(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131372
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】除熱板及び熱電発電ユニット
(51)【国際特許分類】
F28F 3/00 20060101AFI20240920BHJP
H10N 10/13 20230101ALI20240920BHJP
H10N 10/10 20230101ALI20240920BHJP
【FI】
F28F3/00 301Z
H10N10/13
H10N10/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041590
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】590000835
【氏名又は名称】株式会社KELK
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大場 正和
(72)【発明者】
【氏名】岸澤 利彦
(57)【要約】
【課題】除熱板の温度分布を均一にすること。
【解決手段】除熱板3は、スパイラル形状の流体の流路5と、流路の外周に配置された、分岐翼43と備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
除熱板であって、
スパイラル形状の流体の流路と、
前記流路の外周に配置された、分岐翼と、
を備える、除熱板。
【請求項2】
前記除熱板は矩形状であり、
前記分岐翼は、前記除熱板の4つの隅部に配置される、
請求項1に記載の除熱板。
【請求項3】
前記除熱板は、高温側除熱板と、前記高温側除熱板と向かい合って接合された低温側除熱板とを備え、
前記低温側除熱板の前記高温側除熱板と向かい合う面に、前記流路を形成する流路壁、を備え、
前記流路壁は、弾性変形可能な材料で形成され、
前記分岐翼は、金属材料で形成される、
請求項1に記載の除熱板。
【請求項4】
前記高温側除熱板は、銅、又は、銅を含む合金で形成され、
前記低温側除熱板は、アルミニウム、又は、アルミニウムを含む合金で形成され、
前記高温側除熱板と前記低温側除熱板とは、それぞれジンケート処理され接合されている、
請求項3に記載の除熱板。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の除熱板と、
前記除熱板と向かい合って配置された受熱板と、
前記受熱板と前記除熱板との間に配置された熱電発電モジュールと、
前記除熱板の外周部に取り付けるボルトである取り付け部材と、
前記受熱板と前記除熱板との間に前記熱電発電モジュールを挟んだ状態で、前記取り付け部材より中央側を締結するボルトである第1締結部材と、
を備える、熱電発電ユニット。
【請求項6】
前記取り付け部材と前記第1締結部材とは、平面視において、周方向に位相が40°以上50°以下の範囲でずれて配置されている、
請求項5に記載の熱電発電ユニット。
【請求項7】
前記第1締結部材は、前記除熱板の中心からの距離が等距離に配置されている、
請求項5に記載の熱電発電ユニット。
【請求項8】
前記除熱板は、矩形状であり、
前記第1締結部材は、前記除熱板の各辺の二等分線上に配置されている、
請求項6に記載の熱電発電ユニット。
【請求項9】
前記除熱板は、矩形状であり、
前記第1締結部材は、前記除熱板の対角線上に配置されている、
請求項6に記載の熱電発電ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除熱板及び熱電発電ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
熱を受ける受熱板と、受熱板よりも低温に維持される除熱板と、受熱板および除熱板の間に介装される熱電モジュールとを備えた熱電発電装置の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱電発電モジュールにおいて、高温側と低温側の温度差が小さくなると、発電量が低下する。低温側の除熱板では、冷却水は流路を流れる。流路の形状によっては、冷却水が流れにくくなることがある。この場合、除熱板の温度分布に偏りが生じる。そこで、除熱板の温度分布を均一にすることが望まれる。
【0005】
本発明の態様は、除熱板の温度分布を均一にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、除熱板であって、スパイラル形状の流体の流路と、前記流路の外周に配置された、分岐翼と、を備える、除熱板が提供される。
【0007】
本発明の態様に従えば、上記の除熱板と、前記除熱板と向かい合って配置された受熱板と、前記受熱板と前記除熱板との間に配置された熱電発電モジュールと、前記除熱板の外周部に取り付けるボルトである取り付け部材と、前記受熱板と前記除熱板との間に前記熱電発電モジュールを挟んだ状態で、前記取り付け部材より中央側を締結するボルトである第1締結部材と、を備える、熱電発電ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、除熱板の温度分布を均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る熱電発電ユニットの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る熱電発電ユニットの側面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る熱電発電ユニットの平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る除熱板を示す平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る熱電発電ユニットの他の例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0011】
実施形態においては、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、熱電発電ユニット1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。左右方向と前後方向と上下方向とは直交する。各方向は、熱電発電ユニット1の使用状態において定義する。
【0012】
[実施形態]
<熱電発電ユニット>
図1は、実施形態に係る熱電発電ユニットの斜視図である。
図2は、実施形態に係る熱電発電ユニットの側面図である。
図3は、実施形態に係る熱電発電ユニットの平面図である。熱電発電ユニット1は、熱源の上方に取り付けられた状態で使用される。熱電発電ユニット1は、熱電発電モジュール10と、高温伝熱板である受熱板2と、低温伝熱板である除熱板3とを備える。
【0013】
熱電発電ユニット1は、熱電発電モジュール10を、受熱板2と除熱板3とで上下方向に挟んだ状態で、取り付け部材6、第1締結部材7、及び、第2締結部材8によって締結されている。
【0014】
取り付け部材6は、例えば、熱電発電ユニット1を取り付け対象物に吊り下げて固定するための吊りボルトである。取り付け部材6は、除熱板3に取り付け吊り下げる。実施形態では、取り付け部材6は、平面視において離間した4本が配置されている。取り付け部材6は、平面視において、除熱板3の外周部を締結する。実施形態では、取り付け部材6は、平面視において、熱電発電ユニット1の隅部から離間して配置されている。実施形態では、取り付け部材6は、平面視において、除熱板3のほぼ対角線Q上に配置されている。
【0015】
第1締結部材7は、例えば、熱電発電ユニット1を取り付け対象物に吊り下げて固定するための吊りボルトである。第1締結部材7は、熱電発電モジュール10を、受熱板2と除熱板3とで上下方向に挟んだ状態で、熱電発電モジュール10、受熱板2及び除熱板3を貫通して配置される。第1締結部材7は、取り付け部材6より内側に配置されている。第1締結部材7は、平面視において、受熱板2と除熱板3と熱電発電モジュール10とにおいて、取り付け部材6より中央側を締結する。実施形態では、第1締結部材7は、平面視において離間した4本が配置されている。実施形態では、第1締結部材7は、平面視において、除熱板3の対角線Q上から外れて配置されている。実施形態では、第1締結部材7は、平面視において、除熱板3の向かい合う2辺の中心を通る線R上に配置されている。4本の第1締結部材7は、除熱板3の中心からの距離dが等しい位置に配置されている。
【0016】
このように構成された取り付け部材6と第1締結部材7とは、平面視において、周方向に位相がほぼ45°、言い換えると、40°以上50°以下の範囲でずれて配置されている。
【0017】
第2締結部材8は、除熱板3を下方に付勢するバネが配置されたボルトである。第2締結部材8は、熱電発電モジュール10を、受熱板2と除熱板3とで上下方向に挟んだ状態で、熱電発電モジュール10より外側の位置に配置される。第2締結部材8は、受熱板2及び除熱板3を貫通して配置される。実施形態では、第2締結部材8は、平面視において、対角線Q及び線R上から外れて配置されている。第2締結部材8は、取り付け部材6よりも外周側に配置されている。実施形態では、第2締結部材8は、平面視において離間した8本が配置されている。実施形態では、第2締結部材8は、平面視において除熱板3の各辺に沿って2本ずつ離間して配置されている。
【0018】
受熱板2は、熱電発電モジュール10の下側に配置される。受熱板2は、熱源から熱を受け、面内温度分布が少ない状態で熱電発電モジュール10へ伝熱させる。受熱板2は、例えば、銅又はアルミニウムなどの、熱伝導率の高い金属材料で構成されている。受熱板2は、矩形の板状の部材である。受熱板2の面2bは、熱源となる設備からの熱を受けとる。受熱板2の熱は、受熱板2の面2aを介して、熱電発電モジュール10に伝導される。
【0019】
<除熱板>
除熱板3は、熱電発電モジュール10が閉回路時に除熱板3側での熱電除熱による放熱と、さらに熱源からの熱を受熱板2から除熱板3側への伝熱により放熱する2つの放熱を除熱し、単に除熱するだけに留まらず低温側の温度を維持する。
【0020】
除熱板3は、上下方向において、受熱板2と向かい合い、離間して設置される。除熱板3は、熱電発電モジュール10の上側に配置される。除熱板3は、熱電発電モジュール10の片面を除熱し、温度差を維持して効率よく発電を行う。除熱板3は、例えば、銅又はアルミニウムなどの、熱伝導率の高い金属材料で構成されている。除熱板3は、矩形の板状の部材である。除熱板3は、熱電発電モジュール10からの熱を受けとる。除熱板3の熱は、除熱されるとともに、熱電発電ユニット1の周囲に放熱される。除熱板3は、低温側除熱板31と高温側除熱板32とを備える。
【0021】
低温側除熱板31は、高温側除熱板32の上側に配置される。低温側除熱板31は、例えば、アルミニウム、又は、アルミニウムを含む合金で形成される。低温側除熱板31の面31bは、上下方向において、高温側除熱板32の面32aと向かい合う。低温側除熱板31の面31aは、除熱板3の面3aである。
【0022】
高温側除熱板32は、低温側除熱板31の下側に配置される。高温側除熱板32は、例えば、銅、又は、銅を含む合金で形成される。高温側除熱板32の面32aは、上下方向において、低温側除熱板31の面31bと向かい合う。高温側除熱板32の面32bは、除熱板3の面3bである。
【0023】
低温側除熱板31と高温側除熱板32とは、取り付け部材6、第1締結部材7、及び、第2締結部材8との取り付け位置に、厚さ方向に貫通する図示しない貫通孔を有する。
【0024】
このように構成された低温側除熱板31と高温側除熱板32とが向かい合った状態で第2締結部材8によって接合され、除熱板3が形成される。
【0025】
実施形態では、低温側除熱板31と高温側除熱板32とは、ジンケート処理されて接合されてもよい。より詳しくは、低温側除熱板31と高温側除熱板32とは、例えば、ニッケルでメッキをしてから、半田で接合されてもよい。
【0026】
低温側除熱板31と高温側除熱板32との間に液体が流通する流路5が形成される。より詳しくは、流路5は、低温側除熱板31の面31bと、高温側除熱板32の面32aと、面31bに取り付けられた流路壁4によって形成される。
【0027】
除熱板3に流す流体は、通常は冷却水を用いるが、これに限定されず、ブラインや気体を用いてもよい。
【0028】
除熱板3に流す流体に、冷却水や気体を用いた場合は、それ自体が除熱板3外へ熱輸送する。ブラインを用いた場合は、凍結温度が低いという意味に留まらず、ヒートパイプの作動液と同様に除熱板3内を循環してもよい。
【0029】
図4は、実施形態に係る除熱板を示す平面図である。流路壁4は、流路5を形成する。流路壁4は、低温側除熱板31の高温側除熱板32と向かい合う面31bに形成されている。流路壁4は、枠部41、壁部42、分岐翼43、分岐翼44、分岐翼45及び分岐翼46を備える。
【0030】
枠部41は、平面視において、辺411、辺412、辺413及び辺414を有する矩形の枠状に形成されている。枠部41は、流路5の最外周の形状を規定する。枠部41の4つの隅部は、流路5を流れる流体の流れをスムースにするために湾曲した形状に形成されている。枠部41は、例えば、ゴムなどの弾性変形可能な材料で形成されていてもよい。枠部41は、必須の構成ではなく、設けられていなくてもよい。
【0031】
壁部42は、スパイラル形状に形成されている。壁部42は、流路5のスパイラル形状を規定する。壁部42は、端部が枠部41に接続されている。壁部42は、厚壁部421、厚壁部422、厚壁部423及び厚壁部424を有する。厚壁部421、厚壁部422、厚壁部423及び厚壁部424は、第1締結部材7が貫通する位置に設けられている。厚壁部421、厚壁部422、厚壁部423及び厚壁部424は、第1締結部材7が貫通する貫通孔より大きい径を有する円形状である。厚壁部421、厚壁部422、厚壁部423及び厚壁部424の径は、壁部42の幅wよりも厚い。壁部42は、例えば、ゴムなどの弾性変形可能な材料で形成されていてもよい。
【0032】
分岐翼43、分岐翼44、分岐翼45及び分岐翼46は、流路5において、スパイラル形状のスパイラル部の外周に配置されている。分岐翼43、分岐翼44、分岐翼45及び分岐翼46は、枠部41より内側であって、壁部42の最外周よりも外側に配置されている。分岐翼43、分岐翼44、分岐翼45及び分岐翼46は、低温側除熱板31の面31bの4つの隅部に1つずつ配置されている。分岐翼43、分岐翼44、分岐翼45及び分岐翼46は、例えば、ゴムなどの弾性変形可能な材料で形成されていてもよいし、金属材料で形成されていてもよい。
【0033】
分岐翼43、分岐翼44、分岐翼45及び分岐翼46の上流側の隅部は、面取りをしない。面取りにより流体の淀みが発生するのを避けるためである。また、流体導入口5Aと流体排出口5Bを取り換える可能性が有る場合は、流体の流れが逆になることを考慮し、両方の隅部とも面取りをしない。
【0034】
分岐翼43は、枠部41の隅部415と向かい合い、離間して配置されている。分岐翼43は、平面視において、長辺431、短辺432及び短辺432を有する略三角形状に形成されている。分岐翼43の3つの角部は、流路5を流れる流体の流れをスムースにするために湾曲した形状に形成されている。長辺431は、壁部42の最外周と向かい合って配置されている。短辺432は、枠部41の辺414と向かい合って配置されている。短辺433は、枠部41の辺411と向かい合って配置されている。分岐翼43は、分岐翼46より平面視における面積が広い。
【0035】
分岐翼44は、枠部41の隅部416と向かい合い、離間して配置されている。分岐翼44は、平面視において、長辺441、短辺442及び短辺443を有する略三角形状に形成されている。分岐翼44の3つの角部は、流路5を流れる流体の流れをスムースにするために湾曲した形状に形成されている。長辺441は、壁部42の最外周と向かい合って配置されている。短辺442は、枠部41の辺411と向かい合って配置されている。短辺443は、枠部41の辺412と向かい合って配置されている。分岐翼44は、分岐翼43及び分岐翼46より平面視における面積が広い。
【0036】
分岐翼44が配置された部分の流路は、外周側のほうが内周側より流速が大きくなるよう、外周側の流路幅のほうが内周側の流路幅より狭い。
【0037】
分岐翼45は、枠部41の隅部417と向かい合い、離間して配置されている。分岐翼45は、平面視において、長辺451、短辺452及び短辺453を有する略三角形状に形成されている。分岐翼45の3つの角部は、流路5を流れる流体の流れをスムースにするために湾曲した形状に形成されている。長辺451は、壁部42の最外周と向かい合って配置されている。短辺452は、枠部41の辺412と向かい合って配置されている。短辺453は、枠部41の辺413と向かい合って配置されている。分岐翼45は、分岐翼43及び分岐翼46より平面視における面積が広い。
【0038】
分岐翼46は、枠部41の隅部418と向かい合い、離間して配置されている。分岐翼46は、平面視において、長辺461、短辺462及び短辺463を有する略三角形状に形成されている。分岐翼46の3つの角部は、流路5を流れる流体の流れをスムースにするために湾曲した形状に形成されている。長辺461は、壁部42の最外周と向かい合って配置されている。短辺462は、枠部41の辺413と向かい合って配置されている。短辺463は、枠部41の辺414と向かい合って配置されている。分岐翼46は、分岐翼43、分岐翼44及び分岐翼45より平面視における面積が狭い。
【0039】
流路5は、スパイラル形状に形成されている。流路5は、流体が供給される流体供給口5Aと、流体が外部に排出される流体排出口5Bとを有する。流体供給口5Aは、スパイラル形状の中心部に配置されている。流体排出口5Bは、スパイラル形状の外周部に配置されている。流体供給口5Aと流体排出口5Bとを結んで、スパイラル形状の流路5が形成される。
【0040】
流路5は、分岐翼43が配置されている部分において、2つに分岐する。分岐翼43と壁部42の最外周との間を内側分岐流路51といい、分岐翼43と枠部41との間を外側分岐流路52という。分岐翼43の下流側の端部において、内側分岐流路51と外側分岐流路52とは、合流する。
【0041】
例えば、内側分岐流路51を流れる流体の速度と、外側分岐流路52を流れる流体の速度とが同じになるように、分岐翼43の形状及び位置が設定されてもよい。
【0042】
流路5は、分岐翼44が配置されている部分において、2つに分岐する。分岐翼44と壁部42の最外周との間を内側分岐流路53といい、分岐翼44と枠部41との間を外側分岐流路54という。分岐翼44の下流側の端部において、内側分岐流路53と外側分岐流路54とは、合流する。
【0043】
例えば、内側分岐流路53を流れる流体の速度と、外側分岐流路54を流れる流体の速度とが同じになるように、分岐翼44の形状及び位置が設定されてもよい。
【0044】
流路5は、分岐翼45が配置されている部分において、2つに分岐する。分岐翼45と壁部42の最外周との間を内側分岐流路55といい、分岐翼45と枠部41との間を外側分岐流路56という。分岐翼45の下流側の端部において、内側分岐流路55と外側分岐流路56とは、合流する。
【0045】
例えば、内側分岐流路55を流れる流体の速度と、外側分岐流路56を流れる流体の速度とが同じになるように、分岐翼45の形状及び位置が設定されてもよい。
【0046】
流路5は、分岐翼46が配置されている部分において、2つに分岐する。分岐翼46と壁部42の最外周との間を内側分岐流路57といい、分岐翼46と枠部41との間を外側分岐流路58という。分岐翼46の下流側の端部において、内側分岐流路57と外側分岐流路58とは、合流する。
【0047】
例えば、内側分岐流路57を流れる流体の速度と、外側分岐流路58を流れる流体の速度とが同じになるように、分岐翼46の形状及び位置が設定されてもよい。
【0048】
<動作及び作用>
次に、実施形態に係る除熱板3における流体の動作及び作用について説明する。液体が流体供給口5Aを介して流路5に供給される。液体は、流路5にガイドされて、流体排出口5Bに向かって流れる。実施形態において、流路5は、スパイラル形状である。流体供給口5Aから流路5に供給された液体は、流路5を流れた後、流体排出口5Bから排出される。
【0049】
流体供給口5Aから流体排出口5Bに向かって流れる間の流体について説明する。流路5のスパイラル形状の部分から外周部へ流れ出た流体は、分岐翼43の上流側の端部に接触して、内側分岐流路51と外側分岐流路52とに分岐して流れる。分岐翼43の下流側の端部において、内側分岐流路51を流れた流体と、外側分岐流路52を流れた流体とは、合流する。
【0050】
そして、流体は、分岐翼44の上流側の端部に接触して、内側分岐流路53と外側分岐流路54とに分岐して流れる。分岐翼44の下流側の端部において、内側分岐流路53を流れた流体と、外側分岐流路54を流れた流体とは、合流する。
【0051】
そして、流体は、分岐翼45の上流側の端部に接触して、内側分岐流路55と外側分岐流路56とに分岐して流れる。分岐翼45の下流側の端部において、内側分岐流路55を流れた流体と、外側分岐流路56を流れた流体とは、合流する。
【0052】
そして、流体は、分岐翼46の上流側の端部に接触して、内側分岐流路57と外側分岐流路58とに分岐して流れる。分岐翼46の下流側の端部において、内側分岐流路57を流れた流体と、外側分岐流路58を流れた流体とは、合流する。
【0053】
<効果>
以上説明したように、実施形態では、除熱板3の流路5に分岐翼43を備える。実施形態によれば、除熱板3の流体の流れをスムースにできる。
【0054】
実施形態では、分岐翼43は、除熱板3の四隅に配置される。実施形態によれば、流体が流れにくくなるスパイラル形状の外周において、流体の流れをスムースにできる。実施形態によれば、除熱板3の温度分布を均一にすることができる。
【0055】
実施形態では、流路壁4の壁部42は、弾性変形可能な材料で形成されている。実施形態によれば、壁部42が、ゴムで形成されている場合は、例えば加硫接着で金属に接着することができる。実施形態によれば、ゴムが歪を吸収することにより、除熱板3の歪を抑えることができる。
【0056】
実施形態では、分岐翼43は、金属材料で形成される。実施形態によれば、分岐翼43をゴムで形成した場合に比べて、除熱板3における熱伝導の低下を抑制できる。
【0057】
実施形態では、低温側除熱板31と高温側除熱板32とは、それぞれジンケート処理され接合されている。実施形態によれば、低温側除熱板31と高温側除熱板32とを、それぞれ異なる材料で形成した場合でも、確実に接合できる。実施形態によれば、高温側除熱板32は、熱伝導のよい材料を用いることができる。低温側除熱板31は、比較的軽量で安価な材料を用いることができる。
【0058】
実施形態では、外周部を吊りボルトである取り付け部材6で締結する。実施形態では、取り付け部材6より中央側を、吊りボルトである第1締結部材7で締結する。実施形態によれば、除熱板3及び受熱板2の熱負荷時の熱変形を抑制できる。
【0059】
実施形態では、4本の第1締結部材7は、除熱板3の中心からの距離が等距離に配置されている。実施形態によれば、4本の第1締結部材7を適切な位置に配置できる。実施形態によれば、除熱板3及び受熱板2の熱負荷時の熱変形を効果的に抑制できる。
【0060】
実施形態では、4本の第1締結部材7は、除熱板3の各辺の二等分線R上に配置されている。実施形態によれば、4本の第1締結部材7を適切な位置に配置できる。実施形態によれば、除熱板3及び受熱板2の熱負荷時の熱変形を効果的に抑制できる。
【0061】
このような実施形態によれば、固定するボルトの本数を減らすことができるので、ボルトからの放熱を抑えることができる。
【0062】
実施形態では、流体供給口5Aがスパイラル形状の中心部に配置され、流体排出口5Bがスパイラル形状の外周部に配置されている。実施形態によれば、ボルトの軸力以外に水圧で加圧できる。実施形態によれば、冷却水が渦巻になることにより、低温領域が広がり、温度分布が小さくなるとともに、最大温度を低くできる。実施形態は、同一流量時でも、熱電発電モジュール10の両端の平均温度差を増大できる。実施形態は、受熱板2の温度が低い状態で所定の温度差となるため、温度に依存する耐熱寿命を延ばすことができる。
【0063】
[変形例]
図5は、実施形態に係る熱電発電ユニットの他の例の平面図である。
図5に示す例では、第1締結部材7の配置が、第一実施形態と異なる。第1締結部材7は、除熱板3の対角線Q上に配置されている。
【0064】
[その他の変形例]
流体供給口5Aがスパイラル形状の外周部、流体排出口5Bがスパイラル形状の中心部に配置されてもよい。
【0065】
上記では、分岐翼43、分岐翼44、分岐翼45及び分岐翼46は、低温側除熱板31の面31bの4つの隅部に1つずつ配置されているものとして説明したが、これに限定されない。低温側除熱板31の面31bの4つの隅部に配置される分岐翼は、複数が組み合わせて形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…熱電発電ユニット、2…受熱板、2a…面、2b…面、3…除熱板、3a…面、3b…面、31…低温側除熱板、31a…面、31b…面、32…高温側除熱板、32a…面、32b…面、4…流路壁、41…枠部、42…壁部、421…厚壁部、422…厚壁部、423…厚壁部、424…厚壁部、43…分岐翼、44…分岐翼、45…分岐翼、46…分岐翼、5…流路、5A…流体供給口、5B…流体排出口、51…内側分岐流路、52…外側分岐流路、53…内側分岐流路、54…外側分岐流路、55…内側分岐流路、56…外側分岐流路、57…内側分岐流路、58…外側分岐流路、6…取り付け部材、7…第1締結部材、8…第2締結部材、10…熱電発電モジュール。