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特開2024-131377基板収納カセット及び基板搬送システム
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  • 特開-基板収納カセット及び基板搬送システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131377
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】基板収納カセット及び基板搬送システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20240920BHJP
   B65D 85/86 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/68 U
B65D85/86 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041596
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301014904
【氏名又は名称】東レエンジニアリング先端半導体MIテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 和勝
【テーマコード(参考)】
3E096
5F131
【Fターム(参考)】
3E096AA06
3E096BA15
3E096BB08
3E096CA02
3E096DA01
3E096DC02
3E096FA27
3E096FA40
3E096GA04
5F131AA03
5F131AA12
5F131CA24
5F131DA02
5F131DA32
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB52
5F131DB62
5F131GA03
5F131GA33
5F131GA52
(57)【要約】
【課題】異なるサイズの基板をより多く収納することが可能な基板収納カセッを提供する。
【解決手段】複数の異なるサイズの基板を収納する基板収納カセット10であって、基板の出し入れが可能な開口部を有するカセット本体11と、カセット本体の両側部から、それぞれ、複数段に亘って内側に向かって突出し、基板の両縁部を下方から支持する一対の支持部20とを備え、一対の支持部は、それぞれ、支持部の上面が、内側に向かって徐々に低くなる複数の段差部20a、20b、20cを有し、各段差部における上面は、内側に向かって下方に傾斜する傾斜面をなし、該傾斜面において、基板の両側の部位を下方から支持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なるサイズの基板を収納する基板収納カセットであって、
前記基板の出し入れが可能な開口部を有するカセット本体と、
前記カセット本体の両側部から、それぞれ、複数段に亘って、内側に向かって突出し、前記基板の両縁部を下方から支持する一対の支持部と、
を備え、
前記一対の支持部は、それぞれ、前記支持部の上面が、内側に向かって徐々に低くなる複数の段差部を有し、
前記各段差部における上面は、内側に向かって、下方に傾斜する傾斜面をなし、該傾斜面において、前記基板の両側の部位を下方から支持する、基板収納カセット。
【請求項2】
前記カセット本体の開口部に対向した側部に、複数段に亘って、前記一対の支持部と同じ間隔で、内側に向かって突出し、前記基板の縁部を下方から支持する支持部をさらに備え、
前記支持部は、前記一対の支持部と同じ形状の段差部を有している、請求項1に記載の基板収納カセット。
【請求項3】
複数の異なるサイズの基板を収納する基板収納カセットと、
前記基板収納カセットに前記基板を搬送する搬送ロボットと
を備えた基板搬送システムであって、
前記基板収納カセットは、カセット本体の両側部から、それぞれ、複数段に亘って、内側に向かって突出し、前記基板の周縁部を下方から支持する一対の支持部を備え、
前記一対の支持部は、それぞれ、前記支持部の上面が、内側に向かって徐々に低くなる複数の段差部を有し、
前記搬送ロボットは、互いに平行に延びる一対のハンド部を備え、
前記一対のハンド部で、前記基板の両側の部位を下方から支持しながら、前記基板を前記基板収納カセット内に搬送して、前記基板のサイズに応じた所定の前記段差部に載置する、基板搬送システム。
【請求項4】
前記一対のハンド部は、前記基板の両端部から、それぞれ、前記基板の幅の1/4よりも両端部側の部位を、下方から支持する、請求項3に記載の基板搬送システム。
【請求項5】
前記基板収納カセットは、請求項1または2に記載の基板収納カセットからなる、請求項3に記載の基板搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の異なるサイズの基板を収納する基板収納カセット、及び基板収納カセットに基板を搬送する基板搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶基板や回路基板等の基板をカセットに複数収納して搬送する方法が知られている。
【0003】
このようなカセットとして、例えば、特許文献1には、両サイドから内側に向けて突き出した複数段の支持棒を有し、支持棒の上面に、先端に向けて徐々に低くなる複数の段差が設けられたカセットが記載されている。このような構成により、一つのカセットに異なるサイズのガラス基板を収納することができるとともに、小さなサイズのガラス基板を収納した場合でも、ガラス基板が段差により動きが制限されるため、ガラス基板の位置ずれを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-70989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板が大型化すると、カセットの両サイドに設けた支持棒の段差部で基板を支持したとき、基板の自重により撓みが生じる。一方、ロボットハンドで基板の中央部を支持して基板を搬送したとき、基板の中央部が凸状に湾曲して撓む。そのため、ロボットハンドで基板をカセットに出し入れするとき、基板の端部が支持棒と接触するおそれがある。また、上の段に基板が既に収納されていると、下の段にロボットハンドで基板を出し入れするとき、基板の中央部が、上の段の基板と接触するおそれがある。このような問題を回避するためには、支持棒のピッチを大きく設定する必要があり、カセット内に収納する基板の枚数が制限されるという問題があった。
【0006】
また、支持棒の段差部で基板を支持しているとき、自重により基板が凹状に湾曲しているため、カセットの移動中に、基板の端部が、段差部を乗り上げて、位置ずれ(横滑り)を起こすおそれがある。このような問題を回避するためには、段差部を高く設定する必要があり、カセット内に収納する基板の枚数が制限されるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、その主な目的は、異なるサイズの基板をより多く収納することが可能な基板収納カセット、及び基板収納カセットに基板を搬送する基板搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る基板収納カセットは、複数の異なるサイズの基板を収納する基板収納カセットであって、基板の出し入れが可能な開口部を有するカセット本体と、カセット本体の両側部から、それぞれ、複数段に亘って、内側に向かって突出し、基板の両縁部を下方から支持する一対の支持部と、を備え、一対の支持部は、それぞれ、支持部の上面が、内側に向かって徐々に低くなる複数の段差部を有し、各段差部における上面は、内側に向かって、下方に傾斜する傾斜面をなし、該傾斜面において、基板の両側の部位を下方から支持する。
【0009】
本発明に係る基板搬送システムは、複数の異なるサイズの基板を収納する基板収納カセットと、基板収納カセットに基板を搬送する搬送ロボットとを備え、基板収納カセットは、カセット本体の両側部から、それぞれ、複数段に亘って、内側に向かって突出し、基板の周縁部を下方から支持する一対の支持部を備え、一対の支持部は、それぞれ、支持部の上面が、内側に向かって徐々に低くなる複数の段差部を有し、搬送ロボットは、互いに平行に延びる一対のハンド部を備え、一対のハンド部で、基板の両側の部位を下方から支持しながら、基板を基板収納カセット内に搬送して、基板のサイズに応じた所定の前記段差部に載置する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、異なるサイズの基板をより多く収納することが可能な基板収納カセット、及び基板収納カセットに基板を搬送する基板搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態における基板収納カセットの構成を模式的に示した斜視図である。
図2】基板収納カセットの一方の側部の部分を拡大した正面図である。
図3A】異なるサイズの基板が、基板収納カセットに収納された状態を示した図である。
図3B】カセット内に搬送した基板を支持部における段差部の上面に支持した状態を示した図である。
図4】一対の支持部における各段差部の上面が水平になっているカセットを示した図である。
図5】カセット本体の開口部に対向した側部に、複数段の支持部が設けられたカセットを示した図である。
図6】本実施形態における基板搬送システムの構成を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態における基板収納カセット(以下、単に「カセット」という場合もある)の構成を模式的に示した斜視図である。なお、本実施形態において、基板収納カセットに収納する基板は、角形の基板であれば特に限定されず、例えば、液晶基板や回路基板等が挙げられる。
【0014】
図1に示すように、本実施形態における基板収納カセット10は、基板の出し入れが可能な開口部12を有するカセット本体11と、カセット本体11の両側部13、13から、それぞれ、複数段(図1では4段)に亘って、内側に向かって突出し、基板の両縁部を下方から支持する一対の支持部20、20を備えている。一対の支持部20は、それぞれ同じ間隔で、両側部13、13に固定されている。なお、図1では、両側部13、13を、板状の側壁で構成しているが、カセット本体11の底部14から立脚した複数の棒状のフレーム等で構成されていてもよい。
【0015】
図2は、基板収納カセット10の一方の側部13の部分を拡大した正面図(底部14は省略)である。
【0016】
図2に示すように、一対の支持部20は、それぞれ、支持部20の上面が、内側に向かって徐々に低くなる複数(図2では3つ)の段差部20a、20b、20cを有している。各段差部20a、20b、20cにおける上面は、内側に向かって、下方に傾斜する傾斜面をなし、この傾斜面で、基板の両縁部を下方から支持する。
【0017】
図3Aは、異なるサイズの基板P1、P2が、基板収納カセット10に収納された状態を示した図である。基板P1は、最上段の支持部20における段差部20aの上面に支持されている。基板P2は、上からの2段目の支持部20における段差部20bの上面に支持されている。図3Aに示すように、基板P1、P2は、それぞれ、一対の支持部20を支点として、基板P1、P2の自重により、凹状に湾曲している。
【0018】
図3Aに示すように、段差部20bにおける上面は、内側に向かって、下方に傾斜する傾斜面をなし、この傾斜面において、基板P2の両側の部位を下方から支持している。このとき、基板P2は、凹状に湾曲しているため、基板P2の両側の部位は、段差部20bの傾斜面に沿った状態で、段差部20bの上面に支持されている。そのため、段差部20bの段差を高く設定しなくても、カセット10を移動する際、基板P2の端部が、段差部20aを乗り上げて位置ずれ(横滑り)するのを回避することができる。
【0019】
また、図3Aに、基板P2とサイズの異なる基板P3を、カセット10内に搬送した状態を示し、図3Bに、カセット10内に搬送した基板P3を、上から3段目の支持部20における段差部20cの上面に支持した状態を示す。
【0020】
図3Aに示すように、一対のハンド部30で、基板P3の両側の部位を下方から支持しながら、基板P3を搬送することによって、基板P3は、一対のハンド部30支点として、基板P3の自重により、凹状に湾曲した状態で、カセット10内に搬送される。これにより、一対のハンド部30で基板P3をカセット10に出し入れするとき、基板P3の端部が、上の段の支持部20と接触するのを回避することができる。
【0021】
また、上の段の支持部20に、基板P2が凹状に湾曲した状態で支持されていても、搬送中の基板P3も、同じように凹状に湾曲した状態になっているため、下の段の支持部20に、基板P3を出し入れするとき、基板P3が、上の段の基板P2と接触するのを回避することができる。
【0022】
一方、図4は、一対の支持部120における各段差部120a、120b、120cの上面が水平になっているカセットを示した図である。
【0023】
図4は、最上段及び上から2段目の支持部120に、基板P1、P2が支持された状態で、基板P3をカセットに搬入して、上からの3段目の支持部120に支持する動作を示した図である。
【0024】
図4に示すように、上から2段目の支持部120の段差部120bで基板P2を支持しているとき、段差部120bの上面が水平になっていると、基板P2は凹状に湾曲しているため、カセットの移動中に、基板P2の端部が、段差部120aを乗り上げて、位置ずれ(横滑り)を起こすおそれがある。
【0025】
また、ロボットハンド130で、基板P3の中央部を支持して、基板P3をカセットに搬入するとき、基板P3の中央部が凸状に湾曲しているため、基板P3の端部が、上の段の支持部120と接触するおそれがある。また、上の段の支持部120に、基板P2が支持されていると、下の段にロボットハンド130で基板P3を出し入れするとき、基板P3の中央部が、上の段の基板P2と接触するおそれがある。
【0026】
このように、本実施形態では、一対の支持部20に、上面が内側に向かって徐々に低くなる複数の段差部20a、20b、20cを設け、各段差部における上面を、内側に向かって、下方に傾斜する傾斜面にして、この傾斜面で、基板の両側の部位を下方から支持することによって、各段差部の段差を高く設定しなくても、基板収納カセット10を移動する際、基板の端部が、段差部を乗り上げて位置ずれ(横滑り)するのを回避することができる。これにより、基板収納カセット10に、異なるサイズの基板をより多く収納することが可能となる。
【0027】
また、一対のハンド部30で、基板の両側の部位を下方から支持しながら、基板を支持部20に出し入れすることによって、搬送中の基板が、上の段の支持部20に支持された基板と接触するのを回避することができる。
【0028】
なお、一対のハンド部30で、基板の両側の部位を下方から支持する際、基板を凹状に湾曲した状態にするためには、一対のハンド部30は、基板の両端部から、それぞれ、基板の幅の1/4よりも両端部側の部位を下方から支持することが好ましい。
【0029】
また、各段差部の上面を水平にした場合でも、各段差部における段差を、基板の端部が乗り上がらない程度に高く設定しておけば、一対のハンド部30で、基板の両側の部位を下方から支持しながら、基板を支持部20に出し入れすることによって、搬送中の基板が、上の段の支持部20に支持された基板と接触するのを回避することができる。
【0030】
ところで、角形の基板のサイズは、縦のサイズだけでなく、横のサイズも一緒に変わる場合がある。この場合、カセット本体11の両側部に設けた一対の支持部では、基板の縦または横の一方のサイズに対応した段差部で基板を支持することによって、基板の縦または横の一方の位置は規制することができるが、他方の位置は規制することができない。そのため、サイズの小さい基板を、一対の支持部20で支持したとき、カセット本体11の開口部12から奥行き方向において、基板の位置が定まらない。その結果、例えば、カセット本体11の開口部12近傍に、基板の存在を検出するセンサーを設置していた場合、基板が、センサーの設置位置よりも奥にあった場合、センサーで基板を検出できなくなる。
【0031】
このような問題に対しては、図5に示すように、カセット本体11の開口部12に対向した側部15に、複数段に亘って、一対の支持部20と同じ間隔で、内側に向かって突出し、基板の縁部を下方から支持する支持部21を設けることが好ましい。なお、支持部21は、一対の支持部20と同じ形状の段差部21a、21b、21cを有している。このような支持部21を設けることによって、カセット本体11の開口部12から奥行き方向においても、基板の位置を規制することができる。
【0032】
図6は、本実施形態における基板搬送システムの構成を模式的に示した図である。
【0033】
図6に示すように、本実施形態における基板搬送システムは、複数の異なるサイズの基板を収納する基板収納カセット10と、基板収納カセット10に基板を搬送する搬送ロボット100とを備えている。
【0034】
基板収納カセット10は、カセット本体11の両側部13から、それぞれ、複数段に亘って、内側に向かって突出し、基板の周縁部を下方から支持する一対の支持部20を備えている。一対の支持部20は、それぞれ、支持部20の上面が、内側に向かって徐々に低くなる複数の段差部を有している。なお、基板収納カセット10は、図1に示した構成のカセットを用いることができる。
【0035】
搬送ロボット100は、互いに平行に延びる一対のハンド部30と、一対のハンド部30に接続されたアーム40と、アーム40の動作を制御する制御部50とを備えている。
【0036】
一対のハンド部30は、基板Pの両側の部位を下方から支持しながら、基板Pを基板収納カセット10内に搬送して、基板Pのサイズに応じた所定の段差部に載置する。
【0037】
一対のハンド部30は、基板Pの両端部から、それぞれ、基板Pの幅の1/4よりも両端部側の部位を、下方から支持することが好ましい。これにより、基板Pは、図3A図3Bに示したように、一対のハンド部30支点として、基板Pの自重により、凹状に湾曲した状態で、カセット10内に搬送される。その結果、一対のハンド部30で基板Pをカセット10に出し入れするとき、基板Pの端部が、上の段の支持部20と接触するのを回避することができる。
【0038】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 基板収納カセット
11 カセット本体
12 開口部
13、15 側部
14 底部
20 一対の支持部
20a、20b、20c 段差部
21 支持部
21a、21b、21c 段差部
30 一対のハンド部
40 アーム
50 制御部
100 搬送ロボット
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6