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  • 特開-浄化装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131318
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】浄化装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/00 20060101AFI20240920BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20240920BHJP
   A61L 9/18 20060101ALI20240920BHJP
   F24F 8/125 20210101ALI20240920BHJP
   F24F 8/167 20210101ALI20240920BHJP
   F24F 8/24 20210101ALI20240920BHJP
   F24F 8/22 20210101ALI20240920BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20240920BHJP
【FI】
A61L9/00 C
A61L9/20
A61L9/18
F24F8/125
F24F8/167
F24F8/24
F24F8/22
F24F8/80 238
F24F8/80 216
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041517
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 純
(72)【発明者】
【氏名】津崎 修
(72)【発明者】
【氏名】中野 浩輝
(72)【発明者】
【氏名】白川 宰
(72)【発明者】
【氏名】松本 卓馬
(72)【発明者】
【氏名】川内 雄雅
(72)【発明者】
【氏名】岡村 和那
(72)【発明者】
【氏名】加幡 寿人
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA10
4C180BB06
4C180BB08
4C180BB09
4C180CC03
4C180CC15
4C180DD03
4C180EA33X
4C180EA34X
4C180HH05
4C180HH10
4C180HH15
4C180HH17
4C180HH19
4C180HH20
4C180LL20
(57)【要約】
【課題】浄化効果の維持を図ることができ、且つ、浄化装置の周辺の浄化を行うことができる浄化装置を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る浄化装置は、第1の開口と、第2の開口と、を有し、内部に、処理を行う気体が流れる空間を有する筐体と;前記筐体の内部に設けられ、光触媒を含む液体を保持するトレイと;第1の端部と、前記第1の端部に対向する第2の端部と、を有し、前記第1の端部が、前記トレイに保持された前記液体に浸漬され、通気性を有する処理部と;前記筐体の内部に設けられ、前記第1の開口から、前記処理部を介して、前記第2の開口に前記気体を流動させる送風部と;を具備している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の開口と、第2の開口と、を有し、内部に、処理を行う気体が流れる空間を有する筐体と;
前記筐体の内部に設けられ、光触媒を含む液体を保持するトレイと;
第1の端部と、前記第1の端部に対向する第2の端部と、を有し、前記第1の端部が、前記トレイに保持された前記液体に浸漬され、通気性を有する処理部と;
前記筐体の内部に設けられ、前記第1の開口から、前記処理部を介して、前記第2の開口に前記気体を流動させる送風部と;
を具備した浄化装置。
【請求項2】
前記液体は、水と、前記光触媒と、を含み、
前記光触媒は、可視光応答型の光触媒であり、
前記処理部は、前記送風部により流動する前記気体が前記処理部を通過する際に、液滴と、前記光触媒と、を前記気体に含ませる請求項1記載の浄化装置。
【請求項3】
前記処理部は、編み込まれた複数の糸を有し、前記第1の端部の側から前記第2の端部の側に向けて、前記液体を吸い上げる請求項1または2に記載の浄化装置。
【請求項4】
前記筐体の内部に設けられ、前記筐体の内部に紫外線および可視光の少なくともいずれかを照射する光源をさらに具備した請求項1または2に記載の浄化装置。
【請求項5】
前記第1の開口は、前記筐体の側部に設けられ、
前記第2の開口は、前記筐体の天井部に設けられている請求項1または2に記載の浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
健康意識の高まりを反映して、電車や自動車などの車内、冷蔵庫内、居住空間などの所謂、閉鎖空間における気体の浄化(例えば、空気の浄化)の要望が高まっている。例えば、雰囲気に含まれているアンモニア、エチレン、および、アセトアルデヒドなどのVOC(Volatile Organic Compounds;揮発性有機化合物)の除去、雰囲気の脱臭、雰囲気に含まれている細菌やウイルスの殺菌や不活性化の要求が高まっている。
【0003】
そのため、次亜塩素酸水を噴霧して、周辺にある物品の表面や、周辺の雰囲気を浄化する浄化装置が提案されている。しかしながら、次亜塩素酸水の噴霧による浄化の場合には、浄化効果の維持が難しい。例えば、物品の表面が汚れていたり、物品の表面が日光に晒されたりする場合には、次亜塩素酸水による浄化効果が低減する。また、物品の表面に付着した次亜塩素酸水は揮発する。雰囲気に噴霧された次亜塩素酸水は散乱する。次亜塩素酸水が揮発したり、散乱したりすると浄化効果が著しく低減する。そのため、次亜塩素酸水による浄化効果を維持するために、次亜塩素酸水を噴霧し続ける必要がある。またさらに、次亜塩素酸水が反応する際に塩素が発生するので、換気などが必要となる場合がある。
【0004】
また、光触媒と、光触媒作用を発現させるための光源とを備えた浄化装置が提案されている。また、細菌やウイルスの殺菌や不活性化を行うための紫外線を照射する光源を備えた浄化装置が提案されている。しかしながら、これらの浄化装置は、筐体の内部に吸引された気体(空気)に含まれている細菌やウイルスの殺菌や不活性化や、VOCの除去しか行うことができない。
【0005】
そこで、浄化効果の維持を図ることができ、且つ、浄化装置の周辺の浄化を行うことができる浄化装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-170597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、浄化効果の維持を図ることができ、且つ、浄化装置の周辺の浄化を行うことができる浄化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る浄化装置は、第1の開口と、第2の開口と、を有し、内部に、処理を行う気体が流れる空間を有する筐体と;前記筐体の内部に設けられ、光触媒を含む液体を保持するトレイと;第1の端部と、前記第1の端部に対向する第2の端部と、を有し、前記第1の端部が、前記トレイに保持された前記液体に浸漬され、通気性を有する処理部と;前記筐体の内部に設けられ、前記第1の開口から、前記処理部を介して、前記第2の開口に前記気体を流動させる送風部と;を具備している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、浄化効果の維持を図ることができ、且つ、浄化装置の周辺の浄化を行うことができる浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る浄化装置を例示するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
本実施の形態に係る浄化装置1は、浄化装置1の周辺にある物品の表面およびその近傍の雰囲気と、周辺の雰囲気を浄化することができる。周辺にある物品は、例えば、壁面、窓、家具、絨毯、カーテン、車両などの運転装置などである。周辺の雰囲気は、例えば、空気を主成分として含んでいる。浄化の対象となるものは、光触媒作用により浄化できるものであればよい。浄化の対象となるものは、例えば、化学物質、細菌、ウイルスなどである。化学物質は、例えば、アンモニア、エチレン、および、アセトアルデヒドなどのVOCである。なお、周辺にある物品や浄化の対象となるものは、例示をしたものに限定されるわけではない。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る浄化装置1を例示するための模式断面図である。
図1に示すように、浄化装置1は、例えば、筐体2、フィルタ3、送風部4、トレイ5、処理部6、および光源7を備えている。
【0014】
筐体2は、箱状を呈している。筐体2の外観形状には特に限定がない。筐体2の外観形状は、例えば、直方体状、円柱状などとすることができる。筐体2は、内部に、処理を行う気体G、および、生成された気体G1が流れる空間を有する。また、筐体2の内部には、送風部4、トレイ5、処理部6、および光源7を設けることができる。
【0015】
筐体2の側部2aには、開口2b(第1の開口の一例に相当する)が設けられている。開口2bは、浄化装置1の周辺の雰囲気にある気体Gが吸い込まれる吸引口となる。筐体2の天井部2cには、開口2d(第2の開口の一例に相当する)が設けられている。開口2dは、筐体2の内部において、処理部6により生成された気体G1が吹き出す吹出口となる。
【0016】
筐体2の内部には、板状を呈する仕切り板2eを設けることができる。例えば、仕切り板2eは、開口2bが設けられた筐体2の側部2aに対向している。例えば、仕切り板2eの周縁は、筐体2の内壁に接続することができる。仕切り板2eと、筐体2の側部2aとの間の空間が、筐体2の内部に吸引された気体Gを処理部6に導く流路となる。
【0017】
筐体2の内部には、板状を呈する仕切り板2fを設けることができる。例えば、仕切り板2fは、筐体2の側部2aに対向する側部2gに対向している。例えば、仕切り板2fの周縁は、筐体2の内壁に接続することができる。仕切り板2fと、筐体2の側部2gとの間の空間が、処理部6により生成された気体G1を送風部4に導く流路となる。
【0018】
天井部2cの開口2dは、仕切り板2eと、仕切り板2fとの間の空間に繋がっている。仕切り板2eと、仕切り板2fとの間の空間には送風部4を設けることができる。仕切り板2fには、送風部4の吸引口と、仕切り板2fと、筐体2の側部2gとの間の空間とを繋ぐ開口2f1が設けられている。仕切り板2eと、仕切り板2fとの間の空間は、気体G1を天井部2cの開口2dに導く流路となる。
また、仕切り板2e、2fが設けられていれば、筐体2の剛性を高めることができる。
【0019】
また、筐体2の側部2a、2gなどには、送風部4、トレイ5、処理部6、および光源7の取り付け、取り外し、清掃などのメンテナンスを行うための開口を設けることもできる。開口は、例えば、着脱自在な蓋などで閉鎖することができる。
【0020】
筐体2の材料は、ある程度の剛性があれば特に限定はない。筐体2の材料は、例えば、金属や樹脂とすることができる。
金属は、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム合金などとすることができる。樹脂は、例えば、ABS樹脂(アクリルニトリルーブタジエンースチレン共重合合成樹脂)、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル樹脂)などの熱可塑性樹脂とすることができる。
【0021】
フィルタ3は、例えば、2つ設けることができる。例えば、一方のフィルタ3は、筐体2の側部2aの開口2bを覆うように設けることができる。フィルタ3は、筐体2の側部2aに着脱自在に設けることができる。例えば、他方のフィルタ3は、筐体2の天井部2cの開口2dを覆うように設けることができる。フィルタ3は、筐体2の天井部2cに着脱自在に設けることができる。フィルタ3は、例えば、筐体2の外部にあるゴミなどが、筐体2の内部に侵入するのを抑制する。フィルタ3は、例えば、目視にて確認できる程度の大きさのゴミを除去する。フィルタ3は、例えば、ステンレス製の平織金網(線径φ0.1mm、100メッシュ)とすることができる。なお、フィルタ3は、例えば、ステンレス製の畳織金網、綾織金網などであってもよい。
また、フィルタ3は、いわゆるフィンガーガードや、樹脂から形成された網目状のフィルタなどであってもよい。
【0022】
なお、筐体2の天井部2cには、フィルタ3に代えて、あるいはフィルタ3と共にルーバを設けることもできる。ルーバが設けられていれば、天井部2cの開口2dから吹き出す気体G1の向きを変えたり、調整したりすることができる。
【0023】
送風部4は、浄化装置1の周辺の雰囲気にある気体Gを筐体2の内部に吸引する。送風部4は、筐体2の内部に吸引した気体Gを流動させて、処理部6に供給する。また、送風部4は、気体Gが処理部6を通過することで生成された気体G1を、筐体2の天井部2cの開口2dを介して、浄化装置1の上方に吹き出す。すなわち、送風部4は、開口2bから、処理部6を介して、開口2dに気体G、G1を流動させる。
【0024】
この場合、送風部4は、処理部6により生成され、仕切り板2fと、筐体2の側部2gとの間の空間を流れる気体G1を、仕切り板2eと、仕切り板2fとの間の空間に吸引し、仕切り板2eと、仕切り板2fとの間の空間から浄化装置1の上方に吹き出す。つまり、気体G1は、筐体2の内部の屈曲した流路を介して、浄化装置1の上方に吹き出す。後述するように、気体G1には、微細な液滴(例えば、微細な水滴)、および光触媒が含まれている。そのため、送風部4により、気体G1が屈曲した流路を流れれば、気体G1に含まれている微細な液滴、および光触媒を撹拌することができる。そのため、浄化装置1の周辺において、光触媒の数や分布にばらつきが生じるのを抑制することができる。
【0025】
図1に例示をした送風部4は、シロッコファンである。ただし、送風部4は、シロッコファンに限定されるわけではなく、気体G、G1を流動可能なものであればよい。例えば、送風部4は、プロペラファンやクロスフローファンなどであってもよい。
【0026】
トレイ5は、筐体2の内部の、底部2hの近傍に設けることができる。トレイ5は、筐体2の内部に固定することもできるし、筐体2の内部に着脱自在に設けることもできる。トレイ5の材料は、例えば、筐体2の材料と同じとすることができる。
【0027】
トレイ5は、凹状を呈し、上部が開口している。トレイ5の凹状の部分には、光触媒を含む液体100が保持されている。液体100は、例えば、水と、光触媒とを含んでいる。
【0028】
例えば、水は、水道水とすることができる。光触媒は、粒状を呈している。光触媒の平均粒径は、例えば、1μm以上、1mm以下とすることができる。この様にすれば、光触媒がトレイ5の凹状の部分に沈殿するのを抑制することができる。また、処理部6により気体G1が生成される際に、光触媒を気体G1に含ませるのが容易となる。
【0029】
また、複数の粒状の光触媒を含む錠剤を用いることもできる。錠剤は、例えば、複数の粒状の光触媒を成形することで生成することができる。例えば、錠剤を水などに投入すれば、錠剤が崩壊し、複数の粒状の光触媒が水などの内部に分散して液体100が生成される。
この場合、錠剤は、粒状の光触媒、および光触媒を含む液体100に比べて、保管、輸送、取り扱いなどが容易である。また、液体100を生成するのに用いる水道水などの水は、入手するのが容易である。そのため、錠剤の形態で、複数の粒状の光触媒を供給すれば、例えば、浄化装置1が設置されている場所において、トレイ5に補充する液体100を容易に生成することができ、ひいては、トレイ5への液体100の補充が容易となる。
【0030】
光触媒の種類は、浄化装置1の周辺に照射される光の波長に応じて適宜変更することができる。例えば、浄化装置1の周辺に、太陽光や照明光などの可視光が照射される場合には、光触媒は、可視光応答型の光触媒とすることができる。可視光応答型の光触媒は、例えば、酸化タングステン、窒素などをドープした酸化チタン、異種金属をイオン注入した酸化チタンなどを含んでいる。例えば、浄化装置1の周辺に、紫外線が照射される場合には、光触媒は、紫外線応答型の光触媒とすることができる。紫外線応答型の光触媒は、例えば、酸化タングステンを含んでいる。なお、後述するように、光触媒として、可視光応答型の光触媒と紫外線応答型の光触媒とを用いることもできる。
【0031】
また、後述するように、処理部6により、気体Gに、微細な液滴、および光触媒を含ませると、液体100が消費されることになる。そのため、必要に応じて、あるいは定期的に、トレイ5の凹状の部分に液体100が補充される。この場合、トレイ5の凹状の部分に、液体100の残量を検出するフロートスイッチなどを設けることもできる。この様にすれば、液体100の量が不足した状態で、浄化装置1が稼働するのを抑制することができる。
【0032】
また、トレイ5にスライドレールなどを設け、清掃などのメンテナンスや、液体100の補充などを行う際に、トレイ5を筐体2の外部に引き出せる様にすることもできる。この様にすれば、メンテナンスや液体100の補充などが容易となる。なお、トレイ5を筐体2の外部に引き出す際に、処理部6も併せて引き出せるようにしてもよい。
【0033】
処理部6は、トレイ5の凹状の部分に設けられる。処理部6は、トレイ5の上方に延びている。処理部6の、トレイ5側の端部(第1の端部の一例に相当する)は、トレイ5に保持された液体100に浸漬している。処理部6の一方の側部6aは、仕切り板2eと、筐体2の側部2aとの間の空間に露出している。処理部6の他方の側部6bは、仕切り板2fと、筐体2の側部2gとの間の空間に露出している。処理部6の外観形状には特に限定はない。例えば、処理部6の外観形状は、直方体状や円柱状などとすることができる。
【0034】
処理部6は、例えば、吸水性と通気性を有している。処理部6は、例えば、編み込まれた複数の糸を有する。糸は、例えば、樹脂を含んでいる。樹脂は、例えば、PET(polyethylene terephthalate)などとすることができる。処理部6の、トレイ5側の端部の近傍は、液体100の内部に浸漬しているので、処理部6が編み込まれた複数の糸を有していれば、毛細管現象などを利用して、液体100をトレイ5の上方に吸い上げることができる。すなわち、処理部6は、トレイ5側の端部の側から、トレイ5側の端部に対向する端部(第2の端部の一例に相当する)の側に向けて、液体100を吸い上げる。なお、処理部6の構成は、例示をしたものに限定されるわけではない。処理部6の構成は、液体100をトレイ5の上方に吸い上げることができ、且つ、処理部6の側部6aと側部6bとの間を気体Gが通過可能であればよい。
【0035】
液体100がトレイ5の上方に吸い上げられていれば、処理部6は、送風部4により流動する気体Gが処理部6を通過する際に、微細な液滴と、光触媒と、を気体Gに含ませることができる。すなわち、処理部6により生成された気体G1は、気体Gに、微細な液滴、および光触媒を含ませたものである。なお、気体G1には、水蒸気をさらに含ませることもできる。
【0036】
処理部6により生成された気体G1は、筐体2の天井部2cに設けられた開口2dから、浄化装置1の上方に吹き出す。気体G1が浄化装置1の上方に吹き出せば、浄化装置1の周辺のより広い領域に気体G1を到達させることができる。気体G1には、微細な液滴と光触媒が含まれているので、気体G1が到達した領域にある物品の表面に、微細な液滴と光触媒を付着させることができる。物品の表面に付着した微細な液滴は蒸発するが、微細な液滴が蒸発する際に、微細な液滴と接触していた光触媒を物品の表面に結合させることができる。そのため、光触媒が物品の表面から脱落するのを抑制することができるので、浄化装置1の周辺に分布する光触媒の位置や、数などを維持することができる。
【0037】
一般的に、浄化装置1の周辺には、太陽光や照明光などの可視光が照射される。そのため、浄化装置1の周辺に分布する光触媒に可視光を入射させることができる。この場合、光触媒が可視光応答型の光触媒であれば、光触媒に可視光が入射することで光触媒作用が発現する。そのため、浄化装置1の周辺において、光触媒作用による浄化を行うことができる。
【0038】
また、例えば、太陽光には紫外線が含まれている。また、浄化装置1が設けられる環境によっては、紫外線のみが照射されたり、可視光の光量よりも紫外線の光量が多かったりする場合もある。そのため、光触媒として、紫外線応答型の光触媒を用いたり、可視光応答型の光触媒と紫外線応答型の光触媒とを用いたりすることもできる。可視光応答型の光触媒と紫外線応答型の光触媒とを用いる場合には、可視光の光量と紫外線の光量の割合などに応じて、可視光応答型の光触媒と紫外線応答型の光触媒の割合を変更することができる。
【0039】
前述した様に、光触媒は、物品の表面とある程度の力で結合しているので、浄化装置1の周辺に分布する光触媒の位置や、数などを維持することができる。そのため、光触媒作用による浄化を長時間維持することができる。
【0040】
また、浄化装置1の上方に吹き出した気体G1に含まれている微細な液滴と光触媒は、重力や気流などにより降下して、浄化装置1の周辺にある物品の表面に到達する。この場合、雰囲気中に浮遊している光触媒に光が入射すると、雰囲気中においても光触媒作用が発現する。そのため、例えば、雰囲気中に浮遊している細菌やウイルスの殺菌や不活性化を行うこともできる。
【0041】
ただし、光触媒が雰囲気中に浮遊している時間は、それほど長くはない。そのため、浄化装置1は、光源7をさらに備えることができる。光源7は、主に、雰囲気中に浮遊している細菌やウイルスの殺菌や不活性化を行うために設けられている。
【0042】
図1に示すように、光源7は、筐体2の内部に設けられている。光源7は、例えば、仕切り板2eと、筐体2の側部2aとの間の空間に設けられている。気体Gの流れ方向において、光源7は、処理部6の上流側に設けられている。この様にすれば、微細な液滴や光触媒が光源7に付着することを抑制することができる。
【0043】
光源7は、筐体2の内部を流動する気体Gに、可視光および紫外線の少なくともいずれかを照射する。光源7は、例えば、可視光を照射可能な放電ランプや発光素子、および紫外線を照射可能な放電ランプや発光素子の少なくともいずれかを備えることができる。放電ランプは、例えば、低圧水銀ランプ、蛍光ランプ、キセノンランプ、誘電体バリア放電ランプなどである。発光素子は、発光ダイオード、レーザダイオードなどである。
【0044】
この場合、細菌やウイルスのDNAやRNAは、波長が300nm以下の紫外線を吸収し易い。そのため、光源7が、主に、波長が300nm以下の紫外線を照射する放電ランプや発光素子を備えていれば、殺菌や不活性化の効果を向上させることができる。
【0045】
紫外線を照射する放電ランプは、例えば、低圧水銀ランプとすることができる。放電ランプが低圧水銀ランプであれば、主に、波長が185nmの紫外線、または波長が185nmおよび254nmの紫外線を照射することができる。また、紫外線を照射する発光素子は、ピーク波長が270nm以上、300nm以下の紫外線(UV-C)を照射する発光ダイオードやレーザダイオードとすることができる。
【0046】
また、光源7は、筐体2の内部空間に浮遊している光触媒、および筐体2の内部に付着している光触媒の少なくともいずれかに、所定の波長を有する光を照射する。例えば、光触媒が紫外線応答型の光触媒の場合には、光源7は、例えば、紫外線を照射する、放電ランプまたは発光素子を備えることができる。例えば、光触媒が可視光応答型の光触媒の場合には、光源7は、例えば、可視光を照射する、放電ランプまたは発光素子を備えることができる。光触媒に所定の波長の光が入射すれば、筐体2の内部において光触媒作用を発現させることができる。光触媒作用が発現すれば、筐体2の内部において、細菌やウイルスの殺菌や不活性化を行ったり、脱臭などを行ったりすることができる。
【0047】
光源7は、少なくとも1つ設けることができる。光源7の数は、筐体2の大きさや、浄化装置1の処理流量などに応じて適宜変更することができる。
また、光源7が、可視光を照射可能な放電ランプや発光素子、および紫外線を照射可能な放電ランプや発光素子を備えていれば、光触媒の種類(液体100の種類)に対する汎用性を向上させることができる。
【0048】
図1に示すように、光源7は、仕切り板2e、および筐体2の側部2aの少なくともいずれかと交差する方向に設けることができる。例えば、光源7は、仕切り板2eと、筐体2の側部2aとの間を延びるように設けることができる。この様にすれば、光源7に当たった気体Gは、光源7の周りを迂回して下流側に流れる。そのため、光源7の近傍における気体Gの滞留時間が増加するので、紫外線の積算光量を増加させることができる。紫外線の積算光量が増加すれば、細菌やウイルスの殺菌や不活性化の効果の向上を図ることができる。
【0049】
光源7は、仕切り板2e、および筐体2の側部2aの少なくともいずれかと平行な方向に設けることもできる。例えば、光源7は、仕切り板2e、および筐体2の側部2aの少なくともいずれかに設けることもできる。この様にすれば、光源7により、気体Gの流路抵抗が増加するのを抑制することができる。また、仕切り板2e、および筐体2の側部2aの面積は比較的大きいので、光源7の数を増やすことが容易となる。そのため、浄化装置1の処理流量の増加と、細菌やウイルスの殺菌や不活性化の効果の向上を図ることができる。
【0050】
ただし、光源7の数を増やすと、浄化装置1の製造コストが増加する。そのため、光源7の配設方向や数などは、浄化装置1に要求される処理流量や、細菌やウイルスの殺菌や不活性化の効果などに応じて適宜変更することができる。
【0051】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【0052】
以下、前述した実施形態に関する付記を示す。
【0053】
(付記1)
第1の開口と、第2の開口と、を有し、内部に、処理を行う気体が流れる空間を有する筐体と;
前記筐体の内部に設けられ、光触媒を含む液体を保持するトレイと;
第1の端部と、前記第1の端部に対向する第2の端部と、を有し、前記第1の端部が、前記トレイに保持された前記液体に浸漬され、通気性を有する処理部と;
前記筐体の内部に設けられ、前記第1の開口から、前記処理部を介して、前記第2の開口に前記気体を流動させる送風部と;
を具備した浄化装置。
【0054】
(付記2)
前記液体は、水と、前記光触媒と、を含み、
前記光触媒は、可視光応答型の光触媒であり、
前記処理部は、前記送風部により流動する前記気体が前記処理部を通過する際に、液滴と、前記光触媒と、を前記気体に含ませる付記1記載の浄化装置。
【0055】
(付記3)
前記処理部は、編み込まれた複数の糸を有し、前記第1の端部の側から前記第2の端部の側に向けて、前記液体を吸い上げる付記1または2に記載の浄化装置。
【0056】
(付記4)
前記筐体の内部に設けられ、前記筐体の内部に紫外線および可視光の少なくともいずれかを照射する光源をさらに具備した付記1~3のいずれか1つに記載の浄化装置。
【0057】
(付記5)
前記第1の開口は、前記筐体の側部に設けられ、
前記第2の開口は、前記筐体の天井部に設けられている付記1~3のいずれか1つに記載の浄化装置。
【符号の説明】
【0058】
1 浄化装置、2 筐体、4 送風部、5 トレイ、6 処理部、7 光源、100 液体、G 気体、G1 気体
図1