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  • 特開-水中撮影装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131308
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】水中撮影装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/08 20210101AFI20240920BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240920BHJP
【FI】
G03B17/08
G03B15/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041502
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000211064
【氏名又は名称】中外テクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132964
【弁理士】
【氏名又は名称】信末 孝之
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇気
(72)【発明者】
【氏名】牧野 正和
【テーマコード(参考)】
2H101
【Fターム(参考)】
2H101CC21
2H101CC31
(57)【要約】
【課題】カメラ前方のトンネル状の視界良好な領域を長距離にわたって維持することができる水中撮影装置を提供する。
【解決手段】水中撮影装置100は、水中カメラ1と、水中カメラ1のレンズ2前方に設けられたフード4と、フード4の外周に沿って水を噴出する第1噴出手段11,12,13と、フード4の内周に沿って水を噴出する第2噴出手段21,22,23とを有し、第1噴出手段11,12,13による水流の方が第2噴出手段21,22,23による水流よりも速い。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中カメラと、前記水中カメラのレンズ前方に設けられたフードと、前記フードの外周に沿って水を噴出する第1噴出手段と、前記フードの内周に沿って水を噴出する第2噴出手段とを有し、
前記第1噴出手段による水流の方が前記第2噴出手段による水流よりも速いことを特徴とする水中撮影装置。
【請求項2】
前記フードが、水中の構造物に接触したときに変形可能な素材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の水中撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、混濁した水中の監視や作業のための水中撮影装置として、混濁した水中を見えやすくするために透明水をカメラの前方に流して、トンネル状の視界良好な領域を形成して撮影するようにした装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、混濁水排除器の内部に注水管から浄化水を流すようにした水中用監視装置に関する発明が記載されている。また、特許文献2には、ケーシング内に水を供給するようにした濁質水中用監視装置に関する発明が記載されている。また、特許文献3には、ジャバラ内に噴水孔から清水を供給するようにした水中観測装置に関する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7-7265号公報
【特許文献2】特公昭56-16589号公報
【特許文献3】実開平4-110698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1-3に記載された各装置は、カメラのすぐ周りに一様に透明水を流していたため、周囲の静止している混濁水(大気圧=圧力高)が圧力差により透明水の流れ(圧力低)に引き込まれ、透明水によるカメラ前方のトンネル状の視界良好な領域が短距離のうちに潰されてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、カメラ前方のトンネル状の視界良好な領域を長距離にわたって維持することができる水中撮影装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の水中撮影装置は、水中カメラと、前記水中カメラのレンズ前方に設けられたフードと、前記フードの外周に沿って水を噴出する第1噴出手段と、前記フードの内周に沿って水を噴出する第2噴出手段とを有し、前記第1噴出手段による水流の方が前記第2噴出手段による水流よりも速いことを特徴とする。
【0008】
また、前記フードが、水中の構造物に接触したときに変形可能な素材で形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水中撮影装置は、水中カメラと、水中カメラのレンズ前方に設けられたフードと、フードの外周に沿って水を噴出する第1噴出手段と、フードの内周に沿って水を噴出する第2噴出手段とを有している。そして、第1噴出手段による水流の方が第2噴出手段による水流よりも速くなっている。従って、周囲の混濁水は外側の高速流に引き込まれ、レンズ前方には透明水の低速流によるトンネル状の視界良好な領域が広がる。そして、カメラ前方のトンネル状の視界良好な領域が、短距離のうちに潰されることなく長距離にわたって維持される。
【0010】
また、フードが、水中の構造物に接触したときに変形可能な素材で形成されていることにより、撮影中にフードが水中の構造物に接触してもフードや構造物が破損しにくい。
【0011】
このように、本発明によれば、カメラ前方のトンネル状の視界良好な領域を長距離にわたって維持することができる水中撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る水中撮影装置を示す側面図である。
図2】本発明の実施形態に係る水中撮影装置を示す正面図である。
図3】本発明の実施形態に係る水中撮影装置を示す背面図である。
図4図1のA-A断面図である。
図5図2のB-B断面図である。
図6】(a)リング管を示す模式図、(b)リング管を平面状に展開した内部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、図1乃至図6を参照して、本発明の実施形態に係る水中撮影装置について説明する。図1乃至図3は、本実施形態に係る水中撮影装置100を示す側面図、正面図、背面図である。また、図4図1のA-A断面図、図5図2のB-B断面図である。
【0014】
水中撮影装置100は、筐体5に内蔵された水中カメラ1を有しており、先端に設けられたレンズ2を介して水中を撮影するようになっている。また、水中カメラ1にはケーブル3が接続されており、電源供給や撮影データの送受信が行われるようになっている。
【0015】
水中カメラ1のレンズ2前方(撮影方向)には、前方(撮影方向)に向けて拡径する円筒状のフード4が設けられている。そして、フード4の外周に沿って水を噴出する第1噴出手段と、フード4の内周に沿って水を噴出する第2噴出手段とが設けられている。
【0016】
(第1噴出手段)
第1噴出手段は、図示しないポンプ等から供給される水を水中撮影装置100の筐体5内に注入するための注入管11と、注入された水をフード4の外周に沿ったリング状に整えるためのリング管12と、リング管12の先端に形成されたリング状の噴出口13とから構成されている。
【0017】
そして、注入管11から注入された水が、リング管12でリング状に整えられて、噴出口13からフード4の外周に沿って噴出されるようになっている。噴出口13からの噴出方向は、水平方向ではなく角度がついていてもよい。また噴出口13の開口部周縁の角を面取りしてもよい。
【0018】
(第2噴出手段)
第2噴出手段は、図示しないポンプ等から供給される水を水中撮影装置100の筐体5内に注入するための注入管21と、注入された水をフード4の内周に沿ったリング状に整えるためのリング管22と、リング管22の先端に形成されたリング状の噴出口23とから構成されている。
【0019】
そして、注入管21から注入された水が、リング管22でリング状に整えられて、噴出口23からフード4の内周に沿って噴出されるようになっている。噴出口23からの噴出方向は、水平方向ではなく角度がついていてもよい。また噴出口23の開口部周縁の角を面取りしてもよい。
【0020】
ここで、第1噴出手段により噴出口13から噴出される水の水流Fは、第2噴出手段により噴出口23から噴出される水の水流Sよりも速い。そのため、周囲の混濁水は、外側の高速流(水流F)に引き込まれ、レンズ2前方には透明水の低速流(水流S)によるトンネル状の視界良好な領域が広がる。第1噴出手段による水流F及び第2噴出手段による水流Sの各々の速さは、各々に接続されたポンプの流量、各々のリング管の大きさや形状、各々の噴出口の大きさや形状等により定めることができる。
【0021】
本実施形態に係る水中撮影装置100は、水中カメラ1と、水中カメラ1のレンズ2前方に設けられたフード4と、フード4の外周に沿って水を噴出する第1噴出手段11,12,13と、フード4の内周に沿って水を噴出する第2噴出手段21,22,23とを有している。そして、第1噴出手段11,12,13による水流Fの方が第2噴出手段21,22,23による水流Sよりも速くなっている。従って、周囲の混濁水は外側の高速流に引き込まれ、レンズ2前方には透明水の低速流によるトンネル状の視界良好な領域が広がる。そして、カメラ前方のトンネル状の視界良好な領域が、短距離のうちに潰されることなく長距離にわたって維持される。
【0022】
なお、フード4は、水中の構造物に接触したときに変形可能な素材で形成されていることが好ましい。例えば、薄手のビニール素材で形成することができる。これにより、撮影中にフードが水中の構造物に接触してもフードや構造物が破損しにくい。
【0023】
また、第1噴出手段や第2噴出手段が、噴出する水を旋回させる機構を有することが好ましい。図6はこのような噴出水旋回機構の一例を示すものであり、図6(a)はリング管12(22)を示す模式図、図6(b)はリング管12(22)を平面状に展開した内部を示す模式図である。図6に示すように、リング管12(22)の内部に同一方向に傾斜した複数の整流板14(24)を設けることにより、リング管12(22)を通過する水を旋回させて、噴出口13(23)から噴出させることができる。これにより、噴出口13(23)から噴出される水の流れを均一化することができる。噴出水旋回機構は、第1噴出手段及び第2噴出手段の両方に設けることが好ましいが、いずれか1つに設けてもよい。
【0024】
また、第1噴出手段や第2噴出手段が、噴出する水の角度を変化させる機構を有することが好ましい。このような噴出水角度可変機構としては、噴出口13(23)を可動式として水の噴出方向を変化させるものが挙げられる。これにより、噴出口から噴出される水の角度を調整して、カメラ前方のトンネル状の視界良好な領域の長さ、太さ、透明度等を、撮影場所の状況や撮影目的等に応じて調整することができる。噴出水角度可変機構は、第1噴出手段及び第2噴出手段の両方に設けることが好ましいが、いずれか1つに設けてもよい。
【0025】
また、第1噴出手段及び第2噴出手段が、噴出する水の幅を変化させる機構を有することが好ましい。このような噴出水幅可変機構としては、噴出口13(23)に開口幅の絞り手段を設けて水の噴出幅を変化させるものが挙げられる。これにより、噴出口から噴出される水の幅を調整して、カメラ前方のトンネル状の視界良好な領域の長さ、太さ、透明度等を、撮影場所の状況や撮影目的等に応じて調整することができる。噴出水幅可変機構は、第1噴出手段及び第2噴出手段の両方に設けることが好ましいが、いずれか1つに設けてもよい。
【0026】
このように、本実施形態に係る水中撮影装置100によれば、カメラ前方のトンネル状の視界良好な領域を長距離にわたって維持することができる。
【0027】
以上、本発明の実施形態に係る水中撮影装置について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。
【0028】
例えば、フードの形状は円筒状以外であってもよい。また、フードは前方(撮影方向)に向けて拡径するものに限定されず、部分的に縮径するものや、全長にわたって同径のものであってもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 水中カメラ
2 レンズ
3 ケーブル
4 フード
5 筐体
11 注入管
12 リング管
13 噴出口
14 整流板
21 注入管
22 リング管
23 噴出口
24 整流板
F 第1噴出手段による水流
S 第2噴出手段による水流
100 水中撮影装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6