情報(サブ調理モード表示部)46を表示するステップS1(図8参照)と、
前記左エリア15Lに対応している左共用キー42L又は前記右エリア15Rに対応している右共用キー42Rの、何れか1つの操作を受け付けるステップS2(図8参照)と、
前記ステップS2の操作を受けて、前記識別情報(サブ調理モード表示部)46と異なる識別情報を表示するステップS3(図8参照)と、
前記ステップS3の後で、前記ステップS2で操作した前記左共用キー42L又は前記右共用キー42Rの、何れか一方に対応した左加熱口4Lを選択する左切入キー41L又は前記右加熱口4Rを選択する右切入キー41Rの操作を受け付けるステップS4(図8参照)と、
デフォルト設定の火力で加熱動作を開始させるステップS5(図8参照)と、
前記ステップS5で開始した前記火力を前記左共用キー42L又は前記右共用キー42Rの操作を受けて別の火力に変更するステップS6(図8参照)と、
を順次実行すること、を特徴とする構成である。
【0215】
この構成であるから、複数の加熱口において各種の加熱調理に幅広く対応でき、ユーザーの入力操作の効率化や入力負荷の軽減に貢献する加熱調理器1を提供することができる。
【0216】
更に、上記した実施の形態1の構成の加熱調理器1によれば、1つの統合表示部15を中心として、少なくとも左右の加熱口4L、4Rの選択と、サブ調理モードの選択が、前記統合表示部15の左エリア(第1エリア)15Lと、右エリア(第3エリア)15Rの前方において集中して行える。
このため、ユーザーは、統合表示部15の左エリア15L又は右エリア15Rに対して、その前方にある左共用キー42Lと右共用キー42Rを操作してサブ調理モードを選択した上で、加熱動作の開始を、左切入キー42L又は右切入キー42Rによって決定できる。
このため、サブ調理モードの選択と、左右に離れた加熱口4L、4Rの選択と、火力の設定(デフォルト設定に対する変更)とを、1つの統合表示部15の前方に位置している左右の共用スイッチ42L、42Rと、左右の切入キー41L、41Rとによって、効率良く行うことができる。そのため、ユーザーにとって使い勝手の良い加熱調理器1を提供することができる。
【0217】
更に、実施の形態1の加熱調理器1では、以下のように各種の特徴的構成を有し、それら構成に応じて以下述べるように、特有の効果を期待できる。
すなわち、図6で説明したように、統合表示部15の直ぐ右側方向の位置には、右火力表示部16Rが配置されている。また、前方操作部17Fの前方端縁を真横に横切るような左右方向の基準線(直線)BLに沿って、その前方操作部17Fの右側に少し離れて右操作部18が配置されている。
前記右操作部18には、タイマースイッチ43、このタイマースイッチ43の設定時間の変更を行うための、設定キー44及び音声入力モードの設定用入力キー29が、一直線上に配置されている。
【0218】
この構成であるから、左加熱口4L、中央加熱口4C、右加熱口4R及び加熱室6の、何れの調理の場合も、中央操作部17の横にある右操作部18によって、タイマー機能の加熱時間管理や、音声入力モードへの切替等の各種操作を、ユーザーが効率的に行うことができる。つまり、中央操作部17と右操作部18によって、左加熱口4L、中央加熱口4C、右加熱口4R及び加熱室6の、計4個所における加熱調理の条件設定を「集中的」に行うことができる。なお、ここでいう「集中的」とは、ユーザーが左右に腕を伸ばして入力操作する必要がなく、図6から分かるように、比較的狭い範囲で入力操作を的確にできることをいう。
【0219】
実施の形態2.
図27は、実施の形態2を示す加熱調理器1の、統合表示部15と中央操作部(後方操作部・前方操作部)17の、表示状態と入力操作とを示す説明図1である。図28は、実施の形態2を示す加熱調理器1の、統合表示部15と中央操作部(後方操作部・前方操作部)17の、表示状態と入力操作とを示す説明図2である。図29は、図27に示した加熱調理器1において、外部からレシピデータCDを取得する動作を示すフローチャートである。なお、図1図26に説明した実施の形態1の構成と、同一又は相当部分は、同じ符号を付けている。
【0220】
この実施の形態2では、加熱調理器1の統合表示部15及び中央操作部17の構成が、実施の形態1と異なる。
すなわち、この実施の形態2では、統合表示部15の表示画面を、タッチ入力パネルで構成し、その統合表示部15の中に、タッチ入力式の(3対の)共用キー42L、42M、42Rを設けた点で、実施の形態1と大きく異なる。
【0221】
図27について説明する。
統合表示部15は、その表示画面がタッチパネル入力機能を有したタッチパネルによって構成されている。
実施の形態1と同様に、統合表示部15の表示画面は、左右方向に隣接するように並んでいる左表示エリア(左エリア)15Lと、中央表示エリア(中央エリア)15Mと、右表示エリア(右エリア)15Rと、を有している。
【0222】
前記左エリア15Lは、後方エリア63Bと、この後方エリア63Bに隣接した前方エリア63Fとの、2つの部分から構成されている。但し、この後方エリア63と前方エリア63Fは、ハードウエア上で別個に形成されている訳ではない。前方エリア63Fだけは、ユーザーが行うタッチ操作を受け付ける機能がある。実施の形態1の左共用キー42Lは、この実施の形態2では、ユーザーの指先FGのタッチを検知するアイコン形式で構成されている。つまり、左右1対の左共用キー42Lの何れかに対して、ユーザーの指先が触れた場合、そのタッチ操作が検知され、情報の入力が可能である。
【0223】
前方エリア63Fにおける(有効な)タッチ入力は、前記左共用キー42Lの部分に触れる操作だけに限定されており、左共用キー42Lの部分を外れた位置にタッチしたり、後方エリア63Bをタッチしたりしても、何ら有効な入力信号は発生しない。なお、左共用キー42以外の前方エリア63Fの表面を指先で軽く叩く操作であるタップはもちろん、同じく表面を指ではじく操作であるフリック、表面を指でなぞる操作(指を滑らす操作)であるスワイプ等の各種タッチジェスチャー操作は、何れも有効な操作ではなく、そのような操作での入力は不可能である。
【0224】
中央加熱口4Cと加熱室6の調理に使用するための、中央エリア15Mにおいても、後方エリア64Bと、この後方エリア64Bに隣接した前方エリア64Fとの、2つの部分から構成されている。そして、左エリア16Lと同様に、1対の中央共用キー42Mは、ユーザーの指先FGのタッチを検知するアイコン形式で構成されている。
【0225】
更に、右エリア15Rも、後方エリア65Bと、この後方エリア65Bに隣接した前方エリア65Fとの、2つの部分から構成されている。そして、左エリア16Lと同様に、1対の右共用キー42Rは、ユーザーの指先FGのタッチを検知するアイコン形式で構成されている。
【0226】
67は、設定時間表示部であり、タイマースイッチ43を使用して調理時間を設定した場合には、設定した時間が1秒単位で表示される。
70は、レシピデータ取得キー(スイッチ)である。これは、通信部25(図5参照)を介して外部からレシピデータCD(CD1、CD2)を取得することを許可する機能を有している。つまり、実施の形態1では、調理メニューの種類に応じて、その都度、レシピデータCDを取得する前に入力操作が必要なスイッチ(キー)は、3つの共用キー42L、42M、42Rであった。これに対して、この実施の形態2では、レシピデータ取得キー70に統一している。
【0227】
レシピデータ取得キー(スイッチ)70は、前方操作部17Fの右端部に近い位置で、右操作部18の左端部に配置されている。なお、外部から制御装置22がレシピデータCDを受信した場合、このレシピデータ取得キー(スイッチ)自体の表面が(LED等の発光素子によって)照らされて、操作が可能なことを表示するように構成してある。その発光素子(図示せず)は、発光制御部37により発光動作が制御される。
【0228】
次に、図28について説明する。
図28は、図27に示した加熱調理器1において、実際に調理を行っている場合の、統合表示部15と中央操作部(後方操作部・前方操作部)17の、表示状態と入力操作とを示した説明図である。
【0229】
図28に示した例は、左加熱口4Lと右加熱口4Rで、それぞれ加熱調理を行っている途中段階を示したものである。
66は、残り時間表示部であり、タイマースイッチ43を使用して調理時間を設定した場合には、調理の経過時間が1秒単位で表示される。この残り時間表示部66の表示内容から、この図28の例では、あと7分間で左加熱口4Lにおける調理が終わることが分かる。
この図28から明らかなように、左加熱口4Lで加熱動作中である場合には、左切入キー41Lは、下方からLED等の発光素子(図示せず)で照らされて、動作中であることを表示している。例えば、黄色い光で照らされて左切入キー41Lの存在感を増すようにしている。
【0230】
同様に、右加熱口4Rで加熱動作中であるから、右切入キー41Rは、下方からLED等の発光素子(図示せず)で照らされて、動作中であることを表示する。例えば、黄色い光で照らされて右切入キー41Rの存在感を増すようにしている。
【0231】
更に、左共用キー42Lと、右共用キー42Rについても、火力や温度等の制御条件の入力が可能である期間中は、図28から分かるように、タッチ操作するアイコンの部分を、図27の場面と異ならせる。あるいは表示する色を変える。これらにより、入力可能時期と不可能時期が明瞭に分かるように表示する。このような表示デザインの変更は、制御装置22からの加熱動作の状態信号を受けて、統合表示部15自体の制御プログラムによって実行される。
【0232】
次に、図29について説明する。
この図29において、ステップSS1~SS8は、制御装置22の統合制御プログラムの中に規定された「レシピデータCDの取得用」の動作ステップでる。
【0233】
最初に、前記主電源スイッチ20の操作ボタン20Aが押された場合、次のステップSS1では、入力操作部36の入力機能を有効にする。
次に、統合表示部15が起動されるので、左エリア15L、中央エリア15M、右エリア15Rに、それぞれ待機時初期画面を表示する(ステップSS2)。
【0234】
加熱調理器1は、事前に登録設定した前記通信端末200又はクラウドサーバー300に対して、調理のレシピデータCDの提供を要求する信号を発信するかどうか、ユーザーに事前の確認求める場合があるが、このような外部接続を自動的に実行することを、入力操作部36の機能設定キー45によって事前に行っておけば、規定のタイミングで自動的に接続動作が行われる。つまり、スマートフォン200と加熱調理器1のペアリングを自動的に行って、そのスマートフォン200と加熱調理器1との間の無線通信330を確立することができる(ステップSS3)。音声報知部49では、外部からレシピデータCDの取得動作を行っても良いとの音声報知を実施しても良い。
【0235】
前記ステップSS3の外部接続は、加熱調理器1と外部通信機器(通信端末200やクラウドサーバー300等をいう)との間で、交互に何回か送信・受信を繰り返し行う。
例えば、最初に通信端末200から特定の調理メニュー(例えば「ハンバーグ」)のレシピデータCDを送信する前の段階で、当該調理メニューを特定するための予告信号(予告情報)を加熱調理器1に送信する。
【0236】
すると、この予告信号を加熱調理器1が解析し、ハンバーグのレシピデータCDであることを確認できた場合、統合表示部15において、レシピ取得操作を促す表示を行う(ステップSS4)。
例えば、前記ハンバーグの調理は、最初に右加熱口4R又は左加熱口4Lにおいて調理工程1を行う必要があるが、何れにおいても、この段階でレシピデータ取得キー(スイッチ)70を押す必要がある。
【0237】
前記予告情報の送信データを受けて加熱調理器1では、内部の状態状態(例えば、総電力消費量の設定値等)を確認し、問題なければ、レシピデータ取得キー70の入力操作を受けて次の段階に進めるための選択信号(後述する)を送信する、というようなプロセスを実行する。つまり、図26で説明したような「許可条件1」と「許可条件2」を満たすかどうかの判定が、図示していないが、このステップSS3とSS4の間で行われる。そして、前記許可条件を全て満たした場合には、予告情報が加熱調理器1に正式に取得され、当該予告情報に対応した連携調理モードKM1の調理メニューの識別情報72が統合表示部15に表示される(ステップSS4)。
【0238】
この場合、調理メニューによっては、左エリア15L又は右エリア15Rの何れかに、前記識別情報72が表示される。また、調理工程1が加熱室6で行われる調理メニュー(例えば、「からあげ」)の場合には、中央エリア15Mに識別情報72が表示される。
【0239】
次に加熱調理器1において、前記識別情報72が表示された左エリア15Lに対応した左共用キー42L又は右エリア15Rに対応した右共用キー42Rの何れか1つを操作することが、統合表示部15と音声報知部49とで推奨される(ステップSS4)。
つまり、特定の調理メニュー(この場合、「ハンバーグ」)を選択したことを示すための「レシピ選択情報」を加熱調理器1が通信部25経由で発信する(ステップSS5)ためには、左共用キー42L又は右共用キー42Rが事前に操作することが必要である。
この操作が行われると、加熱調理器1からレシピ選択情報が、通信端末200又はクラウドサーバー300に対して送信され、それらが受信側で認識される。
その後、前記通信端末200から、前記レシピ選択情報を受けて、レシピデータCDを送信すると加熱調理器1で受信処理がされ(ステップSS6)。レシピデータ記憶部21Aに特定のレシピデータCDが格納(記憶)される。なお、前記した「からあげ」の場合は、ステップSS4の段階では、中央共用キー42Mを操作することになる。
【0240】
そして、最終的には前記外部通信機器(通信端末200等)側から必要な「設定情報」(この中には、レシピデータCDを含む)の受信が完了する。つまり、加熱調理器1側では、1回信号を受信すると、その直後に別の信号を返信する等の何回かの交互通信を行って、最終的に必要な前記「設定情報」の受信が完了する(ステップSS7)。
【0241】
次のステップSS8では、前記通信端末200等の外部機器から取得した前記レシピデータCDの内容、特に1つの調理メニューに固有の識別情報72を、統合表示部15において表示する。また、音声報知部49では、例えば「ハンバーグのレシピを受信しました」のように、受信事実を報知する。
【0242】
以上の説明から明らかなように、前記制御装置22は、
(1)特定の通信端末200と通信状態を確立する通信確立ステップ(SS3)と、
(2)前記通信確立ステップ(SS3)の後に、前記通信部25から取得した予告情報に応じて、前記共用キー42L~42Rの何れか1つの操作が必要であることを示す情報を、前記報知手段40において報知する報知ステップ(SS4)と、
(3)前記報知手段40で報知された前記共用キー42L~42Rの何れか1つが操作された場合、選択情報を発信する確認ステップ(SS5)と、
(4)前記選択情報Aを送信後に、前記レシピデータCDの受信に備える受信待機ステップ(SS6)と、
を順次実行する構成になっている。
【0243】
なお、前記予告情報を受信した段階(ステップSS3)では、実施の形態1の図26で説明した「許可条件1」と「許可条件2」のチェックが行われるから、例えば、右加熱口4Rと加熱室6が、それぞれ別の調理で使用されている「占用状態」である場合、取得するレシピデータCDによっては、加熱室6を使用する調理工程が必須である場合があり、その場合は、許可条件2が満たされないため、レシピデータCDの取得は許可されない。
【0244】
実施の形態2の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態2では、以下の通り第4の開示に関する加熱調理器1を開示していた。
すなわち、第4の開示に関する加熱調理器1の1つの形態は、
左加熱口4Lと右加熱口4Rと、
前記左加熱口4Lと前記右加熱口4Rにそれぞれ対応している複数の加熱部(IHコイル9L、9R)と、
複数の前記加熱部に共通して使用され、当該加熱部の動作に関する情報(例えば、火力等の制御条件)を表示する統合表示部15と、を備え、
前記統合表示部15は、1つの表示エリアの中が、前記左加熱口4L用の左後方エリア63Bと、前記右加熱口4R用の右後方エリア65Bと、前記左後方エリア63Bの手前にある左前方エリア63Fと前記右後方エリア65Bの手前にある右前方エリア65Fと、に区画されて表示する機能を有し、
前記左後方エリア63Bの中にはタッチ式で入力が可能な左共用キー42Lを配置し、前記右後方エリアの65Bの中にはタッチ式で入力が可能な右共用キー42Rを配置し、
入力操作部36が、前記統合表示部15の手前に配置され、
前記入力操作部36には、前記左共用キー41Lよりも更に手前に位置し、前記左加熱口4Lを選択する左切入キー42Lと、前記右共用キー41Rよりも更に手前に位置し、前記右加熱口4Rを選択する右切入キー42Rと、を配置し、
前記左後方エリア63B又は前記右後方エリア65Bの何れかに、複数のサブ調理モード(例:揚げ物、焼き物、保温)の内から選択した1つのサブ調理モードの識別情報(サブ調理モード表示部)46が表示されている状態で、前記左切入キー42L又は前記右切入キー42Rを操作すれば、前記左加熱口4L又は前記右加熱口4Rの選択と、前記識別情報に対応した調理の開始を決定できること、
を特徴とする構成である。
【0245】
この構成であるから、複数の加熱口において各種の加熱調理に幅広く対応でき、ユーザーの入力操作の効率化や入力負荷の軽減に貢献する加熱調理器1を提供することができる。
【0246】
更に、上記した実施の形態2の構成の加熱調理器1によれば、1つの統合表示部15を中心として、少なくとも左右の加熱口4L、4Rの選択と、サブ調理モードの選択が、前記統合表示部15の左エリア15Lと、右エリア15Rの前方において集中して行える。
このため、ユーザーは選択すべき2つの(左右)加熱口4L、4Rと、サブ調理モードや制御条件(火力や設定温度等)を入力する各種入力スイッチ類(左共用キー41L、右共用キー41R、左切入キー42L、右切入キー42R)の対応関係について、正しく認識でき、誤操作を防止することが期待できる。そのため、ユーザーにとって使い勝手の良い加熱調理器1を提供することができる。
【0247】
また、左共用キー42Lと右共用キー42Rを、前記統合表示部15の中に、タッチ式で入力が可能なように配置した構成であるので、左共用キー42Lと右共用キー42Rを機械的なキーで構成することに比較してスイッチ部等の部品点数を減らすことが可能となり、製造原価の低減効果も期待できる。
【0248】
更に、実施の形態2の加熱調理器1では、
前記左共用キー42L又は前記右共用キー42Rを操作する動作に応じて、前記サブ調理モードの中から1つのサブ調理モードの前記識別情報(サブ調理モード表示部)46と、次の選択候補となる別のサブ調理モードの前記識別情報(サブ調理モード表示部)46Aとを、前記左エリア15L又は前記右エリア15Rにおいて、同時に表示させることができる構成であった。
【0249】
この構成であるから、左共用キー42L又は前記右共用キー42Rを操作してサブ調理モードを選択する際に、目的とするサブ調理モードを簡単に選択することができる。
【0250】
更に、実施の形態2の加熱調理器1では、
前記左共用キー42L又は前記右共用キー42Rは、それぞれが1対のキーを有し、それらキーの何れか一方は、複数の前記識別情報46を、規定の順序(正方向R1)で表示させるアップキーであり、他方の前記キーは、前記規定の順序と反対の順序(逆方向R2)で表示させるダウンキーであること、を特徴とする構成であった。
【0251】
この構成であるから、左共用スイッチ42L又は前記右共用スイッチ42Rを操作してサブ調理モードを選択する際に、目的とするサブ調理モードを簡単に選択することができる。
【0252】
更に、実施の形態2の加熱調理器1では、
前記左加熱口4Lと前記右加熱口4Rとの間に中央加熱口4Cを、更に設け、
前記統合表示部15は、前記左エリア15Lと、前記右エリア15Rとの間に、前記中央加熱口4C用の中央エリア15Mを表示する機能を有していること、を特徴とする構成であった。
【0253】
この構成であるから、3つの加熱口4L、4M、4Rを備えた加熱調理器1となるので、同時に使用できる被加熱物(鍋など)が増え、使い勝手が向上する。
【0254】
更に、実施の形態2の加熱調理器1では、
前記後方操作部17Bには、前記中央エリア15Mの手前に中央共用キー42Mを、更に配置しており、
前記前方操作部17Fには、前記中央共用キー42Mよりも更に手前に、前記中央加熱口4C(中央IHコイル9C)を選択するための、中央切入キー41Mを配置していること、を特徴とする構成であった。
【0255】
この構成であるから、3つの加熱口4L、4M、4Rを備えた加熱調理器1となるので、同時に使用できる被加熱物(鍋など)が増え、使い勝手が向上するとともに、ユーザーは選択すべき3つの(左、中央、右)加熱口4L、4M、4Rと、サブ調理モードや制御条件(火力や設定温度等)を入力する各種入力スイッチ類(左共用キー41L、中央共用キー41M、右共用キー41R、左切入キー42L、中央切入キー42M、右切入キー42R)の対応関係について、正しく認識でき、誤操作を防止することが期待できる。そのため、この面でも使い勝手の良い加熱調理器1を実現することができる。
【0256】
以上の説明では、説明を簡単にする都合上で構成部品や信号に対応して符号を付していたが、その符号によって構成部品や信号が互いに異なったものであると解釈すべきではない。異なる符号を付して説明している場合もあるが、説明の都合上で異なる符号を付したものであり、符号の相違だけでデータや構成部品、機能の内容が相互に異なっているという意味ではない。
【0257】
以上の実施の形態1~2で図示した各回路、部品、装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくとも良い。さらに、特に制御装置22、加熱制御部23、第1の加熱手段HM1、第2の加熱手段HM2、第3の加熱手段HM3、記憶装置21等は、これら各装置・回路の機能の分散・統合が可能であり、具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、機能や動作状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0258】
制御装置22、加熱制御部23の各機能は、処理回路によって実現される。各機能を実現する処理回路は、専用のハードウエアであっても良いし、メモリーに格納されるプログラムを実行するプロセッサであっても良い。
【0259】
処理回路がプロセッサである場合、制御装置22、加熱制御部23の各機能は、ソフトウエア、ファームウエア又はソフトウエアとファームウエアの組合せによって実現される。ソフトウエアとファームウエアは、プログラムとして記述され、メモリーである記憶装置21に格納される。プロセッサは、記憶装置21に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置22、加熱制御部23の各機能を実現する。
【0260】
これらプログラムは、制御装置22、加熱制御部23の制御手順を、マイクロコンピュータに実行させるものである。なお、記憶装置21とは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリーが代表的なものである。
【0261】
更に、図5に示したレシピデータ記憶部21のデータやプログラムの一部は、加熱調理器1が保持せずに、外部の記録媒体(ストレージサーバー等)に保持されてもよい。この場合、加熱調理器1は、外部の記録媒体(ストレージサーバー)にアクセスすることで、必要なデータやプログラムの情報を取得する。
【0262】
さらに、制御装置22、第1の加熱手段HM1、第2の加熱手段HM2、第3の加熱手段HM3の動作プログラムは、ユーザーの希望により、又は加熱調理器1の製造業者等の希望によって、適宜修正・改良されたものに更新できるようにしても良い。この場合、例えば、通信部25を通じて修正・改良プログラムを入手するようにしても良い。
【0263】
前記トッププレート3の上で加熱調理する前記第1の加熱手段HM1の1つの加熱部(IHコイル9L、9C、9R)は、ガス燃焼式バーナーに変えても良い。この場合、ガス流量弁が制御装置22によって制御される構成となる。
また、第2の加熱手段HM2又は第3の加熱手段HM3の一部又は全部を、ガス燃焼バーナーや誘導加熱源に変えても良い。
【0264】
実施の形態1~2では、入力操作部36は、何れも入力キーにユーザーが触れて入力指令を行う「接触式入力」と押圧(押しボタン)式の操作部を主体に説明したが、ユーザーが回動させることにより入力するダイヤル式の入力手段を併用しても良い。
【0265】
更に、実施の形態1の入力操作部36には、音声信号受信部31を有し、ユーザーからの発声を直接受けて入力できる構成であったが、スマートスピーカやAIスピーカと呼ばれるような音声入力機能を備えた入力端末機器を介して、加熱調理器1に指令を与えても良い。その場合、音声信号受信部31を省略できる。前記入力端末機器からの音声入力結果は、通信部25を介して外部からの電気信号で音声信号解析部32にインプットされるように構成すれば良い。
【0266】
更に、前記スマートスピーカやAIスピーカは、クラウドサーバー300のように、ネットワーク環境の中にある音声翻訳機能や検索機能を備えた支援サーバーとの間で、随時無線通信で情報の授受を行うことができる。
従って、加熱調理器1の傍でユーザーが発した音声(自然言語)を、音声信号として取得し、前記支援サーバーによってユーザーからの指令信号に変換し、最終的には加熱調理器1に対する指令信号を生成することができる。
このため、このような音声入力方式を利用すれば、ユーザーが加熱調理器1の近傍に居ても、調理の準備や食材の処理等で、両手が塞がっていて入力操作部36に直接タッチする頻度が制限されているような場合にも、自然な発声(音声)で加熱調理器1を操作でき、便利である。
【0267】
実施の形態1では、通信端末(情報処理端末器)200や第1サーバー321等からレシピデータCDやその他データを、加熱調理器1が直接受信し、又は無線ルーター201を経由して受信していたが、その他の中継機器を経由して、加熱調理器1が受信しても良い。例えば、キッチンに設置されている他の家電機器類(例えば、給湯装置)のリモコンを中継装置として利用しても良い。そのようなリモコンは、通常は常時電源が接続されており、都合が良い。この場合、当該中継装置は、情報処理端末器200やクラウドサーバー300等から送信された指令を含む各種データを、一時的に格納する記憶装置(フラッシュメモリー等)を内蔵したものにすることが望ましい。そして、加熱調理器1から送信された各種データを、前記記憶装置(フラッシュメモリー等)に一時的に記憶するように構成する。
【0268】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の実質的な範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0269】
本開示に係る加熱調理器及び加熱調理システムは、一般住宅の台所だけではなく、公共施設や店舗等の調理場でも広く利用することができる。
【符号の説明】
【0270】
1 加熱調理器
2 本体
3 トッププレート
4 加熱口
4L 左加熱口
4C 中央加熱口
4R 右加熱口
5 排気口カバー
6 加熱室
7 ドア
8 取手
9 IHコイル
9C 中央IHコイル
9L 左IHコイル
9R 右IHコイル
10 開閉検知部
11 マイクロ波発振部(マグネトロン)
12 輻射熱加熱手段
12a 上側輻射熱加熱手段
12b 下側輻射熱加熱手段
13 赤外線センサー
14 サーミスタセンサー
15 統合表示部
15L 第1エリア
15M 第2エリア
15R 第3エリア
16L 左火力表示部
16M 中央火力表示部
16R 右火力表示部
17 中央操作部
17B 後方操作部
17F 前方操作部
17L 左操作部
17M 中央操作部
17R 右操作部
18 右操作部
19A 設置空間
19B 設置空間
19S 仕切板
20 主電源スイッチ
20A 主電源スイッチの操作用ボタン(キー)
21 記憶装置
21A レシピデータ記憶部
22 制御装置
23 加熱制御部
24 データ取得部
25 通信部
26 許可条件判定部
27 電源回路
28 制限部
29 入力キー
30 温度センサー群
31 音声信号受信部
32 音声信号解析部
33 入力処理部
34 入力信号解析部
35 人感知センサー
36 入力操作部
37 発光制御部
39 計時部
40 報知手段
41L 左切入スイッチ(キー)
41M 中央切入スイッチ(キー)
41R 右切入スイッチ(キー)
42L 左共用スイッチ(キー)
42M 中央共用スイッチ(キー)
42R 右共用スイッチ(キー)
43 タイマースイッチ
44 設定キー
45 機能設定キー
46 識別情報(サブ調理モード表示部)
46A 識別情報(サブ調理モード候補表示部)
46C 取消表示部
47 加熱源表示部
48 火力表示部
49 音声報知部
50 設定温度表示部
53L 変更マーク
53M 変更マーク
53R 変更マーク
54 高温注意表示情報
60 補助表示部
61 赤色表示部
62 加熱強度情報
63B 後方エリア
63F 前方エリア
64B 後方エリア
64F 前方エリア
65B 後方エリア
65F 前方エリア
66 残り加熱時間表示部
70 レシピデータ取得キー(スイッチ)
200 通信端末(情報処理端末器)
201 無線ルーター
300 クラウドサーバー
301 レシピデータ提供サーバー
302 レシピデータベース(レシピDB)
330 無線通信
400 キッチン家具
CD レシピデータ
CD1~CD2 レシピデータ
HM1 第1の加熱手段
HM2 第2の加熱手段
HM3 第3の加熱手段
HP 加熱部
NW ネットワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29