(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131375
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】走行支援制御装置および走行支援方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20240920BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240920BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240920BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240920BHJP
【FI】
G01C21/34
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L58/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041593
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田替藤 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】富澤 克美
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 紀行
(72)【発明者】
【氏名】中島 彩優子
【テーマコード(参考)】
2F129
5H125
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC16
2F129DD46
2F129DD49
2F129EE02
2F129EE52
2F129HH02
2F129HH12
5H125AA17
5H125AA18
5H125AC12
5H125BC05
5H125EE27
5H125EE41
5H125EE51
5H125EE52
5H125EE61
(57)【要約】
【課題】バッテリを使用した走行と、バッテリを使用しない走行とを適切に組み合わせた走行を支援すること。
【解決手段】制御部20は、バッテリ式の移動体の走行を支援する走行支援制御装置であって、バッテリ11の残量を含むバッテリ情報を取得するバッテリ情報取得部21と、バッテリ情報取得部21が取得したバッテリ情報と道路状況を示す道路情報と天候情報とユーザの状態を示すユーザ状態情報との少なくともいずれかに基づいて、目的地までの走行経路を示す走行経路において、バッテリで走行する第一区間と、バッテリを使用せずに走行する第二区間とを設定する走行区間設定部32と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ式の移動体の走行を支援する走行支援制御装置であって、
バッテリの残量を含むバッテリ情報を取得するバッテリ情報取得部と、
前記バッテリ情報取得部が取得した前記バッテリ情報と、道路状況を示す道路情報と天候情報とユーザの状態を示すユーザ状態情報との少なくともいずれかに基づいて、目的地までの走行経路を示す走行経路において、前記バッテリを使用して走行する第一区間と、前記バッテリを使用せずに走行する第二区間とを設定する走行区間設定部と、
を備える、走行支援制御装置。
【請求項2】
前記走行区間設定部は、移動速度を示す走行情報と前記ユーザ状態情報とに基づいて、前記第一区間と前記第二区間とを設定する、
請求項1に記載の走行支援制御装置。
【請求項3】
前記走行区間設定部は、目的地までの走行経路の走行中に、目標移動速度と実測移動速度との差に基づいて、前記第一区間と前記第二区間とを設定し直す、
請求項1に記載の走行支援制御装置。
【請求項4】
前記走行区間設定部は、前記バッテリ情報が示す前記バッテリの残量から走行可能な走行可能距離が、目的地までの走行経路の走行距離より短い場合、前記第二区間を設定する、
請求項1に記載の走行支援制御装置。
【請求項5】
バッテリ式の移動体の走行を支援する走行支援方法であって、
バッテリの残量を含むバッテリ情報を取得するバッテリ情報取得ステップと、
前記バッテリ情報取得ステップによって取得された前記バッテリ情報と、道路状況を示す道路情報と天候情報とユーザの状態を示すユーザ状態情報との少なくともいずれかに基づいて、目的地までの走行経路を示す走行経路において、前記バッテリを使用して走行する第一区間と、前記バッテリを使用せずに走行する第二区間とを設定する走行区間設定ステップと、
を含む、走行支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行支援制御装置および走行支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動力源がバッテリである移動体において、バッテリの充電が必要であると判定された場合、走行可能距離内にある充電スタンドを経由地とする目的地までの経路を決定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動の移動体による目的地までの走行において、バッテリの残量から走行可能な走行可能距離が、目的地までの走行経路の走行距離より短い場合、バッテリの充電または交換が必要になる。ところが、走行可能距離内にバッテリの充電または交換の施設が存在しないなどのようにバッテリの充電および交換が困難な場合がある。このような場合には、バッテリを使用した走行と、バッテリを使用しない走行とを適切に組み合わせて、目的地まで到達することが望まれる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、バッテリを使用した走行と、バッテリを使用しない走行とを適切に組み合わせた走行を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る走行支援制御装置は、バッテリ式の移動体の走行を支援する走行支援制御装置であって、バッテリの残量を含むバッテリ情報を取得するバッテリ情報取得部と、前記バッテリ情報取得部が取得した前記バッテリ情報と、道路状況を示す道路情報と天候情報とユーザの状態を示すユーザ状態情報との少なくともいずれかに基づいて、目的地までの走行経路を示す走行経路において、前記バッテリを使用して走行する第一区間と、前記バッテリを使用せずに走行する第二区間とを設定する走行区間設定部と、を備える。
【0007】
本発明に係る走行支援方法は、バッテリ式の移動体の走行を支援する走行支援方法であって、バッテリの残量を含むバッテリ情報を取得するバッテリ情報取得ステップと、前記バッテリ情報取得ステップによって取得された前記バッテリ情報と、道路状況を示す道路情報と天候情報とユーザの状態を示すユーザ状態情報との少なくともいずれかに基づいて、目的地までの走行経路を示す走行経路において、前記バッテリを使用して走行する第一区間と、前記バッテリを使用せずに走行する第二区間とを設定する走行区間設定ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バッテリを使用した走行と、バッテリを使用しない走行とを適切に組み合わせた走行を支援することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る走行支援装置の構成例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、第一走行区間と第二走行区間とを示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る走行支援装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る走行支援制御装置および走行支援方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
[実施形態]
<走行支援装置>
図1は、実施形態に係る走行支援装置の構成例を示す概略図である。走行支援装置1は、バッテリ式の移動体の走行を支援する装置である。走行支援装置1は、移動体に設置された端末装置、または、ユーザが所持する電子機器である。
【0012】
移動体とは、バッテリを動力源とする走行と、バッテリを動力源とせずに人力による走行と、どちらも可能なものとする。移動体は、例えば、電動キックボード、または、電動自転車などのようなマイクロ(超小型)モビリティである。
【0013】
バッテリを動力源とする走行を、第一走行モードという。バッテリを動力源とせずに人力による走行を、第二走行モードという。例えば、電動キックボードの場合、第一走行モードは、バッテリを消費する走行であり、第二走行モードは、バッテリを消費しないで、ユーザが片足で地面を蹴って進む走行である。例えば、電動自転車の場合、第一走行モードは、バッテリを消費する走行であり、第二走行モードは、バッテリを消費しないで、ユーザがペダルをこいで進む走行である。例えば、第一走行モードは、バッテリを消費する移動体に乗った走行であり、第二走行モードは、バッテリを消費しないで、ユーザが移動体を押しながら徒歩で進む走行、または、移動体を手で持って進む走行である。第二走行モードは、下り坂において、ユーザがモビリティに乗って、回生モードにしてバッテリ11を充電しながら進む走行を含む。
【0014】
走行支援装置1は、バッテリ11と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部12と、操作部13と、地図情報記憶部14と、表示部19と、走行支援制御装置(以下、「制御部」という。)20と、を備える。
【0015】
バッテリ11は、移動体の動力源となる蓄電装置である。本実施形態では、バッテリ11は、街中などに設置された施設において、充電または交換が可能である。バッテリ11は、走行中に残量が少なくなった場合などに、施設に立ち寄って充電または交換が可能である。バッテリ11は、バッテリの残量を含むバッテリ情報をバッテリ情報取得部21へ出力する。
【0016】
GNSS受信部12は、GNSS衛星からのGNSS信号を受信するGNSS受信機などで構成される。GNSS受信部12は、受信したGNSS信号を位置情報取得部22に出力する。
【0017】
操作部13は、走行支援装置1に対する各種操作を受付可能である。例えば、操作部13は、例えば、走行支援装置1に対する物理的な操作手段、または、表示部19に配置されたタッチパネルなどによって構成される。例えば、操作部13は、出発地及び目的地を入力する操作を受付可能である。例えば、操作部13は、出発地から目的地までの経路を探索する操作を受付可能である。例えば、操作部13は、出発地から目的地までの経路の案内を開始する操作を受付可能である。操作部13は、受け付けた操作を示す操作情報を走行支援装置1の操作受付部23へ出力する。
【0018】
地図情報記憶部14は、地図情報を記憶する。地図情報記憶部14は、記憶している地図情報を制御部20の地図情報取得部27へ出力する。地図情報記憶部14は、図示しない通信部などによる通信機能を介して地図情報を取得する外部サーバ等の記憶装置であってもよい。
【0019】
地図情報は、例えば、道路の形状、交差点、および、勾配などの道路状況を含む道路地図である。地図情報は、例えば、バッテリの充電または交換が可能な施設を示す情報を含んでもよい。地図情報は、例えば、移動体の駐車場、返却所、乗り捨てエリアなどのような、移動体の駐車可能エリアを示す情報を含んでもよい。
【0020】
表示部19は、一例としては、走行支援装置に固有の表示装置、または、他のシステムと共用した表示装置などである。表示部19は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイである。表示部19は、走行支援装置1から出力された映像信号に基づいて、目的地までの経路を案内する映像などを表示する。
【0021】
<走行支援制御装置>
制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置である。制御部20は、図示しない記憶部に記憶されているプログラムに含まれる命令を実行する。制御部20は、バッテリ情報取得部21と、位置情報取得部22と、操作受付部23と、天候情報取得部24と、ユーザ状態情報取得部25と、走行情報取得部26と、地図情報取得部27と、経路探索部31と、走行区間設定部32と、経路案内部33と、表示制御部39とを備える。
【0022】
バッテリ情報取得部21は、バッテリ11からバッテリ11の残量を含むバッテリ情報を取得する。バッテリ情報は、例えば、バッテリ11の使用開始年月日や、充電回数、充放電サイクル回数などの使用履歴に関する情報を含んでもよい。
【0023】
位置情報取得部22は、移動体の現在位置を示す位置情報を取得する。本実施形態では、位置情報取得部22は、GNSS受信部12が取得した電波の信号に基づいて、移動体の位置情報を取得する。位置情報取得部22は、取得した位置情報を経路探索部31へ出力する。
【0024】
操作受付部23は、操作部13が受け付けた操作の操作情報を取得する。操作受付部23は、例えば、出発地及び目的地の設定操作を示す操作情報を取得して制御信号を出力する。操作受付部23は、例えば、出発地及び目的地が設定されると、出発地及び目的地の位置情報を含む制御信号を出力する。操作受付部23は、例えば、出発地から目的地までの経路を探索する操作を示す操作情報を取得して制御信号を出力する。操作受付部23は、例えば、経路の案内を開始する操作を示す操作情報を取得して制御信号を出力する。
【0025】
天候情報取得部24は、図示しない通信部を介して、外部の装置から天候情報を取得する。
【0026】
天候情報は、例えば、天気、降水量、降雪量、気温、湿度、風速、風向、霧、および、日照の少なくともいずれかを示す情報である。なお、日照を示す情報には、日なたと日陰の状況を示す情報を含み、移動体の走行地点における時間ごとの太陽の高度などの情報とさらに地形や建造物の高さなどを含む地図情報とに基づいて算出してもよい。
【0027】
ユーザ状態情報取得部25は、ユーザの状態を示すユーザ状態情報を取得する。
【0028】
ユーザ状態情報は、ユーザの疲労度または不快感のような身体的な負担を示す情報である。ユーザ状態情報は、例えば、心拍、脈拍、呼吸数などの生体情報から、疲労度または不快感を判定し、身体的な負担を示す情報として取得してもよい。ユーザ状態情報は、例えば、図示しないカメラによって撮影されたユーザの顔(表情)の画像を解析して、疲労度または不快感を判定し、身体的な負担を示す情報として取得してもよい。取得したユーザ状態情報は、道路条件(平坦な道路、上り坂、下り坂など)や天候条件(気温、日照など)に対応付けてもよい。ユーザ状態情報は、道路条件や天候条件に応じて一般的なユーザの疲労度または不快感のような身体的な負担の度合いを予め評価した情報を含んでもよい。
【0029】
走行情報取得部26は、走行情報を移動体とユーザに配置した各種センサなどから取得する。走行情報取得部26は、例えば、移動体とユーザの速度センサから移動速度を示すデータを取得する。取得した走行情報は、道路条件(平坦な道路、上り坂、下り坂、混雑など)や天候条件(降雨量、降雪量、風速、風向など)に対応付けてもよい。走行情報は、道路条件や天候条件に応じて予め設定された移動体の目標移動速度(平均移動速度など)の情報を含んでもよい。
【0030】
走行情報は、例えば、移動速度を示す情報である。
【0031】
地図情報取得部27は、地図情報記憶部14から地図情報を取得する。
【0032】
経路探索部31は、設定された目的地までの移動体の経路を探索する。本実施形態では、出発地は、例えば、移動体の現在位置とする。より詳しくは、経路探索部31は、操作受付部23が受け付けた操作情報と、出発地及び目的地の位置情報と、地図情報記憶部14が記憶した地図情報とに基づいて、経路を検索する。経路を検索する方法は、公知の経路検索方法を使用可能であり、限定されない。
【0033】
走行区間設定部32は、バッテリ情報取得部21が取得したバッテリ情報と、道路情報と天候情報とユーザ状態情報との少なくともいずれかに基づいて、目的地までの走行経路において、バッテリ11を使用して走行する第一区間と、バッテリ11を使用せずに走行する第二区間とを設定する。第一区間は、第一走行モードで走行する区間である。第二区間は、第二走行モードで走行する区間である。
【0034】
本実施形態では、走行区間設定部32は、目的地までの走行経路の各区間における移動速度とユーザの身体的な負担について、移動体とユーザの走行情報とユーザ状態情報とに基づいて、第一走行モードで走行した場合と第二走行モードで走行した場合とを比較して、第一区間と第二区間とを設定する。走行区間設定部32は、ユーザの身体的な負担を軽減し、かつ最短時間で目的地まで到達できるように、第一走行モードを優先して割り当て、残りの区間を第二走行モードとして設定する。より詳しくは、走行区間設定部32は、バッテリ11の残量から走行可能な距離に相当する区間を、ユーザの身体的な負担が大きい区間から優先して割り当てる。例えば、走行区間設定部32は、バッテリ11の残量から走行可能な距離に相当する区間を、急勾配の上り坂などのように移動速度が遅くなり、ユーザの身体的な負担が大きい区間から優先して割り当て、第一区間として設定する。また、走行区間設定部32は、混雑している道路などのように移動体での移動速度が極端に遅くなる区間は、ユーザの身体的な負担があっても、第二区間として設定する。
【0035】
本実施形態では、走行区間設定部32は、バッテリ情報が示すバッテリ11の残量から走行可能な走行可能距離が、目的地までの走行経路の走行距離より短い場合、第二区間を設定する。また、走行可能距離が目的地までの走行経路の走行距離より短い場合、バッテリ11の充電または交換が必要であるが、走行可能距離内にバッテリ11の充電または交換の施設が存在しなかったり、バッテリ11の充電または交換の所要時間が長くなったりするなどの理由から、バッテリ11の充電または交換が適切でないと判定された場合に第二区間を設定してもよい。
【0036】
走行区間設定部32は、所定の切替条件に基づいて、第一走行モードで走行する第一区間と、第二走行モードで走行する第二区間とを、目的地までの走行経路を走行中に切り替えてもよい。切換条件は、第一走行モード、第二走行モードにそれぞれ予め設定されている目標移動速度と、実測移動速度との差に基づいて定まる条件である。目標移動速度と実測移動速度の差は、例えば、道路の混雑、または、ユーザの疲労度などによって移動速度が変化することに起因する。本実施形態では、走行区間設定部32は、目的地までの走行経路の走行中に、目標移動速度と実測移動速度との差が、例えば、目標移動速度に比べて実測移動速度が所定値以上小さくなる場合は、第一区間と第二区間とを設定し直してもよい。
【0037】
走行区間設定部32は、例えば、バッテリ情報取得部21が取得した現在のバッテリ11の残量と道路情報とに基づいて、目的地までの走行経路において、上り坂の区間と平坦な道路の区間とを含む場合、上り坂の区間を第一走行モードで走行する第一区間とする。走行区間設定部32は、上り坂の区間におけるバッテリ11の予測消費量を算出する。算出されたバッテリ11の予測消費量が、バッテリ11の残量に比べて小さい場合は、上り坂の区間の全てについて第一走行モードで走行する第一区間とする。算出されたバッテリ11の予測消費量が、バッテリ11の残量に比べて大きい場合は、上り坂の区間の一部について第一走行モードで走行する第一区間とする。そして、走行区間設定部32は、バッテリ11の残量から上り坂の区間における予測消費量を減算したバッテリ11の予測残量と上り坂の区間(第一区間)を除く目的地までの残りの区間における予測消費量を算出する。算出されたバッテリ11の上り坂の区間(第一区間)を除く目的地までの残りの区間における予測消費量が、上り坂の区間における予測消費量を減算したバッテリ11の予測残量に比べて小さい場合は、目的地までの残りの区間の全てについて第一区間とする。算出されたバッテリ11の上り坂の区間(第一区間)を除く目的地までの残りの区間における予測消費量が、上り坂の区間における予測消費量を減算したバッテリ11の予測残量に比べて大きい場合は、目的地までの残りの区間の一部について第一区間とし、それ以外の区間を第二区間とする。
なお、各区間におけるバッテリ11の予測消費量は、予め設定されている道路条件(道路勾配など)や天候条件(風速、風向など)に応じた移動体の走行距離当たりのバッテリ11の消費量に、各区間の走行距離を掛けることにより算出する。走行距離当たりのバッテリ11の消費量は、実際に移動体を走行させて、各区間の走行前のバッテリ残量と走行後のバッテリ残量を計測することにより求めてもよい。
【0038】
図2を用いて、第一区間および第二区間の設定の具体例を説明する。
図2は、第一区間と第二区間とを示す図である。走行区間設定部32は、上り坂である区間A12および区間A3を、第一走行モードで走行する第一区間と設定する。走行区間設定部32は、区間A12および区間A3を走行することによるバッテリ11の予測消費量を算出する。走行区間設定部32は、走行前のバッテリ11の残量から区間A12および区間A13を走行することによるバッテリ11の予測消費量を減算したバッテリ11の予測残量を算出する。走行区間設定部32は、平坦な道路である区間A11および区間A2を走行することによるバッテリ11の予測消費量を算出する。算出された区間A11および区間A2を走行することによるバッテリ11の予測消費量に対してはバッテリ11の予測残量は足りないが、区間A11を走行することによるバッテリ11の予測消費量には足りる場合、走行距離が長い区間A11を第一区間として、走行距離が短い区間A2を第二区間とする。
【0039】
走行区間設定部32は、例えば、バッテリ11の残量と天候情報とに基づいて、目的地までの走行経路において、気温が第一気温閾値より高い場合、日なたになる区間を第一走行モードで走行する第一区間とする。そして、走行区間設定部32は、日なたになる区間におけるバッテリ11の予測消費量を算出する。そして、走行区間設定部32は、バッテリ11の残量から日なたになる区間における予測消費量を減算したバッテリ11の予測残量を算出する。そして、走行区間設定部32は、目的地までの走行経路において、日なたになる区間を除いて、予測残量で走行可能な距離に相当する区間を第一区間として、目的地までの残りの区間を第二区間とする。
【0040】
走行区間設定部32は、例えば、バッテリ11の残量と天候情報とに基づいて、目的地までの走行経路において、気温が第一気温閾値より高い場合、日陰になる区間を第二走行モードで走行する第二区間とする。そして、走行区間設定部32は、目的地までの走行経路において、日陰になる区間を除いて、バッテリ11の残量で走行可能な距離に相当する区間を第一区間として、目的地までの残りの区間を第二区間とする。
【0041】
走行区間設定部32は、例えば、バッテリ11の残量と天候情報とに基づいて、目的地までの走行経路において、気温が第二気温閾値より低い場合、日なたになる区間を第二走行モードで走行する第二区間とする。そして、走行区間設定部32は、目的地までの走行経路において、日なたになる区間を除いて、バッテリ11の残量で走行可能な距離に相当する区間を第一区間として、目的地までの残りの区間を第二区間とする。
【0042】
走行区間設定部32は、例えば、バッテリ11の残量とユーザ状態情報と道路情報とに基づいて、ユーザの疲労度または不快感がない場合、目的地までの走行経路において、下り坂になる区間を第二走行モードで走行する第二区間とする。そして、走行区間設定部32は、目的地までの走行経路において、下り坂になる区間を除いて、バッテリ11の残量で走行可能な距離に相当する区間を第一区間として、目的地までの残りの区間を第二区間とする。
【0043】
走行区間設定部32は、例えば、バッテリ11の残量とユーザ状態情報と道路情報とに基づいて、勾配が閾値以下の緩やかな上り坂で、ユーザの疲労度または不快感がない場合、緩やかな上り坂になる区間を第二走行モードで走行する第二区間に設定してバッテリ11を節電してもよい。そして、走行区間設定部32は、ユーザの身体的な負担が増大するおそれがある、後に続く勾配が閾値より大きい急な上り坂、または、長距離の平坦道路を、第一走行モードで走行する第一区間に設定してもよい。
【0044】
走行区間設定部32は、例えば、道路情報に基づいて、混雑している道路、または、幅が狭い道路である場合、第一走行モードではスムースに移動できないおそれがあるため、第二走行モードで走行する第二区間として設定してもよい。
【0045】
走行区間設定部32は、さらに道路情報に含まれる移動体の駐車可能エリアの位置情報に基づいて、第一走行モードで走行する第一区間と、第二走行モードで走行する第二区間とを設定してもよい。この場合、目的地の最寄りの駐車可能エリアに移動体を乗り捨て、目的地の最寄りの駐車可能エリアを最後の第二区間の開始地点として、目的地に向かって第二走行モードで移動する。
【0046】
経路案内部33は、検索された経路に沿った案内を行う。経路を案内する方法は、公知の経路案内方法を使用可能であり、限定されない。
【0047】
表示制御部39は、表示部19に対する表示を制御する。より詳しくは、表示制御部39は、経路探索部31が検索した経路に沿った経路案内の映像を表示部19に表示させる映像信号を出力する。
【0048】
表示制御部39は、走行区間設定部32が設定した第一区間と第二区間とを示す映像を表示部19に表示させる映像信号を出力する。より詳しくは、表示制御部39は、例えば、経路案内の映像において、走行区間設定部32が設定した第一区間と第二区間とを色を変えて表示させる映像信号を出力する。
【0049】
<走行支援装置における情報処理>
次に、
図3を用いて、走行支援装置10における情報処理について説明する。
図3は、実施形態に係る走行支援装置における処理の一例を示すフローチャートである。例えば、移動体による走行を開始する前に、走行支援装置1が起動する。走行支援装置1を起動すると、制御部20は、表示制御部39によって、目的地を設定する設定画面を表示部19に表示する。
【0050】
制御部20は、目的地設定操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。より詳しくは、制御部20は、操作受付部23によって、出発地及び目的地の設定操作と、出発地から目的地までの経路を探索する操作とを受け付けたか否かを判定する。制御部20は、目的地設定操作を受け付けたと判定する場合(ステップS101でYes)、ステップS102へ進む。制御部20は、目的地設定操作を受け付けていないと判定する場合(ステップS101でNo)、本フローチャートの処理を終了する。
【0051】
目的地設定操作を受け付けたと判定する場合(ステップS101でYes)、制御部20は、経路を検索する(ステップS102)。より詳しくは、制御部20は、操作受付部23によって、出発地及び目的地の設定操作と、出発地から目的地までの経路を探索する操作とを受け付けると、経路探索部31によって、出発地から目的地までの経路を検索する。制御部20は、ステップS103へ進む。
【0052】
制御部20は、道路情報と天候情報とユーザ状態情報との少なくともいずれかを取得する(ステップS103)。より詳しくは、制御部20は、地図情報取得部27によって、地図情報記憶部14から地図情報に含まれる道路情報を取得してもよい。制御部20は、天候情報取得部24によって、外部の装置から天候情報を取得してもよい。制御部20は、ユーザ状態情報取得部25によって、ユーザの状態を示すユーザ状態情報を取得してもよい。制御部20は、ステップS104へ進む。
【0053】
制御部20は、走行区間を設定する(ステップS104)。より詳しくは、制御部20は、走行区間設定部32によって、バッテリ情報取得部21が取得したバッテリ情報と、道路情報と天候情報とユーザ状態情報との少なくともいずれかに基づいて、目的地までの走行経路において、バッテリ11を使用して走行する第一区間と、バッテリ11を使用せずに走行する第二区間とを設定する。制御部20は、ステップS105へ進む。
【0054】
制御部20は、経路決定操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS105)。より詳しくは、制御部20は、操作受付部23によって、経路を決定する操作を受け付けたか否かを判定する。制御部20は、経路を決定する操作を受け付けたと判定する場合(ステップS105でYes)、ステップS106へ進む。制御部20は、経路を決定する操作を受け付けていないと判定する場合(ステップS105でNo)、ステップS105の処理を再度実行する。
【0055】
制御部20は、経路を案内する(ステップS106)。より詳しくは、制御部20は、経路案内部33によって、経路に沿った案内を行う。
【0056】
<効果>
上述したように、本実施形態では、バッテリ情報と、道路情報と天候情報とユーザ状態情報との少なくともいずれかに基づいて、目的地までの走行経路を示す走行経路において、バッテリ11を使用して走行する第一区間と、バッテリ11を使用せずに走行する第二区間とを設定する。このように、本実施形態は、バッテリ11を使用した走行と、バッテリ11を使用しない走行とを適切に組み合わせた走行を支援することができる。
【0057】
本実施形態では、第一区間と第二区間とにおける、移動速度を示す走行情報とユーザの状態を示すユーザ状態情報とに基づいて、第一区間と第二区間とを設定できる。本実施形態によれば、第一走行モードと、第二走行モードとを併用し、最短時間で目的地まで到達できるように、第一区間と第二区間とを設定できる。本実施形態によれば、第一走行モードと、第二走行モードとを併用し、ユーザの身体的な負担を抑えて目的地まで到達できるように、第一区間と第二区間とを設定できる。
【0058】
本実施形態では、目的地までの走行経路の走行中に、目標移動速度と実測移動速度との差に基づいて、第一区間と第二区間とを設定し直すことができる。本実施形態によれば、実際の移動速度に応じて、第一区間と第二区間とを適切に設定できる。
【0059】
本実施形態では、バッテリ11の残量から走行可能な走行可能距離が、目的地までの走行経路の走行距離より短い場合、第二区間を設定する。本実施形態によれば、必要な場合に限って、適切に第二区間を設定できる。
【0060】
図示した走行支援装置の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0061】
走行支援装置の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0062】
上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【0063】
<変形例>
上記の気温に変えて、または、気温とともにバッテリ11の温度に基づいて、第一区間と第二区間とを設定してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 走行支援装置
11 バッテリ
12 GNSS受信部
13 操作部
14 地図情報記憶部
19 表示部
20 制御部(走行支援制御装置)
21 バッテリ情報取得部
22 位置情報取得部
23 操作受付部
24 天候情報取得部
25 ユーザ状態情報取得部
26 走行情報取得部
27 地図情報取得部
31 経路探索部
32 走行区間設定部
33 経路案内部
39 表示制御部