(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131349
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 13/06 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H01H13/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041556
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】宮山 真吾
(72)【発明者】
【氏名】吉田 陵
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS02H
5G206AS02J
5G206AS04H
5G206AS04J
5G206AS38H
5G206AS38J
5G206CS04H
5G206CS04J
5G206DS01H
5G206DS01J
5G206ES01H
5G206ES07H
5G206GS21
5G206HS12
5G206NS07
(57)【要約】
【課題】防水性が低下することと、部品点数の増加と組み付け時の作業性が低下すること。
【解決手段】本発明のスイッチ装置は、一端がスイッチ部11を形成して押下操作されるシャフト10と、シャフト10が挿通される挿通穴21が形成され、挿通穴21の一端からシャフト10の一端を露出させると共に、シャフト10の側方周囲を囲むシール部材20と、を備え、シール部材20は、一端付近にシャフト10を側方周囲から緊縛する緊縛部22を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端がスイッチ部を形成して押下操作されるシャフトと、
前記シャフトが挿通される挿通穴が形成され、当該挿通穴の一端から前記シャフトの一端を露出させると共に、前記シャフトの側方周囲を囲むシール部材と、を備え、
前記シール部材は、一端付近に前記シャフトを側方周囲から緊縛する緊縛部を有する、
スイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ装置であって、
前記シャフトは、一端に隣接して位置し、前記シール部材の前記緊縛部で緊縛される被緊縛部を有し、当該被緊縛部に隣接して他端側に位置し、当該被緊縛部よりも外径が小さく形成されたシャフト側小径部を有し、
前記シール部材は、前記緊縛部に隣接して他端側に位置し、前記緊縛部よりも内径が小さく形成されたシール部材側小径部を有し、
前記シャフト側小径部の側方周囲に前記シール部材側小径部が位置して構成される、
スイッチ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスイッチ装置であって、
前記シャフト側小径部と前記シール部材側小径部とは、それぞれ前記シャフトの軸方向と略直交し、相互に当接する当接面を有する、
スイッチ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のスイッチ装置であって、
前記シャフト側小径部と前記シール部材側小径部とは、それぞれの一端側及び他端側の少なくとも一方の端部に、相互に当接する前記当接面を有する、
スイッチ装置。
【請求項5】
請求項3に記載のスイッチ装置であって、
前記シャフトは、前記シャフト側小径部に隣接して他端側に位置し、当該シャフト側小径部よりも外径が大きく形成されたシャフト基部を有し、
前記シャフト側小径部は、前記被緊縛部と前記シャフト基部とのそれぞれの境界箇所にそれぞれ前記当接面を有し、
前記シール部材は、前記シール部材側小径部に隣接して他端側に位置し、当該シール部材側小径部よりも内径が大きく形成されたシール基部を有し、
前記シール部材側小径部は、前記緊縛部と前記シール基部とのそれぞれの境界箇所にそれぞれ前記当接面を有する、
スイッチ装置。
【請求項6】
請求項2に記載のスイッチ装置であって、
前記シール部材の前記緊縛部の内径は、前記シャフトの前記被緊縛部の外径よりも小さく形成されている、
スイッチ装置。
【請求項7】
請求項2に記載のスイッチ装置であって、
前記シール部材の前記緊縛部の内壁に、前記被緊縛部の外径よりも大きい内径の環状の溝部を少なくとも1つ有する、
スイッチ装置。
【請求項8】
請求項7に記載のスイッチ装置であって、
前記シール部材の前記緊縛部の内壁のうち、前記シール部材側小径部との境界付近に前記溝部を有する、
スイッチ装置。
【請求項9】
請求項1に記載のスイッチ装置であって、
前記シャフトは、一端に隣接して位置する前記シール部材の前記緊縛部で緊縛される被緊縛部と、当該被緊縛部に隣接して他端側に位置する当該被緊縛部よりも外径が小さく形成されたシャフト側小径部と、を有するよう、前記被緊縛部と前記シャフト側小径部との境界箇所で異なる金型を用いて射出成型されている、
スイッチ装置。
【請求項10】
一端がスイッチ部を形成して押下操作されるシャフトと、
前記シャフトが挿通される挿通穴が形成され、当該挿通穴の一端から前記シャフトの一端を露出させると共に、前記シャフトの側方周囲を囲むシール部材と、
を組み付けて構成されるスイッチ装置の製造方法であって、
前記シャフトに、一端に隣接する位置に、前記シール部材の一端付近に形成される緊縛部にて側方周囲から緊縛される被緊縛部を形成し、当該被緊縛部に隣接する他端側の位置に、当該被緊縛部よりも外径が小さく形成されたシャフト側小径部を形成するよう、前記被緊縛部と前記シャフト側小径部との境界箇所で異なる金型を用いて前記シャフトを射出成型する工程を有する、
スイッチ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪などの車両に装備される押しボタン式のスイッチ装置には、防水性が要求される。例えば、特許文献1では、当該特許文献1の
図2に記載のように、円柱状の操作部5bとその先端部に設けられた凹部5cとの間に環状の窪みが形成されており、かかる環状の窪みに防水部材3を嵌合させている。また、例えば、特許文献2では、当該特許文献2の
図1に記載のように、駆動杵3と操作釦7との間を連結軸5で連結し、かかる連結軸7箇所にゴムキャップ4を配置して駆動杵3をシールしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4072365号公報
【特許文献2】特開平5-2947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の構成では、操作部を1つの部材で構成しているため、射出成型時に環状の窪みに段差が発生し、防水性能が低下する、という問題が生じる。また、上述した特許文献2に記載の構成では、駆動杵と操作釦とを別部品で構成しているため、部品点数が増加し、組み付け時の作業性が低下する、という問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、上述した課題である、防水性が低下することと、部品点数の増加と組み付け時の作業性が低下する、という問題を解決することができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態であるスイッチ装置は、
一端がスイッチ部を形成して押下操作されるシャフトと、
前記シャフトが挿通される挿通穴が形成され、当該挿通穴の一端から前記シャフトの一端を露出させると共に、前記シャフトの側方周囲を囲むシール部材と、を備え、
前記シール部材は、一端付近に前記シャフトを側方周囲から緊縛する緊縛部を有する、
という構成をとる。
【0007】
また、本発明の一形態であるスイッチ装置の製造方法は、
一端がスイッチ部を形成して押下操作されるシャフトと、
前記シャフトが挿通される挿通穴が形成され、当該挿通穴の一端から前記シャフトの一端を露出させると共に、前記シャフトの側方周囲を囲むシール部材と、
を組み付けて構成されるスイッチ装置の製造方法であって、
前記シャフトに、一端に隣接する位置に、前記シール部材の一端付近に形成される緊縛部にて側方周囲から緊縛される被緊縛部を形成し、当該被緊縛部に隣接する他端側の位置に、当該被緊縛部よりも外径が小さく形成されたシャフト側小径部を形成するよう、前記被緊縛部と前記シャフト側小径部との境界箇所で異なる金型を用いて前記シャフトを射出成型する工程を有する、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上のように構成されることにより、防水性を維持しつつ、部品点数を低減させて組み付け時の作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態におけるスイッチ装置の外観を示す図である。
【
図2】
図1に開示したスイッチ装置の内部構成を示す断面図である。
【
図3】
図1に開示したスイッチ装置の構成部品を示す断面図である。
【
図4】
図1に開示したスイッチ装置の構成部品を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、
図1乃至
図3を参照して説明する。
図1乃至
図3は、スイッチ装置の構成を説明するための図である。
【0011】
[構成]
本発明におけるスイッチ装置は、自動二輪などの車両に装備される押しボタン式のスイッチ装置である。本実施形態におけるスイッチ装置は、
図1に示すように、押下操作されるシャフト10と、シャフトの側方周囲を囲むシール部材20と、シャフト10及びシール部材20を含む構成部品を収容するケース30と、を備えて構成されている。そして、スイッチ装置は、
図2の断面図に示すように、ケース30の内部にバネ40が装備されており、シャフト10の一端であるスイッチ部11が押圧操作された後に元の位置に復帰するよう構成されている。以下、主にシャフト10とシール部材20の構成について
図2乃至
図3を参照して詳述する。なお、
図3は、シャフト10とシール部材20の拡大断面図を示している。
【0012】
シャフト10は、所定の長さを有する略棒状の軸部材であり、一端が押下操作されるスイッチ部11を形成している。なお、
図2及び
図3では、上方に位置する端部を一端とし、下方に位置する端部を他端とし、上下方向は軸方向であることとする。そして、シャフト10は、
図3(3-1)に示すように、スイッチ部11から軸方向に沿って他端側に向かって、被緊縛部12と、シャフト側小径部13と、シャフト基部14と、がそれぞれ所定の長さを有して形成されている。
【0013】
スイッチ部11は、シャフト10の一端で形成されており、半球状に形成されている。スイッチ部11は、後述するように、シール部材20の一端に形成される挿通穴21から露出するよう位置し、操作者によって押下操作される。
【0014】
被緊縛部12は、シャフト10のうち、スイッチ部11に隣接して他端側に位置する所定の長さを有する部位である。被緊縛部12は、円柱状に形成されており、その外径が長さ方向に沿って一様に形成されている。なお、被緊縛部12は、後述するシール部材20の緊縛部22によって緊縛されることとなる。
【0015】
シャフト側小径部13は、シャフト10のうち、被緊縛部12に隣接して他端側に位置する所定の長さを有する部位である。シャフト側小径部13は、円柱状に形成されており、その外径が長さ方向に沿って一様に形成されている。そして、シャフト側小径部13の外径は、被緊縛部12の外径よりも小さく形成されている。
【0016】
このとき、シャフト側小径部13の一端側の端部が位置する被緊縛部12との境界箇所には、シャフト10の軸方向に対して略直交するシャフト側第一端面13a(当接面)が形成されている。つまり、シャフト側第一端面13aは、シャフト10の軸方向に沿って他端側を向く面にて形成されている。また、後述するように、シャフト側小径部13のさらに他端側にはシャフト基部14が位置し、シャフト基部14の外径はシャフト側小径部13よりも大きく形成されている。このとき、シャフト側小径部13の他端側の端部が位置するシャフト基部14との境界箇所には、シャフト10の軸方向に対して略直交するシャフト側第二端面13b(当接面)が形成されている。つまり、シャフト側第二端面13bは、シャフト10の軸方向に沿って一端側を向く面にて形成されている。このように、シャフト側小径部13は、軸方向に沿って所定の幅を有する円環状の凹部にて形成されている。なお、シャフト側小径部13には、後述するシール部材20のシール部材側小径部23が対応して位置することとなる。
【0017】
シャフト基部14は、シャフト10のうち、シャフト側小径部13に隣接して他端側に位置し、シャフト10の他端までの長さを有して形成されている。シャフト基部14は、シャフト側小径部13との隣接箇所から所定の長さの部位は、円柱状に形成され、その外径が長さ方向に沿って一様に形成されており、シャフト側小径部13の外径よりも大きく形成されている。そして、シャフト基部14の所定箇所から他端付近までは、その外径が徐々に大きくなるよう円錐台形状に形成されている。
【0018】
そして、上述した構成のシャフト10は、金型を用いて射出成型にて製造することができる。このとき、金型は、被緊縛部12とシャフト側小径部13との境界箇所で上下方向に分割される。つまり、被緊縛部12より一端側、例えば、
図4の点線D1で示す箇所より一端側で第一の金型を用い、シャフト側小径部13より他端側で上下方向と直交する方向に分割される第二、第三の金型を用いて、シャフト10を射出成型する。例えば、第二の金型と第三の金型は、
図4の点線D2で示す箇所で分割される。これにより、射出成型において金型の分割箇所に生じうる段差が、被緊縛部12に形成されることがなくなる。
【0019】
シール部材20は、所定の長さを有する略円筒状の弾性部材にて形成されている。例えば、シール部材は、各種ゴム、シリコーン、などで形成されている。シール部材20は、
図3(3-2)に示すように、長さ方向つまり軸方向に沿って内部に挿通穴21が形成されており、軸方向における位置に応じて挿通穴21の内径の大きさが異なって形成されている。具体的に、シール部材20は、一端側から他端側に向かって、緊縛部22と、シール部材側小径部23と、シール基部24と、がそれぞれ所定の長さを有して形成されている。
【0020】
緊縛部22は、シール部材20のうち、一端から他端側に所定の長さを有する部位である。なお、緊縛部22の一端である挿通穴21の一端は開口しており、かかる開口箇所から上述したシャフト10の一端に位置するスイッチ部11が露出されることとなる。具体的に、緊縛部22は、
図3に示すように、シャフト10に形成された被緊縛部12に対応して形成されており、軸方向において被緊縛部12とほぼ同じ長さを有する。そして、緊縛部22の形状は略円筒状に形成されており、その内径が、後述する溝部22a,22b箇所を除いて、長さ方向に沿ってほぼ一様に形成されている。このとき、緊縛部22の内径は、上述したシャフト10の被緊縛部12の外径よりも小さく形成されている。これにより、挿通穴21にシャフト10が挿通された際に、緊縛部22がシャフト10の被緊縛部12を側方周囲から緊縛することとなる。
【0021】
また、
図3(3-2)に示すように、緊縛部22の内壁には、他の部位よりも内径が大きく形成された環状の溝部22a,22bが形成されている。本実施形態では、緊縛部22の内壁には、2つの溝部22a,22bが形成されており、これら2つの溝部22a,22bの内径は、いずれもシャフト10に形成された被緊縛部12の外径よりも大きく形成されている。また、1つの溝部22bは、緊縛部22の軸方向における他端箇所、つまり、後述する隣接するシール部材側小径部23との境界付近に形成されている。なお、
図3では、緊縛部22に2つの溝部22a,22bが形成されている場合を示しているが、溝部の数は2つに限定されずにいくつであってもよく、あるいは、溝部は設けられていなくてもよい。
【0022】
シール部材側小径部23は、シール部材20のうち、緊縛部22に隣接して他端側に位置する所定の長さを有する部位である。シール部材側小径部23は、
図3に示すように、シャフト10に形成されたシャフト側小径部13に対応して形成されており、軸方向においてシャフト側小径部13とほぼ同じ長さを有する。そして、シール部材側小径部23の形状は略円筒状に形成されており、その内径が長さ方向に沿ってほぼ一様に形成されている。このとき、シール部材側小径部23の内径は、隣接する緊縛部22の内径よりも小さく形成されており、上述したシャフト10のシャフト側小径部13の外径よりも大きくあるいはほぼ同等に形成されている。
【0023】
そして、シール部材側小径部23の一端側の端部が位置する緊縛部22との境界箇所には、軸方向に対して略直交するシール部材側第一端面23a(当接面)が形成されている。つまり、シール部材側第一端面23aは、軸方向に沿って一端側を向く面にて形成されている。そして、シール部材側第一端面23aは、上述したシャフト側小径部13に形成された軸方向に沿って他端側を向くシャフト側第一端面13aと対向して当接することとなる。また、後述するように、シール部材側小径部23のさらに他端側にはシール基部24が位置し、シール基部24の内径はシール部材側小径部23の内径よりも大きく形成されている。このとき、シール部材側小径部23の他端側の端部が位置するシール基部24との境界箇所には、軸方向に対して略直交するシール部材側第二端面23b(当接面)が形成されている。つまり、シール部材側第二端面23bは、軸方向に沿って他端側を向く面にて形成されている。そして、シール部材側第二端面23bは、上述したシャフト側小径部13に形成された軸方向に沿って一端側を向くシャフト側第二端面13bと対向して当接することとなる。
【0024】
シール基部24は、シール部材20のうち、シール部材側小径部23に隣接して他端側に位置し、シール部材20の他端付近までの長さを有して形成されている。シール基部24の形状は、シール部材側小径部23との隣接箇所から所定の長さの部位は、略円筒状に形成され、その内径が長さ方向に沿って一様に形成されており、シール部材側小径部23の内径よりも大きく形成されている。そして、シール基部24は、シール部材側小径部23との隣接箇所から他端側の所定箇所において、その内部形状が大きくなるよう変化して形成されている。そして、シール基部24の壁面の厚みは、緊縛部22及びシール部材側小径部23箇所の壁面よりも薄く形成されており、シール基部24における箇所では弾性変形可能なよう形成されている。このため、シール基部24が弾性変形することで、後述するように緊縛部22及びシール部材側小径部23の箇所が上下に移動可能となり、スイッチ操作によるスイッチ装置の可動が実現される。
【0025】
[動作]
次に、上述したスイッチ装置の製造方法及び動作を説明する。はじめに、スイッチ装置の製造方法について説明する。
【0026】
まず、スイッチ装置の構成部品を用意する。例えば、上述したシャフト10は、金型を用いて射出成型にて製造して用意する。このとき、シャフト10の製造に用いる金型は、被緊縛部12とシャフト側小径部13との境界箇所で分割された異なるものを用いる。つまり、被緊縛部12より一端側、例えば、
図4の点線D1で示す箇所より一端側で第一の金型を用い、シャフト側小径部13より他端側で第二、第三の金型を用いて、シャフト10を射出成型する。なお、シャフト側小径部13より他端側で用いられる第二の金型と第三の金型は、例えば、
図4の点線D2で示す箇所で分割されている。これにより、射出成型において金型の分割箇所に生じうる段差が、被緊縛部12に形成されることがなくなる。なお、シール部材20など他の部品の製造方法については、その説明を省略する。
【0027】
その後、シャフト10とシール部材20とを組み付ける。具体的に、
図3(3-2)に示すシール部材20の挿通穴21に、
図3(3-1)に示すシャフト10を挿通して、シャフト10とシール部材20とを組み付ける。このとき、
図3(3-3)に示すように、シール部材20の緊縛部22の位置に、シャフト10の被緊縛部12が位置するよう組み付ける。これにより、シャフト10の被緊縛部12がシール部材20の緊縛部22にて緊縛された状態となり、シャフト10のスイッチ部11がシール部材20の一端から露出した状態で、シャフト10がシール部材20に保持されることとなる。このとき、シャフト10の被緊縛部12は、シール部材20にてシールされた状態となり、スイッチ装置の防水性が維持される。また、シール部材20の緊縛部22の内壁に溝部22a,22bが形成されていることで、被緊縛部12の外径よりも内径が小さく形成された緊縛部22による緊縛の際に生じうるシール部材20の変形を吸収することができ、緊縛部22を被緊縛部12により密着させることができ、よりシール効果を高めることができる。
【0028】
また、上述した緊縛箇所の他端側では、
図3(3-3)に示すように、シャフト10のシャフト側小径部13の周囲に、シール部材20のシール部材側小径部23が位置することとなる。このとき、シャフト側小径部13とシール部材側小径部23とが、軸方向における両端箇所にそれぞれ位置する軸方向に略直交する端面で相互に当接することとなり、軸方向に沿って、シール部材20の挿通穴21内でシール部材側小径部23がシャフト側小径部13に当接して挟まれた状態となる。具体的に、一端側であるシャフト10の被緊縛部12とシャフト側小径部13との境界箇所では、シャフト側小径部13の他端側を向くシャフト側第一端面13aが、シール部材側小径部23の一端側を向くシール部材側第一端面23aに当接する。また、他端側であるシャフト10のシャフト側小径部13とシャフト基部14との境界箇所では、シャフト側小径部13の一端側を向くシャフト側第二端面13bが、シール部材側小径部23の他端側を向くシール部材側第二端面23bに当接する。
【0029】
そして、上述したようにシャフト10とシール部材20とを組み付けると共に、
図2に示すように他の部品を組み付けることで、スイッチ装置を製造することができる。
【0030】
次に、上述したスイッチ装置の動作を説明する。操作者がスイッチ装置を操作する際には、
図3に示すように一端側から露出したシャフト10のスイッチ部11を押圧操作する。ここでは、図面における下方に押圧操作することとする。すると、シャフト10は、被緊縛部12にてシール部材20にて緊縛されており、また、シール部材20の挿通穴21内でシール部材側小径部23のシール部材側第一端面23a及びシール部材側第二端面23bが、シャフト側小径部13のシャフト側第一端面13a及びシャフト側第二端面13bにそれぞれ当接された状態なっているため、シャフト10の上下方向作動に伴いシール部材20が上下方向のずれることを抑制することができ、緊縛部22における防水性能を確保することができる。このとき、シール部材20のシール基部24が弾性変形することで、緊縛部22及びシール部材側小径部23の箇所の下方への移動が実現される。その後、シャフト10のスイッチ部11の押圧操作が解除されると、内部に設けられたバネ40によりシャフト10が上方に移動され、元の位置に復帰することとなる。
【0031】
以上のように、本実施形態におけるスイッチ装置は、シャフト10の一端付近でシール部材20にて緊縛して構成しており、防水性を維持しつつ、部品点数を低減させて組み付け時の作業性の向上を図ることができる。特に、上述したシャフト10の構造により、射出成型の際にシャフト10の被緊縛部12に段差が形成されることを防ぐことができ、さらなる防水性の向上を図ることができる。
【0032】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明におけるスイッチ装置の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
(付記1)
一端がスイッチ部を形成して押下操作されるシャフトと、
前記シャフトが挿通される挿通穴が形成され、当該挿通穴の一端から前記シャフトの一端を露出させると共に、前記シャフトの側方周囲を囲むシール部材と、を備え、
前記シール部材は、一端付近に前記シャフトを側方周囲から緊縛する緊縛部を有する、
スイッチ装置。
(付記2)
付記1に記載のスイッチ装置であって、
前記シャフトは、一端に隣接して位置し、前記シール部材の前記緊縛部で緊縛される被緊縛部を有し、当該被緊縛部に隣接して他端側に位置し、当該被緊縛部よりも外径が小さく形成されたシャフト側小径部を有し、
前記シール部材は、前記緊縛部に隣接して他端側に位置し、前記緊縛部よりも内径が小さく形成されたシール部材側小径部を有し、
前記シャフト側小径部の側方周囲に前記シール部材側小径部が位置して構成される、
スイッチ装置。
(付記3)
付記2に記載のスイッチ装置であって、
前記シャフト側小径部と前記シール部材側小径部とは、それぞれ前記シャフトの軸方向と略直交し、相互に当接する当接面を有する、
スイッチ装置。
(付記4)
付記3に記載のスイッチ装置であって、
前記シャフト側小径部と前記シール部材側小径部とは、それぞれの一端側及び他端側の少なくとも一方の端部に、相互に当接する前記当接面を有する、
スイッチ装置。
(付記5)
付記3又は4に記載のスイッチ装置であって、
前記シャフトは、前記シャフト側小径部に隣接して他端側に位置し、当該シャフト側小径部よりも外径が大きく形成されたシャフト基部を有し、
前記シャフト側小径部は、前記被緊縛部と前記シャフト基部とのそれぞれの境界箇所にそれぞれ前記当接面を有し、
前記シール部材は、前記シール部材側小径部に隣接して他端側に位置し、当該シール部材側小径部よりも内径が大きく形成されたシール基部を有し、
前記シール部材側小径部は、前記緊縛部と前記シール基部とのそれぞれの境界箇所にそれぞれ前記当接面を有する、
スイッチ装置。
(付記6)
付記2乃至5のいずれかに記載のスイッチ装置であって、
前記シール部材の前記緊縛部の内径は、前記シャフトの前記被緊縛部の外径よりも小さく形成されている、
スイッチ装置。
(付記7)
付記2乃至6のいずれかに記載のスイッチ装置であって、
前記シール部材の前記緊縛部の内壁に、前記被緊縛部の外径よりも大きい内径の環状の溝部を少なくとも1つ有する、
スイッチ装置。
(付記8)
付記7に記載のスイッチ装置であって、
前記シール部材の前記緊縛部の内壁のうち、前記シール部材側小径部との境界付近に前記溝部を有する、
スイッチ装置。
(付記9)
付記1乃至8のいずれかに記載のスイッチ装置であって、
前記シャフトは、一端に隣接して位置する前記シール部材の前記緊縛部で緊縛される被緊縛部と、当該被緊縛部に隣接して他端側に位置する当該被緊縛部よりも外径が小さく形成されたシャフト側小径部と、を有するよう、前記被緊縛部と前記シャフト側小径部との境界箇所で異なる金型を用いて射出成型されている、
スイッチ装置。
(付記10)
一端がスイッチ部を形成して押下操作されるシャフトと、
前記シャフトが挿通される挿通穴が形成され、当該挿通穴の一端から前記シャフトの一端を露出させると共に、前記シャフトの側方周囲を囲むシール部材と、
を組み付けて構成されるスイッチ装置の製造方法であって、
前記シャフトに、一端に隣接する位置に、前記シール部材の一端付近に形成される緊縛部にて側方周囲から緊縛される被緊縛部を形成し、当該被緊縛部に隣接する他端側の位置に、当該被緊縛部よりも外径が小さく形成されたシャフト側小径部を形成するよう、前記被緊縛部と前記シャフト側小径部との境界箇所で異なる金型を用いて前記シャフトを射出成型する工程を有する、
スイッチ装置の製造方法。
【0033】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0034】
10 シャフト
11 スイッチ部
12 被緊縛部
13 シャフト側小径部
14 シャフト基部
20 シール部材
21 挿通穴
22 緊縛部
22a,22b 溝部
23 シール部材側小径部
24 シール基部
30 ケース
40 バネ