(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131299
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電動モータ用ターミナルユニット及びブラシレスモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041489
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100102853
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹野 寧
(72)【発明者】
【氏名】酒井 良輔
(72)【発明者】
【氏名】福島 剛典
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA08
5H605BB05
5H605CC06
5H605EC07
5H605EC08
(57)【要約】
【課題】ターミナルユニットを備えた電動モータにおいて、ターミナル部材の固定力を向上させ、ターミナル部材の取り付け位置精度の向上を図る。
【解決手段】
ターミナルユニット31は、ターミナルホルダ32とターミナル部材33とを有する。ターミナルホルダ32は、第1及び第2ターミナルホルダ32a,32bに分割されている。第1ターミナルホルダ32aにはターミナル部材33Wが1個配設され、第2ターミナルホルダ32bには3個のターミナル部材33U,33V,33Nが配設されており、各々ターミナル取付溝41a,41b内に嵌合装着される。第1ターミナルホルダ32aには、第2ターミナルホルダ32側のターミナル部材33が収容される凹部42が形成されている。第1ターミナルホルダ32aの下面には、第2ターミナルホルダ32b側の溝41bと嵌合する嵌合突起43が設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアの一端側に取り付けられ、合成樹脂製のターミナルホルダと、前記ターミナルホルダ内に配設されステータコイルと電気的に接続される金属製のターミナル部材と、を有する電動モータ用のターミナルユニットであって、
前記ターミナルホルダは、前記電動モータの回転軸延伸方向に沿って隣接配置される第1ターミナルホルダと第2ターミナルホルダとを有し、
前記第1及び第2ターミナルホルダはそれぞれ、少なくとも1個の前記ターミナル部材を有することを特徴とする電動モータ用ターミナルユニット。
【請求項2】
請求項1記載の電動モータ用ターミナルユニットにおいて、
前記第1及び第2ターミナルホルダは、前記回転軸延伸方向の一端面側に、周方向に沿って延び前記ターミナル部材が取り付けられるターミナル取付溝を備え、
前記第2ターミナルホルダは、前記第1ターミナルホルダの他端面側に取り付けられ、
前記第1ターミナルホルダは、前記他端面の外側に、前記第2ターミナルホルダの前記ターミナル取付溝に嵌合する突起部を有することを特徴とする電動モータ用ターミナルユニット。
【請求項3】
請求項1記載の電動モータ用ターミナルユニットにおいて、
前記第1ターミナルホルダは、前記第2ターミナルホルダに配された前記ターミナル部材が収容される凹部を備え、
前記第1ターミナルホルダと前記第2ターミナルホルダは、前記凹部に前記ターミナル部材を収容させることにより周方向の移動が規制されることを特徴とする電動モータ用ターミナルユニット。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の電動モータ用ターミナルユニットにおいて、
前記第1ターミナルホルダは、前記ターミナル部材が1個のみ配設されることを特徴とする電動モータ用ターミナルユニット。
【請求項5】
径方向内側に向かって複数個のティースが突設されたステータコアと、前記ティース間に形成されるスロットに収容されるステータコイルと、を備えるステータと、
前記ステータコアの一端側に取り付けられ、合成樹脂製のターミナルホルダと、前記ターミナルホルダ内に配設され前記ステータコイルと電気的に接続される金属製のターミナル部材と、を有するターミナルユニットと、
前記ステータの径方向内側に回転自在に配置されたロータと、を有するブラシレスモータであって、
前記ターミナルホルダは、前記電動モータの回転軸延伸方向に沿って隣接配置される第1ターミナルホルダと第2ターミナルホルダとを有し、
前記第1及び第2ターミナルホルダはそれぞれ、少なくとも1個の前記ターミナル部材を有することを特徴とするブラシレスモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータのステータユニットに取り付けられる給電用ターミナルユニットに関し、特に、ターミナルユニットにおけるターミナルホルダの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ブラシレスモータ(電動モータ)の給電手段として、銅やアルミニウム等の導電金属製のターミナル部材を備えたターミナルユニットが知られている(例えば、特許文献1のモジュール等)。このターミナルユニットは、モータのステータコア端面に取り付けられ、ステータコイルと電気的に接続されて使用される。ターミナルユニット内にはモータ各相用と中性点用の各ターミナル部材が配設され、ターミナル部材には、給電用、各相接続用、中性点用のターミナル(接続用端子)が設けられる。
【0003】
図6は、従来のターミナルユニット51の構成を示す説明図である。ターミナルユニット51は、合成樹脂製のターミナルホルダ52と、ターミナルホルダ52内に配設された導電金属製のターミナル部材53と、を備えている。ターミナルユニット51は3相モータ用となっており、ターミナル部材53は、各相用のターミナル部材53U,53V,53Wと、中性点用のターミナル部材53Nの計4個が設けられている。
【0004】
ターミナル部材53U,53V,53Wには、各相コイルと接続されるコイル側ターミナル54(54U,54V,54W)と、電源と接続される電源側ターミナル55(55U,55V,55W)が設けられている。コイル側ターミナル54と電源側ターミナル55の間は帯状のコネクトプレート56によって接続され、ターミナル部材53として一体化されている。また、ターミナル部材53Nには、中性点接続用の中性点ターミナル57が3個設けられている。各中性点ターミナル57の間も帯状のコネクトプレート58によって接続され、ターミナル部材53として一体化されている。
【0005】
このようなターミナルユニット51では、
図6に示すように、ターミナル部材53Wがターミナルホルダ52の上部に配置され、他のターミナル部材53U,53V,53Nはターミナルホルダ52の下部に配置される。この場合、各ターミナル部材53は、ターミナルホルダ52に形成された周方向に延びるターミナル取付溝59(以下、溝59と略記する)に嵌合装着され、この溝59には、上方からまずターミナル部材53U,53V,53Nが取り付けられる。そして、これらのターミナル部材を取り付けた後、その上方にターミナル部材53Wが取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-25745号公報
【特許文献2】特開2013-102596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、従来のターミナルユニット51では、各ターミナル部材53は上方から溝59に取り付けられるため、溝59の上部は開放されており、ターミナルホルダ52は上面が開いた形状となっている。このため、上側に配されるターミナル部材53Wは、溝59の開口に近い位置に取り付けられることになり、ターミナル部材53Wの固定力が不足するおそれがあった。また、ターミナル部材53Wは、他の3つのターミナル部材53U,53V,53Nを嵌合装着させた後に溝59に取り付けられるため、溝59に緩い状態で取り付けられる可能性があり、固定力が不足し、ターミナル部材53Wの位置精度が低下するおそれがあるという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、ターミナルユニットを備えた電動モータにおいて、ターミナル部材の固定力を向上させ、ターミナル部材の取り付け位置精度の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電動モータ用ターミナルユニットは、ステータコアの一端側に取り付けられ、合成樹脂製のターミナルホルダと、前記ターミナルホルダ内に配設されステータコイルと電気的に接続される金属製のターミナル部材と、を有する電動モータ用のターミナルユニットであって、前記ターミナルホルダは、前記電動モータの回転軸延伸方向に沿って隣接配置される第1ターミナルホルダと第2ターミナルホルダとを有し、前記第1及び第2ターミナルホルダはそれぞれ、少なくとも1個の前記ターミナル部材を有することを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、ターミナルホルダを分割し、回転軸延伸方向に沿って隣接配置される第1ターミナルホルダと第2ターミナルホルダを設け、これらのターミナルホルダにそれぞれ少なくとも1個のターミナル部材を配したので、従来よりも1つのターミナルホルダに配設されるターミナル部材の数が減り、ターミナル部材を緩んだ状態とはならずにホルダ内に取り付けられる。このため、従来のターミナルユニットに比してターミナル部材の固定力を向上させることができ、ターミナル部材の位置決め精度の向上が図られる。
【0011】
前記電動モータ用ターミナルユニットにおいて、前記第1及び第2ターミナルホルダの前記回転軸延伸方向の一端面側に、周方向に沿って延び前記ターミナル部材が取り付けられるターミナル取付溝を設け、前記第2ターミナルホルダを前記第1ターミナルホルダの他端面側に取り付けると共に、前記第1ターミナルホルダの前記他端面の外側に、前記第2ターミナルホルダの前記ターミナル取付溝に嵌合する突起部を設けるようにしても良い。この場合、前記突起部を前記ターミナル取付溝に圧入したり、前記突起部と前記ターミナル取付溝の間を接着剤等によって接着したりしても良い。
【0012】
また、前記第1ターミナルホルダに、前記第2ターミナルホルダに配された前記ターミナル部材が収容される凹部を設け、前記第1ターミナルホルダと前記第2ターミナルホルダが、前記凹部に前記ターミナル部材を収容させることにより周方向の移動が規制されるようにしても良い。この場合、前記凹部を前記第1ターミナルホルダの内周面に形成しても良い。
【0013】
さらに、前記電動モータ用ターミナルユニットにおいて、前記第1ターミナルホルダに、前記ターミナル部材を1個のみ配設するようにしても良い。
【0014】
一方、本発明のブラシレスモータは、径方向内側に向かって複数個のティースが突設されたステータコアと、前記ティース間に形成されるスロットに収容されるステータコイルと、を備えるステータと、前記ステータコアの一端側に取り付けられ、合成樹脂製のターミナルホルダと、前記ターミナルホルダ内に配設され前記ステータコイルと電気的に接続される金属製のターミナル部材と、を有するターミナルユニットと、前記ステータの径方向内側に回転自在に配置されたロータと、を有するブラシレスモータであって、前記ターミナルホルダは、前記電動モータの回転軸延伸方向に沿って隣接配置される第1ターミナルホルダと第2ターミナルホルダとを有することを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、ステータコアとステータコイルとを備えるステータと、ステータコアの一端側に取り付けられステータコイルと接続されるターミナル部材を有するターミナルユニットと、ステータの径方向内側に回転自在に配置されたロータと、を有するブラシレスモータにて、ターミナルホルダを分割し、回転軸延伸方向に沿って隣接配置される第1ターミナルホルダと第2ターミナルホルダを設け、これらのターミナルホルダにそれぞれ少なくとも1個のターミナル部材を配したので、従来よりも1つのターミナルホルダに配設されるターミナル部材の数が減り、ターミナル部材を緩んだ状態とはならずにホルダ内に取り付けられる。このため、従来のターミナルユニットに比してターミナル部材の固定力を向上させることができ、ターミナル部材の位置決め精度の向上が図られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電動モータ用ターミナルユニットによれば、合成樹脂製のターミナルホルダと金属製のターミナル部材とを有するターミナルユニットにて、ターミナルホルダを分割し、回転軸延伸方向に沿って隣接配置される第1ターミナルホルダと第2ターミナルホルダを設け、これらのターミナルホルダにそれぞれ少なくとも1個のターミナル部材を配したので、従来よりも1つのターミナルホルダに配設されるターミナル部材の数を減らすことができ、ターミナル部材を緩んだ状態とはならずにホルダ内に取り付けることが可能となる。このため、従来のターミナルユニットに比してターミナル部材の固定力を向上させることができ、ターミナル部材の位置決め精度の向上を図ることが可能となる。
【0017】
また、本発明のブラシレスモータによれば、合成樹脂製のターミナルホルダと金属製のターミナル部材とを備えたターミナルユニットを有するブラシレスモータにて、ターミナルホルダを分割し、回転軸延伸方向に沿って隣接配置される第1ターミナルホルダと第2ターミナルホルダを設け、これらのターミナルホルダにそれぞれ少なくとも1個のターミナル部材を配したので、従来よりも1つのターミナルホルダに配設されるターミナル部材の数を減らすことができ、ターミナル部材を緩んだ状態とはならずにホルダ内に取り付けることが可能となる。このため、従来のターミナルユニットに比してターミナル部材の固定力を向上させることができ、ターミナル部材の位置決め精度の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施の形態である電動モータ用ターミナルユニットを用いたブラシレスモータの構成を示す説明図である。
【
図2】ステータコアにターミナルユニットを取り付けた状態を示す説明図である。
【
図3】
図1のブラシレスモータにて使用されているターミナルユニットの構成を示す説明図である。
【
図4】
図3のターミナルユニットの構成を示す分解説明図である。
【
図5】ステータコア端面におけるインシュレータ突出部の構成を示す説明図である。
【
図6】従来の電動モータ用ターミナルユニットの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である電動モータ用ターミナルユニットを用いたブラシレスモータ1(電動モータ、以下、モータ1と略記する)の構成を示す説明図である。
図1に示すように、モータ1は、外側にステータ(固定子)2、内側にロータ(回転子)3を配し、それらを金属製のモータハウジング4内に収容したインナーロータ型の構成となっている。ここでは、モータ1として、ロータ3側に発生するリラクタンストルクによって作動するシンクロナスリラクタンスモータを採用しており、例えば電動パワーステアリング装置の駆動源として使用される。
【0020】
モータハウジング4は有底円筒状に形成されており、その
図1において右端側の開口部には、ベアリングホルダ5が取り付けられている。ベアリングホルダ5は合成樹脂又はアルミダイキャストにて形成されており、その中央にはベアリング6aが固定されている。一方、モータハウジング4の左端側中央部にはベアリング固定部7が形成されており、ベアリング6bが固定されている。ベアリング6a,6bには、ロータシャフト(回転軸)8が回転自在に軸支されている。ロータシャフト8にはロータ3が固定されており、ロータ3はステータ2の内側に回転自在に挿入配置される。
【0021】
ロータ3は、ロータシャフト8の外周に圧入固定されたロータコア11を備えている。ロータコア11は、電磁鋼板等にて形成された円形の薄板材を複数枚積層させた構成となっている。ロータコア11の内部には、軸方向に貫通する複数のスリット12が形成されている。前述のように、モータ1はシンクロナスリラクタンスモータとなっており、ロータにはマグネットは使用されておらず、それに代えて、回転方向に沿って磁気抵抗が変化するよう、フラックスバリアとして空隙のスリット12が形成されている。ロータシャフト8の一端側には、ロータ回転位置を検出するためのセンサマグネット13が取り付けられる。ベアリングホルダ5には、このセンサマグネット13に近接して磁気検出素子14が配設されている。
【0022】
ステータ2は、略円筒状のステータコア21を有している。ステータコア21の外周面は、モータハウジング4の内側に焼嵌め等によって固定されている。
図2に示すように、ステータコア21の一端側には、円弧状に形成されたターミナルユニット31が取り付けられている。ステータコア21には、径方向内側に向かって複数のティース22が周方向に等間隔で突設されている。各ティース22の間はスロット23となっており、スロット23内には、絶縁材(例えば紙など)にて形成されたインシュレータ24(
図5参照)が挿入されている。スロット23にはさらに、インシュレータ24を介して、ステータコイル25(以下、コイル25と略記する)がステータコア21と絶縁された状態で収容されている。モータ1では、コイル25として、ヘアピン状の銅線が使用されており、それをスロット23に挿入し、開放端側を適宜溶接する形でコイル25が形成される。
【0023】
このようなモータ1では、各相コイル25には3相の正弦波電流が供給され、ステータ2側には正弦波状の回転磁界が形成される。一方、ロータ3には、スリット12による磁気抵抗差によって、磁束が最も通りやすい方向(d軸方向)と、磁束が最も通りにくい方向(q軸方向)が生じ、d軸インダクタンスLdがq軸インダクタンスLqよりも大きくなる。そして、この磁気的突極性から、d軸に対し所定角度方向のティース22に起磁力が生じ、ロータ3が所定の方向に回転する。すなわち、磁気抵抗差によるリラクタンストルクが発生し、モータ1が作動する。
【0024】
図3,4は、本発明によるターミナルユニット31の構成を示す説明図である。
図3のターミナルユニット31は、前述の
図6のものと基本構成は共通しており、合成樹脂製のターミナルホルダ32と、ターミナルホルダ32内に配設された導電金属製のターミナル部材33と、を備えている。ただし、当該ターミナルユニット31では、ターミナルホルダ32が
図3において上下に2分割された構成となっている。すなわち、ターミナルホルダ32は、上側の第1ターミナルホルダ32aと、下側の第2ターミナルホルダ32bに分割されている(以下、第1ターミナルホルダ32aと第2ターミナルホルダ32bはそれぞれ、第1ホルダ32aと第2ホルダ32bと略記する)。なお、ここでは、上下はロータシャフト8の延伸方向を示しており、第1ターミナルホルダ32aと第2ターミナルホルダ32bは、ロータシャフト延伸方向に沿って隣接して配置される。
【0025】
モータ1は3相駆動となっており、ターミナル部材33は、各相用のターミナル部材33U,33V,33Wと、中性点用のターミナル部材33Nの計4個が設けられている。この場合、
図4に示すように、上側の第1ホルダ32aには、ターミナル部材33Wが1個配設されている。一方、下側の第2ホルダ32bには、3個のターミナル部材33(ターミナル部材33U,33V,33N)が配設されている。第1・第2ホルダ32a,32bの上面(一端面)には、ターミナル取付溝41a,41b(以下、溝41a,41bと略記する)が設けられており、各ターミナル部材33はこの溝41a,41b内に嵌合装着される。
【0026】
ターミナル部材33U,33V,33Wには、各相コイル25と接続されるコイル側ターミナル34(34U,34V,34W)と、図示しない電源と接続される電源側ターミナル35(35U,35V,35W)が設けられている。コイル側ターミナル34と電源側ターミナル35の間は帯状のコネクトプレート36によって接続され、ターミナル部材33として一体化されている。また、ターミナル部材33Nには、中性点接続用の中性点ターミナル37が3個設けられている。各中性点ターミナル37の間も帯状のコネクトプレート38によって接続され、ターミナル部材33として一体化されている。
【0027】
ここで、第1ホルダ32aには、前述のように、溝41aが周方向に沿って設けられている。溝41aは上部が開放されており、上方からターミナル部材33Wが挿入され、嵌合装着される。また、第1ホルダ32aの内周面には、上下方向に延びる凹部42が4個(42a~42d)形成されている。各凹部42には、第1・第2ホルダ32a,32bを組み付けたとき、第2ホルダ32b側のコイル側ターミナル34U,34Vと2個の中性点ターミナル37が収容される。これにより、第1ホルダ32aと第2ホルダ32bは、周方向への移動が規制され、回り止めされつつ位置決めされる。なお、凹部42により、第1ホルダ32aの軽量化も図られる。さらに、第1ホルダ32aの下面(他端面)外側には、第1・第2ホルダ32a,32bを組み付ける際、第2ホルダ32b側の溝41bと嵌合する嵌合突起(突起部)43が設けられている。
【0028】
一方、第2ホルダ32bには溝41bが周方向に沿って設けられている。溝41bも上部が開放されており、上方からターミナル部材33U,33V,33Nが挿入され、嵌合装着される。その際、ターミナル部材33U,33V,33Nは、溝41b内に形成された隔壁44によって絶縁された状態で収容される。第2ホルダ32bは、第1ホルダ32aよりも周方向長が長くなっており、両ホルダを組み付けたとき、第2ホルダ32bの
図3において右端側に配される2つの電源側ターミナル35U,35Vと、左端側に配される1つの中性点ターミナル37は、第1ホルダ32aの周方向両外側に配される。その他のコイル側ターミナル34U,34Vと2個の中性点ターミナル37は、前述のように、第1ホルダ32aの凹部42にそれぞれ収容される。
【0029】
このようなターミナルユニット31では、まず、第1・第2ホルダ32a,32bにターミナル部材33を取り付ける。すなわち、第1ホルダ32aの溝41aにターミナル部材33Wを、第2ホルダ32bの溝41bにターミナル部材33U,33V,33Nをそれぞれ圧入気味に挿入し嵌合装着する。このとき、第1ホルダ32aでは、溝41aにターミナル部材33Wが1個装着される。つまり、従来、他のターミナル部材を装着した後に取り付けられていたターミナル部材が、ここでは1個のみ単独で取り付けられる。このため、ターミナル部材33Wは緩んだ状態とはならず、第1ホルダ32aに安定した状態でしっかりと取り付けられる。その結果、従来のターミナルユニットに比してターミナル部材33Wの固定力が向上し、ターミナル部材33Wの位置決め精度も向上する。また、第1ホルダ32aにおける溝41aの構造も簡略化される。
【0030】
第2ホルダ32bでは、溝41bに3個のターミナル部材33U,33V,33Nが装着される。このとき、ターミナル部材33U,33V,33Nは、溝41b内の隔壁44によって区切られた異なる溝部位に嵌合装着される。このため、各ターミナル部材33U,33V,33Nも、緩んだ状態とはならずに第2ホルダ32bに取り付けられ、第2ホルダ32b側においてもターミナル部材33の固定力や位置決め精度が確保される。
【0031】
このようにして両ホルダ32a,32bにターミナル部材33を取り付けた後、
図3のように、第2ホルダ32b上に第1ホルダ32aを取り付ける。すなわち、第1ホルダ32aの底面側に第2ホルダ32bを組み付ける。両ホルダの組み付けは、第2ホルダ32b側のコイル側ターミナル34U,34Vと2個の中性点ターミナル37を第1ホルダ32aの凹部42に収容しつつ、第2ホルダ32bの溝41bを塞ぐように第1ホルダ32aの嵌合突起43を嵌め込むことにより行われる。これにより、第1ホルダ32aと第2ホルダ32bは所定の位置関係で一体化される。その際、嵌合突起43と溝41bは、圧入や接着などにより固定され、第1ホルダ32aと第2ホルダ32bは上下方向に抜け止めされる。
【0032】
第2ホルダ32bの内周側にはさらに、蟹爪状のコイル嵌合部45が設けられている。
図3に示すように、コイル嵌合部45は第2ホルダ32bから径方向内側に向かって突設されており、その周方向中央部には、内周側先端部が開口した嵌挿溝46が設けられている。ターミナルユニット31は、この嵌挿溝46内にコイル25を挿入・嵌合させる形で径方向外側からステータコア21の端面21aに取り付けられる。その際、端面21aには、
図5に示すように、インシュレータ24が軸方向に突出しており、コイル嵌合部45は、この突出部24aの位置に径方向外側から挿入される。すなわち、ターミナルユニット31は、嵌挿溝46を突出部24aの外周と摺接嵌合させることにより、ステータコア21に装着される。モータ1では、ターミナルユニット31をステータコア21に取り付ける際、嵌挿溝46はコイル25とは直接接触しないようになっており、これにより、ターミナルユニット取付時におけるコイルの損傷を防止している。
【0033】
また、ターミナルユニット31の周方向両端部には、係合爪(係合部)47が径方向内側に向かって突設されている。この係合爪47は、ターミナルユニット31をステータコア21に取り付ける際、ターミナルユニット31の周方向両端部近傍に位置するコイル25n(
図2参照)に係合し、ターミナルユニット31の移動を規制しステータコア21に保持する抜け止めとして作用する。この場合、係合爪47はコイル外側からスナップフィットし、ユニット端部近傍のコイル25nを乗り越えるようにしてコイルに引っ掛かる。これにより、係合爪47はコイル25nに対して相対的に動かない状態となり、ステータコア21に対するターミナルユニット31の保持力が向上する。
【0034】
このように、本発明によるターミナルユニット31は、ターミナルホルダ32を上下方向に2分割することにより、1つのターミナルホルダ内に配設されるターミナル部材の数が減り、上側の第1ホルダ32aに、従来、他のターミナル部材を装着した後に取り付けられていたターミナル部材33Wを1個のみ単独で取り付けることができるようになる。このため、ターミナル部材33Wが緩んだ状態とはならずに第1ホルダ32aに取り付けられ、従来のターミナルユニットに比してターミナル部材33Wの固定力を向上させることができ、ターミナル部材33Wの位置決め精度の向上を図ることが可能となる。
【0035】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前述の実施形態では、上側の第1ホルダ32aにターミナル部材33Wを配置した構成を示したが、第1ホルダ32aに配置するターミナル部材は何れの相のものであっても良い。また、第1ホルダ32aと第2ホルダ32bに配設するターミナル部材33の個数は適宜設定でき、緩みが生じない状態であれば、例えば各2個ずつ配置することも可能である。さらに、前述の実施形態では、モータ1としてシンクロナスリラクタンスモータを採用しているが、本発明は、ロータにマグネットを配した構成のブラシレスモータにも適用可能である。加えて、コイル25として、ヘアピン状の部材に代えて、ティースに巻線を巻装する構成を採用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、電動パワーステアリング装置用のモータ以外にも、オイルポンプや電動のブレーキシステム、ハイブリッド車や電気自動車などにも適用可能である。また、本発明のモータは、自動車関連のみならず、家電製品や産業機械など、他の電気機械・機器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 ブラシレスモータ
2 ステータ
3 ロータ
4 モータハウジング
5 ベアリングホルダ
6a,6b ベアリング
7 ベアリング固定部
8 ロータシャフト
11 ロータコア
12 スリット
13 センサマグネット
14 磁気検出素子
21 ステータコア
21a 端面
22 ティース
23 スロット
24 インシュレータ
24a 突出部
25 ステータコイル
25n ターミナルユニット両端部近傍に位置するコイル
31 ターミナルユニット
32 ターミナルホルダ
32a 第1ターミナルホルダ
32b 第2ターミナルホルダ
33 ターミナル部材
33U,33V,33W,33N ターミナル部材
34 コイル側ターミナル
34U,34V,34W コイル側ターミナル
35 電源側ターミナル
35U,35V,35W 電源側ターミナル
36 コネクトプレート
37 中性点ターミナル
38 コネクトプレート
41a,41b ターミナル取付溝
42 凹部
43 嵌合突起(突起部)
44 隔壁
45 コイル嵌合部
46 嵌挿溝
47 係合爪
51 ターミナルユニット
52 ターミナルホルダ
53 ターミナル部材
53U,53V,53W,53N ターミナル部材
54 コイル側ターミナル
54U,54V,54W コイル側ターミナル
55 電源側ターミナル
55U,55V,55W 電源側ターミナル
56 コネクトプレート
57 中性点ターミナル
58 コネクトプレート
59 ターミナル取付溝