(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131371
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】半導体装置、および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/48 20060101AFI20240920BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20240920BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L23/48 F
H01L23/28 A
H01L21/60 321E
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041589
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ウィボウオゥ ケルビン
【テーマコード(参考)】
4M109
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA01
4M109DA03
4M109EA02
4M109FA05
(57)【要約】
【課題】 配線基板に対する装置の接合強度の向上を図ることが可能な半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 半導体装置A10は、第1端子21と、第1端子21に導通する半導体素子10と、半導体素子10を覆う封止樹脂30と、第1端子21の一部を覆うとともに、導電性を有する保護層40とを備える。第1端子21は、少なくとも一部が封止樹脂30に覆われた第1インナ部211と、第1インナ部211につながり、かつ封止樹脂30から突出する第1アウタ部212とを有する。保護層40は、第1アウタ部212の少なくとも一部を覆っている。第1アウタ部212は、第1方向xを向く第1端面212Aを有する。保護層40は、第1端面212Aの全体を覆っている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子と、
前記第1端子に導通する半導体素子と、
前記半導体素子を覆う封止樹脂と、
前記第1端子の一部を覆うとともに、導電性を有する保護層と、を備え、
前記第1端子は、少なくとも一部が前記封止樹脂に覆われた第1インナ部と、前記第1インナ部につながり、かつ前記封止樹脂から突出する第1アウタ部と、を有し、
前記保護層は、前記第1アウタ部の少なくとも一部を覆っており、
前記第1アウタ部は、第1方向を向く第1端面を有し、
前記保護層は、前記第1端面の全体を覆っている、半導体装置。
【請求項2】
前記封止樹脂は、前記第1方向を向く第1側面を有し、
前記第1アウタ部は、前記第1側面から突出している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体素子に導通する第2端子をさらに備え、
前記封止樹脂は、前記第1方向において前記第1側面とは反対側を向く第2側面を有し、
前記第2端子は、前記封止樹脂に覆われた第2インナ部と、前記第2インナ部につながり、かつ前記第2側面から突出する第2アウタ部と、を有し、
前記保護層は、前記第2アウタ部の少なくとも一部を覆っており、
前記第2アウタ部は、前記第1方向において前記第1端面とは反対側を向く第2端面を有し、
前記保護層は、前記第2端面の全体を覆っている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記封止樹脂は、前記第1方向に対して直交する第2方向において互いに反対側を向く第3側面および第4側面を有し、
前記第1端子および前記第2端子の各々は、前記第3側面および前記第4側面の各々から離れている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体素子は、前記第1方向および前記第2方向の各々に対して直交する第3方向において互いに反対側に位置する第1電極および第2電極を有し、
前記第1電極は、前記第1インナ部に導電接合されており、
前記第2電極は、前記第2インナ部に導電接合されている、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記封止樹脂には、前記第3側面から凹む第1凹部が形成されている、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記封止樹脂には、前記第4側面から凹む第2凹部が形成されており、
前記第2方向に視て、前記第2凹部は、前記第1凹部に重なっている、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1凹部は、前記第1方向において互いに離れた第1部および第2部を含み、
前記第2凹部は、前記第1方向において互いに離れた第3部および第4部を含み、
前記第2方向に視て、前記第1部および前記第3部の各々は、前記第1インナ部に重なっている、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
各々が前記封止樹脂に収容された第1支持ピンおよび第2支持ピンをさらに備え、
前記第1支持ピンは、前記第1端子および前記第2端子の各々から離れているとともに、前記第3側面から外部に露出しており、
前記第2支持ピンは、前記第1端子および前記第2端子の各々から離れているとともに、前記第4側面から外部に露出している、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1端子は、前記第1インナ部につながり、かつ前記封止樹脂に収容された第1吊部を有し、
前記第1吊部は、前記第3側面から外部に露出している、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1端子は、前記第1インナ部につながり、かつ前記封止樹脂に収容された第2吊部を有し、
前記第2吊部は、前記第2方向において前記第1インナ部を基準として前記第1吊部とは反対側に位置しており、
前記第2吊部は、前記第4側面から外部に露出している、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2アウタ部には、前記第2方向において互いに反対側を向く2つの切断面が形成されており、
前記第2インナ部は、前記第2電極に対向する接合面を有し、
前記2つの切断面の各々の表面粗さは、前記接合面の表面粗さよりも大きい、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1端面は、前記第1方向において前記第1側面とは反対側を向いており、
前記第1インナ部の全体は、前記封止樹脂に覆われている、請求項6ないし12のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1端面は、前記第1方向において前記第1側面とは同じ側を向く、請求項7または8のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1インナ部は、前記第3方向において互いに反対側を向く搭載面および実装面を有し、
前記第1電極は、前記搭載面に導電接合されており、
前記実装面は、前記封止樹脂から露出している、請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記封止樹脂は、前記第3方向において前記実装面と同じ側を向く底面を有し、
前記第1凹部および前記第2凹部の各々は、前記底面から凹んでいる、請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
第1方向において互いに離れた第1端子および第2端子と、前記第1端子および前記第2端子の各々を支持する枠体と、を有するリードフレームにおいて、前記第1端子に半導体素子を導電接合する工程と、
前記半導体素子に前記第2端子を導電接合する工程と、
前記第1端子および前記第2端子の各々の一部と、前記半導体素子と、を覆う封止樹脂を形成する工程と、
前記枠体から前記第1端子の前記第1方向の一方側を切り離す工程と、
前記封止樹脂から露出する前記第1端子および前記第2端子の各々の部分を覆う保護層を形成する工程と、を備え、
前記リードフレームは、前記第1方向に対して直交する第2方向において前記枠体から突出する支持部を有し、
前記封止樹脂を形成する工程では、前記支持部を覆うように前記封止樹脂が形成され、
前記保護層を形成する工程は、前記枠体から前記第1端子の前記第1方向の一方側を切り離す工程の後に行われる、半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記リードフレームは、前記第2端子の前記第2方向の両側に個別に位置する2つの連結部を有し、
前記2つの連結部の各々は、前記枠体と前記第2端子とを連結しており、
前記第2端子を導電接合する工程では、前記2つの連結部に連結された状態で前記第2端子を前記第2方向の回りに反転させる、請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1リードおよび第2リードと、第1リードおよび第2リードに導電接合された半導体素子と、半導体素子を覆う封止樹脂とを具備する半導体装置の一例が開示されている。第2リードは、半導体素子を搭載している。第1リードおよび第2リードの各々の一部は、封止樹脂から露出している。封止樹脂から露出する第1リードおよび第2リードの各々の部分は、外装めっき層により覆われている。外装めっき層は、錫を含む。これにより、当該半導体装置を配線基板に実装する際、封止樹脂から露出する第1リードおよび第2リードの各々の部分に対してハンダがなじみやすくなる。これにより、ハンダに対する第1リードおよび第2リードの各々の接触面積の拡大を図ることができる。
【0003】
しかし、特許文献1に開示されている半導体装置においては、封止樹脂から露出する第1リードおよび第2リードの各々の第1方向を向く端面は、外装めっき層に覆われていない。このため、当該半導体装置を配線基板に実装する際、第1リードおよび第2リードの各々の端面にハンダが這い上がりにくくなる。したがって、当該半導体装置においては、ハンダに対する第1リードおよび第2リードの各々の接触面積のさらなる拡大を図ることが困難となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は先述の事情に鑑み、配線基板に対する装置の接合強度の向上を図ることが可能な半導体装置およびその製造方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の側面によって提供される半導体装置は、第1端子と、前記第1端子に導通する半導体素子と、前記半導体素子を覆う封止樹脂と、前記第1端子の一部を覆うとともに、導電性を有する保護層とを備える。前記第1端子は、少なくとも一部が前記封止樹脂に覆われた第1インナ部と、前記第1インナ部につながり、かつ前記封止樹脂から突出する第1アウタ部とを有する。前記保護層は、前記第1アウタ部の少なくとも一部を覆っている。前記第1アウタ部は、第1方向を向く第1端面を有する。前記保護層は、前記第1端面の全体を覆っている。
【0007】
本開示の第2の側面によって提供される半導体装置の製造方法は、第1方向において互いに離れた第1端子および第2端子と、前記第1端子および前記第2端子の各々を支持する枠体と、を有するリードフレームにおいて、前記第1端子に半導体素子を導電接合する工程と、前記半導体素子に前記第2端子を導電接合する工程と、前記第1端子および前記第2端子の各々の一部と、前記半導体素子と、を覆う封止樹脂を形成する工程と、前記枠体から前記第1端子の前記第1方向の一方側を切り離す工程と、前記封止樹脂から露出する前記第1端子および前記第2端子の各々の部分を覆う保護層を形成する工程と、を備える。前記リードフレームは、前記第1方向に対して直交する第2方向において前記枠体から突出する支持部を有する。前記封止樹脂を形成する工程では、前記支持部を覆うように前記封止樹脂が形成される。前記保護層を形成する工程は、前記枠体から前記第1端子の前記第1方向の一方側を切り離す工程の後に行われる。
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかる半導体装置が具備する構成によれば、配線基板に対する当該半導体装置の接合強度の向上を図ることが可能となる。
【0009】
本開示のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に対応する平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図8】
図8は、
図1のVIII-VIII線に沿う断面図である。
【
図9】
図9は、
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する平面図である。
【
図18】
図18は、本開示の第2実施形態にかかる半導体装置の平面図である。
【
図23】
図23は、本開示の第3実施形態にかかる半導体装置の平面図である。
【
図30】
図30は、本開示の第4実施形態にかかる半導体装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0012】
〔第1実施形態〕
図1~
図8に基づき、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置A10について説明する。半導体装置A10は、半導体素子10、第1端子21、第2端子22、封止樹脂30および保護層40を備える。半導体装置A10は、配線基板に対して表面実装される樹脂パッケージ形式によるものである。ここで、
図2は、理解の便宜上、封止樹脂30を透過している。
図2では、封止樹脂30を想像線(二点鎖線)で示している。
【0013】
半導体装置A10の説明においては、便宜上、後述する封止樹脂30の第1側面33および第2側面34の各々が向く方向を「第1方向x」と呼ぶ。第1方向xに対して直交する方向を「第2方向y」と呼ぶ。第1方向xおよび第2方向yの双方に対して直交する方向を「第3方向z」と呼ぶ。第3方向zは、後述する第1端子21の第1インナ部211の搭載面211Aの法線方向に相当する。
【0014】
封止樹脂30は、
図6および
図8に示すように、半導体素子10と、第1端子21および第2端子22の各々の一部とを覆っている。封止樹脂30は、電気絶縁性を有する。封止樹脂30は、たとえば黒色のエポキシ樹脂を含む材料からなる。
図3~
図5に示すように、封止樹脂30は、頂面31、底面32、第1側面33、第2側面34、第3側面35および第4側面36を有する。
【0015】
図8に示すように、頂面31は、第3方向zにおいて後述する第1端子21の第1インナ部211の搭載面211Aと同じ側を向く。底面32は、第3方向zにおいて頂面31とは反対側を向く。
【0016】
図1、
図3および
図4に示すように、第1側面33および第2側面34は、第1方向xにおいて互いに反対側を向く。
図1および
図5に示すように、第3側面35および第4側面36は、第2方向yにおいて互いに反対側を向く。第1側面33、第2側面34、第3側面35および第4側面36の各々は、頂面31および底面32につながっている。
【0017】
半導体素子10は、
図6および
図8に示すように、第1端子21に搭載されている。半導体素子10は、第1端子21および第2端子22の各々に導通している。半導体装置A10においては、半導体素子10は、ショットキーバリアダイオードである。この他、半導体素子10は、ショットキーバリアダイオード以外のダイオード、あるいはトランジスタなど、種々の素子を採ることができる。
【0018】
半導体素子10は、第1電極11および第2電極12を有する。第1電極11および第2電極12は、第3方向zにおいて互いに反対側に位置する。第1電極11は、第1端子21に導通している。第2電極12は、第2端子22に導通している。第1端子21は、カソードである。第2端子22は、アノードである。第2電極12は、たとえば、アルミニウム(Al)層の上にニッケル(Ni)層、パラジウム(Pd)層の順に積層されたものである。半導体装置A10においては、半導体素子10を構成する半導体層と、第2電極12との間に金属薄膜が介在することによって、ショットキー障壁が形成されている。当該金属薄膜は、たとえば、モリブデン(Mo)またはチタン(Ti)からなる。
【0019】
第1端子21および第2端子22の各々は、半導体素子10と、半導体装置A10が実装される配線基板との導電経路をなしている。第1端子21および第2端子22は、同一のリードフレーム80(詳細は後述)から得られる。第1端子21および第2端子22の各々は、銅(Cu)を含む。
【0020】
第1端子21は、
図1に示すように、封止樹脂30の第3側面35および第4側面36の各々から離れている。
図1、
図2および
図8に示すように、第1端子21は、第1インナ部211および第1アウタ部212を有する。第1インナ部211の少なくとも一部は、封止樹脂30に覆われている。半導体装置A10においては、第1インナ部211の全体が封止樹脂30に覆われている。第1インナ部211は、第3方向zを向く搭載面211Aを有する。搭載面211Aは、半導体素子10の第1電極11に対向している。第1電極11は、接合層19を介して搭載面211Aに導電接合されている。接合層19は、たとえばハンダである。これにより、第1電極11は、第1端子21に導通している。第1アウタ部212は、第1インナ部211につながっている。第1アウタ部212は、封止樹脂30の第1側面33から突出している。半導体装置A10においては、第1アウタ部212は、封止樹脂30の第1側面33および底面32に沿うように第2方向yの回りの曲げ加工が施されている。第1アウタ部212は、第1方向xを向く第1端面212Aを有する。第1端面212Aは、第1方向xにおいて第1側面33とは反対側を向く。
【0021】
図2および
図8に示すように、第1インナ部211には、溝部215が形成されている。溝部215は、第1インナ部211の搭載面211Aから第3方向zに凹んでいる。溝部215は、第2方向yに延びている。第3方向zに視て、溝部215は、半導体素子10から離れている。封止樹脂30の一部は、溝部215に入り込んでいる。
【0022】
第2端子22は、
図1に示すように、封止樹脂30の第3側面35および第4側面36の各々から離れている。
図1、
図2および
図8に示すように、第2端子22は、第2インナ部221および第2アウタ部222を有する。第2インナ部221は、封止樹脂30に覆われている。第2インナ部221は、第3方向zを向く接合面221Aを有する。接合面221Aは、半導体素子10の第2電極12に対向している。接合面221Aは、接合層19を介して第2電極12に導電接合されている。これにより、第2電極12は、第2端子22に導通している。
【0023】
第2アウタ部222は、第2インナ部221につながっている。第2アウタ部222は、封止樹脂30の第2側面34から突出している。半導体装置A10においては、第2アウタ部222は、封止樹脂30の第2側面34および底面32に沿うように第2方向yの回りの曲げ加工が施されている。第2アウタ部222は、第1方向xを向く第2端面222Aを有する。第2端面222Aは、第1方向xにおいて第2側面34とは反対側を向く。さらに第2端面222Aは、第1方向xにおいて第1端子21の第1アウタ部212の第1端面212Aとは反対側を向く。
【0024】
図1、
図3および
図7に示すように、封止樹脂30には、第3側面35から凹む第1凹部37が形成されている。第1凹部37は、第1方向xにおいて互いに離れた第1部371および第2部372を含む。第2方向yに視て、第1部371は、第1端子21の第1インナ部211に重なっている。第2部372は、第2端子22の第2インナ部221に重なっている。
【0025】
図1、
図4および
図7に示すように、封止樹脂30には、第4側面36から凹む第2凹部38が形成されている。第2方向yに視て、第2凹部38は、第1凹部37に重なっている。第2凹部38は、第1方向xにおいて互いに離れた第3部381および第4部382を含む。第2方向yに視て、第3部381は、第1端子21の第1インナ部211に重なっている。第4部382は、第2端子22の第2インナ部221に重なっている。
【0026】
保護層40は、第1端子21および第2端子22の各々の一部を覆っている。保護層40は、導電性を有する。保護層40は、たとえば錫(Sn)を含む金属である。保護層40は、第1端子21の第1アウタ部212の少なくとも一部と、第2端子22の第2アウタ部222の少なくとも一部とを覆っている。保護層40は、第1アウタ部212の第1端面212Aの全体と、第2アウタ部222の第2端面222Aの全体とを覆っている。半導体装置A10においては、保護層40は、第1アウタ部212および第2アウタ部222の各々の全体を覆っている。
【0027】
次に、
図9~
図17に基づき、半導体装置A10の製造方法の一例について説明する。ここで、
図17の断面位置は、
図8の断面位置と同一である。
【0028】
最初に、
図9および
図10に示すように、枠体81、第1端子82および第2端子83を有するリードフレーム80において、第1端子82に半導体素子10の第1電極11を導電接合する。第1端子82および第2端子83は、第1方向xにおいて互いに離れている。第1端子82は、第1端子21を含む要素である。第2端子83は、第2端子22を含む要素である。枠体81は、複数のタイバー、および複数のセクションバーを含むとともに、第1端子82および第2端子83の各々を支持する。半導体素子10の第1電極11は、接合層19を介したダイボンディングにより第1端子82に導電接合される。
【0029】
次いで、
図11および
図12に示すように、半導体素子10の第2電極12に第2端子83を導電接合する。ここで、リードフレーム80は、2つの連結部85を有する。2つの連結部85は、第2端子83の第2方向yの両側に個別に位置する。2つの連結部85の各々は、枠体81と第2端子83とを連結している。本工程では、第2電極12に接合層19を塗布した後、第2端子83が2つの連結部85に連結された状態を保持したまま、第2端子83を第2方向yの回りに反転させる。この際、第2方向yに延びる軸Nを回転中心として第2端子83を反転させる。これにより、2つの連結部85の各々には、ねじれが発生する。しかし、2つの連結部85は、枠体81と第2端子83とを連結する状態を保持する。
【0030】
次いで、
図13および
図14に示すように、第1端子82および第2端子83の各々の一部と、半導体素子10とを覆う封止樹脂30を形成する。封止樹脂30は、トランスファモールド成形により形成される。ここで、リードフレーム80は、第2方向yにおいてリードフレーム80から突出する複数の支持部84を有する。複数の支持部84の各々は、第1端子82および第2端子83の各々から離れている。本工程では、複数の支持部84の各々を覆うように封止樹脂30が形成される。これにより、封止樹脂30は、複数の支持部84に支持された構成をとる。
【0031】
次いで、
図15および
図16に示すように、枠体81から第1端子82の第1方向xの一方側を切り離す。本製造工程においては、第1端子82および第2端子83の各々の全体を枠体81から切り離す。このうち第2端子83は、2つの連結部85の各々を切断することにより枠体81から切り離される。この際、封止樹脂30から外部に露出する第1端子82および第2端子83の各々は、押し抜き加工などにより所定の形状に成形される。本工程を経ることにより、第1端子82には、第1方向xを向く第1端面82Aが現れる。第1端面82Aは、第1端子21の第1アウタ部212の第1端面212Aに相当する。あわせて第2端子83には、第1方向xにおいて第1端面82Aとは反対側を向く第2端面83Aが現れる。第2端面83Aは、第2端子22の第2アウタ部222の第2端面222Aに相当する。
【0032】
次いで、
図17に示すように、封止樹脂30から露出する第1端子82および第2端子83の各々の部分を覆う保護層40を形成する。保護層40は、錫を含む溶融した金属に第1端子82および第2端子83の各々を浸漬することにより形成される。この他、保護層40は、無電解めっきや、金属粒子を吹き付ける方法(ただし、電解めっきを除く。)などにより形成することができる。これにより本工程では、第1端面82Aおよび第2端面83Aの各々の全体が保護層40に覆われる。保護層40を形成した後、封止樹脂30から露出する第1端子82および第2端子83の各々の部分に折り曲げ加工を施す。最後に、封止樹脂30から複数の支持部84を引き抜くことにより、半導体装置A10を得ることができる。半導体装置A10において、封止樹脂30に形成された第1凹部37および第2凹部38の各々は、封止樹脂30から複数の支持部84を引き抜いた際に現れる痕跡である。
【0033】
次に、半導体装置A10の作用効果について説明する。
【0034】
半導体装置A10は、第1端子21、半導体素子10、封止樹脂30および保護層40を備える。第1端子21は、第1インナ部211および第1アウタ部212を有する。保護層40は、第1アウタ部212の少なくとも一部を覆っている。第1アウタ部212は、第1方向xを向く第1端面212Aを有する。保護層40は、第1端面212Aの全体を覆っている。本構成をとることにより、半導体装置A10を配線基板に表面実装する際、ハンダが第1端面212Aに這い上がるため、ハンダに対する第1アウタ部212の接触面積がより増加する。したがって、本構成によれば、半導体装置A10においては、配線基板に対する半導体装置A10の接合強度の向上を図ることが可能となる。
【0035】
第1アウタ部212の第1端面212Aにハンダが這い上がることにより、第1アウタ部212を覆うハンダの状態がより視認しやすくなる。これにより、配線基板に対する半導体装置A10の実装状態を外観目視によって確認することが可能となる。
【0036】
半導体装置A10は、半導体素子10に導通する第2端子22をさらに備える。第2端子22は、第2インナ部221および第2アウタ部222を有する。保護層40は、第2アウタ部222の少なくとも一部を覆っている。第2アウタ部222は、第1方向xを向く第2端面222Aを有する。保護層40は、第2端面222Aの全体を覆っている。本構成をとることにより、半導体装置A10を配線基板に表面実装する際、ハンダが第2端面222Aに這い上がるため、ハンダに対する第2アウタ部222の接触面積がより増加する。これにより、配線基板に対する半導体装置A10の接合強度をさらに向上させることができる。
【0037】
第1端子21の第1アウタ部212は、封止樹脂30の第1側面33から突出している。第2端子22の第2アウタ部222は、封止樹脂30の第2側面34から突出している。この場合において、第1端子21および第2端子22の各々は、封止樹脂30の第3側面35および第4側面36の各々から離れている。本構成をとることにより、第1端子21から第2端子22に至る封止樹脂30の表面に沿った沿面距離の縮小を抑制できる。これにより、半導体装置A10の低下を抑制することが可能となる。
【0038】
封止樹脂30には、第3側面35から凹む第1凹部37と、第4側面36から凹む第2凹部38とが形成されている。第2方向yに視て、第2凹部38は、第1凹部37に重なっている。ここで、第1凹部37および第2凹部38の各々は、半導体装置A10の製造工程において、
図17に示す保護層40を形成する工程の後に封止樹脂30からリードフレーム80の支持部84を引き抜く際に現れる痕跡である。したがって、本構成をとることにより、半導体装置A10の製造工程において第1端子82および第2端子83の各々の全体をリードフレーム80の枠体81から切り離した場合(
図15および
図16参照)であっても、支持部84を介して封止樹脂30を枠体81に支持させることができる。さらに、半導体装置A10においては、第3側面35および第4側面36の各々から露出する支持部84が残存しないため、半導体装置A10の絶縁耐圧の低下をより効果的に抑制できる。
【0039】
第1凹部37は、第1方向xにおいて互いに離れた第1部371および第2部372を含む。第2凹部38は、第1方向xにおいて互いに離れた第3部381および第4部382を含む。第2方向yに視て、第1部371および第3部381の各々は、第1端子21の第1インナ部211に重なっている。本構成をとることにより、半導体装置A10の製造工程において第1端子82および第2端子83の各々の全体をリードフレーム80の枠体81から切り離した場合であっても、支持部84を介して封止樹脂30を枠体81により安定した状態で支持させることができる。この理由は、本構成をとることにより、第1端子82の重心から支持部84に至る距離の過度な拡大が抑制されるためである。
【0040】
〔第2実施形態〕
図18~
図22に基づき、本開示の第2実施形態にかかる半導体装置A20について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図19は、理解の便宜上、封止樹脂30を透過している。
図19では、透過した封止樹脂30を想像線で示している。
【0041】
半導体装置A20においては、2つの第1支持ピン51、および2つの第2支持ピン52をさらに備えることが、半導体装置A10の場合と異なる。
【0042】
図18および
図22に示すように、2つの第1支持ピン51、および2つの第2支持ピン52の各々は、封止樹脂30に収容されている。2つの第1支持ピン51、および2つの第2支持ピン52の各々は、第1端子21および第2端子22とともに同一のリードフレーム80(
図9参照)から得られる。2つの第1支持ピン51、および2つの第2支持ピン52の各々は、銅を含む。
【0043】
図19に示すように、2つの第1支持ピン51は、第1端子21および第2端子22の各々から離れているとともに、第1方向xにおいて互いに離れている。
図20に示すように、2つの第1支持ピン51の各々は、封止樹脂30の第3側面35から外部に露出している。第3方向zに視て、2つの第1支持ピン51の各々において、第2方向yにおいて第3側面35から露出する部位とは反対側に位置する部位は、第1方向xに拡張された形状をなす。2つの第1支持ピン51は、
図9に示すリードフレーム80の複数の支持部84のいずれかに相当する。半導体装置A20の製造にあたっては、
図17に示す工程においてリードフレーム80の枠体81から2つの第1支持ピン51の各々を切り離す。
【0044】
図19に示すように、2つの第2支持ピン52は、第1端子21および第2端子22の各々から離れているとともに、第1方向xにおいて互いに離れている。2つの第2支持ピン52は、第2方向yにおいて第1端子21および第2端子22を基準として2つの第1支持ピン51とは反対側に位置する。2つの第2支持ピン52の各々は、封止樹脂30の第4側面36から外部に露出している。第3方向zに視て、2つの第2支持ピン52の各々において、第2方向yにおいて第4側面36から露出する部位とは反対側に位置する部位は、第1方向xに拡張された形状をなす。2つの第2支持ピン52は、
図9に示すリードフレーム80の複数の支持部84のいずれかに相当する。半導体装置A20の製造にあたっては、
図17に示す工程においてリードフレーム80の枠体81から2つの第2支持ピン52の各々を切り離す。
【0045】
次に、半導体装置A20の作用効果について説明する。
【0046】
半導体装置A20は、第1端子21、半導体素子10、封止樹脂30および保護層40を備える。第1端子21は、第1インナ部211および第1アウタ部212を有する。保護層40は、第1アウタ部212の少なくとも一部を覆っている。第1アウタ部212は、第1方向xを向く第1端面212Aを有する。保護層40は、第1端面212Aの全体を覆っている。したがって、本構成によれば、半導体装置A20においても、配線基板に対する半導体装置A20の接合強度の向上を図ることが可能となる。さらに半導体装置A20においては、半導体装置A10と共通する構成を具備することにより、半導体装置A10と同等の作用効果を奏する。
【0047】
半導体装置A20は、各々が封止樹脂30に収容された第1支持ピン51および第2支持ピン52をさらに備える。第1支持ピン51は、第1端子21および第2端子22から離れているとともに、封止樹脂30の第3側面35から外部に露出している。第2支持ピン52は、第1端子21および第2端子22から離れているとともに、封止樹脂30の第4側面36から外部に露出している。ここで、第1支持ピン51および第2支持ピン52の各々は、
図9に示すリードフレーム80の支持部84に相当する。本構成をとることにより、半導体装置A20の製造工程において第1端子82および第2端子83の各々の全体をリードフレーム80の枠体81から切り離した場合(
図15および
図16参照)であっても、支持部84を介して封止樹脂30を枠体81に支持させることができる。さらに、第1支持ピン51および第2支持ピン52の各々が第1端子21および第2端子22の各々から離れているため、半導体装置A20の絶縁耐圧の低下を抑制できる。
【0048】
第3方向zに視て、第1支持ピン51および第2支持ピン52の各々において、第2方向yにおいて封止樹脂30から露出する部位とは反対側に位置する部位は、第1方向xに拡張された形状をなす。本構成をとることにより、半導体装置A20の製造工程において第1端子82および第2端子83の各々の全体をリードフレーム80の枠体81から切り離す際(
図15および
図16参照)、枠体81から封止樹脂30が脱落することをより確実に防止できる。
【0049】
〔第3実施形態〕
図23~
図27に基づき、本開示の第3実施形態にかかる半導体装置A30について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図24は、理解の便宜上、封止樹脂30を透過している。
図24では、透過した封止樹脂30を想像線で示している。
【0050】
半導体装置A30においては、第1端子21、第2端子22および封止樹脂30の構成が、半導体装置A10の当該構成と異なる。
【0051】
図23、
図24および
図27に示すように、第1端子21は、第1吊部213および第2吊部214を有する。第1吊部213および第2吊部214の各々は、封止樹脂30に収容されている。
【0052】
図24に示すように、第1吊部213は、第1端子21の第1インナ部211の第2方向yの一方側につながっている。第1吊部213は、第2方向yに延びている。
図25に示すように、第1吊部213は、封止樹脂30の第3側面35から外部に露出している。第1吊部213は、
図9に示すリードフレーム80の複数の支持部84のいずれかに相当する。半導体装置A30の製造にあたっては、
図17に示す工程においてリードフレーム80の枠体81から第1吊部213を切り離す。
【0053】
図24に示すように、第2吊部214は、第2方向yにおいて第1端子21の第1インナ部211を基準として第1吊部213とは反対側に位置するとともに、第1インナ部211につながっている。第2吊部214は、第2方向yに延びている。
図26に示すように、第2吊部214は、封止樹脂30の第4側面36から外部に露出している。第2吊部214は、
図9に示すリードフレーム80の複数の支持部84のいずれかに相当する。半導体装置A30の製造にあたっては、
図17に示す工程においてリードフレーム80の枠体81から第2吊部214を切り離す。
【0054】
図23~
図26に示すように、第2端子22の第2アウタ部222には、第2方向yにおいて互いに反対側を向く2つの切断面222Bが形成されている。2つの切断面222Bの各々は、保護層40から外部に露出している。2つの切断面222Bの各々の表面粗さは、第2端子22の第2インナ部221の接合面221Aの表面粗さよりも大きい。
【0055】
半導体装置A30においては、封止樹脂30には、第1凹部37および第2凹部38の各々が形成されていない。
【0056】
次に、
図28および
図29に基づき、半導体装置A30の製造方法の一例のうち、半導体装置A10の製造方法の一例とは異なる点について説明する。
【0057】
半導体装置A30の製造方法においては、リードフレーム80の構成が半導体装置A10の製造方法にかかる当該構成と異なる。
図28および
図29に示すように、複数の支持部84の各々は、第1端子82につながっている。
【0058】
図28は、封止樹脂30を形成する工程を説明する図であり、半導体装置A10の製造工程を説明する
図13に対応している。半導体装置A30の製造にあたっては、
図28に示す工程の前工程までに、第2端子83に第2端面83Aが現れるようにする。
【0059】
図29は、リードフレーム80の枠体81から第1端子82の第1方向xの一方側を切り離す工程を説明する図であり、半導体装置A10の製造工程を説明する
図15に対応している。本工程を経るにより、第1端子82に第1端面82Aが現れる。
図29に示す工程では、第1端子82は、複数の支持部84を介してリードフレーム80の枠体81に支持される。第2端子83は、2つの連結部85を介して枠体81に支持される。したがって、
図29に示す工程では、半導体装置A10の製造工程と異なり、第1端子82および第2端子83の各々の全体が枠体81から切り離されない状態をとる。
【0060】
次に、半導体装置A30の作用効果について説明する。
【0061】
半導体装置A30は、第1端子21、半導体素子10、封止樹脂30および保護層40を備える。第1端子21は、第1インナ部211および第1アウタ部212を有する。保護層40は、第1アウタ部212の少なくとも一部を覆っている。第1アウタ部212は、第1方向xを向く第1端面212Aを有する。保護層40は、第1端面212Aの全体を覆っている。したがって、本構成によれば、半導体装置A30においても、配線基板に対する半導体装置A30の接合強度の向上を図ることが可能となる。さらに半導体装置A30においては、半導体装置A10と共通する構成を具備することにより、半導体装置A10と同等の作用効果を奏する。
【0062】
半導体装置A30においては、第1端子21は、第1吊部213および第2吊部214を有する。第1吊部213は、第1インナ部211につながり、かつ封止樹脂30の第3側面35から外部に露出している。第2吊部214は、第1インナ部211につながり、かつ封止樹脂30の第4側面36から外部に露出している。ここで、第1吊部213および第2吊部214の各々は、
図9に示すリードフレーム80の支持部84に相当する。本構成をとることにより、半導体装置A30の製造工程において第1端子82の一部がリードフレーム80の枠体81から切り離された場合(
図29参照)であっても、支持部84を介して封止樹脂30を枠体81に支持させることができる。さらに、半導体装置A30の製造工程のうち保護層40を形成する工程において、枠体81および支持部84を導電経路とした電解めっきにより、封止樹脂30から露出する第1端子82の部分の全体(第1端面82Aの全体を含む。)を覆う保護層40を形成することができる。
【0063】
半導体装置A30の製造工程のうちリードフレーム80の枠体81から第1端子82の一部を切り離す工程(
図29参照)において、2つの連結部85を介して第2端子83を枠体81に支持させた状態のまま保護層40を形成してもよい。本手法を採ることにより、枠体81、および2つの連結部85を導電経路とした電解めっきにより封止樹脂30から露出する第2端子83の部分の全体(第2端面83Aの全体を含む。ただし、第2端子83と2つの連結部85との界面を除く。)を覆う保護層40を形成することができる。ここで、半導体装置A30において、第2端子22の第2アウタ部222に形成される2つの切断面222Bは、電解めっきにより第2端子83を覆う保護層40を形成した後、2つの連結部85を切断することにより得られる痕跡である。
【0064】
〔第4実施形態〕
図30~
図36に基づき、本開示の第4実施形態にかかる半導体装置A40について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図31は、理解の便宜上、封止樹脂30を透過している。
図31では、透過した封止樹脂30を想像線で示している。
【0065】
半導体装置A40においては、第1端子21、第2端子22および封止樹脂30の構成が、半導体装置A10の当該構成と異なる。さらに半導体装置A40においては、半導体素子10の形状が、半導体装置A10が具備する半導体素子10の形状と異なる。
【0066】
図35および
図36に示すように、第1端子21の第1インナ部211は、実装面211Bを有する。実装面211Bは、第3方向zにおいて搭載面211Aとは反対側を向く実装面211Bを有する。
図34に示すように、実装面211Bは、封止樹脂30の底面32から露出している。実装面211Bは、保護層40に覆われている。
【0067】
図31、
図35および
図36に示すように、第1端子21は、庇部216を有する。庇部216は、第1端子21の第1インナ部211の搭載面211Aと面一である。庇部216の第3方向zの寸法は、第1インナ部211の第3方向zの寸法よりも小さい。庇部216は、第3方向zの両側から封止樹脂30に挟まれている。
【0068】
図34に示すように、第1端子21の第1アウタ部212の第1端面212Aは、第1方向xにおいて封止樹脂30の第1側面33と同じ側を向く。第1端子21の第1アウタ部212は、半導体装置A10の場合と異なり、第2方向yの回りの曲げ加工が施されていない。
【0069】
図34に示すように、第2端子22の第2インナ部221は、封止樹脂30の底面32から露出している。底面32から露出する第2インナ部221の部分は、保護層40に覆われている。
【0070】
図34に示すように、第2端子22の第2アウタ部222の第2端面222Aは、第1方向xにおいて封止樹脂30の第2側面34と同じ側を向く。第2端子22の第2アウタ部222は、半導体装置A10の場合と異なり、第2方向yの回りの曲げ加工が施されていない。
【0071】
図32、
図34および
図35に示すように、第1凹部37は、封止樹脂30の底面32および第3側面35の各々から凹んでいる。
図33~
図35に示すように、第2凹部38は、底面32、および封止樹脂30の第4側面36の各々から凹んでいる。
【0072】
次に、半導体装置A40の作用効果について説明する。
【0073】
半導体装置A40は、第1端子21、半導体素子10、封止樹脂30および保護層40を備える。第1端子21は、第1インナ部211および第1アウタ部212を有する。保護層40は、第1アウタ部212の少なくとも一部を覆っている。第1アウタ部212は、第1方向xを向く第1端面212Aを有する。保護層40は、第1端面212Aの全体を覆っている。したがって、本構成によれば、半導体装置A40においても、配線基板に対する半導体装置A30の接合強度の向上を図ることが可能となる。さらに半導体装置A40においては、半導体装置A10と共通する構成を具備することにより、半導体装置A10と同等の作用効果を奏する。
【0074】
本開示は、先述した実施形態に限定されるものではない。本開示の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0075】
ここで、本開示にかかる実施形態は、表面実装パッケージの半導体装置である。この他、パッケージ形式がTO(Transistor Outline)およびDIP(Dual Inline Package)にかかる半導体装置においても本開示にかかる技術を適用することが可能である。TOおよびDIPは、一般的に配線基板に対してスルーホール実装されるが、場合によっては封止樹脂30から突出する第1端子21および第2端子22の各々を折り曲げて表面実装することがある。この場合において、TOおよびDIPの各々のパッケージ形式にかかる半導体装置に本開示の技術を適用することにより、当該半導体装置は、本開示にかかる実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0076】
本開示は、以下の付記に記載した実施形態を含む。
[付記1]
第1端子と、
前記第1端子に導通する半導体素子と、
前記半導体素子を覆う封止樹脂と、
前記第1端子の一部を覆うとともに、導電性を有する保護層と、を備え、
前記第1端子は、少なくとも一部が前記封止樹脂に覆われた第1インナ部と、前記第1インナ部につながり、かつ前記封止樹脂から突出する第1アウタ部と、を有し、
前記保護層は、前記第1アウタ部の少なくとも一部を覆っており、
前記第1アウタ部は、第1方向を向く第1端面を有し、
前記保護層は、前記第1端面の全体を覆っている、半導体装置。
[付記2]
前記封止樹脂は、前記第1方向を向く第1側面を有し、
前記第1アウタ部は、前記第1側面から突出している、付記1に記載の半導体装置。
[付記3]
前記半導体素子に導通する第2端子をさらに備え、
前記封止樹脂は、前記第1方向において前記第1側面とは反対側を向く第2側面を有し、
前記第2端子は、前記封止樹脂に覆われた第2インナ部と、前記第2インナ部につながり、かつ前記第2側面から突出する第2アウタ部と、を有し、
前記保護層は、前記第2アウタ部の少なくとも一部を覆っており、
前記第2アウタ部は、前記第1方向において前記第1端面とは反対側を向く第2端面を有し、
前記保護層は、前記第2端面の全体を覆っている、付記2に記載の半導体装置。
[付記4]
前記封止樹脂は、前記第1方向に対して直交する第2方向において互いに反対側を向く第3側面および第4側面を有し、
前記第1端子および前記第2端子の各々は、前記第3側面および前記第4側面の各々から離れている、付記3に記載の半導体装置。
[付記5]
前記半導体素子は、前記第1方向および前記第2方向の各々に対して直交する第3方向において互いに反対側に位置する第1電極および第2電極を有し、
前記第1電極は、前記第1インナ部に導電接合されており、
前記第2電極は、前記第2インナ部に導電接合されている、付記4に記載の半導体装置。
[付記6]
前記封止樹脂には、前記第3側面から凹む第1凹部が形成されている、付記5に記載の半導体装置。
[付記7]
前記封止樹脂には、前記第4側面から凹む第2凹部が形成されており、
前記第2方向に視て、前記第2凹部は、前記第1凹部に重なっている、付記6に記載の半導体装置。
[付記8]
前記第1凹部は、前記第1方向において互いに離れた第1部および第2部を含み、
前記第2凹部は、前記第1方向において互いに離れた第3部および第4部を含み、
前記第2方向に視て、前記第1部および前記第3部の各々は、前記第1インナ部に重なっている、付記7に記載の半導体装置。
[付記9]
各々が前記封止樹脂に収容された第1支持ピンおよび第2支持ピンをさらに備え、
前記第1支持ピンは、前記第1端子および前記第2端子の各々から離れているとともに、前記第3側面から外部に露出しており、
前記第2支持ピンは、前記第1端子および前記第2端子の各々から離れているとともに、前記第4側面から外部に露出している、付記5に記載の半導体装置。
[付記10]
前記第1端子は、前記第1インナ部につながり、かつ前記封止樹脂に収容された第1吊部を有し、
前記第1吊部は、前記第3側面から外部に露出している、付記5に記載の半導体装置。
[付記11]
前記第1端子は、前記第1インナ部につながり、かつ前記封止樹脂に収容された第2吊部を有し、
前記第2吊部は、前記第2方向において前記第1インナ部を基準として前記第1吊部とは反対側に位置しており、
前記第2吊部は、前記第4側面から外部に露出している、付記10に記載の半導体装置。
[付記12]
前記第2アウタ部には、前記第2方向において互いに反対側を向く2つの切断面が形成されており、
前記第2インナ部は、前記第2電極に対向する接合面を有し、
前記2つの切断面の各々の表面粗さは、前記接合面の表面粗さよりも大きい、付記11に記載の半導体装置。
[付記13]
前記第1端面は、前記第1方向において前記第1側面とは反対側を向いており、
前記第1インナ部の全体は、前記封止樹脂に覆われている、付記6ないし12のいずれかに記載の半導体装置。
[付記14]
前記第1端面は、前記第1方向において前記第1側面とは同じ側を向く、付記7または8のいずれかに記載の半導体装置。
[付記15]
前記第1インナ部は、前記第3方向において互いに反対側を向く搭載面および実装面を有し、
前記第1電極は、前記搭載面に導電接合されており、
前記実装面は、前記封止樹脂から露出している、付記14に記載の半導体装置。
[付記16]
前記封止樹脂は、前記第3方向において前記実装面と同じ側を向く底面を有し、
前記第1凹部および前記第2凹部の各々は、前記底面から凹んでいる、付記15に記載の半導体装置。
[付記17]
第1方向において互いに離れた第1端子および第2端子と、前記第1端子および前記第2端子の各々を支持する枠体と、を有するリードフレームにおいて、前記第1端子に半導体素子を導電接合する工程と、
前記半導体素子に前記第2端子を導電接合する工程と、
前記第1端子および前記第2端子の各々の一部と、前記半導体素子と、を覆う封止樹脂を形成する工程と、
前記枠体から前記第1端子の前記第1方向の一方側を切り離す工程と、
前記封止樹脂から露出する前記第1端子および前記第2端子の各々の部分を覆う保護層を形成する工程と、を備え、
前記リードフレームは、前記第1方向に対して直交する第2方向において前記枠体から突出する支持部を有し、
前記封止樹脂を形成する工程では、前記支持部を覆うように前記封止樹脂が形成され、
前記保護層を形成する工程は、前記枠体から前記第1端子の前記第1方向の一方側を切り離す工程の後に行われる、半導体装置の製造方法。
[付記18]
前記リードフレームは、前記第2端子の前記第2方向の両側に個別に位置する2つの連結部を有し、
前記2つの連結部の各々は、前記枠体と前記第2端子とを連結しており、
前記第2端子を導電接合する工程では、前記2つの連結部に連結された状態で前記第2端子を前記第2方向の回りに反転させる、付記17に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0077】
A10,A20,A30,A40:半導体装置
10:半導体素子
11:第1電極
12:第2電極
19:接合層
21:第1端子
211:第1インナ部
211A:搭載面
211B:実装面
212:第1アウタ部
212A:第1端面
213:第1吊部
214:第2吊部
215:溝部
216:庇部
22:第2端子
221:第2インナ部
221A:接合面
222:第2アウタ部
222A:第2端面
222B:切断面
30:封止樹脂
31:頂面
32:底面
33:第1側面
34:第2側面
35:第3側面
36:第4側面
37:第1凹部
371:第1部
372:第2部
38:第2凹部
381:第3部
382:第4部
40:保護層
51:第1支持ピン
52:第2支持ピン
80:リードフレーム
81:枠体
82:第1端子
83:第2端子
84:支持部
85:連結部
x:第1方向
y:第2方向
z:第3方向