(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131365
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】建具及び建具の施工方法
(51)【国際特許分類】
E05D 15/06 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
E05D15/06 125C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041581
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】山村 浩一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 舞
【テーマコード(参考)】
2E034
【Fターム(参考)】
2E034CA04
2E034DA17
(57)【要約】
【課題】上レールを含む建具を施工するにあたり、施工性が向上するとともに資材の削減を図ることができる建具及び建具の施工方法を提供する。
【解決手段】建具1の施工方法は、一対の縦枠20の上端部の間にわたって上レール30を配置し、一対の縦枠20の上端部のそれぞれと上レール30の両端部とをL字金具50により接続して、一対の縦枠20と上レール30とにより三方枠状の組立体40を組む工程と、組立体40を躯体2に形成される開口部2Aの内側に配置する工程と、一対の縦枠20のそれぞれを開口部2Aの両側の柱4に固定する工程と、上レール30を開口部2Aの上縁であるまぐさ5に固定する工程と、上レール30に、吊車15を介して折戸10を開閉可能に設置する工程と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の縦枠と、
一対の前記縦枠の上端部の間にわたって配置される上レールと、
前記上レールの両端部と一対の前記縦枠の上端部のそれぞれとを接続して、一対の前記縦枠と前記上レールとにより三方枠状の組立体を組む一対の接続具と、
躯体に形成される開口部の内側に開閉可能に配置される障子と、
前記障子に設けられ前記上レールに配置される吊車と、を備え、
前記組立体の一対の前記縦枠が、前記開口部の両側の側縁のそれぞれに固定されるとともに、前記組立体の前記上レールが、前記開口部の上縁に固定される、建具。
【請求項2】
前記接続具は、前記上レールの長手方向に沿う第1板部と、前記第1板部の一端から延び、前記縦枠の長手方向に沿う第2板部と、が一体の形状を有する、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
少なくとも前記第2板部は、前記縦枠の長手方向に延びる長孔によるねじ挿通孔を有し、
前記縦枠は、前記ねじ挿通孔に挿入されるねじにより前記躯体に固定される、請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記上レールは、前記第1板部が嵌合する第1溝部を有し、
前記縦枠は、前記第2板部が嵌合する第2溝部を有し、
前記第1板部が前記第1溝部に嵌合し、前記第2板部が前記第2溝部に嵌合した状態で、前記上レールと前記縦枠との互いの見込み方向の位置が定められて前記組立体が組まれる、請求項2または3に記載の建具。
【請求項5】
前記縦枠の上端部と前記上レールとの間にスペーサ部材が挟まれる、請求項1または2に記載の建具。
【請求項6】
一対の縦枠の上端部の間にわたって上レールを配置し、一対の前記縦枠の上端部のそれぞれと前記上レールの両端部とを接続具により接続して、一対の前記縦枠と前記上レールとにより三方枠状の組立体を組む工程と、
前記組立体を、躯体に形成される開口部の内側に配置する工程と、
一対の前記縦枠のそれぞれを、前記開口部の両側の側縁に固定する工程と、
前記上レールを、前記開口部の上縁に固定する工程と、
前記上レールに、吊車を介して障子を開閉可能に設置する工程と、を備える、建具の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具及び建具の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住居等の建物内の建具として、躯体に設けた開口部の三方の縁である左右の側縁及び上縁に枠体をそれぞれ取り付け、上側の枠体の下面に固定した上レールに、吊車を介して障子を設置する構造が知られている。例えば特許文献1には、天井側の躯体の下面に固定される上枠の溝に上レールを嵌合して固定し、その上レールに、障子を吊り下げる吊車をスライド可能に配置した吊戸が開示されている。躯体の開口部に、左右の縦枠と上枠を組み込んで固定する方法としては、それら枠を予め三方枠に組み、その三方枠を一括して組み込んで固定する枠組み工法がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-148202号公報
【特許文献2】特開平9-287352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記枠組み工法は、高さや幅寸法を正確に出しやすい反面、開口寸法が大きいと重量が大きくなり施工性が低下する。また、上レールを固定する上枠は天井に隠れる構造の場合もあるため、上枠が無駄な不要資材になる場合があった。そこで本開示は、上レールを含む建具を施工するにあたり、軽量化に伴う施工性の向上が図れるとともに資材の削減を図ることができる建具及び建具の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、一対の縦枠と、一対の前記縦枠の上端部の間にわたって配置される上レールと、前記上レールの両端部と一対の前記縦枠の上端部のそれぞれとを接続して、一対の前記縦枠と前記上レールとにより三方枠状の組立体を組む一対の接続具と、躯体に形成される開口部の内側に開閉可能に配置される障子と、前記障子に設けられ前記上レールに配置される吊車と、を備え、前記組立体の一対の前記縦枠が、前記開口部の両側の側縁のそれぞれに固定されるとともに、前記組立体の前記上レールが、前記開口部の上縁に固定される、建具に関する。
【0006】
本開示は、一対の縦枠の上端部の間にわたって上レールを配置し、一対の前記縦枠の上端部のそれぞれと前記上レールの両端部とを接続具により接続して、一対の前記縦枠と前記上レールとにより三方枠状の組立体を組む工程と、前記組立体を、躯体に形成される開口部の内側に配置する工程と、一対の前記縦枠のそれぞれを、前記開口部の両側の側縁に固定する工程と、前記上レールを、前記開口部の上縁に固定する工程と、前記上レールに、吊車を介して障子を開閉可能に設置する工程と、を備える、建具の施工方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】上レールに組み込まれる吊車の取付け構造を示す側断面図である。
【
図5】上レールに組み込まれる吊車の取付け構造を示す正面図である。
【
図6】実施形態に係る三方枠状の組立体が躯体に取り付けられた状態を示す正面図である。
【
図7】実施形態に係る三方枠状の組立体の分解斜視図である。
【
図8】実施形態に係る上レール及びL字金具の斜視図である。
【
図9】上記上レールにL字金具が固定された状態及び縦枠の上端部を示す斜視図である。
【
図10】実施形態に係るスペーサ部材が縦枠の上端部に装着された状態を内側から見た場合の斜視図である。
【
図11】上記スペーサ部材及び縦枠の上端部を内側から見た場合の斜視図である。
【
図12】上記スペーサ部材及び縦枠の上端部を外側から見た場合の斜視図である。
【
図13】実施形態に係る三方枠状の組立体の、縦枠と上レールとの接合部分を示す斜視図である。
【
図14】実施形態に係る三方枠の組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
図1及び
図2は、それぞれ実施形態に係る建具1の正面図、裏面図である。
図3は、
図1のIII-III断面図である。
図1~
図3に示すように、建具1は、躯体2に形成される開口部2Aに設けられる。
【0009】
実施形態に係る建具1は、障子としての折戸10を含む。折戸10は、開口部2Aの内側に折り畳み可能に配置される。開口部2Aは、床3、左右の柱4、まぐさ5により正面視縦長の矩形状に形成される。実施形態の躯体2は、左右の柱4及びまぐさ5を含む。なお、以下でいう左右、上下、前後、といった方向に関する表現は、注釈しない限り、開口部2Aに建具1が設置された状態での方向をいう。
【0010】
開口部2Aの左右の側縁は、上下方向に延在する左右の柱4により形成される。開口部2Aの上縁は、左右方向に延在するまぐさ5により形成される。
【0011】
実施形態に係る建具1は、左右の柱4の見込み面にそれぞれ固定される一対の縦枠20と、まぐさ5の見込み面に固定される上レール30と、上記折戸10と、を備える。
【0012】
折戸10は、左右一対の戸体11、12と、これら戸体11、12を立て折れの状態で折り畳み可能に連結する複数のヒンジ13と、を有する。戸体11、12は、例えば樹脂、ガラス、木等の板状部材で構成されるが、材質はこれらに限定されない。
【0013】
図1に示すように、一方側(
図1で左側)の戸体11には、ハンドル11aが設けられている。このハンドル11aを手前側(
図1で紙面表側)に引っ張ると、折戸10は戸体11、12の連結部が手前側に移動しながら折り畳まれ、戸体11、12が重なって開いた状態となる。
【0014】
図4に示すように、上レール30には、折戸10を上レール30に吊り下げた状態で、上レール30に沿って折り畳み可能とする複数の吊車15が装着される。吊車15は、各戸体11、12に1つずつ設けられる。
【0015】
吊車15は、
図4及び
図5に示すように、ローラ支持部16の両側に2つずつ回転可能に配置されたローラ17と、戸体11、12の上端部にそれぞれ固定される戸体固定部18と、戸体固定部18とローラ支持部16とを連結する回転軸19と、を有する。吊車15は、上レール30内にローラ17が回転可能に挿入され、上レール30に沿って滑走する。各戸体11、12は、回転軸19を軸に回転可能に支持されることにより折り畳み可能である。折戸10は、各戸体11、12が互いに重なって開いた状態で、吊車15を介して上レール30に沿って左右いずれの方向にスライド可能である。なお、戸体11、12の下端部には、床3に設けられる下レール6に装着されて戸体11、12を下側から支持するローラも有するが、ここではそれらの図示を省略する。
【0016】
縦枠20及び上レール30は、例えばアルミニウム等の金属の押出材が用いられる。以下に、
図6に示すように縦枠20及び上レール30を躯体2の開口部2Aに取り付ける施工方法を説明する。なお、
図6は、左右の柱4に縦枠20がそれぞれ固定され、まぐさ5に沿って上レール30が固定された状態を抜粋して示しており、折戸10の図示を省略している。
【0017】
実施形態の施工方法の概要としては、はじめに、一対の縦枠20及び上レール30の3つの部材により三方枠状の組立体40を組み、次いでその組立体40を開口部2Aに固定し、この後、折戸10を吊り込む。
【0018】
図7に示すように、作業フロア上に、一対の縦枠20を互いに平行になるように並べ、これら縦枠20の上端部となる一端側に、上レール30を配置する。上レール30を配置するにあたっては、その両端部に、上レール30を各縦枠20の上端部に接続するための接続具であるL字金具50を装着するが、L字金具50を装着する前に、一対の吊車15を上レール30内に滑走可能に予め配置しておく。
【0019】
図8に、L字金具50及び上レール30を示す。上レール30は長尺な筒状の型材である。上レール30は、まぐさ5に沿ってその見込み面に固定される。上レール30は、まぐさ5に固定される上板部31と、上レール30の幅方向(建具1での前後方向、奥行方向)に離間する一対の側板部32と、各側板部32の下端に設けられる一対の底板部33と、を有する。
【0020】
上レール30の下面であって一対の底板部33の間には、長手方向に延びるスリット34が形成されている。このスリット34に、吊車15の回転軸19が端から挿入され、底板部33の内面をローラ17が転動する。
【0021】
上板部31の上面には、上レール30の長手方向に沿って延びる一対の突条35により、幅方向中央に第1溝部36が形成されている。後述するL字金具50の第1板部51は、この第1溝部36に嵌合する。上板部31の第1溝部36の底部にあたる部分には、長手方向に間隔をおいて複数のねじ挿通孔37が形成されている。上レール30は、それらねじ挿通孔37のうち、最も端のねじ挿通孔37を除く複数のねじ挿通孔37に、内面側から通した図示しないねじをまぐさ5にねじ込んで締結することにより、まぐさ5に固定される。
【0022】
L字金具50は、第1板部51と、第1板部51の一端から略垂直に延びる第2板部52とが一体のL字状の形状を有する金具である。第1板部51はねじ孔51aを有する。第2板部52は、自身の延びる方向に延びる長孔であるねじ挿通孔52aを有する。
【0023】
このL字金具50は、はじめに、第1板部51を上レール30の上板部31に固定する。L字金具50は、上レール30に対し、第1板部51が第1溝部36に嵌合し、かつ、第2板部52が下向きになる状態に組み込まれる。第1板部51が第1溝部36に嵌合することにより、L字金具50の回転が防がれる。そして、上レール30の内部からねじ挿通孔37に通したねじ55を第1板部51のねじ孔51aにねじ込むことにより、第1板部51が上レール30の上板部31に締結されて固定される。上レール30の最も端に位置するねじ挿通孔37にねじ55が挿通される。このようにして、L字金具50を上レール30の両端部に固定する。上レール30の端面とL字金具50の第2板部52との間には、縦枠20の上端部が嵌まり込むスペースが空く。
【0024】
続いて、L字金具50に、縦枠20の上端部を固定する。
図9に、L字金具50及び縦枠20の上端部を示す。
図10は縦枠20の上端部の内側を示す。縦枠20は、柱4に対向する外側の面に第2溝部22を有し、内側の面に第3溝部23を有する。第2溝部22に、L字金具50の第2板部52が嵌合する。縦枠20の第2溝部22の底部にあたる部分には、ねじ孔22aが形成されている。縦枠20には、この他に長手方向に間隔をおいて図示しない複数のねじ挿通孔が形成されている。縦枠20は、これらねじ挿通孔に、内面側から通した図示しないねじを柱4にねじ込んで締結することにより、柱4に固定される。
【0025】
縦枠20の上端には、スペーサ部材60が装着される。スペーサ部材60は、
図10~
図12に示すように、縦枠20の上端部の内面側に配置される内側カバー部61と、内側カバー部61の上端から略垂直に屈曲して延びる上側カバー部65と、を有する断面逆L字状の部材である。内側カバー部61の内面には凹部61aが設けられ、この凹部61aに嵌合片69が嵌合される。上側カバー部65には、左右方向に延びるスリット66が形成されている。このスリット66には、L字金具50の第1板部51が嵌合する。
【0026】
内側カバー部61は、その外面に、縦枠20側すなわち外側に突出する前後一対の係止ピン62を有する。これら係止ピン62を、縦枠20の上端部に設けた係止孔29に挿入することにより、スペーサ部材60は縦枠20の上端部の内側に装着される。この装着状態で、内側カバー部61は縦枠20の第3溝部23に嵌合し、縦枠20の上端部の内側をほぼ覆う。上側カバー部65は縦枠20の上端面をほぼ覆う。また、スリット66は縦枠20の第2溝部22に前後方向で一致する。スペーサ部材60の材質は限定されないが、縦枠20及び上レール30を傷めない樹脂等で構成されると好ましい。
【0027】
L字金具50に縦枠20の上端部を組み込むには、
図13に示すように、上レール30の端面とL字金具50の第2板部52との間に縦枠20の上端部を嵌め込み、縦枠20の第2溝部22にL字金具50の第2板部52を嵌合するとともにスペーサ部材60のスリット66にL字金具50の第1板部51を嵌合する。L字金具50の第1板部51がスペーサ部材60の上端面に当たるまで第2板部52を縦枠20の第2溝部22に差し込み、これにより仮組みの状態とする。
【0028】
これにより、縦枠20の上端部と上レール30との間に、スペーサ部材60が挟まれた状態となる。L字金具50の第1板部51が上レール30の第1溝部36に嵌合し、L字金具50の第2板部52が縦枠20の第2溝部22に嵌合し、この状態で、上レール30と縦枠20との互いの幅方向、すなわち建具1としての見込み方向の位置が定められ、
図14に示す三方枠状の組立体40が組まれる。実施形態でのL字金具50は、縦枠20及び上レール30の外面側に配置される。
【0029】
次に、上記のようにして組んだ組立体40を、
図6に示した躯体2に形成される開口部2Aの内側に配置する。すなわち、一方の縦枠20が一方の柱4の見込み面に対向し、他方の縦枠20が他方の柱4の見込み面に対向し、上レール30がまぐさ5の見込み面に対向するように、組立体40を開口部2Aの内側に配置する。そして、この組立体40の見込み方向の位置を所定の位置に定める。次いで、各縦枠20を開口部2Aの両側の側縁である柱4に固定する。各縦枠20は、長手方向に間隔をおいて形成されている複数のねじ孔22aを通した図示しないねじを柱4にねじ込んで締結することにより、柱4に固定される。また、各縦枠20は、その上方においてねじ孔22a及び第2板部52の長孔のねじ挿通孔52aを通した図示しないねじを柱4にねじ込んで締結される。このとき、必要に応じて縦枠20と柱4との間にかい木を挟む。左右の縦枠20を柱4に固定する作業が完了したら、上レール30を、開口部2Aの上縁であるまぐさ5の下面に固定する。これにより、
図6に示すように縦枠20及び上レール30が躯体2の開口部2Aに取り付けられる。
【0030】
この後、上レール30に配置した吊車15に折戸10の戸体11、12の上端部を装着し、吊車15を介して折戸10を上レール30に開閉可能に吊り込んで、
図1~
図3に示した建具1を得る。
【0031】
以上の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0032】
実施形態に係る建具1は、一対の縦枠20と、一対の縦枠20の上端部の間にわたって配置される上レール30と、上レール30の両端部と一対の縦枠20の上端部のそれぞれとを接続して、一対の縦枠20と上レール30とにより三方枠状の組立体40を組む一対のL字金具50と、躯体2に形成される開口部2Aの内側に開閉可能に配置される折戸10と、折戸10に設けられ上レール30に配置される吊車15と、を備え、組立体40の一対の縦枠20が、開口部2Aの両側の側縁である柱4に固定されるとともに、組立体40の上レール30が、開口部2Aの上縁であるまぐさ5に固定される。
【0033】
実施形態に係る建具1の施工方法は、一対の縦枠20の上端部の間にわたって上レール30を配置し、一対の縦枠20の上端部のそれぞれと上レール30の両端部とをL字金具50により接続して、一対の縦枠20と上レール30とにより三方枠状の組立体40を組む工程と、組立体40を、躯体2に形成される開口部2Aの内側に配置する工程と、一対の縦枠20のそれぞれを、開口部2Aの両側の柱4に固定する工程と、上レール30をまぐさ5に固定する工程と、上レール30に、吊車15を介して折戸10を開閉可能に設置する工程と、を備える。
【0034】
この実施形態によれば、まぐさ5に上枠を固定し、その上枠に上レール30を固定するといった従来構造に替えて、上レール30を直接まぐさ5に固定し、上枠を使用していない。このため、施工するにあたり、上枠を使用する場合と比べて工程が減るので施工性が向上するとともに、資材の削減を図ることができる。一対の縦枠20と上レール30とを三方枠状に組んだ組立体40を開口部2Aに設置して固定するため、縦枠20及び上レール30を高精度に施工できる。
【0035】
実施形態に係る建具1においては、L字金具50の各板部のうちの少なくとも第2板部52は、縦枠20の長手方向に延びる長孔によるねじ挿通孔52aを有し、縦枠20は、ねじ挿通孔52aに挿入されるねじにより躯体2の柱4に固定される。
【0036】
これにより、L字金具50を縦枠20とともに躯体2に共締めの状態で固定することができ、躯体2に固定された状態における組立体40全体の剛性が向上する。
【0037】
実施形態に係る建具1においては、上レール30は、L字金具50の第1板部51が嵌合する第1溝部36を有し、縦枠20は、L字金具50の第2板部52が嵌合する第2溝部22を有し、第1板部51が第1溝部36に嵌合し、第2板部52が第2溝部22に嵌合した状態で、上レール30と縦枠20との互いの見込み方向の位置が定められて組立体40が組まれる。
【0038】
これにより、三方枠状の組立体40における縦枠20と上レール30との見込み方向の位置決めを容易に行うことができ、躯体2の開口部2Aに対し縦枠20及び上レール30を一括して高精度に設置することができる。
【0039】
実施形態に係る建具1においては、縦枠20の上端部と上レール30との間にスペーサ部材60が挟まれることが好ましい。
【0040】
これにより、縦枠20と上レール30とが直接当接しないため、傷つけ合い損傷することが回避される。
【0041】
以上が本開示の実施形態であるが、本開示の建具及びその施工方法は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
【0042】
例えば、上記実施形態では、L字金具50の第2板部52は、縦枠20のねじ孔22a及び第2板部52の長孔のねじ挿通孔52aに通したねじにより、縦枠20とともに柱4に固定される。長孔のねじ挿通孔52aの利用方法としてはこれ以外に、L字金具50によって縦枠20の上端部を上レール30の端部に組み込む際に、以下のように利用してもよい。すなわち、L字金具50に縦枠20の上端部を組み込む際において、縦枠のねじ孔22aをねじ挿通孔52aに合わせ、外側からそのねじ挿通孔52aに通したねじをねじ孔22aに緩くねじ込んで仮固定する。次いで、ねじ挿通孔52aを利用して、L字金具50に対する縦枠20の長手方向位置を調整し、建具1の高さが所定の高さになる位置でねじをねじ孔22aに締め込み、L字金具50の第2板部52を縦枠20に固定する。
【0043】
上記実施形態でのL字金具50は、縦枠20の上端部及び上レール30の端部で形成される角部の外側に配置されるが、L字金具50は当該角部の内側に配置されて両者を接続する形態であってもよい。
【0044】
例えば、本開示の障子としては、上記実施形態のような折戸に限定されず、例えば吊戸式の引戸等、吊車で上レールに吊り込んで支持される形式の障子であってよい。
【0045】
上記実施形態のL字金具50は本開示の接続具の一例であり、接続具としては、上レールの長手方向に沿う第1板部と、第1板部の一端から延び、縦枠の長手方向に沿う第2板部とが一体の形状を有するものであれば、いかなる態様のものであってよい。また、実施形態の上レール30及び縦枠20は、L字金具50の第1板部51及び第2板部52が嵌合する第1溝部36及び第2溝部22を有するが、これら溝部36、22を有しなくてもよい。また、スペーサ部材60は必要に応じて設けられるものであり、必須構成ではない。
【符号の説明】
【0046】
1…建具、2…躯体2、2A…開口部、4…柱(開口部の側縁)、5…まぐさ(開口部の上縁)、10…折戸(障子)、15…吊車、20…縦枠、22…第2溝部、30…上レール、36…第1溝部、40…組立体、50…L字金具(接続具)、51…第1板部、52…第2板部、60…スペーサ部材。