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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131303
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/20 20230101AFI20240920BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20240920BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H10B43/20
H10B43/27
H01L29/78 371
H01L21/316 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041497
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】石松 慎
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 達典
(72)【発明者】
【氏名】野口 将希
(72)【発明者】
【氏名】山下 博幸
(72)【発明者】
【氏名】松浦 航
(72)【発明者】
【氏名】西田 大介
(72)【発明者】
【氏名】金山 純一
(72)【発明者】
【氏名】竹本 智幸
【テーマコード(参考)】
5F058
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F058BA01
5F058BA11
5F058BC02
5F058BF55
5F058BF58
5F058BF63
5F058BJ00
5F083EP17
5F083EP18
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP44
5F083EP52
5F083EP76
5F083GA29
5F083JA05
5F083JA12
5F083JA39
5F083JA56
5F083JA60
5F083PR21
5F083PR33
5F101BA42
5F101BA46
5F101BC02
5F101BC12
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BH02
(57)【要約】
【課題】高信頼性を有する半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、膜密度が2.3g/cm以上である複数の酸化シリコン層と、複数の導電層と、が第1方向に交互に一層ずつ積層された積層膜と、積層膜を第1方向に貫通し、複数のメモリセルが設けられるメモリピラーと、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜密度が2.3g/cm以上である複数の酸化シリコン層と、複数の導電層と、が第1方向に交互に一層ずつ積層された積層膜と、
前記積層膜を前記第1方向に貫通し、複数のメモリセルが設けられるメモリピラーと、
を備える半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1方向における前記複数の酸化シリコン層の膜厚は、10nm以上である、
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記複数の酸化シリコン層の水素濃度は、1×1020atoms/cm以下である、
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記複数の導電層と前記メモリピラーの間にそれぞれ設けられ、シリコン酸窒化物を含む複数の第3層と、
をさらに備える請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
シリコンを含む複数の第1層と、窒化シリコンを含む複数の第2層と、が第1方向に交互に一層ずつ積層された積層膜を形成し、
前記積層膜を貫通し前記第1方向に延びる開口部を形成し、
前記複数の第1層の酸化を行うことにより、前記複数の第2層の間のそれぞれに、複数の酸化シリコン層を形成する、
半導体記憶装置の製造方法。
【請求項6】
前記酸化は、ウェット酸化である、
請求項5記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項7】
前記ウェット酸化は、水素ガスと酸素ガスにより行われる、
請求項6記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項8】
前記ウェット酸化が行われる際の、前記半導体記憶装置が製造される反応室内の、水蒸気(HO)の分圧は、大気圧より大きく25気圧以下である、
請求項6記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項9】
前記ウェット酸化が行われる時間は、10分以上1時間以下である、
請求項6記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項10】
前記複数の酸化シリコン層の膜密度は、2.3g/cm以上である、
請求項5記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1方向における前記複数の酸化シリコン層の膜厚は、10nm以上である、
請求項5記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項12】
前記複数の酸化シリコン層の水素濃度は、1×1020atoms/cm以下である、
請求項5記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項13】
前記複数の第1層の前記酸化を行うことにより、前記複数の第2層と前記開口部の間のそれぞれに、シリコン酸窒化物を含む複数の第3層を形成する、
請求項5記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項14】
前記開口部を形成した後、前記複数の第1層の前記酸化を行う前に、
前記開口部に露出した、前記複数の第1層のそれぞれの一部を除去する、
請求項5記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項15】
前記積層膜を貫通し前記第1方向に延びる前記複数の開口部を形成し、
前記複数の開口部に露出した、前記複数の第1層のそれぞれの一部を除去し、
前記第1方向に交差する面内における前記複数の開口部の間の前記第2層の長さは、前記面内における前記複数の開口部の間の前記第1層の長さの1.15倍以上1.35倍以下である、
請求項14記載の半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大容量の不揮発性メモリが開発されている。この大容量の不揮発性メモリは、低電圧・低電流動作、高速スイッチング、メモリセルの微細化・高集積化が可能である。
【0003】
大容量の不揮発性メモリが備えるメモリセルアレイには、ビット線及びワード線と呼ばれる金属配線が多数配列されている。セルに接続されたビット線とワード線に電圧を印加し、ビット線とワード線に対応した1つのメモリセルにデータが書き込まれる。かかるワード線となる導電層と絶縁層とを交互に積層した積層膜を備えた、メモリセルを3次元配列した半導体記憶装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0276743号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態の目的は、高信頼性を有する半導体記憶装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体記憶装置は、膜密度が2.3g/cm以上である複数の酸化シリコン層と、複数の導電層と、が第1方向に交互に一層ずつ積層された積層膜と、積層膜を第1方向に貫通し、複数のメモリセルが設けられるメモリピラーと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の半導体記憶装置のブロック図である。
図2】第1実施形態の半導体記憶装置の等価回路図である。
図3】第1実施形態の半導体記憶装置の要部の模式断面図である。
図4】第1実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図である。
図5】第1実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図である。
図6】第1実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図である。
図7】第1実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図である。
図8】第2実施形態の半導体記憶装置の要部の模式断面図である。
図9】第2実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図である。
【0008】
以下、図面を用いて実施形態を説明する。なお、図面中、同一又は類似の箇所には、同一又は類似の符号を付している。
【0009】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0010】
(第1実施形態)
本実施形態の半導体記憶装置は、膜密度が2.3g/cm以上である複数の酸化シリコン層と、複数の導電層と、が第1方向に交互に一層ずつ積層された積層膜と、積層膜を第1方向に貫通し、複数のメモリセルが設けられるメモリピラーと、を備える。
【0011】
本実施形態の半導体記憶装置の製造方法は、シリコンを含む複数の第1層と、窒化シリコンを含む複数の第2層と、が第1方向に交互に一層ずつ積層された積層膜を形成し、積層膜を貫通し第1方向に延びる開口部を形成し、複数の第1層の酸化を行うことにより、複数の第2層の間のそれぞれに、複数の酸化シリコン層を形成する。
【0012】
半導体記憶装置100の全体構成について説明する。本実施形態に係る半導体記憶装置100は、データを不揮発に記憶することが可能なNAND型フラッシュメモリである。図1は、本実施形態に係る半導体記憶装置100のブロック図である。
【0013】
半導体記憶装置100は、メモリセルアレイ90、ロウデコーダ91、カラムデコーダ98、センスアンプ99、入出力回路94、コマンドレジスタ95、アドレスレジスタ96、及びシーケンサ(制御回路)97などを備える。
【0014】
メモリセルアレイ90は、j個のブロックBLK0~BLK(j-1)を備える。jは、1以上の整数である。複数のブロックBLKの各々は、複数のメモリセルトランジスタを備える。メモリセルトランジスタは、電気的に書き換え可能なメモリセルを備える。メモリセルアレイ90は、メモリセルトランジスタに印加する電圧を制御するために、複数のビット線、複数のワード線、及びソース線などを備える。ブロックBLKの具体的な構成については後述する。
【0015】
ロウデコーダ91は、アドレスレジスタ96からロウアドレスを受け、このロウアドレスをデコードする。ロウデコーダ91は、デコードされたロウアドレスに基づいて、ワード線などの選択動作を行う。そして、ロウデコーダ91は、メモリセルアレイ90に、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作に必要な複数の電圧を転送する。
【0016】
カラムデコーダ98は、アドレスレジスタ96からカラムアドレスを受け、このカラムアドレスをデコードする。カラムデコーダ98は、デコードされたカラムアドレスに基づいて、ビット線の選択動作を行う。
【0017】
センスアンプ99は、読み出し動作時には、メモリセルトランジスタからビット線に読み出されたデータを検知及び増幅する。また、センスアンプ99は、書き込み動作時には、書き込みデータをビット線に転送する。
【0018】
入出力回路94は、複数の入出力線(DQ線)を介して外部装置(ホスト装置)と接続される。入出力回路94は、外部装置からコマンドCMD、及びアドレスADDを受信する。入出力回路94によって受信されたコマンドCMDは、コマンドレジスタ95に送られる。入出力回路94によって受信されたアドレスADDは、アドレスレジスタ96に送られる。また、入出力回路94は、外部装置との間で、データDATの送受信を行う。
【0019】
シーケンサ97は、外部装置から制御信号CNTを受信する。制御信号CNTには、チップイネーブル信号CEn、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、書き込みイネーブル信号WEn、及び読み出しイネーブル信号REnなどが含まれる。信号名に付記された“n”は、アクティブ・ローを示す。シーケンサ97は、コマンドレジスタ95に保持されたコマンドCMD、及び制御信号CNTに基づいて、半導体記憶装置100全体の動作を制御する。
【0020】
図2は、本実施形態の半導体記憶装置100の等価回路図である。
【0021】
図2に示すように、半導体記憶装置100は、複数のワード線WL、共通ソース線CSL、ソース選択ゲート線SGS、複数のドレイン選択ゲート線SGD、複数のビット線BL、複数のメモリストリングMSを備える。
【0022】
メモリストリングMSは、共通ソース線CSLとビット線BLとの間に直列接続されたソース選択トランジスタSTS、複数のメモリセルトランジスタMT、及びドレイン選択トランジスタSTDを有する。
【0023】
なお、ワード線WLの数、ビット線BLの数、メモリストリングMSの数、ドレイン選択ゲート線SGDの数は、図2のものに限定されない。
【0024】
図3は、本実施形態の半導体記憶装置の要部の模式断面図である。
【0025】
基板11は、例えば、単結晶シリコンを含む半導体層である。基板11には、例えば半導体ウェハや、SOIウェハを用いることができる。
【0026】
ここで、X方向と、X方向に対して垂直に交差するY方向と、X方向及びY方向に垂直に交差するZ方向を定義する。基板11は、XY面に平行に設けられている。また、Z方向は、第1方向の一例である。
【0027】
基板11の上に、複数の第1酸化シリコン層14と、複数の導電層6bと、が、Z方向に交互に一層ずつ積層されている。これにより、基板11の上に、積層膜S2が設けられている。複数の第1酸化シリコン層14は、酸化シリコン層の一例である。
【0028】
複数の第1酸化シリコン層14の膜密度は、2.3g/cm以上である。例えば、2.4g/cm以上でもよい。
【0029】
複数の第1酸化シリコン層14の膜密度は、例えば、X線反射率測定(X-Ray Reflectometry:XRR)を用いて評価することができる。
【0030】
Z方向における複数の第1酸化シリコン層14の膜厚は10nm以上であることが好ましい。
【0031】
複数の第1酸化シリコン層14の水素濃度は、1×1020atoms/cm以下であることが好ましい。
【0032】
メモリピラーH1は、積層膜S2をZ方向に貫通している。メモリピラーH1内には、コア絶縁膜1、チャネル半導体層2、トンネル絶縁膜3、電荷蓄積膜4、及び絶縁膜5aが設けられている。
【0033】
コア絶縁膜1は、メモリピラーH1内に設けられている。コア絶縁膜1は、例えば酸化シリコンを含む。
【0034】
チャネル半導体層2は、メモリピラーH1内のコア絶縁膜1の周囲に設けられている。チャネル半導体層2は、メモリピラーH1のチャネルとして機能する。チャネル半導体層2は、例えばポリシリコン等の半導体材料を含むピラーである。
【0035】
トンネル絶縁膜3は、チャネル半導体層2の周囲に設けられている。トンネル絶縁膜3は、絶縁性であるが、所定の電圧の印加により電流を流す絶縁膜である。トンネル絶縁膜3は、例えばシリコン酸窒化物を含む。
【0036】
電荷蓄積膜4(電荷蓄積部)は、トンネル絶縁膜3の周囲に設けられている。電荷蓄積膜4は、電荷を蓄積することが出来る材料を含む膜である。電荷蓄積膜4は、例えば、シリコン窒化物を含む。
【0037】
絶縁膜5aは、電荷蓄積膜4の周囲に設けられている。絶縁膜5aは、例えば、シリコン酸化物を含む。絶縁膜5aの膜密度は、例えば2.3g/cm未満である。すなわち、第1酸化シリコン層14の膜密度は、絶縁膜5aの膜密度よりも高い。
【0038】
絶縁膜5b、バリアメタル層6a、及び導電層6bは、互いに隣接する第1酸化シリコン層14の間に設けられている。
【0039】
絶縁膜5bは、上側に隣接する第1酸化シリコン層14の下面と、下側に隣接する第1酸化シリコン層14の上面と、絶縁膜5aの側面と、に設けられている。絶縁膜5bは、例えば、酸化アルミニウム等の金属絶縁材料を含む。
【0040】
バリアメタル層6aは、上側の絶縁膜5bの下面と、下側の絶縁膜5bの上面と、絶縁膜5aの側面に設けられた絶縁膜5bの側面と、に設けられている。バリアメタル層6aは、例えば、チタン窒化物を含む。
【0041】
導電層6bは、バリアメタル層6a内に設けられている。導電層6bは、例えば、W(タングステン)を含む。導電層6bは、ワード線WLに対応している。
【0042】
メモリピラーH1の、導電層6bと対向する部分に、それぞれ、メモリセルMCが設けられている。1本のメモリピラーH1に設けられる複数のメモリセルMCが、1本のメモリストリングMSに含まれている。それぞれのメモリセルMCに、メモリセルトランジスタMTが含まれている。
【0043】
なお、図3においては、図2に示したメモリストリングMSのうちの、1本のメモリストリングMSが、図示されている。半導体記憶装置100は、複数のメモリピラーH1を備えている。
【0044】
なお、積層膜S2と基板11の間には、例えば、図示しない共通ソース線CSL、ソース選択ゲート線SGS及び複数のソース選択トランジスタSTSが設けられている。
【0045】
また、積層膜S2の上には、例えば、図示しない複数のドレイン選択ゲート線SGD、複数のビット線BL及び複数のドレイン選択トランジスタSTDが設けられている。
【0046】
図4乃至図7は、本実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図である。
【0047】
基板11の上に、図示しない共通ソース線CSL、ソース選択ゲート線SGS及び複数のソース選択トランジスタSTSを形成する。
【0048】
次に、シリコンを含む複数の第1層15と、窒化シリコンを含む複数の第2層13と、を、例えばプラズマCVD(Plasma-enhanced Chemical Vapor Deposition)法により、1層ずつ、Z方向に交互に積層して形成する。これにより、積層膜S1を形成する。ここで、複数の第1層15はシリコンを主成分として含み、例えば、アモルファスシリコン層である。言い換えると、複数の第1層15は、例えば、アモルファスシリコンを含む。
【0049】
次に、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)法により、積層膜S1をZ方向に貫通しZ方向に延びる開口部H2(貫通孔)を形成する(図4)。
【0050】
次に、例えば、フッ酸を含むエッチング液を用いたウェットエッチングにより、開口部H2に露出した、複数の第1層15のそれぞれの一部を除去する。複数の第1層15の、開口部H2に露出した端部には、それぞれ凹部15aが形成される(図5)。
【0051】
次に、複数の第1層15の酸化を行うことにより、 複数の第2層13の間のそれぞれに、複数の第1酸化シリコン層14を形成する。かかる酸化により、複数の第1酸化シリコン層14は、複数の第1層15と比較して、XY面内及びZ方向に膨脹する。(図6
【0052】
第1方向に垂直に交差する面内(XY面内)における複数の開口部H2の間の第2層13の長さは、第1方向に垂直に交差する面内における複数の開口部H2の間の第1層の長さの1.15倍以上1.35倍以下であることが望ましい。
【0053】
複数の第1層15の酸化は、高圧条件下でのウェット酸化(例えば、HOアニール)であることが好ましい。ここでウェット酸化は、例えば、水素ガスと酸素ガスを用い、水素ガスと酸素ガスの燃焼反応により生じた水蒸気(HO)を、半導体記憶装置が製造される反応室内に供給することにより行われる。
【0054】
反応室内の、水蒸気(HO)の分圧は、大気圧より高く25気圧以下であることが好ましい。反応室内の、水蒸気(HO)の分圧は、5気圧以上25気圧以下であることがさらに好ましい。反応室内の、水蒸気(HO)の分圧は、20気圧以上25気圧以下であることがさらに好ましい。
【0055】
ウェット酸化が行われる時間は、10分以上1時間以下であることが好ましい。ウェット酸化が行われる温度は、750℃以上1000℃以下であることが好ましい。
【0056】
ウェット酸化により形成された複数の第1酸化シリコン層14の膜密度は、2.3g/cm以上であることが好ましい。
【0057】
ウェット酸化により形成された、Z方向における複数の第1酸化シリコン層14の膜厚は、10nm以上であることが好ましい。
【0058】
次に、開口部H2内に、絶縁膜5a、電荷蓄積膜4、トンネル絶縁膜3及びチャネル半導体層2の一部を、例えばALD(Atomic Layer Deposition)法により、順に形成する。次に、開口部H2の底部から、絶縁膜5a、電荷蓄積膜4、トンネル絶縁膜3及びチャネル半導体層2の一部を、例えばエッチングにより除去する。次に、開口部H2内に、チャネル半導体層2の残部とコア絶縁膜1を、例えばALD(Atomic Layer Deposition)法により、順に形成する。この結果、開口部H2内に、絶縁膜5a、電荷蓄積膜4、トンネル絶縁膜3、チャネル半導体層2及びコア絶縁膜1が、順に形成される(図7)。
【0059】
次に、積層膜S1内に図示しないスリットを形成する。次に、かかるスリットを用いて、リン酸等の薬液を供給し、複数の第2層13を除去する。次に、複数の第2層13が除去された部分に、絶縁膜5b、バリアメタル層6a及び導電層6bを順に形成する。これにより、積層膜S2を形成する。
【0060】
次に、積層膜S2の上に、図示しない複数のドレイン選択ゲート線SGD、複数のビット線BL及び複数のドレイン選択トランジスタSTDを形成する。これにより、本実施形態の半導体記憶装置100を得る。
【0061】
次に、本実施形態の半導体記憶装置の作用効果を説明する。
【0062】
本実施形態の半導体記憶装置において、それぞれの導電層6bの間に設けられる絶縁層には、高耐圧性が求められる。例えば、耐圧の高い絶縁膜を得ることができれば、絶縁層の薄膜化による半導体記憶装置の小型化が可能となる。また、耐圧の高い絶縁膜を得ることができれば、絶縁破壊が発生しにくくなるため、高信頼性を有する半導体記憶装置を得ることが可能となる。
【0063】
比較形態として、それぞれの導電層6bの間に設けられる絶縁層に、プラズマCVD(Plasma-enhanced Chemical Vapor Deposition)法により形成した酸化シリコン層を用いることが考えられる。しかし、プラズマCVD法により形成した酸化シリコン層は、膜の質が低いため、十分な耐圧を得ることが困難な場合がある。
【0064】
そこで、本実施形態の半導体記憶装置は、膜密度が2.3g/cm以上である複数の第1酸化シリコン層と、複数の導電層と、が第1方向に交互に一層ずつ積層された積層膜と、積層膜を第1方向に貫通し、複数のメモリセルが設けられるメモリピラーと、を備える。
【0065】
膜密度が2.3g/cm以上である複数の第1酸化シリコン層14を絶縁層として用いることにより、絶縁層の膜質が向上する。これにより、例えば、良好な絶縁層である、熱酸化法によって形成された酸化シリコン層のような絶縁層を得ることが可能である。そのため、高信頼性を有する半導体記憶装置を得ることが可能となる。
【0066】
Z方向における複数の第1酸化シリコン層14の膜厚は、10nm以上であることが好ましい。隣接する導電層6b間の十分な絶縁を維持するためである。
【0067】
複数の第1酸化シリコン層14の水素濃度は、1×1020atoms/cm以下であることが好ましい。上記の製造方法により形成された複数の第1酸化シリコン層14により、水素濃度が低い層を形成することができる。
【0068】
本実施形態の半導体記憶装置の製造方法は、シリコンを含む複数の第1層と、窒化シリコンを含む複数の第2層と、が第1方向に交互に積層された積層膜を形成し、積層膜を貫通し第1方向に延びる開口部を形成し、複数の第1層の酸化を行うことにより、複数の第2層の間のそれぞれに、複数の第1酸化シリコン層を形成する。
【0069】
シリコンを含む複数の第1層15を形成し、その後にかかる複数の第1層15の酸化を行うことにより、耐圧の高い絶縁膜を得ることができる。
【0070】
上記のような、シリコンを含む複数の第1層15の酸化は、ウェット酸化により行うことができる。ここでかかるウェット酸化は、水素ガスと酸素ガスの燃焼反応により生じた水蒸気(HO)を用いることが。良質な膜形成のために好ましい。
【0071】
ウェット酸化が行われる際の、前記半導体記憶装置が製造される反応室内の、水蒸気(HO)の分圧は、大気圧より高く25気圧以下であることが好ましい。このような高い分圧の水蒸気を用いることにより、シリコンを含む複数の第1層15を酸化し、複数の第1酸化シリコン層を形成することが可能となる。なお、反応室内の、水蒸気(HO)の分圧は、5気圧以上25気圧以下であることが、さらに良質な複数の第1酸化シリコン層を形成する上で好ましい。また、反応室内の、水蒸気(HO)の分圧は、20気圧以上25気圧以下であることが、さらに良質な複数の第1酸化シリコン層を形成する上で好ましい。
【0072】
ウェット酸化が行われる時間は、10分以上1時間以下であることが好ましい。ウェット酸化が行われる時間が10分より短い場合、シリコンを含む複数の第1層15を十分に酸化することが出来ない。また、ウェット酸化が行われる時間が1時間より長い場合、長すぎるため、半導体記憶装置の生産性が低下してしまう。
【0073】
開口部H2を形成した後、複数の第1層15の酸化を行う前に、開口部H2に露出した、複数の第1層15のそれぞれの一部を除去することが好ましい。複数の第1層15が酸化によりXY面内及びZ方向に膨脹するため、開口部H2内に複数の第1層15が突き出てしまう。この突き出た部分が、メモリピラーH1に含まれる膜の形成の妨げとなり得る。そこで、複数の第1層15の酸化の前に、メモリピラーH1に含まれる膜の形成の妨げとならない程度に、複数の第1層15のそれぞれの一部を除去する。
【0074】
また、第1方向に垂直に交差する面内(XY面内)における複数の開口部H2の間の第2層13の長さは、第1方向に垂直に交差する面内における複数の開口部H2の間の第1層の長さの1.15倍以上1.35倍以下であることが望ましい。これは、上記の、複数の第1層の酸化による膨脹により、開口部H2の側面が、Z方向において、メモリピラーH1の形成に差し支えのない程度に十分滑らかな側面になるようにするためである。
【0075】
本実施形態の半導体記憶装置によれば、高集積化が可能な半導体記憶装置の提供が可能となる。
【0076】
(第2実施形態)
本実施形態の半導体記憶装置は、複数の導電層とメモリピラーの間にそれぞれ設けられ、シリコン酸窒化物を含む複数の第3層をさらに備える点で、第1実施形態の半導体記憶装置と異なっている。ここで、第1実施形態と重複する内容の記載は省略する。
【0077】
図8は、本実施形態の半導体記憶装置の要部の模式断面図である。導電層6bとメモリピラーH1の間に、第3層16がそれぞれ設けられている。第3層16は、シリコン酸窒化物を含む。
【0078】
図9は、本実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図である。複数の第1層15の酸化を行うことにより、複数の第2層13と開口部H2の間のそれぞれに、複数の第1酸化シリコン層14を形成する際に、第2層13と開口部H2の間のそれぞれに、シリコン酸窒化物を含む複数の第3層16を形成する。複数の第3層16は、開口部H2に露出した第2層13の部分が酸化されたものである。
【0079】
本実施形態の半導体記憶装置によっても、高集積化が可能な半導体記憶装置の提供が可能となる。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1:コア絶縁膜 2:チャネル半導体層 3:トンネル絶縁膜 4:電荷蓄積膜 5a:絶縁膜 5b:絶縁膜 6:第1酸化シリコン層 6a:バリアメタル層 6b:導電層 11:基板 13:第2層 14:第1酸化シリコン層 15:第1層 15a:凹部 16:第3層 100:半導体記憶装置 900:半導体記憶装置 H1:メモリピラー H2:開口部 MC:メモリセル MS:メモリストリング MT:メモリセルトランジスタ
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9