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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131296
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/04 20060101AFI20240920BHJP
   B41J 11/14 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B41J11/04
B41J11/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041485
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】徳田 裕亮
【テーマコード(参考)】
2C058
【Fターム(参考)】
2C058AB01
2C058AC06
2C058AD06
2C058AE04
2C058AF06
2C058AF31
2C058AF51
2C058DA03
2C058DA10
2C058DA18
2C058DA28
2C058DA31
2C058DA43
2C058DC02
2C058DC09
2C058DC20
(57)【要約】
【課題】プラテンローラによって、サーマルヘッドにテープ部材を均一な力で安定的に押圧することができる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置は、サーマルヘッド120と、プラテンローラ110を保持し、回転軸117を中心に回転可能なプラテンローラ保持部102,103と、プラテンローラ保持部102,103の回転を規制する規制部118と、を備える。プラテンローラ保持部102,103には、モータからの出力を伝達してプラテンローラ110を回転させるための複数の伝達部のうちの一部の伝達部G5~G8が設けられており、規制部118は、モータからの出力がプラテンローラ保持部102,103に設けられた一部の伝達部G5~G8に伝達されたことによってトルクを受けたプラテンローラ保持部102,103に当接して、プラテンローラ保持部102,103の回転を規制する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーマルヘッドと、
プラテンローラを保持し、回転軸を中心に回転可能なプラテンローラ保持部と、
前記プラテンローラ保持部の回転を規制する規制部と、を備え、
前記プラテンローラ保持部には、モータからの出力を伝達して前記プラテンローラを回転させるための複数の伝達部のうちの一部の伝達部が設けられており、
前記規制部は、前記モータからの出力が前記プラテンローラ保持部に設けられた一部の伝達部に伝達されたことによってトルクを受けた前記プラテンローラ保持部に当接して、前記プラテンローラ保持部の回転を規制する、
印刷装置。
【請求項2】
前記サーマルヘッドを保持するサーマルヘッド保持部を更に備え、
前記プラテンローラ保持部は、前記サーマルヘッド保持部に対して回転可能である、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記回転軸と直交する方向において、前記プラテンローラ保持部が前記規制部と当接する位置と前記回転軸との距離は、前記プラテンローラが設けられた位置と前記回転軸との距離よりも長い、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記プラテンローラ保持部は当接部を有し、
前記規制部は、前記サーマルヘッド保持部から突出し前記当接部と当接する突出部である、
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記プラテンローラ保持部は突出部を有し、
前記規制部は、前記サーマルヘッド保持部に形成され前記突出部と当接する当接部である、
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記当接部と当接する前記突出部の先端は、円弧状に形成されている、
請求項4または5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記伝達部はギアであり、
前記プラテンローラ保持部は、
前記プラテンローラの軸が挿通される軸挿通孔が形成され、前記サーマルヘッド保持部によって前記回転軸を中心に回転可能に支持されたアーム部と、
前記サーマルヘッド保持部によって前記回転軸を中心に回転可能に支持され、前記プラテンローラの軸に接続されたギアを含む一部のギアが取り付けられたギア取付部と、を有し、
前記規制部は、前記ギア取付部に当接して、前記プラテンローラ保持部の回転を規制する、
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記ギア取付部にはギア係合孔が形成されており、
前記プラテンローラの軸に接続されたギアから突出したギア突出部が、前記ギア係合孔に嵌り前記ギア取付部と係合することで、前記ギア取付部は前記プラテンローラとともに前記回転軸を中心に回転する、
請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記ギア取付部には、前記サーマルヘッド保持部から突出した前記規制部と当接する面を有する当接部が形成されており、
前記当接部は、前記ギア取付部の縁部を折り曲げて起立させたものである、
請求項7に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記規制部は、前記プラテンローラによって搬送されるテープ部材に印刷を実行する際に、前記プラテンローラ保持部に前記サーマルヘッド側から当接して、前記プラテンローラ保持部の前記サーマルヘッド側への回転を規制する、
請求項2に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テープ部材に印刷してラベルを制作する印刷装置として、例えば特許文献1は、プラテンローラをブラケットに固定し、該ブラケットをカムによって駆動させることで、プラテンローラをサーマルヘッドへ押圧する印刷装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-76716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の印刷装置では、印刷対象のラベルを厚さの異なるラベルに入れ替えて印刷を行う際に、プラテンローラを均一な力で安定的に押圧するのが難しかった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、プラテンローラによって、サーマルヘッドにテープ部材を均一な力で安定的に押圧することができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の印刷装置は、サーマルヘッドと、プラテンローラを保持し、回転軸を中心に回転可能なプラテンローラ保持部と、前記プラテンローラ保持部の回転を規制する規制部と、を備える。前記プラテンローラ保持部には、モータからの出力を伝達して前記プラテンローラを回転させるための複数の伝達部のうちの一部の伝達部が設けられており、前記規制部は、前記モータからの出力が前記プラテンローラ保持部に設けられた一部の伝達部に伝達されたことによってトルクを受けた前記プラテンローラ保持部に当接して、前記プラテンローラ保持部の回転を規制する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プラテンローラによって、サーマルヘッドにテープ部材を均一な力で安定的に押圧することができる印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る印刷装置の斜視図。
図2図1に示す印刷装置の内部構造の主要部を示した斜視図。
図3図2に示す印刷装置の内部構造の主要部と、主要部に取り付けられたテープカートリッジとを示した平面図。
図4図3に示すプラテンローラ及びリボン巻取り軸の駆動機構を示した斜視図。
図5図4とは異なる視点からのプラテンローラ及びリボン巻取り軸の駆動機構を示した斜視図。
図6図3に示す印刷搬送機構の分解斜視図。
図7図6に示す搬送機構の分解斜視図。
図8】正搬送時の印刷搬送機構の動作を説明するための概略図であり、(a)はカムと搬送部との関係を示した図、(b)はギア取付部とギアとの関係を示した図。
図9】逆搬送時の印刷搬送機構の動作を説明するための概略図であり、(a)はカムと搬送部との関係を示した図、(b)はギア取付部とギアとの関係を示した図。
図10】プラテンローラがサーマルヘッドから離れた状態を示す概略図であり、(a)はカムと搬送部との関係を示した図、(b)はギア取付部とギアとの関係を示した図。
図11図8(a)の断面線XI-XIで切断した印刷搬送機構の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る印刷装置について、図面を参照しながら説明する。なお、印刷装置を説明するにあたり、図1に示すように、水平方向に延びるX軸及びY軸と、X軸及びY軸と直交するZ軸とが規定された直交座標系を適宜参照する。この直交座標系において、+X軸方向は被印刷媒体が排出される方向であり、+Z軸方向は印刷装置の上方側である。また、Z軸は後述するカム210の回転軸方向、Y軸はプラテンローラ110及びプラテンローラ110を保持するアーム部102の回転軸方向である。図1に示す印刷装置1は、ラベルプリンタであり、搬送部によって搬送された被印刷媒体であるテープ部材M(図2)に印刷を行う。印刷装置1は、図示しないパソコン、タブレット端末等の情報処理装置から受信した印刷データに基づいて印刷を行う。
【0010】
印刷装置1の筐体2は、図1に示すように、オーバル形状の底面を有する柱体状を有している。筐体2の表面のうち、柱体の側面に該当する部分は、底面と直交した2つの平面2aと、この2つの平面2aを接続する2つの曲面2bと、を有している。さらに、2つの曲面2bのうち+X軸方向側にある一方の曲面2bには、凹部2cが形成されている。
【0011】
凹部2cには、排出口2dが形成されている。印刷装置1内で印刷が行われたテープ部材M(図2)は、排出口2dから装置外へ排出される。排出口2dは、Y軸方向に平行な方向に延びるスリット状の開口である。
【0012】
筐体2の内部には、図2に示すように、各種の部品から構成された内部構造の主要部10が収容されている。この主要部10は、ベース部11と、ベース部11に設けられたカートリッジ保持部12とを有している。
【0013】
ベース部11は、-Y方向を向いた面に各種の部品が取り付けられた平板部11aを有している。平板部11aには、図5に示すように、コの字状に切れ目が入れられ、切れ目が入っていない部分で折り曲げられて起立した起立部18が形成されている。起立部18には、後述するばね130の端部に形成されたフックが引っかけられるばね取付部18aが形成されている。
【0014】
カートリッジ保持部12は、テープカートリッジ30を保持可能な保持部本体12aと、平板部11aに立設され平板部11aと保持部本体12aとをY軸方向に間隔をあける複数の脚部12bとを有している。脚部12bは例えば4本であり、図2においては、そのうちの1本が図示されている。保持部本体12aには、テープカートリッジ30を収容するための空間を区画する、-Y方向が開放されたカートリッジ収容部12cが形成されている。
【0015】
テープカートリッジ30は、カートリッジ収容部12cの開放された-Y方向から着脱自在に収容される。ここで図3は、テープカートリッジ30がカートリッジ収容部12cに収納された状態を示している。
【0016】
テープカートリッジ30には、図2に示すように、サーマルヘッド120が挿入される凹部であるサーマルヘッド被挿入部36が形成されている。またテープカートリッジ30は、テープ部材M及びインクリボンRを収容するカートリッジケース31を有する。カートリッジケース31には、テープコア32とリボン供給コア34とリボン巻取りコア35が設けられている。
【0017】
図3に示すように、テープ部材Mは、カートリッジケース31内部のテープコア32にロール状に巻かれている。テープ部材Mは、例えば、接着層を有する基材と、接着層を覆うように剥離可能に基材に貼付された剥離紙と、を有するテープである。熱転写用のインクリボンRは、その先端がリボン巻取りコア35に巻きつけられた状態で、カートリッジケース31内部のリボン供給コア34にロール状に巻かれている。テープ部材M及びインクリボンRは、重なり合って凹形状のサーマルヘッド被挿入部36を跨ぐように設けられている。
【0018】
また主要部10は、図2及び図3に示すように、カートリッジ収容部12cの+Z方向に隣接する位置に、印刷搬送部100を備えている。印刷搬送部100は、複数の発熱素子を有しテープ部材Mに印刷を行うサーマルヘッド120と、テープ部材M及びインクリボンRを搬送するプラテンローラ110とを有している。サーマルヘッド120及びプラテンローラ110は、サーマルヘッド被挿入部36を跨ぐテープ部材M及びインクリボンRを挟み込む位置に設けられている。
【0019】
印刷搬送部100は、図4及び図5に示すように、プラテンローラ110及びサーマルヘッド120の長手方向を平板部11aに直交させる姿勢で、ベース部11に取り付けられている。印刷搬送部100は、図6に示すように、不動のサーマルヘッド120を有する印刷部111と、プラテンローラ110を有し、印刷部111に回転軸117を介して回転可能に取り付けられた搬送部101とを有している。
【0020】
印刷部111は、サーマルヘッド120とサーマルヘッド保持部112とを有している。サーマルヘッド120は、テープ部材Mの長手方向(排出方向)と直交する方向(Y軸方向)に配置された複数の発熱素子を有している。図3に示すように、プラテンローラ110は、テープ部材M及びインクリボンRを、所定の押圧力でサーマルヘッド120に押圧する。サーマルヘッド120は、入力されたデータに基づいて、複数の発熱素子を選択的に発熱させ、インクリボンRのインクをテープ部材Mに熱転写する。サーマルヘッド120は、その主面をテープ部材Mが搬送される方向である+X方向に対して直交する+Z方向に向けられ、かつその長手方向をベース部11の平板部11aに直交する姿勢で設けられる。
【0021】
サーマルヘッド保持部112は、アルミダイキャスト製で、図6に示すようにサーマルヘッド120を保持する。サーマルヘッド保持部112に保持されたサーマルヘッド120は不動である。サーマルヘッド保持部112は、平板部11a(図5)に図示しないねじを介して固定されたベース部113と、ベース部113の-X軸方向の端部から-Y軸方向に向けて立設した立設部114と、立設部114の先端で屈曲し+X方向に延びる屈曲部116と、ベース部113の-Z軸方向側の端部から-Y軸方向に向けて立設し、+Z軸方向側の向いた面にサーマルヘッド120が固定された固定部115とを有している。
【0022】
固定部115には、図5に示すように、+Z方向に突出した突出部118が形成されている。突出部118は、固定部115においてベース部113に近い位置であり、サーマルヘッド120よりも+X方向の位置に形成されている。すなわち、突出部118は、サーマルヘッド120よりもテープ部材Mが排出される方向(下流側)にある。突出部118は、-Y方向(プラテンローラ110が延びる方向)から見た場合、図8(b)に示すように、+Z方向の先端が半円状に形成されている。突出部118を平板部11a(XZ平面)に平行に切断した断面は、Y軸方向に沿って同一の形状及び大きさを有している。突出部118は、後述するように規制部として、円弧状の先端を図6に示す搬送部101の当接部104に当接させて、搬送部101の回転軸117を中心とした回転を規制する。また、図6に示すように、ベース部113と屈曲部116には、回転軸117が挿通される軸挿通孔113a,116aが形成されている。
【0023】
回転軸117は、Y軸方向に沿って延びる棒状部を有し、回転軸117に挿通されたギアG5及び搬送部101を回転可能に支持する。回転軸117は、抜け止め119を装着するための溝117aが形成されており、これにより印刷搬送部100からの抜けが防止されている。
【0024】
ギアG5は、後述するように、図4に示すモータ24からの出力を、プラテンローラ110まで伝達する複数のギア(伝達部)のうちの1つである。ギアG5は、図4に示すように、ベース部113上に設けられており、ベース部113と搬送部101との間に配置されている。
【0025】
搬送部101は、図7に示すように、プラテンローラ110と、プラテンローラ110を収容するプラテンローラ収容部105と、プラテンローラ110を回転可能に支持するアーム部102と、プラテンローラ110が連結されたギアG8と、ギアG6,G7が回転可能に取り付けられたギア取付部103とを有している。プラテンローラ収容部105、アーム部102及びギア取付部103は、プラテンローラ110を保持するプラテンローラ保持部として機能する。
【0026】
アーム部102は、+X方向からみて略コの字状をなしており、Y軸方向に間隔をあけて配された対の対向部131,132と、対の対向部131,132を接続する接続部133とを有している。対の対向部131,132は、Y軸方向に直交する平板状部であり、X軸方向に長手方向を有している。対の対向部131,132の-X側の位置には、図6に示す回転軸117が挿通される軸挿通孔131a,132aが形成されている。アーム部102は、軸挿通孔131a,132aに挿通された回転軸117を軸として、図6に示すサーマルヘッド保持部112に対して回転可能である。すなわち、アーム部102は、回転軸117が延びるY軸方向を軸として回転可能である。また、対の対向部131,132には、軸挿通孔131a,132aが形成された位置よりも+X方向の位置に、プラテンローラ110の軸110a,110bが挿通されるローラ挿通孔131b,132bが形成されている。ローラ挿通孔131b,132bは、Z軸方向に長手方向を有する長孔である。これにより、プラテンローラ110の軸110a,110bは、ローラ挿通孔131b、132b内において長手方向に移動可能である。
【0027】
接続部133の+Z方向側には、図8(a)に示すように、カム210に押圧される被押圧部136が形成されている。被押圧部136は、+Z方向側に突出した山形状部である。また、接続部133の+X側の端部から+Z軸方向に延びた屈曲した屈曲部133aには、-X軸方向に突出した突起部137が形成されている。この突起部137は、後述するようにカム210の傾斜部213と係合し、アーム部102を回転軸117を中心に回転させる。また、図7に示すように、接続部133の-Z方向側を向いた面には、プラテンローラ収容部105を-Z方向に押圧する対のばね134,134と、プラテンローラ収容部105をZ軸方向にガイドするガイドバー135とが形成されている。
【0028】
プラテンローラ110は、軸方向がY軸方向と一致する円柱状部110cと、円柱状部110cの両端から突出した軸110a,110bとを有している。軸110aは、円柱状部110cの-Y側の端部から-Y方向に向けて突出している。また、軸110bは、円柱状部110cの+Y側の端部から+Y方向に向けて突出している。プラテンローラ110は、軸110a,110bが延びるY軸方向を軸として回転する。プラテンローラ110は、図3に示すように、テープ部材M及びインクリボンRをサーマルヘッド120に押圧しながら矢印R1の方向に回転することにより、テープ部材M及びインクリボンRを正搬送する。このような正搬送時において、テープ部材M及びインクリボンRは矢印Y1の方向(+Xの方向(第1搬送方向))に搬送される。一方、プラテンローラ110が矢印R2の方向に回転することにより、テープ部材M及びインクリボンRは逆搬送される。このような逆搬送時に、テープ部材M及びインクリボンRは矢印Y2の方向(-Xの方向(第2搬送方向))に搬送される。
【0029】
プラテンローラ収容部105には、図7に示すように、プラテンローラ110の軸110aが挿通される軸挿通孔105aと、軸110bが挿通される軸挿通孔105bとが形成されている。プラテンローラ収容部105は、軸挿通孔105a,105bに軸110a,110bが挿通されたプラテンローラ110を回転可能に支持する。また、プラテンローラ収容部105には、ガイドバー135が差し込まれる差込孔105cが+Z側に向けてあけられている。これにより、プラテンローラ収容部105は、ガイドバー135によりガイドされ、プラテンローラ110とともにZ軸方向に沿って移動可能である。なお、プラテンローラ収容部105に軸支されたプラテンローラ110の軸110a,110bは、プラテンローラ収容部105から突出し、ローラ挿通孔131b、132bに挿通される。
【0030】
ギア取付部103は、対向部132の+Y側に重なるように配置された平板状の部材である。ギア取付部103は、X軸方向に長手方向を有している。ギア取付部103の+X側の位置には、回転軸117(図6)が挿通される軸挿通孔103aが形成されている。ギア取付部103は、軸挿通孔103aに挿通された回転軸117を軸として、図6に示すサーマルヘッド保持部112に対して回転可能である。すなわち、ギア取付部103は、回転軸117が延びるY軸を軸として回転可能である。また、ギア取付部103には、軸挿通孔103aが形成された位置よりも+X方向の位置に、ギアG8の円柱上のギア突出部108が嵌って係合し、ギアG8を回転可能に支持するギア係合孔103bが形成されている。
【0031】
また、ギア取付部103の+Y軸側の面には、ギアG5と噛み合ったギアG6と、ギアG6と噛み合ったギアG7が回転可能に取り付けられている。また、ギアG8はギアG7と噛みあっている。プラテンローラ110の軸110bはギアG8に接続されており、ギアG8の回転とともにプラテンローラ110は、軸110a,110bを回転軸として回転する。
【0032】
また、ギア取付部103には、ギア係合孔103bが形成された位置よりも+X方向の位置に、図5に図示した突出部118に当接する当接部104が形成されている。当接部104は、ギア取付部103の縁部が折り曲げられて起立したもので、-Z方向を向いた当接面を有している。また、ギア取付部103には、当接部104よりもさらに+X方向の位置に、ばね130の端部に形成されたフックが引っ掛けられるばね取付孔107が形成されている。
【0033】
ばね130は、引張コイルばねであり、図4及び図5に示すように、ベース部11に形成された起立部18と、搬送部101のギア取付部103とを接続する。なお、図4及び図5においては、分解斜視図の性質上、ばね130を分断して図示している。ばね130は、起立部18に向けた引張力を、ギア取付部103に作用させる。
【0034】
また主要部10は、図2に示すように、使用済みのインクリボンRを巻き取るリボン巻取り軸23を有している。リボン巻取り軸23は、保持部本体12aを貫通し、カートリッジ収容部12c内に突出した状態で設けられている。リボン巻取り軸23は、正搬送時には図3に示すように軸25を回転軸として矢印R3の方向に回転する。これにより、プラテンローラ110によって矢印Y1の方向に正搬送されたインクリボンRは、矢印Y5の方向に搬送されてリボン巻取りコア35に巻き取られていく。一方、逆搬送時において、プラテンローラ110によって矢印Y6の方向に逆搬送されたインクリボンRが、リボン巻取りコア35から引き出されることで、リボン巻取り軸23は矢印R4の方向に回転する。
【0035】
主要部10はさらに、図3に示すように、排出口2d(図1)の近傍に、フルカッター17及びハーフカッター16を備えている。フルカッター17は、テープ部材Mを切断してテープ片を作成するカッターである。一方、ハーフカッター16は、テープ部材Mの先端部分等に切り込みを入れるカッターである。
【0036】
プラテンローラ110及びリボン巻取り軸23は、図4に示すベース部11に取り付けられたモータ24からの動力が伝達されて駆動される。モータ24は、例えばステッピングモータであり、ロータ、ステータ、エンコーダ等を有している。モータ24の回転運動は、出力軸に取り付けられたギアG1から出力される。図4に示された各ギアは、カートリッジ保持部12(図2)と対向する平板部11aの面に設けられている。なお、図4図9において、各ギアの歯形は、図の理解を容易にするため適宜省略している。モータ24からの出力は、図4に示すギアG1、ギアG2、ギアG3、ギアG4、ギアG5に伝達され、さらに図7に示すギアG6、ギアG7、及びギアG8に伝達される。これによりギアG8に接続されたプラテンローラ110が回転する。また、モータ24からの出力は、図4及び図5に示すギアG1、ギアG2、ギアG3、ギアG9、ギアG10、ギアG11、及びギアG12に伝達されていき、これによりリボン巻取り軸23が回転する。ここで、ギアG10は正搬送時の回転のみを伝達するワンウェイギアである。
【0037】
また主要部10は、図3に示すように、アーム部102を回転させるアーム部駆動機構200を有している。アーム部駆動機構200は、印刷搬送部100の+Z側に隣接して配置されている。アーム部駆動機構200は、ベース部11に固定されるとともに-Z軸方向を向いた取付面8aを有する取付部8と、取付面8aに取り付けられたモータ201と、モータ201の出力を伝達する歯車202,203と、歯車203から動力が伝達され回転するカム210とを有している。
【0038】
カム210は、図8(a)に示すように、Z軸方向に延びるカム軸211を回転軸として回転する。カム210は、略円柱型の本体部212と、本体部212の側面から突出した鍔状の傾斜部213とを有している。
【0039】
本体部212の-Z側の端部は、図8(a)に示すように、最も-Z方向に突出した押圧端部214と、押圧端部214よりも+Z方向に位置する軽圧端部215と、外周方向に沿ってZ軸方向に変化する傾斜端部216とを有している。
【0040】
図8(a)に示すように、アーム部102は、被押圧部136が押圧端部214に押圧されているときに、回転軸117を軸として最も図中時計回りに回転した状態にある。このときプラテンローラ110は、テープ部材Mに印刷を行うのに好適な圧力(標準圧)、例えば500g/cmの圧力でサーマルヘッド120を押圧する。その際、プラテンローラ110は、サーマルヘッド120から+Z方向に反力を受け図7に示すばね134の押圧力に抗して、+Z軸方向に移動する。これにより、プラテンローラ110の軸110aは、長孔のローラ挿通孔131bにおいて、+Z側に寄った位置にある。プラテンローラ110のもう一方の軸110bにおいても同様に、+Z側に寄った位置にある。また、プラテンローラ110が標準圧で押圧しているとき、サーマルヘッド保持部112(図5)から延びる突出部118は、図8(b)に示すように、ギア取付部103に形成された当接部104に当接した状態にある。なお、ギア取付部103には、ばね130が作用させる引張力T1により、回転軸117を軸として図中時計回りのトルクが作用する。
【0041】
図8(a)に示す状態から、モータ201を動かし、カム210をカム軸211を軸として矢印R10の方向に回転させる。すると、被押圧部136を押圧するカム210の押圧位置が、徐々に+Z側に変わっていく。これにより、アーム部102は、回転軸117を軸として矢印R11の方向、すなわち図中反時計回りの方向に回転していく。その際、プラテンローラ110に作用するサーマルヘッド120からの反力が小さくなっていき、プラテンローラ110は、図7に示すばね134に押され略-Z方向に移動していく。やがて、図9(a)に示すように、軽圧端部215によって被押圧部136が押圧されるようになる。このときプラテンローラ110は、標準圧よりも軽い軽圧、例えば360g/cmの圧力で、サーマルヘッド120を押圧する。これにより、印刷位置調整時や逆搬送時に、テープ部材Mに余分なインクの付着を抑制しつつ、テープ部材MとインクリボンRとを搬送することができる。このとき、プラテンローラ110の軸110aは、長孔のローラ挿通孔131bにおいて、-Z側に寄った位置にある。プラテンローラ110のもう一方の軸110bにおいても同様に、-Z側に寄った位置にある。また、標準圧を作用させている状態から軽圧を作用させている状態に移行しても、回転軸117を軸にアーム部102は回転する一方で、長孔内を移動したプラテンローラ110と図9(b)に示すギア取付部103はサーマルヘッド保持部112に対して不動である。そのため、図9(b)に示すように、サーマルヘッド保持部112(図5)から延びる突出部118は、当接部104に当接した状態のままである。なお、ギア取付部103には、標準圧が作用しているときと同様に、ばね130が作用させる引張力T1により、回転軸117を軸として図中時計回りのトルクが作用する。
【0042】
図9(a)に示す状態から、モータ201を動かし、カム210をさらに矢印R10の方向に回転させる。すると、アーム部102の突起部137が、カム210の傾斜部213の+Z側の面を摺動していき、アーム部102は吊り上げられていく。このとき、アーム部102は、回転軸117を軸として矢印R11の方向、すなわち図中反時計回りの方向にさらに回転していく。その際、プラテンローラ110の軸110a,110bは、長孔のローラ挿通孔131b,132b内において、-Z側の孔壁に当たった状態となる。そのため、プラテンローラ110とプラテンローラ110に接続されたギアG8は、図中反時計回りに回転するアーム部102とともに回転移動する。また、ギアG8の移動に伴い、図7に示すギアG8のギア突出部108が嵌ったギア係合孔103bが形成されたギア取付部103も、ギアG6及びギアG7とともに回転移動する。これにより、図10(a)に示すように、プラテンローラ110は、サーマルヘッド120から離れた状態となる。このとき、アーム部102は、回転軸117を軸として図中反時計回りに最大角度回転した状態にある。この状態に至ることにより、図2に示すテープカートリッジ30を交換したりセットしたりすることができる。また、ギア取付部103も回転軸117を軸として回転することから、図10(b)に示すように、サーマルヘッド保持部112(図5)から延びる突出部118は、当接部104から離れた状態となる。なお、ギア取付部103に取り付けられたばね130は、ギア取付部103の回転移動によって伸び、より強い引張力T2をギア取付部103に作用させる。
【0043】
次に、印刷装置1の動作について説明する。印刷装置1は、図示しない制御部により動作が制御されている。制御部は、ROM(Read Only Memory)に格納されているプログラムに従って、各種モータの制御、印刷パターンの印刷の実行、フルカッター17(図3)及びハーフカッター16(図3)の制御等を行う。
【0044】
まず、ユーザが印刷装置1の電源をONにすると、制御部は、モータ201を動かしてカム210を回転させ、図10(a)に示すように、アーム部102を、回転軸117を軸として図中反時計回りに最大角度回転した状態にする。これにより、ユーザは、テープカートリッジ30をセットする(或いはテープカートリッジ30を他のテープカートリッジ30に交換する)ことができる。
【0045】
テープカートリッジ30のセット後、制御部は、カム210をR10の方向に回転させ、図8(a)に示すように押圧端部214で被押圧部136が押圧された状態とした後、カム210の回転を停止させる。このとき、プラテンローラ110は、サーマルヘッド120を標準圧で押圧する。
【0046】
図示しない情報処理装置から印刷装置1へ印刷データが入力されると、制御部は、カム210の停止状態を維持して標準圧を保った状態で、テープ部材Mへの印刷を行う。制御部は、図4に示すモータ24を正転させ、テープ部材M及びインクリボンRを正搬送する。このとき、モータ24の出力は、各ギアによって伝達される。
【0047】
正搬送時において、図8(b)に示すように、ギアG5は図中時計回り、ギアG6は図中反時計回り、ギアG7は図中時計回り、ギアG8は図中反時計回りに回転する。ギアG8に接続されたプラテンローラ110は、図3に示すように、重なりあったテープ部材M及びインクリボンRをサーマルヘッド120に押圧しながら矢印R1の方向(反時計回り)に回転する。これにより、テープ部材Mはテープコア32から繰り出されるとともに、インクリボンRはリボン供給コア34から繰り出される。このようにして正搬送されるテープ部材M及びインクリボンRは、重なった状態で、サーマルヘッド120とプラテンローラ110の間を矢印Y1で示す方向に通過する。その際、インクリボンRがサーマルヘッド120によって加熱されることで、インクがテープ部材Mに熱転写される。
【0048】
なお、回転軸117に回転可能に支持されたギアG5の図中時計回りの回転がギアG6に伝わる際、ギアG6はギアG5が回転する方向に押し込まれる。これにより、ギアG6を回転可能に支持するギア取付部103には、回転軸117を軸として図中時計回りの方向にトルクTaが作用する。ただし、このトルクTaは、ギア取付部103の当接部104に当接した突出部118により受け止められる。これにより、トルクTaが作用することによる、ギア取付部103の回転を規制することができる。
【0049】
一方、リボン巻取り軸23は、図3に示すように、軸25を中心に図中時計回り(矢印R3の方向)に回転する。これにより、インクリボンRは、矢印Y5の方向に搬送されて、リボン巻取りコア35により巻き取られていく。
【0050】
印刷済みのテープ部材Mは、矢印Y3の方向に搬送され、フルカッター17(図3)で切断されて排出口2d(図1)から装置外へと排出される。
【0051】
なお、図3に示すように、テープ部材Mをフルカッター17で切断してからそのまま次の印刷を実行すると、フルカッター17とサーマルヘッド120との距離に相当する余白が印刷物の先端に形成される。そこで、印刷装置1(図1)は、テープ部材Mの印刷、フルカッター17(図3)による切断、及び排出口2d(図1)からの排出という一連の動作を行った後、印刷物の先端の余白を短縮する余白短縮動作を行う。
【0052】
具体的には、制御部は、カム210を回転させて、図9(a)に示すように、軽圧端部215で被押圧部136を押圧した状態にする。このとき、プラテンローラ110は、サーマルヘッド120を軽圧で押圧した状態である。制御部は、サーマルヘッド120が軽圧で押圧した状態を維持したまま、図4に示すモータ24の出力を逆転させ、テープ部材M及びインクリボンRを逆搬送する。このときのモータ24の出力は、各ギアによって伝達される。
【0053】
逆搬送時において、図9(b)に示すように、ギアG5は図中反時計回り、ギアG6は図中時計回り、ギアG7は図中反時計回り、ギアG8は図中時計回りに回転する。ギアG8に接続されたプラテンローラ110は、図3に示すように、重なりあったテープ部材M及びインクリボンRをサーマルヘッド120に押圧しながら矢印R2の方向(図中反時計回り)に回転する。これにより、テープ部材M及びインクリボンRは逆搬送される。
【0054】
なお、図9(b)に示すように、回転軸117に回転可能に支持されたギアG5の図中反時計回りの回転がギアG6に伝わる際、ギアG6はギアG5が回転する方向に押し込まれる。これにより、ギアG6を回転可能に支持するギア取付部103には、回転軸117を軸として図中反時計回りの方向にトルクTbが作用する。ただし、ギア取付部103には、ばね取付孔107に取り付けられたばね130が、トルクTbとは反対の、図中時計回りのトルクを作用させる方向に、引張力T1を作用させる。これにより、トルクTbが作用することによる、ギア取付部103の図中反時計回りの回転を抑制することができる。
【0055】
上記実施の形態によれば、プラテンローラ110が標準圧でサーマルヘッド120を押圧している場合に、ギア取付部103に当接して回転を規制する突出部118を、サーマルヘッド保持部112に設けた。この突出部118は、モータ24を正転させたことによって、ギア取付部103にトルクTaが作用する方向に配置されている。そのため、突出部118は、規制部として、ギア取付部103に作用するトルクTaを受け持ち、ギア取付部103の意図しない回転を規制する。このようにして、ギア取付部103がトルクTaにより回転することで、プラテンローラ110によってサーマルヘッド120を均一に押圧できないという現象が生じるのを防止することができる。具体的には、図11に示すように、ギア取付部103がトルクTaにより意図しない回転をすると、プラテンローラ110の一方の軸110bが、-Z軸方向に変位する。これにより、プラテンローラ110の+Y側がサーマルヘッド120に食い込む一方で、プラテンローラ110の-Y側がサーマルヘッド120から浮き上がるという現象が生じる。一方、ギア取付部103に当接する突出部118を設けることで、プラテンローラ110によってサーマルヘッド120を均一に押圧することができる。また、ギア取付部103の意図しない回転を規制できることから、プラテンローラ110によって、所望の力でサーマルヘッド120を押圧することができる。
【0056】
また、図8(b)に示すように、突出部118の先端を円弧状とすることで、当接部104と垂直に当接することができ、ギア取付部103の回転を規制しやすい。
【0057】
また、図5に示すように、当接部104に当接する突出部118を、サーマルヘッド120を保持するサーマルヘッド保持部112に形成している。これにより、突出部118を形成するための部品を新たに増やす必要がなく、部品数を抑えることができる。
【0058】
また、図8(a)に示すように、ギア取付部103において、突出部118と当接部104とが当接する当接箇所を、プラテンローラ110の取付箇所よりも+X側であり、テープ部材Mが正搬送される方向(下流側)に配置している。すなわち、当接部104の回転軸117からの距離は、プラテンローラ110の回転軸117からの距離よりも長い。このように、当接部104の回転軸117からの距離を長くすることで、回転軸117を軸として回転するギア取付部103を精度よく所望の位置に止めることができる。これにより、プラテンローラ110によって、サーマルヘッド120を均一の力で押圧することができる。
【0059】
また、ギア取付部103には、図9(b)に示すように、保持するプラテンローラ110がサーマルヘッド120に近づく方向に、引張力T1を作用させる弾性部としてのばね130が取り付けられている。プラテンローラ110が軽圧でサーマルヘッド120を押圧している場合に、モータ24を逆転すると、ギア取付部103には、図11に示すように、回転軸117を軸として図中反時計回りの方向を向いたトルクTbが作用する。しかしながら、ばね130によって図中時計回りに回転させる引張力T1をギア取付部103に作用させることから、ギア取付部103の図中反時計回りの回転を抑制することができる。これにより、プラテンローラ110によってサーマルヘッド120を均一に押圧できないという現象が生じるのを防止することができる。具体的には、ギア取付部103がトルクTbにより意図しない回転をしてしまうと、プラテンローラ110の一方の軸110bが、+Z軸方向に変位する。これにより、プラテンローラ110の+Y側がサーマルヘッド120から浮き上がる一方で、プラテンローラ110の+Y側がサーマルヘッド120に食い込むという現象が生じる。一方、ギア取付部103にばね130(図9(b))を設けることで、トルクTbが作用したとしてもギア取付部103の回転が抑制され、プラテンローラ110によってサーマルヘッド120を均一に押圧した状態を維持することができる。これにより、プラテンローラ110を空回りさせることなく、テープ部材M及びインクリボンRを逆搬送することができる。
【0060】
また、図5に示すように、ギア取付部103に一端を取り付けたばね130の他端は、ベース部11の一部を加工した起立部18に取り付けている。これにより、ばね130を取り付けるための部品を新たに増やす必要がなく、部品数を抑えることができる。
【0061】
また、図9(b)に示すギア取付部103において、ばね130が取り付けられるばね取付孔107を、プラテンローラ110の取付箇所よりも+X側であり、テープ部材Mが正搬送される方向(下流側)に配置している。すなわち、ばね取付孔107の回転軸117からの距離は、プラテンローラ110の回転軸117からの距離よりも長い。このように、ばね取付孔107の回転軸117からの距離を長くすることで、ばね130の引張力により生ずるトルクを大きくすることができ、ばね130を小型化することができる。また、ばね130の引張力によるトルクの調整も容易に行える。
【0062】
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上記実施の形態では、サーマルヘッド保持部112に、規制部としての突出部118を設け、ギア取付部103に、突出部118が当接する当接部104を形成したが、突出部118と当接部104とが形成される位置は、このような態様のものに限定されない。例えば、突出部118の位置と当接部104の位置とを入れ替え、ギア取付部103に突出部118を形成し、サーマルヘッド保持部112に当接部104を形成してもよい。また、ギア取付部103に当接する規制部は、サーマルヘッド120に対して不動な箇所に設けられていればよく、例えば、ベース部11から延出させてギア取付部103に当接するものであってもよい。
【0063】
また、ギア取付部103において、突出部118と当接部104とが当接する当接箇所、及びばね130が接続されるばね取付孔107の位置は、プラテンローラ110の位置よりも+X側であると説明したが、-X側にしても、ギア取付部103の意図しない回転を抑えることができ、プラテンローラ110の均一な押圧を実現することができる。
【0064】
また、プラテンローラ110を保持するアーム部102及びギア取付部103は、サーマルヘッド保持部112により回転可能に支持されていると説明したが、その他の部材、例えば、各種の部品を保持するベース部11に回転可能に支持されてもよい。
【0065】
また、ギア取付部103には、回転軸117を中心としたトルクを作用させる弾性部として、ばね130が取り付けられていると説明したが、その他の材料からなる弾性体、例えばゴム等を取り付けてトルクを作用させてもよい。
【0066】
また、ばね130の一端は、平板部11aに起立した起立部18に接続されていると説明したが、印刷装置1内において不動である箇所であれば任意に接続箇所を設定できる。例えば、ばね130の一端を、サーマルヘッド保持部112に接続してもよいし、カートリッジ保持部12に接続してもよい。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1・・・印刷装置、2・・・筐体、2a・・・平面、2b・・・曲面、2c・・・凹部、2d・・・排出口、8・・・取付部、8a・・・取付面、10・・・主要部、11・・・ベース部、11a・・・平板部、12・・・カートリッジ保持部、12a・・・保持部本体、12b・・・脚部、12c・・・カートリッジ収容部、16・・・ハーフカッター、17・・・フルカッター、18・・・起立部、18a・・・ばね取付部、23・・・リボン巻取り軸、24・・・モータ、25・・・軸、30・・・テープカートリッジ、31・・・カートリッジケース、32・・・テープコア、34・・・リボン供給コア、35・・・リボン巻取りコア、36・・・サーマルヘッド被挿入部、100・・・印刷搬送部、101・・・搬送部、102・・・アーム部、103・・・ギア取付部、103a・・・軸挿通孔、103b・・・ギア係合孔、104・・・当接部、105・・・プラテンローラ収容部、105a,105b・・・軸挿通孔、105c・・・差込孔、107・・・ばね取付孔、108・・・ギア突出部、110・・・プラテンローラ、110a,110b・・・軸、110c・・・円柱状部、111・・・印刷部、112・・・サーマルヘッド保持部、113・・・ベース部、113a・・・軸挿通孔、114・・・立設部、115・・・固定部、116・・・屈曲部、116a・・・軸挿通孔、117・・・回転軸、117a・・・溝、118・・・突出部、119・・・抜け止め、120・・・サーマルヘッド、130・・・ばね、131・・・対向部、131a・・・軸挿通孔、131b・・・ローラ挿通孔、132・・・対向部、132a・・・軸挿通孔、132b・・・ローラ挿通孔、133・・・接続部、133a・・・屈曲部、134・・・ばね、135・・・ガイドバー、136・・・被押圧部、137・・・突起部、200・・・アーム部駆動機構、201・・・モータ、202,203・・・歯車、210・・・カム、211・・・カム軸、212・・・本体部、213・・・傾斜部、214・・・押圧端部、215・・・軽圧端部、216・・・傾斜端部、G1~G12・・・ギア、M・・・テープ部材、R・・・インクリボン、T1,T2・・・引張力、Ta,Tb・・・トルク
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