(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131295
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】冊子体、及び、構造体
(51)【国際特許分類】
B42D 3/18 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B42D3/18 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041481
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】吉田 慎平
(57)【要約】
【課題】筆記具を保持し得る使い勝手に優れた冊子体等を提供する。
【解決手段】第一の表紙部である表表紙1、第二の表紙部である裏表紙2、冊子部3、及び、係止部材4とを備えてなる冊子体であって、係止部材4は、筆記具Tに当接するとともに当該筆記具Tを冊子部3の小口端面3mに押し付けて保持する第一の態様(J)と、筆記具Tを保持しない第二の態様(K)とを採り得るものであり、第一、第二の態様(J)、(K)の何れにおいても表表紙1に対して係止可能に設定されている。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の表紙部と、この第一の表紙部の反対側に配設された第二の表紙部と、これら第一の表紙部と第二の表紙部の間に配置され複数枚のシート状物品が積層されてなる冊子部と、前記第二の表紙部に設けられ前記第一の表紙部に係止した場合に前記第一の表紙部と前記第二の表紙部とを閉じた姿勢に保持する係止部材とを備えてなる冊子体であって、
前記係止部材は、筆記具に当接するとともに当該筆記具を前記冊子部の小口端面に押し付けて保持する第一の態様と、前記筆記具を保持しない第二の態様とを採り得るものであり、これら第一、第二の態様の何れにおいても前記第一の表紙部に対して係止可能に設定されている冊子体。
【請求項2】
前記第一、第二の表紙部のそれぞれに、前記小口端面よりも外方に突出した突出部分を有しており、
一対の前記突出部分及び前記小口端面により囲われており前記筆記具の少なくとも一部を収容可能な収容空間が形成されている請求項1記載の冊子体。
【請求項3】
前記係止部材は、両端部が前記第二の表紙部に支持されてなる帯状又は紐状のものであり、
前記筆記具における長手方向一方半部の中間位置及び長手方向他方半部の中間位置に前記係止部材が当接するように、前記係止部材の前記第二の表紙部に対する取付箇所と前記第一の表紙部に対する係止箇所が設定されている請求項1記載の冊子体。
【請求項4】
前記係止部材は、前記第一の表紙部における上下方向中間位置に設けられた単一の引っ掛け片に引っ掛かることにより係止するものである請求項1記載の冊子体。
【請求項5】
前記係止部材は、平帯状をなす伸縮可能なものである請求項1記載の冊子体。
【請求項6】
前記収容空間は、前記第一、第二の表紙部及び前記冊子部の相対移動によって、変容可能に設けられている請求項2記載の冊子体。
【請求項7】
前記第一、第二の表紙部及び前記冊子部の各基端部が軟質状のリング部材によって相対回転可能に繋がっている請求項6記載の冊子体。
【請求項8】
第一の面板部と、この第一の面板部の反対側に配設された第二の面板部と、これら第一の面板部と第二の面板部との間に配置された中間体と、前記第二の面板部に設けられ前記第一の面板部に係止した場合に前記第一の面板部と前記第二の面板部とを閉じた姿勢に保持する係止部材とを備えてなる構造物であって、
前記係止部材は、筆記具に当接するとともに当該筆記具を前記中間体の外向部に押し付けて保持する第一の態様と、前記筆記具を保持しない第二の態様とを採り得るものであり、これら第一、第二の態様の何れにおいても前記第一の面板部に対して係止可能に設定されている構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冊子体、及び、構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、表裏の表紙に筆記具を挿入可能なループ状の筆記具係着部を有し、表裏の表紙を閉じた姿勢において筆記具も保持可能に構成されたカバーが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0003】
ところが、この種の構成ものでは、表裏の表紙にループ状の筆記具係着部を設けなければならないため、各表紙の構造が複雑化するものとなる。
【0004】
しかも、筆記具係着部は、その大きさが可変のものではないため、保持可能な筆記具の大きさや形状が一定のものに限られるものとなる。つまり、従来のものでは、形状が複雑な筆記具や比較的太い筆記具を柔軟に保持することができないものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、少なくとも、筆記具を保持し得る使い勝手に優れた冊子体及び構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0008】
請求項1に記載の発明は、第一の表紙部と、この第一の表紙部の反対側に配設された第二の表紙部と、これら第一の表紙部と第二の表紙部の間に配置され複数枚のシート状物品が積層されてなる冊子部と、前記第二の表紙部に設けられ前記第一の表紙部に係止した場合に前記第一の表紙部と前記第二の表紙部とを閉じた姿勢に保持する係止部材とを備えてなる冊子体であって、前記係止部材は、筆記具に当接するとともに当該筆記具を前記冊子部の小口端面に押し付けて保持する第一の態様と、前記筆記具を保持しない第二の態様とを採り得るものであり、これら第一、第二の態様の何れにおいても前記第一の表紙部に対して係止可能に設定されている冊子体である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記第一、第二の表紙部のそれぞれに、前記小口端面よりも外方に突出した突出部分を有しており、一対の前記突出部分及び前記小口端面により囲われており前記筆記具の少なくとも一部を収容可能な収容空間が形成されている請求項1記載の冊子体である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記係止部材は、両端部が前記第二の表紙部に支持されてなる帯状又は紐状のものであり、前記筆記具における長手方向一方半部の中間位置及び長手方向他方半部の中間位置に前記係止部材が当接するように、前記係止部材の前記第二の表紙部に対する取付箇所と前記第一の表紙部に対する係止箇所が設定されている請求項1記載の冊子体である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記係止部材は、前記第一の表紙部における上下方向中間位置に設けられた単一の引っ掛け片に引っ掛かることにより係止するものである請求項1記載の冊子体である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記係止部材は、平帯状をなす伸縮可能なものである請求項1記載の冊子体である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記収容空間は、前記第一、第二の表紙部及び前記冊子部の相対移動によって、変容可能に設けられている請求項2記載の冊子体である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記第一、第二の表紙部及び前記冊子部の各基端部が軟質状のリング部材によって相対回転可能に繋がっている請求項6記載の冊子体である。
【0015】
請求項8に記載の発明は、第一の面板部と、この第一の面板部の反対側に配設された第二の面板部と、これら第一の面板部と第二の面板部との間に配置された中間体と、前記第二の面板部に設けられ前記第一の面板部に係止した場合に前記第一の面板部と前記第二の面板部とを閉じた姿勢に保持する係止部材とを備えてなる構造物であって、前記係止部材は、筆記具に当接するとともに当該筆記具を前記中間体の外向部に押し付けて保持する第一の態様と、前記筆記具を保持しない第二の態様とを採り得るものであり、これら第一、第二の態様の何れにおいても前記第一の面板部に対して係止可能に設定されている構造物である。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、筆記具を保持し得る使い勝手に優れた冊子体及び構造体を提供することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図8】同実施形態における裏表紙の内面側を示す斜視図。
【
図9】同実施形態における表表紙の部分拡大正面図。
【
図11】同実施形態における裏表紙の部分拡大背面図。
【
図12】同実施形態における係合部材及び棒状部材を説明するための概略斜視図。
【
図18】他の実施形態を示す表表紙の部分拡大正面図。
【
図19】他の実施形態を示す表表紙の部分拡大正面図。
【
図20】他の実施形態を示す表表紙の部分拡大正面図。
【
図21】他の実施形態を示す表表紙の部分拡大正面図。
【
図22】他の実施形態を示す表表紙の部分拡大正面図。
【
図23】他の実施形態を示す表表紙の部分拡大正面図。
【
図24】他の実施形態を示す表表紙の部分拡大正面図。
【
図25】他の実施形態を示す表表紙の部分拡大正面図。
【
図26】他の実施形態を示す表表紙の部分拡大正面図。
【
図27】他の実施形態を示す裏表紙の部分拡大背面図。
【
図28】他の実施形態を示す裏表紙の部分拡大背面図。
【
図29】他の実施形態を示す裏表紙の部分拡大背面図。
【
図30】他の実施形態を示す裏表紙の部分拡大背面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、
図1~17を参照して説明する。
【0019】
この実施形態は、本発明を構造物であるリングノートに適用したものである。
【0020】
冊子体であるリングノートは、綴じ元側に複数の綴じ孔1sを有した第一の表紙部である表表紙1と、綴じ元側に複数の綴じ孔2sを有した第二の表紙部である裏表紙2と、表表紙1と裏表紙2との間に配設され綴じ元側に複数の綴じ孔3sを有した冊子部3と、表表紙1、裏表紙2、及び、冊子部3の各綴じ孔1s、2s、3sに挿通され当該表表紙1、裏表紙2、及び、冊子部3を綴じるリング部材である綴じリング6とを備えてなるものである。
【0021】
この実施形態におけるリングノートの裏表紙2には、表表紙1に設けられた係止片12に対して係脱可能な係止部材4が設けられている。そして、リングノートは、裏表紙2に保持された係止部材4を、表表紙1に設けられた係止片12に対して係止させることによって、表表紙1、冊子部3、及び、裏表紙2を閉じた姿勢に保持することができるようになっている。
【0022】
以下、リングノートの各構成について詳述する。
【0023】
<<表表紙1>>
第一部材(第一の表紙部)である表表紙1は、全体として縦長の矩形状をなしている。表表紙1は、略平板状をなしたものである。表表紙1は、合成樹脂製の板状部材により製造されている。
【0024】
表表紙1には、帯状の係止部材4を引っ掛けるための単一の係止片12が設けられているとともに当該係止片12の基端部に係止部材4を表表紙1の厚み方向に通過させるための切欠部Kが隣設されている。
【0025】
表表紙1には、基端である綴じ元側、すなわち反回動端側の側端縁1rに綴じリング6に係わり合う複数の綴じ孔1sが設けられている。表表紙1の綴じ孔1sは矩形状をなしている。表表紙1の綴じ孔1sは、綴じ元側の側端縁1rに沿って所定のピッチで複数設けられている。
【0026】
表表紙1の上下寸法は、裏表紙2及び冊子部3と略同じ寸法に設定されている。一方で、表表紙1の左右方向寸法は、裏表紙2と略同じ寸法に設定されており、冊子部3の左右方向寸法よりも長く設定されている。
【0027】
<係止片12>
係止片12は、表表紙1の基端方向に凸をなすように設けられたものである。係止片12は、表表紙1の反回動端方向すなわち綴じ元方向に凸をなすように当該表表紙1にスリットGを形成することにより設けられたものである。この実施形態における係止片12を形成するためのスリットGは略U字形状をなしている。係止片12は、延出端縁12e(自由端側の端縁)が部分円弧状に形成された舌片形状をなしている。
【0028】
係止片12は、表表紙1における上下方向中間部における回動端である側端縁1g寄りの位置(反綴じ元側の側端縁1g寄りの位置)に設けられている。係止片12は、表表紙1における係止片12以外の部位である表表紙本体部11に対して片持ち支持されたものとなっている。
【0029】
係止片12の延出方向中間部にはヒンジ部Hが設けられている。ヒンジ部Hは、片持ち状をなす係止片12の基端部以外の部分に設けられている。すなわち、係止片12におけるヒンジ部Hよりも先端側の部分である先端側部分12sと基端側の部分である基端側部分12kとの間には、係止片12の延出方向に対して直交する方向に直線状に延びたヒンジ部Hが設けられている。
【0030】
ヒンジ部Hは、基端側部分12kに対して先端側部分12sを相対回動させ得るものである。ヒンジ部Hは、プレス加工等を施すことにより、他の部位よりも折れ曲がり容易な薄肉部分を形成することにより設けられている。
【0031】
係止片12の先端側部分12sは、部分円形状をなしている。係止片12の基端側部分12kは略矩形状をなしている。係止片12の先端側部分12sは、基端側部分12kの外面km及び表表紙1の表表紙本体部11の外面smよりも外側に位置し得るように、ヒンジ部H回りに動作可能に構成されている。
【0032】
換言すれば、係止片12は、先端側部分12sの基端にヒンジ部Hを配しているため、
図10に示すように、基端側部分12kよりも外側に起き上がる起き上がり姿勢(R)を採り得るようになっている。
【0033】
係止片12の先端側部分12sが起き上がり姿勢(R)をなしている場合には、リングノートを閉じ姿勢に保持させる際に、帯状をなす係止部材4を係止片12に対して引っ掛けやすいものとなっている。
【0034】
一方で、係止片12の先端側部分12sは、基端側部分12kの外面km及び表表紙1の表紙部本体部の外面smと略面一をなすフラット姿勢(F)を採り得るようになっている。係止片12の先端側部分12sがフラット姿勢(F)をなしている場合には、リングノートの収納時や運搬時において表表紙1の略全体が面一をなす態様を採ることになるため、嵩張りが抑制されるとともに他の部材に対して引っ掛かり難いものとなっている。
【0035】
なお、係止片12の先端側部分12sは、起き上がり姿勢(R)を基本姿勢として、必要時においてフラット姿勢(F)を採り得るようにヒンジ部H回りに回転可能に構成したものであってもよい。
【0036】
係止片12の基端側部分12kは、表表紙本体部11に対して片持ち的に支持されているものである。このため、係止片12の基端側部分12kは、係止部材4を係止片12に対して係脱させる過程においてのみ、外面側に一時的に弾性変位し得るものとなっている。
【0037】
一方で、表表紙本体部11と係止片12の基端側部分12kとは、境界部分にヒンジ部Hが設けられておらず、同一厚み寸法の板状部分が一体に連続した形態をなしている。このため、表表紙本体部11と係止片12の基端側部分12kとは、係止部材4を係止片12に対して係脱させる過程を除いて、略面一をなすように安定するものとなっている。
【0038】
<切欠部K>
切欠部Kは、係止片12に係止した帯状の係止部材4の一部分が収まるように設けられたものである。換言すれば、切欠部Kは、係止片12に係止した帯状の係止部材4が表表紙1の厚み方向に通過し得るように形成されたものである。
【0039】
この実施形態では、切欠部Kが正面視において略扇状に形成されたものとなっている。
【0040】
切欠部Kは、表表紙1における係止片12を形成するためのスリットGに連続させて係止片12の基端部近傍に形成されている。切欠部Kは、U字状をなすスリットGの両端部に連設されている。すなわち、一対の切欠部Kは正面視において上下対称に設けられている。
【0041】
切欠部KとスリットGとの境界部分は、帯状の係止部材4が引っ掛かり難いように滑らかに連続するように構成されている。換言すれば、切欠部KとスリットGとの境界部分には、帯状の係止部材4が係脱される際に、当該帯状の係止部材4が引っ掛かり易い尖り形状部分が形成されないように構成されている。
【0042】
この実施形態では、表表紙本体部11における切欠部KとスリットGとの境界を臨む箇所に、正面視において湾曲状をなす湾曲縁部wが設けられている。
【0043】
<<裏表紙2>>
第二部材(第二の表紙部)である裏表紙2は、表表紙1の反対側に配設されたものである。裏表紙2の全体的な大きさは、表表紙1の全体的な大きさと略同じに設定されている。
【0044】
裏表紙2は、全体として縦長の矩形状をなしている。裏表紙2は、略平板状をなしたものである。裏表紙2は、合成樹脂製の板状部材や厚紙により製造されている。
【0045】
裏表紙2には、リングノートを閉じ姿勢に保持させる際に表表紙1の係止片12に係止される係止部材4が設けられている。裏表紙2には、帯状をなす係止部材4の基端部を抜け止めしつつ保持し得る上下一対の孔である保持孔Bが設けられている。
【0046】
裏表紙2の上下寸法は、表表紙1及び冊子部3と略同じ寸法に設定されている。一方で、裏表紙2の左右方向寸法は、表表紙1と略同じ寸法に設定されており、冊子部3の左右方向寸法よりも長く設定されている。
【0047】
裏表紙2には、綴じ元側すなわち反回動端側の側端縁2rの近傍に綴じリング6に係わり合う複数の綴じ孔2sが設けられている。裏表紙2の綴じ孔2sは矩形状をなしている。裏表紙2の綴じ孔2sは、綴じ元側の側端縁に沿って所定のピッチで複数設けられている。
【0048】
<保持孔B>
一対の保持孔Bは、裏表紙2における反綴じ元側の側端縁2gの近傍に上下対称に穿設されている。一対の保持孔Bは、帯状をなす一本の係止部材4の両端部を保持させるためのものである。帯状をなす一本の係止部材4の両端部には、保持孔Bを通過可能な大きさをなす抜止抑制手段である棒状部材5が取り付けられている。
【0049】
保持孔Bは、略三角形状をなしている。保持孔Bは、当該保持孔Bを構成する孔縁部beの一部分に、係止部材4に対して回り止め可能に係わり合う回り止め部h1が設けられている。
【0050】
保持孔Bの回り止め部h1は、帯状をなす係止部材4を表表紙1の係止片12に対して係止させる際の当該係止部材4の延出方向に対して交差する方向に延び設けられている。回り止め部h1は、略直線状に延び設けられたものである。
【0051】
つまり、この実施形態の回り止め部h1は、反綴じ元側の側端縁2gと略平行に設けられた略三角形状をなす保持孔Bの一辺である孔形成辺h1により構成されている。
【0052】
換言すれば、保持孔Bの孔縁部beが、略直線状をなす三つの孔形成辺h1、h2、h3により構成された正面視において三角形状のものである。そして、回り止め部h1は、三つの孔形成辺h1、h2、h3の内の一つにより構成されたものである。
【0053】
<係止部材4>
係止部材4は、ゴムバンドと称される伸縮性を有した平帯状のものである。すなわち、係止部材4は、表裏に互いに相反する方向を向く幅広基礎面mを有するとともに表裏の幅広基礎面mの間に当該幅広基礎面mよりも短寸をなす幅狭端面nを有してなるものである。係止部材4は、単一のものであり、その長手方向両端部が裏表紙2に支持されている。係止部材4は、棒状部材5を介して一対の保持孔Bが設けられた裏表紙2に保持されている。
【0054】
係止部材4は、その上下方向中間部が表表紙1に片持ち的に設けられた係止片12に対して係止し得るものである。
【0055】
すなわち、係止部材4の長手方向中間部が、表表紙1における上下方向中間位置に設けられた単一の引っ掛け片である係止片12に引っ掛かることにより、表表紙1、冊子体、及び、裏表紙2を閉じた姿勢に保持し得るものである。 このとき、帯状の係止部材4は、表表紙1及び裏表紙2の綴じ元側の側端縁1r、2rや上下の端縁には係わり合わないものであり、表表紙1及び裏表紙2の反綴じ元側の側端縁1g、2gのみに係わり合うように構成されている。
【0056】
係止部材4の基端部すなわち両端部には、保持孔Bからの抜け出しを抑制し得る抜出抑制手段である棒状部材5が設けられている。棒状部材5は、金属製のものである。棒状部材5は、係止部材4の端部を挟むようにして当該係止部材4の端部に連結されている。
【0057】
棒状部材5は、その長手方向中間部cから帯状の係止部材4が延び出るように設けられている。換言すれば、棒状部材5と、棒状部材5の長手方向中間部cから延出した係止部材4の延出基端部etとによって略T字状の形態が構成されるようになっている。
【0058】
棒状部材5は、係止部材4の端部とともに裏表紙2に設けられた保持孔Bに対して外面側から内面側に向かって挿入されたものである。棒状部材5は、保持孔Bに挿入された後は、裏表紙2の内面側に沿うような姿勢に姿勢変更するようになっている。
【0059】
つまり、棒状部材5は、保持孔Bに挿入された後は、保持孔Bから逆戻りし難い姿勢に姿勢変更することにより、使用者によって積極的に棒状部材5を保持孔Bに逆通過させるような操作をしない限りは、外面側に抜け出すことができないように構成されている。
【0060】
<<冊子部3>>
冊子部3は、表表紙1と裏表紙2との間に配置され複数枚のシート状物品である用紙Pが積層されてなるものである。冊子部3の回動端側の端部には、積層された複数枚の紙葉類である用紙Pによって小口端面3mが形成されている。
【0061】
用紙Pは、全体として縦長の矩形状をなしている。用紙Pは、表表紙1及び裏表紙2よりも薄いシート材である紙により製造されている。
【0062】
用紙Pの上下寸法は、表表紙1及び裏表紙2と略同じ寸法に設定されている。一方で、用紙Pの左右方向寸法は、表表紙1及び裏表紙2よりも短く設定されている。
【0063】
また、冊子体すなわち積層された各用紙Pには、綴じ元側である反回動端側の側端縁3rの近傍に綴じリング6に係わり合う複数の綴じ孔3sが設けられている。用紙Pの綴じ孔3sは矩形状をなしている。用紙Pの綴じ孔3sは、綴じ元側の側端縁3rに沿って所定のピッチで複数設けられている。
【0064】
<<綴じリング6>>
綴じリング6は、表表紙1、裏表紙2、及び、冊子部3の各基端部すなわち綴じ元側を相対回転可能に繋ぐものである。
【0065】
綴じリング6は、ソフトタイプのものである。すなわち、綴じリング6は、撓み変形し易い軟質状のものである。綴じリング6は、ポリプロピレン等の合成樹脂により形成されている。
【0066】
綴じリング6は、表表紙1、裏表紙2、及び、冊子部3の各綴じ孔1s、2s、3sにそれぞれ挿通された閉環状をなす複数のリング本体61と、複数のリング本体61に沿って上下方向に延設され複数のリング本体61を閉環状に保持するとともに複数のリング本体61を一定の間隔を空けて繋ぐベース62とを備えたものである。
【0067】
<<筆記具Tを保持可能な構成について>>
この実施形態のリングノートは筆記具Tを保持し得る好適な構成をなしている。すなわち、筆記具Tは、係止部材4によって外側から小口端面3m方向に押圧されつつ、表表紙1の表突出部分1t、裏表紙2の裏突出部分2t、及び、冊子部3の小口端面3mによって三方から移動規制されることにより、リングノートに対して好適に保持されるものとなっている。
【0068】
リングノートは、表表紙1及び裏表紙2のそれぞれに、冊子部3の小口端面3mよりも外方に突出した突出部分である表突出部分1t及び裏突出部分2tを有している。
【0069】
そして、リングノートは、表突出部分1t及び裏突出部分2tと冊子部3の小口端面3mによって略コ字状に囲われた収納空間spが形成されている。
【0070】
収納空間spは、筆記具Tにおける幅方向の少なくとも一部を収納可能な大きさに形成されている。この実施形態では、リングノートに設けられた収納空間spには、一般的な大きさの筆記具Tにおける短手方向の約三分の一(直径の約三分の一)が収納される大きさをなしている。
【0071】
つまり、筆記具Tは、
図16に示すように、収納空間sp側を臨む一方側部分taが収納される一方で、他方側部分tbが収納空間spよりも外側に迫り出すように、収納空間spに配設されるものとなっている。換言すれば、リングノートは、小口端面3mを臨む筆記具Tの一方側部分taが収納空間spに収納される一方で、他方側部分tbが表表紙1の側端縁1g及び裏表紙2の側端縁2gよりも外側に位置するように表表紙1、裏表紙2、及び、冊子部3の大きさが設定されている。
【0072】
収納空間spは、表表紙1、裏表紙2、及び、冊子部3の相対移動によって、変容可能に設けられている。
【0073】
すなわち、小口端面3mを有する冊子部3は、軟質樹脂製の綴じリング6により綴じられている。そのため、冊子部3を構成している積層された複数枚の用紙Pのそれぞれが、軟質樹脂により形成された綴じリング6の変形に伴って、左右方向に相対変位し得るものとなっている。
【0074】
その結果、通常は略フラットな形態をなす冊子部3の小口端面3mは、平面視又は底面視において前後方向中間部が内方に向かって凹をなすように湾曲変形し得るものとなっている。
【0075】
この実施形態では、筆記具Tを、当該筆記具Tの上下二箇所に当接し得るように裏表紙2に保持された伸縮性を有する係止部材4と当該係止部材4が引っ掛かる係止片12を有した表表紙1との協働により、小口端面3mに押し付けるようにして保持させることができるものとなっている。
【0076】
なお、表表紙1、裏表紙2、及び、冊子部3は、軟質な綴じリング6によって綴じられているため、これらの面方向への相対移動に伴って、冊子部3の小口端面3mは、凹凸変形し易いものとなっている。そのため、筆記具Tが、伸縮性を有した係止部材4により付勢された場合には、小口端面3mの一部分が内方に凹をなすように湾曲変形されることもあり、その結果、筆記具Tは小口端面3mに対して安定的に保持されるものとなっている。
【0077】
係止部材4は、
図14~16に示すように、筆記具Tに当接するとともに当該筆記具Tを冊子部3の小口端面3mに押し付けて保持する第一の態様(J)と、
図1~7、及び、
図10に示すように、筆記具Tを保持しない第二の態様(K)とを採り得るものである。
【0078】
そして、係止部材4は、第一の態様(J)、及び、第二の態様(K)の何れにおいても表表紙1の係止片12に対して係止可能に設定されている。
【0079】
係止部材4は、筆記具Tにおける長手方向一方半部t1の中間位置及び長手方向他方半部t2の中間位置に当接するように、当該係止部材4の裏表紙2に対する取付箇所と表表紙1に対する係止箇所すなわち係止片12の位置が設定されている。つまり、係止部材4は、筆記具Tにおける長手方向の上下二箇所に当接し、筆記具Tを小口端面3mに押し付けることができるようになっている。
【0080】
上述したように、本実施形態であれば係止片12に対して係止部材4が好適に係わり合うだけでなく収納時や運搬時において係止片12が嵩張り難い設計の自由度に優れた構造体であるリングノートを提供し得るものとなる。
【0081】
また、上述したように、本実施形態であれば、バンドが孔に対して回転しやすいという発明者が見出した従来の不具合を好適に抑制し得る構成を備えた構造体であるリングノートを提供し得るものとなる。
【0082】
また、上述したように、本実施形態であれば、表表紙1及び裏表紙2を閉じた姿勢に保持するための係止部材4が、筆記具Tを冊子部3に対して押し付けて保持させる機能を兼ねているため、筆記具Tを保持し得る使い勝手に優れた冊子体であるリングノートを提供し得るものとなる。
【0083】
続いて、係止片12、切欠部K、及び、保持孔Bに関する他の実施形態について説明する。
【0084】
<係止片12・切欠部Kの他の実施形態について>
係止片12や当該係止片12に隣設された切欠部Kの形状は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々設定可能なものであり、例えば、
図18~26に例示されるようなものであってもよい。
【0085】
図18に示すものは、係止片12を形成するためのスリットGが、略C字形状をなしたものである。係止片12は、延出端縁12e(自由端側の端縁)が部分円弧状に形成された舌片形状をなしている。同図に示された切欠部Kは、正面視において略涙形状(略水滴形状)に形成されている。切欠部KとスリットGとの境界部分は、帯状の係止部材4が引っ掛かり難いように滑らかに連続するように構成されている。換言すれば、表表紙本体部11及び係止片12の双方における切欠部KとスリットGとの境界を臨む箇所に、正面視において湾曲状をなす湾曲縁部wが設けられている。
【0086】
図19に示すものは、係止片12を形成するためのスリットGが、略U字形状をなしたものである。係止片12は、延出端縁12e(自由端側の端縁)が部分円弧状に形成された舌片形状をなしている。同図に示された切欠部Kは、正面視において略三角形状(略正三角形状)に形成されている。切欠部KとスリットGとの境界部分は、帯状の係止部材4が引っ掛かり難いように滑らかに連続するように構成されている。換言すれば、表表紙本体部11における切欠部KとスリットGとの境界を臨む箇所に、正面視において湾曲状をなす湾曲縁部wが設けられている。
【0087】
図20に示すものは、係止片12を形成するためのスリットGが、略U字形状をなしたものである。係止片12は、延出端縁12e(自由端側の端縁)が部分円弧状に形成された舌片形状をなしている。同図に示された切欠部Kは、正面視において略半円形状に形成されている。切欠部KとスリットGとの境界部分は、帯状の係止部材4が引っ掛かり難いように滑らかに連続するように構成されている。換言すれば、表表紙本体部11における切欠部KとスリットGとの境界を臨む箇所に、正面視において湾曲状をなす湾曲縁部wが設けられている。
【0088】
図21に示すものは、係止片12を形成するためのスリットGが、略U字形状をなしたものである。係止片12は、延出端縁12e(自由端側の端縁)が部分円弧状に形成された舌片形状をなしている。同図に示された切欠部Kは、正面視において略矩形状(略四角形状)に形成されている。切欠部KとスリットGとの境界部分は、帯状の係止部材4が引っ掛かり難いように滑らかに連続するように構成されている。換言すれば、表表紙本体部11における切欠部KとスリットGとの境界を臨む箇所に、正面視において湾曲状をなす湾曲縁部wが設けられている。
【0089】
図22に示すものは、係止片12を形成するためのスリットGが、略コ字形状をなしたものである。係止片12は、延出端縁12e(自由端側の端縁)が片持ち矩形状に形成されている。同図に示された切欠部Kは、正面視において略扇形状に形成されている。切欠部KとスリットGとの境界部分は、帯状の係止部材4が引っ掛かり難いように滑らかに連続するように構成されている。換言すれば、表表紙本体部11における切欠部KとスリットGとの境界を臨む箇所に、正面視において湾曲状をなす湾曲縁部wが設けられている。
【0090】
図23に示すものは、係止片12を形成するためのスリットGが、略コ字形状をなしたものである。係止片12は、延出端縁12e(自由端側の端縁)が片持ち矩形状に形成されている。同図に示された切欠部Kは、正面視において略涙形状(略水滴形状)に形成されている。切欠部KとスリットGとの境界部分は、帯状の係止部材4が引っ掛かり難いように滑らかに連続するように構成されている。換言すれば、表表紙本体部11及び係止片12の双方における切欠部KとスリットGとの境界を臨む箇所に、正面視において湾曲状をなす湾曲縁部wが設けられている。
【0091】
図24に示すものは、係止片12を形成するためのスリットGが、略コ字形状をなしたものである。係止片12は、延出端縁12e(自由端側の端縁)が片持ち矩形状に形成されている。同図に示された切欠部Kは、正面視において略三角形状(略正三角形状)に形成されている。切欠部KとスリットGとの境界部分は、帯状の係止部材4が引っ掛かり難いように滑らかに連続するように構成されている。換言すれば、表表紙本体部11における切欠部KとスリットGとの境界を臨む箇所に、正面視において湾曲状をなす湾曲縁部wが設けられている。
【0092】
図25に示すものは、係止片12を形成するためのスリットGが、略コ字形状をなしたものである。係止片12は、延出端縁12e(自由端側の端縁)が片持ち矩形状に形成されている。同図に示された切欠部Kは、正面視において略半円形状に形成されている。切欠部KとスリットGとの境界部分は、帯状の係止部材4が引っ掛かり難いように滑らかに連続するように構成されている。換言すれば、表表紙本体部11における切欠部KとスリットGとの境界を臨む箇所に、正面視において湾曲状をなす湾曲縁部wが設けられている。
【0093】
図26に示すものは、係止片12を形成するためのスリットGが、略コ字形状をなしたものである。係止片12は、延出端縁12e(自由端側の端縁)が片持ち矩形状に形成されている。同図に示された切欠部Kは、正面視において略矩形状(略四角形状)に形成されている。切欠部KとスリットGとの境界部分は、帯状の係止部材4が引っ掛かり難いように滑らかに連続するように構成されている。換言すれば、表表紙本体部11における切欠部KとスリットGとの境界を臨む箇所に、正面視において湾曲状をなす湾曲縁部wが設けられている。
【0094】
<保持孔Bの他の実施形態について>
孔である保持孔Bの形状は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々設定可能なものであり、例えば、
図27~30に例示されるようなものであってもよい。
【0095】
図27に示すものは、保持孔Bが、略楕円形状(略繭形状・略俵形状)をなしている。保持孔Bは、当該保持孔Bを構成する孔縁部beの一部分に、係止部材4に対して回り止め可能に係わり合う回り止め部h1が設けられている。同図における保持孔Bの回り止め部h1は、帯状をなす係止部材4を表表紙1の係止片12に対して係止させる際の当該係止部材4の延出方向に対して交差する方向に延び設けられている。回り止め部h1は、略直線状をなし反綴じ元側の側端縁2gと略平行に設けられた孔形成辺h1により構成されている。
【0096】
図28に示すものは、保持孔Bが、略矩形状(略縦長矩形状)をなしている。保持孔Bは、当該保持孔Bを構成する孔縁部beの一部分に、係止部材4に対して回り止め可能に係わり合う回り止め部h1が設けられている。同図における保持孔Bの回り止め部h1は、帯状をなす係止部材4を表表紙1の係止片12に対して係止させる際の当該係止部材4の延出方向に対して交差する方向に延び設けられている。回り止め部h1は、略直線状をなし反綴じ元側の側端縁2gと略平行に設けられた孔形成辺h1により構成されている。
【0097】
図29に示すものは、保持孔Bが、略半円形状をなしている。保持孔Bは、当該保持孔Bを構成する孔縁部beの一部分に、係止部材4に対して回り止め可能に係わり合う回り止め部h1が設けられている。同図における保持孔Bの回り止め部h1は、帯状をなす係止部材4を表表紙1の係止片12に対して係止させる際の当該係止部材4の延出方向に対して交差する方向に延び設けられている。回り止め部h1は、略直線状をなし反綴じ元側の側端縁2gと略平行に設けられた孔形成辺h1により構成されている。
【0098】
図30に示すものは、保持孔Bが、略三角形状をなしている。保持孔Bは、当該保持孔Bを構成する孔縁部beの一部分に、係止部材4に対して回り止め可能に係わり合う回り止め部h1が設けられている。同図における保持孔Bの回り止め部h1は、帯状をなす係止部材4を表表紙1の係止片12に対して係止させる際の当該係止部材4の延出方向に対して略直交する方向に延び設けられている。同図における回り止め部h1は、略直線状をなし反綴じ元側の側端縁2gに対して傾斜した孔形成辺h1により構成されている。
【0099】
以上説明したように、本実施形態に係る冊子体であるリングノートは、第一の表紙部である表表紙1と、表表紙1の反対側に配設された第二の表紙部である裏表紙2と、表表紙1と裏表紙2の間に配置され複数枚のシート状物品である用紙Pが積層されてなる冊子部3と、裏表紙2に設けられ表表紙1に係止した場合に表表紙1と裏表紙2とを閉じた姿勢に保持する係止部材4とを備えてなるものである。
【0100】
そして、係止部材4は、筆記具Tに当接するとともに当該筆記具Tを冊子部3の小口端面3mに押し付けて保持する第一の態様(J)と、筆記具Tを保持しない第二の態様(K)とを採り得るものである。係止部材4は、第一、第二の態様(J)、(K)の何れにおいても表表紙1に対して係止可能に設定されている。
【0101】
このため、表表紙1及び裏表紙2を閉じた姿勢に保持する係止部材4が、筆記具Tを冊子部3に対して押し付けて保持させる機能を兼ねているため、筆記具Tを保持し得る使い勝手に優れた冊子体であるリングノートを提供することができるものとなる。
【0102】
表表紙1及び裏表紙2のそれぞれに、小口端面3mよりも外方に突出した突出部分である表突出部分1t及び裏突出部分2tを有している。そして、一対の突出部分である表突出部分1t及び裏突出部分2t、並びに、小口端面3mにより囲われており筆記具Tの少なくとも一部を収容可能な収容空間spが形成されている。
【0103】
このため、この実施形態であれば、筆記具Tは、係止部材4によって一方側から押圧されつつ、表突出部分1t、裏突出部分2t、及び、小口端面3mによって三方から移動規制されるものとなるため、リングノートに対して筆記具Tが好適に保持されるものとなっている。
【0104】
係止部材4は、両端部が裏表紙2に支持されてなる帯状のものである。そして、筆記具Tにおける長手方向一方半部t1の中間位置及び長手方向他方半部t2の中間位置に係止部材4が当接するように、係止部材4の裏表紙2に対する取付箇所と表表紙1に対する係止箇所すなわち係止片12の位置が設定されている。
【0105】
このため、係止部材4は、筆記具Tの上下二箇所に面的に当接し得る構成を採ることにより、表表紙1、裏表紙2、及び、冊子部3と協働して、筆記具Tを安定的に保持し得るものとなっている。
【0106】
係止部材4は、表表紙1における上下方向中間位置に設けられた単一の引っ掛け片である係止片12に引っ掛かることにより係止するものである。
【0107】
このため、係止部材4が、係止片12が設けられた表表紙1に対して好適に係止し得るものとなっている。また、係止部材4が、表表紙1における単一の係止片12に引っ掛かるように構成されているため、筆記具Tにおける上部及び下部の二箇所に当接し得る構成を好適に採り得るものとなっている。
【0108】
係止部材4は、平帯状をなす伸縮可能なものである。
【0109】
このため、係止部材4は、筆記具Tに対して面的に接することにより、安定的に係わり合うための好適な形状をなしている。
【0110】
収容空間spは、表表紙1、裏表紙2、及び、冊子部3の相対移動によって、変容可能に設けられている。
【0111】
このため、筆記具Tを部分的に収容し得る収納空間spが変容することにより、筆記具Tが収納空間spに安定的に配設され、筆記具Tがリングノートに対して脱落し難いものとなる。
【0112】
表表紙1、裏表紙2、及び、冊子部3の各基端部が軟質状のリング部材である綴じリング6によって相対回転可能に繋がっている。
【0113】
このため、軟質状の綴じリング6が、表表紙1、裏表紙2、及び、冊子部3の相対移動を好適に促すものとなり、収納空間spの変容が柔軟に行われるものとなる。
【0114】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0115】
本発明は、第一の表紙部、第二の表紙部、冊子部、及び、係止部材を含んで構成された冊子体に限られるものではなく、その他の構造物に適用することができるものである。つまり、第一、第二の表紙部に代えて第一、第二の面板部を有するとともに冊子部に代えて中間体を有する構成のものであっても、筆記具を保持し得る使い勝手に優れたものを提供するという所期の目的を達成し得るものである。
【0116】
構造物は、第一の面板部と、この第一の面板部の反対側に配設された第二の面板部と、これら第一の面板部と第二の面板部との間に配置された中間体と、第二の面板部に設けられ第一の面板部に係止した場合に第一の面板部と第二の面板部とを閉じた姿勢に保持する係止部材とを備えてなるものである。
【0117】
そして、構造物の係止部材は、筆記具に当接するとともに当該筆記具を中間体の外向部に押し付けて保持する第一の態様と、筆記具を保持しない第二の態様とを採り得るものであり、これら第一、第二の態様の何れにおいても第一の面板部に対して係止可能に設定されているものである。
【0118】
構造物には、第一の面板部の周縁部と第二の面板部の周縁部との間に中間体が介設され、第一、第二の面板部及び中間体に囲われた領域を、物品を収納可能な収納空間としたもの(例えば、収納体など)を挙げることができる。なお、中間体には、第一の面板部と第二の面板部の周縁部間に介設され筆記具が当接し得る外向部を有するマチや端壁を含んでなるものを挙げることができる。
【0119】
冊子体は、リングノートに限られないのは言うまでもない。すなわち、冊子体は、第一、第二の表紙部及び冊子部の各基端部がリング部材によって綴じられてなるものに限定されるものではない。
【0120】
冊子部は、複数枚のシート状物品が積層された構成のものであればよく、上述した実施形態に示されたようなシート状物品である用紙を積層させたものに限られるものではない。
【0121】
シート状物品としては、例えば、クリヤーポケットやカードホルダー等の全体としてシート状に形成されたもの等を挙げることができる。
【0122】
係止部材は、第一の表紙部に係止し得る構成のものであればよく、当該第一の表紙部に対する係止箇所や係止する部分の形状は適宜設定可能なものであることは言うまでもない。
【0123】
係止部材は、第二の表紙部に対して移動可能に保持されたものであってもよい。
【0124】
係止部材は、その両端部が第二の表紙部に支持されたものに限られるものではなく、一端部だけが第二の表紙部に支持された構成のものであってもよい。
【0125】
係止部材は、平帯状のものに限られるものではなく、紐状のものであってもよい。
【0126】
係止部材は、上述した実施形態に示されたように伸縮可能に構成されたものに限られるものではなく、殆ど伸縮しない構成のものであってもよい。
【0127】
引っ掛け片は、第一の表紙部における複数箇所に設けられたものであってもよい。
【0128】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0129】
1…表表紙(第一の表紙部)
2…裏表紙(第二の表紙部)
P…用紙(シート状物品)
3…冊子部
4…係止部材
3m…小口端面