(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013132
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】植物栽培棚装置
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20240124BHJP
A01G 9/02 20180101ALI20240124BHJP
A01G 9/24 20060101ALI20240124BHJP
A01G 31/00 20180101ALI20240124BHJP
【FI】
A01G7/00 601Z
A01G7/00 601A
A01G9/02 B
A01G9/24 Z
A01G31/00 612
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115096
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】513144453
【氏名又は名称】藤原 慶太
(74)【代理人】
【識別番号】100200942
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 高史
(72)【発明者】
【氏名】藤原 慶太
【テーマコード(参考)】
2B022
2B029
2B314
2B327
【Fターム(参考)】
2B022DA01
2B022DA19
2B029KB03
2B029TA10
2B314MA33
2B314MA38
2B314ND32
2B314PD59
2B314PD70
2B327ND02
2B327ND03
2B327TA04
2B327TA09
2B327TA22
2B327UB03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】栽培棚に配置した植物の生長のバラツキを防止しながら良好に生育を促進できる植物栽培棚装置を提供する。
【解決手段】装置の骨格を成す棚フレームTと、栽培対象となる植物を収容する複数のプランター容器Pと、プランター容器Pに水を供給する潅水用装置Kとを備え、
複数のプランター容器Pは、棚フレームTに上下多段に設けられた固定用フレームt4に固定され、固定用フレームt4の長手方向において、それぞれのプランター容器Pの位置をずらすことで、上下方向において重なることなく配設されており、潅水用装置Pは、潅水用水を貯留する貯水タンクと、貯水タンク内の水をくみ上げて循環させるポンプと、ポンプの運転、停止をコントロールする潅水コントローラとを備え、ポンプの運転によってポンプと接続された通水管Wへと水を送り出すよう構成され、通水管Wは、電磁弁Dを有する複数の分岐管が複数のプランター容器Pにそれぞれ接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の骨格を成す棚フレームと、栽培対象となる植物を収容する複数のプランター容器と、前記プランター容器に水を供給する潅水用装置とを備え、
前記複数のプランター容器は、前記棚フレームに上下多段に設けられた固定用フレームに固定され、前記固定用フレームの長手方向において、それぞれの前記プランター容器の位置をずらすことで、上下方向において重なることなく配設されており、
前記潅水用装置は、潅水用水を貯留する貯水タンクと、前記貯水タンク内の水をくみ上げて循環させるポンプと、前記ポンプの運転、停止をコントロールする潅水コントローラとを備え、前記ポンプの運転によって、前記ポンプと接続された通水管へと水を送り出すよう構成され、
前記通水管は、電磁弁を有する複数の分岐管が、前記複数のプランター容器にそれぞれ接続されており、
制御装置によって前記電磁弁を開閉制御して、前記プランター容器に供給する水量を調節可能に構成されたことを特徴とする植物栽培棚装置。
【請求項2】
前記固定用フレームは、その長手方向に沿って、前記プランター容器の被連結部とボルト締結して固定可能な位置決め用ボルト孔が、所定間隔で複数設けられたことを特徴とする請求項1に記載の植物栽培棚装置。
【請求項3】
前記プランター容器に収容された植物に光を照射し、前記プランター容器近傍の照度をコントロールする照明部と、
前記前記プランター容器近傍の照度を測定する照度測定部とを備え、
前記照明部は、前記複数のプランター容器の近傍に、それぞれ、照明用電灯を配設して構成され、
前記制御装置は、前記照度測定部から計測情報を取得し、前記プランター容器毎に予め設定された照度に満たないと判定された前記プランター容器の近傍に配設された照明用電灯を点灯するよう点消灯制御を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の植物栽培棚装置。
【請求項4】
前記植物栽培棚装置の上方に、遮蔽部材の板面を上下方向に沿って隙間なく配置させて入射する光を遮蔽する遮蔽状態と、遮蔽部材の板面を上下方向に対して傾斜させ、板面同士を互いに対向するように配置させて光の少なくとも一部を透過させる透過状態とに切り替えることができるルーバー装置が配設され、
前記制御装置は、前記照度測定部により取得された計測情報と、前記プランター容器毎に予め記憶部に設定された照度との比較によって、前記ルーバー装置の遮蔽状態と透過状態とを切り替え制御するよう構成されたことを特徴とする請求項3に記載の植物栽培棚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培用の植物を上下多段に収容可能な栽培棚を備えた植物栽培棚装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、植物を上下多段に収容して栽培する栽培棚と、植物の生長を促進するための各種機構とを備えた植物栽培棚装置が多く存在している。例えば、特許文献1に記載の植物栽培棚装置(植物栽培ユニット)は、栽培用の植物を上下多段に収容可能な栽培棚と、この栽培棚に収容した植物に光を照射する照明装置と、植物に加湿された空気を供給する加湿ユニットとを備えて構成されており、これにより、栽培棚に収容した植物に対し、照度、湿度、気流等を自在に制御できるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような、従来の植物栽培棚装置は、栽培棚の構造上、棚の高さや位置の違いにより植物を生長させる環境に差異が生じ、その結果、植物間の植物の生長度合いにバラツキが生じてしまうことがある。例えば、一般に、栽培棚の下段ほど、日陰が出来易くなるため、下段に配置された植物の生長は遅れやすい。
【0005】
また、例えば、杉、檜、松など背丈の伸び易い植物の苗木を栽培する場合、従来の一般的な栽培棚によれば、生長によって植物が各棚の天井部分に達してしまい、これにより植物の生長が阻害されてしまう。この問題に対し、栽培棚の各棚の上下間隔を広げれば、栽培棚が大型化して、スペース効率の低下を招くこととなる。
【0006】
このように、従来の植物栽培棚装置は、栽培棚の構造上、植物間の生長度合いにバラツキが生じたり、また、背丈の伸び易い植物の苗木を栽培する場合に、生育が阻害されるおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題を解消し、栽培棚に配置した植物の生長のバラツキを防止しながら良好に生育を促進できる植物栽培棚装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、
装置の骨格を成す棚フレームと、栽培対象となる植物を収容する複数のプランター容器と、前記プランター容器に水を供給する潅水用装置とを備え、
前記複数のプランター容器は、前記棚フレームに上下多段に設けられた固定用フレームに固定され、前記固定用フレームの長手方向において、それぞれの前記プランター容器の位置をずらすことで、上下方向において重なることなく配設されており、
前記潅水用装置は、潅水用水を貯留する貯水タンクと、前記貯水タンク内の水をくみ上げて循環させるポンプと、前記ポンプの運転、停止をコントロールする潅水コントローラとを備え、前記ポンプの運転によって、前記ポンプと接続された通水管へと水を送り出すよう構成され、
前記通水管は、電磁弁を有する複数の分岐管が、前記複数のプランター容器にそれぞれ接続されており、
制御装置によって前記電磁弁を開閉制御して、前記プランター容器に供給する水量を調節可能に構成されたことを特徴とする植物栽培棚装置を提供する。
【0009】
上記第1の発明によれば、棚フレームに配設された複数のプランター容器は、上下方向において重なることなく、固定用フレームの長手方向に位置をずらして配設されたため、生長によって植物が各棚の天井部分に達してしまい、これにより植物の生長が阻害されてしまうという事態を防止できる。また、上段の棚によって下段の棚に配置された植物の日照が遮られてしまう事態も回避でき、栽培棚に配置した植物の生長のバラツキを防止しながら良好に生育を促進できる。加えて、制御装置が、電磁弁の開度を大小調節することによって、通水管の流量を調節し、各プランター容器内のきめ細やかな水位の調節が可能となる。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明の構成に加え、
前記固定用フレームは、その長手方向に沿って、前記プランター容器の被連結部とボルト締結して固定可能な位置決め用ボルト孔が、所定間隔で複数設けられたことを特徴とする。
【0011】
上記第2の発明によれば、上記第1の発明の効果に加え、位置決め用ボルト孔によって、プランター容器の位置決め固定が容易となり、プランター容器の交換や配置変更に柔軟に対応できる。
【0012】
第3の発明は、上記第1または第2の発明の構成に加え、
前記プランター容器に収容された植物に光を照射し、前記プランター容器近傍の照度をコントロールする照明部と、
前記前記プランター容器近傍の照度を測定する照度測定部とを備え、
前記照明部は、前記複数のプランター容器の近傍に、それぞれ、照明用電灯を配設して構成され、
前記制御装置は、前記照度測定部から計測情報を取得し、前記プランター容器毎に予め設定された照度に満たないと判定された前記プランター容器の近傍に配設された照明用電灯を点灯するよう点消灯制御を行うことを特徴とする。
【0013】
上記第3の発明によれば、上記第1または第2の発明の効果に加え、プランター容器毎に、それぞれ光を照射することができ、制御装置による照明部の点消灯制御により、各プランター容器に収容された植物毎に、きめ細やかな照度の調節が可能となっている。これにより、植物の生長のバラツキを防止しながら更に良好に生育を促進できる。
【0014】
第4の発明は、上記第3の発明の構成に加え、
前記植物栽培棚装置の上方に、遮蔽部材の板面を上下方向に沿って隙間なく配置させて入射する光を遮蔽する遮蔽状態と、遮蔽部材の板面を上下方向に対して傾斜させ、板面同士を互いに対向するように配置させて光の少なくとも一部を透過させる透過状態とに切り替えることができるルーバー装置が配設され、
前記制御装置は、前記照度測定部により取得された計測情報と、前記プランター容器毎に予め記憶部に設定された照度との比較によって、前記ルーバー装置の遮蔽状態と透過状態とを切り替え制御するよう構成されたことを特徴とする。
【0015】
上記第4の発明によれば、上記第3の発明の効果に加え、
植物栽培棚装置は、照度が不足するときは照明部により良好に補い、照度が過分であるときには、ルーバー装置によって日照を遮蔽するとともに太陽光パネルによって発電できるため、それぞれのプランター容器毎に、植物の生育に適した照度をきめ細かに実現でき、加えて、省エネ化に資することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、栽培棚に配置した植物の生長のバラツキを防止しながら良好に生育を促進できる装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る植物栽培棚装置の斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1の植物栽培棚装置の制御装置の制御ブロック図である。
【
図7】
図7は、変形例に係る植物栽培棚装置の模式図である。
【
図8】
図6は、変形例に係る植物栽培棚装置の制御装置の制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施形態につき、詳細に説明を加える。
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る植物栽培棚装置1の斜視図であり、
図2は正面図、
図3は左側面図、
図4は平面図である。なお、説明の便宜上、
図2、
図3、
図7においては、植物2の図示を省略している。
【0019】
<1.植物栽培棚装置>
図1に示されるように、植物栽培棚装置1(以下、単に「装置」ということがある。)は、基本構成として、装置の骨格を成す棚フレームTに、栽培対象となる植物2の苗ポッドを収容する複数のプランター容器Pが上下多段に固定され、この複数のプランター容器Pの下方に、各プランター容器に水を供給する潅水機能を備えた潅水用装置Kが配設されている。この潅水用装置Kは、それぞれのプランター容器Pと接続された通水管Wを介して、それぞれのプランター容器Pへ水を供給可能に構成されている。
【0020】
次に、植物栽培棚装置1の各構成について、さらに詳述する。
なお、説明の便宜上、以下において、植物栽培棚装置1の長手方向を左右方向とし、短手方向を前後方向とし、
図1に矢線で示されるように前後左右を決定するものとする。また、
図2、
図3、
図7において、植物2の苗ポッドの図示を省略している。なお、
図5に示されるように、植物2がポット苗として構成された場合について説明するが、これに限定されない。
【0021】
棚フレームTは、棒状のフレーム材を立方体枠状に組立てることにより形成されており、植物栽培棚装置1の四隅を形成する4本の支柱フレームt1と、該支柱フレームt1の上端に設けられた上部枠フレームt2と、下端設けられた下部枠フレームt3とを備えている。この上部矩形枠フレームt2及び下部矩形枠フレームt3は、矩形枠状のフレーム材であり、それぞれ、図示しないボルトによって、その四隅が4本の支柱フレームt1にボルト締結されてることにより固定されている。なお、下部矩形枠フレームt3上には、後述する潅水用装置K及び制御装置Cが配設されている。また、下部矩形枠フレームt3の下面には、装置の移動を容易にするためのキャスターt31が設けられている。
【0022】
また、棚フレームTの右側面部(具体的には、右側2本の支柱フレームt1,t1と、上部矩形枠フレームt2の右端と、下部矩形枠フレームt3の右端で形成されている四角枠部分を指す。)と左側面部(具体的には、左側2本の支柱フレームt1,t1と、上部矩形枠フレームt2の左端と、下部矩形枠フレームt3の左端で形成されている四角枠部分を指す。)には、所定間隔で上下高さを異ならせるようにして、上段、中段、下段の位置に対応するように、左右一対の固定用フレームt4が3本設けられている。
【0023】
この固定用フレームt4は、プランター容器Pを棚フレームTに支持固定する機能を果たし、断面略L字状のフレーム材で形成され、これにより、後述するプランター容器Pを、左右一対の固定用フレームt4,t4によって、その左右両側を挟むように支持して固定することが可能となっている。
【0024】
また、固定用フレームt4は、前部、中間部、後部に、それぞれ、位置決め用ボルト孔b1が設けられている。この位置決め用ボルト孔b1は、プランター容器Pの前後幅程度の間隔をおいて穿設されており、プランター容器Pに設けられた被連結部b2とボルト締結することにより、プランター容器Pを固定用フレームt4に固定することができる。また、前部、中間部、後部に、それぞれ、位置決め用ボルト孔b1が設けられたことにより、締結する位置決め用ボルト孔b1を選択することにより、プランター容器Pは、固定用フレームt4の前部、中間部、後部の配設位置を選択して固定することができるよう構成されている。これにより、プランター容器Pの位置決め固定が容易となり、プランター容器Pの交換や配置変更にも柔軟に対応できる仕組みとなっている。なお、本実施形態においては、1つの固定用フレームt4に、3つの位置決め用ボルト孔b1が設けられているが、より細かい位置決めが可能となるように、固定用フレームt4の長手方向に沿って、3つ以上の位置決め用ボルト孔b1が設けられてもよい。
【0025】
本実施形態においては、
図1に示されるように、複数のプランター容器Pの配設位置は、上下方向の重なりを避けるため、下段の固定用フレームt4は前部に、中段は中間部に、上段は後部にプランター容器Pがそれぞれ固定されている。
【0026】
これにより、
図4に示されるように、棚フレームTに配設された複数のプランター容器Pは、上下方向において重なることなく、前後(換言すれば、固定用フレームt3の長手方向)に位置をずらして配設されたため、生長によって植物が各棚の天井部分に達してしまい、これにより植物の生長が阻害されてしまうという事態を防止できる。また、上段の棚によって下段の棚に配置された植物の日照が遮られてしまう事態も回避でき、栽培棚に配置した植物の生長のバラツキを防止しながら良好に生育を促進できる
【0027】
潅水用装置Kは、
図3に示されるように、下部矩形枠フレームt3に固定され、潅水用水を貯留する貯水タンクk1と、この貯水タンクk1内の水をくみ上げて循環させるポンプk2と、このポンプk2の運転、停止をコントロールする潅水コントローラk3とを備え、ポンプk2の運転によって、ポンプk2と接続された通水管Wへと水を送り出すよう構成されている。また、潅水コントローラk3は、後述する制御装置Cから制御信号を受け取り、取得した制御信号に基づいて、ポンプk2の運転、停止が切り替えられるよう構成されている。
【0028】
通水管Wは、上下方向に伸びる主管w1と、主管w1から分岐し、下段のプランター容器P(P3)と接続された下段分岐管w31、中段のプランター容器P(P2)と接続された中段分岐管w21、上段のプランター容器P(P1)と接続された上段分岐管w11とを備えている。
【0029】
また、上段のプランター容器P(P1)に貯留された水は、上段のプランター容器P(P1)の底部と接続され、中段のプランター容器P(P2)へと伸びる上段排水管w12によって、中段のプランター容器P(P2)へと排水させることが可能となっている。
【0030】
同様に、中段のプランター容器P(P1)に貯留された水は、中段のプランター容器P(P2)の底部と接続され、下段のプランター容器P(P3)へと伸びる中段排水管w22によって、下段のプランター容器P(P3)へと自然排水させることが可能となっている。さらに、下段のプランター容器P(P3)に貯留された水は、下段のプランター容器P(P3)の底部と接続され、潅水装置Kへと伸びる下段排水管w32によって、潅水装置Kの貯水タンクk1へと排水させることが可能となっている。
【0031】
上段排水管w12、中段排水管w22、下段排水管w32は、それぞれ、プランター容器P内に配設された、図示しないそれぞれの菅の上端の吸水口(オーバーフロー口)から、水を下方へと流す仕組みとなっており、したがって、プランター容器P内の水位がある程度以上(吸水口の位置まで達した状態)になると、下のプランター容器Pに水が流れる仕組みとなっている。なお、該吸水口の高さは手動で調節可能となっている。なお、該吸水口の高さはアクチュエータ等の機構を配して電動で調節可能としてもよい。このように、植物栽培棚装置1は、潅水用装置Kの駆動により、各プランター容器P内に給水して内部の水を循環させるよう構成されている。このようにして、潅水装置Kは、このプランター容器P内に収容される植物の底部を濡らして水を供給する働きをし、プランター容器P内の水は、上段排水管w12、中段排水管w22、下段排水管w32を通じて流下し、貯水タンクk1に戻される。
【0032】
さらに、下段分岐管w31、中段分岐管w21、下段分岐管w31、上段排水管w11、中段排水管w22、下段排水管w32は、それぞれ、後述する制御装置Cによって開閉制御される電磁弁Dが配設されている。これにより、上段分岐管w11、中段分岐管w21、下段分岐管w31、上段排水管w12、中段排水管w22、下段排水管w32を流れる水は、それぞれの電磁弁Dの開度を大小調節することによって、流量を調節し、その結果、各プランター容器P(P1,P2,P3)内に留まる水の水位を高低し、また、一定水位に調節可能となっている。これらの電磁弁Dの開閉制御により、全プランター容器Pに同時に、あるいは、特定のプランター容器Pのみに迅速に水を送り込むことができ、また、各プランター容器P(P1,P2,P3)の排水量も個別に調節できるため、きめ細やかな水位の調節が可能となっている。
【0033】
より詳細には、
図3に示されるように、上段分岐管w11には上段供給電磁弁d11が、中段分岐管w21には中段供給電磁弁d21が、下段分岐管w31には下段供給電磁弁d31が、上段排水管w12、には上段排水電磁弁d12が、中段排水管w22には中段排水電磁弁d22が、下段排水管w32には下段排水電磁弁d32が、それぞれ配設されて、流量を電磁的に制御可能となっている。
【0034】
また、棚フレームTの正面部(具体的には、前側2本の支柱フレームt1,t1と、上部矩形枠フレームt2の前端と、下部矩形枠フレームt3の前端で形成されている四角枠部分を指す。)と背面部(具体的には、後側2本の支柱フレームt1,t1と、上部矩形枠フレームt2の後端と、下部矩形枠フレームt3の後端で形成されている四角枠部分を指す。)には、所定間隔で上下高さを異ならせるようにして、上段、中段、下段の位置に対応して、前後一対のLEDライト(L1,L2,L3)が3本設けられている。このLEDライト(L1,L2,L3)は、その長手方向に沿ってLED発光素子が配列された長尺管状体であるが、図示しない接続治具により支柱フレームt1に回動可能に取り付けられており、植物の生長に応じて、照射範囲を上下に調節可能となっている。なお、LEDライト(L1,L2,L3)の回動による照射範囲の調節は、使用者により手動で行われても、モーター等により電動で行われてもよい。また、その場合、支柱フレームt1に植物2の画像情報を取得する画像センサを設け、当該画像センサの取得した画像情報を後述する制御装置に送信し、これを取得した、制御装置Cが画像情報の解析によって、上段、中段、下段に配設されたそれぞれのLEDライト(L1,L2,L3)の照射範囲が、上段、中段、下段に配設されたそれぞれの植物2の葉の繁茂部分に追従するように、LEDライト(L1,L2,L3)を回動させるモータを自律的に駆動制御するよう構成されてもよい。
【0035】
このLEDライト(L1,L2,L3)は、プランター容器Pに収容された植物2に光を照射し、照度をコントロールする照明部Lとしての機能を果たし、3本のLEDライト(L1,L2,L3)は、それぞれ、後述する制御装置Cにより点灯・消灯が制御されるよう構成されている。これにより、上段LEDライト(L1)は、上段のプランター容器P1に、中段LEDライト(L2)は、中段のプランター容器P2に、下段LEDライト(L3)は、下段のプランター容器P3に、それぞれ光を照射することができ、制御装置Cによる照明部Lの点消灯制御により、各プランター容器に収容された植物毎に、きめ細やかな照度の調節が可能となっている。これにより、植物の生長のバラツキを防止しながら更に良好に生育を促進できる。なお、LEDライト(L1,L2,L3)は、それぞれが、固定用フレームt4のやや上方に設けられているため、植物2の葉の繁茂部分に良好に光を照射することができる。
【0036】
また、棚フレームTには、上段、中段、下段に配設されたプランター容器P近傍(近傍とは、例えば、プランター容器Pの周囲50cm~1m程度の範囲を指す。)の照度を測定可能な照度測定部S2が配設されている。より詳細には、上段、中段、下段の固定用フレームt4に、それぞれ、照度を測定可能な上段照度測定センサs21、中段照度測定センサs22、下段照度測定センサs23が設けられている。照度測定部S2により測定された照度に関する計測情報は、後述する制御装置Cに送信され、制御装置Cは、照度の計測情報を取得し、上段、中段、下段の照度それぞれを記憶部c5に記憶するよう構成されている。
【0037】
また、図示されていないが、各プランター容器P(P1,P2,P3)には、それぞれ、水位計S1(より詳細には、上段プランター容器P1に配設された上段水位計s11,中段プランター容器P2に配設された中段水位計s12,下段プランター容器P3に配設された下段水位計s13)が適宜の位置に配設されてており、これにより、各プランター容器P(P1,P2,P3)内の水位を測定可能となっている。水位計Sの計測情報は、後述する制御装置Cに送信され、制御装置Cは、水位を示す計測情報を取得し、記憶部c5に記憶するよう構成されている。
【0038】
図5は、
図1のプランター容器Pの分解斜視図である。
図5に示されるように、プランター容器Pは、上面を覆う上蓋p1と、内部底面に設置されると底網部p2と、箱形状のプランター容器本体p3とを備えている。
【0039】
上蓋p1は、植物2のポット苗の形状に合わせて丸型に形成された設置穴p12を備え、設置穴p12と挿通するよう配設された植物2のポット苗の底部を、通水性を有する底網部p2にて受けるよう構成され、これにより、ポット苗2を安定した姿勢で収容することができる。上蓋p1には、両端に、プランター容器本体p3の上縁に係止するための返し部p11が設けられている。なお、設置穴p12の径は、植物2の種類に応じて、変更可能に設けられてもよい。例えば、碁盤の目のようなワイヤー等を用い、それぞれのワイヤー位置をずらす構造により径を可変可能に構成されてもよい。さらに、この構造を応用して、設置穴p12同士の間隔(ピッチ)を変更可能に構成されてもよい。あるいは、設置穴p12を備えた矩形状プレートを、上蓋p1に着脱自在な構造とし、該矩形状プレートを径の異なるものと交換することにより、径が可変可能に構成されてもよい。これにより、杉苗やレタスなど、幅広い品目に適用が可能となる。なお、設置穴p12の形状は必ずしも丸型でなくてよく、植物2に合わせたものであればよい。
【0040】
プランター容器本体p3は、側面に上段分岐管w11、中段分岐管w21、下段分岐管w31と接続可能な給水穴p31を、底面に、上段排水管w12、中段排水管w22、下段排水管w32と接続可能な排水穴p32が設けられている。
【0041】
図6は、植物栽培棚装置1の制御装置Cの制御ブロック図である。
また、制御装置30は、CPU、ROM、RAM、プログラム等を有する電子演算機器が筐体に納められた装置であり、演算処理を行うCPUが、演算処理に必要な情報を読み書き可能なメモリに記憶された各種の制御プログラムに従って動作することにより、ブロックで示された各種の機能が発揮される。制御装置30の筐体内部には、インターネット等のネットワークNWに接続可能な通信部C2を備え、筐体の外装には、ネットワークNWを介して、制御装置Cと情報のやり取りができるように構成された情報端末C3を備えている。なお、情報端末C3は、例えば、タブレットやスマートフォン等の操作手段を備えた電子機器である。また、図中において、直線あるいは矢線で結ばれた機能ブロック同士は、有線あるいは無線で接続され、情報を送受可能となっている。
【0042】
図6に示されるように、制御装置Cは、入力側に水位計S1、照度測定部S2が接続され、これにより、各プランター容器P(P1,P2,P3)の水位に関する情報を、適宜のタイミングで取得可能となっている。また、制御装置Cは、出力側に、潅水装置K、電磁弁D、照明部Lが接続され、これらの装置に制御信号を送信して動作を制御するよう構成されている。
【0043】
また、制御装置Cは、水位設定部c1、水位調節部c2、照度設定部c3、照度調節部c4を備えている。また、各種情報を記憶可能な記憶部c5を備えている。
【0044】
水位設定部c1は、情報端末C3から入力を受け付けて、取得した操作情報に基づき、各プランター容器P(P1,P2,P3)の水位の高低を設定するプログラムである。これにより、使用者は、各プランター容器について、所望の水位をそれぞれ設定でき、使用者により設定された各プランター容器の水位の高低を示す水位設定情報は、記憶部c5に記憶されることで、制御装置Cに設定される。
【0045】
水位調節部c2は、記憶された水位設定情報に基づき、各電磁弁Dを制御して、使用者の所望の水位となるように、各プランター容器の水位を調節する。例えば、上段プランター容器P1に設定された水位が3cmであり、上段水位計s11により測定された水位が2cmだった場合、水位調節部c2は、上段水位計s11により測定される水位が3cmとなるまで、上段供給電磁弁d11の制御により、上段分岐管w11の流量を増加させ、さらに、上段排水電磁弁d12の制御により、上段排水管w12の流量を低減させることで、上段プランター容器P1内の水位を上昇させる。なお、水位を下降させる場合は、逆に、上段分岐管w11の流量を低減させ、さらに、上段排水管w12の流量を増加させるよう電磁弁D(d11,d12)を制御する。また、上段プランター容器Pに限らず、各プランター容器P(P1,P2,P3)について、同様の水位調節に係る制御が可能である。
【0046】
このように、プランター容器P(P1,P2,P3)毎に、情報端末C3の操作により、所望の水位を設定し、制御装置が、設定された水位に自動調節する構成によれば、各プランター容器P(P1,P2,P3)において、異なる植物を栽培する場合や、植物の生長度合いが異なる場合にも、良好に対応でき、プランター容器毎に適切な水位を実現できる。
【0047】
照度設定部c3は、情報端末C3から入力を受け付けて、取得した操作情報に基づき、各プランター容器の照度を設定するプログラムである。これにより、使用者は、各プランター容器について、所望の照度をそれぞれ設定でき、使用者により設定された各プランター容器の照度を示す照度設定情報は、記憶部c5に記憶されることで、制御装置Cに設定される。
【0048】
照度調節部c3は、記憶された照度設定情報に基づき照明部Lの上段LEDライトL1、中段LEDライトL2、下段LEDライトL3を、それぞれ点消灯制御して、各プランター容器近傍の照度が、使用者の所望の照度となるように調節する。つまり、制御装置Cは、上段照度測定センサs21、中段照度測定センサs22、下段照度測定センサs23から、取得した照度情報と、設定照度情報を比較し、上段、中段、下段のいずれかのプランター容器近傍の照度が、それぞれのプランター容器Pに設定された照度(つまり、記憶部c5にプランター容器P毎の適切な照度のデータが設定される)に満たないと判定した場合、その満たないと判定されたプランター容器に対応する上段LEDライト(L1)、中段LEDライト(L2)、下段LEDライト(L3)のいずれかを点灯する。例えば、上段のプランター容器P1近傍の照度が、上段のプランター容器P1に設定された照度に満たない場合、上段LEDライト(L1)を点灯する。逆に、設定された照度を満たす場合は、消灯制御する。
【0049】
このように、プランター容器P毎に、情報端末C3の操作により、所望の照度を設定し、制御装置Cが、設定された照度に自動調節する構成によれば、各プランター容器P(P1,P2,P3)において、異なる植物を栽培する場合や、植物の生長度合いが異なる場合にも、良好に対応でき、プランター容器P(P1,P2,P3)毎に適切な照度を実現できる。
【0050】
なお、制御装置Cは、プランター容器P(P1,P2,P3)毎に、照度の累計である積算照度を算出して、所定の時刻における基準の積算照度の値(制御装置Cの記憶部c5に、時刻ごとに予め設定される)と実際の積算照度の値の比較によって、照明部Lを点消灯制御するように構成してもよい。
【0051】
<2.変形例>
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上記に説明した実施形態等に限定されるものではない。したがって、本発明の要旨の範囲内において、実施形態は、種々の変形又は変更が可能である。
図7は、変形例に係る植物栽培棚装置1の模式図であり、より詳細には、遮光機能を有するルーバー装置Rを組み合わせた植物栽培棚装置1を示している。
図7に示されるように、変形例に係る植物栽培棚装置1は、上方に太陽光の遮蔽手段であるルーバー装置Rが配設されている。なお、植物栽培棚装置1の側方は、水平方向を囲む側壁部3が配設されているが、これに限定されない。
【0052】
ルーバー装置Rは、遮蔽部材(ルーバー)の板面を上下方向に沿って隙間なく配置させて入射する光LSを遮蔽する遮蔽状態と、遮蔽部材r1の板面を上下方向に対して傾斜させ、板面同士を互いに対向するように配置させて光LSの少なくとも一部を透過させる透過状態とに切り替えることができる。
【0053】
遮蔽部材r1は、
図7に示すように、略矩形状の平板状の板部材であり、ルーバー装置10の長手方向に沿って、複数配列されている。遮蔽部材r1は、その短手方向の端縁の中央部に長手方向に平行な回転軸r2が設けられており、その回転軸r2を介して保持部r5に回転可能に保持されている。
【0054】
また、遮蔽部材r1には、表面に太陽光パネルr4が設けられている。これにより、遮蔽状態において太陽光等の光が遮蔽部材r1の表面に入射した場合に、太陽光により発電し、図示しない蓄電部に充電するよう構成されている。蓄電部に充電された電力は、制御装置Cや照明部LのLEDライトL(L1,L2,L3)へ供給可能となっている。
【0055】
保持部r3は、複数の遮蔽部材r1を回転可能に保持する部分であり、
図7の吹き出し部分に、概略部分拡大図を示すように、基部r5、連動アームr6等から構成されている。
基部r5は、複数の遮蔽部材r1を支持するベース部材であり、遮蔽部材r1の長手方向(紙面手前方向)の両端を挟み込むようにして2つ設けられている。各基部r5には、複数の孔(図示せず)が等間隔に設けられており、それぞれの孔に各遮蔽部材r1の回転軸r2が挿入されることによって、複数の遮蔽部材r1を回転可能に保持している。各基部r5に設けられる各孔の間隔(ピッチ)は、遮蔽部材r1が遮蔽状態である場合に、隣接する遮蔽部材r1間に隙間ができないように、遮蔽部材r1の短手方向の幅と同等、若しくはその幅よりも若干短い寸法に形成されている。
【0056】
連動アームr6は、図中に示すように、平板状に形成された各遮蔽部材r1の角部を連結するアーム部材であり、各遮蔽部材r1の角部を回転機構部r12により回転可能に支持している。本実施形態のルーバー装置Rは、この連動アームr6をルーバー装置Rの長手方向に沿って移動させることによって、各遮蔽部材r1を基部r5に対して同時に同じ角度だけ連動して回転させることができる。その結果、ルーバー装置Rは、植物栽培棚装置1に入射する太陽光等の光Lを遮蔽する遮蔽状態と、光Lの少なくとも一部を室内側へ透過させる透過状態とを切り替えることができる。
【0057】
本実施形態の連動アームr6は、
図7の吹き出し部分に示すように、その下端縁に、駆動部r7の歯車r9にかみ合う歯が複数配列されたラック部r11が設けられている。なお、連動アームr6と遮蔽部材r1とを連結する回転機構部r12は、例えば、ボールジョイントにより構成される。
【0058】
駆動部r7は、連動アームr6をルーバー装置Rの長手方向に沿って移動させることによって、遮蔽部材r1を基部r5に対して回転させる部分であり、駆動モータr8、歯車r9等から構成されている。
【0059】
駆動モータr8は、連動アームr6をルーバー装置Rの長手方向に沿って移動させる回転モータであり、その駆動軸r10に歯車r9が設けられている。歯車r9は、駆動モータr8の回転の周方向に沿って複数の歯が設けられた平歯車である。歯車r9は、連動アームr6に設けられたラック部r11にかみ合うことによって、いわゆるラック・アンド・ピニオン機構を構成しており、駆動モータr8の回転運動をルーバー装置Rの長手方向に沿う直線運動に変換している。
【0060】
ルーバー制御部R1は、駆動部r7の駆動モータr8の回転を制御する制御回路であり、駆動モータr8に接続されている。ルーバー制御部R1には、制御装置Cと無線通信が可能なルーバー通信部R2が接続され、これにより、制御装置Cから取得した制御信号に応じて駆動モータr8の回転方向や、回転量、回転速度等を制御することができる。
【0061】
図8は、遮光機能を有するルーバー装置Rを組み合わせた植物栽培棚装置1の制御ブロック図である。なお、
図6と同様の構成については説明を省略する。
図8に示されるように、制御装置Cは、通信部C2からネットワークNWを介し、通信機能を有するルーバー通信部R2と接続して、ルーバー制御部R1に制御信号を送り、駆動部r7を制御するよう構成されている。
【0062】
この変形例に係る植物栽培棚装置1の照度調節部c3は、例えば、以下の照度調節制御を実行することができる。
第1の照度調節制御は、制御装置Cが、上段照度測定センサs21、中段照度測定センサs22、下段照度測定センサs23から、取得した照度情報と、設定照度情報を比較し、上段、中段、下段の全てのプランター容器近傍の照度が、それぞれのプランター容器Pに設定された照度よりも大きいと判定した場合、ルーバー装置Rを制御して遮蔽状態とし、植物栽培棚装置1に入射する光LSを遮蔽する。これにより、植物の生育に適した照度を実現することができる。逆に、上段、中段、下段のいずれかのプランター容器P近傍の照度が、それぞれのプランター容器Pに設定された照度よりも小さいと判定した場合、ルーバー装置Rを制御して透過状態とし、光LSの少なくとも一部を透過させる。このとき、ルーバー装置Rを透過状態としてもなお、上段、中段、下段のいずれかのプランター容器近傍の照度が、それぞれのプランター容器Pに設定された照度よりも小さい(満たない)と判定した場合、その満たないと判定さえたプランター容器に対応する上段LEDライト(L1)、中段LEDライト(L2)、下段LEDライト(L3)のいずれかを点灯し、照度不足を補うよう制御する。なお、制御装置Cは、照明部Lを点灯する際、徐々に照度を向上させて明るくし、設定された照度に達したときに、照度を決定するよう制御してもよい。
【0063】
なお、制御装置Cは、プランター容器P毎に、照度の累計である積算照度を算出して、所定の時刻における基準の積算照度の値(制御装置Cの記憶部に、時刻ごとに予め設定される)と実際の積算照度の値の比較によって、上記第1の照度調節制御を実行するように構成してもよい。
【0064】
このように構成された植物栽培棚装置1は、照度が不足するときは良好に補い、照度が過分であるときには、遮蔽するとともに太陽光パネルによって発電できるため、それぞれのプランター容器P毎に、植物の生育に適した照度をきめ細かに実現でき、加えて、省エネ化に資することができる。
【0065】
第2の照度調節制御は、制御装置Cが、上段照度測定センサs21、中段照度測定センサs22、下段照度測定センサs23から、取得した照度情報と、設定照度情報を比較し、上段、中段、下段のいずれかのプランター容器P近傍の照度が、それぞれのプランター容器Pに設定された照度よりも大きいと判定した場合、ルーバー装置Rを制御して遮蔽状態とし、植物栽培棚装置1に入射する光LSを遮蔽する。
【0066】
このとき、ルーバー装置Rを遮蔽状態としたときに、上段、中段、下段のいずれかのプランター容器近傍の照度が、それぞれのプランター容器Pに設定された照度よりも小さい(満たない)と判定した場合、その満たないと判定されたプランター容器に対応する上段LEDライト(L1)、中段LEDライト(L2)、下段LEDライト(L3)のいずれかを点灯し、照度不足を補うよう制御する。これにより、上段、中段、下段のいずれかのプランター容器近傍の照度が過多となることを防止し、植物の生育に適した照度をさらに好適に実現することができる。また、逆に、上段、中段、下段の全てのプランター容器近傍の照度が、それぞれのプランター容器Pに設定された照度よりも小さいと判定した場合、ルーバー装置Rを制御して透過状態とし、光LSの少なくとも一部を透過させる。このとき、ルーバー装置Rを透過状態としてもなお、上段、中段、下段のいずれかのプランター容器近傍の照度が、それぞれのプランター容器Pに設定された照度よりも小さい(満たない)と判定した場合、その満たないと判定さえたプランター容器に対応する上段LEDライト(L1)、中段LEDライト(L2)、下段LEDライト(L3)のいずれかを点灯し、照度不足を補うよう制御する。なお、制御装置Cは、照明部Lを点灯する際、徐々に照度を向上させて明るくし、設定された照度に達したときに、照度を決定するよう制御してもよい。
【0067】
なお、制御装置Cは、プランター容器P毎に、照度の累計である積算照度を算出して、所定の時刻における基準の積算照度の値(制御装置Cの記憶部c5に、時刻ごとに予め設定される)と実際の積算照度の値の比較によって、上記第2の照度調節制御を実行するように構成されてもよい。
【0068】
また、制御装置Cは、使用者が情報端末C3を操作することより、その操作情報に基づいて、上記第1の照度調節制御または上記第2の照度調節制御を選択して実行できるよう構成されてもよい。
【0069】
<3.その他>
上記実施形態においては、プランター容器Pを上段、中段、下段の3段構成としたが、3段以外でもよい。例えば、固定用フレームt4及びプランター容器P等の数を増減して、2段や、4段以上に構成されてもよい。
【0070】
支柱フレームt1の上段、中段、下段のLEDライトL(L1,L2,L3)の近傍に植物2に送風可能な送風装置(例えば、サーキュレーター等)をそれぞれ設け、制御装置Cにより、それぞれの送風の開始・停止・風量を駆動制御するよう構成し、植物の種類や成長度合に応じて、送風時間・風量等を制御装置Cに設定可能な構成とし、設定された情報に基づき、植物栽培棚装置1の各段にきめ細やかな送風を行うようにしてもよい。
【0071】
また、支柱フレームt1の上段、中段、下段のLEDライトL(L1,L2,L3)の近傍に、植物2に二酸化炭素を噴出可能な多孔質パイプを設置し、当該多孔質パイプに二酸化炭素を送り込む二酸化炭素供給装置(二酸化炭素ボンベ、供給管、電磁弁、制御盤等の機構を有する)を、制御装置Cにより駆動制御し、二酸化炭素の供給の開始・停止・供給量を制御するよう構成してもよい。この場合において、植物の種類や成長度合に応じて、二酸化炭素の供給時間・供給量等を制御装置Cに設定可能な構成とし、、設定された情報に基づき、植物栽培棚装置1の各段にきめ細やかな二酸化炭素の供給を行うようにしてもよい。
【0072】
また、潅水用装置Kの側部に上方へと送風可能な上方送風装置を設け、制御装置Cにより、送風の開始・停止・風量を駆動制御するよう構成されてもよい。さらに、プランター容器P近傍にCO2センサ、温度センサ、湿度センサを設け、この計測情報に基づいて、制御装置Cが上方送風装置を制御して、上方へと送風するよう構成されてもよい。例えば、温度センサにより設定温度以上が測定されると、上方送風装置を駆動し、暖かい空気を上部に逃がす事により、設備内部の暖気を放出する(温度センサ、湿度センサの状況を見ながら、温度が設定値より下がってきたら、気流を止めて、CO2施用を再開する等)事で、より好ましい環境制御
が実現できる。また、湿度センサの場合は、所定湿度以上の場合に送風するよう構成できる。また、制御装置Cが単位時間当たりの二酸化炭素濃度の減少量を監視し、減少量が所定の設定値より大きいときは、光合成が活発であると判断し、上記多孔質パイプによりCO2を施用しつつ、上記温度や湿度の条件の充足により、上方送風装置が送風中であるときは、送風を止めたり、風量を抑えるよう構成されてもよい。
【0073】
貯水タンクk1に、液肥を混入する構成とし、さらに、貯水タンクk1内にpH、ECセンサ、水温センサを設けて、これらの計測情報を適宜制御装置Cが取得して、記憶部c5に記憶し、記憶された液肥に関する情報を、適宜、情報端末C3に送信することにより、使用者が、情報端末Cの表示画面等で液肥の状況を監視・確認できるよう構成されてもよい。制御装置Cは、計測情報が取得できないとき、計測情報の計測値が所定の閾値を越えるような場合に、警告(アラーム)を情報端末Cに表示させるように構成されてもよい。
【0074】
また、上段照度測定センサs21、中段照度測定センサs22、下段照度測定センサs23は、上段のプランター容器P(P1)、中段のプランター容器P(P2)、下段のプランター容器P(P3)の適宜の箇所に各々配設されてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 植物栽培棚装置
b1 位置決め用ボルト孔
b2 被連結部
D 電磁弁
d11 上段供給電磁弁
d12 上段排水電磁弁
d21 中段供給電磁弁
d22 中段排水電磁弁
d31 下段供給電磁弁
d32 下段排水電磁弁
K 潅水用装置
k1 貯水タンク
k2 ポンプ
k3 潅水コントローラ
T 棚フレーム
t1 支柱フレーム
t2 上部枠フレーム
t3 下部枠フレーム
t4 固定用フレーム
S1 水位計
S2 照度測定部
P プランター容器
p1 上蓋
p12 設置穴
p2 底網部
p3 プランター容器本体
p31 給水穴
p32 排水穴
W 通水管
w1 主管
w11 上段分岐管
w12 上段排水管
w21 中段分岐管
w22 中段排水管
w31 下段分岐管
w32 下段排水管
R ルーバー装置
r1 遮蔽部材
r2 回転軸
r3 保持部
r4 太陽光パネル
r5 基部
r6 連動アーム
r7 駆動部
r8 駆動モータ
r9 歯車
r10 駆動軸
r11 ラック部
r12 回転機構部
R1 ルーバー制御部
R2 ルーバー通信部